JP2013189354A - シリコン単結晶の製造装置およびシリコン単結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】るつぼに入ったシリコン融液に種結晶を浸漬してシリコン単結晶を成長させる際に、多結晶や双晶が発生するのを防止する。
【解決手段】製造装置10は、上下が開口した筒状に形成されるとともに、その外側壁面が容器2の側壁の内側壁面と接しないようにして、シリコン融液Mに浸漬された種結晶Sを囲む耐熱性の隔離壁7と、隔離壁7を上下方向に移動させる移動手段6と、を備える。隔離壁7を、その下端がシリコン融液Mに浸漬されるまで下ろすと、シリコン融液Mの上部において発生する周囲部M1から中央部M2へ向かう対流が遮られ、中央部M2における温度揺らぎが低減される。
【選択図】図1
【解決手段】製造装置10は、上下が開口した筒状に形成されるとともに、その外側壁面が容器2の側壁の内側壁面と接しないようにして、シリコン融液Mに浸漬された種結晶Sを囲む耐熱性の隔離壁7と、隔離壁7を上下方向に移動させる移動手段6と、を備える。隔離壁7を、その下端がシリコン融液Mに浸漬されるまで下ろすと、シリコン融液Mの上部において発生する周囲部M1から中央部M2へ向かう対流が遮られ、中央部M2における温度揺らぎが低減される。
【選択図】図1
Description
本発明は、シリコン単結晶の製造装置およびシリコン単結晶の製造方法に関する。
従来、シリコン単結晶のインゴットを製造する方法として、るつぼに保持されたシリコン融液の液面にシリコンの種結晶を浸漬することにより、種結晶からシリコン単結晶を成長させるようにした、いわゆる、カイロポーラス法(以下LEK法)が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来のLEK法では、結晶成長時に多結晶や双晶が発生しやすいという問題があった。この問題について検討したところ、シリコン融液の温度揺らぎとシリコン融液の液面を回遊する異物による過冷却がその主な原因であることを突き止めた。すなわち、シリコン融液の結晶成長方向の温度勾配が小さい従来のLEK法では、温度揺らぎや異物による局所的かつ急激な温度変化により、成長中の結晶と融液の界面における凝固と融解の繰り返しの幅が大きくなり、高い頻度で多結晶や双晶が発生していた。そして、このことがインゴットの歩留まりの低下を招いていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、るつぼに保持されたシリコン融液に種結晶を浸漬してシリコン単結晶を成長させる際に、多結晶や双晶が発生するのを防止することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、シリコン単結晶の原料を保持する耐熱性の容器と、前記原料を任意の温度に加熱する温度制御機構と、種結晶を、前記原料が融解してできたシリコン融液に浸漬された状態で保持可能な保持機構と、を備えるシリコン単結晶の製造装置において、上下が開口した筒状に形成されるとともに、その外側壁面が前記容器の側壁の内側壁面と接しないようにして、前記シリコン融液に浸漬された前記種結晶を囲む耐熱性の隔離壁と、前記隔離壁を上下方向に移動させる移動手段と、を備えることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシリコン単結晶の製造装置において、前記シリコン融液の上方に、前記容器の内側に挿入可能な有底筒状に形成されるとともに、上下動可能に設けられた輻射シールドを備え、前記隔離壁は、前記輻射シールドの下端に取り付けられ、前記輻射シールドとともに上下方向に移動することを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のシリコン単結晶の製造装置において、前記容器を水平方向に沿って切断したときの断面の形状は正方形または円形であり、前記断面の正方形の一辺の長さ、または前記断面の円形の直径を1としたときに、前記容器と前記隔離壁とが最も近づく箇所における前記容器の側壁の内側壁面と前記隔離壁の外側壁面との距離が0.05以上0.25以下となることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造装置において、前記隔離壁は、複数の板材によって角筒状に形成されていることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造装置において、前記隔離壁は、円筒状に形成されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造装置において、前記シリコン融液に浸漬された前記種結晶を冷却するための冷却機構を備えることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、シリコン単結晶の原料を保持する耐熱性の容器と、前記原料を任意の温度に加熱する温度制御機構と、種結晶を、前記原料が融解してできたシリコン融液に浸漬された状態で保持可能な保持機構と、を備えるシリコン単結晶の製造装置において、前記容器を水平方向に沿って切断したときの断面形状は正方形または長方形であり、前記シリコン融液の最も温度が高くなる箇所と前記シリコン融液に浸漬された前記種結晶との間において、その下端部が前記シリコン融液に浸漬された耐熱性の隔離壁を備えることを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、耐熱性の容器に保持されたシリコン単結晶の原料を加熱し、前記原料が融解してできたシリコン融液に種結晶を浸漬することにより、前記種結晶から結晶を成長させるシリコン単結晶の製造方法において、前記容器を加熱して前記原料を融解させた後、上下が開口した筒状に形成された隔離壁を、その外側壁面が前記容器の側壁の内側壁面と接しないよう、且つその下端が全周に亘って前記シリコン融液に浸漬されるように降下させ、前記シリコン融液の液面であって前記隔離壁に囲まれる部分に前記種結晶を浸漬して、結晶の成長を開始させることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のシリコン単結晶の製造方法において、前記容器として、水平方向に沿って切断したときの断面の形状が正方形または円形のものを用い、前記隔離壁を、前記断面の正方形の一辺の長さ、または前記断面の円形の直径を1としたときに、前記容器と前記隔離壁とが最も近づく箇所における前記容器の側壁の内側壁面と前記隔離壁の外側壁面との距離が0.05以上0.25以下となるように降下させることを特徴としている。
