JP2013180479A - 積層体、ヒートシンクおよび積層体の製造方法 - Google Patents

積層体、ヒートシンクおよび積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】線膨張係数が半導体材料と同等なベース部材と、該ベース部材と密着性の良い被覆層とを備える積層体を、製造コストの低い手法で提供する。
【解決手段】積層体は、ベース部材2と被覆層1とを備える。ベース部材2はMoまたはWを主成分とする。被覆層1は、ベース部材2表面上に形成され、白金族元素を主成分とする。ベース部材2は、被覆層1と対向する表面層に形成されRuが固溶した固溶層3を含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、積層体およびその製造方法に関し、より特定的には、ルテニウム固溶層を有する積層体およびその製造方法に関するものである。
半導体デバイスの高性能化と小型化に伴い、半導体デバイスの放熱対策の重要性が高まっている。このような半導体デバイスにおいて放熱性を高めるため、ヒートシンクなどの放熱部材が用いられている。放熱部材の材料としては、銅(Cu)やアルミニウム(Al)等が一般的であったが、これらの材料は半導体材料との線膨張係数の差異が大きい。よって線膨張係数の差異により、半導体デバイスと放熱部材との接合界面には内部応力が生じる。例えば、半導体デバイスと放熱部材との接合にはんだを用いた場合、当該はんだによる接合部では上記内部応力によりはんだ割れが起き、結果的にデバイス特性が劣化するという問題がある。
そこで、接合部の信頼性の面から、線膨張係数が半導体材料と同等のモリブデン(Mo)やタングステン(W)を放熱部材の材料として用いることが提案されている。
たとえば、特開平4−230063号公報(特許文献1)には、Mo、Wもしくはこれらの合金と、CuもしくはCu合金とを、それぞれニッケル(Ni)めっきした後、真空もしくは無酸素雰囲気下でろう接して接合した、多層ヒートシンクが開示されている。
特開平4−230063号公報
ここで、半導体デバイスの1種であるパワー半導体デバイスについて適用される放熱部材は、半導体と接合する形態で使用されることが多い。そのため、当該放熱部材の材料は線膨張係数が半導体材料に近いことが特に求められる。さらに、当該放熱部材の材料については、耐食性および摺動性をさらに有することが好ましい。
そこで、本願発明者らは、半導体材料と線膨張係数が近似するMoおよびWと、耐侵食性および摺動性を有するルテニウム(Ru)とで、パワー半導体デバイス用の放熱部材に適した積層体を形成することを検討した。
ここで、MoおよびWの表面には、強固な酸化膜が形成され易い。このため、MoまたはWの表面に密着性良くRuを成膜する手法は、ニッケル(Ni)ストライクめっきや金(Au)ストライクめっきといった手法により、MoやWの表面に中間層を形成した後、当該中間層上にRuをめっき法により成膜するか、もしくは、蒸着法によって、直接Ruを成膜するか、のいずれかに限られていた。
しかしながら、前者の手法では、中間層を構成するNiやAuがRu層中を熱拡散して、Ru層の表面に到達し、Ruの有する上記の特性(耐浸食性や摺動性)が得られなくなるといった問題が生じる。また、後者の手法では、めっき法と比較して製造コストが高くなるという問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。この発明の主たる目的は、線膨張係数が半導体材料と同等なベース部材と、該ベース部材と密着性の良い被覆層とを備える積層体を、製造コストの低い手法で提供することにある。
本発明に係る積層体は、ベース部材と被覆層とを備える。ベース部材はMoまたはWを主成分とする。被覆層は、ベース部材表面上に形成され、白金族元素を主成分とする。ベース部材は、被覆層と対向する表面層に形成されRuが固溶した固溶層を含む。
このようにすれば、ベース部材の表面層にRuが固溶した固溶層が形成されているので、当該固溶層上に白金族元素を主成分とする被覆層を密着性の高い状態で形成することができる。したがって、半導体材料と線膨張係数が近似する材料からなるベース部材に、摺動性などに優れた白金族元素を主成分とする被覆層が密着した積層体を得ることができる。なお、本文中で白金族元素とは、Ru、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)を含む。
本発明に係るヒートシンクは、上記積層体よりなる。このようにすれば、半導体デバイス(特に半導体パワーデバイス)に適用される、優れた特性のヒートシンクを実現できる。
