JP2013191673A - フレキシブル太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】フレキシブル太陽電池モジュールの軽量でありかつ可撓性を有するという特長を損なわずに耐燃性を向上する。
【解決手段】フレキシブル太陽電池モジュール10は、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる太陽電池セル1と、この太陽電池セル1の受光面側の保護層は、太陽電池セル1側から、第一の封止材層2aと、表面側中間保護層3aと、第二の封止材層2bと、表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、第三の封止材層5と、裏面保護層6がこの順で積層されていて、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bと、第三の封止材層5との合計の厚さが700μm以下となるようにして封止する。
【選択図】図1
【解決手段】フレキシブル太陽電池モジュール10は、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる太陽電池セル1と、この太陽電池セル1の受光面側の保護層は、太陽電池セル1側から、第一の封止材層2aと、表面側中間保護層3aと、第二の封止材層2bと、表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、第三の封止材層5と、裏面保護層6がこの順で積層されていて、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bと、第三の封止材層5との合計の厚さが700μm以下となるようにして封止する。
【選択図】図1
Description
本発明は太陽電池モジュールに関し、さらに詳しくは、薄膜光電変換素子(太陽電池セル)を積層形成する基板に可撓性を有する金属薄板や合成樹脂フィルムを用いたフレキシブル太陽電池モジュールに関するものである。
太陽電池モジュールは屋外に設置されるため、屋外の環境に耐える耐候性が必要である。耐候性としては、太陽光に対する耐光性や、耐熱性、難燃性などがある。
特に、可撓性を有する太陽電池の場合は、表面保護部材として、ガラスを用いる代わりに、フッ素化樹脂シートを用いる場合が多い。
特に、可撓性を有する太陽電池の場合は、表面保護部材として、ガラスを用いる代わりに、フッ素化樹脂シートを用いる場合が多い。
例えば、特許文献1には、厚さ50μmのETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)フィルムやPVF(ポリフッ化ビニル)フィルム等のフッ素化樹脂フィルムであるフッ化物重合体の薄膜層と、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)やブララール樹脂等の熱可塑性透明有機樹脂からなる表面充填材と、光起電力素子と、絶縁体層で構成する太陽電池モジュールが記載されており、ここで、EVAの燃焼熱が非常に高いため、EVAの燃焼性を少しでも改善する為にEVAの使用量即ち、厚みを少なくする手法が取られてきたが、EVAの厚みを薄くすると機械的強度が低下し外力に対して耐性が落ちるので、難燃性を向上するために、表面充填材(接着性樹脂封止材)を、フッ素含有量が60乃至80%の多元共重合体の架橋物とすることが開示されている。
また、特許文献2には、太陽電池モジュールに難燃性を付与する目的だけであれば、封止材の厚みを薄くし、燃焼エネルギーを小さくすれば、容易に達成できることが分かっているが、この場合には、太陽電池モジュールの衝撃強度、耐傷性、電気絶縁性能の低下を招くことになるので、表面側の接着性樹脂封止材として、その一部に、ビニル基含有アルコキシシランで表面処理された粒径0.001μmから1.0μmのSiO2微粉末とアルキル化シリコーン化合物とを添加した難燃化封止材を用いることが記載されている。また、受光面側の表面保護部材として、厚さ25μmのETFEを用い、封止材シート(難燃化EVAシート)との間にガラス繊維からなるガラス不織布を挿入する構成も開示されている。
また、特許文献3には、充填材の厚さについては、表側と裏側のそれぞれを、0.4〜2mm程度とし、充填材にガラス繊維等の織布やプラスチック繊維の不織布を混入させてもよく、中間にフッ素樹脂のフィルムなどを挿入することができることが記載されている。
