JP2013181466A - 復水器真空制御装置および復水器真空制御方法 - Google Patents

復水器真空制御装置および復水器真空制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】設備異常に起因する復水器の真空度低下を早期に検知して、この真空度低下を抑制できるとともに、所定の期間、復水器の真空度を維持でき、この結果、蒸気タービンの突発停止を回避できること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる復水器真空制御装置15は、復水器5を起動する起動エゼクタ6と、その蒸気弁6aおよび空気弁6bと、緊急制御部12bとを備える。緊急制御部12bは、予め設定した真空度の低下限度と復水器5の真空度とを比較する。緊急制御部12bは、復水器5の真空度が低下限度未満である場合、蒸気弁6aを全開にする制御を行い、蒸気弁6aが全開したことを検知した後、空気弁6bを開く制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸気タービンから排出された蒸気を復水する復水器の真空度を制御する復水器真空制御装置および復水器真空制御方法に関するものである。
従来から、蒸気タービンの復水器の真空度は、蒸気タービンの駆動後に、復水器内の空気を抽出するエゼクタによって粗調整され、蒸気タービンの定常運転時に、復水器を冷却する冷却水の流量調整によって微調整されている。一般に、エゼクタは、蒸気タービンに高圧蒸気を供給するための蒸気母管と電動弁を介して配管接続され、且つ、この蒸気タービンの復水器と電動弁を介して配管接続される。また、復水器の入口側には、冷却水母管が配管接続され、復水器の出口側には、電動弁を備えた排水管が配管接続される。これらの各電動弁は復水器真空制御装置によって駆動制御され、この駆動制御を通して、復水器の真空度が制御される。
復水器真空制御装置は、まず、エゼクタの蒸気母管側の電動弁を開放して、蒸気母管内の高圧蒸気をエゼクタ内に通し、これによって、エゼクタの抽気可能状態を確立する。つぎに、復水器真空制御装置は、エゼクタの復水器側の電動弁を開放して、エゼクタに復水器内の空気を抽出させ、これによって、復水器内を真空状態にする。その後、復水器真空制御装置は、復水器の排水管の電動弁を駆動制御して、復水器の真空度を微調整する。具体的には、復水器真空制御装置は、復水器の真空度が下がった場合、この排水管の弁開度を開いて復水器の冷却水量を増加させ、これによって、復水器の真空度を上げる。一方、復水器真空制御装置は、復水器の真空度が上がった場合、この排水管の弁開度を絞って復水器の冷却水量を減少させ、これによって、復水器の真空度を下げる。
なお、上述したような復水器の真空制御に関する従来技術として、例えば、タービン入口蒸気流量から求めた制御目標真空値と、測定した復水器真空値との偏差に基づいて、復水器冷却水出口電動弁開度と真空値との関係を示す特性表から、復水器冷却水出口電動弁の操作量を求めるものがある(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の方法では、このように求めた操作量に応じた弁開度の操作を行って、復水器の冷却水量を調整し、これによって、復水真空値を制御目標真空値に補正している。
特開2007−262916号公報
ところで、上述した従来技術は、復水器関連配管等に設備異常が発生せずに復水器の真空制御が継続されていれば、特に問題ない。しかしながら、復水器関連配管の腐食によるピンホール等の設備異常が発生し、この発生した設備異常に起因して復水器の真空度が低下した場合、上述した従来技術では、たとえ復水器の弁開度を全開にして復水器の冷却水量を最大限に増加させたとしても、復水器の真空度の低下を抑えることができない。この結果、復水器の真空状態が破壊され、ついには、蒸気タービンの突発停止に至るという問題があった。
なお、蒸気タービンがプラント内の重要設備の動力源として用いられている場合、蒸気タービンの突発停止は、プラント内において多大な損害を引き起こす。例えば、蒸気タービンが高炉送風機の動力源として作用する場合、蒸気タービンの突発停止は、高炉送風機の突発停止を引き起こして、高炉の羽口損傷等の重大トラブルに直結する。また、この突発停止に起因する鉄鋼製品生産の悪影響は、計り知れない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、設備異常に起因する復水器の真空度低下を早期に検知して、この真空度低下を抑制できるとともに、所定の期間、復水器の真空度を維持でき、この結果、蒸気タービンの突発停止を回避できる復水器真空制御装置および復水器真空制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる復水器真空制御装置は、蒸気タービンプラントの復水器の真空度を制御する復水器真空制御装置において、前記復水器の真空度を上げて蒸気タービンを起動する起動エゼクタと、前記復水器の真空度を測定する真空計と、前記蒸気タービンプラント内の設備異常が発生した場合に低下する前記復水器の真空度の低下限度が予め設定され、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記起動エゼクタ内に通す蒸気流量を調整する蒸気弁を開き、前記起動エゼクタによる前記復水器からの抽気流量を調整する抽気弁を開く制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる復水器真空制御装置は、上記の発明において、前記蒸気弁が全開したことを検知する検知部をさらに備え、前記制御部は、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記蒸気弁を全開状態にする制御を行い、前記検知部による検知結果をもとに前記蒸気弁の全開状態を把握して、前記抽気弁を開く制御を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかる復水器真空制御装置は、上記の発明において、前記復水器の冷却水の排水流量を調整する排水弁をさらに備え、前記制御部は、前記蒸気タービンの正常動作に対応して設定された前記復水器の真空度上限および真空度下限を有し、前記真空度の測定値が前記真空度上限超過である場合、前記排水弁の弁開度を絞る制御を行い、前記真空度の測定値が前記真空度下限未満である場合、前記排水弁の弁開度を上げる制御を行うことを特徴とする。
