JP2013185372A - 堰止湖の排水方法 - Google Patents

堰止湖の排水方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013185372A
JP2013185372A JP2012051947A JP2012051947A JP2013185372A JP 2013185372 A JP2013185372 A JP 2013185372A JP 2012051947 A JP2012051947 A JP 2012051947A JP 2012051947 A JP2012051947 A JP 2012051947A JP 2013185372 A JP2013185372 A JP 2013185372A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drainage
hose
dam lake
water
drain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012051947A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5956789B2 (ja
Inventor
Isaburo Yagi
伊三郎 八木
和孝 ▲から崎▼
Kazutaka Karasaki
Kyotaro Miyazaki
京太郎 宮▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ashimori Industry Co Ltd
Original Assignee
Ashimori Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ashimori Industry Co Ltd filed Critical Ashimori Industry Co Ltd
Priority to JP2012051947A priority Critical patent/JP5956789B2/ja
Publication of JP2013185372A publication Critical patent/JP2013185372A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5956789B2 publication Critical patent/JP5956789B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Revetment (AREA)

Abstract

【課題】排水ポンプを用いることなく、堰止湖の水を容易且つ速やかに排水することが可能な、堰止湖の排水方法を提供すること。
【解決手段】堰止湖2と、堤防部1を挟んで堰止湖2と反対側の排水位置3とにわたって排水ホース5を敷設してから、この排水ホース5内に水を充填する。このとき、サイフォンの原理によって、排水ホース5内に、堰止湖2から途中の堤防部1を越えて反対側の排水位置3へ向かう水の流れが生じ、堰止湖2の水が排水位置3へ継続して排水される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、堆積した土砂によって水が堰き止められてなる堰止湖の排水方法に関する。
地震や大雨等による土砂崩れが発生したときに、流れ出した土砂が堆積して川の水が堰き止められると、堰止湖が形成されることがある。そして、さらなる大雨や川の増水によって堰止湖の水位が上昇すると、水を堰き止めている部分(以下、堰止湖の堤防部という)が決壊し、下流側に大きな被害をもたらしかねない。そこで、堰止湖の水を速やかに排水するととともに堤防部の土砂を除去して、堰止湖が生じている状態を早急に解消することが求められる。
ところで、水災害が発生したときの排水作業は、ポンプを使用して行うのが一般的である。例えば、特許文献1には、水災害発生時に、水中ポンプを積載した排水ポンプ車を排水現場に到達させ、前記水中ポンプを排水現場の水中に投入して排水を行うことが開示されている。
特開2000−161282号公報
ポンプを用いて堰止湖からの排水を行う場合、早急に堰止湖の水位を低下させるために、大流量の排水が可能な大型のポンプが必要となる。しかしながら、上記の堰止湖は、土砂崩れが起こりやすい山間部において発生することが多く、また、排水ポンプを現場まで車両で運ぼうとしても土砂崩れによって途中の道が塞がれることも多い。そのため、大型の排水ポンプを、特許文献1に記載のように車両に積載して現場(堰止湖)まで運搬することは困難である。また、土砂崩れの現場では上記の大型の排水ポンプの設置に適した平らな場所はほとんどない。そのため、まずは、土石の除去や整地等を行って、大型の排水ポンプを設置することが可能な、広い平坦な場所を確保することから始める必要があり、排水を開始するまでの準備にかなりの時間を要することになる。
本発明の目的は、排水ポンプを用いることなく、堰止湖の水を容易且つ速やかに排水することが可能な、堰止湖の排水方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明の堰止湖の排水方法は、堆積した土砂によって水が堰き止められてなる堰止湖の排水方法であって、前記堰止湖と、この堰止湖の水を堰き止めている堤防部を挟んで前記堰止湖と反対側にあって且つ前記堰止湖よりも低い排水位置とにわたって、排水ホースを敷設するホース敷設工程と、敷設された前記排水ホース内の空気を排出しつつ、前記排水ホース内に水を充填する充填工程と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明では、堰止湖と、堤防部を越えて堰止湖と反対側の排水位置とにわたって排水ホースを敷設し、さらに、この排水ホース内の空気を排出しつつ水を充填して、排水ホースの内部を水で満たす。ここで、排水位置は堰止湖よりも低い位置にあることから、いわゆるサイフォンの原理によって、堰止湖の頂部から排水位置までの区間に充填された水が重力で排水位置へ向けて流れる一方で、排水ホース内に負圧が発生し、堤防部の頂部から堰止湖までの区間においては堰止湖内の水が吸い上げられる。これにより、堰止湖内の水が、堰止湖よりも高い位置にある堤防部の頂部を越えて排水位置へ継続して流れる。本発明によれば、排水ポンプを使用することなく、堰止湖内の水を、堤防部を越えて反対側の排水位置まで排水することができるため、排水作業が容易なものとなり、また、排水前の準備作業に多くの時間をとられず速やかに排水を開始することができる。
第2の発明の堰止湖の排水方法は、前記第1の発明において、前記ホース敷設工程において、前記排水位置において前記排水ホースの一端部を裏返して固定し、前記ホースの裏返された部分の内側に流体圧力を作用させて前記ホースの表裏を反転させつつ、前記流体圧力によって反転の先端部分を進出させて、前記排水位置から前記堤防部を越えて前記堰止湖まで前記排水ホースを敷設することを特徴とするものである。
