JP2013185880A - 鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法及び座屈耐性評価装置 - Google Patents

鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法及び座屈耐性評価装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮局部座屈耐性を適正に評価可能にする。
【解決手段】溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法であって、溶接金属の降伏応力をσ1、鋼製パイプラインの管母材の降伏応力をσ2、溶接継手部における余盛り厚さをtw、鋼製パイプラインの厚さをtとしたときに、M=σ1/σ2(1+tw/t)で定義される座屈耐性パラメータMの値を鋼製パイプラインの口径毎に求められる設定値Maと比較することで、溶接継手部の軸圧縮局部座屈の耐性を評価する。
【選択図】図4

Description

本発明は、溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性を評価する方法及び装置に関するものである。
鋼製パイプラインは、ガスや石油などの流体輸送導管、上下水道管、通信配線保護管など、各種用途で敷設されている。地中に埋設された鋼製パイプラインは、平常時に、土圧,地下水圧,パイプラインの自重,地上からの車両輪荷重など、管軸に対して垂直な方向の荷重を受けており、これらの荷重に対する耐曲げ強度などの設計が一般になされている。
一方、地中に埋設された鋼製パイプラインは、直線状に長く配置されているので、地震などの地盤変位が生じると管軸方向に大きな荷重を受ける。鋼製パイプラインが管軸方向に大きな圧縮力を受けると、弾性限度を超えた塑性変形領域にて提灯座屈と呼ばれる軸対称型の局部座屈が発現することが知られている。この局部座屈は一度発現すると座屈部の変形が急速に進行し、鋼製パイプラインの構造物としての耐力が著しく低下する。このため鋼製パイプラインにおいては、このような局部座屈の発現が地震に対する耐震性評価を行う上での基準の一つになっている。
下記特許文献1には、軸方向の引張試験により得られる公称応力−公称ひずみ曲線において、加工硬化開始点の歪量が1.5%以下で、且つ加工硬化係数が0.15以上であることで、大径薄肉であっても局部座屈を起こし難い鋼管が得られることが示されている。
下記特許文献2には、管径D、管厚tおよび要求局部座屈歪εreqが与えられた鋼管の局部座屈特性評価方法であって、応力歪特性上に降伏棚を有する材料の応力歪特性を取得し、取得された応力歪特性における応力歪曲線の降伏歪εy、歪硬化係数m、歪硬化開始歪εHが、縦軸をεy/m、横軸をεHとした座標面において、一定の領域内にあるかどうかを判断し、これによって鋼管の局部座屈性能を評価することが示されている。
特開平9−196244号公報 特開2007−163392号公報
一般に、鋼製パイプラインは一定の間隔で現地施工した溶接継手部を有しており、溶接継手部は、溶接形状や溶接金属自体の強度特性,溶接時の熱影響による管母材の強度変化など、材料的にも幾何学的にも不均質ものである。管の座屈特性は、一般に形状不整や強度不均質に大きく影響されることから、溶接継手部の存在に起因して鋼製パイプラインの座屈特性が管母材部の座屈特性に比べて変化することは予測可能であるが、従来技術によると、パイプラインの溶接継手部における強度不均質に対する評価がなされておらず、溶接継手部を含む鋼製パイプラインの座屈耐性を適正に評価できない問題があった。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮局部座屈耐性を適正に評価可能にすること、鋼製パイプラインの溶接継手部で局部座屈が生じることを回避するための指標を得ることができること、などが本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法であって、溶接金属の降伏応力をσ1、鋼製パイプラインの管母材の降伏応力をσ2、溶接継手部における余盛り厚さをtw、鋼製パイプラインの厚さをtとしたときに、M=σ1/σ2(1+tw/t)で定義される座屈耐性パラメータMの値を鋼製パイプラインの口径毎に求められる設定値と比較することによって、溶接継手部の軸圧縮局部座屈の耐性を評価することを特徴とする鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法。
溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価装置であって、鋼製パイプラインの口径毎に、溶接金属の降伏応力σ1、鋼製パイプラインの管母材の降伏応力σ2、溶接継手部における余盛り厚さtw、鋼製パイプラインの厚さtを入力する入力手段と、前記入力手段によって入力される前記σ1,σ2,tw,tに基づいて、鋼製パイプラインの座屈耐性を評価する評価手段を備え、前記評価手段は、鋼製パイプラインに対する軸圧縮解析の結果得られた座屈開始ひずみεcrと降伏ひずみεyとの比εcr/εyと、M=σ1/σ2(1+tw/t)で定義される座屈耐性パラメータMの値との関係を示す関係式を鋼製パイプラインの口径毎に備え、前記座屈耐性パラメータMの値を変化させて、前記εcr/εyが直線的に増加する領域と前記εcr/εyが一定になる領域の境界における前記座屈耐性パラメータMの値を設定値とし、前記入力手段によって入力された前記σ1,σ2,tw,tによって求められる前記座屈耐性パラメータMの値と前記設定値とを比較することで、鋼製パイプラインの座屈耐性を評価することを特徴とする鋼製パイプラインの座屈耐性評価装置。
本発明に係る鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法又は装置によると、前述した座屈耐性パラメータMを定義して、このMが設定値を超えるように、溶接金属の降伏応力σ1と溶接継手部における余盛り厚さtwを設定することで、軸圧縮局部座屈が溶接継手部に発現しない座屈モードを実現することができる。これによって、溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮局部座屈の耐性を適正に評価することができ、前述した座屈耐性パラメータMによって、鋼製パイプラインの溶接継手部で局部座屈が生じることを回避するための指標を得ることができる。
溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮解析の解析モデルを示した説明図である。 溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮解析の結果を示した説明図である。 溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮解析の結果を示した説明図である。 溶接継手部を有する鋼製パイプラインの軸圧縮解析の結果を示した説明図である。 鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法を実行するための装置を示した説明図である。
本発明は、溶接継手部を有する鋼製パイプラインに対して、有限要素法(FEM)による軸圧縮解析を行った結果を整理することで、溶接継手部を有する鋼製パイプラインに対する局部座屈耐性を簡易に評価可能にしたものである。ここでは、FEM軸圧縮解析によって、軸圧縮局部座屈が溶接継手部で発現する座屈モード(座屈モードA)と、軸圧縮局部座屈が管母材部で発現する座屈モード(座屈モードB)の条件を見出し、座屈モードAが生じない条件を設定することで、溶接継手部を有する鋼製パイプラインの局部座屈耐性評価を行うものである。
本発明においては、局部座屈耐性に拘わる溶接継手部の要件として、溶接継手部における「溶接金属の降伏応力σ1」と溶接継手部の「余盛り厚さtw」に着目し、これらを含む座屈耐性パラータMを下記式(1)によって定義した。
M=σ1/σ2(1+tw/t) …… (1)
ここで、σ1:溶接金属の降伏応力、σ2:鋼製パイプラインの管母材の降伏応力、tw:溶接継手部における余盛り厚さ、t:鋼製パイプラインの厚さをそれぞれ示す。この座屈耐性パラメータMは、鋼製パイプラインの口径を一定にした場合の座屈耐性を評価するものである。
そして、鋼製パイプラインの口径,鋼製パイプラインの管母材の降伏応力σ2,鋼製パイプラインの厚さtを一定にして、溶接金属の降伏応力σ1と溶接継手部の余盛り厚さtwを変化要素とした複数の条件でFEM軸圧縮解析を行った場合に、前述した座屈耐性パラメータMを用いることで、この座屈耐性パラメータMの値が設定値より大きくなると座屈モードBでの局部座屈が発現し、座屈耐性パラメータMが設定値より小さいと座屈モードAでの局部座屈が発現する解析結果が得られた。この解析結果は、管の直径をD、管厚tとした場合に、D/tがおおよそ10以下、100以上となると異なる座屈現象が生じることになるが、10<D/t<100の範囲で同等の結果が得られた。
FEM軸圧縮解析の一例を以下に示す。溶接金属の降伏応力σ1及び溶接継手部の余盛り厚さtwを変化させた口径300A鋼管に対して、表1に示す条件でFEM軸圧縮解析を実施した。