また、本発明にかかる復水器真空制御装置は、上記の発明において、前記低下限度は、前記真空度下限に比して低いことを特徴とする。
また、本発明にかかる復水器真空制御方法は、蒸気タービンプラントの復水器の真空度を制御する復水器真空制御方法において、前記蒸気タービンプラント内の設備異常が発生した場合に低下する前記復水器の真空度の低下限度を予め設定し、起動エゼクタの蒸気弁と抽気弁とを開状態にすることによって、前記復水器の真空度を上げて蒸気タービンを起動し、前記蒸気タービンの起動後、前記蒸気弁と前記抽気弁とを閉状態にし、真空計によって測定した前記復水器の真空度と前記低下限度とを比較して、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記蒸気弁を開状態にして前記抽気弁を開状態にすることを特徴とする。
また、本発明にかかる復水器真空制御方法は、上記の発明において、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記蒸気弁を開くとともに前記蒸気弁の弁開度を監視し、前記蒸気弁が全開した場合、前記抽気弁を開くことを特徴とする。
本発明によれば、設備異常に起因する復水器の真空度低下を早期に検知して、この真空度低下を抑制できるとともに、所定の期間、復水器の真空度を維持でき、この結果、蒸気タービンの突発停止を回避できるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる復水器真空制御装置を備えた蒸気タービンプラントの概要構成を示す模式図である。 図2は、タービン入口蒸気流量と復水器の真空度との一特性例を示す模式図である。 図3は、本実施の形態にかかる復水器真空制御装置の緊急制御部の一回路構成例を示す模式図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる復水器真空制御装置および復水器真空制御方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(実施の形態)
まず、本発明にかかる復水器真空制御装置を備えた蒸気タービンプラントの概要構成を説明し、続いて、この復水器真空制御装置の構成を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる復水器真空制御装置を備えた蒸気タービンプラントの概要構成を示す模式図である。図1に示すように、この蒸気タービンプラント1は、冷却水供給のための冷却水母管2と、蒸気供給のための蒸気母管3と、供給された蒸気によって駆動する蒸気タービン4と、蒸気タービン4から排出された蒸気を復水する復水器5と、復水器5の真空度を制御する復水器真空制御装置15とを備える。この蒸気タービンプラント1において、冷却水母管2には、圧力計2aおよび温度計2bが配置され、蒸気母管3のエゼクタ側分岐管には、主蒸気弁3aが配置される。
詳細は後述するが、復水器真空制御装置15は、図1に示すように、蒸気タービン4を起動するための起動エゼクタ6と、起動エゼクタ6の蒸気弁6aおよび空気弁6bと、蒸気弁6aの弁開リミットスイッチ6cと、復水器5を高真空状態にするための主エゼクタ7と、主エゼクタ7の蒸気弁7aおよび空気弁7bとを備える。また、復水器真空制御装置15は、蒸気母管3から蒸気タービン4に流入する蒸気の流量を測定する蒸気流量計8と、復水器5の真空度を測定する真空計9と、復水器5の冷却水出口弁10と、この冷却水出口弁10の弁開度を検出する弁開度計11と、復水器真空制御装置15の各構成部を制御する制御部12とを備える。
なお、図1において、蒸気タービンプラント1のエゼクタ関連配管等に例示される細部の配管は図示せず、実線矢印によって、蒸気タービンプラント1内における蒸気または空気の流れが示される。また、図1の破線矢印は、電気信号の流れを示す。
冷却水母管2は、復水器5に冷却水を供給するための配管である。具体的には、冷却水母管2は、復水器5と配管接続され、冷却水ポンプ(図示せず)によって吸引された冷却水を復水器5に供給する。なお、この冷却水は、復水器5を冷却可能な液体であればよく、例えば、海水導入溝(図示せず)から汲みあげた海水であってもよいし、海水以外の水であってもよい。
この冷却水母管2には、図1に示すように、圧力計2aおよび温度計2bが配置される。圧力計2aは、冷却水母管2内の冷却水の圧力変動を検知するための計測器である。この圧力計2aによる冷却水の圧力測定値は、冷却水圧力信号として制御部12に送信される。一方、温度計2bは、冷却水母管2内の冷却水の温度変化を検知するための計測器である。この温度計2bによる冷却水の温度測定値は、冷却水温度信号として制御部12に送信される。
蒸気母管3は、蒸気タービン4、起動エゼクタ6および主エゼクタ7に蒸気を供給するための配管である。具体的には、蒸気母管3には、蒸気タービン4側に分岐する分岐管と、エゼクタ側(すなわち起動エゼクタ6および主エゼクタ7の配置側)に分岐する分岐管とが接続される。蒸気母管3は、蒸気タービン4側の分岐管によって蒸気タービン4と配管接続され、この分岐管を介し、ボイラー(図示せず)によって生成された高圧蒸気を蒸気タービン4に供給する。また、蒸気母管3は、エゼクタ側の分岐管によって起動エゼクタ6および主エゼクタ7と配管接続され、この分岐管を介して高圧蒸気を起動エゼクタ6および主エゼクタ7に適宜供給する。
