JP2013186383A - 音源分離装置、音源分離方法、およびプログラム - Google Patents

音源分離装置、音源分離方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】空間的エイリアジングの問題が生じる場合にも、高い性能で音源分離を行う。
【解決手段】2個のマイクロホンで観測された観測信号の複素スペクトルを得、観測信号の複素スペクトルのマイクロホン間位相差を各時間周波数について計算する。1個のマイクロホンで観測された観測信号から得られた観測信号の複素スペクトル、特徴量作成部で得られたマイクロホン間位相差、および音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報を用い、各時間周波数での各音源に対応する観測信号の複素スペクトルおよびマイクロホン間位相差の分布を表す確率モデルのパラメタを推定する。推定されたパラメタから得られる各時間周波数での各音源の観測信号の複素スペクトルおよびマイクロホン間位相差に対する寄与率を用い、各時間周波数での当該寄与率および観測信号の複素スペクトルから、分離信号の複素スペクトルを抽出し、それを時間領域の分離信号に変換する。
【選択図】図4

Description

本発明は信号処理の技術分野に属する。特に複数信号が混在している音響データから、それぞれの音源信号を推定する、音源分離技術に属する。その中でも特に、音源信号やそれらがどう混ざったかの情報を用いずに複数信号が混在している音響データのみから、それぞれの音源信号を推定する、ブラインド音源分離技術に属する。
音源がN個(Nは2以上の整数)あり、それらから同時に発せられた音源信号が混合し、2個のマイクロホンで観測され、観測信号x(t)=[x(t),x(t)]が得られたとする。tは離散的な時刻を表し、「α」はαの転置を表す。このようなN個の音源信号が混ざった観測信号x(t)=[x(t),x(t)]から、それぞれの音源信号を推定する。このような技術としては、たとえば特許文献1に開示されたものがある。以下では特許文献1に開示された技術をもとに従来技術を説明する。
従来技術の構成を図1に例示する。
まず、周波数領域変換部101において、たとえば短時間フーリエ変換等により、時間領域の観測信号x(t)を所定の時間区間である時間フレームごとに周波数領域表現し、観測信号の複素スペクトルXn,f,Lを生成する。複素スペクトルXn,f,Lが以下のように表されると仮定する。

ここで、nは各時間フレームをそれぞれ代表する離散的な時刻(たとえば、各時間フレームの中心時刻)に対応する整数のインデックス、fは離散的な各周波数(0,f・(1/N),...,f・(N−1)/N)に対応する整数のインデックス、Nは周波数fの個数(Nは1以上の整数、例えばN≧2)、fはサンプリング周波数、Lは各マイクロホンにそれぞれ対応するインデックス(L=1,2)、mは各音源にそれぞれ対応するインデックス(m=1,...,N)を表す。Hf,L,mは音源mからマイクロホンLまでの周波数fでの周波数応答を表す。Sn,f,mは、音源mから発せられた音源信号の、時刻nおよび周波数fでの複素スペクトルを表す。「音源m」はインデックスmに対応する音源、「時刻n」はインデックスnに対応する時刻、「周波数f」はインデックスfに対応する周波数、「マイクロホンL」はインデックスLに対応するマイクロホンを意味する。時刻nおよび周波数fからなる組(時間周波数スロット(n,f))を「時間周波数(n,f)」と表現する。「・」は乗算演算子を表す。
音源分離を行うために、音源信号がスパースである、すなわち、各音源信号の複素スペクトルSn,f,mは稀にしか大きな値をとらず、Sn,f,m1とSn,f,m2(m1≠m2、m1,m2∈{1,...,N})が各時間周波数(n,f)で互いに重ならない、ということを仮定する。これは、互いに異なる音源から発せられた音声信号などで確認される性質である。これを仮定すると、式(1)は以下のように近似できる。

ここでSn,f,mは、時間周波数(n,f)で支配的な音源信号を表す。
また、式(1)におけるHf,L,mが、音源信号がマイクロホンに到達する間に部屋の残響の影響をうけないことを仮定する、以下の無響モデルで書けると仮定する。

ただし、eは自然対数の底、jは虚数単位、μは音源mから発せられた音源信号がマイクロホン1,2に到達するまでの時間差である。
次に、位相差計算部102において、マイクロホン1と2における、観測信号の複素スペクトルXn,f,1,Xn,f,2の位相差An,f(以下「マイクロホン間位相差」と呼ぶ)を以下のように計算する。

