JP2013191971A - 伝送線路、及び、伝送線路の設計方法 - Google Patents

伝送線路、及び、伝送線路の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電気信号を伝送する信号線から放射される放射ノイズを低減することが可能な伝送線路を提供する。
【解決手段】 伝送線路1は、複数の信号線11が平面状に束ねられ、帯状に形成されたフラットケーブル21と、該フラットケーブル21を覆うシールド部材31とを備えている。フラットケーブル21は、端部から、低減したいノイズの半波長(λ/2)の位置で、直角に折り曲げられている。低減したいノイズの半波長の位置は、伝送される電気信号の基本波の周波数に応じて設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気信号を伝送する信号線を有する伝送線路、及び、該伝送線路の設計方法に関する。
従来から、電子機器間や電子機器の内部で電気信号を伝送するケーブルやプリント配線等の伝送線路から放出される電磁ノイズを低減させることが求められている。ここで、特許文献1には、高周波領域において電磁ノイズの発生量が少なく、かつ良好な信号伝送特性を持つシールド付き伝送線路が開示されている。より具体的には、特許文献1記載のシールド付き伝送線路は、導体線(信号線)と絶縁体と複数のシールド導体とが順次形成されたシールド付き伝送線路であり、該複数のシールド導体が、導電率が異なる二種類以上の導体材料によって構成され、かつ、高導電率材料からなるシールド導体が信号線側に配置され、低導電率材料からなるシールド導体が表皮側に配置されている。また、低導電材料からなるシールド導体の厚さが、高導電率材料からなるシールド導体の厚さよりも薄くなるように設定されている。
ここで、シールド導体を流れる不要電流の高周波成分は、表皮側のシールド導体表面に集中して流れる。そのため、特許文献1記載のシールド付き伝送線路は、表皮側のシールド導体の表面に、高周波電流層の厚さよりも厚い高損失導体層(低導電率材料からなるシールド導体)を設けることにより、不要電流の高周波成分を減衰させている。
特開2009−181804号公報
上述したように、このシールド付き伝送線路によれば、シールド上を流れる不要電流による不要電磁界(放射ノイズ)の発生を抑制することができる。しかしながら、このシールド付き伝送線路では、信号線自体から放出される放射ノイズの低減に関しては考慮されておらず、よって、信号線自体から放出される放射ノイズは低減することができない。また、上述したシールド構成を採用したとしても、実際には、信号線から放出される放射ノイズを完全に閉じ込めることは困難である。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、電気信号を伝送する信号線から放射される放射ノイズを低減することが可能な伝送線路及び該伝送線路の設計方法を提供することを目的とする。
本発明に係る伝送線路は、電気信号を伝送する信号線を有する伝送線路であって、信号線が、端部から、低減したいノイズの半波長の位置で折り曲げられていることを特徴とする。
また、本発明に係る伝送線路の設計方法は、電気信号を伝送する信号線を有する伝送線路の設計方法であって、信号線を、端部から、低減したいノイズの半波長の位置で折り曲げることを特徴とする。
本発明に係る伝送線路又は伝送線路の設計方法によれば、信号線が、端部からノイズの半波長(λ/2)の位置で折り曲げられる。そのため、この折り曲げ箇所において近傍の電界分布が変化し、強く出ていた電界と逆相の電界とがお互いに弱め合うことにより近傍電界が低減される。よって、信号線から放射される放射ノイズを低減することが可能となる。なお、伝送線路には、例えば、各種ケーブル及び平面型伝送路(配線パターン、ストリップライン、マイクロストリップライン)等が含まれる。
本発明に係る伝送線路では、信号線が、端部から、低減したいノイズの半波長の整数倍の位置毎に複数回折り曲げられていることが好ましい。
また、本発明に係る伝送線路の設計方法では、信号線を、端部から、低減したいノイズの半波長の整数倍の位置毎に複数回折り曲げることが好ましい。
この場合、信号線が、端部からノイズの半波長(λ/2)の整数倍の位置毎に折り曲げられる。そのため、複数の折り曲げ箇所それぞれにおいて、上述したように、電界がお互いに弱め合うことにより近傍電界が低減される。よって、信号線から放出される放射ノイズをより低減することが可能となる。
