JP2013190640A - 音響処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定方向の音源の音響成分を高精度に分離する。
【解決手段】尤度算定部42は、音響信号x(t)の各周波数成分X(k,m)が定位軸AP上の対象定位範囲SP内の音源に由来する確度を示す領域内尤度Lin(k,m)と、該周波数成分が対象定位範囲SP外の音源に由来する確度を示す領域外尤度Lout(k,m)とを算定する。残響解析部44は、各周波数成分について残響成分の比率に応じた残響指標値R(k,m)を算定する。係数設定部46は、該音響信号のうち対象定位範囲SP内の音源に由来する残響成分または対象定位範囲SP外の音源に由来する残響成分を抑圧、強調するための処理係数G(Gin(k,m),Gout(k,m))を領域内尤度と領域外尤度と残響指標値R(k,m)とに応じて周波数成分X(k,m)毎に生成する。信号処理部52は、各周波数成分X(k,m)に当該周波数成分Xの処理係数Gを作用させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、音響信号を処理する技術に関する。
周波数軸と定位軸とが設定された周波数-定位平面での音響信号の強度分布を表示装置に表示させる技術が例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の技術では、音響信号のうち利用者が周波数-定位平面内に指定した領域(以下「対象領域」という)内の音響成分が選択的に抽出される。したがって、特定方向の音源が発音した特定帯域内の音響成分(例えば特定の楽器の演奏音)を抽出することが可能である。
特開2011−158674号公報
ところで、音響信号には残響成分が付随し得る。音源が発音した直後(残響付与前)の音響成分(以下「初期音成分」という)とその初期音成分を音響空間内で反射または散乱させた残響成分とでは、音響信号の解析で推定される定位方向が相違する可能性がある。例えば、初期音成分が対象領域外に定位する場合でも残響成分は対象領域内に定位する可能性がある。したがって、対象領域内の音響成分を単純に抽出する特許文献1の技術では、対象領域外の音源に由来する対象領域内の残響成分が対象領域内の音源の音響成分とともに抽出される。同様に、初期音成分が対象領域内に定位する場合でも残響成分は対象領域外に定位する可能性があるから、特許文献1の技術のもとで対象領域内の音響成分を抑圧した場合には、対象領域内の音源に由来する対象領域外の残響成分が対象領域外の音源の音響成分とともに維持されて相対的に強調されたように受聴者に知覚される。以上の通り、特許文献1の技術では、特定方向に位置する音源の音響成分を高精度に分離(強調または抑圧)することが困難であるという問題がある。以上の事情を考慮して、本発明は、特定方向の音源の音響成分を高精度に分離することを目的とする。
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を説明する。なお、本発明の理解を容易にするために、以下の説明では、本発明の各要素と後述の各実施形態の要素との対応を括弧書で付記するが、本発明の範囲を実施形態の例示に限定する趣旨ではない。
本発明の音響処理装置は、定位軸上の対象定位範囲(例えば対象定位範囲SP)を設定する範囲設定手段(例えば範囲設定部38)と、音響信号の各周波数成分の定位方向(例えば定位方向θ(k,m))を算定する定位解析手段(例えば定位解析部34)と、音響信号の各周波数成分について、当該周波数成分が対象定位範囲内の音源に由来する確度を示す領域内尤度(例えば領域内尤度Lin(k,m))と、当該周波数成分が対象定位範囲外の音源に由来する確度を示す領域外尤度(例えば領域外尤度Lout(k,m))とを、当該周波数成分の定位方向に応じて算定する尤度算定手段(例えば尤度算定部42)と、音響信号の各周波数成分について残響成分の比率に応じた残響指標値(例えば残響指標値R(k,m))を算定する残響解析手段(例えば残響解析部44)と、音響信号のうち対象定位範囲内の音源に由来する残響成分または対象定位範囲外の音源に由来する残響成分を抑圧または強調するための処理係数(例えば処理係数Gin(k,m)や処理係数Gout(k,m))を領域内尤度と領域外尤度と残響指標値とに応じて周波数成分毎に生成する係数設定手段(例えば係数設定部46)と、音響信号の各周波数成分に当該周波数成分の処理係数を作用させる信号処理手段(例えば信号処理部52)とを具備する。以上の構成では、残響指標値に加えて領域内尤度および領域外尤度が処理係数に反映されるから、例えば対象定位範囲内の音源に由来する残響成分や対象定位範囲外の音源に由来する残響成分を高精度に抑圧または強調することが可能である。なお、残響成分の「強調」とは、残響成分を増強する場合のほか、残響成分自体を維持したまま音響信号のうち残響成分以外の成分を抑圧することで残響成分が相対的に強調されたように知覚される場合も包含する。
本発明の好適な態様において、範囲設定手段は、周波数軸上の対象周波数範囲と定位軸上の対象定位範囲とで周波数-定位平面内に画定される対象領域(例えば対象領域S)を設定し、尤度算定手段は、音響信号の各周波数成分が対象領域内に位置するか否かを指定する領域内定位情報(例えば領域内定位情報Γin(k,m))と、各周波数成分が対象領域外に位置するか否かを指定する領域外定位情報(例えば領域外定位情報Γout(k,m))とを、当該周波数成分の定位方向に応じて単位期間毎に算定する領域判定手段(例えば領域判定部72)と、領域内定位情報の移動平均に応じて領域内尤度を算定し、領域外定位情報の移動平均に応じて領域外尤度を算定する演算処理手段(例えば演算処理部74Aまたは演算処理部74B)とを含む。以上の構成では、領域内定位情報の移動平均に応じて領域内尤度が算定され、領域外定位情報の移動平均に応じて領域外尤度が算定されるから、例えば領域内尤度や領域外尤度を所定の確率モデルに適用して領域内尤度や領域外尤度を算定する構成と比較して演算処理が簡素化されるという利点がある。
本発明の好適な態様において、信号処理手段は、音響信号の各周波数成分に対し、当該周波数成分の処理係数と、当該周波数成分の領域内定位情報および領域外定位情報の一方とを作用させる。以上の構成では、領域内定位情報または領域外定位情報が処理係数とともに信号処理手段による処理に適用される。したがって、各周波数成分の対象領域に対する内側および外側と、周波数成分が由来する音源の対象領域の内側および外側との組合せに応じた残響成分を強調または抑圧することが可能である。例えば、例えば、対象領域内の音源に由来する対象領域外の残響成分を強調または抑圧することや、対象領域外の音源に由来する対象領域内の残響成分を強調または抑圧することが可能である。また、対象領域内の音源に由来する対象領域内の残響成分を強調または抑圧することや、対象領域外の音源に由来する対象領域外の残響成分を強調または抑圧することも可能である。
本発明の好適な態様において、演算処理手段は、領域内定位情報の時系列の平滑化で短時間領域内尤度(例えば短時間領域内尤度Lin(k,m)_short)を算定するとともに領域外定位情報の時系列の平滑化で短時間領域外尤度(例えば短時間領域外尤度Lout(k,m)_short)を算定する第1演算手段(例えば第1演算部741)と、第1演算手段による平滑化の時定数を上回る時定数での平滑化を実行する手段であって、領域内定位情報の時系列の平滑化で長時間領域内尤度(例えば長時間領域内尤度Lin(k,m)_long)を算定するとともに領域外定位情報の時系列の平滑化で長時間領域外尤度(例えば長時間領域外尤度Lout(k,m)_long)を算定する第2演算手段(例えば第2演算部742)と、長時間領域外尤度に対する短時間領域内尤度に応じた領域内尤度と、長時間領域内尤度に対する短時間領域外尤度に応じた領域外尤度とを算定する第3演算手段(例えば第3演算部743)とを含む。以上の構成では、各周波数成分が対象定位範囲の内側または外側の音源に由来する確度と、各周波数成分が残響成分である確度との双方を反映した処理係数を生成することが可能である。
本発明の好適な態様において、残響解析手段は、音響信号の時間変化に追従する第1指標値(例えば第1指標値Q1(k,m))と、第1指標値と比較して低い追従性で音響信号の時間変化に追従する第2指標値(例えば第2指標値Q2(k,m))とを算定する第1解析手段(例えば第1解析部82Aまたは第1解析部82B)と、第1指標値と第2指標値との相違に応じた残響指標値を算定する第2解析手段(例えば第2解析部84)とを含む。以上の態様では、音響信号の時間変化に追従する第1指標値および第2指標値の相違に応じて残響指標値が算定されるから、例えば予測フィルタ係数の確率モデルを利用して残響成分を推定する技術と比較して簡易な処理で音響信号の残響成分および初期音成分を解析できるという利点がある。ただし、本発明における残響指標値の算定(残響成分の解析)には公知の技術が任意に採用される。本発明の好適な態様において、第1解析手段は、音響信号の強度の時系列を平滑化して第1指標値を算定する第1平滑手段(例えば第1平滑部821)と、第1平滑手段による平滑化の時定数を上回る時定数で音響信号の強度の時系列を平滑化することで第2指標値を算定する第2平滑手段(例えば第2平滑部822)とを含む。他の態様において、指標値算定手段は、第2指標値の時間変化が第1指標値の時間変化を遅延させた関係となるように、音響信号の信号強度の時系列を平滑化した第1指標値および第2指標値を生成する。
