JP2013191359A - 非水二次電池用負極、その製造方法、および非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池用負極、その製造方法、および非水二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電サイクル特性の良好な非水二次電池を構成し得る負極、その製造方法、および前記負極を用いた非水二次電池を提供する。
【解決手段】非水二次電池用負極は、集電体の両面に、負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を有しており、集電体の片面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度A(N/m)と、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度B(N/m)との比B/Aが、0.85〜1.15であることを特徴とするものであり、非水二次電池は、非水二次電池用負極を有することを特徴とする。非水二次電池用負極は、負極合剤層を形成するための負極合剤含有組成物を、集電体の表面に初めに塗布する前に、集電体の表面が特定の温度となるように熱処理を施す製造方法により製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、充放電サイクル特性の良好な非水二次電池を構成し得る負極、その製造方法、および前記負極を用いた非水二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池などの非水二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。また、環境問題への配慮から、繰り返し充電できる非水二次電池の重要性が増大している。このような非水二次電池では、充放電を繰り返しても高い容量が維持できるように、充放電サイクル特性が優れていることが求められる。
非水二次電池の電極(正極および負極)には、活物質などを含む合剤を溶剤に分散させて調製した組成物を、集電体の表面に塗布し、乾燥する工程を経て形成した電極合剤層(正極合剤層および負極合剤層)を有する構造のものが一般的である。
このような電極を有する非水二次電池において、充放電サイクル特性を向上させる手段として、電極合剤層と集電体との接着強度を高めることが知られている。そして、例えば、特許文献1には、電極合剤層と集電体との接着強度を高めるために、電極合剤を含む組成物を塗布した集電体の両面に、それぞれ温度の異なる熱風を当てて乾燥させる方法が提案されている。特許文献1では、前記方法によれば電極合剤層の内部まで良好に乾燥させ得るため、集電体と電極合剤層との接着強度が向上するとしている。
また、特許文献2には、水系の溶剤を用いた負極合剤含有組成物を用いて負極合剤層を形成するにあたり、組成物を集電体に塗布した後の乾燥を、予備乾燥、恒率乾燥および減率乾燥の三工程に分けて行うことで、集電体と負極合剤層との接着強度を高める技術が提案されている。
更に、特許文献3には、加熱されたロールを集電体に接触させることにより、集電体が70〜100℃に予備加熱される製造方法が提案されている。この製法方法は、ダイコーターヘッドと対向して設置されたバックアップロールを加熱し、バックアップロールに集電体の片面を接触させることで集電体を所定の温度に制御しつつ、集電体の他面に電極合剤を塗布するというものである。
特開2006−73234号公報 特開2009−37893号公報 特開2012−33426号公報
ところが、特許文献1、2に記載の手法で集電体の両面に負極合剤層を有する負極を製造すると、一方の負極合剤層と集電体との接着強度と、他方の負極合剤層と集電体との接着強度とに違いが生じやすく、これが電池の充放電サイクル特性向上の阻害要因となる虞のあることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
また、特許文献3に記載の手法では、集電体の両面に負極合剤層を有する負極を製造する場合、先に設けられる負極合剤層の形成時には適用可能である一方で、後で設けられる負極合剤層の形成時には、加熱したロールに集電体を直接接触させることができないことから、集電体の温度制御が容易ではない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、充放電サイクル特性の良好な非水二次電池を構成し得る負極、その製造方法、および前記負極を用いた非水二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水二次電池用負極は、集電体の両面に、負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を有しており、集電体の片面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度A(N/m)と、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度B(N/m)との比B/Aが、0.85〜1.15であることを特徴とするものである。
また、本発明の非水二次電池用負極の製造方法は、集電体の両面に負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を有する非水二次電池用負極の製造方法であって、負極活物質、バインダ、および常圧下での沸点T(℃)が100℃以上の溶剤を含有する負極合剤含有組成物を調製する負極合剤含有組成物調製工程と、集電体を、その表面温度が(T−55)℃〜(T−5)℃となるように熱処理する熱処理工程と、前記熱処理工程に引き続いて、熱処理後の前記集電体の片面に前記負極合剤含有組成物塗布し、加熱することにより乾燥して負極合剤層を形成する負極合剤層形成工程(1)と、前記負極合剤層形成工程(1)に引き続いて、前記集電体の他面に前記負極合剤含有組成物を塗布し、加熱することにより乾燥して負極合剤層を形成する負極合剤層形成工程(2)とを少なくとも有することを特徴とする。
更に、本発明の非水二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備えており、前記負極の少なくとも一部が、本発明の非水二次電池用負極、または本発明の非水二次電池用負極の製造方法により製造された非水二次電池用負極であることを特徴とするものである。