本発明では、排水ホースの表裏を反転させつつ、その反転の先端部分を連続的に進出させることによって排水ホースを敷設していくため、堤防部の斜面に沿って排水ホースを容易に敷設できる。また、地面の状態が悪い場合や障害物があってもその上を乗り越えるように排水ホースを敷設することができる。さらに、排水ホースの、反転の先端部分の向きを変えるだけで、排水ホースの敷設方向を容易に変更することもできる。
第3の発明の堰止湖の排水方法は、前記第1又は第2の発明において、前記充填工程において、前記排水ホースの前記堰止湖側の端部が前記堰止湖内に水没した状態で、前記排水ホース内の空気を前記排水位置側から吸引して排出することにより、前記堰止湖内の水を前記排水ホース内に引き込むことを特徴とするものである。
本発明では、排水ホースを堰止湖から排水位置にわたって敷設した後、排水位置側から排水ホース内の空気を吸引して排出するだけで、堰止湖内の水を排水ホース内に引き込んで排水ホースを水で満たすことができる。また、排水位置側での作業によって、排水ホース内に水を充填することができる。従って、排水ホースへの水の充填作業が容易になる。
第4の発明の堰止湖の排水方法は、前記第1又は第2の発明において、前記充填工程前に、前記排水ホースの、前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部をそれぞれ封止し、前記排水ホースには注水部と排気部とが設けられており、前記充填工程において、注水ポンプにより前記注水部から前記排水ホース内に水を注入しつつ前記排気部から前記排水ホース内の空気を排出して、前記排水ホース内に水を充填し、前記充填工程後に、前記排水ホースの前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部をそれぞれ開放することを特徴とするものである。
本発明においては、排水ホースの堰止湖側の端部と排水位置側の端部の両方を封止してから、注水部から排水ホース内に水を注入しつつ、排気部から排水ホース内の空気を排出して、排水ホース内に水を満たす。その後、排水ホースの堰止湖側の端部と排水位置側の端部をそれぞれ開放すると、堰止湖内の水が堤防部を越えて排水位置へ流れ出す。
尚、本発明では、排水ホースの内部に注水ポンプで注水する必要があるが、この注水ポンプは、排水ホースの内容積分の水を一定時間内に排水ホース内に注入できるだけの能力があればよく、堰止湖の水を連続的に排水するための排水ポンプと比べると、小型のもので十分である。従って、人力でも現場へ搬入できるなど搬入作業が容易であり、また、現場での設置場所も小さくて済む。
第5の発明の堰止湖の排水方法は、前記第4の発明において、前記排水ホースの、前記堤防部の頂部に位置する部分に、前記注水部と前記排気部が設けられていることを特徴とするものである。
通常、堰止湖の水を堰き止めている堤防部の頂部は、排水ホースの敷設経路の中で最も高い位置にある。従って、排水ホースの前記頂部に位置する部分に注水部と排気部とが設けられていると、注水部において水頭圧が作用しないために、小さな注水ポンプでホース内への注水が可能になるし、排水ホースからの空気の排出も容易になる。
第6の発明の堰止湖の排水方法は、前記第5の発明において、前記ホース敷設工程において、前記頂部から前記堰止湖までの第1区間と、前記頂部から前記排水位置までの第2区間に、個別に前記排水ホースを敷設し、前記第1区間と前記第2区間にそれぞれ敷設された2本の前記排水ホースを、前記堤防部の頂部に設置した連結具に接続して、この連結具を介して前記2本の排水ホースを連結し、前記連結具に、前記注水部と前記排気部とが設けられていることを特徴とするものである。
本発明では、堤防部の頂部から堰止湖までの第1区間と、堤防部の頂部から排水位置までの第2区間で、それぞれ個別に排水ホースを敷設し、頂部に設置された連結具で両方の排水ホースを連結する。ここで、この頂部に設置される連結具に注水部と排気部とが設けられることから、排水ホース自体には注水部や排気部を設ける必要がない。
第7の発明の堰止湖の排水方法は、前記第6の発明において、前記連結具は、湾曲形状の脚部を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、堤防部の頂部の地面の状態が、岩や凹凸が散在するような状態の悪い場合であっても、連結具の脚部が岩や凹凸等にひっかかりにくく、連結具の設置や移動が容易になる。
第8の発明の堰止湖の排水方法は、前記第4〜第7の何れかの発明において、前記排水ホースの前記排水位置側の端部に、その開口端を覆うように水密性の袋体を取り付けるとともに、前記排水ホースの端部の外面と前記袋体との間に、前記袋体内の水を外側に排出するためのパイプを取り付けることを特徴とするものである。
排水ホースの排水位置側の端部に、開口端を覆うように水密性の袋体を取り付けることにより、この端部から空気が入り込んで排水が停止してしまうことを防止できる。また、排水ホースの端部と袋体との間にパイプを取り付けることで、排水ホースから袋体内へ排出された水の、袋体外への排出経路が確保され、開口端からの空気の進入を袋体で防止しつつ、排水を継続して行うことができる。
第9の発明の堰止湖の排水方法は、前記第8の発明において、前記袋体内において、前記パイプの一端が前記排水ホースの開口端よりも突出していることを特徴とするものである。
袋体内において、排水ホースの開口端よりも突出した、パイプの一端によって、袋体が開口端から離された状態が維持されるため、袋体によって排水が妨げられることが防止される。
第10の発明の堰止湖の排水方法は、前記第4〜第9の何れかの発明において、前記排水ホースの前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部に、第1栓部材と第2栓部材をそれぞれ挿入することにより、前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部をそれぞれ封止することを特徴とするものである。
このように、排水ホースの端部の内部に栓部材を挿入することで、端部の封止を確実に行うことができる。
第11の発明の堰止湖の排水方法は、前記第10の発明において、前記第1栓部材と前記第2栓部材の少なくとも一方は、空気の注入によって膨張する膨張体を含むことを特徴とするものである。
本発明によれば、膨張体への空気の注入及び排出によって、排水ホースの端部の封止と開放を簡単に行うことができる。
第12の発明の堰止湖の排水方法は、前記第10又は第11の発明において、前記排水ホースの前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部の少なくとも一方に、前記栓部材の前記排水ホースからの脱落を防止する脱落防止部材を取り付けることを特徴とするものである。
