JP2013195687A - 光スイッチング素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光損傷の影響が少なく、光強度が安定である光スイッチング素子において、駆動電圧を低減可能とし、素子長さを短くできるようにする。
【解決手段】光スイッチング素子1は、強誘電体からなり、入射光を伝搬するスラブ導波路として機能する厚さ1〜100μmのスラブ導波路基板6、スラブ導波路基板6の一方の主面側に形成されている第一の電極8、およびスラブ導波路基板の他方の主面側に形成されている第二の電極4を備える。基板6が、非分極反転部20と、複数の分極反転部からなり、スラブ光導波路基板を伝搬する伝搬光を屈折させる複数のプリズム部11とを備える。プリズム部11の厚さが非分極反転部20の厚さよりも大きい。
【選択図】 図3
【解決手段】光スイッチング素子1は、強誘電体からなり、入射光を伝搬するスラブ導波路として機能する厚さ1〜100μmのスラブ導波路基板6、スラブ導波路基板6の一方の主面側に形成されている第一の電極8、およびスラブ導波路基板の他方の主面側に形成されている第二の電極4を備える。基板6が、非分極反転部20と、複数の分極反転部からなり、スラブ光導波路基板を伝搬する伝搬光を屈折させる複数のプリズム部11とを備える。プリズム部11の厚さが非分極反転部20の厚さよりも大きい。
【選択図】 図3
Description
本発明は、光スイッチング素子に関するものである。
光通信分野においては、光ファイバ網の経路切り替え用に光スイッチが適用されている。光スイッチは、電気効果や熱光学効果を利用したものや、MEMS型のものが知られている。また、これらの素子は、光ファイバとの結合損失を低減するため、駆動電圧を下げるために光導波路型が利用されている。
従来の電気光学効果を利用した光スイッチとして、LN方向性結合器型光スイッチが知られている(特許文献1)。本スイッチは、LN基板上に熱拡散やプロトン交換法によってTiなどの金属や水素イオンを基板中に拡散させ高屈折率部分を形成し、光導波路を形成している。電気光学効果による屈折率変動により位相差が変化し光のパワー移行率を変化させることにより機能する。
従来の電気光学効果を利用した光スイッチとして、LN方向性結合器型光スイッチが知られている(特許文献1)。本スイッチは、LN基板上に熱拡散やプロトン交換法によってTiなどの金属や水素イオンを基板中に拡散させ高屈折率部分を形成し、光導波路を形成している。電気光学効果による屈折率変動により位相差が変化し光のパワー移行率を変化させることにより機能する。
光通信分野においては、光中継機によって光増幅し、光信号を波形整形しながら局社およびデータセンターから各加入者宅まで光伝送される。しかし、光中継機の設置費用削減から光パワー強度が増加している。また光スイッチは、光通信分野以外にレーザ加工機の分配機やレーザディスプレイ用の走査機としての応用が進んでいる。しかし、これらの分野では光入力パワーが数W以上になっており、高光強度で駆動できる光スイッチの需要が高まっている。
いわゆるLN方向性結合器型光スイッチでは、一般的にTi拡散導波路が使用される。しかし、光損傷のため数100mW以上の光は強度が揺らぎ損失が変動するという問題が生じる。ニオブ酸リチウム結晶自体の光損傷閾値は波長1μmにおいて300MW/cm2であるので、スポットサイズ径10μmの光導波路では23kW程度まで光損傷の影響なく光伝送可能なはずである。
一方、マルチメディアの進展により高精細かつ高画質なディスプレイやプリンタ機器の需要が高くなっており、これらの分野にレーザを応用した製品開発が活発化している。これらの機器にレーザを利用する場合には、光を走査する機構が必要であり、電気光学効果を用いた光偏向素子が使用される場合がある。
一般的に電気光学効果を利用した素子の場合、プリズムに電極を形成したものが知られている(非特許文献1)。しかし、ニオブ酸リチウムなどの電気光学結晶を利用したプリズム偏向素子は、電気光学効果による屈折率変化が比較的に小さい。たとえば、ニオブ酸リチウムの場合、屈折率変化△n=0.001を得るためには、6kV/mm程度の大きな電界を結晶に印加する必要がある。このため駆動電圧を低減するためニオブ酸リチウム基板の厚みを薄くする構造が特許文献2に開示されている。