以上の各態様に係る音響処理装置は、音響信号の処理に専用されるDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェア(電子回路)によって実現されるほか、CPU(Central Processing Unit)などの汎用の演算処理装置とプログラムとの協働によっても実現される。本発明に係るプログラムは、定位軸上の対象定位範囲を設定する範囲設定処理と、音響信号の各周波数成分の定位方向を算定する定位解析処理と、音響信号の各周波数成分について、当該周波数成分が対象定位範囲内の音源に由来する確度を示す領域内尤度と、当該周波数成分が対象定位範囲外の音源に由来する確度を示す領域外尤度とを、当該周波数成分の定位方向に応じて算定する尤度算定処理と、音響信号の各周波数成分について残響成分の比率に応じた残響指標値を算定する残響解析処理と、音響信号のうち対象定位範囲内の音源に由来する残響成分または対象定位範囲外の音源に由来する残響成分を抑圧または強調するための処理係数を領域内尤度と領域外尤度と残響指標値とに応じて周波数成分毎に生成する係数設定処理と、音響信号の各周波数成分に当該周波数成分の処理係数を作用させる信号処理とをコンピュータに実行させる。以上のプログラムによれば、本発明に係る音響処理装置と同様の作用および効果が実現される。なお、本発明のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされるほか、通信網を介した配信の形態で提供されてコンピュータにインストールされる。
本発明の第1実施形態に係る音響処理装置のブロック図である。 音像分布画像の模式図である。 尤度算定部のブロック図である。 残響解析部のブロック図である。 第1指標値と第2指標値との関係の説明図である。 第2実施形態における尤度算定部のブロック図である。 第3実施形態における残響解析部のブロック図である。 第3実施形態における第1指標値と第2指標値との関係の説明図である。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る音響処理装置100のブロック図である。図1に示すように、音響処理装置100には信号供給装置200が接続される。信号供給装置200は、相異なる位置の音源が発音した複数の音響(歌唱音や楽器音)の混合音の波形を示す音響信号x(t)を音響処理装置100に供給する。音響信号x(t)は、各音源に対応する音像が相異なる位置に定位するように収音または加工(例えば左右チャネル間の強度差や位相差を調整する処理)された左チャネルの音響信号xL(t)と右チャネルの音響信号xR(t)とで構成されるステレオ信号である。周囲の音響を収音して音響信号x(t)を生成する収音機器や、可搬型または内蔵型の記録媒体から音響信号x(t)を取得する再生装置や、通信網から音響信号x(t)を受信する通信装置が信号供給装置200として採用され得る。なお、音響処理装置100と信号供給装置200とを一体に構成することも可能である。
音響処理装置100は、音響信号x(t)のうち特定の音響成分を強調または抑圧した音響信号y(t)を生成する。音響信号y(t)は、左チャネルの音響信号yL(t)と右チャネルの音響信号yR(t)とで構成されるステレオ信号である。図1に示すように、第1実施形態の音響処理装置100は、演算処理装置12と記憶装置14と表示装置22と入力装置24と放音装置26とを具備するコンピュータシステムで実現される。
表示装置22(例えば液晶表示パネル)は、演算処理装置12による制御のもとで各種の画像を表示する。入力装置24は、音響処理装置100に対する利用者からの指示を受付ける機器であり、例えば利用者が操作可能な複数の操作子で構成される。なお、表示装置22と一体に構成されるタッチパネルを入力装置24として利用することも可能である。放音装置26(例えばスピーカやヘッドホン)は、音響信号y(t)に応じた音波を再生する。
記憶装置14は、演算処理装置12が実行するプログラムPGMや演算処理装置12が使用する各種のデータを記憶する。半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の記録媒体または複数種の記録媒体の組合せが記憶装置14として任意に採用される。なお、各音響信号x(t)を記憶装置14に格納した構成(したがって信号供給装置200は省略される)も採用され得る。
演算処理装置12は、記憶装置14に記憶されたプログラムPGMを実行することで、音響信号x(t)から音響信号y(t)を生成するための複数の機能(周波数分析部32,定位解析部34,表示制御部36,範囲設定部38,尤度算定部42,残響解析部44,係数設定部46,信号処理部52,波形生成部54)を実現する。なお、演算処理装置12の各機能を複数の装置に分散した構成や、演算処理装置12の一部の機能を専用の電子回路(DSP)が実現する構成も採用され得る。
周波数分析部32は、周波数軸上に設定されたK個の周波数f1〜fKの各々について音響信号x(t)の周波数成分X(k,m)(音響信号xL(t)の周波数成分XL(k,m)および音響信号xR(t)の周波数成分XR(k,m))を時間軸上の単位期間(フレーム)毎に算定する。記号kは、K個の周波数f1〜fKのうち任意の1個の周波数(周波数帯域)fkを指示し、記号mは、時間軸上の任意の1個の時点(単位期間)を指示する。各周波数成分X(k,m)の算定には、例えば短時間フーリエ変換等の公知の周波数分析が任意に採用される。通過帯域が相違する複数の帯域通過フィルタで構成されるフィルタバンクを周波数分析部32として採用することも可能である。
定位解析部34は、音響信号x(t)の各周波数成分X(k,m)の音像が定位する方向(以下「定位方向」という)θ(k,m)を単位期間毎に算定する。定位方向θ(k,m)の算定には公知の技術が任意に採用され得るが、例えば、左チャネルの周波数成分XL(k,m)の振幅|XL(k,m)|と右チャネルの周波数成分XR(k,m)の振幅|XR(k,m)|とを適用した以下の数式(1)の演算が好適である。数式(1)で算定される定位方向θ(k,m)は、数値0が受聴者の正面方向を意味し、正面方向に対する左側を負数で表現するとともに右側を正数で表現する。なお、数式(1)については、例えば、M. Vinyes, J. Bonada, A. Loscos, "Demixing Commercial Music Productions via Human-Assisted Time-Frequency Masking",Audio Engineering Society 120th Convention, France, 2006にも詳述されている。
Figure 2013190640
図1の表示制御部36は、定位解析部34による解析結果を表現する図2の音像分布画像60を表示装置22に表示させる。図2に示すように、音像分布画像60は、周波数軸AFと定位軸APとが設定された周波数-定位平面62内での各周波数成分X(k,m)の分布を表現する画像である。周波数-定位平面62内には、特定の単位期間(例えば利用者が指定した単位期間)内の音響信号x(t)の各周波数成分X(k,m)を表象する複数の音像図形64が配置される。第1実施形態の各音像図形64は、周波数成分X(k,m)の強度に応じて表示態様(図2の例示では表示サイズ)が設定された円形状の画像である。各周波数成分X(k,m)に対応する音像図形64は、周波数軸AFのうちその周波数成分X(k,m)の周波数fkと、定位軸APのうちその周波数成分X(k,m)について定位解析部34が算定した定位方向θ(k,m)とに対応した座標に位置する。したがって、利用者は、各音像図形64の分布を視認することで周波数-定位平面62における音響信号x(t)の各周波数成分X(k,m)の分布を把握することが可能である。
利用者は、入力装置24を適宜に操作することで周波数-定位平面62内の任意の領域(以下「対象領域」という)Sを指定することが可能である。図1の範囲設定部38は、入力装置24に対する利用者からの指示に応じて対象領域Sを設定する。第1実施形態の対象領域Sは、周波数軸AF上の対象周波数範囲SFと定位軸AP上の対象定位範囲SPとで画定される矩形領域である。範囲設定部38は、対象周波数範囲SFおよび対象定位範囲SPの各々の位置および範囲(すなわち対象領域Sの位置および範囲)を利用者からの指示に応じて可変に設定する。なお、対象領域Sの形状は任意である。また、周波数-定位平面62内に複数の対象領域Sを設定することも可能である。
ところで、音源が発音した音響の初期音成分と残響成分とでは、定位解析部34が推定する定位方向θ(k,m)が相違する可能性がある。したがって、例えば定位方向θ(k,m)が対象定位範囲SP内に位置する周波数成分X(k,m)は、基本的には対象定位範囲SP内の音源に由来する音響成分(初期音成分または残響成分)であるが、対象定位範囲SP外の音源に由来する音響成分である可能性もある。同様に、定位方向θ(k,m)が対象定位範囲SP外に位置する周波数成分X(k,m)は、基本的には対象定位範囲SP外の音源に由来する音響成分であるが、対象定位範囲SP内の音源に由来する音響成分である可能性もある。