本発明によれば、隔離壁を、その下端がシリコン融液に浸漬されるまで下ろしたときに、シリコン融液のうち少なくとも上部が、隔離壁によって容器の側壁近傍である周囲部と種結晶の浸漬箇所およびその近傍である中央部とに隔てられるので、加熱中にシリコン融液の上部において発生する周囲部から中央部へ向かう対流が遮られ、シリコン融液の中央部における温度揺らぎが低減される。また、容器の内側壁面に形成される離型材が剥離するなどしてシリコン融液の周囲部の液面に異物が浮かび上がっても隔離壁によって中央部への移動が遮られるので、異物が種結晶に接触することによる種結晶の過冷却が防止される。従って、シリコン単結晶を成長させる際に、多結晶や双晶が発生するのを防止することができる。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
以下、本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
〔シリコン単結晶の製造装置〕
まず、本実施形態のシリコン単結晶の製造装置(以下、製造装置10)の概略構成について説明する。
本実施形態の製造装置10は、図1に示すように、本体1、るつぼ2、サセプタ3、ヒーター4、種結晶保持冷却機構5、輻射シールド6、石英シールド7などで構成されている。
本体1は、側壁11と、側壁11の上に設けられるチャンバーフランジ12などからなる。側壁11は、断熱材でるつぼ2、サセプタ3、ヒーター4を囲むように筒状に形成されている。チャンバーフランジ12は、側壁11の上に開閉可能に設けられた蓋である。チャンバーフランジ12が閉じられると、本体1内は気密状態となる。
まず、本実施形態のシリコン単結晶の製造装置(以下、製造装置10)の概略構成について説明する。
本実施形態の製造装置10は、図1に示すように、本体1、るつぼ2、サセプタ3、ヒーター4、種結晶保持冷却機構5、輻射シールド6、石英シールド7などで構成されている。
本体1は、側壁11と、側壁11の上に設けられるチャンバーフランジ12などからなる。側壁11は、断熱材でるつぼ2、サセプタ3、ヒーター4を囲むように筒状に形成されている。チャンバーフランジ12は、側壁11の上に開閉可能に設けられた蓋である。チャンバーフランジ12が閉じられると、本体1内は気密状態となる。
るつぼ2は、シリコン単結晶の原料であるシリコン融液(以下融液M)を保持するための耐熱性の容器であって、例えば石英で形成されている。また、るつぼ2は、上面が開口された有底の角筒状をなし、水平方向に沿って切断したときの断面形状は正方形となっている。
サセプタ3は、るつぼ2を保持するための部材であって、カーボンでるつぼ2を収納可能な形状(ここでは略立方体状)に形成されるとともに、本体1の内部に配置されている。
ヒーター(温度制御機構)4は、サセプタ3およびサセプタ3に保持されるるつぼ2を加熱するためのもので、例えばグラファイトで、サセプタ3の側方に、サセプタ3を囲むように設けられている。ヒーター4の加熱温度は、任意に調節できるよう構成されている。
サセプタ3は、るつぼ2を保持するための部材であって、カーボンでるつぼ2を収納可能な形状(ここでは略立方体状)に形成されるとともに、本体1の内部に配置されている。
ヒーター(温度制御機構)4は、サセプタ3およびサセプタ3に保持されるるつぼ2を加熱するためのもので、例えばグラファイトで、サセプタ3の側方に、サセプタ3を囲むように設けられている。ヒーター4の加熱温度は、任意に調節できるよう構成されている。
種結晶保持冷却機構(保持機構、冷却機構)5は、種結晶Sを保持、冷却および移動させるためのものである。種結晶保持冷却機構5は、チャンバーフランジ12の上に設けられる軸上下動機構51と、軸上下動機構51の上に設けられる軸回転機構52、軸回転機構52から鉛直方向下方に延びるグラファイト製のガスパイプ53、ガスパイプ53の内側に通された状態で上下方向に延設されたプルロッド54、図示しない不活性ガス供給機構からなる。ガスパイプ53は、下端に吹き出し口(下側開口)53aを有し、軸上下動機構51により上下動可能となっている。プルロッド54は、下端に設けられた保持部で種結晶Sを保持し、軸上下動機構51によりガスパイプ53とは独立して上下動可能となっている。プルロッド54が上方に移動すると、種結晶Sが融液Mの上方に位置し、プルロッド54が下方に移動すると、種結晶Sがサセプタ3に保持されたるつぼ2の中にある融液Mの中央部に浸漬されるようになっている。
軸回転機構52は、ガスパイプ53の上端に接続され、不活性ガス供給機構から不活性ガス(例えば窒素(N2)、アルゴン(Ar))の供給を受け、その不活性ガスをガスパイプ53に送り出すよう構成されている。すなわち、ガスパイプ53は、軸回転機構52を介して不活性ガス供給機構と接続されている。供給された不活性ガスは、ガスパイプ53とプルロッド54との間にできる空間53bを通り、ガスパイプ53の吹き出し口53aから吹き出すようになっている。吹き出し口53aから吹き出した不活性ガスは、種結晶Sの側周面に沿って下方に流れるようになっている。この不活性ガスの流れによって種結晶Sの熱が奪われて種結晶Sが冷却される。
輻射シールド6は、ヒーター4からの輻射熱を遮るとともに、融液Mの液面から熱が逃げるのを防ぐためのもので、上部が開口した有底角筒状に形成されている。輻射シールド6の底壁62中央部には孔62aが形成されており、ガスパイプ53およびプルロッド54を通すことができるようになっている。底壁62の下面には、図示しないネジ孔が形成された突起63が形成されている。輻射シールド6は、上下動可能に構成されており、最も上に移動したときは底壁62がるつぼ2およびサセプタ3の上端よりも上方に位置する。また、輻射シールド6が最も下に移動したときは、側壁61の下部がサセプタ3に取り付けられたるつぼ2の側壁21の内側壁面と僅かに隙間をあけて対向し、側壁61の上部によってヒーター4とガスパイプ53との間の空間が仕切られる。また、底壁62が融液Mの液面と僅かに隙間をあけて対向する。すなわち、融液Mが底壁62によって上方から覆われた状態となる。
