本発明は、フィルタバイアルに関する。
フィルタバイアルは、下端にフィルタを備えた管状プランジャを有する。プランジャは、流体および流体中を浮遊する物質を収容する結合バイアル内に嵌合する。プランジャがバイアルに挿入される時に、プランジャの下端のフィルタを通過するには大きすぎる粒子または分子から流体を分離するように、流体はフィルタを通過してプランジャへ移動される。濾過された流体は、さらなる使用のために、プランジャから取り出される。
フィルタの直径および厚みは、フィルタ毎に大きく異なり、また、フィルタの厚みは、1つのフィルタにおいても大きく変わり得る。そのため、濾過される流体の全てがフィルタを通過するように、かつ流体がフィルタの周縁の周りから漏出しないように、フィルタを封止することが困難になり、プランジャ内の濾過された流体が汚染され得る。また、流体がフィルタを通過するように移動される際に、フィルタは押し潰され、或いは変形し得るため、流体がプランジャ本体に流入する時にフィルタを迂回し得る。既存のアセンブリの多くが超音波溶接されたアセンブリを使用している。フィルタがアセンブリの隣接する壁に超音波溶接される場合、可塑剤が残留するおそれがあり、使用時に、バイアル内の流体を汚染するおそれがある。
更に、既存のフィルタバイアルは、プランジャの底部およびバイアルの底部の間に僅かな間隙を有しており、試料の一部が濾過されずに、さらなる試験および処理のために使用できない状態に残される。この濾過されていない試料の量は、絶対的には少ないかもしれないが、その量の試料が足りないことが問題となる程度の量に相当することがある。
従って、流体試料の損失を回避すると共に、より多くの試料を処理できるフィルタバイアルが必要とされる。
生物学的流体、化学的流体、或いは他の流体を分離するフィルタバイアルは、円柱状の側壁、開放された上部および閉鎖された底部を有する。切頭円錐状の突起が、底部の中央から上方へ突出し、バイアルの底部において環状の凹部を形成する。管状のプランジャは開放された下端を有し、その下端には、バイアルの側壁に嵌合してバイアルを封止するように寸法が定められた外側壁を有する環状のキャップが固定される。環状のキャップは、プランジャの底部にある開口を覆ってフィルタを保持する内側壁を有し、且つ、フィルタまで延びる整形キャビティを形成する。キャップの内側壁および外側壁の間の空間は、プランジャの管状端に連結される。流体をバイアルから突起およびフィルタを通りプランジャへ移動させるために、プランジャの端部にある環状のキャップは、突起が整形凹部に嵌合すると、バイアルの環状凹部に滑り嵌め状態で嵌合される。
詳細には、流体を濾過するフィルタバイアルおよびプランジャアセンブリを提供する。プランジャは、内部流体キャビティを画定する側壁を有する管状のプランジャである。プランジャは上端および下端を有しており、プランジャの下端にプランジャ開口を備える。環状のキャップは、プランジャの下端に連結される。環状のキャップは、同心状の内側壁および外側壁を備え、外側壁はプランジャの外側壁に連結されると共に、内側壁は、プランジャ開口に流体連通する整形キャビティを画定する。キャップの外側壁は、その底部或いはその底部の近傍に、外方に延出する第1シール面を有する。フィルタはキャップの内側壁およびプランジャ開口の間に配置されて、開口を通過する流体を濾過する。プランジャは、開放された上部および閉鎖された底部を有するとともに、上部および底部が円柱状の側壁によって連結されるバイアルに嵌合し、円柱状の側壁は、第1シール面との間に液密シールを形成するために十分な直径を有する。バイアルは、バイアルの底部の中心から上部へ向けて延出する突起を有する。キャップの環状の底部および相補的な形状を有するバイアルの底部は、突起および整形キャビティの相補的な形状を含み、使用時に、流体をバイアルから整形キャビティに移動させる。任意で、バイアルの底部および突起の外面に浅いチャネルが形成され、このチャネルは流体を突起の上部へ向けて移動させるように配向されてよい。好適には、任意で突起は切頭円錐形状である。
閉鎖された底部、開放された上部および側壁を備えた管状バイアルを有するフィルタバイアル装置が提供され、側壁は、バイアルの長手軸線に沿って配置され、直径Dの円柱状内部を画定する。閉鎖された底部は開放された上部およびバイアルの底部へ向けて延出する突起を有し、突起はバイアルの長手軸線の周りに環状凹部を画定し、突起は環状凹部の中心にある。本装置はまた、長手軸線を有する管状プランジャアセンブリを含む。プランジャアセンブリは、側壁によって対向するように連結される上端および下端を備えたプランジャを含み、プランジャ内に流体保持キャビティが画定される。プランジャの下端は、外側環状面および外側環状面から上端へ向けて軸線方向にずらされた内側環状面を有する。内側環状面は、一般に、アセンブリの長手軸線に直交すると共に、凹部側壁によって第1環状面に連結されて、アセンブリの長手軸線を取り囲む凹部が形成される。第2環状面は、プランジャの流体保持キャビティに流体連通する凹部開口を画定する。アセンブリはまた、同心の内側壁および外側壁を備えた環状のキャップを有し、内側壁および外側壁は、プランジャの底部の外側環状面が配置される環状凹部を画定する。キャップの外側壁は、プランジャの底部の外面を覆って延出する一方、キャップの内側壁は、プランジャの端部にある凹部の側壁に隣接して配置される。キャップの内側壁は、バイアルの底部にある突起を嵌合状態で受け入れるように構成される整形キャビティを画定する。整形キャビティは、プランジャの凹部開口に流体連通する上端を有する。また、キャップの外側壁の外面は、プランジャアセンブリがバイアル内に挿入される時に液密シールを形成するとともに、環状のキャップの前記バイアルの底部への移動を可能にするように、直径Dよりも十分に大きい直径を有する。アセンブリはまた、プランジャの内側環状面および環状キャップの内側壁の間に配置されるフィルタを含む。更に、プランジャアセンブリの底部にある環状のキャップは、バイアルの底部において、環状凹部に嵌合するように構成される。
本フィルタバイアル装置の更なる変形例において、プランジャ底部にある環状キャップは、バイアル底部にある環状凹部の寸法および形状に適合し、底部および突起との間に滑り嵌めを形成し、またバイアルの側壁との間に滑り嵌め或いは僅かな締り嵌めを形成する。更に、突起および整形キャビティは共に、実質的に同じ形状および寸法を有すると共に、底部が上部へ向かう部分よりも大きい切頭円錐形状であってよい。また更に、浅いチャネルが任意で、流体をチャネルからフィルタへ移動させるように、バイアルの底部および突起の側部に形成されてよい。また、フィルタバイアルアセンブリは、プランジャの上端において、取り外し可能な端部キャップを有してよく、端部キャップは、プランジャの流体保持キャビティに流体シールを設けるように構成される。また更に、上記フィルタバイアル装置は任意で、キャップの外側壁の上端にキャップフランジを有してよく、キャップフランジは、バイアルの側壁から外向きに延出して、前記キャップの外側壁の外面との間に液密シールを形成する。
本装置はまた、管状のプランジャの外面において、プランジャの下端に隣接して配置される外方対向凹部を含んでよく、キャップフランジは、この外方対向凹部内に配置される。プランジャは、外方対向凹部の下端において、或いは該下端に隣接して、外方に延出するプランジャフランジを有してよい。キャップの外側壁および外方対向凹部は、キャップの外側壁がプランジャフランジを越えて外方対向凹部まで延出するように配置されてよく、フランジの位置におけるキャップの外側壁の外径は、使用時に、バイアルの側壁と流体的に締り嵌めを形成するために、直径Dよりも大きい直径を有する。
フィルタバイアル装置は、有利には、凹部側壁を有し、該側壁は凸状であり、プランジャの長手軸線に向かって湾曲し、環状キャップの内側壁は、凹部側壁の凸状面に入れ子状に整合するように、凹状であると共に、凹部側壁の形状に適合する外面を有する。また、バイアルは有利には、フィルタを通過させられる約10マイクロリットル以下の流体を保持するように構成されてよい。有利には、環状キャップの底部は、バイアルの底に当接し、約10マイクロリットル以下の流体が、フィルタを通りプランジャの流体保持キャビティへ通過させられる。また本装置は、フィルタの上側において、フィルタに当接するフリット又はフィルタ支持体を含んでよい。好適には、環状キャップの内側壁および外側壁の各々は、環状キャップをプランジャの下端で保持するために、プランジャの一部に係合する。
別の実施形態において、バイアル、管状のプランジャおよび環状のキャップを含む長手軸線を有するフィルタバイアル装置を提供する。バイアルは、閉鎖された底部及び開放された上部を備えた円柱壁状のバイアルを含む。バイアルは底部において、バイアルの底部に環状凹部を形成するために、上方へ向けて延出するように中央に配置される突起を有する。プランジャは、バイアル内に延出する中空管状のプランジャを含む。プランジャは軸線方向対向凹部を備えた環状底部を有しており、環状底部は、管状プランジャの内部キャビティに流体連通する凹部開口を画定するように取り囲む環状壁部まで延びている。環状キャップは、プランジャの環状底部に配置される内側壁および外側壁を有し、外側壁はプランジャの外側壁上にある。外側壁は外面を有し、外面の第1部分は、アセンブリの使用時に、第1部分をバイアル壁部に係合させるために十分な距離だけプランジャがバイアル内に前進する際に、バイアルの円柱状壁との間に液密シールを形成する第1シール面を形成するために十分な距離だけ、長手軸線から外方へ延出する。キャップの内側壁は、軸線方向対向凹部に嵌合すると共に、フィルタを凹部の環状壁部で保持し、また環状キャップの内側壁によって形成される整形キャビティに流体連通するようにフィルタを配置するために十分な距離だけ延出する。環状キャップは、バイアルの環状凹部に嵌合し、バイアルの突起は整形キャビティ内に滑り嵌めされる。
フィルタバイアルアセンブリの別の変形例において、第1シール面は、プランジャの下端にフランジを含み、環状キャップの外側壁をバイアルの側壁に接触した状態で外方へ押す。好適には、シール面はプランジャおよび環状キャップの下端に配置される。またアセンブリは、環状キャップの外側壁に、第1シール面の上方に配置される第2シール面を有してよい。有利には、突起は切頭円錐形状であり、キャップの内側壁は、切頭円錐形状の内方対向面を有する。また、プランジャの端部に形成される軸線方向対向凹部は、凸状の側壁を有し、キャップは凸状の側壁と嵌合するように構成される外方対向面を内側壁に有してよい。また更に、バイアルの底部のチャネルは、フィルタバイアルアセンブリの使用時に、流体を容器底部からフィルタへ向けて移動させるために、突起の表面にあるチャネルに流体連通するように配置されてよい。
また、様々なバイアルと共に使用される流体濾過用管状プランジャアセンブリを提供する。管状プランジャは、少なくとも1個の開放された底部を有し、プランジャ内には、流体保持キャビティが設けられる。プランジャは内側環状面および外側環状面を備える下端を有し、内側環状面および外側環状面は、プランジャの長手軸線を取り囲むとともに、長手軸線に対して直交し、プランジャの下端にプランジャ凹部を画定するように、長手軸線を取り囲むとともに、長手軸線に対向する凹部側壁によって、その軸線に沿って所定距離だけ離間する。内側環状面は凹部への開口を取り囲み画定し、開口はプランジャの流体保持キャビティに流体連通する。プランジャアセンブリは、キャップ底部を有する環状のキャップを備え、キャップ底部から同心状の内側壁および外側壁が延び、キャップはプランジャの下端を覆うように嵌合する。外側壁は、プランジャの下端の外面を覆うように嵌合する。内側壁および外側壁は、内側壁および外側壁の間に外側環状面を受け入れる。内側壁は、プランジャ凹部の側壁に当接する外面を有する。内側壁の内面は、開口と凹部とを流体連通させる整形キャビティを画定する。内側壁は上端を有する。フィルタは、内側壁の上端および内側環状面の間に挟持される。
別の変形例において、管状のプランジャアセンブリは、環状のキャップの外側壁の外面の一部を、環状のキャップの底部或いは該底部の近傍に有し、プランジャアセンブリの使用の間に、キャップがバイアルに挿入された時に、フィルタバイアルに液密シールをもたらす第1シール面を形成するために十分な距離だけ外方に延出する。第1シール面は有利には、プランジャの端部上においてフランジによって形成され、キャップの側壁の一部を外方へ押す。プランジャアセンブリはまた、フィルタおよび第1環状面の間に配置されるフリット又は支持体を含んでよい。また、アセンブリは長手軸線に沿って対向し、かつ長手軸線を取り囲むと共に、第1環状面および第2環状面の少なくとも一方に形成されるシール面を有してよい。更に、凹部側壁は凸状湾曲形状を有してよく、その場合には、キャップ内側壁の外面は好適には、嵌り合い凹形状を有する。整形キャビティは好適には、切頭円錐形状である。有利には、管状プランジャは、第2環状面の位置において厚みがより大きい側壁を有する。好適には、プランジャアセンブリは、プランジャの上端において液密シールを解放可能に形成するように構成される取り外し可能なクロージャを有する。
また、上述のプランジャアセンブリ並びにフィルタバイアルのいずれかを含むフィルタバイアルキットを提供する。フィルタバイアルは、開放された上部および閉鎖された底部を有し、底部の中心に突起を備えてよい。突起は、長手軸線に沿って測定される環状キャップの内側壁の高さと略同じ距離だけ上部へ向けて延出する。突起の形状は、キャップの整形キャビティに適合する。フィルタバイアルはまた、第1シール面との間に液密シールを形成するように、プランジャの底部において、キャップの外側壁の少なくとも一部の外径より僅かに小さい内径を有してよい。
別の変形例において、フィルタバイアルキットは、取り外し可能なキャップを有し、約30マイクロリットル未満の容積を有していてよい。また、バイアルの内側底部および突起は、キャップの底部および整形凹部の外形に適合するように構成されてよい。有利には、フィルタバイアルの底部は任意で、内部に形成される浅いチャネルを有してよく、このチャネルは、突起表面の浅いチャネルに流体連通する。チャネルは、使用時に、突起の上部へ流体を移動させるように配向される。