Figure 2013185880
FEM軸圧縮解析の解析モデルを図1に示す。この解析モデルは、パイプラインの対称性を考慮して軸対称モデルとしている。解析ステップとしては、(i)FEM軸圧縮解析に座屈を発現させるために解析モデル全体に初期不整を導入、(ii)鋼製パイプライン内面に設定圧(0.3MPa)の圧力(管内圧)を付与、(iii)鋼製パイプラインの端面に軸圧縮変位を付与、の3ステップとした(図1(a)参照)。
解析モデルにおける溶接継手部の周辺領域は、図1(b)に示すように、A〜Fの6つの領域に分割した。領域Aはパイプラインの管母材であり、領域B〜Dは溶接による熱影響部であり、領域E,Fは溶接金属部である。各領域の材料特性は、ヤング率E、加工硬化係数n、降伏応力によって設定する。各領域の降伏応力は、領域Aを特定の値に設定(表1の例では400MPa)し、領域Dを領域Aの設定値の0.8倍(0.8〜0.9倍の範囲で設定可能)とし(表1の例では320MPa)、領域B,Cについては、領域Aから領域Dに至る距離に応じた比例配分に設定した。
表1に示した解析条件は、余盛り厚さtwと溶接金属の降伏応力(領域E(F)の降伏応力)を変えて、その他の条件(直径D(318.4mm)、厚さt(6.4mm)、ヤング率E(206)GPa)、加工硬化係数n(0.07))は一定にしている。条件1〜6は、余盛り厚さtwを2.0mmとして、溶接金属の降伏応力(領域E(F)の降伏応力)を320MPaから520MPaまで40MPaピッチで6種類に変えている。条件7〜12は、余盛り厚さtwを2.5mmとして、溶接金属の降伏応力(領域E(F)の降伏応力)を320MPaから520MPaまで40MPaピッチで6種類に変えている。条件13〜18は、余盛り厚さtwを3.0mmとして、溶接金属の降伏応力(領域E(F)の降伏応力)を320MPaから520MPaまで40MPaピッチで6種類に変えている。条件19〜24は、余盛り厚さtwを3.5mmとして、溶接金属の降伏応力(領域E(F)の降伏応力)を320MPaから520MPaまで40MPaピッチで6種類に変えている。
FEM軸圧縮解析の結果を図2〜図4に示す。図2は、溶接金属の降伏応力を変化させた条件1〜6の結果を横軸:ひずみ(%),縦軸:圧縮荷重(kN)の線図で示している。条件1〜3が溶接継手部で局部座屈が発現する座屈モードAになり、条件4〜6が溶接接続部以外(管母材部)で局部座屈が発現する座屈モードBになった。FEM軸圧縮解析の結果から、座屈モードAの場合には、溶接金属の降伏応力σ1が増加するに伴い座屈開始ひずみεcrが増加することが判った(図2において、εcr(1)は条件1,εcr(2)は条件2,εcr(3)は条件3の座屈開始ひずみをそれぞれ示す)。座屈モードBの場合には、溶接金属の降伏応力σ1が増加しても座屈開始ひずみεcrはほぼ一定になることが判った(図2において、εcr(4),(5),(6)は条件4,5,6の座屈開始ひずみをそれぞれ示す)。
図3は、溶接金属の降伏応力を400MPaで一定として、余盛り厚さtwを変化させた条件3,9,15,21の結果を横軸:ひずみ(%),縦軸:圧縮荷重(kN)の線図で示している。このFEM軸圧縮解析の結果から、余盛り厚さtwの増加に伴い座屈開始ひずみεcrが増加することが判った(図3において、εcr(3)は条件3,εcr(4)は条件4,εcr(15),(16)は条件51,16の座屈開始ひずみをそれぞれ示す)。また、余盛り厚さtwが3.0mmより小さい条件では、座屈モードは溶接継手部で局部座屈が発現する座屈モードAになり、余盛り厚さtwが3.0以上の条件では、座屈モードは管母材部で局部座屈が発現する座屈モードBになって、座屈開始ひずみεcrは一定値を示すことが判った。
このような軸圧縮解析の結果から、溶接継手部で局部座屈が発現する条件では、座屈開始ひずみεcrは溶接金属の降伏応力σ1と余盛りを含んだ溶接継手部の板厚に対して正の相関関係を有することが判った。この結果に基づいて、前述した座屈耐性パラメータMを式(1)によって定義した。
図4は、前述した全ての条件1〜24に対して、式(1)によって算出した座屈耐性パラメータMを横軸にし、FEM軸圧縮解析によって求められる座屈開始ひずみεcrと降伏ひずみεyの比(εcr/εy)を縦軸にしたグラフを適用し、各条件の解析結果をこのグラフにプロットしたものである。図において、溶接継手部で局部座屈を発現した座屈モードAの条件は×印で示し、管母材で局部座屈が発現した座屈モードBの条件は○印で示している。