そして、特許文献4には、太陽電池(セル)の受光面側(光入射側)の上面にはEVAで構成された第1の保護層、その上面にETFEまたはCPFで構成された第2の保護層、その上面にはガラス不織布にEVAを充填した第3の保護層、さらにその上面にはETFEで構成された第4の保護層を設けた積層構成が記載されている。
フィルム基板を用いた太陽電池モジュールは、軽量であるため、建造物の屋根や外壁などに設置する場合に構造への負担が少なく、既存の建造物に架台等の補強工事なしで追加導入できることに加えて、可撓性を有することから、アーチ形状の屋根などの曲面に沿わせて設置することもできる。一方、太陽電池モジュールを建造物に設置する場合には、火災に対する安全性が要求される。例えば、JIS C8992−2、太陽電池モジュールの安全性適合認定・第2部:試験に関する要求事項には「火災試験、火炎伝播及び飛び火試験」が規定されている。
太陽電池モジュールのラミネートに使用される樹脂、例えば、フッ素化樹脂は難燃性樹脂材料に分類される。しかし、JISやUL規格などに規定される難燃性は、火炎に直接さらされた際に燃焼に対して抵抗する性質であって、耐火性とは異なる。また、太陽電池セルを樹脂シートでラミネートする際に用いられる封止材(接着剤)は可燃性であるため、モジュール全体としての耐燃性が低下する問題がある。
封止材(接着剤)の難燃性を向上させるため、特許文献1によると、封止材(表面充填材)が多元共重合体におけるフッ素含有量が60%未満の場合には、フッ素樹脂の持つ耐侯性を充分に発揮することができず、難燃性とすることも難しく、フッ素含有量が80%以上の場合には、光起電力素子の表面の透明電極と表面フィルムとの界面における接着力を充分とすることができず、長期間使用の途中に界面で剥離が生じて、水分が侵入し、太陽電池モジュールの信頼性を損なうことになるため、難燃性を向上させると、太陽電池モジュール内部剥離による信頼性が低下するという問題がある。
また、特許文献2のように、封止材(接着性樹脂封止材)にSiO2微粉末を添加する構成の場合、透明性を確保するためには、SiO2微粉末を均一に少なくとも1μ m 以下の粒子として分散させる必要があるが、難燃性を向上させるためには、SiO2微粉末の添加量を増加する必要があり、その結果、太陽光の透過率が低下し、太陽電池の発電効率が低下するといった問題がある。
そして、特許文献3は、充填材(封止材)の中間にフッ素樹脂のフィルムを挿入することができることの記載しかなく、特許文献4でも、第2の保護層102が、防水、防湿の役目であることが記載されているのみであり、いずれも、封止材層などの厚さや、難燃性を向上させる層構成の開示や示唆は無い。
本発明は、従来技術の上記実状に鑑みて、フレキシブル太陽電池モジュールの軽量でありかつ可撓性を有するという特長を損なわずに、さらに、信頼性や性能を損なうことが無く、耐燃性を向上することを目的としてなされたものである。
上記課題を達成するために、本発明は、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる太陽電池セル1と、この太陽電池セル1の受光面側および反受光面側に封止材としての保護層を備えたフレキシブル太陽電池モジュール10において、太陽電池セル1の受光面側の保護層は、太陽電池セル1側から、第一の封止材層2aと、表面側中間保護層3aと、第二の封止材層2bと、表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、第三の封止材層5と、裏面保護層6がこの順で積層されていて、表面側中間保護層3aと表面保護層4が、透光性を有するフッ素化樹脂,部分フッ素化樹脂,フッ素化樹脂共重合体の少なくともいずれかの材質で、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bと、第三の封止材層5が太陽電池セル1を封止するための接着性を有する樹脂材料からなり、このうち、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bは透光性も有する材質であり、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bと、第三の封止材層5との合計の厚さが700μm以下であることを特徴とする。