石英シールド(隔離壁)7は、融液Mの対流を低減するとともに、剥離した離型材Rなどの異物が種結晶Sの方に流されるのを防ぐための耐熱性の部材である。石英シールド7は、図2(a),(b)に示すように、4枚の板材71によって上面視正方形の上下方向に開口した角筒状に形成され、輻射シールド6の底壁62の下面に取り付けられている。各板材71は、水平方向(図2(a)の左右方向)の幅がるつぼ2の側壁21の内側壁面の水平方向の幅(以下横幅)よりも短い矩形をなしている。各板材71の上部には、輻射シールド6に取り付けるためのネジを通すネジ孔71aが水平方向に沿って複数(図2では3つずつ)形成されている。石英シールド7が輻射シールド6に取り付けられると、石英シールド7の内側壁面と輻射シールド6の突起63が接するとともに、石英シールド7のネジ孔71aと突起63のネジ孔が一致し、石英シールド7を外側からネジで固定できるようになっている。
石英シールド7は、輻射シールド6の下端に固定されているため、輻射シールド6と共に上下動するようになっている。このため、石英シールド7は、輻射シールド6が最も上に移動したときは融液Mの上方に位置し、輻射シールド6が最も下に移動したときはその下端部が全周に亘って融液Mに浸漬されるようになっている。融液Mに石英シールド7が浸漬されると、融液Mの上部は、るつぼ2の側壁21近傍である周囲部M1と種結晶Sの浸漬箇所およびその近傍である中央部M2とに隔てられる。なお、石英シールド7は、輻射シールド6が最も下に到達したときに、その下端が、融液Mの液面からるつぼ2底壁までの距離の1/3〜1/2程度の深さに来るよう鉛直方向の幅が調節されている。
るつぼ2と石英シールド7は、図3(a)に示すように、上面視でそれぞれの対角線が一致するように配置されている。従って、石英シールド7の外側壁面からるつぼ側壁21の内側壁面までの最短距離は、何処から測っても同じになる。
るつぼ2と石英シールド7は、図3(a)に示すように、上面視でそれぞれの対角線が一致するように配置されている。従って、石英シールド7の外側壁面からるつぼ側壁21の内側壁面までの最短距離は、何処から測っても同じになる。
〔シリコン単結晶の製造方法〕
次に、本実施形態のシリコン単結晶の製造方法について説明する。
本実施形態では、上記の製造装置10を用い、カイロポーラス法によってシリコン単結晶を製造する。具体的には、まず、原料を入れるるつぼ2の内面に離型材R(図4参照)を形成し、原料が直接るつぼ2に接触しないようにする。そして、原料となるシリコンおよび不純物(例えばホウ素)をるつぼ2に充填する。そして、るつぼ2をサセプタ3にセットし、本体1内を所定圧力の不活性ガスで満たす。そして、ヒーター4でシリコンを融点よりも高い温度となるように加熱し、シリコンを融解させる。
次に、本実施形態のシリコン単結晶の製造方法について説明する。
本実施形態では、上記の製造装置10を用い、カイロポーラス法によってシリコン単結晶を製造する。具体的には、まず、原料を入れるるつぼ2の内面に離型材R(図4参照)を形成し、原料が直接るつぼ2に接触しないようにする。そして、原料となるシリコンおよび不純物(例えばホウ素)をるつぼ2に充填する。そして、るつぼ2をサセプタ3にセットし、本体1内を所定圧力の不活性ガスで満たす。そして、ヒーター4でシリコンを融点よりも高い温度となるように加熱し、シリコンを融解させる。
シリコンが融解し融液Mとなった後、ヒーター4の加熱温度をシリコンの融点よりやや高い温度に設定し、輻射シールド6を下ろして、融液Mの温度を安定させる。温度が安定した後も、ヒーター4から熱が加えられたり、融液Mの液面から熱が逃げたりするため、融液Mにはある程度の対流が生じる。特に、本実施形態のように角筒型のるつぼ2を用いる場合、本体1における断熱部材等の最適化が充分でない、ヒーター4による炉内温度分布に偏りがあるなどの理由により、融液Mの温度分布に、るつぼ2の一端側が高く他端側が低くなるような偏りが生じ易くなり、その結果、融液Mの上部における対流が、図4に示すように、るつぼ2の一端側から他端側へ流れる偏ったものとなることがある。
また、このとき、るつぼ2の内側壁面に形成された離型材Rが一部剥離することがある。剥離した離型材Rは、融液Mの液面に浮かび上がり、融液Mの対流に乗って、るつぼ2の一端側から多端側へ向かって回遊しようとする。
また、このとき、るつぼ2の内側壁面に形成された離型材Rが一部剥離することがある。剥離した離型材Rは、融液Mの液面に浮かび上がり、融液Mの対流に乗って、るつぼ2の一端側から多端側へ向かって回遊しようとする。
しかし、本実施形態では、加熱する際に、輻射シールド6を下ろすため、輻射シールド6の下に取り付けられた石英シールド7の下部が融液Mに浸漬される。そして、石英シールド7が、融液Mの上部を周囲部M1と中央部M2とに隔てるので、周囲部M1(るつぼ2の一端側)から中央部M2に向かう融液Mの対流がせき止められる。また、るつぼ2の側壁21に形成された離型材Rが剥離して周囲部M1の液面に浮かび上がっても、その破片は石英シールド7によってせき止められる。一方、るつぼ2の底壁に形成された離型材が剥離して中央部M2の液面に浮かび上がっても、中央部M2に対流は生じていないか、生じていても非常に弱められているので、その破片は種結晶Sまで流されにくくなる。こうして融液Mの中央部M2は、対流が少なく温度揺らぎが生じにくい状態となるだけでなく、異物による過冷却も起こりにくい状態となる。
このような状態で融液Mの温度を安定させた後、不活性ガス供給部から軸回転機構52を介してアルゴンなどの不活性ガスをガスパイプ53に送り込みつつ種結晶Sを下降させる。すると、プルロッド54の下端に保持された種結晶Sの側周面に沿って不活性ガスが下方に向かって流れ、種結晶Sが冷却される。このとき、輻射シールド6の側壁61によって、ヒーター4からるつぼ2の内側に入り込もうとする輻射熱が遮られるので、不活性ガスが加熱されて冷却効果が低下するのを防ぐことができる。そして、冷却された種結晶Sが融液Mの液面中央部に浸漬される。すると、ガスパイプ53から吹き出す不活性ガスは、種結晶Sだけでなく、融液Mの種結晶Sが浸漬された箇所の周囲にも吹きかけられる。融液Mの中央部は、冷却された種結晶Sと直接吹きかけられる不活性ガスとによって冷却される。不活性ガスの供給量や供給の継続時間は、シリコン単結晶の成長具合や融液M全体の温度に応じて加減する。