図から明らかなように、溶接継手部で局部座屈が発現する座屈モードAの場合は、管母材部で局部座屈が発現する座屈モードBの場合に比べて座屈耐力が全ての条件で低下する結果になっている。この結果から、溶接継手部を有する鋼管パイプラインにおいては、座屈モードBになる条件に設定することで、軸圧縮局部座屈に対する耐性を強化できることが判った。
図4に示す結果をみると、横軸の座屈耐性パラメータMのある値Maを境に、その値Maより座屈耐性パラメータMが大きい場合は、εcr/εyが一定の座屈モードBになり、ある値Maより座屈耐性パラメータMが小さい場合には、εcr/εyが座屈耐性パラメータMの増加に伴って直線的に増加する座屈モードAになる。これにより、FEM軸圧縮解析の結果得られた座屈開始ひずみεcrと降伏ひずみεyとの比εcr/εyが直線的に増加する領域とεcr/εyが一定になる領域の境界における座屈耐性パラメータMの値Maを設定値(図示の例では約1.4)とすると、評価対象における鋼製パイプラインの座屈耐性パラメータMを設定値Maより大きくすることで、軸圧縮局部座屈の耐性を高めることができる。
更に、図から明らかなように、溶接継手部で局部座屈が発現する座屈モードAの場合には、座屈耐性パラメータMとεcr/εyとの間に線形の関係が見られる。図示の×印の解析結果に対して最小二乗法により直線近似を行うと、相関係数R2=0.96の回帰式(回帰直線m)を得ることができる。この回帰式は、下記式(2)によって表すことができる。この式(2)を用いると、σ1/σ2とtwを変数として、座屈開始ひずみεcrを推定することが可能になる。
εcr/εy=α・M+β
=α・σ1/σ2(1+tw/t)+β …(2)
ただし、α,βは回帰係数
このようなFEM軸圧縮解析の結果から、以下に示すような溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法を得ることができる。
一つには、溶接金属の降伏応力をσ1、鋼製パイプラインの母材の降伏応力をσ2、溶接継手部における余盛り厚さをtw、鋼製パイプラインの厚さをtとしたときに、式(1)によって定義される座屈耐性パラメータMの値が、鋼製パイプラインの口径毎に求められる設定値より大きいことによって、溶接継手部の軸圧縮局部座屈の耐性を評価する。ここでの設定値は、図4に示すグラフ表示を行い、座屈耐性パラメータMの値を変化させて、εcr/εyが直線的に増加する領域とεcr/εyが一定になる領域の境界における座屈耐性パラメータMの値Maによって設定する。
これによると、評価対象の鋼製パイプラインから求められる座屈耐性パラメータMが前述した設定値Maより大きい場合に、この鋼製パイプラインは局部座屈耐性が高い溶接継手部を備えているとの評価が可能になる。この際に用いられる設定値Maは、評価対象の鋼製パイプラインの諸元に従い、溶接金属の降伏応力σ1と溶接継手部の余盛り厚さtを変化させた各条件でFEM軸圧縮解析を行い、この解析結果を図4に示すようにグラフ表示することで求めることができる。
この際の評価において、例えば、座屈耐性パラメータMの値が前述した設定値Maより大きくなるように、溶接継手部の余盛り厚さtwを設定するか、或いは、座屈耐性パラメータMの値が前述した設定値Maより大きくなるように、溶接金属の選択によってσ1を設定することができる。これによって、溶接継手部で軸圧縮局部座屈が発現しない(座屈モードAにならない)溶接継手部を得ることができる。
また、座屈耐性パラメータMが前述した設定値Maより小さい場合には、図4に示すように、εcr/εyと座屈耐性パラメータMの値との関係を直線近似することで、任意の座屈耐性パラメータMの値に対して座屈開始ひずみεcrの値を推定することができる。これによると、許容される座屈開始ひずみεcr以下になるように、座屈耐性パラメータMの値に含まれる溶接金属の降伏応力σ1と余盛り厚さtwを設定することができる。
図5は、前述した鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法を実行するための装置を示した説明図である。この装置(溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価装置)は、入力手段1と評価手段2を備えている。入力手段1は、鋼製パイプラインの口径毎に、溶接金属の降伏応力σ1、鋼製パイプラインの管母材の降伏応力σ2、溶接継手部における余盛り厚さtw、鋼製パイプラインの厚さtを入力する。