以上の傾向を考慮して、図1の尤度算定部42は、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの内側の音源に由来する音響成分である確度(尤もらしさ)の指標値(以下「領域内尤度」という)Lin(k,m)と、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの外側の音源に由来する音響成分である確度の指標値(以下「領域外尤度」という)Lout(k,m)とを、各周波数成分X(k,m)(各周波数fk)について単位期間毎に算定する。
図3は、第1実施形態の尤度算定部42のブロック図である。図3に示すように、尤度算定部42は、領域判定部72と演算処理部74Aとを含んで構成される。領域判定部72は、領域内定位情報Γin(k,m)と領域外定位情報Γout(k,m)とを各周波数fkについて単位期間毎に算定する。領域内定位情報Γin(k,m)は、周波数成分X(k,m)が周波数-定位平面62にて対象領域Sの内側に位置するか否かを指定する情報(フラグ)である。具体的には、各周波数成分X(k,m)の領域内定位情報Γin(k,m)は、周波数成分X(k,m)が対象領域Sの内側に位置する場合(周波数成分X(k,m)の周波数fkが対象周波数範囲SFの内側に位置するとともに周波数成分X(k,m)の定位方向θ(k,m)が対象定位範囲SPの内側に位置する場合)に1に設定され、周波数成分X(k,m)が対象領域Sの外側に位置する場合に0に設定される。
他方、領域外定位情報Γout(k,m)は、周波数成分X(k,m)が周波数-定位平面62にて対象領域Sの外側に位置するか否かを指定する情報(フラグ)である。具体的には、各周波数成分X(k,m)の領域外定位情報Γout(k,m)は、周波数成分X(k,m)が対象領域Sの外側に位置する場合(周波数成分X(k,m)の周波数fkが対象周波数範囲SFの外側に位置する場合または周波数成分X(k,m)の定位方向θ(k,m)が対象定位範囲SPの外側に位置する場合)に1に設定され、周波数成分X(k,m)が対象領域Sの内側に位置する場合に0に設定される。以上の説明から理解されるように、1個の周波数成分X(k,m)に対応する領域内定位情報Γin(k,m)と領域外定位情報Γout(k,m)との加算値は1となる(Γin(k,m)+Γout(k,m)=1)。また、領域内定位情報Γin(k,m)が1である周波数成分X(k,m)が対象領域S内の音源に由来する音響成分(音源が発音した初期音成分またはその初期音成分の残響成分)であるとは限らず、領域外定位情報Γout(k,m)が1である周波数成分X(k,m)が対象領域S外の音源に由来する音響成分であるとは限らない。
図3の演算処理部74Aは、領域内定位情報Γin(k,m)に応じた領域内尤度Lin(k,m)と領域外定位情報Γout(k,m)に応じた領域外尤度Lout(k,m)とを各周波数成分X(k,m)について単位期間毎に算定する。第1実施形態の演算処理部74Aは、領域内定位情報Γin(k,m)および領域外定位情報Γout(k,m)の移動平均を算定する。具体的には、演算処理部74Aは、以下の数式(2A)で表現されるように、領域内定位情報Γin(k,m)の指数移動平均(指数平均)を領域内尤度Lin(k,m)として算定し、数式(2B)で表現されるように、領域外定位情報Γout(k,m)の指数移動平均を領域外尤度Lout(k,m)として算定する。
Figure 2013190640
数式(2A)および数式(2B)における記号λは平滑化係数(忘却係数)であり、1未満の正数に設定される。数式(2A)から理解されるように、過去の単位期間にて周波数成分X(k,m)が対象領域Sの内側に存在した頻度が高い(すなわち周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの内側の音源に由来する確度が高い)ほど領域内尤度Lin(k,m)は大きい数値となる。また、数式(2B)から理解されるように、過去の単位期間にて周波数成分X(k,m)が対象領域Sの外側に存在した頻度が高い(すなわち周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの外側の音源に由来する確度が高い)ほど領域外尤度Lout(k,m)は大きい数値となる。
図1の残響解析部44は、音響信号x(t)の残響成分を解析する。具体的には、残響解析部44は、音響信号x(t)のうち残響成分の比率(あるいは初期音成分の比率)に応じた残響指標値R(k,m)をK個の周波数成分X(k,m)の各々について単位期間毎に算定する。概略的には、周波数成分X(k,m)内で残響成分の強度が高い(残響成分が初期音成分に対して優勢である)ほど残響指標値R(k,m)は小さい数値に設定されるという傾向がある。すなわち、第1実施形態の残響指標値R(k,m)は、周波数成分X(k,m)における初期音成分の優勢度とも換言され得る。
図4は、残響解析部44のブロック図である。図4に示すように、第1実施形態の残響解析部44は、第1解析部82Aと第2解析部84とを含んで構成される。第1解析部82Aは、各周波数成分X(k,m)に応じた第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)を単位期間毎に算定する。図4に示すように、第1実施形態の第1解析部82Aは、第1平滑部821と第2平滑部822とを含んで構成される。第1平滑部821は、周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の時系列を平滑化することで各周波数fkの第1指標値Q1(k,m)を単位期間毎に算定する。同様に、第2平滑部822は、周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の時系列を平滑化することで各周波数fkの第2指標値Q2(k,m)を単位期間毎に算定する。
第1指標値Q1(k,m)は、以下の数式(3A)で定義されるように、平滑化係数α1を適用したパワー|X(k,m)|2の指数移動平均である。他方、第2指標値Q2(k,m)は、以下の数式(3B)で定義されるように、平滑化係数α2を適用したパワー|X(k,m)|2の指数移動平均である。平滑化係数α1は、過去の第1指標値Q1(k,m-1)に対する現在のパワー|X(k,m)|2の重みを意味し、平滑化係数α2は、過去の第2指標値Q2(k,m-1)に対する現在のパワー|X(k,m)|2の重みを意味する。以上の説明から理解されるように、第1平滑部821および第2平滑部822はIIR(infinite impulse response)型のローパスフィルタに相当する。
Figure 2013190640
平滑化係数α1は平滑化係数α2を上回る数値に設定される(α1>α2)。したがって、第2平滑部822による平滑化の時定数τ2は第1平滑部821による平滑化の時定数τ1を上回る(τ2>τ1)。第1平滑部821および第2平滑部822をローパスフィルタで実現する場合を想定すると、第2平滑部822の遮断周波数が第1平滑部821の遮断周波数を下回ると換言することも可能である。
図5の部分(B)は、任意の周波数fkにおける第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)の時間変化のグラフである。図5の部分(A)のようにパワー|X(k,m)|2(パワー密度)が指数減衰する室内インパルス応答(RIR)を音響信号x(t)として音響処理装置100に供給した場合の第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)が図5の部分(B)には図示されている。
図5の部分(B)から理解されるように、第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)は、周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2に追従して経時的に変化する。ただし、第2平滑部822による平滑化の時定数τ2は第1平滑部821による平滑化の時定数τ1を上回るから、第2指標値Q2(k,m)は、第1指標値Q1(k,m)と比較して低い追従性(変化率)で周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の時間変化に追従する。具体的には、図5の部分(B)に示すように、室内インパルス応答の開始の時点t0の直後の区間では、第1指標値Q1(k,m)が第2指標値Q2(k,m)を上回る変化率で増加する。第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)は、時間軸上の相異なる時点でピークに到達し、第1指標値Q1(k,m)は第2指標値Q2(k,m)を上回る変化率で減少する。
以上のように第1指標値Q1(k,m)と第2指標値Q2(k,m)とは相異なる変化率で変化するから、第1指標値Q1(k,m)と第2指標値Q2(k,m)との大小は時間軸上の特定の時点txで反転する。すなわち、時点t0から時点txまでの区間SAでは第1指標値Q1(k,m)が第2指標値Q2(k,m)を上回り、時点tx以降の区間SBでは第2指標値Q2(k,m)が第1指標値Q1(k,m)を上回る。区間SAは、室内インパルス応答の初期音成分(直接音)が存在する区間に相当し、区間SBは、室内インパルス応答の残響成分(後部残響音)が存在する区間に相当する。