本発明に係る伝送線路では、低減したいノイズの半波長の位置が、電気信号の基本波の周波数に応じて設定されることが好ましい。
また、本発明に係る伝送線路の設計方法では、低減したいノイズの半波長の位置を、電気信号の基本波の周波数に応じて設定することが好ましい。
ところで、ノイズは、基本波の周波数の2倍、4倍、・・・という周波数で強く出やすい(高調波)。よって、この場合、ノイズが強く出る周波数の波長に応じて(すなわちその波長の二分の一の位置で)信号線が折り曲げられるため、効果的に放射ノイズを低減することが可能となる。
本発明に係る伝送線路では、信号線が、シールド部材で覆われていることが好ましい。
また、本発明に係る伝送線路の設計方法では、信号線を、シールド部材で覆うことが好ましい。
この場合、通常のシールド効果に加え、折り曲げ部においてシールド部材が隙間を空けて重なることにより、シールド部材間に容量成分が形成される。ここで、伝送線路の容量が大きくなると、インピーダンスが小さくなり、ノイズの反射係数が負になる(すなわち反射が負になる)。そのため、ノイズが逆相で反射されることとなる。その結果、反射されたノイズにより生じた電界によって電界が打ち消し合うことにより近傍電界が低減されるため、信号線から放出される放射ノイズをより低減することが可能となる。
本発明に係る伝送線路では、信号線の折り曲げ角度が、90°であることが好ましい。
また、本発明に係る伝送線路の設計方法では、信号線の折り曲げ角度を、90°に設定することが好ましい。
この場合、折り曲げ角度が90°よりも小さい場合と比較して、折り曲げ部で反射されるノイズの量が多くなるため、電界がお互いに弱め合う程度が増し、放射ノイズの低減効果をより増大させることが可能となる。
本発明に係る伝送線路では、上記信号線が、複数の信号線が帯状に束ねられたフラットケーブルであることが好ましい。
また、本発明に係る伝送線路の設計方法では、上記信号線が、複数の信号線が帯状に束ねられたフラットケーブルであることが好ましい。
この場合、折り曲げ部においてフラットケーブル内の信号線が隙間を空けて交差することにより、信号線間に容量成分が形成される。上述したように、伝送線路の容量が大きくなると、インピーダンスが小さくなり、ノイズの反射係数が負になる(すなわち反射が負になる)。そのため、ノイズが逆相で反射されることとなる。その結果、反射されたノイズにより生じた電界によって電界が打ち消し合うことにより近傍電界が低減されるため、放射ノイズをより低減することが可能となる。
本発明によれば、電気信号を伝送する信号線から放射される放射ノイズを低減することが可能となる。
第1実施形態に係る伝送線路の構成を示す平面図である。 伝送線路近傍の電界分布を測定する測定システム(電界分布評価システム)の構成を示す図である。 比較例に係る直線状の伝送線路近傍の電界分布を示す図である。 第1実施形態に係る伝送線路近傍の電界分布を示す図である。 第2実施形態に係る伝送線路の構成を示す平面図である。 第2実施形態に係る伝送線路近傍の電界分布を示す図である。 第3実施形態に係る伝送線路の構成を示す平面図である。 第4実施形態に係る伝送線路の構成を示す平面図である。 第5実施形態に係る伝送線路の構成を示す平面図である。 第6実施形態に係る伝送線路の構成を示す平面図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、図1を用いて、第1実施形態に係る伝送線路1の構成について説明する。図1は、伝送線路1の構成を示す平面図である。なお、ここでは、伝送線路としてフラットケーブルを用いた場合を例にして説明する。
伝送線路1は、電子機器間や電子機器の内部で電気信号(特に高周波信号)を伝送するものであり、例えば、絶縁性の樹脂被膜等で被覆された導線(特許請求の範囲に記載の信号線に相当、以下「信号線」ともいう)11が複数(本実施形態では21本(なお図1では一部の信号線11を省略して示した))、平面状に束ねられて、帯状に形成されたフラットケーブル21を備えている。
また、伝送線路1は、フラットケーブル21全体を覆うように形成された、例えば金属の薄膜などから成るシールド部材31を備えている。さらに、伝送線路1(フラットケーブル21)の両端部には、コネクタ40,40が、例えば圧着されて取り付けられている。
伝送線路1は、コネクタ40との接続部、すなわちフラットケーブル11の端部から、低減したいノイズの半波長(λ/2)の位置(すなわち波の山の部分)で折り曲げられている。
