図1は、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態を示す構成図である。図中、1は目標再現開始値情報取得部、2は目標絶対色値情報変換部、3は色較正係数算出部である。ここでは、較正の目標とする出力装置を目標出力装置とし、目標出力装置に与える色値と、その色値を与えて出力される色値とを対応づけて目標絶対色値情報とする。また、較正対象の出力装置を較正出力装置とし、現状の較正出力装置に与える色値と、その色値に対応して出力される色値とを対応づけて装置絶対色値情報とする。この目標絶対色値情報と装置絶対色値情報とが与えられるものとする。
目標絶対色値情報は、例えば、目標出力装置に色値を与え、出力された色を測色し、与えた色値と測色値とを対にし、複数の対からなる情報を目標絶対色値情報とすればよい。目標出力装置は、別の実在する出力装置でも仮想的な出力装置でもよく、あるいは較正出力装置の過去の状態であってもよい。較正出力装置の過去の状態を目標出力装置とする場合、過去に取得した色値の対を目標絶対色値情報とすればよい。もちろん、与えた色値と対となる測色値は、実際に測色しなくても、予め用意しておけばよく、あるいは測色値を意図的に変更した色値でもよく、与える色値と出力される色値とが対となった目標絶対色値情報が用意してあればよい。また装置絶対色値情報は、例えば、較正対象の出力装置に色信号を与え、出力された色を測色し、与えた色信号と測色値とを対にした複数の対からなる情報でよい。
目標再現開始値情報取得部1は、目標絶対色値情報をもとに、目標出力装置に対して与える色値を紙白から変化させた場合に色再現が視認される値である再現開始値に対応して出力される色値を取得する。
目標絶対色値情報変換部2は、予め設定されている再現開始設定値に対応する色値が、目標再現開始値情報取得部1により得られた再現開始値に対応する色値となるように、目標絶対色値情報を変換する。
色較正係数算出部3は、較正出力装置の装置絶対色値情報と、目標絶対色値情報変換部2で変換した目標絶対色値情報から、較正出力装置に与える色値を較正するための係数を算出する。係数の算出方法は、従来から行われている方法を使用すればよく、一例としては変換した目標絶対色値情報と装置絶対色値情報との突き当てによって行えばよい。あるいは、変形例として後述する紙白補正を行ってから係数を求めてもよい。
図2は、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態における動作の一例の説明図である。図2(A)において、目標絶対色値情報を実線で示している。紙白をαとし、この紙白αから色値を変化させ、色値Rにおいて出力された色に色差ΔEが生じ、色が視認されるものとしている。この色値Rが再現開始値であり、色値Rを目標出力装置に与えた際に出力される色値が色値βである。ここで、予め設定されている再現開始設定値が色値Rよりも白に近い色値Sであったとする。色値Sでは紙白との色差が色差ΔEよりも小さく、色の違いは視認されないことになる。そのため、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態では、色再現開始設定値である色値Sで紙白との色差がΔEとなり、紙白との色の違いが視認されるように、目標絶対色値情報を変換する。
目標再現開始値情報取得部1では、目標絶対色値情報をもとに、再現開始値に対応して出力される色値を取得する。図2(A)に示す例では、再現開始値である色値Rを目標出力装置に与えた際に出力される色値βを取得する。
目標絶対色値情報変換部2では、予め設定されている再現開始設定値に対応する色値が、目標再現開始値情報取得部1により得られた再現開始値に対応する色値となるように、目標絶対色値情報を変換する。この例では、再現開始設定値が色値S、目標再現開始値情報取得部1により得られた再現開始値Rに対応する色値は色値βであるから、目標出力装置に色値Sを与えた際に出力される色値が色値βとなるように、目標絶対色値情報を変換する。変換方法としては種々の公知の方法を採用すればよい。一例としては、図2(B)に示す関数による変換を行うとよい。