本発明によれば、充放電サイクル特性の良好な非水二次電池を構成し得る負極、その製造方法、および前記負極を用いた非水二次電池を提供することができる。すなわち、本発明の非水二次電池は、充放電サイクル特性が優れている。
非水二次電池用負極における負極合剤層と集電体との90°での剥離強度の測定方法の説明図である。 本発明の非水二次電池の一例を表す模式図であり、(a)平面図、(b)部分縦断面図である。 図2の斜視図である。
負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を、集電体の両面に有する負極は、例えば、負極活物質やバインダなどを溶剤に分散させて調製した負極合剤含有組成物を集電体の片面に塗布し乾燥して、まず集電体の片面に負極合剤層を形成し、その後、集電体の他面に前記負極合剤含有組成物を塗布し乾燥して、集電体の他面にも負極合剤層を形成する工程を経て製造されることが一般的である。
負極合剤層と集電体との接着強度が小さい負極を使用した非水二次電池は、充放電を繰り返すと、比較的早期に負極が劣化して容量が低下することが多い。ところが、前記のような工程を経て製造した負極では、集電体の片面に先に形成した負極合剤層と集電体との接着強度が比較的小さい一方で、集電体の他面に後で形成した負極合剤層と集電体との接着強度は、先に形成した負極合剤層と集電体との接着強度よりも大きくなる場合のあることが、本発明者らの検討により明らかとなった。
また、本発明者らは更に検討を進め、集電体の他面に後で負極合剤層を形成する際に、集電体の片面に先に負極合剤層を形成するための乾燥によって上昇した集電体の温度が比較的高温で維持されている場合には、集電体の他面に後で形成した負極合剤層と集電体との接着強度が高くなることを見出した。これは、集電体の片面に先に負極合剤層を形成するための乾燥によって集電体の温度が高められていることで、集電体の他面に後で負極合剤層を形成する際の乾燥を促進しているものと考えられる。すなわち、集電体の他面に後で形成される負極合剤層は、集電体の片面に先に形成される負極合剤層よりも乾燥状態が良好であり、また、乾燥が速く進むことで、層内でのバインダの不要な移動による偏析も抑制されるため、これらによって、集電体の他面に後で形成した負極合剤層と集電体との接着強度が高められる。
そこで、本発明では、集電体の両面に負極合剤層を有する負極を製造するに当たり、集電体の片面に初めに負極合剤含有組成物を塗布するに先立って、集電体の温度を高めるための熱処理を施し、かつこの負極合剤含有組成物の塗膜を乾燥して負極合剤層を形成した後に、この乾燥によって上昇した集電体の温度が比較的高温に保たれた状態で、集電体の他面に負極合剤層を形成することとした。これにより、本発明では、集電体の片面に先に形成した負極合剤層と集電体との接着強度と、集電体の他面に後で形成した負極合剤層と集電体との接着強度とを同等にでき、更に、集電体の片面に先に負極合剤層を形成する際の乾燥を促進して、充放電サイクル特性に優れる非水二次電池を構成可能な本発明の非水二次電池用負極の、高い生産性での製造を可能としている。
本発明の非水二次電池用負極は、集電体の両面に、負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を有しており、集電体の片面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度A(N/m)と、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度B(N/m)との比B/Aが、0.85以上1.15以下である。
すなわち、本発明の非水二次電池用負極は、集電体の片面側の負極合剤層と集電体との剥離強度Aと、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との剥離強度Bとの差が非常に小さい。そのため、通常、集電体との接着強度が弱くなる負極合剤層(先に形成される負極合剤層)についても、集電体との接着強度が高くなることから、充放電サイクル特性の良好な非水二次電池を構成することができる。
また、非水二次電池を充放電すると、それに伴って負極活物質が膨張収縮するために、負極合剤層も膨張収縮し、例えば、電極体(正極と負極とを、セパレータを介して積層した積層電極体や、更にこの積層体を渦巻状に巻回した巻回電極体)が歪んで変形するなどすることがある。特に後述するような高容量負極材料を用いた負極を有する電極体では、電池の充放電に伴う電極体の変形の程度も大きく、これも非水二次電池の充放電サイクル特性の低下を引き起こす要因となる。集電体の両面に負極合剤層を有する負極において、両負極合剤層間で成分組成の偏析状態が異なるなどした場合には、電池の充放電に伴う体積変化量が両負極合剤層間で異なるために、負極が反ったりするなどして電極体における正極と負極との位置関係にずれが生じやすくなるなどの理由から、このような負極を用いた非水二次電池では、充放電サイクル特性がより低下しやすい。
ところが、本発明の非水二次電池用負極において、集電体の片面側の負極合剤層の集電体の接着強度Aと、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との剥離強度Bとの比B/Aが前記の値にあること、すなわち、接着強度Aと接着強度Bとの差が小さいということは、集電体の片面側の負極合剤層の内部構造(成分組成の偏析状態など)と、集電体の他面側の負極合剤層の内部構造との差異が小さいことを意味している。よって、本発明の非水二次電池用負極では、特に高容量負極材料を用いたような場合でも、電池の充放電に伴う反りなどの変形の発生を良好に抑制でき、かかる作用も、非水二次電池の充放電サイクル特性の向上に寄与している。
しかも、集電体の片面側の負極合剤層の集電体の接着強度Aと、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との剥離強度Bとの比B/Aが前記の値を満たすこと、すなわち、剥離強度Aと剥離強度Bとの差が小さいことで、例えば、充放電に伴う負極の膨張収縮時に、一方の面が、もう一方の面の接着性に引っ張られることが無く、両面で膨張収縮に追随することが可能となる。このような作用も、非水二次電池の充放電サイクル特性の向上に寄与している。