特許文献2は、光導波路型のプリズム偏向素子であり、光導波路のコア層は電気光学材料となっている。このコア層の基板厚は数100nm〜数10μmであり、三角形状(プリズム形状)の分極反転領域から構成され、この分極反転領域の結晶軸の向きは、残余の非分極反転部とは逆になっている。この分極反転領域は導波光の伝播方向に規則的に配列されている。コア層の上下には絶縁体であるクラッド層が形成され、さらに電極が形成される。コア層に電圧が印加されると、分極反転領域と残余領域とで屈折率変化量の符号が反転する。このため、コア層にプリズム構造体が生成される。
Scrymgeour, D.A., "Large-angle electro-opticlaser scanner on LiTaO3 fabricated by in situ monitoring offerroelectric-domain micropatterning‘’, Appl. Opt.,40-34, (2001)
プリズム構造体は、複数個のプリズムの集合であるために、伝搬する導波光は各プリズムの境界において伝搬角が変化し偏向されて出射する。しかしながら、特許文献2記載のように、このプリズム偏向素子を光スイッチに応用する場合、下記の問題があることがわかった。
すなわち、スイッチングを行うためには、伝搬光の出射角度をある程度変化させる必要がある。しかし、プリズムにおける偏向角度が小さいために、駆動電圧が高くなり、また、素子長を長くする必要がある。駆動電圧が高いため、適当なスイッチング電源(低電圧交流電源)がない。また、素子長を長くすると、今度は出射光ビームが広がるので、受光側のファイバで受光することが難しくなり、スイッチングできなくなる。
本発明の課題は、高い光パワーでも光損傷の影響が少なく、光強度が安定である光スイッチング素子において、駆動電圧を低減可能とし、素子長さを短くできるようにすることである。
本発明に係る光スイッチング素子は、
強誘電体からなり、入射光を伝搬するスラブ導波路として機能する厚さ1〜100μmのスラブ導波路基板、
スラブ導波路基板の一方の主面側に形成されている第一の電極、および
スラブ導波路基板の他方の主面側に形成されている第二の電極を備えており、スラブ導波路基板が、複数の分極反転部からなり、スラブ光導波路基板を伝搬する伝搬光を屈折させる複数のプリズム部、および非分極反転部を備えており、プリズム部の厚さが非分極反転部の厚さよりも大きいことを特徴とする。
強誘電体からなり、入射光を伝搬するスラブ導波路として機能する厚さ1〜100μmのスラブ導波路基板、
スラブ導波路基板の一方の主面側に形成されている第一の電極、および
スラブ導波路基板の他方の主面側に形成されている第二の電極を備えており、スラブ導波路基板が、複数の分極反転部からなり、スラブ光導波路基板を伝搬する伝搬光を屈折させる複数のプリズム部、および非分極反転部を備えており、プリズム部の厚さが非分極反転部の厚さよりも大きいことを特徴とする。
本発明者は、スラブ光導波路基板内に分極反転技術によって複数のプリズム部を形成し、プリズム部における偏向を利用して光のスイッチングを行うのに際して、その具体的構造を検討してきた。この検討の過程で、プリズム部を構成する分極反転部の厚さを、その周りの非分極反転部の厚さよりも大きくすることによって、各プリズム部における偏向角度を大きくできることを見いだした。これによって、所定の出射角度変化を得るのに必要な駆動電圧を低減することが可能となり、また素子長さを短くすることが可能となる。
図1〜図3に示す素子1においては、スラブ光導波路基板6の一方の主面側に第一のクラッド層7および第一の電極8が形成されており、他方の主面側に第二のクラッド層5および第二の電極4が設けられている。基板の主面とは、基板表面のうち相対的に広い一対の面を意味する。スラブ光導波路基板の他方の主面(底面)は、クラッド層5および電極4を介して接着層3によって支持基板2に接着されている。