図4の第2解析部84は、第1指標値Q1(k,m)と第2指標値Q2(k,m)との相違に応じた残響指標値R(k,m)を各周波数成分X(k,m)について単位期間毎に算定する。第1実施形態の第2解析部84は、以下の数式(4)で表現される通り、第2指標値Q2(k,m)に対する第1指標値Q1(k,m)の比を残響指標値R(k,m)として算定する。
Figure 2013190640
第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)が図5の部分(B)のように変化する場合の残響指標値R(k,m)の変化が図5の部分(C)に図示されている。なお、図5の部分(C)では、残響指標値R(k,m)の数値範囲を上限値GHと下限値GLとの間の範囲に制限している。図5の部分(C)から理解されるように、概略的には、第1指標値Q1(k,m)が第2指標値Q2(k,m)を上回る場合(区間SA)の残響指標値R(k,m)は、第1指標値Q1(k,m)が第2指標値Q2(k,m)を下回る場合(区間SB)の残響指標値R(k,m)と比較して大きい数値に設定される。具体的には、残響指標値R(k,m)は、周波数成分X(k,m)の初期音成分が残響成分に対して優勢な区間SA内で大きい数値に設定され、周波数成分X(k,m)の残響成分が初期音成分に対して優勢な区間SB内では経時的に減少する。したがって、周波数成分X(k,m)内での初期音成分と残響成分との比率の指標値として残響指標値R(k,m)を利用することが可能である。
図1の係数設定部46は、音響信号x(t)の残響成分を抑圧するための処理係数G(Gg(k,m),Gin(k,m),Gout(k,m))を、尤度算定部42が算定した領域内尤度Lin(k,m)および領域外尤度Lout(k,m)と残響解析部44が算定した残響指標値R(k,m)とに応じて単位期間毎に算定する。第1実施形態の各処理係数Gは、上限値GHと下限値GLとの間の数値に設定される(GL≦G≦GH)。第1実施形態では上限値GHを1に設定した場合を例示する。下限値GLは、上限値GHを下回る数値(0以上かつ1未満の範囲内の数値)に設定される。なお、入力装置24に対する利用者からの指示に応じて上限値GHや下限値GLを可変に設定することも可能である。
処理係数Gg(k,m)は、音響信号x(t)の残響成分を抑圧するための係数(ゲイン)である。係数設定部46は、以下の数式(5)で表現されるように、残響指標値R(k,m)が上限値GHを上回る場合(R(k,m)≧GH)には処理係数Gg(k,m)を上限値GHに設定し、残響指標値R(k,m)が下限値GLを下回る場合(R(k,m)≦GL)には処理係数Gg(k,m)を下限値GLに設定する。他方、残響指標値R(k,m)が上限値GHと下限値GLとの間の数値である場合(GL<R(k,m)<GH)、係数設定部46は、処理係数Gg(k,m)を残響指標値R(k,m)に設定する。
Figure 2013190640
数式(5)から理解されるように、周波数成分X(k,m)内で残響成分が初期音成分と比較して優勢である(残響指標値R(k,m)が小さい)ほど処理係数Gg(k,m)は小さい数値に設定される。したがって、処理係数Gg(k,m)を各周波数成分X(k,m)に乗算した場合、音響信号x(t)の残響成分が抑圧される。
処理係数Gin(k,m)は、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SPの内側に位置する音源に由来する残響成分を抑圧するための係数(ゲイン)である。係数設定部46は、以下の数式(6A)で表現されるように、領域内尤度Lin(k,m)に対する領域外尤度Lout(k,m)の比(Lout(k,m)/Lin(k,m))を残響指標値R(k,m)に乗算した数値(以下「第1係数値」という)C1(k,m)を算定したうえで数式(6B)の閾値処理を実行する。具体的には、係数設定部46は、第1係数値C1(k,m)が上限値GHを上回る場合(C1(k,m)≧GH)には処理係数Gin(k,m)を上限値GHに設定し、第1係数値C1(k,m)が下限値GLを下回る場合(C1(k,m)≦GL)には処理係数Gin(k,m)を下限値GLに設定する。他方、第1係数値C1(k,m)が上限値GHと下限値GLとの間の数値である場合(GL<C1(k,m)<GH)、係数設定部46は、処理係数Gin(k,m)を第1係数値C1(k,m)に設定する。
Figure 2013190640
数式(6A)および数式(6B)から理解されるように、周波数成分X(k,m)内で残響成分が初期音成分と比較して優勢である(残響指標値R(k,m)が小さい)ほど処理係数Gin(k,m)は小さい数値に設定され、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの内側の音源に由来する確度が高い(領域内尤度Lin(k,m)が領域外尤度Lout(k,m)に対して大きい)ほど処理係数Gin(k,m)(第1係数値C1(k,m))は小さい数値に設定される。すなわち、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの内側の音源に由来する残響成分である可能性が高いほど処理係数Gin(k,m)は小さい数値に設定される。したがって、処理係数Gin(k,m)を各周波数成分X(k,m)に乗算した場合、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SPの内側の音源に由来する残響成分が抑圧される。
処理係数Gout(k,m)は、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SPの外側に位置する音源に由来する残響成分を抑圧するための係数(ゲイン)である。係数設定部46は、以下の数式(7A)で表現されるように、領域外尤度Lout(k,m)に対する領域内尤度Lin(k,m)の比(Lin(k,m)/Lout(k,m))を残響指標値R(k,m)に乗算した数値(以下「第2係数値」という)C2(k,m)を算定したうえで数式(7B)の閾値処理を実行する。具体的には、係数設定部46は、第2係数値C2(k,m)が上限値GHを上回る場合(C2(k,m)≧GH)には処理係数Gout(k,m)を上限値GHに設定し、第2係数値C2(k,m)が下限値GLを下回る場合(C2(k,m)≦GL)には処理係数Gout(k,m)を下限値GLに設定する。他方、第2係数値C2(k,m)が上限値GHと下限値GLとの間の数値である場合(GL<C2(k,m)<GH)、係数設定部46は、処理係数Gout(k,m)を第2係数値C2(k,m)に設定する。
Figure 2013190640
数式(7A)および数式(7B)から理解されるように、周波数成分X(k,m)内で残響成分が初期音成分と比較して優勢である(残響指標値R(k,m)が小さい)ほど処理係数Gout(k,m)は小さい数値に設定され、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの外側の音源に由来する確度が高い(領域外尤度Lout(k,m)が領域内尤度Lin(k,m)に対して大きい)ほど処理係数Gout(k,m)(第2係数値C2(k,m))は小さい数値に設定される。すなわち、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの外側の音源に由来する残響成分である可能性が高いほど処理係数Gout(k,m)は小さい数値に設定される。したがって、処理係数Gout(k,m)を各周波数成分X(k,m)に乗算した場合、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SPの外側の音源に由来する残響成分が抑圧される。
図1の信号処理部52は、音響信号x(t)の各周波数成分X(k,m)に処理係数G(Gg(k,m),Gin(k,m),Gout(k,m))を作用させることで音響信号y(t)の各周波数成分Y(k,m)(左チャネルの周波数成分YL(k,m)および右チャネルの周波数成分YR(k,m))を単位期間毎に算定する。波形生成部54は、信号処理部52が生成した各周波数成分Y(k,m)から時間領域の音響信号y(t)(yL(t),yR(t))を生成する。具体的には、波形生成部54は、K個の周波数成分Y(1,m)〜Y(K,m)の系列(周波数スペクトル)に対する短時間逆フーリエ変換で単位期間毎に時間信号を生成し、前後の単位期間で時間信号を相互に連結することで音響信号y(t)を生成する。波形生成部54が生成した音響信号y(t)が放音装置26から音波として再生される。
第1実施形態の信号処理部52は、領域判定部72が生成した領域内定位情報Γin(k,m)および領域外定位情報Γout(k,m)の一方を各処理係数Gとともに周波数成分X(k,m)に作用させる。信号処理部52による処理内容は、入力装置24に対する利用者からの指示に応じて制御される。具体的には、利用者は、対象領域Sの内側または外側と、初期音成分または残響成分と、抑圧または強調との各項目を任意に指定することが可能である。利用者からの指示に応じた信号処理部52の具体的な処理を以下に例示する。
[1]対象領域S内の音源に由来する初期音成分および残響成分を抑圧する場合