更に、剥離強度Aと剥離強度Bと比B/Aが前記の値を満たす非水二次電池用負極は、前記の通り、両方の負極合剤層(特に先に形成される負極合剤層)の形成時の乾燥を効率よく進めることで得られることから、その生産性が良好であり、この負極を用いた非水二次電池の生産性も高めることができる。
本明細書でいう負極合剤層と集電体との90°での剥離強度は、以下の方法により求められる値である。負極の両面に負極合剤層が形成されている部分を長尺方向に100mm、幅方向に20mmのサイズに切り出して試料を作製する。この試料の片端から長尺方向に70mmまでで、かつ幅方向全面の領域に、両面テープの一方の面を貼り付け、両面テープの他方の面を、フェノール樹脂板に貼り付ける。図1に示すように、前記試料1のうち、両面テープ200を貼り付けていない他端から長尺方向に30mmまでの部分を垂直に折り立て、この部分を張力試験機のチャック101で挟み、フェノール樹脂板100に対して90°の角度で、50mm/minの速度で長尺方向(図中矢印の方向)に試料1を引っ張り、負極合剤層が集電体から剥離したときの荷重を測定する。そして、得られた荷重(N)を負極の幅(m)で除して、剥離強度(N/m)を算出する。
剥離強度の測定は、同一の負極から、集電体の片面側の負極合剤層と集電体との剥離強度Aを測定するための前記試料5個と、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との剥離強度Bを測定するための前記試料5個とを作製して、それぞれの試料について行い、剥離強度A、剥離強度Bのいずれも、前記5回の測定結果の平均値とする。
前記剥離強度Aおよび前記剥離強度Bは、非水二次電池用負極を用いた非水二次電池の充放電サイクル特性をより高める観点から、4N/m以上であることが好ましく、5N/m以上であることが好ましい。また、前記剥離強度Aおよび前記剥離強度Bの上限値については、特に制限はないが、通常は、8N/m程度である。
本発明の非水二次電池用負極は、本発明法(本発明の非水二次電池用負極の製造方法)により製造することができる。すなわち、本発明法によれば、集電体の両面に負極合剤層を有する非水二次電池用負極について、集電体の片面側の負極合剤層と集電体との接着強度と、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との接着強度とのうち、より接着強度が小さくなりやすい方(先に形成される負極合剤層と集電体の接着強度)についても、他方と同等程度に高い接着強度を確保することができるため、前記の剥離強度Aと剥離強度Bとの比B/Aを、前記の値にすることができる。
更に、本発明法によれば、負極合剤層形成時の乾燥を良好に進め得るため、非水二次電池用負極の生産性を高めることもできる。
よって、本発明法により製造される非水二次電池用負極を用いた非水二次電池は、充放電サイクル特性および生産性が良好なものとなる。
本発明法は、負極合剤層を形成するための負極合剤含有組成物を調製する負極合剤含有組成物調製工程と、負極合剤含有組成物の塗布に先立って集電体を熱処理する熱処理工程と、この熱処理工程に引き続いて、前記負極合剤含有組成物を用いて集電体の片面に負極合剤層を形成する負極合剤層形成工程(1)と、負極合剤層形成工程(1)に引き続いて、前記負極合剤含有組成物を用いて集電体の他面に負極合剤層を形成する負極合剤層形成工程(2)とを少なくとも有している。
負極合剤含有組成物調製工程では、負極活物質、バインダおよび溶剤を含有する負極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を調製する。
負極活物質には、通常の非水二次電池に用いられている負極活物質、すなわち、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を用いることができる。このような負極活物質の具体例としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛;熱分解炭素類、MCMB、炭素繊維などの易黒鉛化炭素を2800℃以上で黒鉛化処理した人造黒鉛;など)、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料;リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)や、リチウムと合金可能な金属元素を含む材料(SiやSnの合金、酸化物など);などが挙げられる。本発明の非水二次電池用負極には、前記例の負極活物質のうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前述した通り、本発明においては、電池の充放電に伴う膨張収縮量の大きな高容量負極材料を負極活物質として使用した場合に、その効果がより顕著に発現する。よって、本発明においては、高容量負極材料を負極活物質に使用することが好ましく、これにより電池の高容量化を図りつつ、良好な充放電サイクル特性も確保することができる。
前記の高容量負極材料の具体例としては、リチウムと合金化可能な金属(Si、Snなど)や、リチウムと合金可能な金属元素を含む材料(SiやSnの合金、酸化物など)が挙げられる。これらの中でも、SiとOとを構成元素に含む材料(ただし、Siに対するOの原子比xは、0.5≦x≦1.5である。以下、当該材料を「SiO」という)を用いることがより好ましい。
SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中にSi(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
なお、SiOは導電性が低いことから、例えば、SiOの表面を炭素で被覆して用いてもよく、これにより負極における導電ネットワークを、より良好に形成することができる。
SiOの表面を被覆するための炭素には、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などを使用することができる。
なお、炭化水素系ガスを気相中で加熱し、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、SiO粒子の表面上に堆積する方法[気相成長(CVD)法]で、SiOの表面を炭素で被覆すると、炭化水素系ガスがSiO粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面や表面の空孔内に、導電性を有する炭素を含む薄くて均一な皮膜(炭素被覆層)を形成できることから、少量の炭素によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