排水ホースに水が充填されたときに、低い位置にある排水ホースの端部において、水頭圧によって第1栓部材又は第2栓部材が抜けてしまう虞がある。本発明では、排水ホースの端部に脱落防止部材を取り付けることにより、栓部材が排水ホースから抜け落ちてしまうことが防止される。
第13の発明の堰止湖の排水方法は、前記第1〜第12の何れかの発明において、前記排水ホースは、筒状織物からなるホース本体を有し、前記ホース本体の内面と外面の両方が合成樹脂の被膜で覆われていることを特徴とするものである。
筒状織物の内面が合成樹脂の被膜で覆われるだけでも、排水ホースの水密性は確保される。しかし、排水ホース内の圧力が負圧になったときに、筒状織物の織り目を通って内面の被膜に作用する大気圧によって、この被膜が筒状織物から剥離する虞がある。本発明では、筒状織物の外面も合成樹脂の被膜で覆われることで、上述した内面の被膜の剥離が防止される。また、筒状織物の外面が被膜で覆われることで、敷設時における筒状織物の損傷が防止されるという効果もある。
本発明の第1実施形態に係る、排水ホースの敷設途中の状態を示す図である。 排水ホースの敷設が完了した状態を示す図である。 排水ホース内への水の充填工程を説明する図である。 堰止湖からの排水工程を説明する図である。 反転機の断面図である。 排水ホースの堰止湖側の端部の拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る、堰止湖からの排水前の準備工程を説明する図である。 堰止湖からの排水工程を説明する図である。 連結具の斜視図である。 第2実施形態の変更形態に係る、堰止湖からの排水工程を説明する図である。 図10に示される排水ホースの端部の拡大図である。 別の変更形態の排水ホースの端部の拡大図である。 さらに別の変更形態の排水ホースの端部の拡大図である。 さらに別の変更形態に係る、排水前の準備工程を説明する図である。
(第1実施形態)
次に、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る、排水ホースの敷設途中の状態を示す図、図2は、排水ホースの敷設が完了した状態を示す図、図3は、排水ホース内への水の充填工程を説明する図、図4は、堰止湖からの排水工程を説明する図である。
図1〜図4に示すように、土砂崩れ等によって流れ出した土砂が堆積して堤防部1をなし、この堤防部1によって川の水が堰き止められることにより、堰止湖2が形成される。本実施形態では、まず、図1、図2に示すように、堰止湖2と、堤防部1を挟んで堰止湖2と反対側(図中右側:以下、裾側ともいう)の排水位置3とにわたって、排水ホース5を敷設する(ホース敷設工程)。尚、図1から分かるように、裾側の排水位置3は、堰止湖2の水面よりもかなり低い低地にある。次に、図3に示すように、排水ホースの内部を水で満たし(充填工程)、いわゆるサイフォンの原理を利用して、図4のように、堰止湖2内の水を、排水ホース5により排水位置3に設置された排水桝8まで排水する(排水工程)。
(ホース敷設工程)
まず、堰止湖2と裾側の排水位置3とにわたって、堤防部1の頂部1aを越えて排水ホース5を敷設する。本発明において排水ホース5の敷設方法は特に限定されるものではないが、第1実施形態においては、図1、図2に示すように、裾側の排水位置3から、排水ホース5の表裏を反転させつつ、反転の先端部分5aを堤防部1の斜面に沿って堰止湖2まで進出させることによって、排水ホース5の敷設を行う。
排水ホース5としては、水密性を有するものであれば特に構造は限定されないが、以下では、筒状織物からなるジャケット(ホース本体)の内面と外面の両方に、合成樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル等の硬質の熱可塑性樹脂)の被膜が施された、保形ホースを使用した場合を例に挙げて説明する。尚、排水ホース5の口径は特に限定されるものではないが、小径であると排水量が少なくなる一方で、大径であると重量が大きくなって敷設作業が難しくなる。これらの観点から、100〜200mm程度の口径の排水ホースを好適に使用できる。また、ジャケットとしては、例えば、以下のような仕様のものを用いることができる。
(口径:200mm)
経糸:ポリエステル糸1100T/4×2×312本
緯糸:ポリエステル糸1100T/5×45P
上記のような排水ホースを敷設する際には、まず、裾側の排水位置3の比較的平坦な場所に、排水ホース5の表裏を反転させるための反転機6を設置する。図5は、反転機の断面図である。
図5に示すように、反転機6は、圧力容器10と、リール11と、ヒータ12等を有する。圧力容器10には、エア供給部10aに接続された図示外のエア供給源から加圧エアが供給される。リール11には扁平に押し潰された状態で排水ホース5が巻取られている。そして、リール11に巻取られた排水ホース5を、2対のガイドローラ13,14の間に設置されたヒータ12を通して、圧力容器10の送出口10bまで引き出す。さらに、引き出された排水ホース5の一端部を、裏返された状態で、固定具15によって圧力容器10の送出口10b近傍に固定しておく。
圧力容器10内に加圧エアが供給されると、裏返された排水ホース5の端部の内側にエアの圧力(流体圧力)が作用する。また、リール11から引き出される排水ホース5は、ヒータ12によって、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂からなる被膜の軟化温度以上の温度(例えば、80℃)まで加熱される。これにより、排水ホース5の可撓性が高くなり、加圧エアの圧力によって、排水ホース5の、固定された端部に続く部分がリール11から引き出されつつ、その表裏が反転されていく。また、このとき、排水ホース5の反転が行われている部分(反転の先端部分5a)は前方へ進出していく。従って、排水ホース55の表裏を反転させつつその反転の先端部分5aを進出させることで、図1、図2のように、排水ホース5を堤防部1の斜面に沿って堰止湖2まで敷設することができる。
上記のように、排水ホース5の反転の先端部分5aを連続的に進出させることを利用して排水ホース5を敷設することで、堤防部1の斜面という作業が困難な環境でも、排水ホース5を容易に敷設できる。また、堤防部1の斜面は倒木や岩などの障害物が多数存在し、また、堰止湖2の周辺においては流木等も存在する可能性がある。しかし、上記の反転による敷設では、障害物の上を乗り越えて排水ホース5を迅速に敷設でき、また、障害物の事前撤去も不要で敷設作業が容易になる。また、反転中には、排水ホース5の未反転部分5b(図5参照)は反転済みの部分の内側において繰り出され、地面との間に摩擦が生じないため、排水ホース5に損傷が生じにくい。また、堤防部1の斜面に、樹木や大岩など、乗り越えることが不可能な障害物が存在する場合には、排水ホース5の敷設方向を変更する必要があるが、その際には、反転の先端部分5aの向きを変えるだけで敷設方向を簡単に変更できる。