ここで、式(2)と(3)より、音源mが支配的な時間周波数(n,f)では以下のようになることに注意。

ただし、arg[α]はαの偏角を表す。
従来法では、次に位相差分類部103において、マイクロホン間位相差An,fをクラスタリングする。スパース性の仮定(式(2))より、音源m’=m1だけが支配的な時間周波数(n,f)での時間差μm1に対応するマイクロホン間位相差An,f、および音源m’=m2だけが支配的な時間周波数(n,f)での時間差μm2に対応するマイクロホン間位相差An,fが求まっているので、マイクロホンからみた音源m1の方向と音源m2の方向とが異なっていれば、全時間周波数のマイクロホン間位相差An,fを分類できる。分類の方法としては、An,fに対してk−means法などを用いてクラスタリングを行なったり、An,fに対して混合正規分布をあてはめたりすることが一般的である。前者ではそれぞれのクラスタ、後者ではそれぞれの正規分布により、各音源信号の複素スペクトルを推定することができる。
よって次に音源分離部104において、位相差分類部103で得られた情報ξを用い、音源mに対応するクラスタを形成している時間周波数(n,f)では1に近い値を、それ以外の時間周波数では0に近い値をとるマスクMn,f,mを作る。Mn,f,mとしては、あるm番目のクラスタを形成している時間周波数(n,f)でのみ1をとり、他の時間周波数(n,f)では0をとるように設計することもできるし、上述の混合正規分布から計算される、各時間周波数(n,f)での各音源の寄与率を用いることもできる。このMn,f,mを全ての音源mについて作る。さらに、音源分離部104で、マスクMn,f,mを観測信号の1つ(ここでは複素スペクトルXn,f,1)に乗算し、分離信号の複素スペクトルYn,f,mを得る。
Yn,f,m=Xn,f,1・Mn,f,m (5)
最後に、時間領域変換部105において、得られた分離信号の複素スペクトルYn,f,mを時間領域信号に変換し、分離信号y(t)を得る。
特開2010−187066号公報
上述したようなマイクロホン間位相差のクラスタリングに基づく音源分離では、式(4−2)における2π・f・μがとる値が、−πからπの範囲を越えることがある場合に、性能が不十分になる欠点がある。これは、式(4−2)の2π・f・μは−πからπの範囲を越える値を取ることができるにもかかわらず、式(4−1)のAn,f

