JP2013193075A - 淡水化システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の淡水化システムは,逆浸透膜13を用いて原水1から淡水4を得る淡水化システムS1であって,逆浸透膜13より前段に配置されて,原水1を前処理する前処理装置11と,前処理装置11に供給される原水1,前処理装置11の処理水2,逆浸透膜13から排出される濃縮水5のいずれかひとつ以上の水質特性を計測する計測手段19,20,22と,計測手段19,20,22による計測値とあらかじめ与えた目標値とに基づいて,前処理装置11の操作量を算出して制御信号を出力する制御手段23とを備え,計測手段19,20,22は,原水1中および処理水2中および濃縮水5中のうちの何れかの有機物を分離する分離手段19,20と,水質特性である当該有機物の濃度を検出する検出装置22とを有している。
【選択図】図1
Description
なお,各図を通して同一の符号は同等の構成要素を示している。
図1は本発明に係る第1実施形態の海水淡水化システムの構成模式図である。
第1実施形態の海水淡水化システムS1は,原水の海水1の混入物の除去や殺菌の前処理が行われる前処理装置11と,海水1を逆浸透処理により塩分を除いて淡水(透過水4)を得る逆浸透膜モジュール13とを備えている。
海水淡水化システムS1は,原水の海水1中または処理水中に混入する有機物の濃度を計測し,当該濃度に従って前処理装置11での前処理を制御することで逆浸透膜モジュール13の汚染を抑制するシステムである。
分離装置19,20は,それぞれ,海水1,前処理水2,濃縮水5に含有される有機物を大きさ別に篩い分けする装置である。分離装置19,20は,それぞれ樹脂の粒などが充填された分離カラムやUF膜で構成される。
つまり,分離装置19では大なる大きさの有機物が捕捉されて除去され,分離装置20では中なる大きさの有機物が捕捉されて除去される。
これらより,海水1の全有機物の濃度から,分離装置19で補足した大なる大きさの有機物の濃度および分離装置20で補足した中なる大きさの有機物の濃度を減算することにより,小なる大きさの有機物の濃度を求めることもできる。
なお,逆洗用水6はろ過水3の一部を用いてもよい。
なお,制御手段23は,説明する所定の制御が行われれば,その機能の一部をIC(Integrated Circuit),LSI(Large Scale Integration)などの回路で構成してもよく,その実施態様は限定されない。
制御手段23,入力手段24を一体に構成してもよく,例示した構成に限定されない。
なお,有機物計測装置22からの計測値と比較する入力手段24からの設定値は,他システムからのシステムによる設定値としてもよい。
海水淡水化システムS1における逆浸透膜モジュール13の前段までの運転方法を,以下説明する。
逆浸透膜モジュール13の前段までの運転(後記の(1),(2),(3))は,前記したように,制御手段23によって制御される。
本淡水化システムS1を運転する場合は,所定の頻度でこれら3ヶ所の水を切替えて測定してもよく,いずれか1つまたは2つまたは3つを測定してもよい。
また,計測数を海水1,前処理水2,濃縮水5の3つ(後記の(1),(2),(3))とすれば,より多数の情報を把握でき,より精度が高い淡水化システムS1の運転が可能になる。
切替弁18で切り替えた被計測水27が海水1の場合の制御手段23による制御は次のように行われる。
図2のS101において,制御手段23は切替弁18を海水1が流れる分岐流路15(図1参照)の側に開弁し,海水1が,分岐流路15,切替弁18を介して高圧ポンプ26により分離装置19,20に流入するとともに,有機物計測装置22に流入する。これにより,前記したように,分離装置19には海水1に含まれる相対的に大なる大きさの有機物が補足されるとともに,分離装置20には海水1に含まれる中なる大きさの有機物が補足される。
Fp=(kp0・Cp0+kp1・Cp1+R・kp2・Cp2)/(Cp0+Cp1+Cp2) (1)
式(1)に示すように,ファウリング生成能の指標Fpの算出には,各有機物濃度Cp0,Cp1,Cp2にそれぞれ重み係数kp0,kp1,kp2を乗じた項を含む算出式を用いるとよい。
なお,式(1)における(Cp0+Cp1+Cp2)による除算は,Fpを無次元化するためであり,(Cp0+Cp1+Cp2)による除算を行わなくてもよい。
VFP=d(Fp)/dt (2)
式(2)を用いて算出する(S103)。
つまり,S104では,実測による計算値Fpがファウリング生成能の稼働上限値の稼働目標値Fpt未満(正常範囲)であるか否か判定される。
(1)の有機物計測装置22での被計測水27が海水1の場合の動作(制御)に続き,被計測水27が海水1と前処理水2の場合の図3に示すフローの運転制御が行われる。
前記の(1)式と同様にして,前処理水2に対して逆浸透膜のファウリング生成能の指標Fsを算出する。
Fs=(ks0・Cs0+ks1・Cs1+R・ks2・Cs2)/(Cs0+Cs1+Cs2) (3)
なお,式(1)と同様に,式(3)を無次元化するための(Cs0+Cs1+Cs2)による除算を行わなくてもよい。
また,制御手段23は過去のFsの計算値を蓄積し,前処理水2のファウリング生成能の指標Fsの時間変化を計算してFsの増加速度VFSを,式(2)と同様にして,
VFS=d(Fs)/dt (4)
式(4)で算出する(S203)。
Fs(前処理水2の計算値)がFst(稼働目標値)以上と判定される場合(S204でNo),前処理装置11の運転強度を増加させて(S205),S201に移行し,再び水質測定に戻る。
