JP2013189734A - ゴム補強用偏平コード - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴムとの高い接着性とともに高強力、熱寸法安定性および耐疲労性に優れ、かつ繊維補強層を薄肉化できることによってタイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品を軽量化することが可能であるゴム補強用偏平コードを提供する。
【解決手段】ゴム補強用コードであって、繊度100〜3000dtexの該有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、該ゴム補強用コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上である偏平断面を有していることを特徴とするゴム補強用偏平コードとする。
【選択図】図1
【解決手段】ゴム補強用コードであって、繊度100〜3000dtexの該有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、該ゴム補強用コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上である偏平断面を有していることを特徴とするゴム補強用偏平コードとする。
【選択図】図1
Description
本発明はゴム補強用偏平コードに関し、さらに詳しくはゴムとの高い接着性とともに高強力、熱寸法安定性および耐疲労性に優れ、かつ繊維補強層を薄肉化できることによってタイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品を軽量化することが可能であるゴム補強用偏平コードに関する。
近年、地球環境破壊、石油資源枯渇といった課題に対し、自動車、電機機器をはじめ省エネルギー化、エネルギー代替化が非常に注目され、特に燃費向上のための自動車の軽量化に伴う、タイヤ、ベルト、ホースなど自動車ゴム部材の軽量化、コンパクト化のニーズが急速に高まっている。こういったゴム部材はポリエステルをはじめとする有機繊維で補強されているのが一般的であり、その中でも補強繊維としてはもっとも汎用性のあるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びその誘導体に代表されるポリエステル繊維をはじめとする有機繊維が多く用いられている。これら自動車ゴム部材を補強する有機繊維は強力と耐久性を満たすために一般的にマルチフィラメントを撚り合せて撚糸コードとし、エポキシを主成分とするプライマーとレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)系接着剤でゴム接着処理を施した処理コードを用いているのが一般的である。
こういった背景のもと、ゴム補強用繊維の形態を変えることによるゴム部材の省エネルギー、耐久性、軽量化など高性能化を図る試みがなされている。例えば、特許文献1(特許第3387571号公報)には、タイヤのベルト補強層として断面形状が長短径の比1.5以上でデニール数が2000〜4000dtexの偏平有機繊維モノフィラメントを用いてトレッド部を補強する空気入りラジアルタイヤが開示されている。また、特許文献2(特開平9−67732号公報)には、タイヤのカーカス材として耐疲労性、操縦安定性に優れたポリエステルモノフィラメントコードが開示されている。しかし、これらの技術において、モノフィラメントは曲げに対する柔軟性が低いため、実用上耐え得る耐疲労性には至っておらず、実用化のためには大きな課題を有しているのが現状である。さらに、特許文献3(特許第4237510号公報)には、テープ状のポリエチレンナフタレートをタイヤのベルト補強層に用いることによって補強層薄肉化によるタイヤ軽量化を図るとともに、高速耐久性、操縦安定性を高めることが開示されている。補強材をテープ状にすることによってモノフィラメントに比べて曲げ歪みに対する耐久性は大幅に向上するものの、タイヤ実使用に耐え得るポリエチレンナフタレートフィルムが得難く、現状実用化には至っていない。また、これらモノフィラメントやフィルムはマルチフィラメントからなる繊維コードに比べて表面が平滑であるため、接着におけるマクロ的なアンカー効果がないために実用上充分な接着力を得ることが非常に難しいという大きな課題も有する。一方、特許文献4(特開平7−3566号公報)には、単糸繊度が1〜500Deのポリエステルマルチフィラメントを無撚あるいは1200以下の撚係数で撚糸された状態で前処理剤及び接着剤をヤーン重量に対して4〜20重量%付与する偏平状ヤーンが開示されている。この方法は無撚あるいは甘撚コードを多量の前処理剤と接着剤によって収束させることによってコードの偏平化を図るものであったが、得られるコードが硬く耐疲労性に劣るばかりでなく、フィラメント割れやガムアップなどの工程通過性などの課題が多く実用性を得るには至っていない。
本発明は上記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、ゴムとの高い接着性とともに高強力かつ耐疲労性に優れ、かつ繊維補強層を薄肉化できることによってタイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品を軽量化することが可能であるゴム補強用偏平コードを提供することである。