対象領域S内の音源に由来する初期音成分および残響成分の抑圧(マイナスワン)が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(8)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640
数式(8)の領域外定位情報Γout(k,m)は、音響信号x(t)のうち対象領域Sの外側の各周波数成分X(k,m)を抽出するとともに対象領域Sの内側の各周波数成分X(k,m)を抑圧(除去)する。領域外定位情報Γout(k,m)のみを各周波数成分X(k,m)に乗算した場合、対象領域S外の音源に由来する音響成分(初期音成分および残響成分)に加えて対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分が音響信号y(t)には残留する。数式(8)の処理係数Gin(k,m)は、対象領域S内の音源に由来する残響成分を抑圧する。したがって、数式(8)の演算によれば、音響信号x(t)のうち対象領域S内の音源に由来する初期音成分および残響成分の双方を高精度に抑圧することが可能である。
[2]対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分を抑圧する場合
対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分の抑圧が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(9)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640
数式(9)の領域内定位情報Γin(k,m)は、音響信号x(t)のうち対象領域Sの内側の各周波数成分X(k,m)を抽出するとともに対象領域Sの外側の各周波数成分X(k,m)を抑圧(除去)する。したがって、数式(9)の演算によれば、音響信号x(t)のうち対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分を抑圧することが可能である。なお、領域内定位情報Γin(k,m)と領域外定位情報Γout(k,m)とは周波数fkについて排他的(相補的)であり、1個の周波数fkについて同時に1に設定されることはないから、数式(9)の演算で算定される周波数成分Y(k,m)の振幅が周波数成分X(k,m)の振幅を上回ることはない。数式(9)の括弧{ }内を、領域内定位情報Γin(k,m)と、領域外定位情報Γout(k,m)および処理係数Gin(k,m)の乗算値との最大値を採択する演算(max{Γin(k,m),Γout(k,m)Gin(k,m)})に置換することも可能である。
[3]対象領域S内の音源に由来する初期音成分および残響成分を抽出する場合
対象領域S内の音源に由来する初期音成分および残響成分の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(10)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640

処理係数Gin(k,m)は、対象領域S内の音源に由来する残響成分を抑圧するから、数式(10)の係数{1−Gin(k,m)}は、対象領域S内の音源に由来する残響成分を抽出する。したがって、数式(10)の演算によれば、対象領域S内の音源に由来する対象領域S内の音響成分(初期音成分および残響成分)と対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分とを抽出することが可能である。なお、数式(9)と同様に、数式(10)の演算で算定される周波数成分Y(k,m)の振幅が周波数成分X(k,m)の振幅を上回ることはない。数式(10)の括弧{ }内を、領域内定位情報Γin(k,m)と、領域外定位情報Γout(k,m)および処理係数(1−Gin(k,m))の乗算値との最大値を採択する演算(max{Γin(k,m),Γout(k,m)(1−Gin(k,m))})に置換することも可能である。
[4]対象領域S内の初期音成分を抽出する場合
対象領域S内の初期音成分(対象領域S内の音源が発音した初期音成分)の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(11)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640
数式(11)の処理係数Gg(k,m)は、音響信号x(t)の残響成分を抑圧する。したがって、領域内定位情報Γin(k,m)および処理係数Gg(k,m)のみを周波数成分X(k,m)に乗算した場合、対象領域Sの外側の周波数成分X(k,m)を抑圧するとともに対象領域Sの内側の周波数成分X(k,m)から残響成分を抑圧する(すなわち対象領域S内の初期音成分を強調する)ことが可能である。ただし、実際には対象領域S内の残響成分は完全には除去されず、対象領域S内の音源に由来する残響成分と対象領域S外の音源に由来する残響成分とが残留する。しかし、対象領域S外の音源に由来する残響成分が対象領域S内の音源の初期音成分と混在すると聴感的に不自然な音響となる。以上の傾向を考慮して、数式(11)では、対象領域S外の音源に由来する残響成分を処理係数Gout(k,m)で抑圧する。したがって、音響信号x(t)のうち対象領域S内の初期音成分が強調された聴感的に自然な音響信号y(t)を生成することが可能である。
[5]対象領域S内の音源に由来する対象領域S内の残響成分を抽出する場合
対象領域Sの内側の音源に由来する残響成分の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(12)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640
処理係数Gg(k,m)は残響成分を抑圧するから、数式(12)の係数{1−Gg(k,m)}は、音響信号x(t)の初期音成分を抑圧するとともに残響成分を抽出する。領域内定位情報Γin(k,m)および係数{1−Gg(k,m)}のみを周波数成分X(k,m)に乗算した場合、対象領域Sの外側の周波数成分X(k,m)を抑圧するとともに対象領域S内の周波数成分X(k,m)から初期音成分を抑圧することが可能である。対象領域S内の周波数成分X(k,m)には、対象領域S内の音源に由来する残響成分と対象領域S外の音源に由来する残響成分とが混在する。以上の傾向を考慮して、数式(12)では、対象領域S外の音源に由来する残響成分を処理係数Gout(k,m)で抑圧する。したがって、対象領域S内の音源に由来する対象領域S内の残響成分を高精度に抽出することが可能である。
[6]対象領域S外の音源に由来する対象領域S内の残響成分を抽出する場合
対象領域S外の音源に由来する対象領域S内の残響成分の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(13)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640
処理係数Gout(k,m)は対象領域S外の音源に由来する残響成分を抑圧するから、数式(13)の係数{1−Gout(k,m)}は、対象領域S外の音源に由来する残響成分を抽出する。したがって、対象領域S外の音源に由来する対象領域S内の残響成分を高精度に抽出することが可能である。
[7]対象領域S外の初期音成分を抽出する場合
対象領域S外の初期音成分(対象領域S外の音源が発音した初期音成分)の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(14)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640

前掲の数式(11)の説明から理解される通り、数式(14)の演算によれば、対象領域S外の周波数成分X(k,m)のうち対象領域Sの内側の音源に由来する残響成分が充分に抑圧され、音響信号x(t)のうち対象領域S外の初期音成分が抽出された聴感的に自然な音響信号y(t)を生成することが可能である。
[8]対象領域S外の音源に由来する対象領域S外の残響成分を抽出する場合
対象領域S外の音源に由来する対象領域S外の残響成分の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(15)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640

前掲の数式(12)の説明から理解される通り、数式(15)の演算によれば、対象領域Sの外側の周波数成分X(k,m)の残響成分のうち対象領域Sの外側の音源に由来する残響成分を高精度に抽出することが可能である。
[9]対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分を抽出する場合
対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分の抽出が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(16)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640