の関係を満たす

として、−πからπの範囲に丸められてしまうことに起因する。ここでkは、μの値が既知であれば一意に決まる整数である。これを「空間的エイリアジング」という。空間的エイリアジングは、2つのマイクロホン間隔が広いためにマイクロホン間時間差μが大きい場合や周波数fが高い場合に、2π・f・μの絶対値が大きくなり生じる。
図2は、空間的エイリアジングの例を示す。この図の横軸は周波数fを表す、縦軸はマイクロホン間位相差An,fを表す。具体的には、30度方向の音源1(m=1)および120度方向の音源2(m=2)から発せられた音源信号を4cm間隔の2個のマイクロホンで観測し、サンプリング周波数fを16kHzとした場合の2π・f・μ(m=1,2)の値(図の破線)と式(4−1)のAn,fの値(図の実線)をプロットしたものである。ただし、2個のマイクロホンを通る直線に直交するマイクロホン正面を90度と定義している。
図2の実線に示すように、マイクロホン間位相差の値An,fがπから−πの範囲に丸められ、複数個の音源に対応するマイクロホン間位相差が同じ値をとる周波数が存在する(図2中の○で示した箇所)。このような周波数では、マイクロホン間位相差を手掛かりとした音源の分類ができないため、従来法では、このような周波数における音源分離が不可能となる。そのため、空間的エイリアジングが生じる場合の音源分離性能が不十分であった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、空間的エイリアジングの問題が生じる場合にも、高い性能で音源分離を行うことが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明では、2個のマイクロホンで観測された観測信号を、所定の時間区間ごとに周波数領域表現し、観測信号の複素スペクトルを得、観測信号の複素スペクトルのマイクロホン間位相差を各時間周波数について計算する。任意の1個のマイクロホンで観測された観測信号から得られた観測信号の複素スペクトル、特徴量作成部で得られたマイクロホン間位相差、および音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報を用い、各時間周波数での各音源に対応する観測信号の複素スペクトルおよびマイクロホン間位相差の分布を表す確率モデルのパラメタを推定する。推定されたパラメタから得られる各時間周波数での各音源の観測信号の複素スペクトルおよびマイクロホン間位相差に対する寄与率を用い、各時間周波数での当該寄与率および観測信号の複素スペクトルから、分離信号の複素スペクトルを抽出し、それを時間領域の分離信号に変換する。
本発明では、マイクロホン間位相差だけでなく、音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報も用いて音源の分類を行う。これにより、空間的エイリアジングの問題が生じる場合にマイクロホン間位相差が重なり分類ができなかった周波数についても、音源信号の複素スペクトルの分布を手掛りに音源を分類することができる。そのため、空間的エイリアジングの問題が生じる場合にも、高い性能で音源分離を行うことができる。
図1は従来の音源分離装置の構成を例示する図である。 図2は空間的エイリアジングの例を示す図である。 図3は実施形態の音源分離装置の全体構成を例示する図である。 図4はパラメタ推定部の詳細構成を例示するための図である。 図5は実施形態のパラメタ推定部の処理を説明するための図である。 図6Aは従来の信号分離方法で得られた分離信号の複素スペクトルを例示した図である。図6Bは実施形態の信号分離方法で得られた分離信号の複素スペクトルを例示した図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、テキスト中で使用する記号「」は、本来直前の文字の真上に記載されるべきものであるが、テキスト記法の制限により、当該文字の直後に記載する。式中においてはこれらの記号は本来の位置に記述している。
図3に例示するように、本形態の信号分離装置10は、周波数領域変換部11、特徴量作成部12、パラメタ推定部13、音源分離部14、および時間領域変換部15を有する。図4に例示するように、本形態のパラメタ推定部13は、事後確率推定部131aを含むEステップ計算部131、平均パラメタ推定部132aと分散パラメタ推定部132bと重みパラメタ推定部132cとスペクトルパラメタ推定部132dとを含むMステップ計算部132、スペクトル事前分布情報保持部133、および判定部134を有する。
本形態の信号分離装置10は、CPU(central processing unit)やRAM(random-access memory)などを含む公知または専用のコンピュータに所定のプログラムが読み込まれることで構成される装置である。信号分離装置10への入力情報や各部での計算結果は、図示していない一時メモリに記憶され、必要に応じて読み出されて他の処理に利用される。信号分離装置10は、図示していない制御部を有し、信号分離装置10の処理は制御部の制御のもとで実行される。
複数の音源から発せられた音源信号が空間で混合され、図示していない2個のマイクロホン1,2で観測される。2個のマイクロホンで観測された観測信号はデジタル化され、時間領域の観測信号x(t)=[x(t),x(t)]が得られる。ここで、x(t)はマイクロホンL(L=1,2)で観測された信号に対応する時間領域の観測信号である。
<周波数領域変換部11>
時間領域の観測信号x(t)(L=1,2)は周波数領域変換部11に入力される。周波数領域変換部11は、観測信号x(t)(L=1,2)を、時間フレーム(所定の時間区間)ごとに周波数領域表現し、観測信号の複素スペクトルXn,f,L(L=1,2)を生成して出力する。例えば周波数領域変換部11は、観測信号x(t)(L=1,2)を、短時間フーリエ変換により、周波数毎の時系列信号である複素スペクトルXn,f,L(L=1,2)に変換して出力する。
<特徴量作成部12>
複素スペクトルXn,f,L(L=1,2)は特徴量作成部12に入力される。特徴量作成部12は、任意の1個のマイクロホン(本形態の例ではマイクロホン1)で観測された観測信号から得られた複素スペクトルXn,f,1を複素スペクトルXn,fとして出力する。また特徴量作成部12は、各時間周波数(n,f)について、複素スペクトルXn,f,L(L=1,2)のマイクロホン間位相差An,fを式(4−1)に従って計算して出力する。
<パラメタ推定部13>
本形態では、上記の複素スペクトルXn,fとマイクロホン間位相差An,fを、(モデル)パラメタθ(後述)による確率モデルで表し、この確率モデルのパラメタθと各時間周波数(n,f)で各音源mから発せられる音源信号の存在確率p(m|Xn,f,An,f,θ)とを推定することで音源分離を行なう。そのため、次にパラメタ推定部13において、パラメタθの推定を行なう。以降、パラメタ推定部13で用いる確率モデルを説明し、その後、パラメタ推定部13の各構成部の処理を説明する。
≪本形態における確率モデル≫
[観測信号の生成モデル]
確率モデルのパラメタをまとめてθと表現し(詳しくは後述)、全ての時間周波数(n,f)におけるXn,fおよびAn,fの集合をそれぞれ{Xn,f}および{An,f}とすると、全ての時間周波数(n,f)での各音源mに対応する観測信号の複素スペクトルXn,fおよびマイクロホン間位相差An,fの分布を表す確率モデルは以下のようになる。

ここで、Mはモデル数であり、ここでは既知の音源数Nをモデル数Mとする(M=N)。p(θ)は、モデルパラメタの事前分布であり、p(m)は各音源mが観測信号中にそれぞれどんな割合で含まれているかを示す混合重みである(Σm=1 p(m)=1)。
ここで、複素スペクトルXn,fとマイクロホン間位相差An,fは互いに独立であると仮定し、以下のように上記の確率モデルを表現する。
p(Xn,f,An,f|m,θXA)=p(Xn,f|m,θX)・p(An,f|m,θA) (8)
ここでp(Xn,f|m,θ)とp(An,f|m,θ)はそれぞれ、観測信号の複素スペクトルの確率モデルとマイクロホン間位相差の確率モデルであり、それぞれ以下のように定義する。
[マイクロホン間位相差の確率モデルp(An,f|m,θ)]
支配的な音源mについて、式(6)における整数kが既知であると仮定すると、マイクロホン間位相差An,fは、平均がμ、分散がσ の以下の正規分布Nでモデル化できる。

