JP2013194804A - ストラット式サスペンション装置 - Google Patents

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Yoshiaki Masuda
善紀 増田
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Abstract

【課題】確実に軸受の分離を防止して、ショックアブソーバの交換を容易におこなうことが可能なストラット式サスペンション装置を提供する。
【解決手段】アッパーサポートは、ショックアブソーバの外周側に配置される内筒部材11と、内筒部材11と同心で内筒部材11の外周側に配置される外筒部材12と、内筒部材11と外筒部材12の間に配置され、両部材を連結するゴム状弾性体16と、ショックアブソーバに固定される上側軌道部材13と、から構成され、内筒部材11には段差部34と下側軌道輪36とが形成され、上側軌道部材13には上側軌道輪22と突片21が形成され、上側および下側軌道輪22,36は対向して配置され、上側および下側軌道輪22,36間に複数の転動体51が介装されて成る軸受50を備え、上側軌道部材13は、突片21の曲げを伸ばし、突片21と段差部34との係合により軸方向の移動を制限する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両のストラット式サスペンション装置に関するものである。
自動車の前輪に使用されるストラット式サスペンション装置は、ストラット軸に内装されるショックアブソーバおよびピストンロッドと、ショックアブソーバの外周に巻回させたコイルスプリングの上端側を支持するアッパースプリングシートと、ショックアブソーバのピストンロッドの上端部の外周側に離間して配置され、軸受および弾性体を介して車両ボデーに取り付けられるアッパーサポートとから構成されている。
ところで、このようなストラット式サスペンション装置を使用した自動車のメンテナンスにおいて、ショックアブソーバの交換をおこなう場合がある。ショックアブソーバの交換は、アッパーサポートとショックアブソーバとを固定しているピストンロッドの上端のナットを外して、ショックアブソーバを取り外した後、交換用のショックアブソーバを取り付ける作業となる。このショックアブソーバの取り外しは、ピストンロッドのナットを外す際に、ピストンロッドに固定された軸受を分離させないように注意する必要があり、手間のかかる作業となっていた。例えば、特許文献1では、軸受を構成する上側軌道部材および下側軌道部材に、それぞれシール部材を装備し、シール部材に設けたシールリップが互いに相手部材に摺接するストラット式サスペンション装置が開示されている。このストラット式サスペンション装置では、上記シールリップの緊迫力により、軸受内部空間を密封するとともに、上側軌道部材と下側軌道部材の分離を防止している。
特開平7−77220号公報
しかしながら、ショックアブソーバから漏出したオイル等により、軸受周辺に異物が堆積し、軸受の上側軌道部材とピストンロッドのナットとが固着している場合がある。上側軌道部材とナットとが固着した状態でナットを外すと、ナットと上側軌道部材とが一体となって外され、下側軌道部材と分離するという問題があった。これにより、ショックアブソーバの交換において、再度軸受を組み付ける作業が必要となり、手間がかかっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、確実に軸受の分離を防止して、ショックアブソーバの交換を容易におこなうことが可能なストラット式サスペンション装置を提供することにある。
請求項1に係わる発明は、ストラット軸に内装されるショックアブソーバと、前記ショックアブソーバの外周に巻回させたコイルスプリングの上端側を支持するアッパースプリングシートと、前記ショックアブソーバの上端部の外周側に離間して配置され、車両ボデーに取り付けられるアッパーサポートと、を備え、前記アッパーサポートは、前記ショックアブソーバの外周側に配置され、略円筒状に形成された金属から成る内筒部材と、前記内筒部材と同心で前記内筒部材の外周側に配置され、略円筒状に形成された金属から成る外筒部材と、前記内筒部材と前記外筒部材の間に配置され、両部材を連結するゴム状弾性体と、前記ショックアブソーバに固定される上側軌道部材と、から構成され、前記内筒部材は、軸方向下端に径方向外方に延出する段差部と、径方向内方に延出する下側軌道輪とが形成され、前記上側軌道部材は、略円環状に形成された金属から成り、径方向外方に延出する上側軌道輪と、外周縁部に周方向に等間隔に複数の突片が形成され、前記上側軌道輪と前記下側軌道輪は対向して配置され、前記上側軌道輪と前記下側軌道輪の間に複数の転動体が介装されて成る軸受を備え、前記上側軌道部材は、前記突片を折り曲げた状態で組付けた後、前記突片の曲げを伸ばし、前記突片と前記段差部との係合により軸方向の移動を制限することを特徴とする。