前掲の数式(13)の説明から理解される通り、数式(16)の演算によれば、対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分を高精度に抽出することが可能である。
[10]対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分を増強する場合
対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分の増強が利用者から指示された場合、信号処理部52は、以下の数式(17)の演算で周波数成分Y(k,m)を算定する。
Figure 2013190640
数式(16)について前述した通り、領域外定位情報Γout(k,m)と係数{1−Gin(k,m)}との乗算値は、音響信号x(t)のうち対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分を抽出するように作用する。したがって、数式(17)の演算によれば、音響信号x(t)のうち対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分のみを係数βに応じて増強することが可能である。係数βは、例えば入力装置24に対する利用者からの指示に応じた正数に設定される。
以上に説明した第1実施形態によれば、残響指標値R(k,m)に加えて領域内尤度Lin(k,m)と領域外尤度Lout(k,m)とが処理係数Gin(k,m)および処理係数Gout(k,m)に反映されるから、例えば対象領域S内の音源に由来する対象領域S外の残響成分や、対象領域S外の音源に由来する対象領域S内の残響成分を選択的に強調または抑圧できる。すなわち、特定の方向に位置する音源の音響成分(初期音成分および残響成分)を高精度に強調または抑圧することが可能である。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
図6は、第2実施形態における尤度算定部42のブロック図である。第2実施形態の尤度算定部42は、第1実施形態の演算処理部74A(図3)を演算処理部74Bに置換した構成である。演算処理部74Bは、第1実施形態の演算処理部74Aと同様に領域内尤度Lin(k,m)および領域外尤度Lout(k,m)を算定する要素であり、第1演算部741と第2演算部742と第3演算部743とを含んで構成される。なお、領域内定位情報Γin(k,m)と領域外定位情報Γout(k,m)とを算定する領域判定部72の構成および動作は第1実施形態と同様である。
第1演算部741は、領域内定位情報Γin(k,m)の時系列の平滑化で短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortを算定し、領域外定位情報Γout(k,m)の時系列の平滑化で短時間領域外尤度Lout(k,m)_shortを算定する。第1演算部741による平滑化には平滑化係数λ1が適用される。具体的には、第1演算部741は、以下の数式(18A)で表現されるように、平滑化係数λ1を適用した領域内定位情報Γin(k,m)の指数移動平均を短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortとして算定し、数式(18B)で表現されるように、平滑化係数λ1を適用した領域外定位情報Γout(k,m)の指数移動平均を短時間領域外尤度Lout(k,m)_shortとして算定する。
Figure 2013190640
他方、第2演算部742は、領域内定位情報Γin(k,m)の時系列の平滑化で長時間領域内尤度Lin(k,m)_longを算定し、領域外定位情報Γout(k,m)の時系列の平滑化で長時間領域外尤度Lout(k,m)_longを算定する。第2演算部742による平滑化には、前述の平滑化係数λ1とは別個に設定された平滑化係数λ2が適用される。具体的には、第2演算部742は、以下の数式(19A)で表現されるように、平滑化係数λ2を適用した領域内定位情報Γin(k,m)の指数移動平均を長時間領域内尤度Lin(k,m)_longとして算定し、数式(19B)で表現されるように、平滑化係数λ2を適用した領域外定位情報Γout(k,m)の指数移動平均を長時間領域外尤度Lout(k,m)_longとして算定する。
Figure 2013190640
平滑化係数λ1は平滑化係数λ2を上回る数値に設定される(λ1>λ2)。例えば、平滑化係数λ1は数式(3A)の平滑化係数α1と同等の数値に設定され、平滑化係数λ2は数式(3B)の平滑化係数α2と同等の数値に設定される。したがって、第2演算部742による平滑化の時定数τ2は第1演算部741による平滑化の時定数τ1を上回る(τ2>τ1)。すなわち、長時間領域内尤度Lin(k,m)_longは短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortと比較して低い追従性(変化率)で領域内定位情報Γin(k,m)の時間変化に追従し、長時間領域外尤度Lout(k,m)_longは短時間領域外尤度Lout(k,m)_shortと比較して低い追従性で領域外定位情報Γout(k,m)の時間変化に追従すると換言することも可能である。
第3演算部743は、第1演算部741および第2演算部742による演算の結果を利用して領域内尤度Lin(k,m)と領域外尤度Lout(k,m)とを各周波数成分X(k,m)について単位期間毎に算定する。具体的には、第3演算部743は、以下の数式(20A)で表現されるように、長時間領域外尤度Lout(k,m)_longに対する短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortの比を領域内尤度Lin(k,m)として算定し、数式(20B)で表現されるように、長時間領域内尤度Lin(k,m)_longに対する短時間領域外尤度Lout(k,m)_shortの比を領域外尤度Lout(k,m)として算定する。
Figure 2013190640
数式(20A)および数式(20B)の分子に着目すると、第1実施形態と同様に、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの内側の音源に由来する確度が高いほど領域内尤度Lin(k,m)は大きい数値となり、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの外側の音源に由来する確度が高いほど領域外尤度Lout(k,m)は大きい数値となることが理解される。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。
ところで、対象定位範囲SP内の音源に由来する残響成分は、短期的には対象定位範囲SPの内側に存在する可能性が高いが、長期的には対象定位範囲SPの外側に到達し得る。したがって、周波数成分X(k,m)が残響成分に該当する場合には、周波数成分X(k,m)が初期音成分である場合と比較すると、長時間領域外尤度Lout(k,m)_longが短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortに対して相対的に大きい数値となる。すなわち、数式(20A)で算定される領域内尤度Lin(k,m)は、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SP内の音源に由来する確度(第1実施形態と同様の確度)に加えて、周波数成分X(k,m)が残響成分に該当する確度を反映した数値となる。数式(20B)の領域外尤度Lout(k,m)も同様に、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SP外の音源に由来する確度と、周波数成分X(k,m)が残響成分である確度との双方を反映した数値となる。したがって、第3実施形態の領域内尤度Lin(k,m)や領域外尤度Lout(k,m)に応じた処理係数G(Gin(k,m),Gout(k,m))を音響信号x(t)の処理に適用することで、第1実施形態と比較して音響信号x(t)の残響成分が高精度に抑圧または強調されるという利点がある。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態における残響解析部44のブロック図である。第3実施形態の残響解析部44は、第1実施形態の第1解析部82A(図4)を第1解析部82Bに置換した構成である。第1解析部82Bは、第1実施形態の第1解析部82Aと同様に第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)を単位期間毎に算定する要素であり、第1平滑部821と第2平滑部822と遅延部823とを含んで構成される。なお、第2解析部84の構成および動作は第1実施形態と同様である。
第1平滑部821は、第1実施形態と同様に、各周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の平滑化で第1指標値Q1(k,m)を単位期間毎に算定する。遅延部823は、各周波数成分X(k,m)を単位期間のd個分(dは自然数)に相当する時間だけ遅延させる記憶回路である。第2平滑部822は、遅延部823による遅延後の各周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の平滑化で第2指標値Q2(k,m)を単位期間毎に算定する。第3実施形態では、第1平滑部821による平滑化の時定数τ1と第2平滑部822による平滑化の時定数τ2とは同等である(τ1=τ2)。ただし、時定数τ1と時定数τ2とを相違させることも可能である。また、第1平滑部821が算定した第1指標値Q1(k,m)を遅延させることで第2指標値Q2(k,m)を算定する構成(第2平滑部822を省略した構成)も採用され得る。