CVD法で使用する炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱いやすいトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやエチレンガス、アセチレンガスなどを用いることもできる。
CVD法の処理温度としては、例えば、600〜1200℃であることが好ましい。また、CVD法に供するSiOは、公知の手法で造粒した造粒体(複合粒子)であることが好ましい。
SiOの表面を炭素で被覆する場合、炭素の量は、SiO:100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、また、95質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましい。
なお、SiOは、他の高容量負極材料と同様に電池の充放電に伴う体積変化が大きいため、負極活物質には、SiOと黒鉛とを併用することが好ましい。これにより、SiOの使用による高容量化を図りつつ、電池の充放電に伴う負極の膨張収縮を抑えて、充放電サイクル特性をより高く維持することが可能となる。
負極活物質にSiOと黒鉛とを併用する場合、負極活物質全量中におけるSiOの割合は、SiOの使用による高容量化効果を良好に確保する観点から0.5質量%以上とすることが好ましく、また、SiOによる負極の膨張収縮を抑制する観点から10質量%以下とすることが好ましい。
バインダには、例えば、従来から知られている非水二次電池の負極に係る負極合剤層で使用されているバインダと同じものが使用できる。具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好ましいものとして挙げられる。
溶剤には、常圧(1.01325×10Pa)下での沸点T(℃)が100℃以上の溶剤を使用する。
このような沸点の溶剤を用いた負極合剤含有組成物を用いて負極合剤層を形成する場合には、加熱による乾燥が必要となるが、例えば、負極合剤含有組成物を集電体表面に塗布して形成される塗膜の表面にドライヤーで熱風を送風するだけでは、乾燥が良好に進まず、層内でバインダの偏析が生じやすく、負極合剤層と集電体との接着強度を高め難いことがある。しかしながら、本発明法によれば、前記のような沸点の溶剤を使用した負極合剤含有組成物であっても、負極合剤層形成時の乾燥を良好に進め得るため、例えば、前記のバインダの偏析を抑えて、負極合剤層と集電体との接着強度を高めることができる。
なお、溶剤の常圧下での沸点Tは、あまり高すぎると、負極合剤層形成時の乾燥のために付加する温度が高くなり、負極合剤層の構成成分の劣化を引き起こす虞があることから、例えば、220℃以下であることが好ましい。
負極合剤含有組成物に使用する溶剤の具体例としては、例えば、水;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶剤;が挙げられる。
前記例示の溶剤の中でも、環境への負荷が小さいことから、水を使用することがより好ましい。よって、負極合剤含有組成物に使用するバインダには、水分散体として供されるSBRや、水溶性のCMCなどを使用することがより好ましい。ところが、SBRやCMCなどは、例えば、PVDFに比べると結着力が弱いため、集電体の両面に形成する負極合剤層のうち、より集電体との間の接着強度が小さくなりやすい負極合剤層において、集電体との間の接着強度が非常に小さくなる虞があり、電池の充放電サイクル特性の低下を引き起こすことがある。しかし、本発明法によれば、これらのような結着力の小さなバインダを使用した場合でも、負極合剤層と集電体との接着強度を高めて、充放電サイクル特性の良好な電池を構成可能な非水二次電池用負極を製造できる。
また、負極合剤層には、必要に応じて導電助剤を含有させてもよく、その場合、負極合剤含有組成物に導電助剤も含有させる。導電助剤の具体例としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などが挙げられる。
負極合剤含有組成物の調製方法については、特に制限はなく、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤などを予め混合して負極合剤を調製し、これを溶剤に分散させてもよく、また、バインダを予め溶剤に分散または溶解させたバインダ液に、負極活物質や必要に応じて導電助剤などを加えて混合してもよい。
非水二次電池用負極に係る負極合剤層においては、例えば、負極合剤層の構成成分の全量中、負極活物質を85〜99質量%とし、バインダを1.0〜10質量%とすることが好ましく、また、導電助剤を用いる場合には、負極合剤層の構成成分の全量中、導電助剤を0.5〜10質量%とすることが好ましい。よって、負極合剤含有組成物の調製に際して、前記の各構成成分の配合量は、形成後の負極合剤層中の各構成成分が前記の含有量となるように調整すればよい。
また、負極合剤含有組成物における固形分(溶剤の除く全成分。以下同じ。)の濃度は、30〜80質量%であることが好ましい。なお、負極合剤含有組成物の固形分濃度が低い場合(特に60質量%以下の場合)には、負極合剤層と集電体との接着強度が小さくなりやすいが、本発明法によれば、このような低い固形分濃度の負極合剤含有組成物を用いた場合でも、負極合剤層と集電体との接着強度を高めることができる。
本発明法の熱処理工程では、負極合剤含有組成物を塗布する前の集電体を、その表面温度が(T−55)℃以上(T−5)℃以下(Tは前述した常圧下での溶剤の沸点)となるように熱処理する。
非水二次電池用負極の集電体には、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。集電体の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。
前記の表面温度となるように熱処理した集電体に負極合剤含有組成物を塗布し、塗膜を形成することで、その後の乾燥時に、熱を加える集電体とは反対側の表面からのみならず、集電体側からも塗膜の乾燥が進んで塗膜中の溶剤の蒸散が促進されるため、負極合剤層の性状が良好になり、また負極合剤層内でのバインダの偏析が抑制される。そのため、この工程で形成される負極合剤層と集電体との接着強度を高めることができる。