スラブ光導波路基板6は、最初は全体にわたって矢印Fのように分極している。ここで、図1〜図3に示すようにプリズム形状の分極反転部11を形成する。分極反転部は、平面的にはプリズム形状であるが、基板の厚さ方向には柱状をなしている。各分極反転部11内では矢印Eのように、最初の分極方向Fとは反対側に向かって分極する。この結果、分極反転したプリズム部11を包囲するように非分極反転部20が残留する。
素子1には、プリズム部11が、所定個数、所定の配列方向に向かって配列され、配列体10を形成している。一対の電極間に電圧を印加していないときには、入射した光は矢印Bのように直進し、素子から出射する。
ここで、電源9から一対の電極4、8に対して信号電圧を印加すると、各プリズム部11内の屈折率が非分極反転部の屈折率に比べて変化し、伝搬光を偏向させる。この結果、入射した光は、矢印Cあるいは矢印Dのように伝搬し、それぞれ素子外に出射する。このとき、印加電圧の方向によって、光は矢印CとDとの一方に向かって伝搬する。
従って、この出射光の方向の変化によって、印加電圧のオンとオフとを識別できるので、光スイッチング素子として動作する。
ここで、本発明に従い、分極反転したプリズム部11の厚さTPを、非分極反転部20の厚さTNよりも大きくする。これによって、各プリズム部における偏向角度を大きくできる。この結果、スイッチング用の伝搬光BとDとの偏向角θ、CとDとの偏向角θ2を確保するのに必要な素子長を小さくでき,また必要な印加電圧を低減できることは明らかである。
本発明によれば、典型的には、Wクラスの高光強度、100V未満の低駆動電圧、素子長20mm以下のコンパクトな光スイッチを提供することも可能であり、産業上のインパクトは大きい。
スラブ光導波路基板は、入射光をスラブ伝搬させることのできる基板である。基板を形成する強誘電体の種類は、特に限定されない。しかし、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、K3Li2Nb5O15の各単結晶が特に好ましい。
分極方向は結晶軸の+z方向に対応する。これらの強誘電体をエッチングする場合には、−z方向のエッチングレートは+z方向と比較し非常に大きい。本願構造では、非反転部はーz方向が表面に露出しており、反転部と非反転の基板厚段差を容易に形成できる構造となっている。
エッチング方法は、ウエットエッチングとドライエッチングどちらでもよいが、前者は+z方向と−z方向のレート差が大きく、エッチングレートも大きくできる。エッチャントとして、フッ酸、フッ硝酸、BHFが例示できる。
強誘電体中には、三次元光導波路の耐光損傷性を更に向上させるために、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)及びインジウム(In)からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含有させることができ、マグネシウムが特に好ましい。また、強誘電体中には、ドープ成分として、希土類元素を含有させることができる。この希土類元素は、レーザ発振用の添加元素として作用する。この希土類元素としては、特にNd、Er、Tm、Ho、Dy、Prが好ましい。
図1〜図3の例ではZカット基板を使用したが、オフカットZ基板であってもよい。ただし、オフカットZ板の場合には、オフカット角は、20°以下が好ましく、10°以下が更に好ましい。
スラブ導波路基板の一方の主面側に第一の電極を形成し、他方の主面側に第二の電極を形成する。第一の電極、第二の電極の材質は限定されないが、Al、Au、Ag、Cr、Cu、Ni、Ni-Cr 、Pd、Ta 、Mo、W、Ta、AuCrの積層膜などが好ましい。
電極の形成方法は特に限定されず、蒸着法でもよく、スパッタリング法でもよい。電極の膜厚は、例えば500〜10000オングストロームとすることができる。