図2(B)に示した関数の例では、紙白と予め決められた色値Tを固定し、変換前の色値が紙白から色値Rまでを紙白から色値Sに変換し、色値Rから色値Tまでを色値Sから色値Tに変換するものである。このような変換により、図2(A)において実線で示した目標絶対色値情報は、太線で示した変化を示すようになる。このような変換により、色値Sを目標出力装置に与えた場合の出力される色値が色値βとなる目標絶対色値情報に変換されることになる。
目標絶対色値情報の具体例として、目標出力装置に与える色値をCMYK色空間の色値、出力される色値をCIELAB色空間の色値とすると、再現開始値となる色値R(CMYK)と色値β(Lab)が対となっており、この色値R(CMYK)を色値S(CMYK)に変更することにより色変換が実現される。他の目標絶対色値情報の色値の対についても、図2(B)に示した関数に従って与える色値(CMYK)を変更してゆけばよい。それぞれの色空間は一例であって、他の色空間でもよいことは言うまでもない。
得られた変換後の目標絶対色値情報では、予め設定されている再現開始設定値で出力される色値βと紙白の色値αとの色差として色差ΔEを確保しており、紙白との色の違いが視認される情報が得られていることになる。この変換後の目標絶対色値情報と、較正出力装置の装置絶対色値情報とから、色較正係数算出部3は較正するための係数を算出すればよい。
図3は、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態における動作の別の例の説明図である。図2に示した例では目標絶対色値情報のうち、与える色値を変更する例を示しているが、これに限らず、出力される色値、あるいは与える色値と出力される色値の両方を変更してもかまわない。図3に示す例では、目標絶対色値情報の出力される色値を変更する場合の一例を示している。
図3(A)において、目標絶対色値情報を実線で示している。紙白をαとし、図2で説明した再現開始値を色値R、色値Rで出力される色値をβ、色値αと色値βの色差を色差ΔEとして示している。目標再現開始値情報取得部1では、目標絶対色値情報をもとに、再現開始値である色値Rを目標出力装置に与えた際に出力される色値βを取得する。
予め設定されている再現開始設定値である色値Sが色値Rよりも白に近い色値であったとする。この場合、目標絶対色値情報変換部2では、まず、色値Sにおいて出力される色値が色値βとなるように、目標絶対色値情報を相対変換する。相対変換後の目標絶対色値情報の変化を細線で示している。
そして、目標絶対色値情報と相対変換後の目標絶対色値情報とを、紙白及び予め決められた色値T以降では目標絶対色値となり、色値Sでは相対変換後の目標絶対色値情報となるように、両者を合成する変換を行えばよい。合成方法としては、例えば図3(C)に示した合成比により両者を合成すればよい。合成変換後の変化を図3(B)に太線で示している。
得られた合成変換後の目標絶対色値情報では、予め設定されている再現開始設定値(色値S)で出力される色値βと紙白の色値αとの色差として色差ΔEを確保しており、紙白との色の違いが視認される情報が得られていることになる。この合成変換後の目標絶対色値情報と、較正出力装置の装置絶対色値情報とから、色較正係数算出部3は較正するための係数を算出すればよい。
図4は、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態における第1の変形例を示す構成図である。図中、4は目標紙白補正部、5は装置紙白補正部である。前述したが、較正の際に目標出力装置における紙白と、較正出力装置の紙白が異なっている場合があり、このような場合、ハイライト部分の階調が急峻に変化し、あるいは階調が再現されないなどの不具合が生じることがある。この第1の変形例では、紙白補正の処理を行い、紙白の違いによる不具合を解消する例を示している。
目標紙白補正部4は、目標絶対色値情報変換部2で変換された目標絶対色値情報に対して紙白の補正を行い、目標紙白色値情報を得る。また、装置紙白補正部5は、装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い装置紙白色値情報を得る。いずれの紙白補正の方法についても公知の手法を用いればよく、相対変換技術や中高濃度絶対技術などを使用するとよい。