図6は排水ホースの堰止湖側の端部の拡大図である。排水ホース5の堰止湖2側の端部30a(反転機6に固定された排水位置3側の端部30bと反対側の端部)は、最後に反転される部分であるが、排水ホース5の反転が完全に終了するまで反転の先端部分5aに加圧エアの圧力が作用するように、この端部30aは、反転敷設前に接着剤や縫製等によって接合され、開口端が封止されている。しかし、この排水ホース5の端部30aが最後の反転する際には、加圧エアの圧力によってその接合部分が開裂し、開口端が開放される。逆に言えば、端部30aの開口端の接合強度は、反転に使用する加圧エアの圧力によって開裂する程度の強度となっている。
(充填工程)
堰止湖2まで排水ホース5を敷設し終わったら、次に、この排水ホース5内に水を充填する。まず、図3に示すように、排水ホース5の端部30bに真空ポンプ等の吸引源7を接続する。尚、排水ホース5の端部30bと吸引源7との接続は、端部30bに反転機6を取り付けたまま、反転機6に吸引源7を接続することによって行ってもよい。あるいは、反転機6を端部30bから取り外してから、端部30bを吸引源7に接続してもよい。そして、排水ホース5の他端部が堰止湖2内に水没している状態で吸引源7を駆動して、排水位置2側から排水ホース5内の空気を吸引して排出する。すると、排水ホース5内の圧力が低下して負圧となるため、堰止湖2内の水が排水ホース5内に引き込まれ、排水ホース5内の空気が水で置換される。このように、排水位置3側から排水ホース5内の空気を吸引して排出するだけで、堰止湖2内の水を排水ホース5内に引き込んで排水ホース5を水で満たすことができる。また、排水ホース5への吸引源7の接続、吸引源7による吸引開始等、全て、排水位置2側の作業だけで済む。従って、排水ホース5への水の充填作業が容易になる。
(排水工程)
排水位置3側に水が流れ出してきたことが確認されると、排水ホース5内の空気がほぼ排出されたとして、排水ホース5の端部30bを吸引源7から切り離し、排水位置3に設置された排水桝8の中に入れる。
一旦、排水ホース5内に水が充填されると、吸引源7を切り離した後も、いわゆるサイフォンの原理によって、堰止湖2内の水は、これよりも高い位置にある堤防部1の頂部1aを越えて、堰止湖2よりも低い排水位置3へ継続して流れることになる。
図4に示すように、排水位置3の排水桝8内に設置された排水ホース5の端部30bは、堰止湖2内に水没した排水ホース5の端部30aよりも低い位置にある。そして、排水位置3から頂部1aまでの区間において、排水ホース5内の水が重力で排水桝8へ向けて流れるが、これによって、堤防部1の頂部1aに設置された部分の圧力が低下して負圧状態となる。一方で、この負圧によって、頂部1aから堰止湖2の区間においては、堰止湖2の水が頂部1aへ向けて吸い上げられる。この作用が連続して行われることで、堰止湖2内の水が、堤防部1の頂部1aを越えて排水位置へ継続して流れることになる。尚、一度、この堰止湖2から排水位置3へ向かう水の流れが発生すると、排水ホース5の端部30a,30bから空気が入り込んで排水ホース5の内部の水密状態が解消される、あるいは、堰止湖2の水位が低下して排水位置3との高さ関係が逆転するということが生じない限り、上記の水の流れは継続する。
また、上記の排水中は、図4に示すように、排水ホース5の排水位置3側の端部30bは、排水桝8内で水没した状態となっており、この端部30bから排水ホース5内にエアが入りにくい。従って、排水ホース5内の水密状態が維持されやすく、継続的な排水が可能となる。
尚、上述したように、排水ホース5内の、堰止湖2よりも高い位置(特に、堤防部1の頂部1a)に設置されている部分の内部には負圧が発生する。そのため、排水ホース5は、負圧環境下で使用されても水密性が維持されるような構成であることが好ましい。例えば、先に述べた、筒状織物からなるジャケットを主体とするホースの場合、敷設後の筒状織物の内面が合成樹脂の被膜で覆われるだけでも、排水ホース5の水密性は確保される。しかし、排水ホース5内の圧力が負圧になったときに、筒状織物の織り目の間を通って内面側の被膜に作用する大気圧によって、この被膜が筒状織物から剥離する虞がある。そこで、内面側の被膜の剥離を防止するため、筒状織物の内面だけでなく外面も、合成樹脂の被膜で覆われていることが望ましい。また、この構成では、筒状織物の外面が被膜により保護されて損傷が防止されるという効果もある。尚、上述したような構成を有するホースが、負圧環境下で使用可能であることについては、特開昭50−31417号公報に記載がある。
以上説明した第1実施形態では、堰止湖2と裾側の排水位置3とにわたって、堤防部1の頂部1aを越えて排水ホース5を敷設してから、この排水ホース5内に水を充填する。すると、いわゆるサイフォンの原理によって、堰止湖2内の水が、途中の堤防部1を越えて反対側の排水位置3まで流れ出し、堰止湖2から継続して排水が行われる。これにより、排水ポンプを使用することなく、堰止湖2内の水を排水位置3へ排水することができる。従って、排水作業が容易なものとなり、また、排水前の準備作業に多くの時間をとられず速やかに排水を開始することができる。
次に、前記第1実施形態の変更形態について説明する。但し、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]反転で排水ホース5を敷設する際に、加圧エアの他、水などの流体を使用することも可能ではある。但し、この場合には、反転中の排水ホース5の重量が大きくなるし、また、堤防部1の斜面上方に敷設する際に裾側に水頭圧が作用する、といった点で不利である。そのため、これらの観点からは、前記第1実施形態のように、加圧エアを用いて排水ホース5の反転を行うことが好ましい。
2]前記第1実施形態では、排水ホース5の封止された端部30aを、反転に使用する加圧エアの圧力で開放していたが、加圧エアの圧力によって開放することが難しい場合には、堰止湖2側において作業者が端部30aを開放する作業を行ってもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、前記第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。図7は、第2実施形態に係る、堰止湖2からの排水前の準備工程(ホース敷設工程、充填工程)を説明する図である。図8は、堰止湖2からの排水工程を説明する図である。
この第2実施形態では、前述の第1実施形態と比較して下記の点で異なる。まず、図7、図8に示すように、ホース敷設工程において、堰止湖2から裾側の排水位置3まで、1本の排水ホース5を敷設するのではなく、堤防部1の頂部1aから堰止湖2までの区間17(第1区間)と、堤防部1の頂部1aから排水位置3までの区間18(第2区間)に、個別に排水ホース5A,5Bを敷設する。また、充填工程においては、排水ホース5A,5Bの端部30a,30bをそれぞれ封止してから、排水ホース5A,5B内に水を注入しつつ空気を排出することで水を充填する。以下、ホース敷設工程と充填工程について、前記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