すなわちマイクロホン間位相差の確率モデルのパラメタは、全ての音源mにおけるμ,σ の集合θ={μ,σ }である。
ただし実際は、整数kは未知であり、整数kの推定が必要であるため、マイクロホン間位相差の確率モデルp(An,f|m,θ)は、上記の式(9−1)を整数kで周辺化した以下の式で与えられる。

ここで、p(k)は各kに対応する定数である。kは0を含む所定範囲内(−K≦k≦K)に含まれる各整数である。Kはkの絶対値の最大値であり、周波数fによって異なる値をとりうる。Kの例は以下の通りである。

はαよりも大きなαに最も近い整数、Dはマイクロホン間隔、cは音速を表す。また全ての周波数fで同じKを用いても良い。ただし、この場合のKは十分大きな値(例えば、サンプリング周波数fの1/2の値をfとして式(9−3)から得られるKなど)であることが望ましい。
[観測信号の複素スペクトルの確率モデルp(Xn,f|m,θ)]
本形態でも音源のスパース性(式(2))を仮定する。ただし本形態では、式(2)においてHf,L,m=1を仮定する。この仮定はスパース性の一般性を損なわない。この仮定の下では、スパース性とは、ある時間周波数(n,f)において、m番目の音源の音源信号のみが観測され(当該時間周波数(n,f)での複素スペクトルSn,f,mをXn,f,mと表す)、その他の音源m’の音源信号は0として観測される(すなわち、Sn,f,m’=0,m’≠m,m’∈{1,...,M})、と解釈できる。これより、観測信号の複素スペクトルの確率モデルp(Xn,f|m,θ)を、以下のようにモデル化する。

ここでp(Sn,f,m)は、音源信号mの複素スペクトルSn,f,mの確率モデルである。本形態では、平均0、分散γn,f,m の以下の複素正規分布Nでp(Sn,f,m)をモデル化する。
p(sn,f,m) = Nc(sn,f,m; 0, γn,f,m 2) (11)
ここで、分散γn,f,m は、各音源信号の複素スペクトルSn,f,mのパワーの期待値E[|sn,f,m]に相当する。
本形態では、分散γn,f,m の対数値であるスペクトルパラメタρn,f,mについて、事前分布を与える。
ρn,f,m=log(γn,f,m 2) (12)
ただし、「log」は自然対数を表す。
具体的には、まず各音源mについて、各時刻nでの全ての周波数fにおけるスペクトルパラメタρn,f,mを要素とするスペクトルベクトルρ n,m=[ρn,1,m,...,ρn,Nf,mを考える。ただしf∈{1,...,N}であり、添え字の「Nf」はNを意味する。次に、スペクトルベクトルρ n,mに対する事前分布p(ρ n,m)を、以下の混合正規分布でモデル化する(混合正規分布モデル:Gaussian Mixture Model(GMM))。