本発明に係る積層体の製造方法は、MoまたはWを主成分とするベース部材を準備する工程と、ベース部材の表面にRuの薄膜を形成する工程と、Ruの薄膜を表面に有するベース部材を水素雰囲気中で加熱処理し、ベース部材中にRuを固溶させる工程と、ベース部材においてRuが固溶した固溶層表面上に白金族元素を主成分とする膜を形成する工程とを備える。このようにすれば、ベース部材において確実に上記固溶層を形成し、本発明に係る積層体を製造することができる。
本発明の積層体は、線膨張係数が半導体材料と同等なベース部材の表面に、めっき法および水素雰囲気中での熱拡散により形成される、Ruが固溶した固溶層を含むため、ベース部材と密着性の良い被覆層をめっき法で形成でき、製造コストを抑えることができる。
本実施の形態1に係る積層体の断面図である。 本実施の形態1に係る積層体の製造方法の工程フローを示す図である。 本実施の形態2に係る積層体の断面図である。 本発明の実施例を説明するための断面図である。 本発明の実施例を説明するためのグラフである。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
はじめに、図1を参照して、本実施の形態における積層体を説明する。
図1を参照して、積層体は、被覆層1とベース部材2とを備える。被覆層1は、ベース部材2の表面上に形成される。被覆層1を構成する材料としては、線膨張係数が半導体材料と同等で、耐侵食性および摺動性を有する任意の素材を選択できるが、好ましくは白金族元素を用いる。つまり被覆層1は白金属元素を主成分とすることが好ましい。より好ましくは、白金族を主成分とする被覆層1は、RuやRhを主成分とする。なお、被覆層1の膜厚は、耐侵食性および摺動性を得ることができる程度に、任意の厚みを形成すればよい。
ベース部材2を構成する材料としては、熱伝導率が高く、線膨張係数が半導体材料に近い任意の素材を選択できる。図1の例では、MoもしくはWをベース部材2の主成分として採用している。
ベース部材2は、被覆層1と対向する表面層に、Ruが固溶した固溶層3を含む。ここで固溶層3は、Ruの質量パーセント濃度が10mass%以上の領域と規定する。なお、固溶層3より深い領域(固溶層3の下部表面よりベース部材2の内側に位置する領域)にも、ある程度のRuは固溶した状態となっている。固溶層3の最表面におけるRuの質量パーセント濃度は、固溶層3の他の領域より高いほうが好ましく、より好ましくは90mass%以上とする。これにより、固溶層3とベース部材2とは、Ruの濃度勾配を有して明確な界面が形成されないため、熱応力を抑制できる。さらに、固溶層3の表面を構成する主要な元素をRuとすることができるので、当該表面に自然酸化膜が形成されるのを抑制することができる。なお、固溶層3の厚みは、例えば0.3μm以上とすることができる。
以上のように、本実施の形態1に係る積層体は、半導体材料と線膨張係数が近い材料を主成分とするベース部材2と、ベース部材2表面に白金族を主成分とする被覆層1とを備えることで、当該積層体をヒートシンクとして半導体素子に接合した場合に、当該半導体素子との接合部での熱応力の発生を抑制できる。さらに、白金族元素を主成分とする被覆層を備えることにより、当該積層体は耐侵食性および摺動性を有するため、ヒートシンクを構成する材料として好適である。また、ベース部材2の表面にRuが固溶した固溶層3を含むことにより、被覆層1とベース部材2とは、固溶層3を介して積層することとなり、ベース部材2と被覆層1との間の密着性を向上できる。
続いて、図1および図2を参照して、図1に示した積層体の製造方法を説明する。まず、線膨張係数が半導体材料に近い素材として、例えば、MoまたはWを主成分とするベース部材2を準備する工程(S11)を実施する。ここで、準備するベース部材2の形状は任意の形状とすることができるが、たとえばベース部材2の形状として板状、シート状、あるいは円盤状などの形状を採用できる。
次に、ベース部材2の表面にRu薄膜を形成する工程(S12)を実施する。ここで、MoまたはWを主成分とするベース部材2の表面には、容易に自然酸化膜が形成されるが、この工程(S12)においては、めっき法を用いてベース部材2の表面における自然酸化膜上にRuの薄膜を形成する。Ruの薄膜の膜厚は10nm以上100nm以下が好ましい。これにより、次工程にてRuの固溶層3を形成するのに必要なRuを、ベース部材2の表面に形成された自然酸化膜上にあって剥離しないように、形成することができる。