なお、このエゼクタ側の分岐管には、図1に示すように主蒸気弁3aが配置される。主蒸気弁3aは、この分岐管内の蒸気流量を調整する手動弁または電動弁である。通常、主蒸気弁3aは、蒸気タービン4の稼動時において全開状態に操作され、蒸気タービンプラント1の停止時において全閉状態に操作される。
蒸気タービン4は、蒸気母管3から供給された高圧蒸気を受け入れ、この高圧蒸気の作用によって、内部のタービン動翼(図示せず)を回転駆動する。蒸気タービン4は、このタービン動翼の回転駆動によって、発電機(図示せず)等の設備の動力源として機能する。また、蒸気タービン4は、このタービン動翼を回転駆動させた後の蒸気を復水器5に排出する。すなわち、蒸気タービン4は、蒸気出口側において復水器5と配管接続され、この配管を介して、使用済みの蒸気を復水器5に供給する。
なお、蒸気タービンプラント1において、この蒸気タービン4による駆動力は、主に、発電機の動力源として作用する。また、この発電機によって発生した電力は、例えば、高炉に対して送風する高炉送風機等、鉄鋼製品の製造プラントにおいて重要な設備の稼動に消費される。
復水器5は、蒸気タービン4からの蒸気を復水する。具体的には、復水器5は、蒸気タービン4から使用済みの蒸気を受け入れるとともに、冷却水母管2から冷却水を受け入れる。復水器5は、この冷却水を用いて蒸気タービン4からの蒸気を冷却し、これによって、この蒸気を水に戻す。なお、このように復水器5が蒸気を復水して得た水は、回収され、ボイラー(図示せず)に戻される。一方、復水器5は、大気圧に比して低圧化(すなわち真空化)し、これによって、蒸気タービン4の正常な動作に寄与するよう機能する。具体的には、復水器5は、起動エゼクタ6および主エゼクタ7の各作用によって真空状態になり、この真空状態を利用して、蒸気タービン4における蒸気の流れを生み出す。これによって、復水器5は、蒸気タービン4を正常に動作させる。
ここで、復水器5の真空状態は、冷却水母管2から供給された冷却水による蒸気の冷却度合いに応じて変化する。具体的には、復水器5は、この冷却水による蒸気の冷却量の増加に伴って、より一層真空化する。すなわち、復水器5の真空度は、冷却水母管2からの冷却水流量の増加に伴って高まり、この冷却水流量の減少に伴って低くなる。
なお、復水器5の真空状態は、少なくとも大気に比して低圧な状態であり、より低圧化することによって、この真空状態は高まる。すなわち、復水器5の真空度は、復水器5内の圧力低下に伴って高まり、復水器5内の圧力上昇に伴って低くなる。
つぎに、本実施の形態にかかる復水器真空制御装置15の構成を詳細に説明する。復水器真空制御装置15は、図1に示すように、起動エゼクタ6と、起動エゼクタ6の蒸気弁6aおよび空気弁6bと、蒸気弁6aの弁開リミットスイッチ6cと、主エゼクタ7と、主エゼクタ7の蒸気弁7aおよび空気弁7bとを備える。また、復水器真空制御装置15は、蒸気タービン4への蒸気流量を測定する蒸気流量計8と、復水器5の真空計9と、復水器5の冷却水出口弁10と、冷却水出口弁10の弁開度計11と、制御部12とを備える。
起動エゼクタ6は、蒸気タービン4を起動するためのものである。具体的には、起動エゼクタ6は、蒸気弁6a等を介して蒸気母管3と配管接続され、空気弁6bを介して復水器5と配管接続される。起動エゼクタ6は、蒸気弁6aの開放によって蒸気母管3から高圧蒸気が供給され、この供給された高圧蒸気を排出する。起動エゼクタ6は、この高圧蒸気の作用によって、抽気可能な空気吸引状態を確立する。この空気吸引状態の起動エゼクタ6は、空気弁6bの開放によって復水器5と連通するとともに、復水器5内の空気を吸引する。これによって、起動エゼクタ6は、短時間且つ急激に復水器5の真空度を上げ、この結果、蒸気母管3から蒸気タービン4へ高圧蒸気を導入して、蒸気タービン4を起動する。
蒸気弁6aは、蒸気母管3と起動エゼクタ6とを連通する配管(上述したエゼクタ側の分岐管)に配置される。蒸気弁6aは、アクチュエータ等を用いて実現される電動弁であり、制御部12によって開閉駆動を制御される。蒸気弁6aは、開閉駆動することによって、起動エゼクタ6内に通す蒸気母管3からの高圧蒸気の蒸気流量を調整する。
空気弁6bは、起動エゼクタ6による復水器5からの抽気流量を調整する抽気弁として機能する。具体的には、空気弁6bは、復水器5と起動エゼクタ6とを連通する配管に配置される。空気弁6bは、アクチュエータ等を用いて実現される電動弁であり、制御部12によって開閉駆動を制御される。空気弁6bは、開閉駆動することによって、起動エゼクタ6による復水器5の抽気状態を調整する。
弁開リミットスイッチ6cは、起動エゼクタ6の蒸気弁6aの弁開度を検知するためのものである。具体的には、弁開リミットスイッチ6cは、蒸気弁6aの近傍に配置され、全開したか否かを検知する。すなわち、弁開リミットスイッチ6cは、蒸気弁6aが閉状態等の全開ではない状態の場合、オフ状態である。一方、弁開リミットスイッチ6cは、蒸気弁6aが全開状態(弁開度が上限リミット状態)である場合、オン状態になり、弁開度リミット信号を制御部12に送信する。なお、この弁開リミット信号は、蒸気弁6aが全開状態である旨を制御部12に知らせるための信号である。
主エゼクタ7は、起動後の蒸気タービン4の真空状態を高めるためのものである。具体的には、主エゼクタ7は、蒸気弁7a等を介して蒸気母管3と配管接続され、空気弁7bを介して復水器5と配管接続される。主エゼクタ7は、蒸気弁7aの開放によって蒸気母管3から高圧蒸気が供給され、この供給された高圧蒸気を排出する。主エゼクタ7は、この高圧蒸気の作用によって、起動エゼクタ6に比して強力な空気吸引状態を確立する。この空気吸引状態の主エゼクタ7は、空気弁7bの開放によって復水器5と連通するとともに、起動エゼクタ6に比して高い吸引力によって復水器5内の空気を吸引する。これによって、主エゼクタ7は、起動エゼクタ6に比して復水器5の真空度を高く上げて、復水器5を高真空状態にする。この結果、主エゼクタ7は、蒸気タービン4の真空状態を起動時に比して高い状態にする。