そして、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bと、第三の封止材層5との合計の厚さが、表面側中間保護層3aと表面保護層4との合計の厚さの14倍以下であることが良い。
さらに、第一の封止材層2aと、第二の封止材層2bと、第三の封止材層5の厚みは、それぞれ100μm以上あれば良く、表面側中間保護層3aと表面保護層4の厚さは、それぞれ25μm以上で100μm以下であることが良い。
また、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる太陽電池セル1と、この太陽電池セル1の受光面側および反受光面側に封止材としての保護層を備えたフレキシブル太陽電池モジュール11において、太陽電池セル1の受光面側の保護層は、太陽電池セル1側から、第四の封止材層2と、表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、第五の封止材層5aと、裏面側中間保護層3bと、第六の封止材層5bと、裏面保護層6がこの順で積層されていて、表面保護層4が、透光性を有するフッ素化樹脂,部分フッ素化樹脂,フッ素化樹脂共重合体の少なくともいずれかの材質で、裏面側中間保護層3bが、特に透光性は要件としないが、フッ素化樹脂,部分フッ素化樹脂,フッ素化樹脂共重合体の少なくともいずれかの材質であって、第四の封止材層2と、第五の封止材層5aと、第六の封止材層5bが太陽電池セル1を封止するための接着性を有する樹脂材料で、第四の封止材層2は透光性を有する材質とし、第四の封止材層2と、第五の封止材層5aと、第六の封止材5bとの合計の厚さが700μm以下であって、かつ、第四の封止材層2と、第五の封止材層5aと、第六の封止材層5bとの合計の厚さが、表面保護層4の厚さの14倍以下になるように構成する。
そして、第四の封止材層2と、第五の封止材層5aと、第六の封止材層5bの厚みが、それぞれ100μm以上でれば良く、表面保護層4と裏面側中間保護層3bの厚さが、それぞれ25μm以上で100μm以下であることが良い。
本発明に係る太陽電池モジュールによれば、太陽電池モジュールの表面側すなわち受光面側の封止材層中か、太陽電池モジュールの裏面側すなわち非受光面側の封止材層中のいずれかに、難燃材からなる保護層を有して、かつ、太陽電池モジュールの表面側と裏面側の封止材の厚さの合計が、700μm以下とすることで、太陽電池モジュールの耐燃性改善が図れる。
以下、本発明のいくつかの実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、各実施形態に共通または対応する構成には、共通または対応する符号を付すことで説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態のフレキシブル太陽電池モジュール10は、図1に示すように、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる発電素子の太陽電池セル1と、その受光面側には、太陽電池セル1側から、封止樹脂からなる第一の封止材層2aと、透光性難燃材である表面側中間保護層3aと、封止樹脂からなる第二の封止材層2bと、透光性難燃材である表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、第三の封止材層5と、裏面保護層6がこの順で積層されている。
本発明に係る第1実施形態のフレキシブル太陽電池モジュール10は、図1に示すように、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる発電素子の太陽電池セル1と、その受光面側には、太陽電池セル1側から、封止樹脂からなる第一の封止材層2aと、透光性難燃材である表面側中間保護層3aと、封止樹脂からなる第二の封止材層2bと、透光性難燃材である表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、第三の封止材層5と、裏面保護層6がこの順で積層されている。
先ず、太陽電池セル1のフィルム基板は、プラスチック基板として、例えば、ポリイミド系、ポリエチレンナフタレート(PEN)系、ポリエーテルサルフォン(PES)系、ポリエチレンテレフタレート(PET)系又はアラミド系のフィルムを用いることができるし、可撓性を有する金属基板(例えばステンレスやアルミ等)を用いることもできる。