上記のように構成した請求項1の発明によれば、ストラット式サスペンション装置は、上側軌道部材の突片を折り曲げた状態で組付けた後、突片の曲げを伸ばし、突片が内筒部材の段差部と係合するように組み立てられている。このように、金属から成る上側軌道部材と内筒部材とが係合しているので、確実に軸受の分離を防止することができる。これにより、軸受を分離させることなくショックアブソーバ取り外して、ショックアブソーバの交換を容易におこなうことができる。
本発明によれば、確実に軸受の分離を防止して、ショックアブソーバの交換を容易におこなうことが可能なストラット式サスペンション装置を提供することができる。
本発明のストラット式サスペンション装置の斜視図である。 本発明の実施形態に係る図1のP部の拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る玉軸受周辺の拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る上側軌道部材の断面図(a)と、A−A視図(b)である。
図1に示されるように、ストラット式サスペンション装置100は、支持メンバー1に取り付けられて車体(図示せず)の一部を支持するストラット軸2と、ストラット軸2に内装されたショックアブソーバ10と、タイヤ(図示せず)からの振動や衝撃を吸収するコイルスプリング3と、ストラット軸2の上端部に設けられ、車体とストラット軸2とを連結するアッパーサポート4とを備えている。
支持メンバー1には、車軸5と、車軸5に固定され、ホイール(図示せず)を介してタイヤが装着されるハブ6と、ハブ6と一体に固定されるブレーキディスク7と、油圧によりブレーキディスク7に圧接されるパッド(図示せず)を内部に収容したキャリパボディ8とが配置されている。
図2および図3に示されるように、ショックアブソーバ10の上端部にはロアーマウント部材19と、コイルスプリング3の上端部をストラット軸2の軸方向に支持するスプリングサポート部材18とが配置されている。ロアーマウント部材19およびスプリングサポート部材18の上面には、アッパースプリングシート20が被着されている。ロアーマウント部材19の上方には、アッパーサポート4が配置されている。
アッパーサポート4は、内筒部材としての内筒金具11と、内筒金具11と同心で外周側に配置される外筒部材としての外筒金具12とが、内筒金具11と外筒金具12の間に配置されたゴム状弾性体16によって連結された構成となっている。アッパーサポート4は、外筒金具12が、自動車のボデー200に固定されることにより、ショックアブソーバ10をボデー200に対して振動を抑制して支持するようになっている。そして、内筒金具11は、ショックアブソーバ10のピストンロッド17と玉軸受50を介して固定されている。
内筒金具11は、略円筒状のインナスリーブ30とアウタスリーブ40とが組み合わせられて構成されている。インナスリーブ30とアウタスリーブ40は、それぞれ鋼板をプレス成形することにより形成され、防錆のための表面処理が施されている。
インナスリーブ30は、軸方向中間部分に段差部34が形成されている。軸方向の上側および下側には、小径筒部33と大径筒部35が形成されている。軸方向上端部には、かしめ部31,32が形成されている。軸方向下端部には、大径筒部35の下端部から径方向内方に延出して、玉軸受50の下側軌道輪36が形成されている。下側軌道輪36は、アッパースプリングシート20の上面に当接している。従って、アッパーサポート4とアッパースプリングシート20との間の隙間は密封されている。
アウタスリーブ40は、インナスリーブ30よりも軸方向に短く、一回り大径の円筒状に形成されている。軸方向中間部分には、段差部44が形成されている。軸方向の上側および下側に小径筒部43と大径筒部45が形成されている。大径筒部45は、段差部44からインナスリーブ30と離れ、径方向外方に向かって拡径されてスカート状に広がっている。