ここで、Iは上記の混合正規分布に用いられる正規分布の個数であり、i(m)は音源mのスペクトルベクトルρ n,mの混合正規分布に含まれる各正規分布を表すインデックスである。ν i(m)=[ν1,i(m),...,νNf,i(m)、Vi(m)、およびp(i(m))は、それぞれ、当該GMMの平均、共分散行列(対角要素がυf,i(m)の対角行列)、および混合重みである。これらのパラメタは、学習用データを用いた事前学習によって得られる(学習法は後述)。
この事前分布の情報を用いて音源分離を行うことにより、音源信号の分布に近い分布を持つ分離信号を得ることができる。すなわち、空間的エイリアジングのために特定の周波数で大きく歪んだ周波数特性を持つ信号が分離信号として得られることの無いよう、制御することが可能となる。また上記より、観測信号の複素スペクトルの確率モデルのパラメタは、全ての時間周波数(n,f)および音源mにおけるρn,f,mの集合θ={ρn,f,m}である。なお、分散γn,f,m の対数値に事前分布を与えてモデル化するのではなく、分散γn,f,m そのものに事前分布を与えてモデル化してもよい。すなわち、式(12)に代えてρn,f,m=γn,f,m としてもよい。
≪パラメタ推定部13の詳細≫
パラメタ推定部13(図4)は、パラメタθ={θ,p(m),θ}={μ,σ ,p(m),ρn,f,m}を繰り返し演算によって求める。以下θ={μ ,(σ ,p(m),ρn,f,m }をt回目の反復更新で得られたパラメタとし、θ ={μ ,(σ }およびθ ={ρn,f,m }とする。
図5に例示するように、はじめにステップS0において、パラメタθの初期値θ={μ ,(σ ,p(m),ρ n,f,m}、パラメタ更新回数を表すインデックスtの初期値t=0、モデル数M、kの範囲を決めるK、パラメタ更新回数の最大値T、収束判定の閾値Δを設定する。パラメタθの初期値としては、例えば、マイクロホン間隔Dで決まるμのとりうる範囲(−D/c〜D/c)をM等分した値をμ 、(σ =π/30(m=1,...,M)、p(m)=1/M(m=1,...,M)、ρ n,f,m=log(Xn,f )(m=1,...,M)とする。また、モデル数Mは既知の音源数Nであり、Kは例えば前述の式(9−3)から得られる値であり、最大値Tは例えばT=20であり、閾値Δは例えば十分小さな正の値である。
また、予め学習しておいたスペクトルベクトルρ n,mに対する事前分布p(ρ n,m)のパラメタ{νf,i(m),υf,i(m),p(i(m))}を、スペクトル事前分布情報保持部133に保持しておく。パラメタ{νf,i(m),υf,i(m),p(i(m))}は、音源信号の複素スペクトルSn,f,mの分布を表す事前情報である。
事前分布p(ρ n,m)の学習方法としては、以下の方法を例示できる。音源mから予め得ていた学習用の複素スペクトルをSn,f,m’としてρn,f,m=log((Sn,f,m’))を計算し、それらを用いてスペクトルベクトルρ n,m=[ρn,1,m,...,ρn,Nf,mを構成する。このスペクトルベクトルρ n,mに(13)の混合正規分布をあてはめて、パラメタ{νf,i(m),υf,i(m),p(i(m))}を計算する。混合正規分布のあてはめには、例えばEMアルゴリズム(参考文献1「汪ほか、「計算統計I−確率計算の新しい手法」、岩波書店」)を用いることができる。この場合には、参考文献1のP161の式(76)のxをスペクトルベクトルρ n,mに、μをν i(m)に、ΣをVi(m)に、αをp(i(m))にそれぞれ置き換え、参考文献1の式(78)(79)(80)にて、それぞれのパラメタを計算し、それらを{νf,i(m),υf,i(m),p(i(m))}とする。
次にステップS1において、制御部(図示せず)がtを1だけインクリメントする(t+1を新たなtとする)。
[Eステップ計算部131]
次にステップS2(Eステップ)において、Eステップ計算部131の事後確率推定部131aが、入力された複素スペクトルXn,fおよびマイクロホン間位相差An,f、スペクトル事前分布情報保持部133に保存されているパラメタ{νf,i(m),υf,i(m),p(i(m))}、ならびに一時メモリ(図示せず)に保存されているパラメタθt−1={μ t−1,(σ t−1,pt−1(m),ρt−1 n,f,m}を用い、p(Xn,f|m,θ t−1)(式(10)参照)、p(An,f|m,k,θ t−1)(式(9−1)参照)、p(ρ n,m )およびp(ρ n,m |i(m))・p(i(m))(式(13)(14)参照)を計算した上で、以下の事後確率を計算する。
ここで、Gn,f,mは時間周波数(n,f)での音源mの複素スペクトルXn,fに対する寄与率を表し、Gn,f,m はt回目の反復更新で得られる寄与率Gn,f,mを表す。zn,i(m)は時刻nでのスペクトルベクトルρ n,mがi(m)番目の混合分布をとる事後確率を表す。ρ n,m =[ρn,1,m ,...,ρn,Nf,m はt回目の反復更新で得られるスペクトルパラメタρn,f,m を要素とするスペクトルベクトルを表す。また(16)以降、Σα(k)はk=−KからKまでについてのα(k)の和Σk=−K α(k)、Σα(m)はm=1からMまでについてのα(m)の和Σm=1 α(m)、Σα(n)はn=1からNまでについてのα(n)の和Σn=1 Nnα(n)、Σα(f)はf=1からNまでについてのα(f)の和Σf=1 Nfα(f)である。ここで、Nは周波数の個数であり、Nはデータ全体での時間フレームの個数である。
[Mステップ計算部132]
次にステップS3(Mステップ)において、Mステップ計算部132が、入力された複素スペクトルXn,fおよびマイクロホン間位相差An,f、ステップS2で得られた事後確率gn,f,m,k ,zn,i(m) 、ならびにスペクトル事前分布情報保持部133に保存されている事前分布p(ρ n,m)のパラメタ{νf,i(m),υf,i(m),p(i(m))}を用い、以下のようにパラメタθ={μ ,(σ ,p(m),ρn,f,m }を得て出力する(更新式の導出は後述)。
[平均パラメタ推定部132a]
平均パラメタ推定部132aは、マイクロホン間位相差An,fおよび式(16)で得られた事後確率gn,f,m,k を入力とし、以下のように平均μ (各音源mに対応するマイクロホン間位相差An,fの平均)を計算して出力する。