前記熱処理による集電体の表面温度は、負極合剤含有組成物中の溶剤を良好に蒸散させる観点から、(T−55)℃以上とし、(T−45)℃以上とすることが好ましい。ただし、負極合剤含有組成物の塗布前の集電体の温度が高すぎると、負極合剤層の各構成成分が劣化する虞がある。よって、前記熱処理による集電体の表面温度は、(T−5)℃以下とし、(T−20)℃以下とすることが好ましい。
例えば、負極合剤含有組成物に使用する溶剤が水の場合、常圧下での沸点Tは約100℃であるため、前記熱処理による集電体の表面温度は、(100−55)=45℃以上、好ましくは(100−45)=55℃以上であって、(100−5)=95℃以下、好ましくは(100−20)=80℃以下とする。
集電体の前記熱処理は、負極合剤層の形成の際に使用されるドライヤーなどの乾燥装置や、恒温槽などにより行うことができる。その際の熱処理温度は、集電体が前記の表面温度となる温度であればよいが、例えば、(T−50)℃以上であることが好ましく、(T−45)℃以上であることがより好ましく、また、T℃以下であることが好ましく、(T−20)℃以下であることがより好ましい。
例えば、負極合剤含有組成物に使用する溶剤が水の場合、常圧下での沸点Tは約100℃であるため、前記熱処理温度は、(100−50)=50℃以上であることが好ましく、(100−40)=60℃以上であることがより好ましく、また、100℃以下であることが好ましく、(100−20)=80℃以下であることがより好ましい。
本発明法の負極合剤層形成工程(1)では、熱処理工程に引き続いて、熱処理後の集電体の片面に、負極合剤含有組成物調製工程で調製した負極合剤含有組成物を塗布し、加熱により乾燥することで、前記組成物中の溶剤を除去して、集電体の片面に負極合剤層を形成する。
負極合剤含有組成物を集電体に塗布する際の塗布方法については特に制限はなく、例えば、ドクターブレードを用いた基材引き上げ方式;ダイコータ、コンマコータ、ナイフコータなどを用いたコータ方式;スクリーン印刷、凸版印刷などの印刷方式:などの公知の各種塗布方法を採用することができる。
集電体の表面に負極合剤含有組成物を塗布した後には、乾燥を行う。これにより集電体の片面に負極合剤層が形成される。乾燥方法としては、例えば、ドライヤーなどの乾燥装置を用いた方法などが挙げられる。
前記乾燥時の温度は、例えば、(T−50)℃以上であることが好ましく、(T−40)℃以上であることがより好ましく、また、T℃以下であることが好ましく、(T−20)℃以下であることがより好ましい。このような温度で乾燥することで、負極合剤含有組成物の有する溶剤を良好に除去できる。また、負極合剤層形成工程(1)における乾燥が、後の負極合剤層形成工程(2)において、集電体の他面に負極合剤層を形成する際の負極合剤含有組成物の塗布前の集電体の熱処理にもなるため、前記の温度で乾燥することで、集電体の表面温度を、負極合剤層と集電体との接着強度を良好に高め得る温度に調整することができる。
本発明法の負極合剤層形成工程(2)では、負極合剤層形成工程(1)に引き続いて、集電体の他面に、負極合剤含有組成物調製工程で調製した負極合剤含有組成物を塗布し、加熱により乾燥することで、前記組成物中の溶剤を除去して、集電体の他面に負極合剤層を形成する。
すなわち、本発明法では、負極合剤層形成工程(1)と負極合剤層形成工程(2)とを連続的に実施することで、負極合剤層形成工程(1)における乾燥によって集電体の温度が高められた状態で、集電体の他面側の負極合剤層を、負極合剤層形成用組成物の塗膜の乾燥を良好に進めつつ形成することができる。よって、本発明法によれば、先に形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Aと、後で形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Bとの比B/Aが前記の値となるように、剥離強度Aと剥離強度Bとの差を小さくすることができる。
負極合剤層形成工程(2)において、負極合剤含有組成物を集電体に塗布する際の塗布方法、並びに負極合剤含有組成物の塗膜の乾燥方法および乾燥条件については、負極合剤層形成工程(1)の場合と同様とすればよい。
負極合剤層形成工程(2)を経て、集電体の両面に負極合剤層を形成した非水二次電池用負極には、必要に応じてプレス工程でプレス処理(カレンダ処理など)を行い、負極合剤層の厚みや密度を調整することができる。
また、非水二次電池用負極には、常法に従い、電池の有する端子との接続のためのリード体を取り付けることもできる。
本発明法により得られる非水二次電池用負極においては、負極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み。以下同じ。)は、50〜200μmであることが好ましい。なお、負極合剤層が厚い場合(特に150μm以上の場合)には、負極合剤層と集電体との接着強度が小さくなりやすいが、本発明法によれば、このような厚い負極合剤層を形成した場合でも、負極合剤層と集電体との接着強度を高めることができる。
本発明の非水二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解質を備えており、前記負極が、本発明の非水二次電池用負極、または本発明法により製造された非水二次電池用負極(集電体の片面に負極合剤層を有する非水二次電池用負極を含む)であればよく、負極以外の構成および構造については特に制限はなく、従来から知られている非水二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
本発明の非水二次電池が、集電体の両面に負極合剤層を有する負極だけでなく、集電体の片面に負極合剤層を有する負極も有している場合には、この集電体の片面に負極合剤層を有する負極は、通常の手法で製造した負極であってもよく、また、本発明法に係る負極合剤層形成工程(1)までの工程を経た後に、必要に応じてプレス処理などを施して製造した負極を用いてもよく、後者の製造方法で製造した負極を用いることがより好ましい。
正極には、例えば、集電体の片面または両面に正極活物質や導電助剤、バインダなどを含有する正極合剤層を有する構造のものが使用できる。