本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態の第1の変形例における動作の一例について説明する。ここでは、具体例として紙白補正の方法に中高濃度絶対技術を用いるものとし、まず再現開始値を考慮しない場合について説明してから、再現開始値を考慮した場合について説明する。なお、目標絶対色値情報及び装置絶対色値情報の与える色値及び出力される色値の色空間は限定されないが、具体例として説明する場合には、与える色値の色空間はCMYK色空間、出力される色値の色空間はCIELAB色空間であるとして説明する。
図5は、中高濃度絶対技術の一例と得られる較正係数の一例の説明図である。図5(A)には、目標絶対色値情報、相対変換技術により紙白補正を施した目標絶対色値情報、中高濃度絶対技術により紙白補正を施した後の目標絶対色値情報の変化について、それぞれ白を原点とする与える色値の変化と、対応する出力される色値の変化を示している。目標絶対色値情報の変化を実線で示しているが、目標絶対色値情報では、白の色値を与えた場合に出力される色値は紙白を示す色値αである。この白の色値を与えた場合に出力される色値が、基準白色値、例えば(L,a,b)が(100,0,0)となるように紙白補正を行う。相対変換技術を用いて紙白補正を施した場合の変化を細線で示している。相対変換技術では、紙白の色値αを基準白色値へ変換した際の変化量に従って、相対的に他の色値についても補正される。ここで基準白色点として、D50の三刺激値をXD50 YD50 ZD50 、α=(Lw ,aw ,bw )を三刺激値に変換した値をXw Yw Zw とし、与えられたLab値の三刺激値をXi Yi Zi 、紙白補正後の三刺激値をXrel Yrel Zrel とすると、その変換式は、
Xrel =(Xi /Xw )・XD50
Yrel =(Yi /Yw )・YD50
Zrel =(Zi /Zw )・ZD50 (式1)
となる。与えられたLab値の三刺激値Xi Yi Zi が紙白の色値(α=(Lw ,aw ,bw )の三刺激値Xw Yw Zw )の場合に、紙白補正後の三刺激値はXD50 YD50 ZD50 となる。
中高濃度絶対技術では、もとの目標絶対色値情報による色変化と、相対変換技術を用いて紙白補正を施した後の目標絶対色値情報による色変化とを、与える色値が白から予め決められた範囲、ここでは白からDcovの範囲で合成する技術である。合成は、与える色値が白では相対変換技術により紙白補正を施した後の目標絶対色値情報、Dcovではもとの目標絶対色値情報となるように変化させ、白からDcovの範囲以外では目標絶対色値情報とする。
図6は、中高濃度絶対技術を用いる場合の合成比の一例の説明図である。与える色値が白からDcovの範囲での合成としては、もとの目標絶対色値情報による色変化と相対変換技術を用いて紙白補正を施した後の目標絶対色値情報による色変化を合成する際の合成比を、例えば与える色値の色空間における白からの距離に応じて変更すればよい。図6に示した例では、与える色値が白(距離=0)では目標絶対色値情報から得られる色値(絶対と表記)と相対変換技術を用いて紙白補正を施した後の目標絶対色値情報から得られる色値(相対と表記)との合成比を0:100とし、距離がDcovの色値では合成比を100:0として、距離に応じた線形変換により合成比を設定している。この合成比に従って目標絶対色値情報から得られる出力される色値と相対変換技術を用いて紙白補正を施した後の目標絶対色値情報から得られる出力される色値を合成し、中高濃度絶対技術により紙白補正した出力される色値を求めればよい。例えば、距離がDcov/4では、25:75、Dcov/2では、50:50の合成比で、それぞれの距離において目標絶対色値情報から得られる出力される色値と相対変換技術を用いて紙白補正を施した後の目標絶対色値情報から得られる出力される色値とを合成すればよい。