すなわち、平均μ はマイクロホン間位相差An,fに2πkを加算して得られる値の集合と複素スペクトルXn,fとから得られる値である。
[分散パラメタ推定部132b]
分散パラメタ推定部132bは、マイクロホン間位相差An,f、式(16)で得られた事後確率gn,f,m,k 、および式(18)で得られた平均μ を入力とし、以下のように分散(σ (各音源mに対応するマイクロホン間位相差An,fの分散)を計算して出力する。

すなわち、分散(σ はマイクロホン間位相差An,fに2πkを加算して得られる値の集合と複素スペクトルXn,fとから得られる値である。
[スペクトルパラメタ推定部132d]
スペクトルパラメタ推定部132dは、複素スペクトルXn,f、式(15)で得られた寄与率Gn,f,m 、式(17)で得られた事後確率zn,i(m) 、およびスペクトル事前分布情報保持部133に保存されているパラメタνf,i(m),υf,i(m)を用い、以下の式(20)を満たすスペクトルパラメタρn,f,m (各音源mに対応する複素スペクトルXn,fの分散を表すスペクトルパラメタ)を計算して出力する。

ただし、式(20)はρn,f,m について解析的に解けないため、ニュートン法などを用いて、この式を満たすρn,f,m を計算する(具体的な方法は後述)。
[重みパラメタ推定部132c]
重みパラメタ推定部132cは、式(15)で得られた寄与率Gn,f,m を用い、以下のように混合分布の重みp(m)を計算して出力する。
[判定部134]
判定部134は、t=Tとなるか、もしくは、以下の収束条件|Q(θ|θ)−Q(θ|θt−1)|<Δを満たすかを判定する(ステップS4)。
ただし、Q(θ|θ)は、t回目の反復更新で得られた事後確率gn,f,m,k ,zn,i(m) およびパラメタθ={μ ,(σ ,p(m),ρn,f,m }を用いて計算した以下のQ関数を表す。

Q(θ|θt−1)は、t−1回目の反復更新で得られた事後確率gn,f,m,k t−1,zn,i(m) t−1およびパラメタθt−1={μ t−1,(σ t−1,pt−1(m),ρn,f,m t−1}を用いて計算したQ関数である。すなわち、収束条件|Q(θ|θ)−Q(θ|θt−1)|<Δは、t回目の反復更新で得られた事後確率gn,f,m,k ,zn,i(m) およびパラメタθ={μ ,(σ ,p(m),ρn,f,m }から得られるQ(θ|θ)と、t−1回目の反復更新で得られた事後確率gn,f,m,k t−1,zn,i(m) t−1およびパラメタθt−1={μ t−1,(σ t−1,pt−1(m),ρn,f,m t−1}から得られるQ(θ|θt−1)との差がΔ未満であるかの条件である。Σ{i(m)}α(i(m))は、Σ{i(1)}α(i(1))・Σ{i(2)}α(i(2))…・Σ{i(M)}α(i(M))を表す。
ステップS4でnoであればステップS1に戻る。一方、yesであればパラメタ推定部13が、パラメタθ={μ ,(σ ,p(m),ρn,f,m }をθ={μ,(σ ),p(m),ρn,f,m}とし、パラメタθから得られる寄与率Gn,f,m を寄与率Gn,f,mとして得て出力する。
次に、音源分離部14において音源分離を行なう。最終的に得られたパラメタθから得られる事後確率Gn,f,m(式(15))の値は、各時間周波数(n,f)での各音源の観測信号の複素スペクトルXn,f,L(L=1,2)に対する寄与率に相当する。そのため、本形態の音源分離部14は、各時間周波数(n,f)での当該寄与率Gn,f,mおよび観測信号の複素スペクトルXn,f,L(L=1,2)の1つ(ここではXn,f=Xn,f,1)を入力とし、これらから、各音源mに対応する分離信号の複素スペクトルYn,f,mを抽出する。例えば、音源分離部14は、寄与率Gn,f,mを観測信号の複素スペクトルXn,f,1に以下のように乗算し、分離信号の複素スペクトルYn,f,mを得る。
Yn,f,m=Gn,f,m・Xn,f,1(22)
最後に時間領域変換部15が、分離信号の複素スペクトルYn,f,mを入力とし、例えば逆フーリエ変換等によって、複素スペクトルYn,f,mを時間領域の分離信号y(t)に変換して出力する。
<Mステップの各計算式の導出>
ここでは、Mステップ計算部132(ステップS3)が計算する各パラメタの導出法について述べる。本形態では、観測信号の複素スペクトルXn,fとマイクロホン間位相差An,fについてのパラメタθ={μ,σ ,p(m),ρn,f,m}、MAP推定により推定する。{αn,f}を全ての時間周波数(n,f)におけるαn,fの集合、{α}を全ての音源mにおけるαの集合とすると、コスト関数は、次のように与えられる。
このコスト関数L(θ)を最大とするパラメタθをEMアルゴリズムにより求める。EMアルゴリズムのためのQ関数は以下のようになる。