ここで、低減したいノイズの半波長の位置は、伝送線路1を伝わる電気信号の基本波の周波数(又はビットレート)に応じて設定される。より具体的には、例えば、データ伝送周波数が1.5GHz(3.0Gbps)の場合には、ノイズは、2倍(3.0GHz)、4倍(6.0GHz)、・・・の高調波のところに出てくる。そこで、特に強く出てくる3.0GHz(二次高調波)のノイズを低減する場合には、ノイズの波長λが10cmとなるため、ノイズの波長λの1/2の位置、すなわちフラットケーブル11の端部から5cmの位置で伝送線路1が折り曲げられる。なお、本実施形態では、伝送線路1の折り曲げ角度を90°とした。
上述したように構成される伝送線路1は、伝送する電気信号の基本波の周波数(又はビットレート)に応じて、低減したいノイズの半波長(λ/2)の長さを求め、シールド部材31で覆われたフラットケーブル21を、端部から、求められた長さの位置(例えば電気信号の基本波の周波数が3GHzであり、低減したいノイズの波長λが10cmであれば、端部から5cmの位置)で90°の角度で折り曲げるように設計し、製造することができる。
このような構成とされることにより、伝送線路1(フラットケーブル21)の折り曲げ箇所21aにおいて近傍の電界分布が変化し、強く出ていた電界と逆相の電界とがお互いに弱め合うことにより、信号線11(フラットケーブル21)に定在波として観測される近傍電界が低減される。また、信号線11(フラットケーブル21)を流れるノイズが折り曲げ箇所21aで反射され、反射されたノイズにより生じた電界によって電界が打ち消し合うことにより近傍電界が低減される。これらの結果、信号線11(フラットケーブル21)から放出される放射ノイズが低減される。
続いて、図2〜4を併せて用いて、本実施形態に係る伝送線路1及び比較用の伝送線路(比較例)110それぞれのノイズ低減効果について、測定結果を示して説明する。ここでは、比較用の伝送線路(比較例)110として、折り曲げられていない直線状の伝送線路を用いた。
そして、それぞれの近傍電界分布を測定し、折り曲げ部21aの有無によるノイズ低減効果を評価した。なお、図2は、伝送線路近傍の電界分布を測定する測定システム(電界分布評価システム)100の構成を示す図である。また、図3は、比較例に係る直線状の伝送線路110近傍の電界分布を示す図であり、図4は、本実施形態に係る伝送線路1近傍の電界分布を示す図である。ただし、この測定では、伝送線路1の折り曲げ位置を、端部からノイズの半波長(λ/2)の位置ではなく一波長(λ)の位置に変更した。すなわち、伝送線路1を端部(コネクタ40)から一波長(λ)の位置で折り曲げた。その理由は、ノイズの半波長(λ/2)の位置に強く出る定在波が、伝送線路1を折り曲げることで低減される効果を明確に観測するためである。
まず、図2を参照しつつ、電界分布の測定システム100の構成について説明する。図2に示されるように、近傍電磁界測定装置であるEMIテスタ101(日立ディスプレイズ製)内に評価基板102がセットされ、この評価基板102に伝送線路1(又は比較例に係る伝送線路110)が接続される。また、伝送線路1(又は比較例に係る伝送線路110)の上方2cmの位置に、非接触型電界プローブ103(村田製作所製)がセットされる。この非接触型電界プローブ103は、検出信号を増幅するためのアンプ104(8449B Agilent製)を介して、スペクトルアナライザ105(FSU Rohde & Schwarz製)に接続されている。
このように接続された状態で、伝送線路1(又は比較例に係る伝送線路110)に、周波数が1.5GHzの信号を入力して伝送させ、そのときの近傍の電界(伝送線路1の上方2cmの位置での電界)を測定した。この場合、測定周波数は、信号の2倍の高調波である3GHz±30MHzとした。
比較例に係る伝送線路110の近傍電界の測定結果(電界分布)を図3に示す。また、伝送線路1の近傍電界の測定結果(電界分布)を図4に示す。図3に示されるように、比較例に係る伝送線路110、すなわち直線状の伝送線路110では、電界強度の最大値は、62(dBμV)であった。一方、図4に示されるように、本実施形態に係る伝送線路1では、電界強度の最大値は、56(dBμV)であった。この結果から、本実施形態に係る伝送線路1によれば、比較例に係る伝送線路110と比べて、近傍電界(放射ノイズ)を6dB低減できることが確認できた。