プランジャと、フィルタと、環状キャップとバイアルを含む別のフィルタバイアルキットも提供される。プランジャは上端および下端を有し、プランジャの下端に開口を備える中空管状のプランジャを含む。フィルタは、プランジャの下端の開口を横切って延在する。環状のキャップは、プランジャの下端に固定される。キャップの外側壁は、プランジャの下端の外面に沿って延在し、外側壁の一部は、第1シール面を形成するように、予め定められた距離だけ外方に延出する。環状キャップは、内側壁を有し、プランジャの下端の開口に流体連通する整形キャビティを形成する。バイアルは、開放された上部および閉鎖された底部を有し、底部は、バイアルの上部へ向けて延出する中心突起を有する。バイアルはまた、円柱状側壁を有し、バイアルおよび環状キャップの間に液密シールを形成するために、予め定められた直径よりも十分に小さい直径を備える。環状キャップの底部および整形凹部は、バイアル内の流体が整形キャビティおよびフィルタを通過するように、バイアル底部および突起の形状に連結するように構成される。
本フィルタバイアルキットの別の変形例において、バイアルの底部は、突起の表面の浅いチャネルに流体連通する浅いチャネルを有し、環状のキャップがバイアルの底部およびその突起と滑り嵌めされた時に、流体がチャネルを通りフィルタへ向かう。また、キャップの内側壁は、フィルタを所定位置に保持するために、フィルタをプランジャの一部に接触するように押してよい。好適には、整形キャビティは切頭円錐形状であり、突起は、突起の上部へ流体を移動させるために、突起の表面に浅いチャネルを備えた結合円錐形状を有する。
改良型フィルタバイアルも提供する。改良型バイアルは、開放された上部および閉鎖された底部を有するプラスチック製のフィルタバイアルを含み、上部および底部は、円柱状の側壁によって連結される。底部は、バイアルの長手軸線に沿って上部へ向けて、僅かな距離だけ延出する突起を有する。フィルタバイアルは、約30マイクロリットル以下の容積と、約1.27ミリメートル(0.050インチ)以下の厚みの側壁を有する。任意で、突起は切頭円錐形状であると共に、約0.5センチメートル(0.2インチ)未満の距離を延出する。任意で、バイアルの底部は、前記突起の外面の浅いチャネルに流体連通する浅いチャネルを有し、流体を該チャネルから前記突起の上部へ向けて移動させるように配向される。チャネルは好適には、放射状に配向される。
本明細書に開示される様々な実施形態の以下の特徴およびその他の特徴は、以下の説明および図面を参照することでより良好に理解される。図面全てにおいて、同じ符号は同じ部品を指す。
底部に突起または隆起を有するフィルタバイアルの側面図。
図1Aのフィルタバイアルの上面図。
図1Aのフィルタバイアルを示す図1Bにおける1C−1C線に沿った断面図。
図1Aのフィルタバイアルと併せて用いられるプランジャの側面図。
図2Aのプランジャを示す2B−2B線に沿った断面図。
図2Bにおける2C線によって囲まれる部分の断面図。
図2Aのプランジャと併せて用いられるキャップの側面図。
図3Cにおける3B−3B線に沿った断面図。
図3Aのキャップの上面図。
図2Aのプランジャ上にある図3Aのキャップの側面図。
図4Aの4B−4B線に沿った断面図。
図4Bの下端の拡大断面図。
バイアル内で流体を濾過する前に図1Aのバイアルに挿入された図3Aのキャップを備える図2Aのプランジャを示す断面図。
プランジャにより流体をプランジャ内へ移動させている状態の図5Aのプランジャの断面図。
プランジャがバイアル底部およびプランジャ内の濾過された流体の全てに当接する状態の図5Aのプランジャの断面図。
切頭円錐状突起を有する図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分斜視図。
図6Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
4面断面形状の突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分斜視図。
図7Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
3面断面形状を備えた突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分断面図。
図8Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
4面断面形状を備えたバイアルにある4面断面形状の突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態の部分斜視図。
図9Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
3面断面形状を備えた突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分斜視図。
図10Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
プランジャ下側部分、フィルタ、フィルタ支持体またはフリット、およびキャップの分解断面図。
図1A〜1Cおよび図5A〜5Cを参照して簡潔に説明すると、管状フィルタバイアル10は閉鎖底部12を有し、底部の中央に配置される隆起即ち突起14を備える。突起14はバイアルの円柱状壁部16により形成されるキャビティ内へ延出し、バイアルの突起14および壁部16の間に環状の空間を形成する。浅いチャネル15が底部12および突起14の側面に形成される。流体試料がバイアル10内に配置される時に、流体は突起14を囲む。管状プランジャ18は第1外側環状下端20を有し、第1外側環状下端20を覆って環状キャップ50が嵌合し、環状キャップ50の下部は、突起14を囲む環状の空間を充填すると共に突起14に滑り嵌めするような形状を有して、バイアル10内および突起14を囲む環状の空間内の全ての流体を、プランジャ底部のフィルタ70を介して管状プランジャ18の内部へ移動させ、濾過された流体は、そこで更なる利用のために取り出されてよい。底部12および突起14の側面の浅いチャネル15は、残留流体を、バイアルからフィルタ70を通りプランジャ18に向かって移動させる。プランジャ18の環状下端20は好適には、プランジャの長手軸線27に対して直交するが、下端20は多様な形状を有してよく、平坦な環状面である必要はない。プランジャ上端22にある取り外し可能な端部キャップ23(図5A〜5C)は、濾過された流体のための閉鎖容器を提供する。端部キャップ23は管状プランジャ内の流体を取り出すために取り外されるか、濾過された流体を取り出すために、膜25を通って針が挿入される。端部キャップ23は種々の形態を有してよく、また、ねじ24などの様々な方法でプランジャ18の上端22に取り付けられてよい。
上部および底部、或いは上側および下側の相対的な方向は、図1A、図2Aおよび図3Aを鉛直方向に置いた時の部品に対するものである。これは、バイアルおよびプランジャが鉛直方向に沿って使用位置に保持される時に、上部が地面から離間する方向を向き、底部が地面へ接近する方向を向くことを意味する。従って、相対的な方向は、人間の直立方向に対応する。同様に、上下、或いは上側および下側、或いは上方および下方は、バイアルが鉛直方向に向けられた状態で直立する人間の相対位置を示す。内側または内方の相対方向は、以下に説明する様々な部品に共通する長手軸線27に接近する方向を示す。外側または外方の相対方向は、共通の長手軸線27から離間する方向を示す。また、本明細書で使用される滑り嵌めは、手動で位置決めされる時に、部品が嵌まり合うことを可能にする極めて密接した嵌合のことであって、締り嵌めではない。滑り嵌め部品の間の空間は、ゼロから約0.1ミリメートル以下(数千分の1インチ以下)の間で変化してよい。
図2A〜図2Cを参照すると、管状プランジャ18は、下端20および上端22をそれぞれ有し、円形断面を有する。ねじ24は任意で、上端22の近傍のプランジャ外面に配置されてよく、ねじは、好適には液密シールを形成することにより、プランジャの上端を閉鎖するために、ねじ込みクロージャ23(図5A)に連結されるように構成されてよい。クロージャ23は弾性の膜25を有してよく、プランジャ18内の濾過された流体の一部を抜き取るために、この膜25を通って針が挿入され得る。上側フランジ26が、プランジャ18の外面からプランジャの上端22へ向けて外方へ延出する。上側フランジ26は様々な断面形状を有してよく、好ましくは三角形の断面形状を有する。三角形の断面形状は、上側フランジ26をバイアル10へ挿入することを容易にするように傾斜しており、それにより、フランジがバイアル内壁16を密封する一方、プランジャのバイアルからの取り外しが制限される。従って、フランジ26は、プランジャ18の外面から外方へ延出し、好適にはプランジャ18の長手軸線27から半径方向に延出する一側面を有する一方、別の側面は、長手軸線27をフランジ26およびプランジャ下端20の間において長手軸線27に交差するように傾斜している。通気孔29がプランジャ18の壁部を貫通してよく、通気孔29は、フランジ26および下端20の間において、有利にはフランジ26の近傍に配置される。通気孔は、プランジャ18の予期される流体高さよりもかなり上方に配置されるべきである。
プランジャ18の管状流体保持キャビティは、好適には上端22から延びる円柱状部28を有し、円柱状部28は、下端20からプランジャの長さの約1/4の長さだけ離間した位置から延びる狭小部30を備える。狭小部30は任意であるが、切頭円錐面を形成する傾斜壁を有することが好ましい。狭小部30の下端は、プランジャ18の下端に形成される拡大プランジャ凹部32に開口している。プランジャ凹部32は概して円柱形状であり、プランジャ18の下部に段差を形成する。この段差は、図11に示すように、段差において、直径が大きく変化するものであっても、緩やかに変化するものであってもよい。プランジャの環状端部20はプランジャ凹部32および軸線27を包囲しており、プランジャ凹部32は軸線27に対向するとともに軸線27に沿って延びる。プランジャ凹部32は、底面20からプランジャ上部へ向けて僅かな距離だけ延出し、環状壁部34まで延びており、環状壁部34は概ねプランジャの長手軸線27に対して直交すると共に、流体保持キャビティ30の下端を取り囲む。プランジャの環状端部20は、概ねプランジャ18の外縁に整合するか近接する外側環状面として示され、環状壁部34は、第1環状面20からプランジャの上端22へ向けて内方に且つ横方向にずらして配置される。側壁36は軸線27に対向するように軸線27を取り囲んでおり、且つ、環状面20の内縁を環状面34の外縁に連結する。第1外側環状面20は、管状プランジャ16の壁部によって形成される管状突部の端上にあるが、第2内側環状面34は第1外側環状面20からずらされ、流体保持キャビティ28,30への下部開口を画定する。
プランジャ凹部32は、以下に説明するように、プランジャ凹部32に配置され得る連結部品とのシールを容易にするような平行、傾斜、湾曲、或いは他の形状であってよい。側壁36は僅かに湾曲していることが好ましく、側壁は凸状に形成されることにより、側壁の中央が側壁36の端部よりも、長手軸線27に接近するように延出する。従って、プランジャ凹部32はその上部および底部において最大の直径D1を有し、上部および底部の間で最小の直径D2を有する。図2A〜図2Cに示すように、環状面即ち壁部34はプランジャ端部20の上方にあるため、環状壁部34は、プランジャ凹部32の上壁34とも称する。側壁36の凸形状は、以下に説明するように、環状キャップ50をプランジャ18の環状底部上で保持することを容易にする。
有利には、任意で軸線27に沿って、プランジャ18の底部の方向に延出する凹部シール部材35(図2C)が環状上側壁部34に形成されてもよい。好ましくは、三角形断面を有するシールが、傾斜した流体保持キャビティ30および上壁34が交差する縁に設けられる。
端部シール部材38が、任意で環状端面20上に形成される。端部シール部材38はプランジャ凹部32を包囲すると共に、軸線27を中心として配置される。三角形断面を備えた端部シール部材38が好ましく、シールは軸線27の方向に沿って延び、プランジャ下端20から離れるほど軸線27に接近するように延出する。有利には、端部シール部材38は、環状端面20のほぼ中央において、プランジャ凹部32およびプランジャ端部20の外周の略中間に形成される。図2Cによく示されるように、端面20に隣接するプランジャの外面は任意で、軸線27に沿って上方に僅かな距離だけ延びる円柱形状であってよい。対照的に、プランジャの端面20の内面は、好適には上述したように湾曲している。
環状溝40は好適には、下端20に隣接すると共に、プランジャ18の外面に、プランジャの端部を包囲するように形成される。溝40は、直交端を備え、軸線27に対して概ね平行且つ同心状の平坦底部を有してよい。溝40の幅は軸線27に沿って僅かな距離だけ延出し、その距離は、以下に説明するキャップの形態に少なくとも部分的に対応している。溝40の下縁および端部20の間のプランジャ18の外側面は概ね傾斜しており、プランジャの下部にプランジャフランジ42を形成する。好適には、プランジャフランジ42は傾斜しているため、端部20の下方において、軸線27と交差する。また、プランジャフランジ42の最大直径は、好適には、プランジャ18の円柱の直径と同じである。図2によく示されるように、プランジャフランジ42は好適には、軸線27に沿って、プランジャ凹部32の下方まで延び、溝40は、プランジャ凹部32の上部まで延びている。
図2Bおよび2Cを参照すると、管状プランジャ18の下端は外側壁を有し、その上にプランジャフランジ42が配置されており、プランジャフランジ42は、プランジャ凹部32の内壁36と半径方向において対向する。以下に説明するように、プランジャ18の下端において対向するこれらの面の各々は、プランジャ下端を覆うように嵌合される環状キャップ50の結合面を封止する。
図2〜4を参照すると、環状キャップ50は、締り嵌めによりプランジャフランジ42を覆うように押し付けられる一方で、キャップをプランジャ18の端部で保持することを容易にするために、プランジャ凹部32の側壁36に嵌合するように形状および寸法が定められる。環状キャップ50は、底部56によって下端で連結される概ね円柱状の管状外側壁52と、概ね円柱状の管状内側壁54とを有する。キャップの外側壁52は、その自由端において、外側延出フランジ58を有する。内側壁54は、その自由端において、外側延出フランジ60を有する。外側壁52は概して厚みが均一であると共に、内側壁54よりも高く、好適には、内側壁54を越えて配置される外側壁フランジ58を有する。