(ホース敷設工程)
第1区間17、第2区間18における排水ホース5A,5Bの敷設は、前記第1実施形態と同様に、それぞれ排水ホース5A,5Bの表裏を反転させることによって敷設してもよい。あるいは、堤防部1の頂部1aまで排水ホース5A,5Bの両方を運搬し、この頂部1aから、巻かれた状態のホースを転がすようにして、堰止湖2と排水位置3に向けてそれぞれ排水ホース5A,5Bを敷設してもよい。
また、図7に示すように、堤防部1の頂部1aには、排水ホース5A,5Bを連結する連結具9を設置する。図9は連結具9の斜視図である。連結具9は、2つの筒体20,21と、これら2つの筒体20,21の下部に設けられた脚部22を有する。
図9に示すように、2つの筒体20,21は、それらの端部において互いに接合され、全体として上方へ屈曲した形状となっている。そして、これら2つの筒体20,21に、第1区間17と第2区間18にそれぞれ敷設された排水ホース5A,5Bの端部を接続してバンド24で固定することで、2本の排水ホース5A,5Bを、連結具9(筒体20,21)を介して連結する。尚、2つの筒体20,21には、それぞれ、注水部25と排気部26が設けられている。注水部25と排気部26は、後で説明する充填工程において、連結具9で連結された排水ホース5A,5Bの内部を水で満たすためのものである。
脚部22は、湾曲形状の2つの接地部22aを有する、いわば、ソリのような形状を有する部材である。このように、連結具9が湾曲形状の脚部22を有することで、堤防部1の頂部1aの地面の状態が、岩や凹凸が散在するような状態の悪い場合であっても、脚部22が岩や凹凸等にひっかかりにくく、連結具9の設置が容易になる。また、排水ホース5が既に接続されて、脚部22に大きな荷重が作用している状態で、連結具9を少し移動させて位置を変更するというようなことも容易になる。
尚、2つの筒体20,21の接続部分には、設置時にロープ等を接続可能な金具23が取り付けられており、例えば、ヘリコプターに連結したロープで連結具9を吊り下げて、連結具9を頂部1aまで運搬することができる。あるいは、ロープを堰止湖2側へ渡し、このロープを堰止湖2側から引っ張ることにより、堤防部1の斜面に沿って連結具9を裾側から頂部1aまで引き上げてもよい。また、連結具9は、ある程度の強度を確保するという観点から金属製のものを採用してもよいが、頂部1aまで運搬することを考慮して、軽量化のために樹脂製のものを採用することもできる。
(充填工程)
排水ホース5を敷設し終えたら、図7に示すように、第1区間17に敷設された排水ホース5Aの堰止湖2側の端部30aと、第2区間18に敷設された排水ホース5Bの排水位置3側の端部30bをそれぞれ封止する。
ここでは、排水ホース5の端部30a,30bの内部に栓部材(第1栓部材、第2栓部材)をそれぞれ挿入することにより、端部30a,30bを確実に封止する。尚、第1栓部材及び第2栓部材は、特に構成を限定されるものではないが、ここでは、第1栓部材及び第2栓部材として、空気の注入によって膨張する、気密性の袋体からなるエアパッカー(膨張体)を用いる。このエアパッカーでは、空気の注入及び排出によって、端部30a,30bの封止と開放を簡単に行うことができ、作業が容易である。
図7に示すように、第1区間17の排水ホース5Aの端部30aに、第1栓部材としてのエアパッカー31を挿入する一方で、第2区間18の排水ホース5Bの端部30bに、第2栓部材としてのエアパッカー32を挿入する。2つのエアパッカー31,32はホースを介してエアポンプ33,34にそれぞれ接続する。また、エアパッカー31,32とエアポンプ33,34との間にはバルブ35,36を取り付ける。そして、2つのエアパッカー31,32に、エアポンプ33,34から空気を供給することで、エアパッカー31,32をそれぞれ膨張させて端部30a,30bを封止する。また、エアパッカー31,32を膨張させた後にバルブ35,36を閉止することで、膨張状態(端部30a,30bの封止状態)を維持する。また、排水ホース5Aの端部30aは堰止湖2内に水没させるとともに、排水ホース5Bの端部30bは排水位置3に設置された排水桝8内に入れておく。
次に、端部30a,30bが封止された排水ホース5A,5Bの内部に水を充填する。上述したように、2本の排水ホース5A,5Bを連結する連結具9には注水部25と排気部26とが設けられている。連結具9の注水部25にはホースを介して注水ポンプ37を接続し、その途中にはバルブ38を取り付ける。また、排気部26には空気抜きホース39を接続し、この空気抜きホース39にもバルブ40を取り付ける。そして、バルブ38を開状態にして、注水ポンプ37により、堰止湖2から汲み上げた水を注水部25から2本の排水ホース5A,5B内にそれぞれ注入する。同時に、バルブ40を開放して、排気部26に取り付けられた空気抜きホース39から排水ホース5内の空気を排出する。これにより、排水ホース5内に水が充填されていく。尚、排水ホース5内に注水する水は、堰止湖2内の水である必要は必ずしもなく、他の水源から取水した水であってもよい。そして、空気抜きホース39の先端から水が出るようになったら、排水ホース5内がほぼ水で満たされた状態となっていることから、注水ポンプ37による注水を停止してバルブ38を閉止するとともに、空気抜きホース39のバルブ40を閉止し、水の充填を終了する。
尚、2本の排水ホース5A,5Bを連結する連結具9に注水部25と排気部26とが設けられていることから、排水ホース5A,5B自体に注水部25や排気部26を設ける必要がなく、ごく一般的な排水ホース5を使用することができる。また、注水部25と排気部26とが設けられた連結具9は、堤防部1の頂部1aに設置されている。ここで、堰止湖2の水を堰き止めている堤防部1の頂部1aは、通常、排水ホース5の敷設経路の中で、最も高い位置にある。この場合、注水部25においては水頭圧が作用しないため、小さな注水ポンプ37で水の注入が可能になるし、また、排水ホース5からの空気の排出も容易になる。
次に、排水ホース5Aの端部30aが堰止湖2内に水没した状態で、2本の排水ホース5A,5Bの端部30a,30bからエアパッカー31,32をそれぞれ取り外す。より詳細には、図8に示すように、バルブ35を開にしてエアパッカー31の空気を抜いて萎ませると、水圧によってエアパッカー31が端部30aから押し出され、堰止湖2側の端部30aが開放される。続いて、バルブ36を開にしてエアパッカー32の空気を抜いて萎ませると、水圧(+水頭圧)によってエアパッカー32が端部30bから押し出され、排水位置3側の端部30bが開放される。すると、サイフォンの原理によって、排水ホース5内に、堰止湖2から堤防部1を越えて排水位置3へと向かう水の流れが発生し、堰止湖2内の水が継続的に排水位置3の排水桝8へ排出される。