プリズム部11は、分極反転によって形成する。分極反転は、好ましくは電圧印加法によって形成できる。電圧印加方法は特に限定されない。例えば不活性雰囲気中に基板を設置して電圧を印加してもよく、絶縁体液体中に基板を設置して電圧を印加してもよい。電圧を印可する際、電圧印可プローブピンを用いる場合、ピンの電極に対する接触位置は、真ん中である方が望ましい。
電圧はパルス電圧であることが好ましく、直流バイアス電圧を更に印加してもよい。パルス電圧の好ましい条件は以下のとおりである。
パルス電圧:2.0kV〜8.0kV(/mm)
パルス幅:0.1ms〜10ms
直流バイアス電圧:1.0kV〜5.0kV(/mm)
パルス電圧:2.0kV〜8.0kV(/mm)
パルス幅:0.1ms〜10ms
直流バイアス電圧:1.0kV〜5.0kV(/mm)
プリズム部の平面形状は、伝搬光を屈折させて偏向させる機能があれば特に限定されず、三角形、台形、ひし形の形態を例示できる。また、プリズム部の各辺が湾曲していても構わない。
プリズム部の厚さTPは、入力光との結合効率、および基板の機械強度の観点から1μm以上とし、2μm以上が更に好ましい。また、スイッチングの駆動電圧低減、ビーム拡がり防止の観点から100μm以下とするが、50μm以下が更に好ましい。
ここで、本発明においては、プリズム部の厚さTPが非分極反転部の厚さTNよりも大きい。従って、スラブ光導波路基板の厚さとは、プリズム部の厚さTPとなる。
プリズム部の厚さTPと非分極反転部の厚さTNとの差(TP−TN)は、偏向角度を大きくするという観点からは、プリズム部の厚さTPの1/100以上であることが好ましく、1/50以上であることが更に好ましい。また、光挿入損失を低減するという観点からは、(TP−TN)は、TPの1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることが更に好ましい。
また、プリズム部の厚さTPと非分極反転部の厚さTNとの差を(TP−TN)としたとき、(TP−TN)/TPは、偏向角度を大きくするという観点からは、0.01以上であることが好ましく、0.02以上であることが更に好ましい。また、光挿入損失を低減するという観点からは、(TP−TN)/TPは、0.2以下であることが好ましく、0.1以下であることが更に好ましく、0.08以下が最も好ましい。
好適な実施形態においては、複数のプリズム部が、素子上から平面的に見たときに所定方向に向かって配列されている。このパターンは、光の偏向を制御する上で特に好適である。ここで、複数のプリズム部が所定方向に向かって配列されているというのは、各プリズム部の重心を結ぶことで直線が形成され、この直線が所定方向に向かって延びていることを意味する。
この実施形態について、図4を例示しつつ述べる。
図4は、隣接する二つのプリズム部11を取り出して平面的に示す拡大図である。プリズム部11は、所定方向Kに向かって延びるように配列されている。各プリズム部11は、底面11aと一対の斜辺11b、11cとを有する。底面11aは伝搬光の通過しない辺であり、斜辺11bはプリズム部への入射面であり、斜辺11cはプリズム部からの出射面である。
図4は、隣接する二つのプリズム部11を取り出して平面的に示す拡大図である。プリズム部11は、所定方向Kに向かって延びるように配列されている。各プリズム部11は、底面11aと一対の斜辺11b、11cとを有する。底面11aは伝搬光の通過しない辺であり、斜辺11bはプリズム部への入射面であり、斜辺11cはプリズム部からの出射面である。
本実施形態では、素子の長手方向の中心軸Lが底面11aと平行している。そして、プリズム部の配列方向Kが底面11aに対して角度θpriをなしており、プリズム部への入射光が底面11aおよび長手方向Lに対して角度θinをなしている。プリズム部への入射角はθ1である。
入射角θ1でプリズム部に入射した伝搬光は、角度θ2でプリズム部内を伝搬し、出射面11cに対して角度θ5で入射し、入射面11cから出射角θ6で出射する。そして隣接するプリズム部に再び入射する。このとき、プリズム部への入射角とプリズム部からの出射角とは若干異なっており、偏向している。