側壁52,54は、同心であると共に、側壁52,54の間に外側環状面20と、環状面20が形成されたプランジャ側壁の一部とを受入れるために、所定距離だけ間隔があけられている。有利には、キャップの側壁52,54は、環状面20が形成された管状プランジャ側壁の形状に適合している。従って、内側壁54および外側壁52は同心に延びており、環状壁部はキャップ50の上側面上で底部56により所定距離だけ離間しており、キャップ50の下側にて底部56より大きな底部57を備える。環状キャップ50の上方の対向側面上の底部56は、キャップ側壁52,54の対向する部分の間に延出する環状面を形成すると共に、内側壁54の外部から外側壁52の内部まで延出する半径方向に沿った幅を有する。環状キャップ50の下方の対向側面上の底部57は、側壁52,54の間に同様に延在する環状面を形成しているが、内側壁54の内部から外側壁52の外部へ延出する半径方向に沿った幅を有する。
内側壁54は湾曲した外面62(図3B)を有しており、曲率はプランジャ凹部32の側壁36の曲率に適合するように選択されるため、側壁54および62は入れ子状態で連結される。この結合湾曲形状は、キャップ50をプランジャ18の端部で保持するだけでなく、液密シールを形成するために、内側壁54がフィルタ70を内側環状壁34に押圧することを保証する。従って、使用に際して、内側環状側壁54の外面62は、プランジャ18の端部にあるプランジャ凹部32の側壁36に当接し、側壁54,36は液密シールを形成する。
内側壁54は、滑り嵌めにより、また任意で僅かな締り嵌めにより、突起14(図1C)に嵌合するように整形される内面64(図3B)を有する。好適には、内面64は任意で円錐面(切頭円錐状)のセグメントであり、この面は、側壁54,58の端部の上方で、長手軸線27に交差するように傾斜している。従って、キャップの内側壁54は、長手軸線27を中心とする整形キャビティ66を形成する。有利には、キャップの内側壁54は、環状キャップ50の下端へ向けて外方に傾斜しており、好適には、内側壁54の内部で、全長に沿って外方に傾斜する。有利には、キャップ内側壁54の上部68(図3B)は、砂時計形状の断面を形成するように、プランジャ凹部32(図4C)の内側環状壁部34の内部にある円形開口と同じ円形開口を形成し、砂時計の狭小部分にフィルタ70を備える。内側壁54の上端は、使用時にフィルタ70に当接する環状面68を形成すると共に、フィルタをプランジャ18の内側環状面34に押し付ける。
図2〜4および図11、特に図2C、3B、4A〜4Cを参照すると、プランジャアセンブリ69の形成工程が説明されており、キャップ50は、フィルタ70また任意でフリット又は支持体72を所定位置で保持するために、プランジャ18上に配置される。外側壁52は、プランジャ18のプランジャフランジ42の最大直径よりも僅かに小さい直径を備えた内面を有することにより、環状キャップ50の上端がプランジャ18の下端を覆うように押し付けられる時に、締り嵌めが形成される。キャップの外側壁52は、プランジャフランジ42の位置において僅かに外方へ隆起するために十分な可撓性を備えており、側壁52の上部は、プランジャ下端の溝40に嵌合する。プランジャフランジ42は有利には、環状キャップ50の外側壁52との間に液密シールを形成する。使用時に、プランジャフランジ42は好適には、プランジャフランジ42をキャップ50に容易に嵌合させ、かつ部品が係合した後にフランジからキャップが外れることを防止するように傾斜して構成される。
プランジャフランジ42が環状キャップ50の外側壁52を密封するため、環状キャップの内側壁54の外面は、管状プランジャ18の端部にあるプランジャ凹部32の内方対向面36即ち側壁36を密封する。キャップ50の外側壁52にあるフランジ即ちリブ58は、プランジャの溝40に嵌合する。フランジ58は、外側壁52の相対移動を制限するために、溝40の上側面に当接してもよい。溝40内のフランジ58はまた、プランジャからのキャップ50の取り外しを阻止する。
同様に、内側壁54は、プランジャ18を封止すると共に、キャップのプランジャからの取り外しを妨げる。図示する実施形態において、側壁36は軸線27に向けて凸状であり、内側壁54の外面は、凸状の側壁36に嵌合するように湾曲している(凹状である)。キャップの内側壁54は、液密シールを形成すると共に、部品を共に保持するために、プランジャ側壁36に係合する。面36および内側壁54に、他の嵌め合せ形状が用いられてもよい。
好適には、環状キャップ50の底部56は、プランジャ18の環状底部20を受入れるように寸法が定められており、任意の端部シール部材38は底部56(図4C)に当接する。従って、環状キャップ50は、プランジャ18の下端にあるプランジャフランジ42を覆うように押し付けられ、プランジャフランジ42は、キャップを所定位置に保持するために、スナップ式の係止部を形成し、キャップはプランジャ下端と共に液密シールを形成する。また、環状キャップ50は、プランジャの下端においてプランジャ18の外面を密封し、また有利には、プランジャからキャップが外れることを防止する外側壁52を有する。環状キャップ50はまた、プランジャの下端において、プランジャの内面(側壁36)を密封し、また有利には、プランジャからキャップが外れることを防止する内側壁を有する。環状キャップ50は流体通路66を画定し、キャップ50は、傾斜を有する流体保持キャビティ30の下端の開口に流体連通する。
有利には、キャップの内側壁54は、突起14(図1C)の高さに対応する高さhを有し、この高さで、好適には、側壁54の上側環状端部68(図3B)はプランジャ凹部32の上壁34およびフィルタ70の近傍に或いは当接するように配置されるが、傾斜を有する流体保持キャビティ30(図4B,4C)の下部は、整形キャビティ66の上端に軸線27に沿って整合する。図4Bおよび4Cを参照すると、キャップの内側壁54は好適には、上端68およびプランジャ凹部32の上壁34の間に僅かな間隙を有する。フィルタ70と、また好適には任意でフリット又は支持体72とは、その僅かな間隙に配置される。フィルタは好適にはフリット又は支持体72の下方にあり、それにより、フリット又は支持体72は、整形キャビティ66から流体保持キャビティ30への上向きの流体圧力に抗してフィルタを支持できる。フィルタ70の外縁およびフリット又は支持体72は、プランジャ凹部32の上壁34(図2C)および内側壁54の上端68の間に挟持される。図11に部分的に示すように、任意の数のフィルタ70またはフリット又は支持体72が、様々に配置される。フィルタ70およびフリット又は支持体72の数ならびに配置は、特定の用途および構成に応じて変更でき、フィルタおよびフリットまたは支持体の形状も同様に変更可能である。特に、1つ以上のフィルタ70が、フリット又は支持体72の上流側または下流側に配置されてよく、フィルタはフリット又は支持体72から分離されるか、取り付けられてよい。また、凹部34の側壁36は湾曲しているため、フィルタ70と、フリット又は支持体72とは、上壁34(図2C)のすぐ近傍の側壁36(図2C)の大きな直径部分の近傍に配置されるために十分な大きさの直径を有し、側壁の湾曲により、フィルタとフリット又は支持体との少なくとも一方は所定位置に一時的に保持される。更に、シール70および任意のフリットまたは支持体72の直径は好適には、プランジャの端部にあるキャビティ32の上壁34上において、シール部材35を越えて延出するために十分に大きい。シール部材35は、上壁34およびキャップ内側壁54の端部68およびその間にあるフィルタまたはフリット又は支持体の間を液密に密封することを容易にする。
フィルタ70は好適には、任意でテフロン(登録商標)、ナイロン、ガラス繊維、または他のフィルタ材料、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)またはPES(ポリエチレンスルフォン)などから製造される。支持体又はフリット72は好適には、プランジャ18またはキャップ50と同じプラスチックから製造されるが、多孔性であれば流体の流動が可能である。フリット72は、テフロンまたはガラスメッシュから製造されてよい。フィルタ70およびフリット又は支持体72の両方が、そこを通過する容積がマイクロリットル単位で測定される場合には極めて薄くてよい。キャップ50の内側壁54とプランジャ18にある凹部34の上壁との間の間隔は、支持体72を破損することなく、使用時に流体がフィルタ70を通過するために十分な力で、これらの薄い部品(フィルタ、フリット又は支持体の少なくともいずれか)を所定位置に保持するように選択される。従って、内側壁54およびプランジャ18は、フィルタ70とフリット又は支持体72との少なくともいずれか一方を所定位置で挟持する。使用時に、フィルタがそれ自体で、流動する流体に安全に耐え得るために十分な強度がある場合、フリット又は支持体72を省略してもよい。そうでない場合、適当な厚みおよび硬さのフリット又は支持体72が設けられる。プランジャ18と、より厚いプランジャ側壁との少なくとも一方は、環状キャップ50より硬い材料から製造することができるため、あるいはプランジャ18の下端の形状は、キャップ50の位置において軸線27に沿って、プランジャ18をより硬くするため、全ての応用例において支持体又はフリット72が必要とされないフィルタ70を内側壁54および上壁34の間に挟持するように、キャップ50およびその内側壁54は、プランジャ18に対して十分に密接に押し付けらることが可能である。従って、プランジャアセンブリ69は有利には、環状キャップ50およびプランジャ18の下端の間に配置されるフィルタ70およびフリット又は支持体72の両方ともを有するが、フリット又は支持体72を省略してもよい。
図4Cに反映されているように、環状キャップ50が管状プランジャ18の下端にスナップ留めされて、プランジャアセンブリ69を形成する時には、湾曲側壁36および側壁36上の内側壁54の対向部分は、好適には締り嵌めされない。また、傾斜した流体保持キャビティ30の下端に隣接するプランジャ18の下端は、プランジャの上部より厚みが大きく、従ってより硬いため、補強されたプランジャ端部がもたらされる。プランジャ18の下端にある傾斜した流体保持キャビティ30は、環状キャップ50にある整形キャビティ66の開口に整合する。傾斜部が設けられた流体保持キャビティ30の直径は、好適には、使用者が整形キャビティ66へ向けて移動するにつれて、長手軸線27に沿って狭くなり、またキャビティ66は、使用者が流体保持キャビティ30に向けて移動するにつれて、長手軸線に沿って流体保持キャビティ30へ向けて狭くなるため、概ね砂時計形状を形成し、即ちベンチュリ管形状を形成する。図4Aおよび4Bに示すように、結果的に得られるプランジャアセンブリ69は、キャップ50の端部のフランジ58およびプランジャフランジ42の少なくとも一方の位置に隣接して外方に延出する突起を除き、概ね均一な外径を有する下部を備える。
図1C、4B、4C、5A、5B、5Cを参照すると、図4のプランジャアセンブリは、バイアル10の開放端部80に配置される。開放端部80は有利には、プランジャアセンブリ69の下端をバイアル10に対して整合および挿入することをより容易にするために、内方および下方に傾斜が設けられた開口を有する。有利には、リブ82が任意でバイアルの上端の周りに延出して、バイアルの開口周りを補強する。バイアル10の側壁16の内径は、環状キャップ50の下端の直径に相当するか、或いはそれより僅かに大きい。しかし、バイアル側壁16の内径は、キャップフランジ58の位置、好適には、プランジャフランジ42の位置におけるプランジャアセンブリの直径よりも小さく、プランジャアセンブリ69の両位置において締り嵌めが形成される。バイアル10内におけるリブ58およびプランジャフランジ42の位置での約0.1mm(数千分の1インチ以下)の締り嵌めは、濾過される液体の容量がマイクロリットル程度である場合に適切であり得るが、締り嵌めの量は選択される材料に応じて変更される。
好適には、キャップ外側壁54がフランジ42(図2A、4A)に押し付けられるにつれて、側壁54は、環状キャップ50およびバイアル10の側壁16の間に一次シールを形成するために十分な距離だけ僅かに外方へ隆起する。この一次シールは、バイアル10内の流体がこの一次シールを通過しないように、十分な締り嵌めを形成する。二次シールは、バイアル側壁16の内部に押し付けられるリブ58によって形成される締り嵌めによってもたらされる。有利には、プランジャフランジ42および外側壁52上のキャップリブ58によって設けられるシールの間の領域に、流体は流入しない。バイアル10内の流体は、プランジャフランジ42によって、キャップ側壁52を外方へ押してバイアル側壁16の内部に当接させるように形成される流体シールを通過しないため、プランジャ18およびバイアル底部12が互いに向けて移動されるにつれて、流体はプランジャ18内へ流れる。バイアル側壁16の内面は、好適には、部品をより容易に成形することを可能にすると共に、プランジャフランジ42および環状キャップ50上の外方延出リブ58によってもたらされる一次および二次シールの間の僅かな締り嵌めの量を増加させるように、僅かに傾斜している。バイアルの高さが約25mm(1インチ)である場合に、バイアルの高さ全体に対して、約0.1mm以下(数千分の1インチ以下)の僅かな傾斜が適切であり得る。
プランジャアセンブリ69がバイアルの底部12へ向けて移動するにつれて、プランジャアセンブリ69の端部にある環状キャップ50内の整形キャビティ66は、バイアル底部12において突起14に整合し、嵌合する。突起は好適には切頭円錐形状であるが、図6〜10に示すと共に以下に説明するように、他の形態が用いられてもよい。より重要な点は、突起14の形状が、整形キャビティ66に滑り嵌めするように構成されることにある。プランジャアセンブリ69およびバイアル側壁16の間にシールが形成されるため、プランジャアセンブリ69が軸線27に沿ってバイアルの底部12へ向けて前進するにつれて、流体はバイアル底部12へ向けて押し付けられ、整形キャビティ66およびフィルタ70を通り、キャビティ30,28によって示されるプランジャ18の本体内へ移動される。