この第2実施形態では、堰止湖2から堤防部1を越えて裾側の排水位置3にわたって排水ホース5を敷設し、排水ホース5A,5Bの端部30a,30bをそれぞれ封止してから、排水ホース5A,5B内に水を充填する。この状態で、端部30a,30bを開放したときに、堰止湖2内の水が排水ホース5内へ吸い上げられ、堤防部1を越えて反対側の排水位置3へ流れ出す。従って、排水ポンプを使用することなく、堰止湖2内の水を排水位置3へ容易に排水することができる。
尚、この第2実施形態では、排水ホース5の内部に注水ポンプ37で注水する必要があるが、この注水ポンプ37は、排水ホース5の内容積分の水を一定時間内に排水ホース5内に注入できるだけの能力があればよく、堰止湖2の水を連続的に排水するために設置する排水用のポンプと比べると、小型のもので十分である。従って、人力でも現場へ搬入できるなど搬入作業が容易であり、また、現場での設置場所も小さくて済む。
次に、第2実施形態の変更形態について説明する。但し、前記第2実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]排水中に、排水ホース5の、水没していない排水位置3側の端部30bから排水ホース5の内部に空気が進入すると、水密状態が解消されて排水が停止する虞がある。そこで、空気の進入を確実に防止するために、排水ホース5の排水位置3側の端部30bに水密性(非透水性)の袋体を取り付けてもよい。図10は、この変更形態に係る排水工程を説明する図である。また、図11は、排水ホース5の端部の拡大図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。水密性の袋体51としては、ブチルゴムシートや塩化ビニルターポリンで形成されたものを使用できる。
図10、図11に示すように、排水ホース5の排水位置3側の端部30bに、その開口端50を覆うように水密性の袋体51を取り付けることで、開口端50から空気が入り込むことが防止される。但し、袋体51で排水ホース5の開口端50を完全に覆うと、排出されてくる水の行き場がなくなることから、図11に示すように、この端部30bの外面と袋体51との間にパイプ52(好ましくは複数)を取り付けて、排水ホース5から袋体51内へ排出された水の、袋体51外への排出経路を形成する。これにより、端部30bの開口端50から空気が入り込むのを袋体51で防止しつつ、端部30bからの排水を継続して行うことができる。
また、図11に示すように、袋体51内において、パイプ52の一端が排水ホース5の開口端50よりも突出していると、このパイプ52の一端によって、袋体51が開口端50から離された状態が維持されるため、袋体51によって排水が妨げられることが防止される。尚、開放時に端部30bから押し出されたエアパッカー32は、開口端50を覆う袋体51に受け止められる。従って、排水時に、開口端50からの水流によってエアパッカー32が流されてしまうことも防止される。
2]排水ホース5の端部に、栓部材の抜け(脱落)を防止する脱落防止部材が取り付けられてもよい。尚、排水ホース5の、堰止湖2側の端部30aと排水位置3側の端部30bの両方に脱落防止部材が取り付けられてもよいし、一方の端部にのみ脱落防止部材が取り付けられてもよい。但し、排水ホース5の排水位置3側の端部30bに取り付けられるエアパッカー32(第2栓部材)には、注入された水の水圧の他に、水頭圧が作用するため、排水ホース5内への水を充填する途中に抜けやすい。そのため、少なくとも、排水位置3側の端部30bに前記脱落防止部材が取り付けられることが好ましい。
脱落防止部材の例を以下に挙げる。前述の図11のように、排水位置3側の端部30bに袋体51とパイプ52を取り付ける形態であれば、さらに、図12に示すように、U字状の2本のパイプ55を、排水用の複数のパイプ52とともに排水ホース5の端部30bの外周面に取り付ける。これにより、2本のパイプ55(脱落防止部材)の一部分が排水ホース5の開口端50を跨ぐ形となり、膨張状態のエアパッカー32が端部30bから抜けることが防止される。尚、図12(b)に示されるように、エアパッカー32が萎んだ状態では、このエアパッカー32は端部30bから抜け出るとともに2本のパイプ55の間をすり抜けて、袋体51に受け止められる。
あるいは、図13に示すように、袋体51内に固定用エアパッカー56を入れてから、この袋体51を排水ホース5の端部30bに固定し、固定用エアパッカー56(脱落防止部材)に空気を注入して膨張させることによって、端部30bを封止するエアパッカー32の抜けを防止するようにしてもよい。尚、開口端50を開放する際には、まず、固定用エアパッカー56から空気を抜いてから、封止用のエアパッカー32の空気を抜くことで、この封止用のエアパッカー32が端部30bから押し出されることになる。このとき、萎んだ状態の2つのエアパッカー32,56は、共に袋体51に受け止められることになり、水流によって流されることはない。
尚、脱落防止部材の適用は、図12、図13のように、排水ホース5の端部30bに袋体51が取り付けられている形態には限られない。即ち、端部30bに袋体51がない場合であっても、図12に示されているパイプ55などの、適宜の構成を有する脱落防止部材を端部30bに取り付けて使用することは可能である。
3]前記第2実施形態においても、図14に示すように、1本の排水ホース5を堰止湖2から排水位置3にわたって敷設するようにしてもよい。但し、この形態では、連結具9がないことから、敷設する排水ホース5の一部分(例えば、図14における堤防部1の頂部1aに設置される部分)に、予め、注水部25と排気部26とを設けておく必要がある。
4]排水ホース5の注水部25と排気部26は、堰止湖2側、あるいは、排水位置3側の、頂部1aよりも低い位置に存在する部分に設けられても、注水及び排気は可能である。但し、注水部25が低い位置にあるほど大きな水頭圧が作用することになり、注水ポンプ37として、揚程が高いポンプを使用する必要がある。また、排気部26が頂部1aよりも低い位置にあると、排水ホース5の、頂部1aに位置する部分に空気が溜まりやすく、空気の排出がやや困難になる。
5]排水ホース5の端部の封止は、前述のエアパッカーのような栓部材を端部内に挿入する方法が、端部を確実に封止する上では好ましいが、これには限定されず、袋状や板状等の形状を有する部材を、排水ホース5の端部に開口端を覆うように取り付けることによって封止してもよい。
1 堤防部
1a 頂部
2 堰止湖
3 排水位置
5 排水ホース
6 反転機
9 連結具
22 脚部
25 注水部
26 排気部
31 エアパッカー(第1栓部材)
32 エアパッカー(第2栓部材)
37 注水ポンプ
50 開口端
51 袋体
52 パイプ
55 パイプ
56 固定用エアパッカー