ここで、好適な実施形態においては、素子の入射面に最も近いプリズム部11の底面11aに対して伝搬光の伝搬方向のなす角度θinが、プリズム部の底面に対してプリズムの配列方向Kのなす角度θpriよりも大きい。これによって、偏向角を大きくできる。
偏向角を大きくするという観点からは、θinとθpriとの関係は、θpri(=arcsin(sin(θin+k)/nLN))が成り立っていることが好ましく、kは0以上が好ましく、また、20以下が好ましい。
また、好適な実施形態においては、プリズム部の配列方向Kが、スラブ光導波路基板の長手方向に延びる中心軸Lに対して傾斜している。これによって、伝搬光の偏向角を大きくできる。偏向角を大きくするという観点からは、傾斜角度θpriは、1°以上が好ましく、3°以上が更に好ましい。また、θpriは、20°以下が好ましく、10°以下が更に好ましい。
また、プリズム部の頂角度θ3は、20°〜45°が好ましく、25°〜40°が更に好ましい。
また、プリズム部の頂角度θ3は、20°〜45°が好ましく、25°〜40°が更に好ましい。
プリズム部と非分極反転部との間で厚さの差異を設ける方法は限定されない。好適な実施形態においては、基板の一方の主面、あるいは両方の主面をエッチングすることで段差を形成する。こうしたエッチング法それ自体は、公知のエッチング方法を転用できる。あるいは、レーザアブレーション加工によって段差を設けることも可能である。
本実施形態では、支持基板の材質の屈折率は、スラブ光導波路基板の材質の屈折率以下であってよく、またそれ以上であってもよい。一方、非線形光学結晶の熱膨張率(100%)に対する支持基板の材質の熱膨張率の比率は50〜150%であることが好ましい。また、支持基板の材質は、ガラス、半導体またはセラミックス基板であることが好ましい。支持基板の材質とスラブ光導波路基板の材質とが同じであってもよい。また、このガラス、半導体、セラミックスとして、以下が特に好ましい。
ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラス、白板ガラス、アルミニウムガリウム砒素、アルミナ、水晶。
ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、青板ガラス、白板ガラス、アルミニウムガリウム砒素、アルミナ、水晶。
本実施形態では、スラブ光導波路基板と支持基板とを接着する接着剤は、スラブ光導波路基板の材質よりも低誘電率である材料からなることが好ましい。また、スラブ光導波路基板の屈折率よりも接着層の屈折率が低いことが好ましく、この屈折率差は0.3以上が好ましい。具体的には、接着層の屈折率が2以下であることが好ましい。接着層の具体例は特に限定されないが、エポキシ系接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化性接着剤、アロンセラミックスC(商品名、東亜合成社製)(熱膨張係数13×10−6/K)を例示できる。
接着層の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上とすることが好ましく、0.5μm以上とすることが更に好ましい。また、接着層の厚さを3μm以下とすることが好ましく、1.5μm以下とすることが更に好ましい。
クラッド層の材質は、酸化シリコン、弗化マグネシウム、窒化珪素、アルミナ、五酸化タンタルを例示できる。
好適な実施形態においては、素子の出力側に、複数の光導波路を形成する。各光導波路は、それぞれ、偏向しない伝搬光、あるいは偏向した伝搬光に対応する位置に形成されている。
例えば、図2の例では、偏向しない伝搬光の位置に光導波路16が形成されており、偏向した伝搬光の位置に光導波路15が形成されている。偏向しない伝搬光は、プリズム配列体10を通過して光導波路16に入射し、素子から出射し、例えば光ファイバ14によって外部へと伝送される。電圧を印加すると、各プリズム部で伝搬光が偏向し、最終的に光導波路15で集光され、外部の光ファイバ13へと入射し、伝送される。