融液Mの中央部M2が冷却されると、融液Mの周囲部M1の温度が相対的に高まるので、融液Mの周囲部M1から中央部M2にかけての温度勾配が大きくなる。このため、融液Mの中央部M2において多少の温度揺らぎが生じたとしても、種結晶Sと融液Mの界面における単結晶の凝固と融解の繰り返し幅は小さくなり、種結晶Sから安定的にシリコン単結晶が成長していく。また、種結晶Sから成長した単結晶も不活性ガスにより冷却されることになるので、上記の原理でシリコン単結晶がいつまでも成長することになる。更に、輻射シールド6の底壁62によって融液Mの液面から熱が逃げにくくなるので、融液Mの温度の偏りが低減され、そこに生じる対流は最低限に抑えられる。このため、シリコン単結晶がより成長し易くなる。このようにして、多結晶や双晶の少ないシリコン単結晶のインゴットが製造される。
〔本実施形態の製造方法によるシリコン単結晶の育成〕
次に、本実施形態の製造方法の具体例、従来の製造方法の一例、および各製造方法によって製造されたシリコンインゴットの差異について説明する。
本実施形態の製造方法では、まず、水平方向の断面が200mm四方の正方形をした角筒型のるつぼ2に原料であるシリコンフレークを入れた。そして、そのるつぼ2を本体1に設置し、該本体1内を95〜100kPaの不活性ガスで満たした。その後、ヒーターでシリコン原料を1500℃以上に加熱して融解させた。融解後、融液Mの液面を観察したところ、図3に示したような対流が生じていた。ここで、輻射シールド6および一辺の長さが152mmの石英シールド7を下ろした(るつぼ2の側壁21の内側壁面から石英シールド7の外側壁面までの距離を24mmとした)。そして、対流をせき止めた状態で融液Mを一定時間保持してから結晶成長温度まで下げて温度の安定を待った。
次に、本実施形態の製造方法の具体例、従来の製造方法の一例、および各製造方法によって製造されたシリコンインゴットの差異について説明する。
本実施形態の製造方法では、まず、水平方向の断面が200mm四方の正方形をした角筒型のるつぼ2に原料であるシリコンフレークを入れた。そして、そのるつぼ2を本体1に設置し、該本体1内を95〜100kPaの不活性ガスで満たした。その後、ヒーターでシリコン原料を1500℃以上に加熱して融解させた。融解後、融液Mの液面を観察したところ、図3に示したような対流が生じていた。ここで、輻射シールド6および一辺の長さが152mmの石英シールド7を下ろした(るつぼ2の側壁21の内側壁面から石英シールド7の外側壁面までの距離を24mmとした)。そして、対流をせき止めた状態で融液Mを一定時間保持してから結晶成長温度まで下げて温度の安定を待った。
融液Mの温度が安定した後、ガスパイプに不活性ガスを5〜30L/min流し、種結晶Sを融液Mの中央部M2の液面に浸漬し、種結晶Sとその近傍の融液Mを冷却した。すると、種結晶Sから下方および側方へとシリコン結晶粒が対流の下流方向および下方に向かって成長し始めた。このとき、異物が融液Mの周囲部M1(石英シールド7の外側)の液面に浮かび上がっていたが、石英シールド7に遮られたため種結晶Sに付着して過冷却を引き起こす様子は見られなかった。その後、一定の速度で融液Mの温度を下げていきながらシリコン単結晶の成長を継続した。本体1内が室温まで冷えてから結晶インゴットを取り出して観察したところ、種結晶Sからシリコン単結晶が成長しているのが見られた。
〔従来の製造方法との比較〕
また、比較のため、本実施形態の製造装置10から石英シールド7を取り外したものを用い、従来の製造方法による結晶成長を行った。まず、上記実施例と同じ材料をるつぼ2に入れ、同じ温度制御でシリコンを融解させたところ、融液Mに図3に示したような対流が生じた。ここで、種結晶Sを融液Mの中央部M2の液面に浸漬した。すると、種結晶Sから結晶粒が対流の下流方向に向かって成長し始めたが、ある程度成長したところで結晶粒が種結晶Sから離れ、対流によってるつぼ2他端側側壁21まで流されてしまった。流された結晶粒は、その後もるつぼ2他端側側壁21の壁面で成長し続けた。結晶粒が流された後、種結晶Sから下方へ成長する結晶は見られたが、側方への成長は見られなかった。製造装置内が室温まで冷えてから結晶インゴットを取り出して観察したところ、種結晶Sからシリコン単結晶は成長しておらず、多結晶や双晶が発生しているのが確認された。更に、結晶表面には多数の離型材と思われる異物が付いていた。
また、比較のため、本実施形態の製造装置10から石英シールド7を取り外したものを用い、従来の製造方法による結晶成長を行った。まず、上記実施例と同じ材料をるつぼ2に入れ、同じ温度制御でシリコンを融解させたところ、融液Mに図3に示したような対流が生じた。ここで、種結晶Sを融液Mの中央部M2の液面に浸漬した。すると、種結晶Sから結晶粒が対流の下流方向に向かって成長し始めたが、ある程度成長したところで結晶粒が種結晶Sから離れ、対流によってるつぼ2他端側側壁21まで流されてしまった。流された結晶粒は、その後もるつぼ2他端側側壁21の壁面で成長し続けた。結晶粒が流された後、種結晶Sから下方へ成長する結晶は見られたが、側方への成長は見られなかった。製造装置内が室温まで冷えてから結晶インゴットを取り出して観察したところ、種結晶Sからシリコン単結晶は成長しておらず、多結晶や双晶が発生しているのが確認された。更に、結晶表面には多数の離型材と思われる異物が付いていた。
〔るつぼ側壁と石英シールドとの好ましい距離〕
また、るつぼ2の側壁21の内側壁面の横幅が200mmのるつぼ2と、上記一辺の長さが152mmの石英シールド7以外にそれぞれサイズの異なる複数の石英シールド7を用いてシリコン単結晶を成長させる実験を行った。ここで、石英シールド7を、一辺の長さが180mm超のものとした(側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を10mm未満とした)ところ、側壁21と石英シールド7が近すぎたために、融液Mの対流が石英シールドの内側を主流として流れるようになり、異物の回遊を遮蔽する効果が低下してしまった。一方、石英シールド7を、一辺の長さが100mm未満のものとした(側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を50mm超とした)ところ、種結晶Sと石英シールド7が近すぎたために、ガスパイプ53から吹き出される不活性ガスの流速が融液Mの液面中央部M2で速くなり過ぎてしまい、その結果、融液Mの液面の冷却が必要以上に加速され、多結晶成長や双晶成長を誘発することとなってしまった。