本発明者は、繊維コードの構造と断面形状に着目し検討したところ、次の構成としたとき上記課題を達成できることを見出した。
かくして本発明によれば、ゴム補強用コードであって、繊度100〜3000dtexの有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、該ゴム補強用コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上である偏平断面を有していることを特徴とするゴム補強用偏平コードが提供される。
かくして本発明によれば、ゴム補強用コードであって、繊度100〜3000dtexの有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、該ゴム補強用コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上である偏平断面を有していることを特徴とするゴム補強用偏平コードが提供される。
本発明によれば、ゴムとの高い接着性とともに高強力、熱寸法安定性および耐疲労性に優れ、かつ繊維補強層を薄肉化できることによってタイヤ、ベルト、ホース等のゴム製品を軽量化することが可能であるゴム補強用偏平コードが提供できる。
本発明のゴム補強用偏平コード(以下、偏平コードと称することがある)は、有機繊維マルチフィラメントからなるコードであり、タイヤ、ベルト、ホース等、自動車用をはじめとする各種ゴム部材に用い、ゴム部材の軽量化、耐久性向上が図ることができる。上記有機繊維マルチフィラメントは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリビニルアルコール、レーヨン、アラミドから選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で好ましい。
本発明で用いる有機繊維マルチフィラメントの繊度は100〜3000dtexである。繊度が100dtex未満ではゴム部材を補強するのに強力が不足するため実用上必要な耐久性が得られず、一方、3000dtexを超える場合はコードの径が大きくなりすぎて本発明の目的である補強層の薄肉化、軽量化効果が得難い。該有機繊維フィラメントの繊度としては、500〜200dtexであることがより好ましい。
本発明においては、偏平コードが、有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、偏平コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上であることが肝要である。
本発明においては、偏平コードが、有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、偏平コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上であることが肝要である。
本発明においては、撚糸コードを用いることでゴム補強用コードに必要な強力、耐疲労性を持たせるとともに、撚糸コードを複数本用いて組紐に製編し、ゴム補強用コードを偏平化することによって、タイヤ、ゴムホース、伝動ベルト、コンベアベルトなどのゴム部材内のコード補強層を薄肉化し、該補強層に必要なゴム使用量を軽減化することができ、ゴム部材全体の重量の軽量化を実現できる。また、本発明の偏平コードは、撚糸コードを用いていること、さらにこれを組紐としていることから、該偏平コード表面に凹凸形状が形成され、該凹凸形状がゴム接着においてマクロ的なアンカー効果を発揮して高いゴム接着性を実現できることがわかった。
本発明に用いる撚糸コードには撚係数300〜2500の撚りを施されている必要があるが、ここで、撚係数は撚糸コードの長さ10cmあたりの撚数をT、撚糸コードを構成する有機繊維マルチフィラメントの全繊度をDとすると、K=T×D0.5で表される。上記撚係数が300未満ではフィラメントの収束性が低いため強力や耐疲労性、ゴム接着性が低くなる傾向がある。一方、撚係数が2500より大きいと強力が低下したり撚糸コード径が太くなったりするため、ゴム部材の補強効果が低くなってしまう。本発明においては、撚係数は500〜2000がより好ましい。有機繊維マルチフィラメントに撚りを施すのには、リング撚糸機など公知の方法を用いることができる。
本発明においては、上記で得られた撚糸コードを複数本用いて製編した組紐とする。この際、公知の製紐機を使用して製編することができる。本発明においては、組紐を構成する撚糸コードの本数は、3〜20本が好ましく、3〜10本がより好ましく、3〜8本がさらに好ましい。組紐形態は、丸打ち組紐、平打ち組紐などを採用できるが、偏平な形態とする観点から平打ち組紐が好ましい。組紐の構成は、例えば上記撚糸コードの本数の範囲で、適宜設計することができる。例えば、一般的なタイヤコード構成である総繊度3000デニール(1670dtex/1×2)の双撚コードに代えて本発明の偏平コードを用いる場合は、750デニールの撚糸コード4本で製編ないしは1000デニールの撚糸コード3本で製編することによって総繊度3000デニールの偏平コードとすればよい。