更に図5Bおよび図1Cを参照すると、プランジャアセンブリ69の下端が突起14の上部に到達して通過すると、バイアル10内の残りの流体は、流体がフィルタ70を介して流体保持キャビティ30および28の少なくとも一方へ流動するように、突起14の傾斜側面および整形キャビティ66の結合側面の間を流動させられる。更に図5Cおよび図1Cを参照すると、プランジャアセンブリ69の下端がバイアル10の底部12に当接する時に、バイアル底部12および突起14に沿った流体の殆ど全て或いは全てがフィルタ70を通過させられ、突起14の上部は好適にはフィルタ70に当接し、また理想的にはフィルタ70を僅かに押すが、フィルタおよび任意のフリット又は支持体72を破損することはない。バイアル底部12のチャネル15および突起14の側面は、バイアル内の流体がフィルタ70を通過するのを可能にする流路を形成する。キャップの外側壁52がバイアル側壁16を密封すると、流体はバイアルの底部12へ向けて押され、また、キャップの底部57がバイアル底部12に押し付けられると、捕らえられた流体は浅いチャネル15へ向けて押し付けられ、且つフィルタ70を通って移動される。実際のところ、プランジャアセンブリ69がバイアル底部12へ押し付けられるとき、環状キャップ50の底部57は浅いチャネル15に僅かに押し入れられて、突起14の上部がフィルタに当接すると、捕らえられた流体をチャネル15およびフィルタ70を通過させるために十分な圧力をもたらす。約0.1mm以下(数千分の1インチ以下)の深さおよび同程度の幅のチャネルが適当であり得る。4〜8個のチャネルが適当であり得るが、チャネル15の数および寸法は、バイアル10の特定の構成および寸法に応じて変更される。
従って、プランジャ18の下端にあるキャップ50は、キャップの外側壁52の外面およびキャップの内側壁54の内面によって形成される環状雄突起を形成し、整形凹部66を雄突起の中心に備える。環状雄突起はキャップ50の底部57および側壁52,54によって有効に形成されて、プランジャ18の下端に固定される。相補的な形状に整形された環状雌凹部が、バイアルの側壁16、底部12および突起14によって形成される。同様に、バイアルの雄突起14は、整形キャビティ66の雌凹部に連結されるように整形される。雄突起および雌凹部は嵌合し、それらの間で流体を圧迫して、流体を中心突起14へ向けて管状プランジャ本体および流体保持キャビティ30、28の少なくとも一方に移動させる。一方で(環状キャップの底部の形状によってもたらされる)プランジャ端部、また他方でバイアルの環状凹部の結合環状形状は、バイアルの底部における無効容積(Dead volume)を最小化する手段を提供し、整形突起14および対応する整形凹部66は、フィルタ70を介して流体をプランジャ18の本体へ向けて移動させ、バイアル底部12のチャネル15および突起14の側面は、流体のうちの捕らえられたわずかな部分がチャネルおよびフィルタ70を通り突起14に衝突することを可能にする。図1〜5に示す実施形態において、環状空間は円形であるが、突起14および凹部66の結合形状は円形でなくてもよいため、環状空間は円柱状である必要はなく、また、バイアル側壁16およびプランジャ18の形状は円柱状である必要はなく、円または楕円などの連続湾曲を備えた形状、或いは三角形、四角形または多角形を含む直線状側面を備えた形状を含み、任意の管状形状であってよい。従って、本明細書で使用される「環状」という用語は、同心円を有する形状または容積に限定されるものではなく、円以外の形状を含む。例えば、図7及び8は、円柱状バイアル10の中ではあるが、三角形および四角形の断面形状を備えた突起14をそれぞれ示しており、一方、図9及び10は、三角形および四角形の断面形状を備え、同じ数の側面を有するバイアル10に入れられた突起をそれぞれ示す。これらの突起14を囲むと共にバイアル側壁16によって囲まれた空間も、本明細書において「環状」の空間と称される。本明細書で用いられる空間は、バイアル側壁16が図9及び10のように断面が非円形であり、また例えば、円または楕円、或いは好適には任意で丸みが付けられた角部によって接合される3個、4個またはそれより多くの側面を含む直線状側面を有する形状など、連続した曲線で示される断面形状を有する場合に環状であるとされる。図7〜10に示すように、キャップ50の整形キャビティ66は、滑り嵌めを形成するために、突起の形状と一致する。突起14が複数の側面を有する形態では、角部は好適には丸みが付けられるが、図示するように尖っていてもよく、整形キャビティ66の角部は好適には、滑り嵌めを形成するために、突起の角部に一致している。
また、バイアル雄突起14およびキャップ内側面54の外方傾斜面は、プランジャ18と協働して、キャップ50の側壁52および底部57をバイアルの側壁16および底部12の各々に押し付けて変形させる手段として作用し、プランジャがバイアル底部12へ向けて移動するにつれて、プランジャアセンブリ69およびバイアル側壁16および底部12の間に保持される流体を減少させる。バイアル側壁、プランジャフランジ42および隆起キャップ側壁52の間の一次シールは、プランジャ18が一次シールをバイアル底部12へ向けて押すにつれて、バイアル10内の流体をバイアル底部12へ向けて下方に押す締り嵌めであり、捕らえられた流体は、環状キャップ50、チャネル15および突起14の結合面によって、フィルタ70を通過するように移動される。環状キャップ50の底部57および内側壁54が、バイアル底部12および突起14に対して滑り嵌めを形成するように接近すると、残りの流体はチャネル15およびフィルタ70を通り、プランジャキャビティ即ちキャビティ28,30に押し入れられる。
好適には、突起14および内側壁54の両方が、軸線27から外方へ傾斜する下部を有する必要があり得る。しかし好適ではあるが、突起14および環状キャップ50の結合側壁54の外方傾斜が、キャップの外側壁52を、バイアル側壁16に対して外方へ向けて且つバイアルの角部へ向けて変形させることを促進し、それによりバイアルの側壁16は底部12に連結され、残りの流体を浅いチャネル15およびフィルタ17を通るように移動させる。
プランジャ18およびキャップ50の下方への移動は、バイアル底部12に当接するキャップ底部57によって制限される。プランジャアセンブリ69上のキャップ底部57が突起14の上部へ到達した時に、或いはその直前に、プランジャの上側フランジ26は壁16に当接し、有利には、更なる液密シールを形成する。上側フランジ26は、プランジャ18上に配置されており、プランジャアセンブリ69上のキャップ底部57が突起14の上部に近接する時に、側壁16に係合する。また、フランジ26の直径は、適切なシールを形成するように、壁16の直径に応じて選択される。上側フランジおよびバイアル側壁16の係合により、プランジャ18がバイアルに押し入れられる時に、プランジャ18は安定すると共に、キャップ57の底部はバイアル底部12に整合する。任意の充填ライン84が、フィルタバイアル10の外面に設けられ、バイアルで使用するための好適な流体の高さを指示するようにしてもよい。所望であれば、「充填ライン」のような印刷表示86が充填ライン84の近くに設けられて、ラインの目的をより明確に特定するようにしてもよい。
従って、有利には環状キャップ50には内側壁54および外側壁52がそれぞれ設けられる。内側壁は好適には、側壁の底部において、外方に傾斜或いは湾曲する。環状キャップ50は好適には、弾性材料、好適には圧縮不可能な材料から成形される。環状キャップ50および傾斜側面は、バイアル10の底部12において外方傾斜壁を有する突起14と協働して、流体を側壁から離間させ、且つバイアル底部12へ向けて押しつけるために、環状キャップ50の外側壁52をバイアル側壁16へ向けて押し、それにより、流体はキャップの内側壁54を越え、貫通フィルタ17を通り、管状プランジャ18のキャビティ30および28の少なくともいずれか一方まで上方へ押される。
プランジャ18、環状キャップ50およびバイアル10は好適には、適当なプラスチック、好適にはバイアル10内に入れられた試料を汚染させることがない材料から成形される。流体試料は一般的な化学的または生物学的試料であるが、分離可能な任意の流体が使用されてよい。バイアルおよび環状キャップは好適には、ポリオレフィン、好適にはポリプロピレン、またはバイアル10によって分離させられる対象流体と反応しない他の適当な重合体から製造される。プランジャ18は有利には、キャップ50よりも堅い材料或いは厚い材料から製造されるため、プランジャ18がキャップ50に押し入れられ、更にキャップ50がバイアル底部12および突起14に衝突して変形することを可能にするために十分に硬い。硬さは、異なる材料を用いることによって実現されてもよく、またフランジ40およびリブ58によって形成されたシール面を用いる位置に、より厚い側壁を設けたりして、プランジャをより硬く構成することによって実現されてもよい。
また有利には、フィルタバイアルを使用する流体試料の濾過方法が提供される。キャップ内側壁54が、内側壁によって画定されるキャビティを、管状プランジャ18の内部流体保持キャビティ28、30に流体連通させるように配置し、かつキャップ内側壁が、プランジャ18の端部におけるプランジャ凹部32の上壁34に接触した状態で、フィルタ70を挟持するように、環状キャップ50は、管状プランジャ18の端部に嵌合される。有利には、環状キャップ50をプランジャ18の端部に配置する工程はまた、キャップをプランジャ上の鈎状部即ちプランジャフランジ42の上にスナップ嵌合させて、キャップを取り外し可能にプランジャに固定する工程を含む。キャップ50は、プランジャの端部に環状整形突起を形成し、環状キャップの内側壁54によって形成される整形キャビティ66を覆うフィルタを保持する。流体はバイアル10内に、好適には、キャップがプランジャ上に配置される前後に、充填ライン84によって示される高さまで入れられる。次にプランジャ底部およびキャップは、バイアル開口80に挿入されると共に、バイアル底部12へ向けて押され(或いはその逆)、プランジャフランジ42およびキャップ50上のフランジ58の少なくとも一方によって形成される外側キャップ壁52の隆起は、バイアル壁部16と共に液密シールを形成する。また、バイアル底部12へ向かうプランジャアセンブリ69の相対移動は、流体を環状キャップ50の整形キャビティ66およびフィルタ70を介して、プランジャの内部キャビティ28,30の一方または両方へ向けて移動させる。プランジャアセンブリ69の下端57が突起14を通過すると、プランジャアセンブリの環状端部はバイアル10の環状底部へ進入し、結合形状により流体は上方へ、中央突起14を通過し、整形キャビティ66およびフィルタ70を介して、管状プランジャ18の本体のキャビティ28および30の少なくとも一方へ移動させられる。本工程は、好適には環状キャップをプランジャ下端に配置する前に、また好適には、流体をプランジャ18内の流体保持キャビティ28,30のいずれかへ向けて移動させる前に、キャップを管状プランジャ18の上端に配置する工程を含んでよい。
上記の装置および方法は、従来のフィルタバイアルよりもかなり多くの流体試料を、フィルタ70を通過させ得る。少量の流体試料が使用される時には、濾過される容量の改善が特に著しい。フィルタバイアル10は特に、約10マイクロリットルの流体試料に適当であり得るが、最大の試料回収が重要であるより多量の試料と共に使用されてもよい。従って、充填ライン84は好適には、充填ラインおよび底部12の間において、約10マイクロリットルを含むように配置される。本方法および装置は、流体試料が10マイクロリットルよりも少ない時、例えば1から10マイクロリットルの試料が1マイクロリットルずつ増加する時に、いっそう便利である。バイアル10の操作容量は好適には約10マイクロリットル以下であるが、バイアルの合計容量は約30マイクロリットル、或いはそれより僅かに多くてよい。内径が約8mm(3分の1インチ)、長さが約25mm(1インチ)であり、壁の厚みが約1mm(1000分の40インチ)のバイアル10が適当であり得る。プランジャおよびバイアルは特に少量の流体試料に適切であるが、本構成はより大きな部品にも適用可能である。バイアル、プランジャ、環状キャップ、およびフィルタによって濾過される流体の費用が高額であり得るため、少量の流体であっても重要であり費用がかかる。従って、本開示は、数マイクロリットルで測定される流体試料に限定されず、ミリリットル或いはそれより多くの試料を入れてもよい。
プランジャ18は好適には、環状キャップ50と同等或いはそれよりも強度があり、硬い材料から作られる。傾斜部が設けられた内部流体保持キャビティ30によって形成されるプランジャ18の端部は厚みがあるため、より強度が高い端部となる。しかし、流体保持キャビティ30は傾斜部を有する必要はなく、プランジャ上部の流体保持キャビティ28と同じ直径を有してもよい。流体保持キャビティ30はまた、1つ以上の段を備え、端部20に接近するにつれてキャビティ28の直径が減少する段付きの内部形状を備えてもよい。キャビティ28の形状にかかわらず、キャビティによって、溝40および少なくとも部分的に溝に嵌合するフランジ58において、プランジャ18により厚い壁を備えることが好ましい。プランジャ壁をより厚くすることにより、フランジ58,42により形成されるシールをキャップ50およびバイアル10の側壁16に密接させるように付勢するために、プランジャ壁が補強される。好適には、プランジャ16は環状キャップ50と同じ材料から製造されるが、キャップの外側壁52は、プランジャフランジ42を越えて溝40まで柔軟に延出するために十分に薄く製造される。
上記の説明は一例を示すものであり、限定的なものではない。当業者であれば、上記の開示に基づき、本明細書に開示される本発明の権利範囲および精神に含まれる変形例、例えばフランジ45,58、突起14、整形キャビティ66の形状の様々な例を想到することができる。例えば、図面に示すように、突起14および整形キャビティ66は、図1、5に示す好適な切頭円錐形状以外の様々な結合形状を有してよく、例えば楕円形状および複数側面形状を限定することなく含む。図面は、3つの側面および4つの側面をそれぞれ有する突起14および対応形状のキャビティ66を示す。平坦な側面の突起14が使用される場合、突起およびキャップの結合キャビティ66の角部は、好適には任意で丸みが付けられてよく、湾曲角部は部品の製作がより容易であり得る。また、本明細書に開示される実施形態の様々な特徴が単独で、或いは互いに異なる組み合わせで使用されてよく、本明細書に記載される特定の組み合わせに限定されるものではない。従って、請求の範囲は、例示的実施形態に限定されるものではない。
本発明は、フィルタバイアルに関する。
フィルタバイアルは、下端にフィルタを備えた管状プランジャを有する。プランジャは、流体および流体中を浮遊する物質を収容する結合バイアル内に嵌合する。プランジャがバイアルに挿入される時に、プランジャの下端のフィルタを通過するには大きすぎる粒子または分子から流体を分離するように、流体はフィルタを通過してプランジャへ移動される。濾過された流体は、さらなる使用のために、プランジャから取り出される。