これら光導波路の種類は特に限定されず、リッジ型光導波路や金属拡散光導波路、プロトン交換光導波路であってよい。
(実験1)
図1〜図3に示すプリズム型光スイッチを作製した。
ただし、具体的には、MgOドープのz板ニオブ酸リチウム単結晶ウエハに、三角プリズム形状の電極パターンを形成し、電圧印加することにより分極反転を行った。これによって、分極反転部からなるプリズム部11を形成した。次に、+z面側にSiO2からなるクラッド層5をスパッタリングにて厚さ差5000オングストローム成膜し、電極4としてTi、Pt、Auをそれぞれ200、100および5000オングストローム成膜した。
図1〜図3に示すプリズム型光スイッチを作製した。
ただし、具体的には、MgOドープのz板ニオブ酸リチウム単結晶ウエハに、三角プリズム形状の電極パターンを形成し、電圧印加することにより分極反転を行った。これによって、分極反転部からなるプリズム部11を形成した。次に、+z面側にSiO2からなるクラッド層5をスパッタリングにて厚さ差5000オングストローム成膜し、電極4としてTi、Pt、Auをそれぞれ200、100および5000オングストローム成膜した。
その後、支持基板2となるz板LNウエハと上記ウエハを電極面が貼り合せ面となるように接着した。接着層3は、熱硬化型樹脂とした。貼り合せした複合ウエハを研磨定盤に貼り付け、MgOドープz板LNウエハの基板厚を7.5μmになるまで精密研磨加工を行った。その後、研磨定盤からはずし、ウエハ表面(―z面)をフッ酸にてプリズム部11以外をエッチングし、所望の段差を設けた。同じように、出力側に光ファイバに集光するためのリッジ型テーパ導波路15、16をエッチングにて形成した。テーパー部の開口部の幅は450μm、出力端で300μmとなるようにした。
最後に、チップ切断し、端面研磨加工を施した後に、コア径300μmの光ファイバを接続した。
ただし、プリズム部(分極反転部)11と非分極反転部20との間の段差の大きさ(厚さの差異)は、表1に示すように変更した。また、三角プリズム部の平面形状については、図4に示すパラメータを下記のようにした。
プリズム数: 39個
入射角θin: 表に示す。
プリズム頂角θ3: 30°
プリズム底辺11aの長さ: 241μm
プリズム高さ: 450μm
入力光の波長808nmとし、入射角度θin、θpriをそれぞれ0°とした。プリズム部の厚さTPと非分極反転部の厚さTNとの差(TP−TN)は、表1に示すように変更した。印加電圧は±70Vとした。この時にプリズム部と非分極反転部との屈折率差は±0.003であった。また、プリズム数39個の総長さ(Lpri)は9.54mmであり、偏向角は偏向量とLpriとのタンジェント(tan)で求めた。さらにビーム幅は1/e2の光強度となる幅とした。
電圧印加により偏向する量(偏向量)、偏向角、ビーム幅を測定した結果を表1に示す。
電圧印加により偏向する量(偏向量)、偏向角、ビーム幅を測定した結果を表1に示す。
本結果からわかるように、プリズム部と非分極反転部との厚さに差を設けることによって、他の条件が同じであっても、偏向角が著しく増大する。
(実験2)
実験1と同様に実験を行った。ただし、プリズム部の厚さTPと非分極反転部の厚さTNとの差(TP−TN)を0.5μmに固定し、入射角度θinを12.5°に固定した。プリズム配列角度θpriを0°から12.5°まで変化させた。電圧印加により偏向する量(偏向量)、偏向角、ビーム幅を測定した結果を表2に示す。
実験1と同様に実験を行った。ただし、プリズム部の厚さTPと非分極反転部の厚さTNとの差(TP−TN)を0.5μmに固定し、入射角度θinを12.5°に固定した。プリズム配列角度θpriを0°から12.5°まで変化させた。電圧印加により偏向する量(偏向量)、偏向角、ビーム幅を測定した結果を表2に示す。
本結果から、プリズム配列角度θpriに関して、三角プリズムの底辺水平線方向に配列させるよりも入射方向にずらした方が偏向量が大きくなった。また、θpriが入射角度θin以下のときに、偏向量を最大にする最適値が存在することがわかる。