また、折り曲げ角度を変えて伝送線路1近傍の電界強度を測定し、折り曲げ角度と電界強度(ノイズ低減効果)との関係を評価した。測定の結果、折り曲げ角度が0°の場合には、最大電界強度が72.2(dBμV)であった。また、折り曲げ角度が30°の場合には、最大電界強度が70.8(dBμV)であり、折り曲げ角度が45°の場合には、最大電界強度が67.9(dBμV)であった。さらに、折り曲げ角度が90°の場合には、最大電界強度が66.4(dBμV)であった。これらの測定結果から、折り曲げ角度が大きくなるに従って、電界強度が小さくなることが確認された。また、測定結果から、折り曲げ角度が90°(本実施形態)の場合に最も電界強度が小さくなり、最もノイズ低減効果が大きいことが確認された。
以上、本実施形態によれば、信号線11(フラットケーブル21)が、端部からノイズの半波長(λ/2)の位置(定在波の山の部分)で折り曲げられる。そのため、この折り曲げ箇所21aにおいて近傍の電界分布が変化し、強く出ていた電界と逆相の電界とがお互いに弱め合うことにより、信号線11(フラットケーブル21)に定在波として観測される近傍電界が低減される。よって、信号線11(フラットケーブル21)から放射される放射ノイズを低減することが可能となる。その結果、例えば、近傍に配置された他の伝送線路や電子回路に対する不要ノイズやクロストーク等が低減される。
特に、本実施形態によれば、信号線11(フラットケーブル21)がシールド部材31で覆われているため、通常のシールド効果に加え、折り曲げ部21aにおいてシールド部材31が隙間を空けて重なることにより、シールド部材31間に容量成分が形成される。ここで、伝送線路1の容量が大きくなると、インピーダンスが小さくなり、ノイズの反射係数が負になる(すなわち反射が負になる)。そのため、ノイズが逆相で反射されることとなる。その結果、反射されたノイズにより生じた電界によって電界がキャンセルされることにより近傍電界が低減されるため、信号線11(フラットケーブル21)から放出される放射ノイズをより低減することが可能となる。
また、本実施形態によれば、信号線11が帯状に束ねられたフラットケーブル21が折り曲げられることにより、折り曲げ部21aにおいてフラットケーブル21内の信号線11が隙間を空けて交差することにより、当該信号線11間に容量成分が形成される。上述したように、伝送線路1の容量が大きくなると、インピーダンスが小さくなり、ノイズの反射係数が負になる(すなわち反射が負になる)。そのため、ノイズが逆相で反射されることとなり、ノイズが互いに打ち消し合うため、放射ノイズをより低減することが可能となる。
本実施形態によれば、低減したいノイズの半波長の位置が、電気信号の基本波の周波数に応じて設定される。そのため、ノイズが強く出る高調波の周波数の波長に応じて(すなわちその波長の二分の一の位置で)信号線11を折り曲げることができるため、効果的に放射ノイズを低減することが可能となる。
本実施形態によれば、信号線11の折り曲げ角度が90°であるため、折り曲げ角度が90°よりも小さい場合と比較して、折り曲げ部21aで反射されるノイズの量が多くなり、放射ノイズの低減効果をより増大させることが可能となる。
(第2実施形態)
上記実施形態では、伝送線路1を、端部から低減したいノイズの半波長(λ/2)の位置で1度だけ折り曲げたが、折り曲げ回数は1度には限られない。そこで、次に、図5を参照しつつ、第2実施形態に係る伝送線路2について説明する。図5は、伝送線路2の構成を示す平面図である。なお、図5において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
伝送線路2は、シールド部材31で覆われたフラットケーブル21が2箇所で折り曲げられている点で、上述した伝送線路1と異なっている。より具体的には、伝送線路2では、シールド部材31で覆われたフラットケーブル21が、端部から、低減したいノイズの半波長(λ/2)の位置21aと、その2倍に当たる一波長(λ)の位置22aとで2回折り曲げられている。その他の構成は、上述した伝送線路1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
伝送線路2についても、上述した電界分布測定システム(電界分布評価システム)100を用いて近傍電界分布を測定し、折り曲げ回数を増やすことによるノイズ低減効果を評価した。なお、近傍電界の測定方法は上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。また、上述した理由と同様の理由、すなわち、ノイズの半波長(λ/2)の位置に強く出る定在波が、伝送線路の折り曲げ回数を増やすことで低減されることを明確に観測するために、伝送線路2の折り曲げ位置を、半波長(λ/2)分ずらした。より具体的には、伝送線路2の折り曲げ位置を、端部から一波長(λ)の位置、及び二分の三波長(3λ/2)の位置に変更した。