なお、この方法では距離がDcov以上の中高濃度領域については、目標絶対色値情報から得られる色値が採用されることから、紙白補正の影響を受けない。図6では、中高濃度絶対技術により紙白補正された後の目標絶対色値情報の変化を太線で示している。
図5(B)には、装置絶対色値情報、相対変換技術により紙白補正を施した装置絶対色値情報、中高濃度絶対技術により紙白補正を施した後の装置絶対色値情報の変化について、それぞれ白を原点とする与える色値の変化と、対応する出力される色値の変化を、実線、細線、太線で示している。相対変換技術による紙白補正、中高濃度絶対技術による紙白補正については、目標絶対色値情報に対する紙白補正で上述した方法をそのまま用いている。
装置絶対色値情報では、紙白は色値γであり、目標絶対色値情報における紙白の色値αとは異なる場合がある。紙白補正の処理は、この異なる紙白の色値を基準白色値に補正する処理である。細線で示した相対変換技術、太線で示した中高濃度絶対技術によって、白値を基準白色値に合わせている。
図5(A)に太線で示した中高濃度絶対技術により紙白補正が施された目標絶対色値情報と、図5(B)に太線で示した中高濃度絶対技術により紙白補正が施された装置絶対色値情報を用い、求めた較正のための係数(較正のための関数)を図5(C)に示している。例えば色値aが与えられた場合、目標出力装置において紙白補正後の出力される色値は図5(A)に太線で示した目標紙白色値情報から色値bである。この色値bを較正出力装置で出力させるには、図5(B)に太線で示した紙白補正が施された装置絶対色値情報の曲線から、色値cを与えればよいことになる。すなわち、色値aが与えられた場合に、色値cに補正して較正出力装置に与えれば、目標出力装置と同等の出力が得られることになる。このような与える色値と補正後の色値との対応関係、上述の具体例では色値aと色値cの対応関係を示したものが図5(C)に示した関数である。このような関数を表す情報が較正のための係数である。
中高濃度絶対技術を用いて紙白補正を行って得た較正のための係数を用いて補正すれば、目標絶対色値情報を取得する際と装置絶対色値情報を取得する際とで下地となった紙の白色(色度)が異なっていても、ハイライト部分では白色の違いを除去した較正が行われることになる。また、ハイライト部分以外では実測値に応じた較正が行われることになる。
図7は、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態の第1の変形例において再現開始値を考慮した場合の中高濃度絶対技術による紙白補正の一例の説明図である。図7(A)では、図2(A)に示した目標絶対色値情報変換部2で変換された目標絶対色値情報の変化を実線で示し、その変換された目標絶対色値情報を相対変換技術により紙白補正した目標絶対色値情報の変化を細線で示し、これらから中高濃度絶対技術により紙白補正した目標絶対色値情報(目標紙白色値情報)を太線でそれぞれ示している。
目標紙白補正部4では、目標絶対色値情報変換部2で変換された目標絶対色値情報を相対変換技術により紙白補正した目標絶対色値情報を得て、図7(A)に実線で示した目標絶対色値情報変換部2で変換された目標絶対色値情報と、細線で示した相対変換技術により紙白補正した目標絶対色値情報とを、例えば図6に示した合成比に従って合成すれば、太線で示した中高濃度絶対技術により紙白補正した目標絶対色値情報が得られる。得られた中高濃度絶対技術により紙白補正した目標絶対色値情報を目標紙白色値情報とする。
一方、装置紙白補正部5では与えられた装置絶対色値情報に対して上述した方法により中高濃度絶対技術を用いて紙白補正を行い、装置紙白色値情報を得ればよい。図7(B)は図5(B)に示したものであり、装置絶対色値情報の変化を実線で、相対変換技術により紙白補正した装置絶対色値情報の変化を細線で、中高濃度絶対技術により紙白補正した装置絶対色値情報(装置紙白色値情報)を太線で、それぞれ示している。