正極活物質としては、例えば、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mg、Zr、Tiなど)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などを用いることができる。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを用いることができる。また、Mnを含有するスピネル構造のリチウム含有複合酸化物、例えば、LiMn、LiNi0.5Mn1.5などの組成で代表されるスピネルマンガン複合酸化物;前記スピネルマンガン複合酸化物に係る元素の一部を他の元素、例えば、Ca、Mg、Sr、Sc、Zr、V、Nb、W、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Si、Ga、Ge、Snなどの元素で置換したスピネル構造を有するリチウム含有複合酸化物(前記一般式における元素Mとして、Mnと、前記例示の元素の1種以上とを含むリチウム含有複合酸化物など);などであってもよい。
導電助剤には、負極合剤層に使用し得るものとして先に例示した各種導電助剤と同じ物が使用できる。また、バインダには、負極合剤層に使用し得るものとして先に例示した各種バインダと同じものが使用できる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを、溶剤[N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶剤や水]に分散または溶解させて調製した正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を、集電体の片面または両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
正極に係る正極合剤層においては、正極合剤層の構成成分の全量中、例えば、正極活物質を80〜99.8質量%とし、導電助剤を0.1〜10質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、50〜200μmであることが好ましい。
正極の集電体には、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔が用いられる。集電体の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。
また、正極には、常法に従い、電池の有する端子との接続のためのリード体を取り付けることができる。
負極と正極とは、例えば、セパレータを介して積層した積層電極体や、更にこれを渦巻状に巻回した巻回電極体の形態で、本発明の非水二次電池に用いることができる。
セパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常の非水二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。セパレータの厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
本発明の非水二次電池に係る非水電解質には、例えば、下記の有機溶媒中に、リチウム塩を溶解させることで調製した溶液(非水電解液)が使用できる。
前記有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。
非水電解液に係る無機イオン塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]などのリチウム塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.6〜1.8mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.6mol/lとすることがより好ましい。
また、これらの非水電解液には、電池の安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)などのハロゲン置換された環状カーボネート、トリエチルホスホノアセテート(TEPA)などのホスホノアセテート類、ビニレンカーボネート(VC)などのビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
本発明の非水二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装体として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
本発明の非水二次電池は、従来から知られている非水二次電池が用いられている用途と同じ用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
比抵抗が2.0×10Ω/cm以上のイオン交換水(常圧下での沸点が約100℃)を溶剤とし、これに、まずCMC:1質量部を溶解し、更に黒鉛(平均粒子径D50%が16μm、002面の面間隔d002が0.3360nm):98質量部、およびSBR:1質量部を加えて混合し、水系の負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーの固形分濃度は49質量%であった。
電解銅箔からなる厚みが8μmの集電体を、60℃に設定した恒温槽内で8分間保持して熱処理した。このとき、熱電対で測定した集電体の表面温度(負極合剤含有スラリーを塗布する面の温度)は56℃であった。
前記の熱処理を施した集電体の片面に、前記負極合剤含有スラリーをアプリケータで塗布した後、これを80℃に設定した恒温槽内で8分間保持することで乾燥を行い、集電体の片面に負極合剤層を形成した。この負極合剤層のある面をA面とする。
前記乾燥終了時に前記A面とは反対側の集電体表面の温度を熱電対で測定したところ、74℃であった。この面に、A面の場合と同様の手法で前記負極合剤含有スラリーを塗布し、乾燥を行って、負極合剤層を形成した。この負極合剤層のある面をB面とする。
前記のA面およびB面に負極合剤層を形成した集電体を、カレンダ処理して、全厚が155μmとなるように負極合剤層の厚みを調整して負極を得た。
実施例2
集電体のA面に負極合剤含有スラリーを塗布する前の熱処理の条件を、80℃に設定した恒温槽内での8分間保持に変更した以外は、実施例1と同様にして、両面に負極合剤層を有する負極を作製した。集電体のA面に負極合剤含有スラリーを塗布する前の熱処理をした際の、集電体のA面の表面温度を熱電対で測定したところ、74℃であった。
