JP2013185868A - ガス分析計用測定セル - Google Patents

Abstract

【課題】測定対象ガスの濃度範囲に適したセル長の測定セルを簡単かつ低コストに製作することができ、しかも、測定セル内で測定光が減衰したり、サンプルガスが滞留したりすることのない、ガス分析計用の測定セルを提供することを目的とする。
【解決手段】両側が開口する中空円筒体形状を呈する複数の単位セル１０Ａ，１０Ｂと、各単位セル１０Ａ，１０Ｂの端面を付き合わせた状態で相互に連結し、所望の光路長を有するセル本体１１を構成するための連結部材１３と、測定光を透過する光学窓２１を保持すると共にガス入口管２２を有し、セル本体１１のガス入口側の端部を封止するように取り付けられた入口側窓ホルダー２０と、測定光を透過する光学窓３１を保持すると共にガス出口管３２を有し、セル本体１１のガス出口側の端部を封止するように取り付けられた出口側窓ホルダー３０とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明は、赤外線がガス中を透過する際、種々のガスに固有な特定波長の光が吸収されることを利用し、ガス中に含まれる所望のガス成分の濃度を計測する赤外線ガス分析計に用いられるガス分析計用測定セルに関する。

従来の赤外線ガス分析計は、図３に示すように、赤外線光源４０、光チョッパ４１、測定セル５０、赤外線検出器６０等から構成されている。赤外線光源４０から発せられた赤外光は、光チョッパ４１により断続光となり測定光として測定セル５０に入射する。そして、測定光は測定セル５０内を反射し、赤外線検出器６０に入射する。その際、測定セル５０内に導入されたサンプルガス中に含まれる測定対象ガスの濃度に応じ、測定セル５０内での赤外線吸収量が変化するので、その変化をマスフローセンサなどの赤外線検出器６０により検出し、濃度信号(Ｖ)として出力するようにしている。

図４に、上述のシングルビーム方式の赤外線ガス分析計に組み込まれている測定セル５０の詳細な構成を示す。
測定セル５０は、赤外線などの測定用の光線を透過させるとともに、セル本体５１に設けたガス入口管５２ａからサンプルガスを導入し、ガス出口管５２ｂに向けてサンプルガスを流通させるものである。

円筒形状を呈するセル本体５１は、例えばステンレス鋼などの金属からなり、その両端には入口側窓ホルダー５４ａ，出口側窓ホルダー５４ｂが嵌め込まれている。これら入口側窓ホルダー５４ａ，出口側窓ホルダー５４ｂには、それぞれ、赤外線透過材料で形成された光学窓５３ａ，５３ｂが接着されている。また、セル本体５１の両側の端部外周面と入口側窓ホルダー５４ａ，出口側窓ホルダー５４ｂとの間には、Ｏリング５５ａ，５５ｂが設けられており、気密を確保している。
このように、測定セル５０は、長期間使用した場合にサンプルガス中に含まれるダストやミストなどによりセル本体５１の内壁が汚れても、入口側窓ホルダー５４ａ，出口側窓ホルダー５４ｂを取り外し、簡単に清掃することができる構造となっている。

ところで、この赤外線ガス分析計の測定セル５０は、サンプルガス中に含まれる測定対象ガスの濃度範囲に応じて、濃度範囲が低いときにはセル長を長く、濃度範囲が高い場合ときにはセル長を短く設定される。従って、測定セル５０については、測定対象ガスの濃度範囲との関係で決まる種々な仕様に対応し得るようにセル長（光路長）の異なるものを多種類用意しておく必要があり、このことが部品在庫管理を複雑にするのみならず赤外線ガス分析計のコストを上昇させる要因となっていた。

そこで、出願人は、測定対象ガスの濃度範囲に適したセル長の測定セルを簡単に製作できる赤外線ガス分析計用の測定セルを提供するべく、図５に示す構造のものを提案した（特許文献１参照）。

このガス分析計用測定セル６０は、大径の第１の円筒体６１と小径の第２の円筒体６３とを備え、第１の円筒体６１の内周部に第２の円筒体６３の外周部を嵌合させるようにして２つの円筒体を軸線方向に相対的に移動させることによりセル長を調整可能にしたものである。そして、セル長を調整した後、第１の円筒体６１の一方の端部に取り付けた光源ユニット６５の固定脚６６と、第２の円筒体６３の一方の端部に取り付けた検出ユニット６７の固定脚６８とを、不図示のベースに固定することで、適切なセル長をもつ赤外線ガス分析計を構成するようにしている。なお、第１の円筒体６１，第２の円筒体６３に設けられている穴６２，６４は、測定対象ガスを含むサンプルガスの出入口である。