フィルタの直径および厚みは、フィルタ毎に大きく異なり、また、フィルタの厚みは、1つのフィルタにおいても大きく変わり得る。そのため、濾過される流体の全てがフィルタを通過するように、かつ流体がフィルタの周縁の周りから漏出しないように、フィルタを封止することが困難になり、プランジャ内の濾過された流体が汚染され得る。また、流体がフィルタを通過するように移動される際に、フィルタは押し潰され、或いは変形し得るため、流体がプランジャ本体に流入する時にフィルタを迂回し得る。既存のアセンブリの多くが超音波溶接されたアセンブリを使用している。フィルタがアセンブリの隣接する壁に超音波溶接される場合、可塑剤が残留するおそれがあり、使用時に、バイアル内の流体を汚染するおそれがある。
更に、既存のフィルタバイアルは、プランジャの底部およびバイアルの底部の間に僅かな間隙を有しており、試料の一部が濾過されずに、さらなる試験および処理のために使用できない状態に残される。この濾過されていない試料の量は、絶対的には少ないかもしれないが、その量の試料が足りないことが問題となる程度の量に相当することがある。
米国特許第3512940号明細書
米国特許第3832141号明細書
米国特許第3955423号明細書
米国特許第4510058号明細書
米国特許第4734262号明細書
米国特許第4800020号明細書
米国特許第4891134号明細書
米国特許第4897193号明細書
米国特許第4990253号明細書
米国特許第5329739号明細書
米国特許第5549816号明細書
米国特許第5567309号明細書
米国特許第5833860号明細書
米国特許第5998214号明細書
米国特許第7138061号明細書
米国特許第7790117号明細書
米国特許出願公開第2010/0300959号明細書
独国特許出願公開第4128923号明細書
従って、流体試料の損失を回避すると共に、より多くの試料を処理できるフィルタバイアルが必要とされる。
生物学的流体、化学的流体、或いは他の流体を分離するフィルタバイアルは、円柱状の側壁、開放された上部および閉鎖された底部を有する。切頭円錐状の突起が、底部の中央から上方へ突出し、バイアルの底部において環状の凹部を形成する。管状のプランジャは開放された下端を有し、その下端には、バイアルの側壁に嵌合してバイアルを封止するように寸法が定められた外側壁を有する環状のキャップが固定される。環状のキャップは、プランジャの底部にある開口を覆ってフィルタを保持する内側壁を有し、且つ、フィルタまで延びる整形キャビティを形成する。キャップの内側壁および外側壁の間の空間は、プランジャの管状端に連結される。流体をバイアルから突起およびフィルタを通りプランジャへ移動させるために、プランジャの端部にある環状のキャップは、突起が整形凹部に嵌合すると、バイアルの環状凹部に滑り嵌め状態で嵌合される。
詳細には、流体を濾過するフィルタバイアルおよびプランジャアセンブリを提供する。プランジャは、内部流体キャビティを画定する側壁を有する管状のプランジャである。プランジャは上端および下端を有しており、プランジャの下端にプランジャ開口を備える。環状のキャップは、プランジャの下端に連結される。環状のキャップは、同心状の内側壁および外側壁を備え、外側壁はプランジャの外側壁に連結されると共に、内側壁は、プランジャ開口に流体連通する整形キャビティを画定する。キャップの外側壁は、その底部或いはその底部の近傍に、外方に延出する第1シール面を有する。フィルタはキャップの内側壁およびプランジャ開口の間に配置されて、開口を通過する流体を濾過する。プランジャは、開放された上部および閉鎖された底部を有するとともに、上部および底部が円柱状の側壁によって連結されるバイアルに嵌合し、円柱状の側壁は、第1シール面との間に液密シールを形成するために十分な直径を有する。バイアルは、バイアルの底部の中心から上部へ向けて延出する突起を有する。キャップの環状の底部および相補的な形状を有するバイアルの底部は、突起および整形キャビティの相補的な形状を含み、使用時に、流体をバイアルから整形キャビティに移動させる。任意で、バイアルの底部および突起の外面に浅いチャネルが形成され、このチャネルは流体を突起の上部へ向けて移動させるように配向されてよい。好適には、任意で突起は切頭円錐形状である。
閉鎖された底部、開放された上部および側壁を備えた管状バイアルを有するフィルタバイアル装置が提供され、側壁は、バイアルの長手軸線に沿って配置され、直径Dの円柱状内部を画定する。閉鎖された底部は開放された上部およびバイアルの底部へ向けて延出する突起を有し、突起はバイアルの長手軸線の周りに環状凹部を画定し、突起は環状凹部の中心にある。本装置はまた、長手軸線を有する管状プランジャアセンブリを含む。プランジャアセンブリは、側壁によって対向するように連結される上端および下端を備えたプランジャを含み、プランジャ内に流体保持キャビティが画定される。プランジャの下端は、外側環状面および外側環状面から上端へ向けて軸線方向にずらされた内側環状面を有する。内側環状面は、一般に、アセンブリの長手軸線に直交すると共に、凹部側壁によって第1環状面に連結されて、アセンブリの長手軸線を取り囲む凹部が形成される。第2環状面は、プランジャの流体保持キャビティに流体連通する凹部開口を画定する。アセンブリはまた、同心の内側壁および外側壁を備えた環状のキャップを有し、内側壁および外側壁は、プランジャの底部の外側環状面が配置される環状凹部を画定する。キャップの外側壁は、プランジャの底部の外面を覆って延出する一方、キャップの内側壁は、プランジャの端部にある凹部の側壁に隣接して配置される。キャップの内側壁は、バイアルの底部にある突起を嵌合状態で受け入れるように構成される整形キャビティを画定する。整形キャビティは、プランジャの凹部開口に流体連通する上端を有する。また、キャップの外側壁の外面は、プランジャアセンブリがバイアル内に挿入される時に液密シールを形成するとともに、環状のキャップの前記バイアルの底部への移動を可能にするように、直径Dよりも十分に大きい直径を有する。アセンブリはまた、プランジャの内側環状面および環状キャップの内側壁の間に配置されるフィルタを含む。更に、プランジャアセンブリの底部にある環状のキャップは、バイアルの底部において、環状凹部に嵌合するように構成される。
本フィルタバイアル装置の更なる変形例において、プランジャ底部にある環状キャップは、バイアル底部にある環状凹部の寸法および形状に適合し、底部および突起との間に滑り嵌めを形成し、またバイアルの側壁との間に滑り嵌め或いは僅かな締り嵌めを形成する。更に、突起および整形キャビティは共に、実質的に同じ形状および寸法を有すると共に、底部が上部へ向かう部分よりも大きい切頭円錐形状であってよい。また更に、浅いチャネルが任意で、流体をチャネルからフィルタへ移動させるように、バイアルの底部および突起の側部に形成されてよい。また、フィルタバイアルアセンブリは、プランジャの上端において、取り外し可能な端部キャップを有してよく、端部キャップは、プランジャの流体保持キャビティに流体シールを設けるように構成される。また更に、上記フィルタバイアル装置は任意で、キャップの外側壁の上端にキャップフランジを有してよく、キャップフランジは、バイアルの側壁から外向きに延出して、前記キャップの外側壁の外面との間に液密シールを形成する。
本装置はまた、管状のプランジャの外面において、プランジャの下端に隣接して配置される外方対向凹部を含んでよく、キャップフランジは、この外方対向凹部内に配置される。プランジャは、外方対向凹部の下端において、或いは該下端に隣接して、外方に延出するプランジャフランジを有してよい。キャップの外側壁および外方対向凹部は、キャップの外側壁がプランジャフランジを越えて外方対向凹部まで延出するように配置されてよく、フランジの位置におけるキャップの外側壁の外径は、使用時に、バイアルの側壁と流体的に締り嵌めを形成するために、直径Dよりも大きい直径を有する。
フィルタバイアル装置は、有利には、凹部側壁を有し、該側壁は凸状であり、プランジャの長手軸線に向かって湾曲し、環状キャップの内側壁は、凹部側壁の凸状面に入れ子状に整合するように、凹状であると共に、凹部側壁の形状に適合する外面を有する。また、バイアルは有利には、フィルタを通過させられる約10マイクロリットル以下の流体を保持するように構成されてよい。有利には、環状キャップの底部は、バイアルの底に当接し、約10マイクロリットル以下の流体が、フィルタを通りプランジャの流体保持キャビティへ通過させられる。また本装置は、フィルタの上側において、フィルタに当接するフリット又はフィルタ支持体を含んでよい。好適には、環状キャップの内側壁および外側壁の各々は、環状キャップをプランジャの下端で保持するために、プランジャの一部に係合する。
別の実施形態において、バイアル、管状のプランジャおよび環状のキャップを含む長手軸線を有するフィルタバイアル装置を提供する。バイアルは、閉鎖された底部及び開放された上部を備えた円柱壁状のバイアルを含む。バイアルは底部において、バイアルの底部に環状凹部を形成するために、上方へ向けて延出するように中央に配置される突起を有する。プランジャは、バイアル内に延出する中空管状のプランジャを含む。プランジャは軸線方向対向凹部を備えた環状底部を有しており、環状底部は、管状プランジャの内部キャビティに流体連通する凹部開口を画定するように取り囲む環状壁部まで延びている。環状キャップは、プランジャの環状底部に配置される内側壁および外側壁を有し、外側壁はプランジャの外側壁上にある。外側壁は外面を有し、外面の第1部分は、アセンブリの使用時に、第1部分をバイアル壁部に係合させるために十分な距離だけプランジャがバイアル内に前進する際に、バイアルの円柱状壁との間に液密シールを形成する第1シール面を形成するために十分な距離だけ、長手軸線から外方へ延出する。キャップの内側壁は、軸線方向対向凹部に嵌合すると共に、フィルタを凹部の環状壁部で保持し、また環状キャップの内側壁によって形成される整形キャビティに流体連通するようにフィルタを配置するために十分な距離だけ延出する。環状キャップは、バイアルの環状凹部に嵌合し、バイアルの突起は整形キャビティ内に滑り嵌めされる。
フィルタバイアルアセンブリの別の変形例において、第1シール面は、プランジャの下端にフランジを含み、環状キャップの外側壁をバイアルの側壁に接触した状態で外方へ押す。好適には、シール面はプランジャおよび環状キャップの下端に配置される。またアセンブリは、環状キャップの外側壁に、第1シール面の上方に配置される第2シール面を有してよい。有利には、突起は切頭円錐形状であり、キャップの内側壁は、切頭円錐形状の内方対向面を有する。また、プランジャの端部に形成される軸線方向対向凹部は、凸状の側壁を有し、キャップは凸状の側壁と嵌合するように構成される外方対向面を内側壁に有してよい。また更に、バイアルの底部のチャネルは、フィルタバイアルアセンブリの使用時に、流体を容器底部からフィルタへ向けて移動させるために、突起の表面にあるチャネルに流体連通するように配置されてよい。
また、様々なバイアルと共に使用される流体濾過用管状プランジャアセンブリを提供する。管状プランジャは、少なくとも1個の開放された底部を有し、プランジャ内には、流体保持キャビティが設けられる。プランジャは内側環状面および外側環状面を備える下端を有し、内側環状面および外側環状面は、プランジャの長手軸線を取り囲むとともに、長手軸線に対して直交し、プランジャの下端にプランジャ凹部を画定するように、長手軸線を取り囲むとともに、長手軸線に対向する凹部側壁によって、その軸線に沿って所定距離だけ離間する。内側環状面は凹部への開口を取り囲み画定し、開口はプランジャの流体保持キャビティに流体連通する。プランジャアセンブリは、キャップ底部を有する環状のキャップを備え、キャップ底部から同心状の内側壁および外側壁が延び、キャップはプランジャの下端を覆うように嵌合する。外側壁は、プランジャの下端の外面を覆うように嵌合する。内側壁および外側壁は、内側壁および外側壁の間に外側環状面を受け入れる。内側壁は、プランジャ凹部の側壁に当接する外面を有する。内側壁の内面は、開口と凹部とを流体連通させる整形キャビティを画定する。内側壁は上端を有する。フィルタは、内側壁の上端および内側環状面の間に挟持される。
別の変形例において、管状のプランジャアセンブリは、環状のキャップの外側壁の外面の一部を、環状のキャップの底部或いは該底部の近傍に有し、プランジャアセンブリの使用の間に、キャップがバイアルに挿入された時に、フィルタバイアルに液密シールをもたらす第1シール面を形成するために十分な距離だけ外方に延出する。第1シール面は有利には、プランジャの端部上においてフランジによって形成され、キャップの側壁の一部を外方へ押す。プランジャアセンブリはまた、フィルタおよび第1環状面の間に配置されるフリット又は支持体を含んでよい。また、アセンブリは長手軸線に沿って対向し、かつ長手軸線を取り囲むと共に、第1環状面および第2環状面の少なくとも一方に形成されるシール面を有してよい。更に、凹部側壁は凸状湾曲形状を有してよく、その場合には、キャップ内側壁の外面は好適には、嵌り合い凹形状を有する。整形キャビティは好適には、切頭円錐形状である。有利には、管状プランジャは、第2環状面の位置において厚みがより大きい側壁を有する。好適には、プランジャアセンブリは、プランジャの上端において液密シールを解放可能に形成するように構成される取り外し可能なクロージャを有する。
また、上述のプランジャアセンブリ並びにフィルタバイアルのいずれかを含むフィルタバイアルキットを提供する。フィルタバイアルは、開放された上部および閉鎖された底部を有し、底部の中心に突起を備えてよい。突起は、長手軸線に沿って測定される環状キャップの内側壁の高さと略同じ距離だけ上部へ向けて延出する。突起の形状は、キャップの整形キャビティに適合する。フィルタバイアルはまた、第1シール面との間に液密シールを形成するように、プランジャの底部において、キャップの外側壁の少なくとも一部の外径より僅かに小さい内径を有してよい。
別の変形例において、フィルタバイアルキットは、取り外し可能なキャップを有し、約30マイクロリットル未満の容積を有していてよい。また、バイアルの内側底部および突起は、キャップの底部および整形凹部の外形に適合するように構成されてよい。有利には、フィルタバイアルの底部は任意で、内部に形成される浅いチャネルを有してよく、このチャネルは、突起表面の浅いチャネルに流体連通する。チャネルは、使用時に、突起の上部へ流体を移動させるように配向される。