次に、水素雰囲気中でRuの薄膜が形成されたベース部材2を加熱処理し、ベース部材2表面の自然酸化膜を還元しながら、ベース部材2中にRuを固溶させる工程(S13)を実施する。ここで、水素雰囲気とは、還元性雰囲気であって、水素雰囲気、水素と窒素の混合雰囲気、アンモニア分解ガスを含む雰囲気等が該当する。加熱条件によりRuのベース部材2への拡散状態を制御可能である。当該加熱条件は、任意の条件を採用できるが、固溶層3における最表面(被覆層1側の表面)でのRu濃度が、固溶層3中での他の領域におけるRu濃度より高くなるような条件を選択するのが好ましい。たとえば、固溶層3の最表面におけるRu濃度が、好ましくは90mass%以上となるように加熱条件を選択する。一方、固溶層3中およびベース部材2中において固溶層3より下層の領域では、当該最表面から離れるに従って、Ru濃度が徐々に低くなっている。これにより、固溶層3とベース部材2との境界部はRuの濃度勾配を有し、当該境界部では明確な界面が形成されないため、熱応力の発生を抑制できる。さらに、ベース部材2の最表面は十分なRu濃度を有するため、自然酸化膜が形成されるのを抑制できる。
上記工程(S13)における加熱条件に関して、加熱温度は500℃以上1000℃以下、加熱時間は1分以上120分以下とすることが好ましい。なお、加熱温度の下限を500℃としたのは、加熱温度が500℃未満では120分以上加熱処理を施してもRuの拡散が十分に起こらないからである。また、加熱温度の上限を1000℃としたのは、加熱温度が1000℃以上では1分の加熱処理でもRuがベース部材2中に拡散し過ぎてベース部材表面に存在しなくなり、本願発明の意図する固溶層3がベース部材2の表面に十分に形成されないためである。なお、加熱温度の範囲は好ましくは600℃以上900℃以下、より好ましくは650℃以上850℃以下である。また、加熱時間はたとえば10分以上190分以下としてもよい。たとえば、加熱条件として加熱温度750℃以上800℃以下(狙い温度780℃)、加熱時間30分、といった条件を用いてもよい。
次に、ベース部材2の表面上に、白金族元素を主成分とする膜(白金族膜)を形成する工程(S14)を実施する。当該工程(S14)では、たとえばめっき法を用いて被覆層1を形成する。なお、ベース部材2の表面には、先の工程(S13)においてRuがベース部材2に固溶することにより固溶層3が形成されている。よって、ここでのベース部材2の表面上とは、ベース部材2における固溶層3の最表面上を意味する。固溶層3の最表面は、Ru濃度が90mass%以上であるため、当該最表面において自然酸化膜が形成されることを抑制できる。さらに、被覆層1となるべき白金族元素を主成分とする膜は、めっき法によってもベース部材2の表面上に密着性よく成膜され得る。その結果、蒸着法等で被覆層1を形成する場合に比べて低コストで当該被覆層1を形成できる。このようにして、図1に示す積層体を得られる。
上記のように、本実施の形態に係る積層体における被覆層1は、工程(S14)において形成した白金族元素を主成分とする膜のみにより構成される。なお、白金族元素を主成分とする被覆層1は、白金族元素を主成分とする複数層が積層した構成でもよい。また被覆層1としては白金族元素を主成分とする任意の材料からなる膜を用いることができる、好ましくはRu膜である。この場合、工程(S12)にてRuの薄膜を形成しためっき条件で、めっき時間のみを膜厚に応じて変更することで、被覆層1を形成可能である。なお、被覆層1の膜厚は任意に決定することができる。
以上のように、本実施の形態1に係る積層体の製造方法では、ベース部材2の表面に形成された自然酸化膜上に、Ruの薄膜を形成し、その後水素雰囲気中で熱処理を行なうことで、ベース部材2の表面にRuの固溶層3を形成して、ベース部材2と密着性の良い被覆層1をめっき法にて形成できる。その結果、蒸着法に比べて積層体の製造コストを抑えることができる。
(実施の形態2)
図3を参照して、本発明の実施の形態2に係る積層体について説明する。
図3を参照して、本実施の形態に係る積層体では、被覆層1と、固溶層3と、ベース部材2とから成る基本的な構造は図1に示す本発明の実施の形態1に係る積層体と同じであるが、固溶層3と被覆層1との間にRu層4が配置されている点が図1に示した積層体と異なっている。
Ru層4は、Ruを主成分とする層であり、被覆層1とベース部材2との接合部に位置している。Ru層4には、ベース部材2を構成する原子が固溶していてもよいが、Ru層4の最表面(被覆層1側の表面)は、Ruの質量パーセント濃度が90mass%以上であるのが好ましい。図3に示した積層体は、基本的には図1に示した積層体と同様の効果を得ることができるが、Ru層4が形成されているため、被覆層1とベース部材2との密着性をより向上させることができる。