特開平１０−６２３３５号公報（要約、図１等参照）

上述したセル長の長さを調整可能な従来のガス分析計用測定セル６０にあっては、図５中の点線で囲んだ領域Ａに示すように測定セル６０の内部に段差部が存在するので、この段差部で測定光が乱反射し減衰してしまったり、測定セル６０内に導入されたサンプルガスが滞留してしまい、結果として赤外線ガス分析計の測定精度や応答性の低下を招く、という問題があった。

本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、測定対象ガスの濃度範囲に適したセル長の測定セルを簡単かつ低コストに製作することができ、しかも、測定セル内で測定光が減衰したり、サンプルガスが滞留したりすることのない、ガス分析計用の測定セルを提供することを目的とする。

請求項１の発明は、セルの一端に設けられたガス入口から、他端に設けられたガス出口に向けてサンプルガスを流通させるガス分析計用測定セルであって、両側が開口する中空円筒体形状を呈する複数の単位セルと、前記複数の単位セルを、各単位セルの端面を付き合わせた状態で相互に連結し、所望の光路長を有するセル本体を構成するための連結部材と、測定光を透過する光学窓を保持すると共にガス入口管を有し、前記複数の単位セルからなるセル本体のガス入口側の端部を封止するように取り付けられた入口側窓ホルダーと、
測定光を透過する光学窓を保持すると共にガス出口管を有し、前記複数の単位セルからなるセル本体のガス出口側の端部を封止するように取り付けられた出口側窓ホルダーと、備えたことを特徴とする。

請求項２の発明は、請求項１に記載のガス分析計用測定セルにおいて、前記単位セルの両側の端部外周面には雄ねじ部が形成され、前記連結部材は前記単位セルの外径と略等しい内径を有する円環状を呈し、その内周面には前記単位セルの雌ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成され、前記入口側窓ホルダー及び出口側窓ホルダーの内周面には前記単位セルの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されている、ことを特徴とする。

請求項３の発明は、請求項１又は請求項２に記載のガス分析計用測定セルにおいて、前記単位セルの両側の端縁には、周方向にＯリングを装着するための溝部が形成されている、ことを特徴とする。

本発明によれば、両側が開口する中空円筒体形状を呈する複数の単位セルを、連結部材を用いて、各単位セルの端面を付き合わせた状態で相互に連結し、所望の光路長を有するセル本体を構成しているので、連結する単位セルの数を調整することで、簡単に測定濃度範囲に適した測定セルを得ることができる。また、複数の単位セルからなるセル本体内面には段差部が存在しないので、測定光の減衰や測定ガスの滞留を生じることもなく、赤外線ガス分析計の測定精度や応答性を低下させてしまうこともない。

さらに、サンプルガスの出入り口である入口管，出口管を、それぞれ、入口側窓ホルダー，出口側窓ホルダーと一体化し、本体セルを構成する両側の単位セルに取り付けるようにしているので、単位セルにガス出入口を形成する必要がなく、単一構造の単位セルを複数個連結し、窓ホルダーを取り付けるだけで容易に組み立て作業を完了させることができ、また、この単位セルの標準化によって在庫部品点数の大幅な削減が可能となり、コスト低減を図ることができる。

本発明によるガス分析計用測定セルの第１の実施形態を示す図で、一部を断面にして示す縦断面図である。 本発明によるガス分析計用測定セルの第２の実施形態を示す図で、一部を断面にして示す縦断面図である。 従来の赤外ガス分析計の概要を示す図である。 従来のガス分析計用測定セルの構成を示す図で、一部を断面にして示す縦断面図である。 従来のガス分析計用測定セルの他の例を示す図である。

以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して具体的に説明する。
図１は、本発明によるガス分析計用測定セルの第１の実施形態を示す図である。
図１に示すように、ガス分析用測定セル１００は、同一部品である２つの単位セル１０Ａ,１０Ｂ、これらの単位セル１０Ａと単位セル１０Ｂとを連結する連結部材１３、入口側窓ホルダー２０、及び出口側窓ホルダー３０などから構成される。

単位セル１０Ａ，１０Ｂは、両側が開口する中空円筒体形状を呈しており、各単位セルの両側の端部外周面には雄ねじ部が形成されている。さらに、単位セル１０Ａ、１０Ｂの両側の端縁には、Ｏリング１２を挿入するための溝部１０１が形成されている。１３は、２つの単位セル１０Ａと１０Ｂを、各単位セルの端面を付き合わせた状態で相互に連結し、所望の光路長を有するセル本体１１を構成するための連結部材である。

この連結部材１３は、単位セル１０Ａ，１０Ｂの外径と略等しい内径を有する円環状を呈しており、その内周面には単位セル１０Ａ，１０Ｂの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されている。この連結部材１３に各単位セル１０Ａ，１０Ｂを回転させながらねじ込んでいくことで、単位セル１０Ａと単位セル１０Ｂとが連結・固定される。