蒸気弁7aは、蒸気母管3と主エゼクタ7とを連通する配管(上述したエゼクタ側の分岐管)に配置される。蒸気弁7aは、アクチュエータ等を用いて実現される電動弁であり、制御部12によって開閉駆動を制御される。蒸気弁7aは、開閉駆動することによって、主エゼクタ7内に通す蒸気母管3からの高圧蒸気の蒸気流量を調整する。
空気弁7bは、主エゼクタ7による復水器5からの抽気流量を調整する抽気弁として機能する。具体的には、空気弁7bは、復水器5と主エゼクタ7とを連通する配管に配置される。空気弁7bは、アクチュエータ等を用いて実現される電動弁であり、制御部12によって開閉駆動を制御される。空気弁7bは、開閉駆動することによって、主エゼクタ7による復水器5の抽気状態を調整する。
蒸気流量計8は、蒸気タービン4への蒸気流量を測定するためのものである。具体的には、蒸気流量計8は、蒸気母管3と蒸気タービン4とを連通する配管(上述した蒸気タービン4側の分岐管)に配置される。蒸気流量計8は、蒸気母管3から蒸気タービン4に供給される高圧蒸気の蒸気流量(以下、タービン入口蒸気流量という)を連続的または断続的に測定する。蒸気流量計8は、タービン入口蒸気流量を測定する都度、得られたタービン入口蒸気流量を示す蒸気流量信号を制御部12に送信する。
真空計9は、復水器5の真空度を測定するためのものである。具体的には、真空計9は、復水器5の近傍に配置され、復水器5の真空度を連続的または断続的に測定する。真空計9は、復水器5の真空度を測定する都度、得られた真空度を示す真空度信号を制御部12に送信する。
冷却水出口弁10は、復水器5から排出される冷却水の排水流量を調整する排水弁として機能する。具体的には、冷却水出口弁10は、アクチュエータ等を用いて実現される電動弁であり、制御部12によって開閉駆動を制御される。冷却水出口弁10は、復水器5の排水管(図示せず)に配置され、開閉駆動することによって、この排水管内の排水流量を調整する。なお、この排水管内の水は、冷却水母管2から復水器5に供給された後に復水器5よって蒸気の冷却に使用された冷却水である。また、この排水管は、復水器5を介して冷却水母管2と連通している。すなわち、冷却水出口弁10は、この排水管内の排水流量を調整することによって、冷却水母管2から復水器5に供給される冷却水の供給流量を調整する。冷却水出口弁10は、この冷却水の供給流量の調整を通して、復水器5の真空度を微調整する。
弁開度計11は、冷却水出口弁10の弁開度を検知するためのものである。具体的には、弁開度計11は、冷却水出口弁10に取り付けられ、冷却水出口弁10の弁回転量等をもとに、冷却水出口弁10の弁開度を測定する。弁開度計11は、冷却水出口弁10の弁開度を連続的または断続的に測定し、測定する都度、得られた弁開度を示す弁開度信号を制御部12に送信する。
制御部12は、復水器5の真空度を制御するためのものである。具体的には、制御部12は、復水器真空制御装置15の機能を実現するためのプログラム等を記憶する記憶部およびこの記憶部内のプログラムを実行するCPU等を用いて実現される。制御部12は、蒸気弁6a,7a、空気弁6b,7b、および冷却水出口弁10の各開閉駆動を制御し、且つ、復水器真空制御装置15の各構成部との電気信号の入出力を制御する。
詳細には、制御部12は、蒸気弁6a,7a、空気弁6b,7b、および冷却水出口弁10のうち、開駆動させる弁に対して開駆動の指示信号を送信し、これによって、弁開駆動を制御する。また、制御部12は、蒸気弁6a,7a、空気弁6b,7b、および冷却水出口弁10のうち、閉駆動させる弁に対して閉駆動の指示信号を送信し、これによって、弁閉駆動を制御する。特に、制御部12は、起動エゼクタ6の蒸気弁6aおよび空気弁6bの開閉駆動を制御する際、蒸気弁6aを開いた後に空気弁6bを開くように蒸気弁6aおよび空気弁6bの駆動タイミングを制御する。同様に、制御部12は、主エゼクタ7の蒸気弁7aおよび空気弁7bの開閉駆動を制御する際、蒸気弁7aを開いた後に空気弁7bを開くように蒸気弁7aおよび空気弁7bの駆動タイミングを制御する。
また、制御部12は、真空度特性データ12aを有する。真空度特性データ12aは、復水器5に関する真空度の特性データである。例えば、真空度特性データ12aには、タービン入口蒸気流量に対応する復水器5の真空度の制御目標値(以下、制御目標真空度という)を示す特性データ、冷却水出口弁10の弁開度に対応する復水器5の真空度を示す特性データ等が含まれる。また、蒸気タービン4の正常動作に対応して、復水器5の真空度の制御上限および制御下限(以下、各々、制御上限真空度および制御下限真空度という)が制御目標真空度毎に予め設定される。なお、制御上限真空度および制御下限真空度は、制御目標真空度を基準とする上限および下限であり、真空度特性データ12aの一部として制御部12に保持される。
制御部12は、蒸気流量計8から受信した蒸気流量信号をもとにタービン入口蒸気流量を把握し、この把握したタービン入口蒸気流量と真空度特性データ12aとをもとに、復水器5の制御目標真空度を決定する。制御部12は、この決定した制御目標真空度と真空計9による復水器5の真空度との偏差に基づいて、復水器5の真空度を制御する。ここで、この偏差が制御上限真空度と制御下限真空度との範囲内であれば、制御部12は、真空度の制御動作を行わずに復水器5の真空度の監視を継続する。一方、この偏差が制御上限真空度と制御下限真空度との範囲を逸脱していれば、制御部12は、この偏差を解消するように真空度の制御動作を行う。具体的には、制御部12は、弁開度計11から受信した弁開度信号をもとに冷却水出口弁10の弁開度を把握し、この把握した弁開度と真空度特性データ12aとをもとに、復水器5の真空制御に必要な冷却水出口弁10の開閉駆動量を求める。制御部12は、求めた開閉駆動量をもとに冷却水出口弁10の弁開度を制御し、この弁開度の制御を通して、復水器5の真空度を制御目標真空度に近づくように制御する。