また、第一の封止材層2a、第二の封止材層2b、第三の封止材層5は、ラミネートフィルムであり、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン又はポリイソブチレン等の樹脂材料からなる接着性を有しているフィルムである。
そして、透光性難燃材である表面側中間保護層3aと表面保護層4は、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂:PCTFE, CTFE)、ポリフッ化ビニリデン (PolyVinylidene DiFluoride:PVDF)、フッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル(Polyvinyl fluoride: PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)4フッ化エチレン−エチレン共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、3フッ化塩化エチレン樹脂、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)又はETFE(Ethylene tetrafluoroethylene:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)からなる部分フッ素化樹脂やフッ素化樹脂共重合体を含むフッ素化樹脂フィルムである。
また、裏面保護層6は、表面保護層4と同じ材質ものを用いても良いし、その他に、例えば、アルミ箔ラミネート1フッ素化ビニル樹脂、アルミ箔ラミネートポリエステル樹脂、PET(Polyethylene terephthalate)、PEN(Polyethylene naphthalate)、アクリル樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂コートアクリル樹脂、又はポリエステル樹脂からなるフィルムであっても良い。
そして、このような受光面側と反受光面側との積層体をラミネートして、太陽電池モジュール10を構成する。
ここで、本発明においては、第一の封止材層2a、第二の封止材層2b、第三の封止材層5の封止樹脂合計の厚みが、700μm以下であることが重要である。
ここで、本発明においては、第一の封止材層2a、第二の封止材層2b、第三の封止材層5の封止樹脂合計の厚みが、700μm以下であることが重要である。
この封止樹脂合計の厚みは、モジュールをラミネートできる厚さ以上であれば良く、例えば、それぞれ100μmで、合計が300μm以上あれば良い。
また、表面側中間保護層3aと表面保護層4は、素材のピンホールや強度による品質への影響が及ばない25μm以上で、透過性とコストの観点から、100μm以下の範囲であることが好ましい。
また、表面側中間保護層3aと表面保護層4は、素材のピンホールや強度による品質への影響が及ばない25μm以上で、透過性とコストの観点から、100μm以下の範囲であることが好ましい。
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態のフレキシブル太陽電池モジュール11は、図2に示すように、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる発電素子の太陽電池セル1と、その受光面側には、太陽電池セル1側から、封止樹脂からなる第四の封止材層2と、透光性難燃材である表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、封止樹脂からなる第五の封止材層5aと、透光性難燃材である裏面側中間保護層3bと、封止樹脂からなる第六の封止材層5bと、裏面保護層6がこの順で積層されている。
本発明に係る第2実施形態のフレキシブル太陽電池モジュール11は、図2に示すように、可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる発電素子の太陽電池セル1と、その受光面側には、太陽電池セル1側から、封止樹脂からなる第四の封止材層2と、透光性難燃材である表面保護層4をこの順で積層し、さらに、太陽電池セル1の非受光面側には、太陽電池セル1側から、封止樹脂からなる第五の封止材層5aと、透光性難燃材である裏面側中間保護層3bと、封止樹脂からなる第六の封止材層5bと、裏面保護層6がこの順で積層されている。