インナスリーブ30とアウタスリーブ40は、それぞれの小径筒部33,43が相互に密着した状態で固定されている。アウタスリーブ40の軸方向上端部は、インナスリーブ30のかしめ部32に、かしめられて固定されている。インナスリーブ30の軸方向上端部のかしめ部31には、円環状に形成された上側ストッパプレート49の内周縁部がかしめられて固定されている。
外筒金具12は、鋼板をプレス成形することにより形成されている。外筒金具12は、内筒金具11のアウタスリーブ40よりも大径の円筒部55と、円筒部55の軸方向中間部分から径方向外方に広がる環状の取付部58とが一体的に形成されている。円筒部55は、軸方向下方に向かって拡径されるテーパ形状となっている。また円筒部55には、軸方向上端部で折り返されて肩部56が形成されている。肩部56は円筒部56の外周面に重ね合わせられて二重構造となっている。さらに、肩部56は円筒部55の軸方向中間部分で径方向外方に折り曲げられ、径方向外方に広がる環状に取付部58が一体的に形成されている。取付部58の外周縁部は、下方に折り曲げられた補強部59が一体的に形成されている。取付部58には、複数箇所にボルト98が設けられている。
内筒金具11と外筒金具12は同心に配置され、内筒金具11を構成するアウタスリーブ40の外周面と、外筒金具12の円筒部55の内周面との間にゴム状弾性体16が介装され、連結している。
ゴム状弾性体16は、厚肉の筒状に形成され、その内周面がアウタスリーブ40に加硫接着されるとともに、その外周面が外筒金具12の円筒部55の内周面に加硫接着され、加硫成形品として一体的に形成されている。外筒金具12の肩部56の軸方向上側の端面には、軸方向上方に向かって突出する緩衝部64が、ゴム状弾性体16と一体的に形成されている。
これにより、内筒金具11と外筒金具12に軸方向の大きな荷重が入力された場合、上方向には、上側ストッパプレート49と外筒金具12の上側に位置するゴム状弾性体16の緩衝部64とが当接して移動が制限される。また、下方向には、下側ストッパプレート46とゴム状弾性体16との当接して移動が制限される。このように、内筒金具11と外筒金具12の軸方向の相対的な変位が制限されている。
内筒金具11の軸方向上端の開口部は、キャップ90が装着されている。キャップ90は、ゴム状弾性体等からなり、有底筒状に形成され、筒状部91がインナスリーブ30の小径筒部33に内嵌されている。また、鍔部92は、上側ストッパプレート49の上面に当接し、内筒金具11の内部空間を密封している。
上側軌道部材13は、図4に示すように、鋼板のプレス加工により略円環状に形成されている。上側軌道部材13は、内周縁部に軸方向に平行な筒部23と、筒部23の上端で折り曲げられ、径方向外方に延出して上側軌道輪22が形成されている。また、外周縁部に周方向に等間隔に8個の突片21が形成されている。
図2および図3に示すように、上側軌道部材13は、筒部23がショックアブソーバ10のピストンロッド17に固定されるととともに、上側軌道輪13が下側軌道輪36に対向して配置されている。従って、上側軌道部材13はピストンロッド17と一体に回転可能に支持されている。
上側軌道部材13の突片21は、上方に曲げられた状態でショックアブソーバ10に圧入し、ナット70を締結した後、突片21aに示すように曲げを延ばして、インナスリーブ30の段差部34にまで延出させている。
玉軸受50は、上側軌道部材13に形成された上側軌道輪22と、内筒金具11を構成するインナスリーブ30に形成された下側軌道輪36と、上側軌道輪22と下側軌道輪36との間に介装された複数の転動体としての玉51とにより構成されている。
図2に示されるように、本実施形態のストラット式サスペンション装置は、自動車への装着において、ナット70を締結することにより、アッパーサポート4を玉軸受50を介してショックアブソーバ10のピストンロッド17に固定している。言いかえると、アッパーサポート4は、玉軸受50を介してショックアブソーバ10を回転可能に支持している。
ショックアブソーバ10のピストンロッド17の先端部分には、アッパースプリングシート20が配置されている。アッパースプリングシート20は、ロアーマウント部材19およびスプリングサポート部材18の上面に被着されている。