伝送線路2の近傍電界の測定結果(電界分布)を図6に示す。図6に示されるように、本実施形態に係る伝送線路2では、電界強度の最大値は、54(dBμV/m)であった。よって、伝送線路2によれば、上述した比較例に係る伝送線路110と比べて、近傍電界を8dB低減できることが確認できた。また、伝送線路2によれば、上述した伝送線路1と比べても、近傍電界を2dB低減できることが確認できた。すなわち、伝送線路2の折り曲げ回数を増やすことにより、近傍電界(放射ノイズ)をより低減できることが確認できた。
本実施形態によれば、信号線11(フラットケーブル21)が、端部から、低減したいノイズの半波長(λ/2)の位置21aと、その倍に当たる一波長(λ)の位置22aとで2回折り曲げられため、2箇所の折り曲げ部21a,22aそれぞれにおいて、上述したように、電界がお互いに弱め合うことにより近傍電界が低減される。よって、信号線11(フラットケーブル21)から放出される放射ノイズをより低減することが可能となる。
(第3実施形態)
ところで、伝送線路1の折り曲げ部21aの形態は上述した第1実施形態の形態には限られない。すなわち、上述した第1実施形態に係る伝送線路1では、平面視した場合に、折り曲げ部21aにおいて、フラットケーブル21の複数の信号線11が交差するように折り曲げられていたが、当該複数の信号線11が交差しないように複数の信号線を屈曲形成してもよい。そこで、次に、図7を参照しつつ、第3実施形態に係る伝送線路3について説明する。図7は、伝送線路3の構成を示す平面図である。なお、図7において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
図7に示されるように、伝送線路3では、折り曲げ部23aにおいて、複数の信号線13が、互いに所定の間隔を空けて平行に配置されるように(すなわち、平面視した場合に交差しないように)、二次元平面内で屈曲形成されている。なお、複数の信号線13の屈曲角度は90°とした。その他の構成は、上述した伝送線路1と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態によっても、上述した第1実施形態に係る伝送線路1と略同等の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、複数の信号線13が屈曲形成されるため、フラットケーブルを折り曲げる必要がなくなる。
(第4実施形態)
同様にして、上述した第2実施形態に係る伝送線路2の折り曲げ部21a,22aを、上記第3実施形態に係る伝送線路3の屈曲部23aのように形成してもよい。すなわち、図8に示されるように、伝送線路4では、2箇所の折り曲げ部23a,24aそれぞれにおいて、複数の信号線14が、互いに所定の間隔を空けて平行に配置されるように(すなわち、平面視した場合に交差しないように)、二次元平面内で屈曲形成されている。なお、複数の信号線14の屈曲角度は90°とした。その他の構成は、上述した伝送線路3と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、上述した第2実施形態に係る伝送線路2と略同等の効果を奏することができる。また、本実施形態によれば、複数の信号線14が屈曲形成されるため、フラットケーブルを折り曲げる必要がなくなる。
(第5実施形態)
上記第2実施形態では、信号線11(フラットケーブル21)を、端部から、低減したいノイズの半波長(λ/2)の位置21a及び一波長(λ)の位置22aで2度折り曲げたが、3回以上折り曲げる構成としてもよい。そこで、次に、図9を参照しつつ、第5実施形態に係る伝送線路5について説明する。図9は、伝送線路5の構成を示す平面図である。なお、図5において第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
伝送線路5は、複数の信号線11(フラットケーブル21)が、端部から、低減したいノイズの半波長(λ/2)の整数倍の位置毎に複数回(図9では8回)折り曲げられ、所謂ミアンダ状に形成されている点で上述した伝送線路2と異なっている。その他の構成は、上述した伝送線路2と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、折り曲げ回数をさらに増やすことにより、上述した第2実施形態に係る伝送線路2と比べて、同等以上のノイズ低減効果を奏することが可能となる。なお、折り曲げ部21a,22a,25aの形態は、上記第3,4実施形態で示したような形態(すなわち信号線が交差しない形態)であってもよい。