実施例3
負極活物質を、平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が10質量%)と、平均粒子径D50%が16μmである黒鉛とを、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量が3.75質量%となる量で混合した混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして両面に負極合剤層を有する負極を作製した。
比較例1
集電体のA面に負極合剤含有スラリーを塗布する前に熱処理をしなかった以外は、実施例1と同様にして、両面に負極合剤層を有する負極を作製した。
比較例2
集電体のA面に負極合剤含有スラリーを塗布する前の熱処理の条件を、40℃に設定した恒温槽内での8分間保持に変更した以外は、実施例1と同様にして、両面に負極合剤層を有する負極を作製した。集電体のA面に負極合剤含有スラリーを塗布する前の熱処理をした際の、集電体のA面の表面温度を熱電対で測定したところ、38℃であった。
比較例3
負極活物質を、平均粒子径D50%が8μmであるSiO表面を炭素材料で被覆した複合体(複合体における炭素材料の量が10質量%)と、平均粒子径D50%が16μmである黒鉛とを、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体の量が3.75質量%となる量で混合した混合物に変更した以外は、比較例1と同様にして両面に負極合剤層を有する負極を作製した。
<剥離強度>
実施例および比較例の負極について、A面に形成した負極合剤層と集電体との90°での剥離強度A、およびB面に形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Bを、前記の方法により求めた。これらの結果を、集電体のA面に負極合剤含有スラリーを塗布する前の熱処理時の条件(恒温槽内の温度)、および熱処理時のA面の表面温度と共に、表1に示す。
Figure 2013191359
表1に示す通り、集電体に初めに負極合剤含有スラリーを塗布する前に、集電体に熱処理を施さずに作製した比較例1の負極や、前記熱処理の温度を低くして作製した比較例2、3の負極は、先に形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Aが、後に形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Bに比べて小さく、これらの比B/Aが不適である。
これに対し、集電体に初めに負極合剤含有スラリーを塗布する前に、集電体の表面が適正な温度となるように熱処理を施す工程を経て得られた実施例1〜3の負極は、先に形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Aが、後に形成した負極合剤層と集電体との剥離強度Bと同等で、これらの比B/Aが適正であり、先に形成した負極合剤層と集電体との接着強度を良好に高めることができている。
実施例4
正極活物質であるLi1.02Ni0.94Mn0.03Mg0.03:94質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:6質量部、およびバインダであるPVDF:2質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、片面の塗布量が15mg/cm、塗布長が表面280mm、裏面210mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、正極合剤層の厚みが、集電体の片面あたり87μmとなるように調整し、幅43mmになるように切断して正極を作製した。その後、正極における集電体の露出部にリード体を取り付けた。
負極には、実施例1で作製した負極を、幅45mmになるように切断し、集電体の露出部にリード体を取り付けたものを用いた。なお、この負極は、負極合剤層が、A面290mm、B面230mmである。
前記のようにして得た正極と負極とを、正極と負極との間にセパレータ(PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜とを積層したリチウム二次電池用PE−PP製微多孔膜セパレータであり、厚み16μm、空孔率40%、平均孔径0.08μm、PEの融点135℃、PPの融点165℃)を介在させつつ重ね、渦巻状に巻回して巻回電極体を作製した。得られた巻回体電極群を押しつぶして扁平状にし、厚み4mm、高さ50mm、幅34mmのアルミニウム製外装缶に入れ、非水電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比で1対2に混合した溶媒にLiPFを濃度1.2mol/Lで溶解したもの)を注入した後に封止を行って、図2に示す構造を有し、図3に示す外観の非水二次電池を作製した。
ここで図2および図3に示す電池について説明すると、負極1と正極2は前記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した巻回電極体6として、角形の外装缶4に非水電解液とともに収容されている。ただし、図2では、煩雑化を避けるため、負極1や正極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や非水電解液などは図示していない。
外装缶4は電池の外装材を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、前記負極1、正極2およびセパレータ3からなる電極体6からは、負極1および正極2のそれぞれ一端に接続された負極集電板8と正極集電板7が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は前記外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。
なお、蓋板9には注液孔が設けられており(図中、14)、電池組み立ての際には、この注液孔から電池内に非水電解液が注入され、その後、注液孔は封止される。また、蓋板9には、防爆用の安全弁15が設けられている。