また、るつぼ2の側壁21の内側壁面の横幅が200mmのるつぼ2と、上記一辺の長さが152mmの石英シールド7以外にそれぞれサイズの異なる複数の石英シールド7を用いてシリコン単結晶を成長させる実験を行った。ここで、石英シールド7を、一辺の長さが180mm超のものとした(側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を10mm未満とした)ところ、側壁21と石英シールド7が近すぎたために、融液Mの対流が石英シールドの内側を主流として流れるようになり、異物の回遊を遮蔽する効果が低下してしまった。一方、石英シールド7を、一辺の長さが100mm未満のものとした(側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を50mm超とした)ところ、種結晶Sと石英シールド7が近すぎたために、ガスパイプ53から吹き出される不活性ガスの流速が融液Mの液面中央部M2で速くなり過ぎてしまい、その結果、融液Mの液面の冷却が必要以上に加速され、多結晶成長や双晶成長を誘発することとなってしまった。
つまり、るつぼ2のサイズに対して石英シールド7のサイズをどのようにするか、すなわち、るつぼ2の側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離をどの程度とするかは、製造装置10を設計する上で重要な要素であり、側壁21の内側壁面の横幅が200mmのるつぼ2を用いる場合には、側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を10〜50mm程度(石英シールド7の一辺の長さを100〜180mm程度)とするのが好ましいということが分かった。
また、上記のような問題を更に確実に回避するためには、側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を20〜30mm程度(石英シールド7の一辺の長さを140〜160mm程度)とするのが好ましいということも分かった。
また、上記のような問題を更に確実に回避するためには、側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離を20〜30mm程度(石英シールド7の一辺の長さを140〜160mm程度)とするのが好ましいということも分かった。
ところで、るつぼ2は、側壁21の内側壁面の横幅を200mmとしたものに限られるわけではない。そこで、それぞれサイズの異なる複数のるつぼ2を用意し、様々な大きさの石英シールド7と組み合わせてシリコン単結晶を成長させる実験を行ったところ、側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との間の好ましい距離は、るつぼ2のサイズに比例することが分かった。つまり、側壁21の内側壁面の横幅に対するるつぼ2の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との好ましい距離の比はほぼ一定であり、図3(a)に示したように、側壁21の内側壁面の横幅を1とした場合に、側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との間の距離は0.05〜0.25とするのが好ましく、0.10〜0.15とすればより好ましいということが分かった。
以上のように、本実施形態の製造装置10は、上下が開口した筒状に形成されるとともに、その外側壁面がるつぼ2の側壁の内側壁面と接しないようにして、融液Mに浸漬された種結晶Sを囲む耐熱性の石英シールド7と、石英シールド7を上下方向に移動させる移動手段(輻射シールド6)と、を備えるようにしている。このようにすれば、石英シールド7を、その下端が融液Mに浸漬されるまで下ろしたときに、融液Mのうち少なくとも上部が、石英シールド7によってるつぼ2の側壁21近傍である周囲部M1と種結晶Sの浸漬箇所およびその近傍である中央部M2とに隔てられるので、加熱中に融液Mの上部において発生する周囲部M1から中央部M2へ向かう対流が遮られ、融液Mの中央部M2における温度揺らぎが低減される。また、るつぼ2の内側壁面に形成される離型材Rが剥離するなどして融液Mの周囲部M1の液面に異物が浮かび上がっても石英シールド7によって中央部M2への移動が遮られるので、異物が種結晶Sに接触することによる種結晶Sの過冷却が防止される。従って、シリコン単結晶を成長させる際に、多結晶や双晶が発生するのを防止することができる。
また、本実施形態の製造装置10は、融液Mの上方に、るつぼ2の内側に挿入可能な有底角筒状に形成されるとともに、上下動可能に設けられた輻射シールド6を備え、石英シールド7は、輻射シールド6の下端に取り付けられ、輻射シールド6とともに上下方向に移動する。このようにすれば、一つの駆動機構で輻射シールド6および石英シールド7を上下動させることができるので、製造装置10を簡素な構成とすることができるし、製造工程を短縮することもできる。また、輻射シールド6が下降したときに、輻射シールド6の側壁がヒーター4からの輻射熱を遮るとともに、底壁が融液Mの液面から熱が逃げるのを防ぐので、融液Mを対流の少ないより安定した状態とすることができる。
また、製造装置10は、るつぼ2を水平方向に沿って切断したときの断面の形状は正方形または円形であり、断面の正方形の一辺の長さ、または断面の円形の直径を1としたときに、るつぼ2と石英シールド7とが最も近づく箇所におけるるつぼ2の側壁21の内側壁面と石英シールド7の外側壁面との距離が0.05以上0.25以下となるようにしている。このようにすれば、融液Mの対流や回遊する異物がより確実にせき止められるので、融液Mの中央部M2における温度揺らぎが一層低減されるとともに、種結晶Sから潜熱の放出が阻害されなくなる。
また、石英シールド7は、複数の板材71によって角筒状に形成されている。このため、削り出し等によって形成する場合に比べて材料を節減できるし、板材71の枚数を変えることで状況に応じた様々な形状とすることもできる。
また、融液Mに浸漬された種結晶Sを冷却するための種結晶保持冷却機構(冷却機構)5を備えている。このため、融液Mの周囲部M1から種結晶Sの浸漬箇所近傍にかけての温度勾配が大きくなるので、多少の温度揺らぎが生じたとしてもその影響を受けにくくすることができる。
また、融液Mに浸漬された種結晶Sを冷却するための種結晶保持冷却機構(冷却機構)5を備えている。このため、融液Mの周囲部M1から種結晶Sの浸漬箇所近傍にかけての温度勾配が大きくなるので、多少の温度揺らぎが生じたとしてもその影響を受けにくくすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。説明に際し、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。説明に際し、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