セル本体１１の両側端部には、入口側窓ホルダー２０、出口側窓ホルダー３０が設けられている。入口側窓ホルダー２０は、測定光である赤外線を透過するCaF2 （フッ化カルシウム）などの材料よりなる光学窓２１を保持すると共に入口管２２を有しており、その枠部内周面には赤外線光源側の単位セル１０Ａの端部外周面に形成された雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されており、セル本体１１のガス入口側の端部を封止する。

同様に、出口側窓ホルダー３０も、CaF2などの赤外線透過材料よりなる光学窓３１を保持すると共に出口管３２を有し、その枠部内周面には赤外線検出器側の単位セル１０Ｂの端部外周面に形成された雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されており、セル本体１１のガス出口側の端部を封止する。
１２はセル本体１１内の気密を確保するためのＯリングであり、入口側窓ホルダー２０の内周面と単位セル１０Ａの端部外周面との間、出口側窓ホルダー３０の内周面と単位セル１０Ｂの端部外周面との間、及び連結部材１３の内周面と単位セル１０Ａ，１０Ｂの端部外周面との間に介挿されている。

そして、
入口側窓ホルダー２０，出口側窓ホルダー３０の周壁には、貫通孔が設けられており、それぞれに、ガス入口管２２，ガス出口管３２が嵌め込まれている。サンプルガスあるいはリファレンスガス(例えばN2やAir等)は、ガス入口管２２から導入され、セル本体１１内を経由し、他端に設けられたガス出口管３２に向けて流通する。

上述のような本発明に係る赤外線ガス分析計用測定セル１００によれば、中空円筒体形状を呈する２つの単位セル１０Ａと１０Ｂとを、連結部材１３を用いて、各単位セルの端面を付き合わせた状態で相互に連結し、所望の光路長を有するセル本体１１を構成しているので、簡単に測定濃度範囲に適した測定セルを得ることができる。また、２つの単位セルからなるセル本体１１の内面には段差部が存在しないので、測定光の減衰や測定ガスの滞留を生じることもなく、この測定セル１００を組み込んだ赤外線ガス分析計の測定精度や応答性を低下させてしまうこともない。

次に、本発明によるガス分析計用測定セルの第２の実施形態について説明する。なお、第１の実施形態と同一の構成要素については同一符号を付し、説明を省略する。
図２に示す第２の実施形態は、測定濃度範囲の低い赤外線ガス分析に適した測定セル２００である。この赤外線ガス分析計用測定セル２００では、セル長（光路長）を長くするために、第１の実施形態よりも単位セルの数を増やしている。

すなわち、３つの単位セル１０Ａ〜１０Ｃにてセル本体１４を構成すると共に、２つの連結部材１３で各単位セル相互間を連結するようにしている。
このようにセル本体１４を構成する単位セル１０Ａ〜１０Ｃの個数を増加させることで、簡単に測定濃度範囲の低い赤外線ガス分析計用に適合させた測定セル２００を組み立てることができる。

１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ：単位セル
１１，１４：セル本体
２０：入口側窓ホルダー
２１，３１：光学窓（赤外線透過窓）
２２：ガス入口管
３０：出口側窓ホルダー
３１：ガス出口管
１００，２００：ガス分析計用測定セル

Claims (3)

1. 
   セルの一端に設けられたガス入口から、他端に設けられたガス出口に向けてサンプルガスを流通させるガス分析計用測定セルであって、
   両側が開口する中空円筒体形状を呈する複数の単位セルと、
   前記複数の単位セルを、各単位セルの端面を付き合わせた状態で相互に連結し、所望の光路長を有するセル本体を構成するための連結部材と、
   測定光を透過する光学窓を保持すると共にガス入口管を有し、前記複数の単位セルからなるセル本体のガス入口側の端部を封止するように取り付けられた入口側窓ホルダーと、
   測定光を透過する光学窓を保持すると共にガス出口管を有し、前記複数の単位セルからなるセル本体のガス出口側の端部を封止するように取り付けられた出口側窓ホルダーと、備えたことを特徴とするガス分析用測定セル。
2. 請求項１に記載のガス分析計用測定セルにおいて、
   前記単位セルの両側の端部外周面には雄ねじ部が形成され、
   前記連結部材は前記単位セルの外径と略等しい内径を有する円環状を呈し、その内周面には前記単位セルの雌ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成され、
   前記入口側窓ホルダー及び出口側窓ホルダーの内周面には前記単位セルの雄ねじ部と螺合する雌ねじ部が形成されている、ことを特徴とするガス分析計用測定セル。
3. 請求項２に記載のガス分析計用測定セルにおいて、前記単位セルの両側の端縁には、周方向にＯリングを装着するための溝部が形成されている、ことを特徴とするガス分析計用測定セル。