なお、真空度特性データ12aには、上述したタービン入口蒸気流量に対応する制御目標真空度の特性データが、冷却水の圧力変動および温度変化に対応して複数設定されていてもよい。この場合、制御部12は、圧力計2aから受信した冷却水圧力信号をもとに冷却水母管2内の冷却水の圧力を把握し、温度計2bから受信した冷却水温度信号をもとに冷却水母管2内の冷却水の温度を把握する。制御部12は、この把握した圧力および温度の各々に基づく冷却水の圧力変動および温度変化を監視しつつ、この冷却水の圧力変動および温度変化に基づいて、複数のタービン入口蒸気流量対制御目標真空度の特性データの中から、現在の冷却水の圧力および温度に好適な特性データを選択してもよい。これによって、冷却水母管2内の冷却水の圧力変動および温度変化による冷却水出口弁10の開閉駆動量が細かく適正に補正される。
一方、制御部12は、緊急制御部12bを有する。緊急制御部12bは、蒸気タービンプラント1において設備異常が発生した場合、緊急に復水器5の真空度を制御して、この設備異常に起因する復水器5の真空度の低下を抑制する。具体的には、緊急制御部12bは、復水器5の真空度の低下限度を予め有する。緊急制御部12bは、真空計9から受信した真空度信号をもとに復水器5の真空度を把握しつつ、この真空度が低下限度未満であるか否かを常時監視する。緊急制御部12bは、この真空度の測定値が低下限度以上である場合、起動エゼクタ6の蒸気弁6aおよび空気弁6bを閉じる制御を行い、これによって、蒸気弁6aおよび空気弁6bの各閉状態を維持する。一方、緊急制御部12bは、この真空度の測定値が低下限度未満である場合、蒸気弁6aを開いて空気弁6bを開く制御を行う。この場合、緊急制御部12bは、蒸気弁6aを全開状態にする制御を行うとともに、蒸気弁6aの弁開度を監視する。ついで、緊急制御部12bは、弁開リミットスイッチ6cによる検知結果として、弁開リミット信号を受信し、この受信した弁開リミット信号に基づいて、蒸気弁6aの全開状態を把握する。緊急制御部12bは、蒸気弁6aの全開後に、空気弁6bを開く制御を行う。緊急制御部12bは、この蒸気弁6aおよび空気弁6bの開駆動制御を通して、復水器5の真空度の低下を抑制する。
ここで、上述した低下限度は、蒸気タービンプラント1内の設備異常が発生した場合に低下する復水器5の真空度の許容下限である。なお、この許容下限とは、蒸気タービン4の突発停止を発生させないために許容される復水器5の真空度下限である。このような真空度の低下限度は、真空度特性データ12aの一部として予め設定される。
つぎに、本発明の実施の形態にかかる復水器真空制御方法について説明する。図2は、タービン入口蒸気流量と復水器の真空度との一特性例を示す模式図である。図3は、本実施の形態にかかる復水器真空制御装置の緊急制御部の一回路構成例を示す模式図である。なお、図2には、復水器5の制御目標真空度を示す制御目標線L1と、復水器5の制御上限真空度を示す制御上限線L2と、復水器5の制御下限真空度を示す制御下限線L3と、復水器5の真空度の低下限度を示す緊急動作線L4とが示されている。また、図2には、警報によって報知すべき過度に低い復水器5の真空度を示す警報線L5と、蒸気タービン4の停止を引き起こし得る程度に低下した復水器5の真空度を示す停止線L6とが示されている。以下、上述した図1および図2,3を参照しつつ、本実施の形態にかかる復水器真空制御方法を詳細に説明する。
本実施の形態にかかる復水器真空制御方法において、復水器真空制御装置15は、まず、蒸気タービン4を起動するための起動時真空制御を行い、つぎに、蒸気タービン4を通常運転させるための高真空制御を行い、その後、蒸気タービン4の正常な運転を維持するための微調整真空制御を行う。また、復水器真空制御装置15は、蒸気タービンプラント1内の設備異常に起因して復水器5の真空度が低下した場合、復水器5の真空度の低下を抑制するための緊急時真空制御を行う。
具体的には、起動時真空制御において、制御部12は、まず、蒸気弁6aに開駆動の指示信号を送信し、これによって、蒸気弁6aを開放する。この結果、蒸気母管3から蒸気弁6aを介して起動エゼクタ6に高圧蒸気が流入し、この高圧蒸気の作用によって、起動エゼクタ6の空気吸引状態が確立する。その後、制御部12は、空気弁6bに開駆動の指示信号を送信し、これによって、空気弁6bを開放する。この状態において、起動エゼクタ6は、空気弁6bを介して復水器5内の空気を吸引し、これによって、蒸気タービン4を起動し得るレベルまで復水器5の真空度を急激に上げる。起動エゼクタ6は、このように復水器5の真空度を粗調整して、蒸気タービン4を起動する。
つぎに、高真空制御において、制御部12は、蒸気弁7aに開駆動の指示信号を送信し、これによって、蒸気弁7aを開放する。この結果、蒸気母管3から蒸気弁7aを介して主エゼクタ7に高圧蒸気が流入し、この高圧蒸気の作用によって、主エゼクタ7の空気吸引状態が確立する。その後、制御部12は、空気弁7bに開駆動の指示信号を送信し、これによって、空気弁7bを開放する。この状態において、主エゼクタ7は、空気弁7bを介し、上述した起動エゼクタ6に比して強力に復水器5内の空気を吸引し、これによって、蒸気タービン4の起動時に比して高い真空度まで復水器5の真空度を上げる。主エゼクタ7は、このように復水器5の高真空状態を生成する。この結果、蒸気タービン4は、正常に定常運転し始める。一方、制御部12は、復水器5を高真空状態にした後、起動エゼクタ6の蒸気弁6aおよび空気弁6bに対して閉駆動の指示信号を送信し、これによって、蒸気弁6aおよび空気弁6bをともに閉止する。また、制御部12は、冷却水出口弁10に対して開駆動の指示信号を送信し、これによって、冷却水出口弁10を開く。
上述した起動時真空制御時および高真空制御時において、蒸気母管3内の高圧蒸気は、蒸気流量計8によってタービン入口蒸気流量を測定されつつ、蒸気母管3から蒸気タービン4に流入する。なお、蒸気流量計8は、制御部12に蒸気流量信号を送信する。蒸気タービン4に流入した高圧蒸気は、復水器5の真空作用によって、蒸気タービン4のタービン動翼を回転動作させる仕事を行う。この蒸気タービン4の駆動に使用された蒸気は、蒸気タービン4から排出され、その後、復水器5に流入する。