本発明における該偏平コードの断面径の長径Aと短径Bの偏平比(A/B)は1.5以上である。A/Bが1.5未満の場合、ゴム部材の補強層の薄肉化ができず軽量化効果が得られにくい。一方、A/Bが大きければ大きいほど補強層は薄肉化できるが、大きすぎるとコードの幅、すなわち長径Aが大きくなるために偏平コードの取り扱い性が悪くなるので、20以下にすることが好ましい。偏平比は、より好ましくは1.5〜10、さらに好ましくは1.5〜5である。上記偏平は、3本以上の撚糸を用いた組紐、特に平打ち組紐としたとき、容易に達成することができ、構成する撚糸の本数等を調整することによって、偏平比を容易に設計することができる。組紐を製編する際の撚方向は任意に設定することができる。また、組紐構造における、撚糸コードの交絡数は、強力、コード太さ、疲労性の観点から偏平コード1mあたり、好ましくは5〜40回、より好ましくは5〜30回、さらに好ましくは10〜30回である。
本発明における偏平コードは、接着剤をその付着量が1〜20重量%となるようにディップしてRFL接着処理を行って得られる。接着剤としては、通常用いられるレゾルシン-ホルマリン初期縮合物(RF)にゴムラテックス(L)を加えたRFL処理剤を用いれば実用性のあるゴム接着性が得られる。また、有機繊維がポリエステルやアラミドなど表面活性の低い繊維の場合は、RFL処理の前にイソシアネート化合物、ブロックドイソシアネート化合物、エポキシ化合物などの混合物で一般的なプライマー処理を施す。これら接着剤の総付着量は1重量%未満であると充分なゴム接着性が得られず実用が困難であり、一方、20重量%を越える場合は接着処理工程あるいはゴム部材製造工程におけるガムアップや補強コードの単位重量やコストが上がってしまうため実用性に乏しい。接着剤の総付着量は1.5〜15重量%であることが本発明においては好ましい。
本発明における偏平コードは、ゴムとの高い接着性とともに高強力、熱寸法安定性および耐疲労性に優れ、また補強層を薄肉化できるため、タイヤ、ゴムホース、伝動ベルト、コンベアベルトなどのゴム部材における補強層に必要なゴム使用量を軽減化することができることによってゴム部材を軽量化でき、省エネルギー化の効果を大いに発揮することができる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、実施例は説明のためのものであって、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明の実施例における評価は下記の測定法で行った。
(1)コード物性
JIS L1017に準じて測定を行った。
JIS L1017に準じて測定を行った。
(2)コードの断面偏平比(A/B)
コードを1mおきに30ヶ所切断して断面写真を撮影し、写真から断面の長径Aおよび短径Bを読み取り、A/Bの平均値を算出した。
コードを1mおきに30ヶ所切断して断面写真を撮影し、写真から断面の長径Aおよび短径Bを読み取り、A/Bの平均値を算出した。
(3)ゴム接着力(PLY剥離)
コードを0.4mm厚のSBR/NR系ゴムシート上に30本/inchの密度で互いに平行に並べたプライ2枚を、0.4mm厚のSBR/NR系ゴムシートを挟んで重ねあわせて2inch幅のベルトを作成し、温度150℃で30分間、90kg/cm2の条件で加硫した。1層のプライを1inch幅で20mm/分の速度で剥離した際の剥離力の平均値をゴム接着力として求めた。
コードを0.4mm厚のSBR/NR系ゴムシート上に30本/inchの密度で互いに平行に並べたプライ2枚を、0.4mm厚のSBR/NR系ゴムシートを挟んで重ねあわせて2inch幅のベルトを作成し、温度150℃で30分間、90kg/cm2の条件で加硫した。1層のプライを1inch幅で20mm/分の速度で剥離した際の剥離力の平均値をゴム接着力として求めた。
(4)耐疲労性評価(シューシャイン試験)
2.5mm厚のSBR/NR系ゴムを挟んで、得られたコードを26本/inchの密度で互いに平行に並べた2層のプライを作成し、さらに各プライ層の外側を1.5mm厚のSBR/NR系ゴムでカバーしたのち、温度150℃で30分間、90kg/cm2の条件で加硫して、長さ500mm、幅5mm、厚み5.5mmのベルトを作成した。
次いで、このベルトを50kg/inchの荷重を印加して直径20mmのプーリーに取付け、温度100℃にて5時間にわたり10万サイクルの繰返し伸張圧縮疲労を加えた。伸張圧縮疲労後のベルトの内側(プーリー側)のプライからコードを取り出したのちに引張試験を行い、疲労前のコード強力に対する疲労後のコード強力の維持率を求めた。
この評価方法は、特開2007−168783号公報に示されるような動的たわみ試験で、すなわちシューシャイン試験と呼ばれている評価方法を参考としたものである。
2.5mm厚のSBR/NR系ゴムを挟んで、得られたコードを26本/inchの密度で互いに平行に並べた2層のプライを作成し、さらに各プライ層の外側を1.5mm厚のSBR/NR系ゴムでカバーしたのち、温度150℃で30分間、90kg/cm2の条件で加硫して、長さ500mm、幅5mm、厚み5.5mmのベルトを作成した。