〔シリコン単結晶の製造装置〕
第2実施形態の製造装置10Aは、るつぼ、輻射シールド、および石英シールドの断面形状が第1実施形態の製造装置10のものとそれぞれ異なっている。具体的には、前記第1実施形態ではるつぼ2、輻射シールド6、および石英シールド7の水平方向の断面形状が何れも角筒状をなしていたのに対し、第2実施形態では、るつぼ2Aおよび輻射シールド6Aは、上部が開口された有底の円筒状をなし、石英シールド7Aは、図5(a),(b)に示すように、上下が開口した円筒状をなしている。石英シールド7Aの外径はるつぼ2Aの内径よりもやや短く、その高さは第1実施形態の石英シールド7の高さと同程度である。石英シールド7Aの上部には、輻射シールド6Aに取り付けるためのネジを通すネジ孔41aが水平方向に沿って複数(図では4つ)形成されている。
るつぼ2Aと石英シールド7Aは、図3(b)に示すように、上面視でそれぞれの中心が一致するように配置されている。従って、石英シールド7Aの外側壁面からるつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面までの距離は、何処から測っても同じになる。
第2実施形態の製造装置10Aは、るつぼ、輻射シールド、および石英シールドの断面形状が第1実施形態の製造装置10のものとそれぞれ異なっている。具体的には、前記第1実施形態ではるつぼ2、輻射シールド6、および石英シールド7の水平方向の断面形状が何れも角筒状をなしていたのに対し、第2実施形態では、るつぼ2Aおよび輻射シールド6Aは、上部が開口された有底の円筒状をなし、石英シールド7Aは、図5(a),(b)に示すように、上下が開口した円筒状をなしている。石英シールド7Aの外径はるつぼ2Aの内径よりもやや短く、その高さは第1実施形態の石英シールド7の高さと同程度である。石英シールド7Aの上部には、輻射シールド6Aに取り付けるためのネジを通すネジ孔41aが水平方向に沿って複数(図では4つ)形成されている。
るつぼ2Aと石英シールド7Aは、図3(b)に示すように、上面視でそれぞれの中心が一致するように配置されている。従って、石英シールド7Aの外側壁面からるつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面までの距離は、何処から測っても同じになる。
〔シリコン単結晶の製造時における石英シールドの効果〕
本実施形態のように円筒状のるつぼ2Aを用いて融液Mを加熱する場合、融液Mの温度は、ヒーター4に最も近い周囲部M1で最も高く、中央部M2で最も低くなるため、その対流は、図6に示すように、周囲部M1全体から中央部M2に向かって集まるような流れとなる。しかし、このような場合であっても、融液Mに浸漬された石英シールド7Aが融液Mの周囲部M1と中央部M2とを隔てるので、融液Mの液面における周囲部M1から中央部M2へと向かう対流が遮られ、中央部M2における対流が弱まるとともに、温度揺らぎが減少する。また、剥離した離型材Rが中央部M2まで回遊してくることはない。
本実施形態のように円筒状のるつぼ2Aを用いて融液Mを加熱する場合、融液Mの温度は、ヒーター4に最も近い周囲部M1で最も高く、中央部M2で最も低くなるため、その対流は、図6に示すように、周囲部M1全体から中央部M2に向かって集まるような流れとなる。しかし、このような場合であっても、融液Mに浸漬された石英シールド7Aが融液Mの周囲部M1と中央部M2とを隔てるので、融液Mの液面における周囲部M1から中央部M2へと向かう対流が遮られ、中央部M2における対流が弱まるとともに、温度揺らぎが減少する。また、剥離した離型材Rが中央部M2まで回遊してくることはない。
〔るつぼ側壁と石英シールドとの好ましい距離〕
内径が200mmの円筒形のるつぼ2Aと、それぞれサイズの異なる複数の石英シールド7Aを用いてシリコン単結晶を成長させる実験を行ったところ、第1実施形態と同様の結果が得られた。すなわち、内径が200mmのるつぼ2Aを用いる場合には、側壁21Aの内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との距離を10〜50mm程度(石英シールド7Aの外径を100〜180mm程度)とするのが好ましく、20〜30mm程度(石英シールド7Aの外径を140〜160mm程度)とすれば更に好ましいということが分かった。
内径が200mmの円筒形のるつぼ2Aと、それぞれサイズの異なる複数の石英シールド7Aを用いてシリコン単結晶を成長させる実験を行ったところ、第1実施形態と同様の結果が得られた。すなわち、内径が200mmのるつぼ2Aを用いる場合には、側壁21Aの内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との距離を10〜50mm程度(石英シールド7Aの外径を100〜180mm程度)とするのが好ましく、20〜30mm程度(石英シールド7Aの外径を140〜160mm程度)とすれば更に好ましいということが分かった。
また、第1実施形態と同様に、側壁21Aの内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との間の好ましい距離は、第1実施形態と同様にるつぼ2Aのサイズに比例することが分かった。つまり、るつぼ2Aの内径に対する側壁21Aの内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との好ましい距離の割合はほぼ一定であり、るつぼ2Aの内径を1とした場合に、側壁21Aの内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との間の距離は0.05〜0.25とするのが好ましく、0.10〜0.15とすればより好ましいということが分かった。
以上のように、本実施形態の石英シールド7A(隔離壁)は、円筒状に形成されている。このようにすれば、取り扱いやすく、インゴット製造の作業性を向上させることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。説明に際し、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。説明に際し、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記第1,2実施形態では、るつぼ2,2Aと石英シールド7,7Aの上面視形状が相似形となっていた。これに対し、第3実施形態の製造装置10Bは、るつぼと石英シールドの上面視形状が異なっている。具体的には、製造装置10Bは、図3(c)に示すように、第1実施形態で用いた角筒状のるつぼ2と、第2実施形態で用いた上面視円形の石英シールド7Aと、を備えている。