一方、冷却水母管2内の冷却水は、圧力計2aおよび温度計2bによって圧力および温度を各々測定されつつ、冷却水母管2から復水器5に流入する。なお、圧力計2aは、制御部12に冷却水圧力信号を送信し、温度計2bは、制御部12に冷却水温度信号を送信する。復水器5に流入した冷却水は、蒸気タービン4から復水器5に供給された蒸気を冷却する。復水器5は、この冷却水の冷却作用によって、蒸気タービン4からの蒸気を復水する。この復水器5の復水処理によって得られた水は、ボイラー(図示せず)に回収される。一方、この蒸気を冷却した後の水は、復水器5から排出され、その後、冷却水出口弁10を介して、海水導入溝等の冷却水源(図示せず)に戻される。
ここで、上述した起動時真空制御および高真空制御によって、蒸気タービン4は、定常的な通常運転を行う。この蒸気タービン4の通常運転状態において、制御部12は、蒸気タービン4に正常な運転を継続させるために、復水器5の微調整真空制御を行う。この微調整真空制御において、制御部12は、冷却水出口弁10の弁開度を制御することによって、復水器5の真空度を適正なものに微調整する。
詳細には、微調整真空制御において、制御部12は、まず、蒸気流量計8からの蒸気流量信号に基づくタービン入口蒸気流量と真空度特性データ12aとをもとに、復水器5の制御目標真空度を決定する。続いて、制御部12は、この決定した制御目標真空度に対応して、復水器5の制御上限真空度および制御下限真空度を設定する。
具体的には、図2の制御目標線L1と制御上限線L2と制御下限線L3とに示されるように、制御部12は、復水器5の設備耐久性等の設備仕様を加味し、制御上限真空度として、制御目標真空度に比して所定値だけ高い真空度を設定する。また、制御部12は、蒸気タービン4の正常な運転の維持を加味し、制御下限真空度として、制御目標真空度に比して所定値だけ低い真空度を設定する。
上述した制御目標真空度、制御上限真空度および制御下限真空度を設定後、制御部12は、真空計9による復水器5の真空度の測定値と、制御上限真空度および制限下限真空度とを比較する。制御部12は、比較処理の結果、真空度の測定値が制御上限真空度を超過する場合、冷却水出口弁10の弁開度を絞る制御を行う。この場合、制御部12は、弁開度計11によって検出された冷却水出口弁10の現時点の弁開度と真空度特性データ12aとをもとに、微調整真空制御に必要な冷却水出口弁10の閉駆動量を求める。制御部12は、この得られた閉駆動量の指示信号を冷却水出口弁10に送信し、これによって、この閉駆動量だけ冷却水出口弁10の弁開度を絞る。一方、制御部12は、比較処理の結果、真空度の測定値が制御下限真空度未満である場合、冷却水出口弁10の弁開度を上げる制御を行う。この場合、制御部12は、弁開度計11による冷却水出口弁10の現時点の弁開度と真空度特性データ12aとをもとに、微調整真空制御に必要な冷却水出口弁10の開駆動量を求める。制御部12は、この得られた開駆動量の指示信号を冷却水出口弁10に送信し、これによって、この開駆動量だけ冷却水出口弁10の弁開度を上げる。
制御部12は、上述したように冷却水出口弁10の弁開度を制御することによって、復水器5の排水流量、すなわち、復水器5に対する冷却水の供給流量を制御し、この冷却水の供給流量の制御を通して、復水器5の真空度を微調整する。例えば図2の点P1に示されるように、制御部12は、復水器5の真空度が制御上限真空度を超過した場合、復水器5に対する冷却水の供給流量を下げて、復水器5の真空度を制御目標真空度に近づける。一方、制御部12は、復水器5の真空度が制御下限未満である場合、復水器5に対する冷却水の供給流量を上げて、復水器5の真空度を制御目標真空度に近づける。このように、制御部12は、制御上限真空度と制限下限真空度との間の真空度範囲内の真空度に、好ましくは、制御目標真空度近傍の真空度に、復水器5の真空度を維持する。
上述したように復水器5の真空度が制御上限真空度と制限下限真空度との間の真空度範囲内に維持されれば、蒸気タービン4は、正常な定常運転を行う。この蒸気タービン4の正常な定常運転時において、復水器5の真空度は、蒸気タービン4の負荷に応じた最もタービン効率の良くなる真空度に維持される。また、蒸気の急激なドレン化に起因するドレンアタックが蒸気タービン4内において抑制され、この結果、ドレンアタックによる蒸気タービン4のタービン動翼の破損を防止できる。
その後、制御部12は、上述した微調整真空制御を行いつつ、真空計9からの真空度信号をもとに、復水器5の真空度を継続的に監視する。ここで、復水器5に関連する配管に腐食によるピンホールが発生する等、蒸気タービンプラント1内の設備が破損する設備異常が発生した場合、復水器5の真空度は、この設備異常に起因して低下する。制御部12は、真空計9からの真空度信号に基づいて、この真空度の低下を検知する。この場合、制御部12は、この真空度の低下を抑制するために、まず、微調整真空制御によって復水器5の真空度を上げようと試みる。すなわち、制御部12は、冷却水出口弁10に対して開駆動の指示信号を送信し、これによって、復水器5に対する冷却水の供給流量を上げ、復水器5の真空度を制御目標真空度に近づけようとする。
しかし、蒸気タービンプラント1内の設備異常が自然に復旧することは皆無である。このため、復水器5の真空度は、冷却水出口弁10の弁開度を上げて復水器5に対する冷却水の供給流量を上げた場合であっても、この設備異常に起因して低下し続ける。例えば図2の点P2に示すように、復水器5の真空度は、制御上限線L2と制御下限線L3との間の真空度範囲から逸脱して低下し続け、ついには、緊急動作線L4を下回る真空度まで低下する。この復水器5の真空度低下は、制御部12の駆動制御によって冷却水出口弁10を全開した場合であっても、抑制されない。