図8の部分(B)は、図3の部分(A)と同様の室内インパルス応答(図8の部分(A))を音響信号x(t)として第3実施形態の音響処理装置100に供給した場合の第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)の時間変化のグラフである。
図8の部分(B)から理解されるように、第1指標値Q1(k,m)と第2指標値Q2(k,m)とで時間変化の態様(波形)は共通するが、第2指標値Q2(k,m)の時間変化は第1指標値Q1(k,m)の時間変化に対して単位期間のd個分だけ遅延した関係にある。すなわち、第2指標値Q2(k,m)は第1指標値Q1(k,m)と比較して低い追従性で周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2に追従する。したがって、第1実施形態と同様に、第1指標値Q1(k,m)と第2指標値Q2(k,m)との大小は時間軸上の特定の時点txで反転する。すなわち、時点txまでの区間SAでは第1指標値Q1(k,m)が第2指標値Q2(k,m)を上回り、時点tx以降の区間SBでは第2指標値Q2(k,m)が第1指標値Q1(k,m)を上回る。
第2解析部84による残響指標値R(k,m)の算定(数式(4))は第1実施形態と同様であるから、図8の部分(C)に示すように、残響指標値R(k,m)は、初期音成分が存在する区間SA内で1に設定され、残響成分が存在する区間SBでは下限値GLまで経時的に減少する。したがって、第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。なお、第2実施形態に第3実施形態を適用することも可能である。
<変形例>
前述の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
(1)前述の各形態では、各周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の指数移動平均を第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)として算定したが、第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)の算定方法は以上の例示に限定されない。例えば、以下の数式(21A)および数式(21B)で表現されるように、各周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の単純移動平均を第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)として算定することも可能である。
Figure 2013190640
数式(21A)の第1指標値Q1(k,m)は、相前後するM1個(M1は2以上の自然数)の単位期間で構成される第1期間内のパワー|X(k,m)|2の移動平均である。第1期間は、例えば第m番目の単位期間を最後尾とするM1個の単位期間の集合である。他方、数式(21B)の第2指標値Q2(k,m)は、相前後するM2個(M2は2以上の自然数)の単位期間で構成される第2期間内のパワー|X(k,m)|2の移動平均である。第2期間は、例えば第m番目の単位期間を最後尾とするM2個の単位期間の集合である。第2指標値Q2(k,m)の算定に加味される単位期間の個数M2は、第1指標値Q1(k,m)の算定に加味される単位期間の個数M1を上回る(M2>M1)。すなわち、第2期間は第1期間よりも長い。例えば、第1期間は100ミリ秒から300ミリ秒程度の時間に設定され、第2期間は300ミリ秒から600ミリ秒程度の時間に設定される。したがって、前述の各形態と同様に、第2平滑部822による平滑化の時定数τ2は第1平滑部821による平滑化の時定数τ1を上回る(τ2>τ1)。すなわち、第2指標値Q2(k,m)は、第1指標値Q1(k,m)と比較して低い追従性で各周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2に追従する。なお、パワー|X(k,m)|2の加重移動平均を第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)として算定することも可能である。
また、第2実施形態の短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortおよび短時間領域外尤度Lout(k,m)_shortや長時間領域内尤度Lin(k,m)_longおよび長時間領域外尤度Lout(k,m)_longを単純移動平均や加重移動平均で算定することも可能である。長時間領域内尤度Lin(k,m)_longおよび長時間領域外尤度Lout(k,m)_longの算定に加味される期間の時間長(単位期間の個数)は、短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortおよび短時間領域外尤度Lout(k,m)_shortの算定に加味される期間の時間長を上回る。
(2)前述の各形態では、音響信号x(t)の残響成分を抑圧するための処理係数G(Gg(k,m),Gin(k,m),Gout(k,m))を算定したが、音響信号x(t)の残響成分を強調するための処理係数G(Gg(k,m),Gin(k,m),Gout(k,m))を算定することも可能である。例えば、数式(5)の閾値処理において残響指標値R(k,m)が上限値GHと下限値GLとの間の範囲内にある場合に、処理係数Gg(k,m)を数値{1−R(k,m)}に設定することで、残響成分を強調する処理係数Gg(k,m)が算定される。同様に、数式(6B)の閾値処理で処理係数Gin(k,m)を数値{1−C1(k,m)}に設定すれば、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SPの内側に位置する音源に由来する残響成分を強調する処理係数Gin(k,m)が算定される。また、数式(7B)の閾値処理で処理係数Gout(k,m)を数値{1−C2(k,m)}に設定すれば、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SPの外側に位置する音源に由来する残響成分を強調する処理係数Gout(k,m)が算定される。
なお、数値{1−R(k,m)}は1以下の数値であるから、前述の例示のように処理係数Gg(k,m)を数値{1−R(k,m)}とした構成では、残響成分を音響信号x(t)内の残響成分と比較して増強することはできない。残響成分を増強するためには、例えば1以上の係数σ(例えばσ=2)を適用した数値{σ−R(k,m)}を処理係数Gg(k,m)とする構成が採用される。ただし、例えば図5から理解されるように残響指標値R(k,m)は音響の発音点(時点t0)から僅かに遅延して変化するから、発音点の直後には音響指標値R(k,m)が1を下回る数値となり、結果的に音響の立上がり(初期音成分)も強調される可能性がある。したがって、実際には、残響指標値R(k,m)の減衰区間(すなわち立上がり以外の区間)についてのみ処理係数Gg(k,m)を数値{σ−R(k,m)}に設定する構成が好適である。例えば、音響信号x(t)から検出された発音点に対して所定の時間が経過した時点から処理係数Gg(k,m)を数値{σ−R(k,m)}に設定することが可能である。発音点の検出には公知の技術が採用され得る。
(3)領域内尤度Lin(k,m)および領域外尤度Lout(k,m)の算定方法は以上の例示に限定されない。例えば、第1実施形態の演算処理部74Aが以下の数式(22A)および数式(22B)の演算で領域内尤度Lin(k,m)および領域外尤度Lout(k,m)を算定することも可能である。数式(22B)の平滑化係数λ1は数式(22A)の平滑化係数λ2を上回る数値に設定される。すなわち、領域内定位情報Γin(k,m)の平滑化の時定数τ2は、領域外定位情報Γout(k,m)の平滑化の時定数τ1を上回る。
Figure 2013190640
(4)残響指標値R(k,m)の算定方法は以上の例示に限定されない。例えば、第1指標値Q1(k,m)に対する第2指標値Q2(k,m)の比(Q2(k,m)/Q1(k,m))を、初期音成分の比率(残響成分の比率)を表現する残響指標値R(k,m)として算定することも可能である。また、例えば、残響成分または初期音成分の特徴量の分布を例えば正規混合分布でモデル化した音響モデルを各周波数成分X(k,m)の特徴量と対比し、周波数成分X(k,m)が音響モデルから生起する尤度(周波数成分X(k,m)が残響成分または初期音成分に該当する尤度)を残響指標値R(k,m)として算定することも可能である。