評価手段2は、予め様々な条件でFEM軸圧縮解析を行った解析結果がデータベースとして納められており、εcr/εyと座屈耐性パラメータMの値との関係を示す関係式(図4に示す回帰直線mにおける回帰係数α,β)を鋼製パイプラインの口径毎に備えている。また、座屈耐性パラメータMの値を変化させて、εcr/εyが直線的に増加する領域とεcr/εyが一定になる領域の境界における座屈耐性パラメータMの値を設定値Maとして備えている。そして、入力手段1によって入力されたσ1,σ2,tw,tによって求められる座屈耐性パラメータMの値と前述した設定値Maとを比較することで、鋼製パイプラインの座屈耐性を評価する。
更に、評価手段2は、座屈耐性パラメータMが設定値Ma以下の場合には、評価対象の鋼製パイプラインに対応した回帰式(回帰直線mにおける回帰係数α,β)によって、任意の座屈耐性パラメータMの値に対して、座屈開始ひずみεcrを推定して出力する。
1:入力手段
2:評価手段

Claims (7)

  1. 溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法であって、
    溶接金属の降伏応力をσ1、鋼製パイプラインの管母材の降伏応力をσ2、溶接継手部における余盛り厚さをtw、鋼製パイプラインの厚さをtとしたときに、
    M=σ1/σ2(1+tw/t)で定義される座屈耐性パラメータMの値を、鋼製パイプラインの口径毎に求められる設定値と比較することによって溶接継手部の軸圧縮局部座屈の耐性を評価することを特徴とする鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法。
  2. 前記座屈耐性パラメータMの値が設定値より大きくなるように、前記余盛り厚さtwを設定することを特徴とする請求項1に記載された鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法。
  3. 前記座屈耐性パラメータMの値が設定値より大きくなるように、溶接金属を選択して前記溶接金属の降伏応力σ1を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載された鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法。
  4. 前記設定値は、前記座屈耐性パラメータMの値を変化させて、鋼製パイプラインに対する軸圧縮解析の結果得られた座屈開始ひずみεcrと降伏ひずみεyとの比εcr/εyが直線的に増加する領域と前記εcr/εyが一定になる領域の境界における前記座屈耐性パラメータMの値によって設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法。
  5. 鋼製パイプラインに対する軸圧縮解析の結果得られた座屈開始ひずみεcrと降伏ひずみεyとの比εcr/εyと、前記座屈耐性パラメータMの値との関係を直線近似することで、前記座屈耐性パラメータMの任意の値に対して座屈開始ひずみεcrの値を推定することを特徴とする請求項1に記載された鋼製パイプラインの座屈耐性評価方法。
  6. 溶接継手部を有する鋼製パイプラインの座屈耐性評価装置であって、
    鋼製パイプラインの口径毎に、溶接金属の降伏応力σ1、鋼製パイプラインの管母材の降伏応力σ2、溶接継手部における余盛り厚さtw、鋼製パイプラインの厚さtを入力する入力手段と、
    前記入力手段によって入力される前記σ1,σ2,tw,tに基づいて、鋼製パイプラインの座屈耐性を評価する評価手段を備え、
    前記評価手段は、
    鋼製パイプラインに対する軸圧縮解析の結果得られた座屈開始ひずみεcrと降伏ひずみεyとの比εcr/εyと、M=σ1/σ2(1+tw/t)で定義される座屈耐性パラメータMの値との関係を示す関係式を鋼製パイプラインの口径毎に備え、
    前記座屈耐性パラメータMの値を変化させて、前記εcr/εyが直線的に増加する領域と前記εcr/εyが一定になる領域の境界における前記座屈耐性パラメータMの値を設定値とし、
    前記入力手段によって入力された前記σ1,σ2,tw,tによって求められる前記座屈耐性パラメータMの値と前記設定値とを比較することで、鋼製パイプラインの座屈耐性を評価することを特徴とする鋼製パイプラインの座屈耐性評価装置。
  7. 前記評価手段は、
    前記座屈耐性パラメータMが前記設定値以下の場合に、
    前記εcr/εyと前記座屈耐性パラメータMの値との関係を直線近似する回帰式を備え、当該回帰式によって任意の前記座屈耐性パラメータMの値に対して座屈開始ひずみεcrを推定することを特徴とする請求項5に記載された鋼製パイプラインの座屈耐性評価装置。
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