(2)の運転制御に続き,図4に示すフローによる被計測水27が前処理水2と濃縮水17の場合の制御が行われる。
ΔCs=Cb×(1−R)=Cs×(1−f) (5)
∴ Cb/Cs=(1−f)/(1−R)
∴ f=1−Cb(1−R)/Cs (6)
そして,減少率f0〜f2の全てが減少率上限値f0h,f1h,f2h(fh)未満であるか否か判定する(S304)。
前記(1)のみ,または(2)の前処理水のみを分析してもよい。この場合,切替弁18は不要である。
分離装置19,20は,MF膜やUF膜を用いることができ,例示した2段以外の1段でも3段以上でもよい。複数段の分離装置を用いる場合は,各分離装置のろ液の有機物濃度を測定して差分をその分離装置の分画量(分離する分子の大きさ)としてもよい。
有機物計測装置22は,水中に含まれる有機物の量を示すTOC(Total Organic Carbon:全有機炭素),糖などの分析装置を用いるとよい。
このように,第1実施形態の構成を採ることで,逆浸透膜モジュール13の逆浸透膜の付着物による圧力抵抗増加を緩和し,逆浸透膜の洗浄頻度を低減する,或いは交換までの使用期間を伸張するような運転を実現できる。
そのため,逆浸透膜モジュール13の逆浸透膜の洗浄頻度を低減する,或いは交換までの使用期間を伸張するような運転を実現することで,コスト低減を図ることができる。
さらに,薬剤の使用を抑制できるので薬剤の廃棄量を低減でき,環境汚染を軽減できる。
また,リアルタイムで海水淡水化システムS1の原水(海水1)、処理水の状態を把握できるので、原水(海水1)の状況にリアルタイムに応じた海水淡水化システムS1の制御が可能になる。
図5に示す第2実施形態の海水淡水化システムS2は,分離装置19のろ液19rを有機物計測装置22により分析する構成としたものである。
これ以外の構成は,第1実施形態と同様であるから,同一の構成要素には同一の符号を付して示し,詳細な説明は省略する。
また,第1実施形態に比べ,装置構成が削減されるので,コスト低減を図れる。
なお,第1実施形態の構成に代替して,第1実施形態で説明した海水1の各有機物濃度Cp0,Cp1,Cp2に,それぞれ海水1中の相対的に大・中・小なる有機物の濃度を割り当て,また,前処理水2の有機物濃度Cs0,Cs1,Cs2に,それぞれ前処理水2中の相対的に大・中・小なる有機物の濃度を割り当て,また,濃縮水5の有機物濃度Cb0,Cb1,Cb2に,それぞれ濃縮水5中の相対的に大・中・小なる有機物の濃度を割り当てるように構成してもよい。なお、大・中・小なる有機物の濃度を求める場合には、有機物計測装置22での各有機物の計測値の差分をとることで、それぞれ大・中・小なる有機物の濃度を求めることができる。
2 前処理水(処理水)
4 透過水(淡水)
5 濃縮水
11 前処理装置
13 逆浸透膜モジュール(逆浸透膜,逆浸透膜面)
19 分離装置(計測手段,分離手段)
20 分離装置(計測手段,分離手段)
22 有機物計測装置(計測手段,検出装置)
23 制御手段
S1,S2 海水淡水化システム(淡水化システム)
Claims (7)
- 逆浸透膜を用いて原水から淡水を得る淡水化システムであって,
前記逆浸透膜より前段に配置されて,前記原水を前処理する前処理装置と,
前記前処理装置に供給される原水,前記前処理装置の処理水,前記逆浸透膜から排出される濃縮水のいずれかひとつ以上の水質特性を計測する計測手段と,
前記計測手段による計測値とあらかじめ与えた目標値とに基づいて,前記前処理装置の操作量を算出して制御信号を出力する制御手段とを備え,
前記計測手段は,
前記原水中および前記処理水中および前記濃縮水中のうちの何れかの有機物を分離する分離手段と,前記水質特性である当該有機物の濃度を検出する検出装置とを有する
ことを特徴とする淡水化システム。 - 請求項1に記載の淡水化システムにおいて,
前記分離手段は,前記有機物をその大きさで分離する
ことを特徴とする淡水化システム。 - 請求項1または請求項2に記載の淡水化システムにおいて,
前記制御手段は,前記計測手段による前記有機物の濃度の計測値から求められ,前記前処理装置の処理水の前記逆浸透膜に付着物を形成する能力を示す指標に基づいて,前記前処理装置の操作量を算出する
ことを特徴とする淡水化システム。 - 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の淡水化システムにおいて,
前記分離手段は,前記有機物を1kDaから1μmの範囲の大きさで分離する機能を備える
ことを特徴とする淡水化システム。 - 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の淡水化システムにおいて,
前記分離手段は,大きさが1kDa以下の有機物を除去する機能を備える
ことを特徴とする淡水化システム。 - 請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の淡水化システムにおいて,
前記分離手段は,有機物を濃縮する機能を備える
ことを特徴とする淡水化システム。 - 請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の淡水化システムにおいて,
前記制御手段は,前記前処理装置の処理水と前記逆浸透膜の濃縮水との有機物濃度の差に基づいて前記前処理装置の操作量を算出する
ことを特徴とする淡水化システム。
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