色補正係数算出部3では、図7(A)において太線で示した目標紙白補正部4で得た目標紙白色値情報と、図7(B)において太線で示した装置紙白補正部5で得た装置紙白色値情報とから、較正のための係数(較正のための関数)を求める。一例としては、図5を用いて説明した突き当ての方法を用いればよい。例えば目標紙白色値情報から、目標出力装置に与える色値に対応する紙白補正後の出力される色値を得て、その色値を出力するために較正出力装置に与える色値を装置紙白色値情報から得る。これにより、目標出力装置に与える色値と較正出力装置に与える色値との対応関係が分かるので、この対応関係を示す情報を較正のための係数とすればよい。例えば、この例では図7(C)に示す関係の係数が得られる。
図8は、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態における第2の変形例を示す構成図である。図中、6は装置再現開始値情報取得部である。この第2の変形例では、上述の第1の変形例の較正に、装置再現開始値情報取得部6を設け、較正対象の出力装置における再現開始値についても考慮した例を示している。
装置再現開始値情報取得部6は、装置絶対色値情報をもとに、較正出力装置で与える色値を紙白から変化させて色再現が視認される値を装置再現開始値として取得するとともに、目標紙白補正部4で得た目標紙白色値情報から再現開始設定値での補正値を取得する。
装置色値紙白補正部3では、基本的には装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い、装置紙白色値情報を得るものであるが、装置再現開始値での補正後の値が再現開始設定値での補正値となるように、装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い、装置紙白色値情報を得る。
以下、本発明の色較正係数算出装置の第1の実施の形態の第2の変形例における動作の一例について説明する。ここでは、具体例として紙白補正の方法に中高濃度絶対技術を用いるものとして説明する。図9は、目標紙白色値情報及び装置絶対色値情報の一例と再現開始値との関係の一例の説明図である。図9(A)は図7(A)に太線で示した目標紙白色値情報と実線で示した目標絶対色値情報の変化の一例である。また、図9(B)には図7(B)に示した各曲線を示している。
上述の説明では目標出力装置における再現開始値を考慮した例を示しているが、較正出力装置でも再現開始値が存在し、目標出力装置における再現開始値とは異なる場合がある。目標出力装置において紙白から再現開始値までの色差ΔEを較正出力装置で得る場合に、較正出力装置に与える色値を色値U、色値Uを与えて出力される色値を色値δとする。この色値Uを装置再現開始値とする。
ここで、目標出力装置において与えられた再現開始設定値である色値Sで出力される色値εを較正出力装置において得るために較正出力装置に与える色値を、中高濃度絶対技術により紙白補正した装置絶対色値情報から求めると、色値Uよりも紙白に近い色値Vであったとする。しかし、紙白から装置再現開始値である色値Uまでは色の変化が視認されないことから、色値Vを与えて出力される色は、紙白との違いが視認されないことになる。このような再現開始値の違いによる不具合を解消するように、この第2の変形例では装置再現開始値情報取得部6を設け、この装置再現開始値情報取得部6で取得した情報を用いた紙白補正を装置紙白補正部5において行っている。以下、その処理の一例について説明する。
図10は、装置再現開始値を考慮した紙白補正処理の一例の説明図である。図10(A)は図7(A)、図9(A)に示したものであり、目標絶対色値情報の変化を実線で、目標紙白色値情報の変化を太線で、それぞれ示している。また、図10(B)において実線で示した装置絶対色値情報の変化と、破線で示した中高濃度絶対技術により紙白補正を施した装置絶対色値情報の変化については、図2(B)、図9(B)においてそれぞれ実線及び太線で示したものである。
較正出力装置側において装置再現開始値を考慮した較正を行う場合、基本的には、目標出力装置で再現開始設定値を与えて出力される色値が、較正出力装置における再現開始値で再現されるように較正すればよい。例えば図10においては目標出力装置における再現開始設定値である色値Sで出力される色値εが、較正出力装置で装置再現開始値である色値Uを与えて出力される色値となればよい。