〔シリコン単結晶の製造時における石英シールドの効果〕
るつぼ2と石英シールド7Aを用いて融液Mを加熱した場合、互いの形状の相違から融液Mの周囲部M1においては、上記第1,2実施形態よりも複雑な流れの対流が生じる可能性がある。しかし、このような場合であっても、第1,2実施形態と同様に、融液Mに浸漬された石英シールド7Aが融液Mの周囲部M1と中央部M2とを隔てるので、融液Mの液面における周囲部M1から中央部M2へと向かう対流が遮られ、中央部M2における対流が弱まるとともに、温度揺らぎが減少する。また、剥離した離型材Rが中央部M2まで回遊してくることはない。
るつぼ2と石英シールド7Aを用いて融液Mを加熱した場合、互いの形状の相違から融液Mの周囲部M1においては、上記第1,2実施形態よりも複雑な流れの対流が生じる可能性がある。しかし、このような場合であっても、第1,2実施形態と同様に、融液Mに浸漬された石英シールド7Aが融液Mの周囲部M1と中央部M2とを隔てるので、融液Mの液面における周囲部M1から中央部M2へと向かう対流が遮られ、中央部M2における対流が弱まるとともに、温度揺らぎが減少する。また、剥離した離型材Rが中央部M2まで回遊してくることはない。
〔るつぼ側壁と石英シールドとの好ましい距離〕
側壁21の内側壁面の幅が200mmの角筒形のるつぼ2と、それぞれサイズの異なる複数の石英シールド7Aを用いてシリコン単結晶を成長させてみたところ、第1実施形態と同様の結果が得られた。すなわち、側壁21の内側壁面の幅が200mmのるつぼ2を用いる場合には、るつぼ2と石英シールド7Aとが最も近づく箇所において、るつぼ2の側壁21の内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との最短距離を10〜50mm程度(石英シールド7Aの直径を100〜180mm程度)とするのが好ましく、20〜30mm程度(石英シールド7Aの直径を140〜160mm程度)とすれば更に好ましいということが分かった。
側壁21の内側壁面の幅が200mmの角筒形のるつぼ2と、それぞれサイズの異なる複数の石英シールド7Aを用いてシリコン単結晶を成長させてみたところ、第1実施形態と同様の結果が得られた。すなわち、側壁21の内側壁面の幅が200mmのるつぼ2を用いる場合には、るつぼ2と石英シールド7Aとが最も近づく箇所において、るつぼ2の側壁21の内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との最短距離を10〜50mm程度(石英シールド7Aの直径を100〜180mm程度)とするのが好ましく、20〜30mm程度(石英シールド7Aの直径を140〜160mm程度)とすれば更に好ましいということが分かった。
また、るつぼ2の側壁21の内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との間の好ましい距離は、第1実施形態と同様にるつぼ2のサイズに比例することが分かった。つまり、るつぼ2の側壁21の内側壁面の幅に対する側壁21の内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との好ましい距離の割合はほぼ一定であり、るつぼ2の内径を1とした場合に、側壁21の内側壁面と石英シールド7Aの外側壁面との間の距離は0.05〜0.25とするのが好ましく、0.10〜0.15とすればより好ましいということが分かった。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。説明に際し、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
次に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。説明に際し、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第4実施形態の製造装置10Cは、第2実施形態で用いた円筒型のるつぼ2Aと、第1実施形態で用いた上面視正方形の石英シールド7と、を備えている。
なお、このようにした場合、石英シールド7の角部がるつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面と最も近い箇所(最短距離)になるので、るつぼ2Aの内径を1として、石英シールド7の角部とるつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面との距離を0.05〜0.25とすると、対流や異物をせき止める上で好ましく、0.10〜0.15とするとより好ましい。
なお、このようにした場合、石英シールド7の角部がるつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面と最も近い箇所(最短距離)になるので、るつぼ2Aの内径を1として、石英シールド7の角部とるつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面との距離を0.05〜0.25とすると、対流や異物をせき止める上で好ましく、0.10〜0.15とするとより好ましい。
以上、本発明者によってなされた発明を第1〜4実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、第1実施形態では、上面視正方形枠状の石英シールド7で四方から種結晶Sを囲むようにしたが、角筒状のるつぼ2を用いることで、融液Mの上部の対流が一方向となっている場合には、種結晶Sを完全に囲まなくてもある程度の効果を得ることができる。すなわち、板材1枚で石英シールド7を構成し、対流の上流と種結晶Sとの間のみを隔てたり、板材3枚で上面視コ字状の石英シールド7を構成し、対流の下流側以外の3方を隔てたりすることで、種結晶Sの浸漬箇所に融液Mの対流や異物が流れてくるのを抑えることができる。
また、第1,4実施形態では、4枚の板材で上面視四角形の石英シールド7を構成したが、複数の板材を組み合わせて構成するのではなく、一体形成してもよい。