プランジャと、フィルタと、環状キャップとバイアルを含む別のフィルタバイアルキットも提供される。プランジャは上端および下端を有し、プランジャの下端に開口を備える中空管状のプランジャを含む。フィルタは、プランジャの下端の開口を横切って延在する。環状のキャップは、プランジャの下端に固定される。キャップの外側壁は、プランジャの下端の外面に沿って延在し、外側壁の一部は、第1シール面を形成するように、予め定められた距離だけ外方に延出する。環状キャップは、内側壁を有し、プランジャの下端の開口に流体連通する整形キャビティを形成する。バイアルは、開放された上部および閉鎖された底部を有し、底部は、バイアルの上部へ向けて延出する中心突起を有する。バイアルはまた、円柱状側壁を有し、バイアルおよび環状キャップの間に液密シールを形成するために、予め定められた直径よりも十分に小さい直径を備える。環状キャップの底部および整形凹部は、バイアル内の流体が整形キャビティおよびフィルタを通過するように、バイアル底部および突起の形状に連結するように構成される。
本フィルタバイアルキットの別の変形例において、バイアルの底部は、突起の表面の浅いチャネルに流体連通する浅いチャネルを有し、環状のキャップがバイアルの底部およびその突起と滑り嵌めされた時に、流体がチャネルを通りフィルタへ向かう。また、キャップの内側壁は、フィルタを所定位置に保持するために、フィルタをプランジャの一部に接触するように押してよい。好適には、整形キャビティは切頭円錐形状であり、突起は、突起の上部へ流体を移動させるために、突起の表面に浅いチャネルを備えた結合円錐形状を有する。
改良型フィルタバイアルも提供する。改良型バイアルは、開放された上部および閉鎖された底部を有するプラスチック製のフィルタバイアルを含み、上部および底部は、円柱状の側壁によって連結される。底部は、バイアルの長手軸線に沿って上部へ向けて、僅かな距離だけ延出する突起を有する。フィルタバイアルは、約30マイクロリットル以下の容積と、約1.27ミリメートル(0.050インチ)以下の厚みの側壁を有する。任意で、突起は切頭円錐形状であると共に、約0.5センチメートル(0.2インチ)未満の距離を延出する。任意で、バイアルの底部は、前記突起の外面の浅いチャネルに流体連通する浅いチャネルを有し、流体を該チャネルから前記突起の上部へ向けて移動させるように配向される。チャネルは好適には、放射状に配向される。
本明細書に開示される様々な実施形態の以下の特徴およびその他の特徴は、以下の説明および図面を参照することでより良好に理解される。図面全てにおいて、同じ符号は同じ部品を指す。
底部に突起または隆起を有するフィルタバイアルの側面図。
図1Aのフィルタバイアルの上面図。
図1Aのフィルタバイアルを示す図1Bにおける1C−1C線に沿った断面図。
図1Aのフィルタバイアルと併せて用いられるプランジャの側面図。
図2Aのプランジャを示す2B−2B線に沿った断面図。
図2Bにおける2C線によって囲まれる部分の断面図。
図2Aのプランジャと併せて用いられるキャップの側面図。
図3Cにおける3B−3B線に沿った断面図。
図3Aのキャップの上面図。
図2Aのプランジャ上にある図3Aのキャップの側面図。
図4Aの4B−4B線に沿った断面図。
図4Bの下端の拡大断面図。
バイアル内で流体を濾過する前に図1Aのバイアルに挿入された図3Aのキャップを備える図2Aのプランジャを示す断面図。
プランジャにより流体をプランジャ内へ移動させている状態の図5Aのプランジャの断面図。
プランジャがバイアル底部およびプランジャ内の濾過された流体の全てに当接する状態の図5Aのプランジャの断面図。
切頭円錐状突起を有する図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分斜視図。
図6Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
4面断面形状の突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分斜視図。
図7Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
3面断面形状を備えた突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分断面図。
図8Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
4面断面形状を備えたバイアルにある4面断面形状の突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態の部分斜視図。
図9Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
3面断面形状を備えた突起を示す図1A及び1Bのバイアルの別の実施形態を示す部分斜視図。
図10Aの環状空間および突起に整合する整形凹部を有するキャップの底面図。
プランジャ下側部分、フィルタ、フィルタ支持体またはフリット、およびキャップの分解断面図。
図1A〜1Cおよび図5A〜5Cを参照して簡潔に説明すると、管状フィルタバイアル10は閉鎖底部12を有し、底部の中央に配置される隆起即ち突起14を備える。突起14はバイアルの円柱状壁部16により形成されるキャビティ内へ延出し、バイアルの突起14および壁部16の間に環状の空間を形成する。浅いチャネル15が底部12および突起14の側面に形成される。流体試料がバイアル10内に配置される時に、流体は突起14を囲む。管状プランジャ18は第1外側環状下端20を有し、第1外側環状下端20を覆って環状キャップ50が嵌合し、環状キャップ50の下部は、突起14を囲む環状の空間を充填すると共に突起14に滑り嵌めするような形状を有して、バイアル10内および突起14を囲む環状の空間内の全ての流体を、プランジャ底部のフィルタ70を介して管状プランジャ18の内部へ移動させ、濾過された流体は、そこで更なる利用のために取り出されてよい。底部12および突起14の側面の浅いチャネル15は、残留流体を、バイアルからフィルタ70を通りプランジャ18に向かって移動させる。プランジャ18の環状下端20は好適には、プランジャの長手軸線27に対して直交するが、下端20は多様な形状を有してよく、平坦な環状面である必要はない。プランジャ上端22にある取り外し可能な端部キャップ23(図5A〜5C)は、濾過された流体のための閉鎖容器を提供する。端部キャップ23は管状プランジャ内の流体を取り出すために取り外されるか、濾過された流体を取り出すために、膜25を通って針が挿入される。端部キャップ23は種々の形態を有してよく、また、ねじ24などの様々な方法でプランジャ18の上端22に取り付けられてよい。
上部および底部、或いは上側および下側の相対的な方向は、図1A、図2Aおよび図3Aを鉛直方向に置いた時の部品に対するものである。これは、バイアルおよびプランジャが鉛直方向に沿って使用位置に保持される時に、上部が地面から離間する方向を向き、底部が地面へ接近する方向を向くことを意味する。従って、相対的な方向は、人間の直立方向に対応する。同様に、上下、或いは上側および下側、或いは上方および下方は、バイアルが鉛直方向に向けられた状態で直立する人間の相対位置を示す。内側または内方の相対方向は、以下に説明する様々な部品に共通する長手軸線27に接近する方向を示す。外側または外方の相対方向は、共通の長手軸線27から離間する方向を示す。また、本明細書で使用される滑り嵌めは、手動で位置決めされる時に、部品が嵌まり合うことを可能にする極めて密接した嵌合のことであって、締り嵌めではない。滑り嵌め部品の間の空間は、ゼロから約0.1ミリメートル以下(数千分の1インチ以下)の間で変化してよい。
図2A〜図2Cを参照すると、管状プランジャ18は、下端20および上端22をそれぞれ有し、円形断面を有する。ねじ24は任意で、上端22の近傍のプランジャ外面に配置されてよく、ねじは、好適には液密シールを形成することにより、プランジャの上端を閉鎖するために、ねじ込みクロージャ23(図5A)に連結されるように構成されてよい。クロージャ23は弾性の膜25を有してよく、プランジャ18内の濾過された流体の一部を抜き取るために、この膜25を通って針が挿入され得る。上側フランジ26が、プランジャ18の外面からプランジャの上端22へ向けて外方へ延出する。上側フランジ26は様々な断面形状を有してよく、好ましくは三角形の断面形状を有する。三角形の断面形状は、上側フランジ26をバイアル10へ挿入することを容易にするように傾斜しており、それにより、フランジがバイアル内壁16を密封する一方、プランジャのバイアルからの取り外しが制限される。従って、フランジ26は、プランジャ18の外面から外方へ延出し、好適にはプランジャ18の長手軸線27から半径方向に延出する一側面を有する一方、別の側面は、長手軸線27をフランジ26およびプランジャ下端20の間において長手軸線27に交差するように傾斜している。通気孔29がプランジャ18の壁部を貫通してよく、通気孔29は、フランジ26および下端20の間において、有利にはフランジ26の近傍に配置される。通気孔は、プランジャ18の予期される流体高さよりもかなり上方に配置されるべきである。
プランジャ18の管状流体保持キャビティは、好適には上端22から延びる円柱状部28を有し、円柱状部28は、下端20からプランジャの長さの約1/4の長さだけ離間した位置から延びる狭小部30を備える。狭小部30は任意であるが、切頭円錐面を形成する傾斜壁を有することが好ましい。狭小部30の下端は、プランジャ18の下端に形成される拡大プランジャ凹部32に開口している。プランジャ凹部32は概して円柱形状であり、プランジャ18の下部に段差を形成する。この段差は、図11に示すように、段差において、直径が大きく変化するものであっても、緩やかに変化するものであってもよい。プランジャの環状端部20はプランジャ凹部32および軸線27を包囲しており、プランジャ凹部32は軸線27に対向するとともに軸線27に沿って延びる。プランジャ凹部32は、底面20からプランジャ上部へ向けて僅かな距離だけ延出し、環状壁部34まで延びており、環状壁部34は概ねプランジャの長手軸線27に対して直交すると共に、流体保持キャビティ30の下端を取り囲む。プランジャの環状端部20は、概ねプランジャ18の外縁に整合するか近接する外側環状面として示され、環状壁部34は、第1環状面20からプランジャの上端22へ向けて内方に且つ横方向にずらして配置される。側壁36は軸線27に対向するように軸線27を取り囲んでおり、且つ、環状面20の内縁を環状面34の外縁に連結する。第1外側環状面20は、管状プランジャ16の壁部によって形成される管状突部の端上にあるが、第2内側環状面34は第1外側環状面20からずらされ、流体保持キャビティ28,30への下部開口を画定する。
プランジャ凹部32は、以下に説明するように、プランジャ凹部32に配置され得る連結部品とのシールを容易にするような平行、傾斜、湾曲、或いは他の形状であってよい。側壁36は僅かに湾曲していることが好ましく、側壁は凸状に形成されることにより、側壁の中央が側壁36の端部よりも、長手軸線27に接近するように延出する。従って、プランジャ凹部32はその上部および底部において最大の直径D1を有し、上部および底部の間で最小の直径D2を有する。図2A〜図2Cに示すように、環状面即ち壁部34はプランジャ端部20の上方にあるため、環状壁部34は、プランジャ凹部32の上壁34とも称する。側壁36の凸形状は、以下に説明するように、環状キャップ50をプランジャ18の環状底部上で保持することを容易にする。
有利には、任意で軸線27に沿って、プランジャ18の底部の方向に延出する凹部シール部材35(図2C)が環状上側壁部34に形成されてもよい。好ましくは、三角形断面を有するシールが、傾斜した流体保持キャビティ30および上壁34が交差する縁に設けられる。
端部シール部材38が、任意で環状端面20上に形成される。端部シール部材38はプランジャ凹部32を包囲すると共に、軸線27を中心として配置される。三角形断面を備えた端部シール部材38が好ましく、シールは軸線27の方向に沿って延び、プランジャ下端20から離れるほど軸線27に接近するように延出する。有利には、端部シール部材38は、環状端面20のほぼ中央において、プランジャ凹部32およびプランジャ端部20の外周の略中間に形成される。図2Cによく示されるように、端面20に隣接するプランジャの外面は任意で、軸線27に沿って上方に僅かな距離だけ延びる円柱形状であってよい。対照的に、プランジャの端面20の内面は、好適には上述したように湾曲している。
環状溝40は好適には、下端20に隣接すると共に、プランジャ18の外面に、プランジャの端部を包囲するように形成される。溝40は、直交端を備え、軸線27に対して概ね平行且つ同心状の平坦底部を有してよい。溝40の幅は軸線27に沿って僅かな距離だけ延出し、その距離は、以下に説明するキャップの形態に少なくとも部分的に対応している。溝40の下縁および端部20の間のプランジャ18の外側面は概ね傾斜しており、プランジャの下部にプランジャフランジ42を形成する。好適には、プランジャフランジ42は傾斜しているため、端部20の下方において、軸線27と交差する。また、プランジャフランジ42の最大直径は、好適には、プランジャ18の円柱の直径と同じである。図2によく示されるように、プランジャフランジ42は好適には、軸線27に沿って、プランジャ凹部32の下方まで延び、溝40は、プランジャ凹部32の上部まで延びている。
図2Bおよび2Cを参照すると、管状プランジャ18の下端は外側壁を有し、その上にプランジャフランジ42が配置されており、プランジャフランジ42は、プランジャ凹部32の内壁36と半径方向において対向する。以下に説明するように、プランジャ18の下端において対向するこれらの面の各々は、プランジャ下端を覆うように嵌合される環状キャップ50の結合面を封止する。
図2〜4を参照すると、環状キャップ50は、締り嵌めによりプランジャフランジ42を覆うように押し付けられる一方で、キャップをプランジャ18の端部で保持することを容易にするために、プランジャ凹部32の側壁36に嵌合するように形状および寸法が定められる。環状キャップ50は、底部56によって下端で連結される概ね円柱状の管状外側壁52と、概ね円柱状の管状内側壁54とを有する。キャップの外側壁52は、その自由端において、外側延出フランジ58を有する。内側壁54は、その自由端において、外側延出フランジ60を有する。外側壁52は概して厚みが均一であると共に、内側壁54よりも高く、好適には、内側壁54を越えて配置される外側壁フランジ58を有する。