ここでp(Xn,f,An,f|m,k,θ)は式(8)、gn,f,m,kとzn,i(m)はそれぞれ(16)、(17)で与えられ、Q関数の最後の項のp(ρ n,m|i(m))・p(i(m))はp(i(m))・ΠN(ρn,f,m;νf,i(m),υf,i(m))である(式(14))。
Q関数の平均μ、分散σ 、スペクトルパラメタρn,f,mでの偏微分結果をそれぞれゼロと置いて解くことで、式(18)、(19)、(20)が得られる。また、式(21)の重みのパラメタは、

の拘束のもとで解くことで得られる(導出終)
<スペクトルパラメタ推定部132dでの具体的な計算>
スペクトルパラメタ推定部132dでは、式(20)を満たすスペクトルパラメタρn,f,mを計算するが、この式は、ρn,f,mについて解析的に解けないため、ここではニュートン法を用いてρn,f,mを計算する方法を示す。
式(20)を整理して以下のように表現する。

ここで、a,b,cはそれぞれ以下である。
さらに、

となる。
この式にNewton法を適用する。まずYを0と1の間の任意の値などで初期化した後、

の計算を数回(5回程度)反復して行なう。ただし、「α←β」は、βを新たなαとすることを意味し、F’(Y)は関数F(Y)をYについて微分することを意味する。これにより得た解Yを用いて、
ρn,f,m=log(b/a)-Y (26)
を計算し、スペクトルパラメタρn,f,mを得る。
[本形態の効果]
本形態の効果を説明する。実験条件としては、2個または3個の音源が同時に鳴っている環境において2つのマイクロホンで収録を行い、従来法および提案法で音源分離を行なった。サンプリング周波数は16kHz、マイク間隔は20cmであり、850Hz以上で空間的エイリアジングが起こる条件である。
ここでの従来法は、特許文献1に示されている方法である。また提案法におけるスペクトルベクトルの事前分布の学習には、音源分離対象と同じ話者が話した143文(分離対象の文章は含まない)を用いた。音源分離性能を、信号対妨害音比(Signal to interference ratio: SIR)および、信号対歪み比(Signal to distortion ratio: SDR)にて評価した。6通りの音声組合せにて評価し、その平均を求めた。
図6Aおよび図6Bは、それぞれ、従来法および提案法によって分離された信号のスペクトル(音源数3)を例示している。図6A(従来法)では、音源(2)と音源(3)のスペクトルにおいて、横縞様の成分が多く見られる。例えば1秒を過ぎた付近と、2.5秒付近は、音源(2)と音源(3)は無音であるにもかかわらず横縞様の成分が見える。これは、空間的エイリアジングのためマイク間位相差が重なった周波数において、音源分離が十分に行なわれず、音源(1)の信号成分が、音源(2)と音源(3)の分離信号に残ってしまったためである。一方、図6B(提案法)では、横縞様の成分は減少していることが分かる(四角で囲んだ部分など)。これより、提案法は、空間的エイリアジングのためマイクロホン間位相差が重なった周波数においても、高精度で音源分離を可能にすることが分かる。
表1は、SIRとSDRの値を示している。これより、発明法は従来法より高い分離性能を得られることが分かる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
上述の構成をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例は、非一時的な(non-transitory)記録媒体である。このような記録媒体の例は、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等である。
このプログラムの流通は、たとえば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、たとえば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。
上記実施形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させて本装置の処理機能が実現されたが、これらの処理機能の少なくとも一部がハードウェアで実現されてもよい。
10 音源分離装置
12 特徴量作成部
13 パラメタ推定部
14 音源分離部
131 Eステップ計算部
131a 事後確率推定部
132a 平均パラメタ推定部
132b 分散パラメタ推定部
132c 重みパラメタ推定部
132d スペクトルパラメタ推定部
133 スペクトル事前分布情報保持部

Claims (7)