スプリングサポート部材18は、コイルスプリング3の上端部を支持している。コイルスプリング3の下端部は、ショックアブソーバ10のシリンダ(図示せず)に取り付けられている。これにより、コイルスプリング3は、ショックアブソーバ10のシリンダとピストンロッド17の間に軸方向の付勢力を与えて装着されている。そして、ショックアブソーバ10のピストンロッド17が、玉軸受50を介して、アッパーサポート4の内筒金具11に取り付けられている。
一方、アッパーサポート4の外筒金具12の取付部58が、装着用孔84の周りの車体パネル86とがボルト98とナット99で連結されることにより、ボデー200とサスペンション装置100が一体に連結して固定されている。
以上のように構成されたストラット式サスペンション装置100によれば、上側軌道部材13の突片21を折り曲げた状態で組付けた後、突片21の曲げを伸ばし、突片21aが内筒金具11を構成するインナスリーブ30の段差部34と係合するように組み立てられている。このように、金属から成る上側軌道部材13と内筒金具11とが係合しているので、確実に玉軸受50の分離を防止することができる。これにより、上側軌道部材13とナット70とが固着した状態でナット70を外しても、玉軸受50を分離させることなくショックアブソーバ10取り外して、ショックアブソーバ10の交換を容易におこなうことができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態では、上側軌道部材の外周縁部に形成した突片の曲げを伸ばし、突片と段差部と係合させているが、外周縁部全体を折り曲げて形成し、この曲げを伸ばして段差部と係合させてもよい。
1:支持メンバー、 2:ストラット軸、 3:コイルスプリング、
4:アッパーサポート、 5:車軸、 6:ハブ、
7:ブレーキディスク、 8:キャリパボディ、 10:ショックアブソーバ、
11:内筒金具(内筒部材)、 12:外筒金具、 13:上側軌道部材、
16:ゴム状弾性体、 17:ピストンロッド、 18:スプリングサポート部材、
19:ロアーマウント部材、 20:アッパースプリングシート、
21,21a:突片、 22:上側軌道輪、 23:筒部、
30:インナスリーブ、 31,32:かしめ部、 33:小径筒部、
34:段差部、 35:大径筒部、 36:下側軌道輪、
40:アウタスリーブ、 43:小径筒部、 44:段差部、
45:大径筒部、 46:下側ストッパプレート、 49:上側ストッパプレート、
50:玉軸受、 51:玉(転動体)、 55:円筒部、
56:肩部、 58:取付部、 59:補強部、 64:緩衝部、
70:ナット、 84:装着用孔、 86:車体パネル、
90:キャップ、 91:筒状部、 92:鍔部、
98:ボルト、 99:ナット、 100:サスペンション装置、
200:ボデー

Claims (1)

  1. ストラット軸に内装されるショックアブソーバと、
    前記ショックアブソーバの外周に巻回させたコイルスプリングの上端側を支持するアッパースプリングシートと、
    前記ショックアブソーバの上端部の外周側に離間して配置され、車両ボデーに取り付けられるアッパーサポートと、
    を備え、
    前記アッパーサポートは、
    前記ショックアブソーバの外周側に配置され、略円筒状に形成された金属から成る内筒部材と、
    前記内筒部材と同心で前記内筒部材の外周側に配置され、略円筒状に形成された金属から成る外筒部材と、
    前記内筒部材と前記外筒部材の間に配置され、両部材を連結するゴム状弾性体と、
    前記ショックアブソーバに固定される上側軌道部材と、
    から構成され、
    前記内筒部材は、軸方向下端に径方向外方に延出する段差部と、径方向内方に延出する下側軌道輪とが形成され、
    前記上側軌道部材は、略円環状に形成された金属から成り、径方向外方に延出する上側軌道輪と、外周縁部に周方向に等間隔に複数の突片が形成され、
    前記上側軌道輪と前記下側軌道輪は対向して配置され、前記上側軌道輪と前記下側軌道輪の間に複数の転動体が介装されて成る軸受を備え、
    前記上側軌道部材は、前記突片を折り曲げた状態で組付けた後、前記突片の曲げを伸ばし、前記突片と前記段差部との係合により軸方向の移動を制限することを特徴とするストラット式サスペンション装置。
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