上述したような設備異常に起因する復水器5の真空度低下を抑制するために、制御部12は、緊急時真空制御を行う。具体的には、緊急時真空制御の実行前において、緊急制御部12bは、真空計9からの真空度信号に基づいて、復水器5の真空度の最新測定値を常に把握する。また、緊急制御部12bは、復水器5の真空度の低下限度を予め設定する。具体的には、緊急制御部12bは、図2の緊急動作線L4に示されるように、この真空度の低下限度として、制御下限真空度(図2の制御下限線L3参照)に比して低い真空度を設定する。この場合、緊急制御部12bは、蒸気タービン4の突発停止の防止に必要な遅延時間を加味して、図2に示すように、停止線L6に対応する真空度に比して十分高く設定し、さらには、警報線L5に対応する真空度に比して高く設定する。例えば、この真空度の低下限度は、図2に示すように、制御下限線L3と停止線L6との中間近傍の真空度に設定される。
その後、緊急時真空制御において、緊急制御部12bは、まず、復水器5の真空度の最新測定値と低下限度とを比較して、この真空度の最新測定値が低下限度を下回っているか否かを常に監視する。緊急制御部12bは、比較処理の結果、真空度の最新測定値が低下限度以上である場合、起動エゼクタ6の蒸気弁6aおよび空気弁6bを閉じる制御を行う。これによって、緊急制御部12bは、蒸気弁6aおよび空気弁6bの各閉止状態を維持する。
一方、真空度の最新測定値が低下限度未満である場合(図2の点P2参照)、緊急制御部12bは、蒸気弁6aを開いて空気弁6bを開く制御を行う。詳細には、緊急制御部12bは、例えば図3に示すように、論理積回路12cを有する。緊急制御部12bは、真空計9からの真空度信号に基づいて、復水器5の真空度が低下限度を下回ったことを検知し、この検知結果に対応して、真空度低下の検知信号S1を生成するとともに、弁の全開駆動を指示する弁全開指示信号S2を蒸気弁6aに送信する。論理積回路12cは、この検知信号S1を受信して、待機状態になる。
蒸気弁6aは、この弁全開指示信号S2に基づいて駆動し、この結果、全開状態になる。この全開状態において、起動エゼクタ6には蒸気母管3から高圧蒸気が流入し、これによって、起動エゼクタ6の空気吸引可能状態が確立する。一方、弁開リミットスイッチ6cは、この蒸気弁6aの全開状態を検知し、この全開状態を知らせる弁開リミット信号S3(図3参照)を緊急制御部12bに送信する。
上述したように蒸気弁6aに対して全開駆動を指示した後、緊急制御部12bは、蒸気弁6aの全開状態を知らせる応答信号を待ち、その後、この応答信号として、弁開リミットスイッチ6cから弁開リミット信号S3を受信する。この弁開リミット信号S3は、図3に示すように、緊急制御部12bの論理積回路12cに入力され、この結果、論理積回路12cは、上述した検知信号S1と弁開リミット信号S3とを受信する。すなわち、論理積回路12cは、この弁開リミット信号S3を受信したタイミングにオン状態になって、空気弁6bに弁全開指示信号S4を送信する。
空気弁6bは、この弁全開指示信号S4に基づいて駆動し、この結果、全開状態になる。この全開状態において、起動エゼクタ6は、空気弁6bを介して復水器5内の空気を急激に吸引する。これによって、起動エゼクタ6は、蒸気タービンプラント1内の設備異常に起因する復水器5の真空度低下を抑制するとともに、所定の期間、復水器5の現時点における真空度を維持する。
ここで、上述した緊急時真空制御機能を有する緊急制御部12bを備えていない従来の復水器真空制御装置は、蒸気タービンプラント1内の設備異常に起因して復水器5の真空度が低下し始めた場合、この設備異常に起因する真空度低下を抑制することができない。このため、復水器5の真空度は、図2に示す停止線L6の真空度まで、徐々に低下し続け、最終的に、この停止線L6のレベルを下回る。この場合、復水器5の真空状態は破壊され、これに起因して、蒸気タービン4は、突発的に停止してしまう。この蒸気タービン4の突発停止は、蒸気タービンプラント1内において多大な損害を引き起こす。また、この蒸気タービン4の突発停止に起因する鉄鋼製品生産の悪影響は、計り知れない。
これに対し、本発明の実施の形態にかかる復水器真空制御装置15および復水器真空制御方法では、蒸気タービンプラント1内の設備異常に起因して復水器5の真空度が低下し始めた場合、上述したように緊急制御部12bによって緊急時真空制御を行う。これによって、この設備異常に起因する復水器5の真空度低下の進行を遅らせることができる。この結果、復水器5の現時点における真空度を所定の期間、維持できるとともに、復水器5の真空状態が破壊されるまでの時間を遅延させて、この真空度低下に対する適切な処置を実行可能な時間を確保できる。オペレータは、この確保した時間内に、蒸気タービンプラント1内の設備異常状態等の総合的なプラント状態を把握し、さらには、蒸気タービン4の停止処置等を行える。これによって、蒸気タービン4の突発停止を回避することができる。また、蒸気弁6aを開く前に空気弁6bを開く等のオペレーションミスを未然に防止できるとともに、蒸気弁6aの不作動等の誤動作に起因して復水器5の真空状態が破壊される危険性を回避できる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、蒸気タービンプラント内の設備異常が発生した場合に低下する復水器の真空度の低下限度を予め設定し、真空計によって測定した復水器の真空度と、この設定した低下限度とを比較して、真空度の測定値が低下限度未満である場合、蒸気タービンを起動する起動エゼクタの蒸気弁を開き、その後、この起動エゼクタの空気弁を開状態にするように構成した。
このため、蒸気タービンプラント内の設備異常に起因する復水器の真空度低下を早期に検知し、起動エゼクタの急激な抽気作用によって、この真空度低下を抑制できるとともに、復水器の現時点における真空度を所定の期間、維持できる。これによって、この設備異常に起因する復水器の真空度低下の進行を遅らせることができる。この結果、復水器の真空状態が破壊されるまでの時間を遅延させて、この真空度低下に対する適切な処置を実行可能な時間を確保できることから、蒸気タービンの突発停止の回避に寄与できる。