この実施例4の電池では、正極集電板7を蓋板9に直接溶接することによって外装缶4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極集電板8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極集電板8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、外装缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は前記図2に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図3は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図3では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図2においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
実施例5
負極を実施例3で作製したものに変更した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例4
負極を比較例1で作製したものに変更した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例5
負極を比較例3で作製したものに変更した以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例4、5および比較例4、5の非水二次電池について、以下の充放電サイクル特性評価を行った。
<充放電サイクル特性>
実施例および比較例の各電池(について、1.0Cの電流値で4.2Vまで定電流充電を行い、続いて4.2Vの電圧で定電圧充電を行った。なお、定電流充電と定電圧充電の総充電時間は2.5時間とした。その後、0.2Cの電流値で3.0Vまで放電を行い、初期容量を測定した。
次に、初期容量測定後の各電池について、1Cの電流値で4.20Vまで定電流充電を行い、続いて4.20Vの電圧で定電圧充電を行う充電(定電流充電と定電圧充電の総充電時間は2.5時間)と、その後に1Cの電流値で3.0Vまでの放電とを行う一連の操作を1サイクルとして、500サイクルの充放電を繰り返した。その後の各電池について、初期容量測定時と同じ条件で充電および放電を行って、500サイクル目の各電池の放電容量を測定した。
前記充放電サイクル特性評価の結果、比較例1の電池の500サイクル目の放電容量を100としたときの、実施例1の電池の500サイクル目の放電容量は115であり、また、比較例3の電池の500サイクル目の放電容量を100としたときの、実施例3の電池の500サイクル目の放電容量は135であった。
このように、集電体の両面に形成した負極合剤層のそれぞれと、集電体との間の両剥離強度の関係を適正にした負極を用いた実施例の電池では、充放電サイクル特性が良好である。また、実施例4の電池と実施例5の電池との充放電サイクル特性評価結果の対比から分かるように、充放電に伴う膨張収縮量が大きな負極活物質(SiO)を使用した実施例5の電池では、このような高容量負極材料を使用していない実施例4の電池よりも、充放電サイクル特性の向上効果がより顕著に発現している。
1 負極
2 正極
3 セパレータ

Claims (9)

  1. 集電体の両面に、負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を有しており、
    集電体の片面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度A(N/m)と、集電体の他面側の負極合剤層と集電体との90°での剥離強度B(N/m)との比B/Aが、0.85〜1.15であることを特徴とする非水二次電池用負極。
  2. 剥離強度Aおよび剥離強度Bが、5N/m以上である請求項1に記載の非水二次電池用負極。
  3. 負極活物質として、リチウムと合金化可能な金属またはリチウムと合金化可能な金属元素を含む材料を含有している請求項1または2に記載の非水二次電池用負極。
  4. 集電体の両面に負極活物質およびバインダを含有する負極合剤層を有する非水二次電池用負極の製造方法であって、
    負極活物質、バインダ、および常圧下での沸点T(℃)が100℃以上の溶剤を含有する負極合剤含有組成物を調製する負極合剤含有組成物調製工程と、
    集電体を、その表面温度が(T−55)℃〜(T−5)℃となるように熱処理する熱処理工程と、
    前記熱処理工程に引き続いて、熱処理後の前記集電体の片面に前記負極合剤含有組成物塗布し、加熱することにより乾燥して負極合剤層を形成する負極合剤層形成工程(1)と、
    前記負極合剤層形成工程(1)に引き続いて、前記集電体の他面に前記負極合剤含有組成物を塗布し、加熱することにより乾燥して負極合剤層を形成する負極合剤層形成工程(2)とを少なくとも有することを特徴とする非水二次電池用負極の製造方法。
  5. 熱処理工程において集電体に施す熱処理の温度が、(T−50)℃〜T℃である請求項4に記載の非水二次電池用負極の製造方法。
  6. 負極合剤層形成工程(1)および負極合剤層形成工程(2)における乾燥温度が、(T−50)℃〜T℃である請求項4または5に記載の非水二次電池用負極の製造方法。
  7. 負極活物質として、リチウムと合金化可能な金属またはリチウムと合金化可能な金属元素を含む材料を使用する請求項4〜6のいずれかに記載の非水二次電池用負極の製造方法。
  8. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備えた非水二次電池であって、
    前記負極の少なくとも一部が、請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池用負極であることを特徴とする非水二次電池。
  9. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備えた非水二次電池であって、
    前記負極の少なくとも一部が、請求項4〜7のいずれかに記載の非水二次電池用負極の製造方法により製造された非水二次電池用負極であることを特徴とする非水二次電池。
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