また、4枚に限らず、3枚の板材で上面視三角形の石英シールド7としてもよいし、5枚以上の板材で上面視多角形の石英シールド7としてもよい。特に、第4実施形態において、石英シールド7を上面視六角形や八角形とすれば、るつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面と、石英シールド7の外側壁面とが離れすぎる箇所、すなわち、融液Mの周囲部M1となる部分が少なくなって、製造したインゴットにおいて使用できないロスとなる部分を少なくすることができる。
また、4枚に限らず、3枚の板材で上面視三角形の石英シールド7としてもよいし、5枚以上の板材で上面視多角形の石英シールド7としてもよい。特に、第4実施形態において、石英シールド7を上面視六角形や八角形とすれば、るつぼ2Aの側壁21Aの内側壁面と、石英シールド7の外側壁面とが離れすぎる箇所、すなわち、融液Mの周囲部M1となる部分が少なくなって、製造したインゴットにおいて使用できないロスとなる部分を少なくすることができる。
また、第1〜4実施形態では、石英シールド7,7Aを輻射シールド6,6Aの下端に取り付けて、輻射シールド6,6Aと共に上下動するようにしたが、輻射シールド6,6Aを用いずに、石英シールド7,7Aのみを上下動させるようにしてもよいし、石英シールド7,7Aと輻射シールド6,6Aを別々に上下動させるようにしてもよい。
また、石英シールド7,7Aを上下動させるのではなく、サセプタ3およびるつぼ2,2Aを上下動させるようにしてもよい。
また、石英シールド7,7Aを上下動させるのではなく、サセプタ3およびるつぼ2,2Aを上下動させるようにしてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,10A,10B,10C 製造装置
2,2A るつぼ(容器)
21 側壁
5 種結晶保持冷却機構(保持機構、冷却機構)
6 輻射シールド(移動手段)
7,7A 石英シールド(隔離壁)
M 融液(シリコン融液)
M1 周囲部
M2 中央部
S 種結晶
2,2A るつぼ(容器)
21 側壁
5 種結晶保持冷却機構(保持機構、冷却機構)
6 輻射シールド(移動手段)
7,7A 石英シールド(隔離壁)
M 融液(シリコン融液)
M1 周囲部
M2 中央部
S 種結晶
Claims (9)
- シリコン単結晶の原料を保持する耐熱性の容器と、前記原料を任意の温度に加熱する温度制御機構と、種結晶を、前記原料が融解してできたシリコン融液に浸漬された状態で保持可能な保持機構と、を備えるシリコン単結晶の製造装置において、
上下が開口した筒状に形成されるとともに、その外側壁面が前記容器の側壁の内側壁面と接しないようにして、前記シリコン融液に浸漬された前記種結晶を囲む耐熱性の隔離壁と、
前記隔離壁を上下方向に移動させる移動手段と、を備えることを特徴とするシリコン単結晶の製造装置。 - 前記シリコン融液の上方に、前記容器の内側に挿入可能な有底筒状に形成されるとともに、上下動可能に設けられた輻射シールドを備え、
前記隔離壁は、前記輻射シールドの下端に取り付けられ、前記輻射シールドとともに上下方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造装置。 - 前記容器を水平方向に沿って切断したときの断面の形状は正方形または円形であり、
前記断面の正方形の一辺の長さ、または前記断面の円形の直径を1としたときに、前記容器と前記隔離壁とが最も近づく箇所における前記容器の側壁の内側壁面と前記隔離壁の外側壁面との距離が0.05以上0.25以下となることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン単結晶の製造装置。 - 前記隔離壁は、複数の板材によって角筒状に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造装置。
- 前記隔離壁は、円筒状に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造装置。
- 前記シリコン融液に浸漬された前記種結晶を冷却するための冷却機構を備えることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のシリコン単結晶の製造装置。
- シリコン単結晶の原料を保持する耐熱性の容器と、前記原料を任意の温度に加熱する温度制御機構と、種結晶を、前記原料が融解してできたシリコン融液に浸漬された状態で保持可能な保持機構と、を備えるシリコン単結晶の製造装置において、
前記容器を水平方向に沿って切断したときの断面形状は正方形または長方形であり、
前記シリコン融液の最も温度が高くなる箇所と前記シリコン融液に浸漬された前記種結晶との間において、その下端部が前記シリコン融液に浸漬された耐熱性の隔離壁を備えることを特徴とするシリコン単結晶の製造装置。 - 耐熱性の容器に保持されたシリコン単結晶の原料を加熱し、前記原料が融解してできたシリコン融液に種結晶を浸漬することにより、前記種結晶から結晶を成長させるシリコン単結晶の製造方法において、
前記容器を加熱して前記原料を融解させた後、上下が開口した筒状に形成された隔離壁を、その外側壁面が前記容器の側壁の内側壁面と接しないよう、且つその下端が全周に亘って前記シリコン融液に浸漬されるように降下させ、
前記シリコン融液の液面であって前記隔離壁に囲まれる部分に前記種結晶を浸漬して、結晶の成長を開始させることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。 - 前記容器として、水平方向に沿って切断したときの断面の形状が正方形または円形のものを用い、
前記隔離壁を、前記断面の正方形の一辺の長さ、または前記断面の円形の直径を1としたときに、前記容器と前記隔離壁とが最も近づく箇所における前記容器の側壁の内側壁面と前記隔離壁の外側壁面との距離が0.05以上0.25以下となるように降下させることを特徴とする請求項8に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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JP2017024946A (ja) * | 2015-07-23 | 2017-02-02 | 日本電信電話株式会社 | 単結晶成長方法およびその装置 |
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