この処理のために、装置再現開始値情報取得部6は、目標出力装置における再現開始設定値である色値Sを与えた場合に出力される色値εを取得するとともに、較正出力装置における装置再現開始値である色値Uを取得する。色値εは、目標紙白色値情報を用いて再現開始設定値である色値Sから求めればよい。
装置色値紙白補正部5では、装置再現開始値Uでの紙白補正後の色値が色値εとなるように、装置絶対色値情報に対して紙白補正を行い、装置紙白色値情報を得る。得られた装置紙白色値情報の変化を、図10(B)において太線で示している。
上述のように、中高濃度絶対技術ではハイライト部分において紙白補正前の色値情報、その色値情報に対して相対変換技術を用いて紙白補正を施した色値情報とを、例えば図6に示した合成比に応じて合成したものであった。ここでも、装置再現開始値Uで色値εが得られるように合成比を設定すれば、装置紙白色値情報が得られる。
図11は、装置紙白色値情報を求める際の合成比の一例の説明図である。図11に示した例では、紙白値(距離=0)では装置絶対色値情報から得られる色値(絶対と表記)と、相対変換技術を用いて補正した装置絶対色値情報から得られる色値(相対と表記)との合成比を0:100とし、距離がDcovの色値では合成比を100:0とするとともに、距離がUの場合に色値εが得られる合成比としてp:qを設定している。そして、距離が0以上U以下の範囲で線形変換により合成比を設定し、また距離がU以上Dcov以下の範囲でも、その範囲における線形変換により合成比を設定している。この合成比に従って装置絶対色値情報から得られる値と、相対変換技術を用いて補正した装置絶対色値情報から得られる値を合成し、装置絶対色値情報を紙白補正した装置紙白色値情報を求めればよい。
図10(A)に太線で示した目標紙白色値情報と、図10(B)に太線で示した装置紙白色値情報を用い、求めた較正のための係数(較正のための関数)を図10(C)に示している。例えば色値Sが与えられた場合、目標出力装置において紙白補正後の色値は図10(A)に太線で示した目標紙白色値情報から色値εである。この色値εを較正出力装置で出力させるには、図10(B)に太線で示した装置紙白色値情報の曲線から、色値Uを与えればよいことになる。すなわち、色値Sが与えられた場合に、色値Uに補正して較正出力装置に与えれば、目標出力装置での出力である色値εが得られることになる。この場合、目標出力装置では再現開始設定値である色値Sで紙白から色の変化が視認されるが、較正出力装置においても、補正された色値Uが装置再現開始値であることから、紙白からの色の変化が視認されることになる。図10(C)に示す、与えた色信号と補正後の色信号との対応関係を示す情報を、較正のための係数として色較正係数算出部3で得ればよい。例えば、関数を表す係数や、対応表などの形態で較正のための係数を算出するなど、従来から較正のために得ている情報を算出すればよい。
上述の第1の変形例及び第2の変形例の説明では、基本的な紙白補正方法として中高濃度絶対技術を用いる場合について説明した。これに限らず、紙白補正方法として例えば相対変換技術を基本として用いてもよい。その場合、第2の変形例では較正出力装置における装置再現開始値での補正後の値を、目標出力装置における再現開始設定値における補正後の値となるようにし、その前後での変換比率を変更すればよい。もちろん、そのほかの紙白補正技術についても、このような再現開始点における補正値を合わせるように補正すればよい。
図12は、本発明の色較正係数算出装置の第2の実施の形態を示す構成図である。図中、11は目標紙白補正部、12は目標再現開始値情報取得部、13は目標紙白色値情報変換部、14は装置紙白補正部、15は色較正係数算出部である。上述の第1の実施の形態では、予め設定されている再現開始設定値での色再現を行うための補正を、目標絶対色値情報に対して行ったが、この第2の実施の形態では、紙白補正後の目標絶対色値情報である目標紙白色値情報に対して行う例を示している。なお、与えられる目標絶対色値情報及び装置絶対色値情報は第1の実施の形態で説明した通りである。
目標紙白補正部11は、目標絶対色値情報に対して紙白の補正を行い、目標紙白色値情報を得る。紙白補正の方法としては、相対変換技術や中高濃度絶対技術など、種々の技術から選択して用いればよい。