(第6実施形態)
上述した第5実施形態では、シールド部材31も信号線11(フラットケーブル21)に合わせてミアンダ状に折り曲げたが、図10に示されるように、ミアンダ状に形成された複数の信号線11(フラットケーブル21)全体を、帯状に形成されたシールド部材36で覆う構成としてもよい。なお、その他の構成は、上述した伝送線路5と同一又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、上述した第5実施形態に係る伝送線路2と同等の効果を奏することができる。なお、折り曲げ部21a,22a,26aの形態は、上記第3,4実施形態で示したような形態(すなわち信号線が交差しない形態)であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、伝送線路として21pinのフラットケーブルを例にして説明したが、上述したフラットケーブルに代えて、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルやHDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブル等の各種ケーブルや、平面型伝送路(配線パターン、ストリップライン、マイクロストリップライン)等に適用することもできる。
1,2,3,4,5,6 伝送線路
11,13,14 信号線
21,23,24 フラットケーブル
21a,22a,23a,24a,25a,26a 折り曲げ部
31,33,34,36 シールド部材
40 コネクタ

Claims (12)

  1. 電気信号を伝送する信号線を有する伝送線路であって、
    前記信号線は、端部から、低減したいノイズの半波長の位置で折り曲げられていることを特徴とする伝送線路。
  2. 前記信号線は、端部から、低減したいノイズの半波長の整数倍の位置毎に複数回折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の伝送線路。
  3. 前記低減したいノイズの半波長の位置は、前記電気信号の基本波の周波数に応じて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送線路。
  4. 前記信号線は、シールド部材で覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝送線路。
  5. 前記信号線の折り曲げ角度は、90°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝送線路。
  6. 前記信号線は、複数の信号線が帯状に束ねられたフラットケーブルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の伝送線路。
  7. 電気信号を伝送する信号線を有する伝送線路の設計方法であって、
    前記信号線を、端部から、低減したいノイズの半波長の位置で折り曲げることを特徴とする伝送線路の設計方法。
  8. 前記信号線を、端部から、低減したいノイズの半波長の整数倍の位置毎に複数回折り曲げることを特徴とする請求項7に記載の伝送線路の設計方法。
  9. 前記低減したいノイズの半波長の位置を、前記電気信号の基本波の周波数に応じて設定することを特徴とする請求項7又は8に記載の伝送線路の設計方法。
  10. 前記信号線を、シールド部材で覆うことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の伝送線路の設計方法。
  11. 前記信号線の折り曲げ角度を、90°に設定することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の伝送線路の設計方法。
  12. 前記信号線は、複数の信号線が帯状に束ねられたフラットケーブルであることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の伝送線路の設計方法。
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