この角度については、θpri(=arcsin(sin(θin+k)/nLN))において、kが0以上、10以下であるときに偏向量が最大になることがわかった。ちなみに、表2の場合、k=0のときθpri=2.9°、k=10のときθpri=4.7°となり偏向量は最大値の10%以内となる。
(実施例3)
偏向量、偏向角、ビーム幅の入射角度θinの依存性を測定した。
入射角度θinは、0°から20°まで変化させ、θpriは上式のk=4とした。その結果を表3に示す。
偏向量、偏向角、ビーム幅の入射角度θinの依存性を測定した。
入射角度θinは、0°から20°まで変化させ、θpriは上式のk=4とした。その結果を表3に示す。
本結果から、θinを大きくすると、偏向量、偏向角が大きくなり、θin=10°で飽和し、それ以降は変化しないことがわかった。
(実施例4)
偏向量、偏向角、ビーム幅の、プリズム部と非分極反転部との厚さの差(TP−TN)に対する依存性を、更に測定した。
プリズム部と非分極反転部との間の段差は、エッチング時間を変化させることにより0から1μmまでの深さとした。プリズム部の形状は、実施例1において、θin=12.5°、θpri=3.8°とした。結果を表4に示す。
偏向量、偏向角、ビーム幅の、プリズム部と非分極反転部との厚さの差(TP−TN)に対する依存性を、更に測定した。
プリズム部と非分極反転部との間の段差は、エッチング時間を変化させることにより0から1μmまでの深さとした。プリズム部の形状は、実施例1において、θin=12.5°、θpri=3.8°とした。結果を表4に示す。
本結果から、段差を大きくすると偏向量も大きくなることがわかる。しかし、伝搬損失も大きくなり、0.7μm以上となると伝搬損失が1dB以上となることがわかる。
Claims (8)
- 強誘電体からなり、入射光を伝搬するスラブ導波路として機能する厚さ1〜100μmのスラブ導波路基板、
前記スラブ導波路基板の一方の主面側に形成されている第一の電極、および
前記スラブ導波路基板の他方の主面側に形成されている第二の電極を備えている光スイッチング素子であって、
前記スラブ導波路基板が、複数の分極反転部からなり、前記スラブ導波路基板を伝搬する伝搬光を屈折させる複数のプリズム部、および非分極反転部を備えており、前記プリズム部の厚さが前記非分極反転部の厚さよりも大きいことを特徴とする、光スイッチング素子。 - 複数の前記プリズム部が所定方向に向かって配列されていることを特徴とする、請求項1記載の素子。
- 前記プリズム部の底面に対して前記伝搬光の伝搬方向のなす角度θpriが、前記プリズム部の前記底面に対して前記プリズム部の配列方向のなす角度θinよりも小さいことを特徴とする、請求項2記載の素子。
- 前記プリズム部の配列方向が、前記スラブ導波路基板の長手方向に延びる中心軸Lに対して傾斜していることを特徴とする、請求項2または3に記載の素子。
- 前記スラブ導波路基板の少なくとも一方の主面において前記非分極反転部の表面がエッチングされていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の素子。
- 偏向しない伝搬光を伝搬して出射する光導波路と、偏向後の伝搬光を伝搬して出射する光導波路とを備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の素子。
- 支持基板、および前記スラブ導波路基板を前記支持基板に接着する接着層を備えていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の素子。
- 前記スラブ導波路基板と前記第一の電極との間に設けられた第一のクラッド層、および前記スラブ導波路基板と前記第二の電極との間に設けられた第二のクラッド層を備えていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の素子。
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