側壁52,54は、同心であると共に、側壁52,54の間に外側環状面20と、環状面20が形成されたプランジャ側壁の一部とを受入れるために、所定距離だけ間隔があけられている。有利には、キャップの側壁52,54は、環状面20が形成された管状プランジャ側壁の形状に適合している。従って、内側壁54および外側壁52は同心に延びており、環状壁部はキャップ50の上側面上で底部56により所定距離だけ離間しており、キャップ50の下側にて底部56より大きな底部57を備える。環状キャップ50の上方の対向側面上の底部56は、キャップ側壁52,54の対向する部分の間に延出する環状面を形成すると共に、内側壁54の外部から外側壁52の内部まで延出する半径方向に沿った幅を有する。環状キャップ50の下方の対向側面上の底部57は、側壁52,54の間に同様に延在する環状面を形成しているが、内側壁54の内部から外側壁52の外部へ延出する半径方向に沿った幅を有する。
内側壁54は湾曲した外面62(図3B)を有しており、曲率はプランジャ凹部32の側壁36の曲率に適合するように選択されるため、側壁54および62は入れ子状態で連結される。この結合湾曲形状は、キャップ50をプランジャ18の端部で保持するだけでなく、液密シールを形成するために、内側壁54がフィルタ70を内側環状壁34に押圧することを保証する。従って、使用に際して、内側環状側壁54の外面62は、プランジャ18の端部にあるプランジャ凹部32の側壁36に当接し、側壁54,36は液密シールを形成する。
内側壁54は、滑り嵌めにより、また任意で僅かな締り嵌めにより、突起14(図1C)に嵌合するように整形される内面64(図3B)を有する。好適には、内面64は任意で円錐面(切頭円錐状)のセグメントであり、この面は、側壁54,58の端部の上方で、長手軸線27に交差するように傾斜している。従って、キャップの内側壁54は、長手軸線27を中心とする整形キャビティ66を形成する。有利には、キャップの内側壁54は、環状キャップ50の下端へ向けて外方に傾斜しており、好適には、内側壁54の内部で、全長に沿って外方に傾斜する。有利には、キャップ内側壁54の上部68(図3B)は、砂時計形状の断面を形成するように、プランジャ凹部32(図4C)の内側環状壁部34の内部にある円形開口と同じ円形開口を形成し、砂時計の狭小部分にフィルタ70を備える。内側壁54の上端は、使用時にフィルタ70に当接する環状面68を形成すると共に、フィルタをプランジャ18の内側環状面34に押し付ける。
図2〜4および図11、特に図2C、3B、4A〜4Cを参照すると、プランジャアセンブリ69の形成工程が説明されており、キャップ50は、フィルタ70また任意でフリット又は支持体72を所定位置で保持するために、プランジャ18上に配置される。外側壁52は、プランジャ18のプランジャフランジ42の最大直径よりも僅かに小さい直径を備えた内面を有することにより、環状キャップ50の上端がプランジャ18の下端を覆うように押し付けられる時に、締り嵌めが形成される。キャップの外側壁52は、プランジャフランジ42の位置において僅かに外方へ隆起するために十分な可撓性を備えており、側壁52の上部は、プランジャ下端の溝40に嵌合する。プランジャフランジ42は有利には、環状キャップ50の外側壁52との間に液密シールを形成する。使用時に、プランジャフランジ42は好適には、プランジャフランジ42をキャップ50に容易に嵌合させ、かつ部品が係合した後にフランジからキャップが外れることを防止するように傾斜して構成される。
プランジャフランジ42が環状キャップ50の外側壁52を密封するため、環状キャップの内側壁54の外面は、管状プランジャ18の端部にあるプランジャ凹部32の内方対向面36即ち側壁36を密封する。キャップ50の外側壁52にあるフランジ即ちリブ58は、プランジャの溝40に嵌合する。フランジ58は、外側壁52の相対移動を制限するために、溝40の上側面に当接してもよい。溝40内のフランジ58はまた、プランジャからのキャップ50の取り外しを阻止する。
同様に、内側壁54は、プランジャ18を封止すると共に、キャップのプランジャからの取り外しを妨げる。図示する実施形態において、側壁36は軸線27に向けて凸状であり、内側壁54の外面は、凸状の側壁36に嵌合するように湾曲している(凹状である)。キャップの内側壁54は、液密シールを形成すると共に、部品を共に保持するために、プランジャ側壁36に係合する。面36および内側壁54に、他の嵌め合せ形状が用いられてもよい。
好適には、環状キャップ50の底部56は、プランジャ18の環状底部20を受入れるように寸法が定められており、任意の端部シール部材38は底部56(図4C)に当接する。従って、環状キャップ50は、プランジャ18の下端にあるプランジャフランジ42を覆うように押し付けられ、プランジャフランジ42は、キャップを所定位置に保持するために、スナップ式の係止部を形成し、キャップはプランジャ下端と共に液密シールを形成する。また、環状キャップ50は、プランジャの下端においてプランジャ18の外面を密封し、また有利には、プランジャからキャップが外れることを防止する外側壁52を有する。環状キャップ50はまた、プランジャの下端において、プランジャの内面(側壁36)を密封し、また有利には、プランジャからキャップが外れることを防止する内側壁を有する。環状キャップ50は流体通路66を画定し、キャップ50は、傾斜を有する流体保持キャビティ30の下端の開口に流体連通する。
有利には、キャップの内側壁54は、突起14(図1C)の高さに対応する高さhを有し、この高さで、好適には、側壁54の上側環状端部68(図3B)はプランジャ凹部32の上壁34およびフィルタ70の近傍に或いは当接するように配置されるが、傾斜を有する流体保持キャビティ30(図4B,4C)の下部は、整形キャビティ66の上端に軸線27に沿って整合する。図4Bおよび4Cを参照すると、キャップの内側壁54は好適には、上端68およびプランジャ凹部32の上壁34の間に僅かな間隙を有する。フィルタ70と、また好適には任意でフリット又は支持体72とは、その僅かな間隙に配置される。フィルタは好適にはフリット又は支持体72の下方にあり、それにより、フリット又は支持体72は、整形キャビティ66から流体保持キャビティ30への上向きの流体圧力に抗してフィルタを支持できる。フィルタ70の外縁およびフリット又は支持体72は、プランジャ凹部32の上壁34(図2C)および内側壁54の上端68の間に挟持される。図11に部分的に示すように、任意の数のフィルタ70またはフリット又は支持体72が、様々に配置される。フィルタ70およびフリット又は支持体72の数ならびに配置は、特定の用途および構成に応じて変更でき、フィルタおよびフリットまたは支持体の形状も同様に変更可能である。特に、1つ以上のフィルタ70が、フリット又は支持体72の上流側または下流側に配置されてよく、フィルタはフリット又は支持体72から分離されるか、取り付けられてよい。また、凹部34の側壁36は湾曲しているため、フィルタ70と、フリット又は支持体72とは、上壁34(図2C)のすぐ近傍の側壁36(図2C)の大きな直径部分の近傍に配置されるために十分な大きさの直径を有し、側壁の湾曲により、フィルタとフリット又は支持体との少なくとも一方は所定位置に一時的に保持される。更に、シール70および任意のフリットまたは支持体72の直径は好適には、プランジャの端部にあるキャビティ32の上壁34上において、シール部材35を越えて延出するために十分に大きい。シール部材35は、上壁34およびキャップ内側壁54の端部68およびその間にあるフィルタまたはフリット又は支持体の間を液密に密封することを容易にする。
フィルタ70は好適には、任意でテフロン(登録商標)、ナイロン、ガラス繊維、または他のフィルタ材料、例えばPVDF(ポリフッ化ビニリデン)またはPES(ポリエチレンスルフォン)などから製造される。支持体又はフリット72は好適には、プランジャ18またはキャップ50と同じプラスチックから製造されるが、多孔性であれば流体の流動が可能である。フリット72は、テフロンまたはガラスメッシュから製造されてよい。フィルタ70およびフリット又は支持体72の両方が、そこを通過する容積がマイクロリットル単位で測定される場合には極めて薄くてよい。キャップ50の内側壁54とプランジャ18にある凹部34の上壁との間の間隔は、支持体72を破損することなく、使用時に流体がフィルタ70を通過するために十分な力で、これらの薄い部品(フィルタ、フリット又は支持体の少なくともいずれか)を所定位置に保持するように選択される。従って、内側壁54およびプランジャ18は、フィルタ70とフリット又は支持体72との少なくともいずれか一方を所定位置で挟持する。使用時に、フィルタがそれ自体で、流動する流体に安全に耐え得るために十分な強度がある場合、フリット又は支持体72を省略してもよい。そうでない場合、適当な厚みおよび硬さのフリット又は支持体72が設けられる。プランジャ18と、より厚いプランジャ側壁との少なくとも一方は、環状キャップ50より硬い材料から製造することができるため、あるいはプランジャ18の下端の形状は、キャップ50の位置において軸線27に沿って、プランジャ18をより硬くするため、全ての応用例において支持体又はフリット72が必要とされないフィルタ70を内側壁54および上壁34の間に挟持するように、キャップ50およびその内側壁54は、プランジャ18に対して十分に密接に押し付けらることが可能である。従って、プランジャアセンブリ69は有利には、環状キャップ50およびプランジャ18の下端の間に配置されるフィルタ70およびフリット又は支持体72の両方ともを有するが、フリット又は支持体72を省略してもよい。
図4Cに反映されているように、環状キャップ50が管状プランジャ18の下端にスナップ留めされて、プランジャアセンブリ69を形成する時には、湾曲側壁36および側壁36上の内側壁54の対向部分は、好適には締り嵌めされない。また、傾斜した流体保持キャビティ30の下端に隣接するプランジャ18の下端は、プランジャの上部より厚みが大きく、従ってより硬いため、補強されたプランジャ端部がもたらされる。プランジャ18の下端にある傾斜した流体保持キャビティ30は、環状キャップ50にある整形キャビティ66の開口に整合する。傾斜部が設けられた流体保持キャビティ30の直径は、好適には、使用者が整形キャビティ66へ向けて移動するにつれて、長手軸線27に沿って狭くなり、またキャビティ66は、使用者が流体保持キャビティ30に向けて移動するにつれて、長手軸線に沿って流体保持キャビティ30へ向けて狭くなるため、概ね砂時計形状を形成し、即ちベンチュリ管形状を形成する。図4Aおよび4Bに示すように、結果的に得られるプランジャアセンブリ69は、キャップ50の端部のフランジ58およびプランジャフランジ42の少なくとも一方の位置に隣接して外方に延出する突起を除き、概ね均一な外径を有する下部を備える。
図1C、4B、4C、5A、5B、5Cを参照すると、図4のプランジャアセンブリは、バイアル10の開放端部80に配置される。開放端部80は有利には、プランジャアセンブリ69の下端をバイアル10に対して整合および挿入することをより容易にするために、内方および下方に傾斜が設けられた開口を有する。有利には、リブ82が任意でバイアルの上端の周りに延出して、バイアルの開口周りを補強する。バイアル10の側壁16の内径は、環状キャップ50の下端の直径に相当するか、或いはそれより僅かに大きい。しかし、バイアル側壁16の内径は、キャップフランジ58の位置、好適には、プランジャフランジ42の位置におけるプランジャアセンブリの直径よりも小さく、プランジャアセンブリ69の両位置において締り嵌めが形成される。バイアル10内におけるリブ58およびプランジャフランジ42の位置での約0.1mm(数千分の1インチ以下)の締り嵌めは、濾過される液体の容量がマイクロリットル程度である場合に適切であり得るが、締り嵌めの量は選択される材料に応じて変更される。
好適には、キャップ外側壁54がフランジ42(図2A、4A)に押し付けられるにつれて、側壁54は、環状キャップ50およびバイアル10の側壁16の間に一次シールを形成するために十分な距離だけ僅かに外方へ隆起する。この一次シールは、バイアル10内の流体がこの一次シールを通過しないように、十分な締り嵌めを形成する。二次シールは、バイアル側壁16の内部に押し付けられるリブ58によって形成される締り嵌めによってもたらされる。有利には、プランジャフランジ42および外側壁52上のキャップリブ58によって設けられるシールの間の領域に、流体は流入しない。バイアル10内の流体は、プランジャフランジ42によって、キャップ側壁52を外方へ押してバイアル側壁16の内部に当接させるように形成される流体シールを通過しないため、プランジャ18およびバイアル底部12が互いに向けて移動されるにつれて、流体はプランジャ18内へ流れる。バイアル側壁16の内面は、好適には、部品をより容易に成形することを可能にすると共に、プランジャフランジ42および環状キャップ50上の外方延出リブ58によってもたらされる一次および二次シールの間の僅かな締り嵌めの量を増加させるように、僅かに傾斜している。バイアルの高さが約25mm(1インチ)である場合に、バイアルの高さ全体に対して、約0.1mm以下(数千分の1インチ以下)の僅かな傾斜が適切であり得る。
プランジャアセンブリ69がバイアルの底部12へ向けて移動するにつれて、プランジャアセンブリ69の端部にある環状キャップ50内の整形キャビティ66は、バイアル底部12において突起14に整合し、嵌合する。突起は好適には切頭円錐形状であるが、図6〜10に示すと共に以下に説明するように、他の形態が用いられてもよい。より重要な点は、突起14の形状が、整形キャビティ66に滑り嵌めするように構成されることにある。プランジャアセンブリ69およびバイアル側壁16の間にシールが形成されるため、プランジャアセンブリ69が軸線27に沿ってバイアルの底部12へ向けて前進するにつれて、流体はバイアル底部12へ向けて押し付けられ、整形キャビティ66およびフィルタ70を通り、キャビティ30,28によって示されるプランジャ18の本体内へ移動される。