Claims (13)

  1. 堆積した土砂によって水が堰き止められてなる堰止湖の排水方法であって、
    前記堰止湖と、この堰止湖の水を堰き止めている堤防部を挟んで前記堰止湖と反対側にあって且つ前記堰止湖よりも低い排水位置とにわたって、排水ホースを敷設するホース敷設工程と、
    敷設された前記排水ホース内の空気を排出しつつ、前記排水ホース内に水を充填する充填工程と、
    を備えていることを特徴とする堰止湖の排水方法。
  2. 前記ホース敷設工程において、
    前記排水位置において前記排水ホースの一端部を裏返して固定し、
    前記ホースの裏返された部分の内側に流体圧力を作用させて前記ホースの表裏を反転させつつ、前記流体圧力によって反転の先端部分を進出させて、前記排水位置から前記堤防部を越えて前記堰止湖まで前記排水ホースを敷設することを特徴とする請求項1に記載の堰止湖の排水方法。
  3. 前記充填工程において、前記排水ホースの前記堰止湖側の端部が前記堰止湖内に水没した状態で、前記排水ホース内の空気を前記排水位置側から吸引して排出することにより、前記堰止湖内の水を前記排水ホース内に引き込むことを特徴とする請求項1又は2に記載の堰止湖の排水方法。
  4. 前記充填工程前に、前記排水ホースの、前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部をそれぞれ封止し、
    前記排水ホースには注水部と排気部とが設けられており、前記充填工程において、注水ポンプにより前記注水部から前記排水ホース内に水を注入しつつ前記排気部から前記排水ホース内の空気を排出して、前記排水ホース内に水を充填し、
    前記充填工程後に、前記排水ホースの前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部をそれぞれ開放することを特徴とする請求項1又は2に記載の堰止湖の排水方法。
  5. 前記排水ホースの、前記堤防部の頂部に位置する部分に、前記注水部と前記排気部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の堰止湖の排水方法。
  6. 前記ホース敷設工程において、前記頂部から前記堰止湖までの第1区間と、前記頂部から前記排水位置までの第2区間に、個別に前記排水ホースを敷設し、
    前記第1区間と前記第2区間にそれぞれ敷設された2本の前記排水ホースを、前記堤防部の頂部に設置した連結具に接続して、この連結具を介して前記2本の排水ホースを連結し、
    前記連結具に、前記注水部と前記排気部とが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の堰止湖の排水方法。
  7. 前記連結具は、湾曲形状の脚部を有することを特徴とする請求項6に記載の堰止湖の排水方法。
  8. 前記排水ホースの前記排水位置側の端部に、その開口端を覆うように水密性の袋体を取り付けるとともに、前記排水ホースの端部の外面と前記袋体との間に、前記袋体内の水を外側に排出するためのパイプを取り付けることを特徴とする請求項4〜7の何れかに記載の堰止湖の排水方法。
  9. 前記袋体内において、前記パイプの一端が前記排水ホースの開口端よりも突出していることを特徴とする請求項8に記載の堰止湖の排水方法。
  10. 前記排水ホースの前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部に、第1栓部材と第2栓部材をそれぞれ挿入することにより、前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部をそれぞれ封止することを特徴とする請求項4〜9の何れかに記載の堰止湖の排水方法。
  11. 前記第1栓部材と前記第2栓部材の少なくとも一方は、空気の注入によって膨張する膨張体を含むことを特徴とする請求項10に記載の堰止湖の排水方法。
  12. 前記排水ホースの前記堰止湖側の端部と前記排水位置側の端部の少なくとも一方に、前記栓部材の前記排水ホースからの脱落を防止する脱落防止部材を取り付けることを特徴とする請求項10又は11に記載の堰止湖の排水方法。
  13. 前記排水ホースは、筒状織物からなるホース本体を有し、
    前記ホース本体の内面と外面の両方が合成樹脂の被膜で覆われていることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の堰止湖の排水方法。
JP2012051947A 2012-03-08 2012-03-08 堰止湖の排水方法 Active JP5956789B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012051947A JP5956789B2 (ja) 2012-03-08 2012-03-08 堰止湖の排水方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012051947A JP5956789B2 (ja) 2012-03-08 2012-03-08 堰止湖の排水方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013185372A true JP2013185372A (ja) 2013-09-19
JP5956789B2 JP5956789B2 (ja) 2016-07-27