  1. 複数の音源が発した音源信号が混合され、2個のマイクロホンで観測される状況で、上記音源信号それぞれの推定信号である分離信号を分離抽出する音源分離装置であって、
    2個のマイクロホンで観測された観測信号を、所定の時間区間ごとに周波数領域表現し、観測信号の複素スペクトルを得る周波数領域変換部と、
    上記観測信号の複素スペクトルのマイクロホン間位相差を各時間周波数について計算する特徴量作成部と、
    任意の1個のマイクロホンで観測された観測信号から得られた上記観測信号の複素スペクトル、上記特徴量作成部で得られた上記マイクロホン間位相差、および上記音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報を用い、上記各音源に対応する観測信号の複素スペクトルおよびマイクロホン間位相差の分布を表す確率モデルのパラメタを推定するパラメタ推定部と、
    上記パラメタから得られる各時間周波数での上記各音源の上記観測信号の複素スペクトルに対する寄与率を用い、各時間周波数での当該寄与率および上記観測信号の複素スペクトルから、分離信号の複素スペクトルを抽出する音源分離部と、
    上記分離信号の複素スペクトルを時間領域の分離信号に変換する時間領域変換部と、
    を有する音源分離装置。
  2. 請求項1に記載の音源分離装置であって、
    上記パラメタ推定部が、
    上記各音源に対応する上記マイクロホン間位相差の平均を全ての音源について計算する平均パラメタ推定部と、
    上記各音源に対応する上記マイクロホン間位相差の分散を全ての音源について計算する分散パラメタ推定部と、
    上記各音源に対応する上記観測信号の複素スペクトルの分散を表すスペクトルパラメタを全ての音源について計算するスペクトルパラメタ推定部と、
    上記音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報を保持しているスペクトル事前分布情報保持部と、
    混合分布の重みを計算する重みパラメタ推定部と、を有し、
    上記確率モデルは、混合分布モデルであり、
    上記パラメタは、上記マイクロホン間位相差の平均、上記マイクロホン間位相差の分散、上記スペクトルパラメタ、および上記混合分布の重みを含み、
    上記マイクロホン間位相差の平均、上記マイクロホン間位相差の分散、および上記混合分布の重みは、上記観測信号の複素スペクトルと上記マイクロホン間位相差とから得られる値であり、
    上記観測信号の複素スペクトルの分散は、上記観測信号の複素スペクトルと上記マイクロホン間位相差と上記音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報とから得られる値である、
    ことを特徴とする音源分離装置。
  3. 請求項2に記載の音源分離装置であって、
    上記マイクロホン間位相差の平均、および上記マイクロホン間位相差の分散は、上記マイクロホン間位相差に2πkを加算して得られる値の集合と上記観測信号の複素スペクトルとから得られる値であり、kは0を含む所定範囲内に含まれる各整数である、
    ことを特徴とする音源分離装置。
  4. 複数の音源が発した音源信号が混合され、2個のマイクロホンで観測される状況で、上記音源信号それぞれの推定信号である分離信号を分離抽出する音源分離方法であって、
    2個のマイクロホンで観測された観測信号を、所定の時間区間ごとに周波数領域表現し、観測信号の複素スペクトルを得る周波数領域変換ステップと、
    上記観測信号の複素スペクトルのマイクロホン間位相差を各時間周波数について計算する特徴量作成ステップと、
    任意の1個のマイクロホンで観測された観測信号から得られた上記観測信号の複素スペクトル、上記特徴量作成部で得られた上記マイクロホン間位相差、および上記音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報を用い、上記各音源に対応する観測信号の複素スペクトルおよびマイクロホン間位相差の分布を表す確率モデルのパラメタを推定するパラメタ推定ステップと、
    上記パラメタから得られる各時間周波数での上記各音源の上記観測信号の複素スペクトルに対する寄与率を用い、各時間周波数での当該寄与率および上記観測信号の複素スペクトルから、分離信号の複素スペクトルを抽出する音源分離ステップと、
    上記分離信号の複素スペクトルを時間領域の分離信号に変換する時間領域変換ステップと、
    を有する音源分離方法。
  5. 請求項4に記載の音源分離方法であって、
    上記パラメタ推定ステップが、
    上記各音源に対応する上記マイクロホン間位相差の平均を全ての音源について計算する平均パラメタ推定ステップと、
    上記各音源に対応する上記マイクロホン間位相差の分散を全ての音源について計算する分散パラメタ推定ステップと、
    上記各音源に対応する上記観測信号の複素スペクトルの分散を全ての音源について表すスペクトルパラメタを計算するスペクトルパラメタ推定ステップと、
    上記音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報を保持しているスペクトル事前分布情報保持ステップと、
    混合分布の重みを計算する重みパラメタ推定ステップと、を有し、
    上記確率モデルは、混合分布モデルであり、
    上記パラメタは、上記マイクロホン間位相差の平均、上記マイクロホン間位相差の分散、上記スペクトルパラメタ、および上記混合分布の重みを含み、
    上記マイクロホン間位相差の平均、上記マイクロホン間位相差の分散、および上記混合分布の重みは、上記観測信号の複素スペクトルと上記マイクロホン間位相差とから得られる値であり、
    上記観測信号の複素スペクトルの分散は、上記観測信号の複素スペクトルと上記マイクロホン間位相差と上記音源信号の複素スペクトルの分布を表す事前情報とから得られる値である、
    ことを特徴とする音源分離方法。
  6. 請求項5に記載の音源分離方法であって、
    上記マイクロホン間位相差の平均、および上記マイクロホン間位相差の分散は、上記マイクロホン間位相差に2πkを加算して得られる値の集合と上記観測信号の複素スペクトルとから得られる値であり、kは0を含む所定範囲内に含まれる各整数である、
    ことを特徴とする音源分離方法。
  7. 請求項1から3の何れかの音源分離装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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