(5)前述の各形態では、処理係数Gin(k,m)および処理係数Gout(k,m)の双方を算定したが、処理係数Gin(k,m)および処理係数Gout(k,m)の一方のみを算定することも可能である。また、前述の各形態では、処理係数G(Gg(k,m),Gin(k,m),Gout(k,m)とともに領域内定位情報Γin(k,m)または領域外定位情報Γout(k,m)を音響信号x(t)に作用させたが、処理係数Gのみを音響信号x(t)に作用させる構成(領域内定位情報Γin(k,m)および領域外定位情報Γout(k,m)を音響信号x(t)の処理に適用しない構成)も採用され得る。例えば、処理係数Gin(k,m)を音響信号x(t)に作用させることで対象定位範囲SP内の音源に由来する残響成分を抑圧または強調することが可能であり、処理係数Gout(k,m)を音響信号x(t)に作用させることで対象定位範囲SP外の音源に由来する残響成分を抑圧または強調することが可能である。
(6)前述の各形態では、領域内尤度Lin(k,m)と領域外尤度Lout(k,m)との比(Lout(k,m)/Lin(k,m),Lin(k,m)/Lout(k,m))を残響指標値R(k,m)に乗算することで第1係数値C1(k,m)や第2係数値C2(k,m)を算定したが、領域内尤度Lin(k,m)や領域外尤度Lout(k,m)に応じて第1係数値C1(k,m)や第2係数値C2(k,m)を算定する方法は以上の例示に限定されない。例えば、領域内尤度Lin(k,m)に対する領域外尤度Lout(k,m)の比(Lout(k,m)/Lin(k,m))に所定の係数Axを付加して残響指標値R(k,m)に乗算することで第1係数値C1(k,m)(C1(k,m)={Ax・Lout(k,m)/Lin(k,m)}・R(k,m))を算定する構成や、領域内尤度Lin(k,m)のn1乗に対する領域外尤度Lout(k,m)のn2乗の比(冪指数n1および冪指数n2の異同は不問)を残響指標値R(k,m)に乗算することで第1係数値C1(k,m)を算定する構成も採用される。また、領域外尤度Lout(k,m)と領域内尤度Lin(k,m)との差分(Lout(k,m)−Lin(k,m))を残響指標値R(k,m)に乗算することで第1係数値C1(k,m)を算定することも可能である。第2係数値C2(k,m)についても同様に変形され得る。
以上の例示から理解されるように、領域内尤度Lin(k,m)が領域外尤度Lout(k,m)に対して大きい(すなわち、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの内側の音源に由来する確度が高い)ほど第1係数値C1(k,m)(処理係数Gin(k,m))が小さい数値に設定され、残響指標値R(k,m)が小さい(すなわち、周波数成分X(k,m)内で残響成分が初期音成分と比較して優勢である)ほど第1係数値C1(k,m)(処理係数Gin(k,m))が小さい数値に設定される構成が好適である。以上の説明では第1係数値C1(k,m)(処理係数Gin(k,m))について例示したが、第2係数値C2(k,m)(処理係数Gout(k,m))の算定についても同様に変形され得る。すなわち、領域外尤度Lout(k,m)が領域内尤度Lin(k,m)に対して大きい(すなわち、周波数成分X(k,m)が対象定位範囲SPの外側の音源に由来する確度が高い)ほど第2係数値C2(k,m)(処理係数Gout(k,m))が小さい数値に設定され、残響指標値R(k,m)が小さいほど第2係数値C2(k,m)(処理係数Gout(k,m))が小さい数値に設定される構成が好適である。
また、第2実施形態の領域内尤度Lin(k,m)や領域外尤度Lout(k,m)の算定方法は前掲の数式(20A)および数式(20B)に限定されない。例えば、短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortと長時間領域外尤度Lout(k,m)_longとの差分{Lin(k,m)_short−Lout(k,m)_long}を領域内尤度Lin(k,m)として算定する構成や、短時間領域内尤度Lin(k,m)_shortと長時間領域外尤度Lout(k,m)_longとを適用した所定の演算で領域内尤度Lin(k,m)を算定する構成も採用され得る。領域外尤度Lout(k,m)についても同様である。
(7)前述の各形態で生成した音響信号y(t)に各種の音響効果(例えばコンプレッサやイコライザやリバーブ等)を付与することも可能である。例えば、残響成分および初期音成分の一方を抽出した音響信号y(t)と残響成分および初期音成分の他方を抽出した音響信号y(t)とに対して個別の音響効果を付与する構成によれば、新規で特徴的な音響を生成することが可能である。また、音響信号x(t)のうち対象定位範囲SP内の音源(例えば受聴点の左前方または右前方に位置する音源)に由来する残響成分を抽出した音響信号y(t)に対して各種の音響効果(例えば抑圧または強調,コンプレッサ,イコライザ,リバーブ等)を付与することも可能である。
(8)前述の各形態では、各周波数成分X(k,m)のパワー|X(k,m)|2の時系列を平滑化することで第1指標値Q1(k,m)および第2指標値Q2(k,m)を算定したが、第1平滑部821および第2平滑部822による平滑化の対象はパワー|X(k,m)|2に限定されない。例えば、各周波数成分X(k,m)の振幅|X(k,m)|や振幅の4乗|X(k,m)|4を平滑化することで第1指標値Q1(k,m)や第2指標値Q2(k,m)を算定することも可能である。すなわち、前述の各形態における第1平滑部821や第2平滑部822は、音響信号x(t)の強度の時系列を平滑化する要素として包括され、音響信号x(t)の強度は、パワー|X(k,m)|2のほかに振幅|X(k,m)|や振幅の4乗|X(k,m)|4を包含する。
100……音響処理装置、200……信号供給装置、12……演算処理装置、14……記憶装置、22……表示装置、24……入力装置、26……放音装置、32……周波数分析部、34……定位解析部、36……表示制御部、38……範囲設定部、42……尤度算定部、44……残響解析部、46……係数設定部、52……信号処理部、54……波形生成部、72……領域判定部、74A,74B……演算処理部、741……第1演算部、742……第2演算部、743……第3演算部、82A,82B……第1解析部、84……第2解析部、821……第1平滑部、822……第2平滑部、823……遅延部。

Claims (5)

  1. 定位軸上の対象定位範囲を設定する範囲設定手段と、
    音響信号の各周波数成分の定位方向を算定する定位解析手段と、
    前記音響信号の各周波数成分について、当該周波数成分が前記対象定位範囲内の音源に由来する確度を示す領域内尤度と、当該周波数成分が前記対象定位範囲外の音源に由来する確度を示す領域外尤度とを、当該周波数成分の定位方向に応じて算定する尤度算定手段と、
    前記音響信号の各周波数成分について残響成分の比率に応じた残響指標値を算定する残響解析手段と、
    前記音響信号のうち前記対象定位範囲内の音源に由来する残響成分または前記対象定位範囲外の音源に由来する残響成分を抑圧または強調するための処理係数を前記領域内尤度と前記領域外尤度と前記残響指標値とに応じて周波数成分毎に生成する係数設定手段と、
    前記音響信号の各周波数成分に当該周波数成分の前記処理係数を作用させる信号処理手段と
    を具備する音響処理装置。
  2. 前記範囲設定手段は、周波数軸上の対象周波数範囲と定位軸上の前記対象定位範囲とで周波数-定位平面内に画定される対象領域を設定し、
    前記尤度算定手段は、
    前記音響信号の各周波数成分が前記対象領域内に位置するか否かを指定する領域内定位情報と、各周波数成分が前記対象領域外に位置するか否かを指定する領域外定位情報とを、当該周波数成分の定位方向に応じて単位期間毎に算定する領域判定手段と、
    前記領域内定位情報の移動平均に応じて前記領域内尤度を算定し、前記領域外定位情報の移動平均に応じて前記領域外尤度を算定する演算処理手段とを含む
    請求項1の音響処理装置。
  3. 前記信号処理手段は、前記音響信号の各周波数成分に対し、当該周波数成分の前記処理係数と、当該周波数成分の前記領域内定位情報および前記領域外定位情報の一方とを作用させる
    請求項2の音響処理装置。
  4. 前記演算処理手段は、
    前記領域内定位情報の時系列の平滑化で短時間領域内尤度を算定するとともに前記領域外定位情報の時系列の平滑化で短時間領域外尤度を算定する第1演算手段と、
    前記第1演算手段による平滑化の時定数を上回る時定数での平滑化を実行する手段であって、前記領域内定位情報の時系列の平滑化で長時間領域内尤度を算定するとともに前記領域外定位情報の時系列の平滑化で長時間領域外尤度を算定する第2演算手段と、
    前記長時間領域外尤度に対する前記短時間領域内尤度に応じた領域内尤度と、前記長時間領域内尤度に対する前記短時間領域外尤度に応じた領域外尤度とを算定する第3演算手段とを含む
    請求項2または請求項3の音響処理装置。
  5. 前記残響解析手段は、
    前記音響信号の時間変化に追従する第1指標値と、前記第1指標値と比較して低い追従性で前記音響信号の時間変化に追従する第2指標値とを算定する第1解析手段と、
    前記第1指標値と前記第2指標値との相違に応じた前記残響指標値を算定する第2解析手段とを含む
    請求項1から請求項4の何れかの音響処理装置。
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