太陽電池セル1のフィルム基板は、第1実施形態(図1)と同一の材料基板を用いることができる。
第四の封止材層2、第五の封止材層5a、第六の封止材層5bもまた、第1実施形態(図1)の第一の封止材層2a、第二の封止材層2b、第三の封止材層5同一材料のラミネートフィルムを用いることができる。
第四の封止材層2、第五の封止材層5a、第六の封止材層5bもまた、第1実施形態(図1)の第一の封止材層2a、第二の封止材層2b、第三の封止材層5同一材料のラミネートフィルムを用いることができる。
裏面側中間保護層3bと表面保護層4も、第1実施形態(図1)の表面側中間保護層3aと表面保護層4と同一材質のフッ素化樹脂フィルムを用いることができ、また、裏面保護層6も、第1実施形態(図1)と同一の材質のフィルムを用いることができる。
そして、このような受光面側と反受光面側との積層体をラミネートして、太陽電池モジュール10を構成する。
第2実施形態においても、本発明は、第四の封止材層2、第五の封止材層5a、第六の封止材層5bの封止樹脂合計の厚みが、700μm以下であることが重要である。そして、この封止樹脂合計の厚みは、モジュールをラミネートできる厚さ以上であれば良く、例えば、それぞれ100μmで、合計が300μm以上あれば良い。
第2実施形態においても、本発明は、第四の封止材層2、第五の封止材層5a、第六の封止材層5bの封止樹脂合計の厚みが、700μm以下であることが重要である。そして、この封止樹脂合計の厚みは、モジュールをラミネートできる厚さ以上であれば良く、例えば、それぞれ100μmで、合計が300μm以上あれば良い。
太陽電池モジュールの難燃性としては、火災試験からなる火炎停止後の延焼が抑制されていることが特に重要であり、周囲から太陽電池モジュールに火の粉が飛び散った時の延焼も抑えられることが要求される。
本願発明の効果を検証するために、図3に示す火災試験による火炎停止後の延焼状態を調べる試験を実施した。
図3は、フレキシブル太陽電池モジュール10,11を、受光面から見た図であり、難燃性を有する太陽電池モジュール10,11であるかを評価する内容を、模式的に表したものである。
図3は、フレキシブル太陽電池モジュール10,11を、受光面から見た図であり、難燃性を有する太陽電池モジュール10,11であるかを評価する内容を、模式的に表したものである。
図3においては、太陽電池セル1を有する発電領域と、発電領域外の封止樹脂(封止材層2、2a、2b、5、5a、5b)と保護層(3a、3b、4、6)で構成する領域1aからなり、領域20に火種を設置し、領域21に燃焼の影響が及ぶが、その後に火種の火炎を停止した状態から、さらに延焼する領域22に対する延焼長さの一番長い距離Aを計測して、火炎の拡がり状態を評価する。
太陽電池モジュール10,11の火災に対する安全性に関しては、太陽電池モジュール10,11上に火種を載せた際の燃え抜けや貫通孔の発生と、火種の火炎を停止した状態から継続的な火炎の拡がりが無いことが必要である。
本発明の検証においては、火炎停止後の延焼状態の判断として、火炎を停止してから、図3のAが、5cm以下で、火炎が直ぐ消炎した状態となったものを○とし、炎が短時間継続して5cm以上に広がってから消炎したものを△、そして、火炎を停止しても、継続して延焼したものを×とした。
また、本検証実験で用いた太陽電池モジュール10、11は、表面保護層4と表面側中間保護層3aは、ETFEを用い、封止材層としては、EVAとポリエチレンシートの2種類についての実験を行った。
第1実施形態の太陽電池モジュール10の場合の結果を、表1に示し、第2実施形態の太陽電池モジュール11の場合の結果を、表2に示す。
表1、表2には、それぞれの封止樹脂からなる封止材層(2、2a、2b、5、5a、5b)と保護層(3a、3b、4、6)の層ごとの厚さと、封止材層(2、2a、2b、5、5a、5b)合計の厚さを記載した。また、表面側の保護層(4、3a)の合計厚さに対する封止材層合計の厚さの比(表面側保護層合計厚さを1とした時の封止材層合計厚さ)も記載した。