次いで、このベルトを50kg/inchの荷重を印加して直径20mmのプーリーに取付け、温度100℃にて5時間にわたり10万サイクルの繰返し伸張圧縮疲労を加えた。伸張圧縮疲労後のベルトの内側(プーリー側)のプライからコードを取り出したのちに引張試験を行い、疲労前のコード強力に対する疲労後のコード強力の維持率を求めた。
この評価方法は、特開2007−168783号公報に示されるような動的たわみ試験で、すなわちシューシャイン試験と呼ばれている評価方法を参考としたものである。
[実施例1]
830dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 830T192 P900M)にZ方向の撚数55回/10cm(撚係数1506)をかけて撚糸コードを作成したのちに、この撚糸コード4本を用いて製紐機でS方向、Z方向交互に2本ずつ配置するように1mあたり20回の交絡数となるように平打ち組紐を作成した。この組紐を25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率1.5%の条件で接着処理加工を行い、偏平コードを巻き取った。得られた偏平コードの物性は表1にまとめて示す。
830dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 830T192 P900M)にZ方向の撚数55回/10cm(撚係数1506)をかけて撚糸コードを作成したのちに、この撚糸コード4本を用いて製紐機でS方向、Z方向交互に2本ずつ配置するように1mあたり20回の交絡数となるように平打ち組紐を作成した。この組紐を25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率1.5%の条件で接着処理加工を行い、偏平コードを巻き取った。得られた偏平コードの物性は表1にまとめて示す。
[実施例2]
1100dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 1100T250 P900M)にZ方向の撚数49回/10cm(撚係数1550)をかけて撚糸コードを作成したのちに、この撚糸コード3本を用いて製紐機でS方向、Z方向、S方向に1本ずつ配置するように1mあたり20回の交絡数となるように平打ち組紐を作成した。この組紐を25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率1.5%の条件で接着処理加工を行い、偏平コードを巻き取った。得られた偏平コードの物性は表1にまとめて示す。
1100dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 1100T250 P900M)にZ方向の撚数49回/10cm(撚係数1550)をかけて撚糸コードを作成したのちに、この撚糸コード3本を用いて製紐機でS方向、Z方向、S方向に1本ずつ配置するように1mあたり20回の交絡数となるように平打ち組紐を作成した。この組紐を25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率1.5%の条件で接着処理加工を行い、偏平コードを巻き取った。得られた偏平コードの物性は表1にまとめて示す。
[比較例1]
830dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 830T192 P900M)にZ方向の撚数55回/10cm(撚係数1506)をかけて下撚コードを作成したのちに、この下撚コード4本を用いてS方向の撚数40回/10cm(撚係数2190)をかけて830dtex/1×4の上撚コードを得た。この撚糸コードを25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率4.0%の条件で接着処理加工を行い、コードを巻き取った。得られたコードの物性は表1にまとめて示す。
830dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 830T192 P900M)にZ方向の撚数55回/10cm(撚係数1506)をかけて下撚コードを作成したのちに、この下撚コード4本を用いてS方向の撚数40回/10cm(撚係数2190)をかけて830dtex/1×4の上撚コードを得た。この撚糸コードを25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率4.0%の条件で接着処理加工を行い、コードを巻き取った。得られたコードの物性は表1にまとめて示す。
[比較例2]
1100dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 1100T250 P900M)にZ方向の撚数49回/10cm(撚係数1550)をかけて下撚コードを作成したのちに、この下撚コード3本を用いてS方向の撚数49回/10cm(撚係数2684)をかけて1100dtex/1×3の撚糸コードを得た。この撚糸コードを25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率5.9%の条件で接着処理加工を行い、コードを巻き取った。得られたコードの物性は表1にまとめて示す。