Family

ID=49387043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012051947A Active JP5956789B2 (ja) 2012-03-08 2012-03-08 堰止湖の排水方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5956789B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104264624A (zh) * 2014-09-11 2015-01-07 广东源盛生态环保科技有限公司 一种堰塞湖开渠泄流的方法
CN104895004A (zh) * 2015-07-09 2015-09-09 重庆大学 一种新型堰塞体的拆除方法
CN110851768A (zh) * 2019-11-13 2020-02-28 四川大学 一种堰塞湖多层次模糊评价方法
CN111815195A (zh) * 2020-07-20 2020-10-23 四川大学 一种滑坡堰塞湖溃决危险性评估方法
CN113202827A (zh) * 2021-04-14 2021-08-03 北京中瀚环球真空流体科技有限责任公司 模块化堰塞湖应急泄流虹吸潜水整流装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7533940B2 (ja) 2020-11-24 2024-08-14 虎男 井上 サイフォン排水設備

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS578824U (ja) * 1980-06-18 1982-01-18
JPS61246410A (ja) * 1985-04-25 1986-11-01 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd ダム水源等の取水装置
JPH10281100A (ja) * 1997-04-08 1998-10-20 Yamatatsugumi:Kk 送水装置及び送水方法
JP2004270256A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 貯水池の排砂方法及び排砂装置
JP2006329024A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Chugoku Electric Power Co Inc:The サイフォン式排水装置
JP2010151246A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Teikoku Sen I Co Ltd 消防ホース
JP2010209904A (ja) * 2009-03-09 2010-09-24 Ichihara Kyoko サイフオンアシスト

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS578824U (ja) * 1980-06-18 1982-01-18
JPS61246410A (ja) * 1985-04-25 1986-11-01 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd ダム水源等の取水装置
JPH10281100A (ja) * 1997-04-08 1998-10-20 Yamatatsugumi:Kk 送水装置及び送水方法
JP2004270256A (ja) * 2003-03-07 2004-09-30 Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd 貯水池の排砂方法及び排砂装置
JP2006329024A (ja) * 2005-05-25 2006-12-07 Chugoku Electric Power Co Inc:The サイフォン式排水装置
JP2010151246A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Teikoku Sen I Co Ltd 消防ホース
JP2010209904A (ja) * 2009-03-09 2010-09-24 Ichihara Kyoko サイフオンアシスト

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104264624A (zh) * 2014-09-11 2015-01-07 广东源盛生态环保科技有限公司 一种堰塞湖开渠泄流的方法
CN104264624B (zh) * 2014-09-11 2016-06-01 广东源盛生态环保科技有限公司 一种堰塞湖开渠泄流的方法
CN104895004A (zh) * 2015-07-09 2015-09-09 重庆大学 一种新型堰塞体的拆除方法
CN110851768A (zh) * 2019-11-13 2020-02-28 四川大学 一种堰塞湖多层次模糊评价方法
CN110851768B (zh) * 2019-11-13 2023-03-10 四川大学 一种堰塞湖多层次模糊评价方法
CN111815195A (zh) * 2020-07-20 2020-10-23 四川大学 一种滑坡堰塞湖溃决危险性评估方法
CN111815195B (zh) * 2020-07-20 2023-04-18 四川大学 一种滑坡堰塞湖溃决危险性评估方法
CN113202827A (zh) * 2021-04-14 2021-08-03 北京中瀚环球真空流体科技有限责任公司 模块化堰塞湖应急泄流虹吸潜水整流装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5956789B2 (ja) 2016-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5956789B2 (ja) 堰止湖の排水方法
CN107208390B (zh) 改进的容纳堤坝
US6126362A (en) Pressure secured liquid damming protective bank device and method
JP5785634B2 (ja) サイフォン送水装置及びサイフォン送水方法
JP2008285841A (ja) 止水壁、および止水壁構築方法
KR100741469B1 (ko) 우물통 차수 그라우팅 장치 및 이를 이용한 우물통시공방법
US9297133B2 (en) Fluid fillable structure
JP5934525B2 (ja) ホースの敷設方法
JP2006193939A (ja) 集水トンネル用の透水性覆工部材及び集水トンネルの構築方法
CN106012966A (zh) 一种抗洪救险用三角形挡水坝
KR200471037Y1 (ko) 주름관을 구비한 정호 내부 세척용 정호 막음 장치
CN107514005A (zh) 一种提高轻型井点降水效率的工具及其施工方法
CN108867542B (zh) 一种尾矿回水清淤系统及其清淤方法
JP3225886U (ja) 防水用エア袋
KR101626912B1 (ko) 고무댐
EP3303230B1 (en) Elongate flexible container
JP6708842B2 (ja) 地中連続壁の止水構造及びその止水方法
CA2731434A1 (en) Temporary dike, flood or environmental control device
JP6691430B2 (ja) 水上構造物における脚部へのグラウト材の充填方法
JP2017025491A (ja) 通水路の施工方法および推進機
CN118128079A (zh) 一种橡胶膜式止水帷幕及其施工方法
KR20110021332A (ko) 직물 튜브를 이용한 제방 시공방법 및 그 튜브
JP2005179896A (ja) 集排水部材及び集排水孔の形成方法
CZ25041U1 (cs) Zařízení k čerpání vody trkačem
ITMO20070087A1 (it) Metodo per il ripascimento artificiale di un'area litoranea.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150302

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150302

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150302

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160524

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160617

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5956789

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250