本発明にかかる復水器真空制御装置および復水器真空制御方法を用いることによって、オペレータは、上述したように確保した時間内に、蒸気タービンプラントの総合的なプラント状態を把握し、さらには、蒸気タービンプラントの損傷が小さいうちに蒸気タービンの停止処置、異常設備の補修処置、復水器の真空度回復処置等の適切な処置を行うことができる。この結果、蒸気タービンの突発停止を回避できるとともに、この蒸気タービンの突発停止に起因する蒸気タービンプラントの損害の拡大を防止できる。
また、上述した実施の形態では、起動エゼクタの作用によって設備異常に起因する真空度低下を抑制する際、この起動エゼクタの蒸気弁が全開した後、この起動エゼクタの空気弁を開くように構成している。このため、蒸気弁を開く前に空気弁を開く等のオペレーションミスを未然に防止できるとともに、蒸気弁の故障による不作動等の蒸気弁の誤動作に起因して復水器の真空状態が破壊される危険性を回避できる。
なお、上述した実施の形態では、単一の蒸気タービンを備えた蒸気タービンプラントを例示したが、これに限らず、本発明にかかる復水器真空制御装置および復水器真空制御方法は、複数の蒸気タービンを備えた蒸気タービンプラントに適用することもできる。この場合、複数の蒸気タービンの各々に、起動エゼクタ6、蒸気弁6a、および空気弁6bを配置して、複数の蒸気タービンの各々について、上述した緊急時真空制御を行えばよい。
また、上述した実施の形態では、図2に示した制御下限線L3と停止線L6との中間近傍に緊急動作線L4の真空度を設定していたが、これに限らず、緊急動作線L4の真空度、すなわち、復水器5の真空度の低下限度は、停止線L6の真空度に比して、真空度低下に対する適切な処置を実行可能な時間を確保できる程度に高く設定すればよい。また、この低下限度は、上述した制御上限真空度および制御下限真空度を設定した場合に、この制御下限真空度に比して低くすればよい。
さらに、上述した実施の形態では、微調整真空制御の後に緊急時真空制御を行っていたが、これに限らず、復水器5の真空度を継続的に監視して、復水器5の真空度が低下限度を下回ったタイミングに、上述した緊急時真空制御を行えばよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
1 蒸気タービンプラント
2 冷却水母管
2a 圧力計
2b 温度計
3 蒸気母管
3a 主蒸気弁
4 蒸気タービン
5 復水器
6 起動エゼクタ
6a,7a 蒸気弁
6b,7b 空気弁
6c 弁開リミットスイッチ
7 主エゼクタ
8 蒸気流量計
9 真空計
10 冷却水出口弁
11 弁開度計
12 制御部
12a 真空度特性データ
12b 緊急制御部
12c 論理積回路
15 復水器真空制御装置
L1 制御目標線
L2 制御上限線
L3 制御下限線
L4 緊急動作線
L5 警報線
L6 停止線
S1 検知信号
S2,S4 弁全開指示信号
S3 弁開リミット信号

Claims (6)

  1. 蒸気タービンプラントの復水器の真空度を制御する復水器真空制御装置において、
    前記復水器の真空度を上げて蒸気タービンを起動する起動エゼクタと、
    前記復水器の真空度を測定する真空計と、
    前記蒸気タービンプラント内の設備異常が発生した場合に低下する前記復水器の真空度の低下限度が予め設定され、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記起動エゼクタ内に通す蒸気流量を調整する蒸気弁を開き、前記起動エゼクタによる前記復水器からの抽気流量を調整する抽気弁を開く制御を行う制御部と、
    を備えたことを特徴とする復水器真空制御装置。
  2. 前記蒸気弁が全開したことを検知する検知部をさらに備え、
    前記制御部は、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記蒸気弁を全開状態にする制御を行い、前記検知部による検知結果をもとに前記蒸気弁の全開状態を把握して、前記抽気弁を開く制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の復水器真空制御装置。
  3. 前記復水器の冷却水の排水流量を調整する排水弁をさらに備え、
    前記制御部は、前記蒸気タービンの正常動作に対応して設定された前記復水器の真空度上限および真空度下限を有し、前記真空度の測定値が前記真空度上限超過である場合、前記排水弁の弁開度を絞る制御を行い、前記真空度の測定値が前記真空度下限未満である場合、前記排水弁の弁開度を上げる制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の復水器真空制御装置。
  4. 前記低下限度は、前記真空度下限に比して低いことを特徴とする請求項3に記載の復水器真空制御装置。
  5. 蒸気タービンプラントの復水器の真空度を制御する復水器真空制御方法において、
    前記蒸気タービンプラント内の設備異常が発生した場合に低下する前記復水器の真空度の低下限度を予め設定し、起動エゼクタの蒸気弁と抽気弁とを開状態にすることによって、前記復水器の真空度を上げて蒸気タービンを起動し、前記蒸気タービンの起動後、前記蒸気弁と前記抽気弁とを閉状態にし、真空計によって測定した前記復水器の真空度と前記低下限度とを比較して、前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記蒸気弁を開状態にして前記抽気弁を開状態にすることを特徴とする復水器真空制御方法。
  6. 前記真空度の測定値が前記低下限度未満である場合、前記蒸気弁を開くとともに前記蒸気弁の弁開度を監視し、前記蒸気弁が全開した場合、前記抽気弁を開くことを特徴とする請求項5に記載の復水器真空制御方法。
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