本実施の形態に係る積層体の製造方法は、図2に示す本発明の実施の形態1に係る積層体の製造方法の工程フローと基本的には同じだが、工程(S13)において、Ruの薄膜を構成するRu原子のうち、一部をベース部材2に固溶させて固溶層3を形成し、残りはベース部材2に固溶させずに、固溶層3上にRu層4として残存させる。本実施の形態においても、固溶層3とRu層4の形成状態は、工程(S13)における水素雰囲気中での加熱条件で制御される。なお、ここでの加熱条件としては、固溶層3が形成される一方、Ru層4の一部が固溶層3上に残存するような任意の条件を選択できる。
これによって、工程(S13)後以降は、ベース部材2の表面に自然酸化膜が再形成されるのを抑制できるため、次の工程(S14)においては、白金族元素を主成分とする被覆層1をめっき法により容易に形成できる。
なお、ベース部材2の表面では、先の工程(S13)において、Ruの薄膜の一部がベース部材2に固溶して固溶層3を形成し、Ruの薄膜の残りがベース部材2における固溶層3上にRu層4(図3参照)を形成している。よって、ここでのベース部材2の表面上とは、ベース部材2における固溶層3上に形成されたRu層4上を指している。これにより、ベース部材2の表面における酸化膜の再形成を抑制できる。したがって、白金族元素を主成分とする被覆層1は、めっき法によってもベース部材2上に密着性よく成膜され得る。その結果、蒸着法等で被覆層1を成膜する製造方法に比べて低コスト化を図ることができる。
本実施の形態に係る積層体における被覆層1は、白金族元素を主成分とする複数層が積層した構成でもよい。また、被覆層1の材料としては、白金族元素を主成分とする任意の素材を選択できるが、Ruであってもよい。
以上のように、本実施の形態2に係る積層体の製造方法は、基本的には図1に示した積層体の製造方法と同様であり、ベース部材2の表面にRuの固溶層3を形成して、ベース部材2と密着性の良い被覆層1をめっき法にて形成可能とすることができる。その結果、蒸着法に比べて積層体の製造コストを抑えることができる。
以下、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
本発明に係る積層体は、図1や図3に示すようにベース部材2と被覆層1とを備える。ベース部材2はMoまたはWを主成分とする。被覆層1は、ベース部材2表面に形成され、白金族元素を主成分とする。ベース部材2は、被覆層1と対向する表面層に形成されRuが固溶した固溶層3を含む。
このようにすれば、ベース部材2の表面層にRuが固溶した固溶層3が形成されているので、当該固溶層3上に白金族元素を主成分とする被覆層1を密着性の高い状態で形成することができる。したがって、半導体材料と線膨張係数が近似する材料からなるベース部材に、摺動性などに優れた白金族元素を主成分とする被覆層1が密着した積層体を得ることができる。
上記積層体では、上記固溶層3において、被覆層1と対向する最表面でのRu濃度は、固溶層3中での他の領域におけるRu濃度より高い方が好ましい。この場合、固溶層3において被覆層1と対向する最表面でのRu濃度を相対的に高めることによって、固溶層3の最表面における被覆層1との密着性を確実に向上させることができる。
上記積層体において、上記被覆層1は、Ruを主成分としてもよい。この場合、被覆層1の主成分として耐浸食性や摺動性に優れるRuを用いることで、積層体の耐浸食性や摺動性などの特性を確実に向上させることができる。
上記積層体は、図3に示すように、ベース部材2と被覆層1との間に位置するルテニウム層(Ru層4)をさらに備えていてもよい。この場合、Ru層4がベース部材2と被覆層1との接触界面に位置することになるので、ベース部材2と被覆層1との密着性をより向上させることができる。
本発明に係るヒートシンクは、上記積層体よりなる。このようにすれば、半導体デバイス(特に半導体パワーデバイス)に適用される、優れた特性のヒートシンクを実現できる。
本発明に係る積層体の製造方法は、MoまたはWを主成分とするベース部材2を準備する工程(S11)と、ベース部材2の表面にRuの薄膜を形成する工程(S12)と、Ruの薄膜を表面に有するベース部材2を水素雰囲気中で加熱処理し、ベース部材中にRuを固溶させる工程(S13)と、ベース部材2においてRuが固溶した固溶層3表面上に白金族元素を主成分とする膜を形成する工程(S14)とを備える。
このようにすれば、ベース部材2において確実に上記固溶層3を形成し、本発明に係る積層体を製造することができる。
上記積層体の製造方法において、上記Ruの薄膜を形成する工程(S12)と、白金族元素を主成分とする膜を形成する工程(S14)とは、めっき法により行なうことができる。この場合、Ruの薄膜および白金族元素を主成分とする膜を比較的安価な方法で形成することができ、結果的に積層体の製造コストを低減できる。