表1、表2には、それぞれの封止樹脂からなる封止材層(2、2a、2b、5、5a、5b)と保護層(3a、3b、4、6)の層ごとの厚さと、封止材層(2、2a、2b、5、5a、5b)合計の厚さを記載した。また、表面側の保護層(4、3a)の合計厚さに対する封止材層合計の厚さの比(表面側保護層合計厚さを1とした時の封止材層合計厚さ)も記載した。
表1の第1実施形態においては、第一の封止材層2aと第二の封止材層2bと第三の封止材層5の厚さの合計が、700μm以下の場合には、判定は○であり、火炎を停止した状態から継続的な火炎の拡がりを抑制でき、火災安全性の高い太陽電池モジュール10とすることが可能であることが分かった。そして、表面保護層4と表面側中間保護層3aの合計厚さに対する封止材層(第一の封止材層2aと第二の封止材層2bと第三の封止材層5)の合計厚さの比は、1/14より大きければ(封止樹脂の全体の厚さの合計が、表面側の保護部材の合計厚さの14倍以下)良い。
また、第一の封止材層2aと第二の封止材層2bと第三の封止材層5の厚さの合計(封止材層合計厚さ)が、800μm以上の場合においては、火炎を停止しても、継続して延焼するが、表面保護層4と表面側中間保護層3aの合計厚さが厚くなると、耐燃性が向上した。しかし、表面保護層4と表面側中間保護層3aの合計厚さに対する封止材層(第一の封止材層2aと第二の封止材層2bと第三の封止材層5)の合計厚さの比は、1/4程度(封止樹脂の全体の厚さの合計が、表面側の保護部材の合計厚さの4倍以下)に大きくても、判定は△であった。
なお、封止材層がEVAとポリエチレンシートの場合に関して、差は見られなかった。
次に、表2の第2実施形態においては、第四の封止材層2、第五の封止材層5a、第六の封止材層5bの厚さの合計が、800μm以上の場合には、第1実施形態と同様に、火炎停止後の延焼状態からの耐燃性は低い結果であったが、700μm以下の場合でも、表面側には、透光性難燃材である表面保護層4のみであることから、第1実施形態とは異なり、表面保護層4の厚さに対する封止材層(第四の封止材層2と第五の封止材層5aと第六の封止材層5b)の合計厚さの比で、封止材層の割合が高くなる。このような場合には、継続した延焼までにはならなくとも、燃え広がり範囲が拡大し、△判定となる場合がある。表2の結果より、表面保護層4の厚さに対する封止材層(第四の封止材層2と第五の封止材層5aと第六の封止材層5b)の合計厚さの比が、1/14より大きい(封止樹脂の全体の厚さの合計が、表面保護部材の厚さの14倍以下)状態であれば、耐燃性が高いことが分かった。
次に、表2の第2実施形態においては、第四の封止材層2、第五の封止材層5a、第六の封止材層5bの厚さの合計が、800μm以上の場合には、第1実施形態と同様に、火炎停止後の延焼状態からの耐燃性は低い結果であったが、700μm以下の場合でも、表面側には、透光性難燃材である表面保護層4のみであることから、第1実施形態とは異なり、表面保護層4の厚さに対する封止材層(第四の封止材層2と第五の封止材層5aと第六の封止材層5b)の合計厚さの比で、封止材層の割合が高くなる。このような場合には、継続した延焼までにはならなくとも、燃え広がり範囲が拡大し、△判定となる場合がある。表2の結果より、表面保護層4の厚さに対する封止材層(第四の封止材層2と第五の封止材層5aと第六の封止材層5b)の合計厚さの比が、1/14より大きい(封止樹脂の全体の厚さの合計が、表面保護部材の厚さの14倍以下)状態であれば、耐燃性が高いことが分かった。
以上より、火災に対する安全性からの難燃性を有する太陽電池モジュールとするために、太陽電池モジュール10の表面(受光面)側に、表面保護部材であるフッ素化樹脂フィルムを2層以上積層し、太陽電池モジュール10の封止樹脂の全体の厚さの合計が、700μm以下にすることが良いと分かった。
また、太陽電池モジュール11の表面(受光面)側は、フッ素化樹脂フィルムが表面保護部材のみである場合には、太陽電池モジュール11の封止樹脂の全体の厚さの合計が、700μm以下であることに加え、封止樹脂の全体の厚さの合計が、表面保護部材の厚さの14倍以下となるように、封止樹脂の割合を少なくするか、表面保護部材の厚さを厚くすることで、火炎停止後の延焼状態からの耐燃性を高くでき、火災に対する安全性からの難燃性を有する太陽電池モジュールにできた。
1 太陽電池セル
2 第四の封止材層
2a 第一の封止材層
2b 第二の封止材層
3a 表面側中間保護層
3b 裏面側中間保護層