1100dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 1100T250 P900M)にZ方向の撚数49回/10cm(撚係数1550)をかけて下撚コードを作成したのちに、この下撚コード3本を用いてS方向の撚数49回/10cm(撚係数2684)をかけて1100dtex/1×3の撚糸コードを得た。この撚糸コードを25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率5.9%の条件で接着処理加工を行い、コードを巻き取った。得られたコードの物性は表1にまとめて示す。
[比較例3]
1670dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 1670T250 P900M)にZ方向の撚数40回/10cm(撚係数1549)をかけて下撚コードを作成したのちに、この下撚コード2本を用いてS方向の撚数40回/10cm(撚係数2190)をかけて1670dtex/1×2の上撚コードを得た。この撚糸コードを25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率2.8%で接着処理加工を行い、コードを巻き取った。得られたコードの物性は表1にまとめて示す。
1670dtexのポリエチレンテレフタレート繊維(帝人ファイバー製テトロン BHT 1670T250 P900M)にZ方向の撚数40回/10cm(撚係数1549)をかけて下撚コードを作成したのちに、この下撚コード2本を用いてS方向の撚数40回/10cm(撚係数2190)をかけて1670dtex/1×2の上撚コードを得た。この撚糸コードを25m/分の速度で引き出して1浴剤としてエポキシ系処理剤をディップし、150℃で120秒、次いで240℃で60秒の熱処理を行い、さらに引き続き2浴剤としてRFL処理剤を接着剤総付着量が3%となるようにディップし、170℃で120秒、240℃で60秒の熱処理を総ストレッチ率2.8%で接着処理加工を行い、コードを巻き取った。得られたコードの物性は表1にまとめて示す。
表1から明らかな通り、本発明の実施例はいずれも比較例と同等の高強力を維持しながら低収縮かつ高偏平比のコードが得られており、さらには凹凸形状を有することによって高いゴム接着力を示すとともに、偏平形状であることから繰返し屈曲に対する耐疲労性が非常に高い特徴を有することは明白である。これを用いることによって従来成し得なかったタイヤ、ベルト、ホース等の補強層の薄肉化ができることでゴム部材の軽量化が可能であり、熱寸法安定性および耐疲労性に優れるためゴム部材を長寿命化することができるため、省エネルギーの面で大いに特性を発揮できる。
本発明のゴム補強用偏平コードは、ゴムとの高い接着性とともに高強力、熱寸法安定性および耐疲労性に優れており、さらには補強層の薄肉化が可能となるためゴム部材の軽量化を図ることができるため、タイヤ、ベルト、ホース等のゴム補強材料として好適に用いることができる。
A:コード断面長径(mm)
B:コード断面短径(mm)
B:コード断面短径(mm)
Claims (3)
- ゴム補強用コードであって、繊度100〜3000dtexの有機繊維マルチフィラメントに撚係数300〜2500の撚りを施した撚糸コードを製編してなる組紐からなり、該ゴム補強用コード断面が長径Aと短径Bの偏平比(A/B)が1.5以上である偏平断面を有していることを特徴とするゴム補強用偏平コード。
- 有機繊維マルチフィラメントが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ポリビニルアルコール、レーヨン、アラミドから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載のゴム補強用偏平コード。
- ゴム補強用コードが、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)接着剤を1〜20%付着してなる請求項1あるいは2記載のゴム補強用偏平コード。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016170050A1 (en) * | 2015-04-22 | 2016-10-27 | Teijin Aramid B.V. | Cord comprising multifilament para-aramid yarn comprising non-round filaments |
CN106192196A (zh) * | 2015-05-07 | 2016-12-07 | 江苏伯龙宇航新材料科技有限公司 | 一种封顶织物的缝合织造方法 |
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2012
- 2012-03-15 JP JP2012058814A patent/JP2013189734A/ja active Pending
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