上記積層体の製造方法において、上記白金族元素は、Ruであってもよい。この場合、被覆層1の主成分として耐浸食性や摺動性に優れるRuを用いることで、積層体の耐浸食性や摺動性などの特性が向上した積層体を確実に得ることができる。
本発明に従った積層体の試料を作成し、その断面を観察した。
<試料>
ベース部材としてのMoからなる、直径50mmの円板状ベース部材を2枚準備した。
2枚のベース部材の表面にRu膜をめっき法により形成した。Ru膜の膜厚は0.05μmとした。
その後、780℃の加熱温度で30分間の加熱処理を行った。加熱処理の雰囲気は水素雰囲気であり、具体的には水素濃度100%という条件の雰囲気を用いた。このようにして、ベース部材の表面にRuが固溶した固溶層を形成した。ここで、上記熱処理が終了した2枚のベース部材のうちの一方は、後述するように深さ方向の組成分析に用いるサンプルAとした。
また、他方のベース部材については、その後、ベース部材において先にRu膜を形成した表面上に、被覆層としてのRu膜をめっき法を用いて形成した。Ru膜の膜厚は0.3μmとした。さらに、当該Ru膜上にカーボン(C)を0.01μm蒸着した。このようにRu膜およびカーボン蒸着膜を形成した試料をサンプルBとした。
<実験方法>
上記サンプルBについて、切断面を観察するための切断加工および研磨加工などを行った後、その断面を観察した。観察には走査型電子顕微鏡を用い、反射電子像を撮影した。
また、サンプルBについて、表面からの深さ方向について組成分析を行った。組成分析は、GD−OES(Glow Discharge−Optical Emission Spectroscopy)法で行い、分析装置は堀場製作所 GD−Profiler2を用いた。
<結果>
断面観察について:
図4に、サンプルBの反射電子像を示す。図4に示すように、積層体の表面(被覆層の表面)から約0.25μmの深さで像に変化が見られ、これより深い領域は一様な像が得られたことから、積層体の表面から約0.25μmより深い領域はベース部材と同様の結晶構造を有していることが確認できた。また、被覆層とベース部材との境界部近傍において空隙等は確認できず、ベース部材の表面上に被覆層が密着性よく形成されていることが確認できた。
深さ方向の組成分析について:
結果を図5に示す。図5の横軸はサンプルAにおける表面からの深さ(単位:μm)を示し、縦軸は測定した各元素の濃度(単位:mass%)を示す。図5中、Rの濃度は実線のグラフで示され、Moの濃度は点線のグラフで示されている。図5からわかるように、Ru濃度がベース部材の表面から深さ方向に傾斜している(つまりベース部材の表面から内部に向けてRu濃度が徐々に低下している)分布を示す固溶層が形成されていることを確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の積層体は、パワー半導体デバイス用のヒートシンクとして、特に有利に適用される。
1 被覆層、2 ベース部材、3 固溶層、4 Ru層。

Claims (7)

  1. モリブデンまたはタングステンを主成分とするベース部材と、
    前記ベース部材の表面上に形成された、白金族元素を主成分とする被覆層とを備え、
    前記ベース部材は、前記被覆層と対向する表面層に形成され、ルテニウムが固溶した固溶層を含む、積層体。
  2. 前記固溶層において、前記被覆層と対向する最表面でのルテニウム濃度は、前記固溶層中での他の領域におけるルテニウム濃度より高くなっている、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記被覆層はルテニウムを主成分とする、請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記ベース部材と前記被覆層との間に位置するルテニウム層をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体よりなるヒートシンク。
  6. モリブデンもしくはタングステンを主成分とするベース部材を準備する工程と、
    前記ベース部材の表面にルテニウムの薄膜を形成する工程と、
    水素雰囲気中で、前記ルテニウムの薄膜を前記表面に有する前記ベース部材を加熱処理し、前記ベース部材中に前記ルテニウムを固溶させる工程と、
    前記ベース部材において、前記ルテニウムが固溶した前記表面上に白金族元素を主成分とする膜を形成する工程とを備える、積層体の製造方法。
  7. 前記ルテニウムの薄膜を形成する工程と、前記白金族元素を主成分とする膜を形成する工程とは、めっき法を用いて行なわれる、請求項6に記載の積層体の製造方法。
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