4 表面保護層
5 第三の封止材層
5a 第五の封止材層
5b 第六の封止材層
6 裏面保護層
10,11 フレキシブル太陽電池モジュール
2 第四の封止材層
2a 第一の封止材層
2b 第二の封止材層
3a 表面側中間保護層
3b 裏面側中間保護層
4 表面保護層
5 第三の封止材層
5a 第五の封止材層
5b 第六の封止材層
6 裏面保護層
10,11 フレキシブル太陽電池モジュール
Claims (7)
- 可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる太陽電池セルと、
前記太陽電池セルの受光面側および反受光面側に封止材としての保護層を備えたフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、
前記太陽電池セルの受光面側の前記保護層は、前記太陽電池セル側から、第一の封止材層と、表面側中間保護層と、第二の封止材層と、表面保護層をこの順で積層し、
さらに、前記太陽電池セルの非受光面側には、前記太陽電池セル側から、第三の封止材層と、裏面保護層がこの順で積層されていて、
前記表面側中間保護層と前記表面保護層が、透光性を有するフッ素化樹脂,部分フッ素化樹脂,フッ素化樹脂共重合体の少なくともいずれかの材質であって、
前記第一の封止材層と、前記第二の封止材層と、前記第三の封止材層が前記太陽電池セルを封止するための接着性を有する樹脂材料からなり、前記第一の封止材層と、前記第二の封止材層はさらに透光性を有する材質であって、
前記第一の封止材層と、前記第二の封止材層と、前記第三の封止材層との合計の厚さが700μm以下である
ことを特徴とするフレキシブル太陽電池モジュール。 - 前記第一の封止材層と、前記第二の封止材層と、前記第三の封止材層との合計の厚さが、前記表面側中間保護層と前記表面保護層との合計の厚さの14倍以下であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
- 前記第一の封止材層と、前記第二の封止材層と、前記第三の封止材層の厚みが、それぞれ100μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
- 前記表面側中間保護層と前記表面保護層の厚さが、それぞれ25μm以上で100μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
- 可撓性を有するフィルム基板上に薄膜半導体を積層してなる太陽電池セルと、
前記太陽電池セルの受光面側および反受光面側に封止材としての保護層を備えたフレキシブル太陽電池モジュールにおいて、
前記太陽電池セルの受光面側の前記保護層は、前記太陽電池セル側から、第四の封止材層と、表面保護層をこの順で積層し、
さらに、前記太陽電池セルの非受光面側には、前記太陽電池セル側から、第五の封止材層と、裏面側中間保護層と、第六の封止材層と、裏面保護層がこの順で積層されていて、
前記表面保護層が、透光性を有するフッ素化樹脂,部分フッ素化樹脂,フッ素化樹脂共重合体の少なくともいずれかの材質であって、
前記裏面側中間保護層が、フッ素化樹脂,部分フッ素化樹脂,フッ素化樹脂共重合体の少なくともいずれかの材質であって、
前記第四の封止材層と、前記第五の封止材層と、前記第六の封止材層が前記太陽電池セルを封止するための接着性を有する樹脂材料からなり、前記第四の封止材層はさらに透光性を有する材質であって、
前記第四の封止材層と、前記第五の封止材層と、前記第六の封止材との合計の厚さが700μm以下であって、
前記第四の封止材層と、前記第五の封止材層と、前記第六の封止材層との合計の厚さが、前記表面保護層の厚さの14倍以下である
ことを特徴とするフレキシブル太陽電池モジュール。 - 前記第四の封止材層と、前記第五の封止材層と、前記第六の封止材層の厚みが、それぞれ100μm以上であることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
- 前記表面保護層と裏面側中間保護層の厚さが、それぞれ25μm以上で100μm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のフレキシブル太陽電池モジュール。
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