更に図5Bおよび図1Cを参照すると、プランジャアセンブリ69の下端が突起14の上部に到達して通過すると、バイアル10内の残りの流体は、流体がフィルタ70を介して流体保持キャビティ30および28の少なくとも一方へ流動するように、突起14の傾斜側面および整形キャビティ66の結合側面の間を流動させられる。更に図5Cおよび図1Cを参照すると、プランジャアセンブリ69の下端がバイアル10の底部12に当接する時に、バイアル底部12および突起14に沿った流体の殆ど全て或いは全てがフィルタ70を通過させられ、突起14の上部は好適にはフィルタ70に当接し、また理想的にはフィルタ70を僅かに押すが、フィルタおよび任意のフリット又は支持体72を破損することはない。バイアル底部12のチャネル15および突起14の側面は、バイアル内の流体がフィルタ70を通過するのを可能にする流路を形成する。キャップの外側壁52がバイアル側壁16を密封すると、流体はバイアルの底部12へ向けて押され、また、キャップの底部57がバイアル底部12に押し付けられると、捕らえられた流体は浅いチャネル15へ向けて押し付けられ、且つフィルタ70を通って移動される。実際のところ、プランジャアセンブリ69がバイアル底部12へ押し付けられるとき、環状キャップ50の底部57は浅いチャネル15に僅かに押し入れられて、突起14の上部がフィルタに当接すると、捕らえられた流体をチャネル15およびフィルタ70を通過させるために十分な圧力をもたらす。約0.1mm以下(数千分の1インチ以下)の深さおよび同程度の幅のチャネルが適当であり得る。4〜8個のチャネルが適当であり得るが、チャネル15の数および寸法は、バイアル10の特定の構成および寸法に応じて変更される。
従って、プランジャ18の下端にあるキャップ50は、キャップの外側壁52の外面およびキャップの内側壁54の内面によって形成される環状雄突起を形成し、整形凹部66を雄突起の中心に備える。環状雄突起はキャップ50の底部57および側壁52,54によって有効に形成されて、プランジャ18の下端に固定される。相補的な形状に整形された環状雌凹部が、バイアルの側壁16、底部12および突起14によって形成される。同様に、バイアルの雄突起14は、整形キャビティ66の雌凹部に連結されるように整形される。雄突起および雌凹部は嵌合し、それらの間で流体を圧迫して、流体を中心突起14へ向けて管状プランジャ本体および流体保持キャビティ30、28の少なくとも一方に移動させる。一方で(環状キャップの底部の形状によってもたらされる)プランジャ端部、また他方でバイアルの環状凹部の結合環状形状は、バイアルの底部における無効容積(Dead volume)を最小化する手段を提供し、整形突起14および対応する整形凹部66は、フィルタ70を介して流体をプランジャ18の本体へ向けて移動させ、バイアル底部12のチャネル15および突起14の側面は、流体のうちの捕らえられたわずかな部分がチャネルおよびフィルタ70を通り突起14に衝突することを可能にする。図1〜5に示す実施形態において、環状空間は円形であるが、突起14および凹部66の結合形状は円形でなくてもよいため、環状空間は円柱状である必要はなく、また、バイアル側壁16およびプランジャ18の形状は円柱状である必要はなく、円または楕円などの連続湾曲を備えた形状、或いは三角形、四角形または多角形を含む直線状側面を備えた形状を含み、任意の管状形状であってよい。従って、本明細書で使用される「環状」という用語は、同心円を有する形状または容積に限定されるものではなく、円以外の形状を含む。例えば、図7及び8は、円柱状バイアル10の中ではあるが、三角形および四角形の断面形状を備えた突起14をそれぞれ示しており、一方、図9及び10は、三角形および四角形の断面形状を備え、同じ数の側面を有するバイアル10に入れられた突起をそれぞれ示す。これらの突起14を囲むと共にバイアル側壁16によって囲まれた空間も、本明細書において「環状」の空間と称される。本明細書で用いられる空間は、バイアル側壁16が図9及び10のように断面が非円形であり、また例えば、円または楕円、或いは好適には任意で丸みが付けられた角部によって接合される3個、4個またはそれより多くの側面を含む直線状側面を有する形状など、連続した曲線で示される断面形状を有する場合に環状であるとされる。図7〜10に示すように、キャップ50の整形キャビティ66は、滑り嵌めを形成するために、突起の形状と一致する。突起14が複数の側面を有する形態では、角部は好適には丸みが付けられるが、図示するように尖っていてもよく、整形キャビティ66の角部は好適には、滑り嵌めを形成するために、突起の角部に一致している。
また、バイアル雄突起14およびキャップ内側面54の外方傾斜面は、プランジャ18と協働して、キャップ50の側壁52および底部57をバイアルの側壁16および底部12の各々に押し付けて変形させる手段として作用し、プランジャがバイアル底部12へ向けて移動するにつれて、プランジャアセンブリ69およびバイアル側壁16および底部12の間に保持される流体を減少させる。バイアル側壁、プランジャフランジ42および隆起キャップ側壁52の間の一次シールは、プランジャ18が一次シールをバイアル底部12へ向けて押すにつれて、バイアル10内の流体をバイアル底部12へ向けて下方に押す締り嵌めであり、捕らえられた流体は、環状キャップ50、チャネル15および突起14の結合面によって、フィルタ70を通過するように移動される。環状キャップ50の底部57および内側壁54が、バイアル底部12および突起14に対して滑り嵌めを形成するように接近すると、残りの流体はチャネル15およびフィルタ70を通り、プランジャキャビティ即ちキャビティ28,30に押し入れられる。
好適には、突起14および内側壁54の両方が、軸線27から外方へ傾斜する下部を有する必要があり得る。しかし好適ではあるが、突起14および環状キャップ50の結合側壁54の外方傾斜が、キャップの外側壁52を、バイアル側壁16に対して外方へ向けて且つバイアルの角部へ向けて変形させることを促進し、それによりバイアルの側壁16は底部12に連結され、残りの流体を浅いチャネル15およびフィルタ17を通るように移動させる。
プランジャ18およびキャップ50の下方への移動は、バイアル底部12に当接するキャップ底部57によって制限される。プランジャアセンブリ69上のキャップ底部57が突起14の上部へ到達した時に、或いはその直前に、プランジャの上側フランジ26は壁16に当接し、有利には、更なる液密シールを形成する。上側フランジ26は、プランジャ18上に配置されており、プランジャアセンブリ69上のキャップ底部57が突起14の上部に近接する時に、側壁16に係合する。また、フランジ26の直径は、適切なシールを形成するように、壁16の直径に応じて選択される。上側フランジおよびバイアル側壁16の係合により、プランジャ18がバイアルに押し入れられる時に、プランジャ18は安定すると共に、キャップ57の底部はバイアル底部12に整合する。任意の充填ライン84が、フィルタバイアル10の外面に設けられ、バイアルで使用するための好適な流体の高さを指示するようにしてもよい。所望であれば、「充填ライン」のような印刷表示86が充填ライン84の近くに設けられて、ラインの目的をより明確に特定するようにしてもよい。
従って、有利には環状キャップ50には内側壁54および外側壁52がそれぞれ設けられる。内側壁は好適には、側壁の底部において、外方に傾斜或いは湾曲する。環状キャップ50は好適には、弾性材料、好適には圧縮不可能な材料から成形される。環状キャップ50および傾斜側面は、バイアル10の底部12において外方傾斜壁を有する突起14と協働して、流体を側壁から離間させ、且つバイアル底部12へ向けて押しつけるために、環状キャップ50の外側壁52をバイアル側壁16へ向けて押し、それにより、流体はキャップの内側壁54を越え、貫通フィルタ17を通り、管状プランジャ18のキャビティ30および28の少なくともいずれか一方まで上方へ押される。
プランジャ18、環状キャップ50およびバイアル10は好適には、適当なプラスチック、好適にはバイアル10内に入れられた試料を汚染させることがない材料から成形される。流体試料は一般的な化学的または生物学的試料であるが、分離可能な任意の流体が使用されてよい。バイアルおよび環状キャップは好適には、ポリオレフィン、好適にはポリプロピレン、またはバイアル10によって分離させられる対象流体と反応しない他の適当な重合体から製造される。プランジャ18は有利には、キャップ50よりも堅い材料或いは厚い材料から製造されるため、プランジャ18がキャップ50に押し入れられ、更にキャップ50がバイアル底部12および突起14に衝突して変形することを可能にするために十分に硬い。硬さは、異なる材料を用いることによって実現されてもよく、またフランジ40およびリブ58によって形成されたシール面を用いる位置に、より厚い側壁を設けたりして、プランジャをより硬く構成することによって実現されてもよい。
また有利には、フィルタバイアルを使用する流体試料の濾過方法が提供される。キャップ内側壁54が、内側壁によって画定されるキャビティを、管状プランジャ18の内部流体保持キャビティ28、30に流体連通させるように配置し、かつキャップ内側壁が、プランジャ18の端部におけるプランジャ凹部32の上壁34に接触した状態で、フィルタ70を挟持するように、環状キャップ50は、管状プランジャ18の端部に嵌合される。有利には、環状キャップ50をプランジャ18の端部に配置する工程はまた、キャップをプランジャ上の鈎状部即ちプランジャフランジ42の上にスナップ嵌合させて、キャップを取り外し可能にプランジャに固定する工程を含む。キャップ50は、プランジャの端部に環状整形突起を形成し、環状キャップの内側壁54によって形成される整形キャビティ66を覆うフィルタを保持する。流体はバイアル10内に、好適には、キャップがプランジャ上に配置される前後に、充填ライン84によって示される高さまで入れられる。次にプランジャ底部およびキャップは、バイアル開口80に挿入されると共に、バイアル底部12へ向けて押され(或いはその逆)、プランジャフランジ42およびキャップ50上のフランジ58の少なくとも一方によって形成される外側キャップ壁52の隆起は、バイアル壁部16と共に液密シールを形成する。また、バイアル底部12へ向かうプランジャアセンブリ69の相対移動は、流体を環状キャップ50の整形キャビティ66およびフィルタ70を介して、プランジャの内部キャビティ28,30の一方または両方へ向けて移動させる。プランジャアセンブリ69の下端57が突起14を通過すると、プランジャアセンブリの環状端部はバイアル10の環状底部へ進入し、結合形状により流体は上方へ、中央突起14を通過し、整形キャビティ66およびフィルタ70を介して、管状プランジャ18の本体のキャビティ28および30の少なくとも一方へ移動させられる。本工程は、好適には環状キャップをプランジャ下端に配置する前に、また好適には、流体をプランジャ18内の流体保持キャビティ28,30のいずれかへ向けて移動させる前に、キャップを管状プランジャ18の上端に配置する工程を含んでよい。
上記の装置および方法は、従来のフィルタバイアルよりもかなり多くの流体試料を、フィルタ70を通過させ得る。少量の流体試料が使用される時には、濾過される容量の改善が特に著しい。フィルタバイアル10は特に、約10マイクロリットルの流体試料に適当であり得るが、最大の試料回収が重要であるより多量の試料と共に使用されてもよい。従って、充填ライン84は好適には、充填ラインおよび底部12の間において、約10マイクロリットルを含むように配置される。本方法および装置は、流体試料が10マイクロリットルよりも少ない時、例えば1から10マイクロリットルの試料が1マイクロリットルずつ増加する時に、いっそう便利である。バイアル10の操作容量は好適には約10マイクロリットル以下であるが、バイアルの合計容量は約30マイクロリットル、或いはそれより僅かに多くてよい。内径が約8mm(3分の1インチ)、長さが約25mm(1インチ)であり、壁の厚みが約1mm(1000分の40インチ)のバイアル10が適当であり得る。プランジャおよびバイアルは特に少量の流体試料に適切であるが、本構成はより大きな部品にも適用可能である。バイアル、プランジャ、環状キャップ、およびフィルタによって濾過される流体の費用が高額であり得るため、少量の流体であっても重要であり費用がかかる。従って、本開示は、数マイクロリットルで測定される流体試料に限定されず、ミリリットル或いはそれより多くの試料を入れてもよい。
プランジャ18は好適には、環状キャップ50と同等或いはそれよりも強度があり、硬い材料から作られる。傾斜部が設けられた内部流体保持キャビティ30によって形成されるプランジャ18の端部は厚みがあるため、より強度が高い端部となる。しかし、流体保持キャビティ30は傾斜部を有する必要はなく、プランジャ上部の流体保持キャビティ28と同じ直径を有してもよい。流体保持キャビティ30はまた、1つ以上の段を備え、端部20に接近するにつれてキャビティ28の直径が減少する段付きの内部形状を備えてもよい。キャビティ28の形状にかかわらず、キャビティによって、溝40および少なくとも部分的に溝に嵌合するフランジ58において、プランジャ18により厚い壁を備えることが好ましい。プランジャ壁をより厚くすることにより、フランジ58,42により形成されるシールをキャップ50およびバイアル10の側壁16に密接させるように付勢するために、プランジャ壁が補強される。好適には、プランジャ16は環状キャップ50と同じ材料から製造されるが、キャップの外側壁52は、プランジャフランジ42を越えて溝40まで柔軟に延出するために十分に薄く製造される。
上記の説明は一例を示すものであり、限定的なものではない。当業者であれば、上記の開示に基づき、本明細書に開示される本発明の権利範囲および精神に含まれる変形例、例えばフランジ45,58、突起14、整形キャビティ66の形状の様々な例を想到することができる。例えば、図面に示すように、突起14および整形キャビティ66は、図1、5に示す好適な切頭円錐形状以外の様々な結合形状を有してよく、例えば楕円形状および複数側面形状を限定することなく含む。図面は、3つの側面および4つの側面をそれぞれ有する突起14および対応形状のキャビティ66を示す。平坦な側面の突起14が使用される場合、突起およびキャップの結合キャビティ66の角部は、好適には任意で丸みが付けられてよく、湾曲角部は部品の製作がより容易であり得る。また、本明細書に開示される実施形態の様々な特徴が単独で、或いは互いに異なる組み合わせで使用されてよく、本明細書に記載される特定の組み合わせに限定されるものではない。従って、請求の範囲は、例示的実施形態に限定されるものではない。