目標再現開始値情報取得部12は、目標絶対色値情報をもとに、目標出力装置で与える色値を紙白から変化させて色再現が視認される値である再現開始値を求めて目標再現開始値とするとともに、その目標再現開始値に対応して出力される紙白補正後の色値を、目標紙白補正部11で得た目標紙白色値情報から取得する。
目標紙白色値情報変換部13は、予め定められた目標出力装置の再現開始設定値に対応する色値が、目標再現開始値情報取得部12で取得した目標再現開始値に対応する色値となるように、目標紙白補正部11で得た目標紙白色値情報を変換する。
装置紙白補正部14は、装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い装置紙白色値情報を得る。紙白補正の方法は目標紙白補正部11で用いる方法とすればよく、相対変換技術や中高濃度絶対技術などを使用するとよい。
色較正係数算出部15は、目標紙白色値情報変換部13で変換した目標紙白色値情報と装置紙白補正部14で得た装置紙白色値情報から、較正出力装置に与える色値を較正するための係数を算出する。係数の算出方法は、従来から行われている方法を使用すればよく、一例としては変換した目標紙白色値情報と装置紙白色値情報との突き当てによって行えばよい。
図13は、本発明の色較正係数算出装置の第2の実施の形態における動作の一例の説明図である。ここでは具体例として、中高濃度絶対技術を用いて紙白補正を行うものとして説明する。
図13(A)において、目標絶対色値情報の変化を実線で示し、相対変換技術を用いて紙白補正した目標絶対色値情報の変化を細線で示し、中高濃度絶対技術を用いて紙白補正した目標絶対色値情報の変化を破線で示している。中高濃度絶対技術による紙白補正については、図5、図6を用いて上述したとおりであり、紙白から予め決められた色値Dcovの範囲で、目標絶対色値情報と、相対変換技術を用いて紙白補正を施した後の目標絶対色値情報とを、予め決められた合成比率、例えば図6に示した合成比などにより合成する。目標紙白補正部11では、このような目標絶対色値情報に対する紙白の補正を行い、目標紙白色値情報を得る。
目標再現開始値情報取得部12は、まず、目標絶対色値情報をもとに目標再現開始値を求める。この例では色値Rが得られたものとしている。さらに、その目標再現開始値である色値Rに対応して出力される紙白補正後の色値を、目標紙白補正部11で得た目標紙白色値情報から取得する。この例では、破線で示した目標紙白色値情報から色値Rに対応する色値ζが取得されたものとしている。
目標紙白色値情報変換部13では、予め定められた目標出力装置の再現開始設定値に対応する色値が、目標再現開始値情報取得部12で取得した目標再現開始値に対応する色値となるように、目標紙白補正部11で得た目標紙白色値情報を変換する。ここでは再現開始設定値を色値Sとし、色値Sに対応する色値が、目標再現開始値である色値Rに対応する紙白補正後の色値ζとなるように、目標紙白色値情報を変換することになる。図13(A)に示した例では、目標紙白色値情報から得られる色値Sに対応する色値ηを色値ζに変換することになる。また、紙白から色値Sの範囲では、紙白へ向けて徐々に変換量を減少させ、また色値Sから色値Dcovの範囲では色値Dcovへ向けて変換量を減少させている。得られた変換後の目標紙白色値情報の変化を、図13(A)において太線で示している。
このような変換を行えば、目標再現開始値である色値Rでの紙白補正後の色差、すなわち基準紙白値と色値ζとの色差が、再現開始設定値である色値Sで得られている。基準紙白値と色値ζとの色差は、目標絶対色値情報での再現開始色差ΔEを紙白補正した場合の色差である。この色差が色値Sで得られていることから、色値Sにおいて、紙白との色の違いが視認される色値情報が得られたことになる。
一方、装置紙白補正部14では、装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い装置紙白色値情報を得る。装置絶対色値情報に対しても中高濃度絶対技術を用いて紙白補正を行うものとする。図13(B)では装置絶対色値情報の変化を実線で示し、相対変換技術を用いて紙白補正した装置絶対色値情報の変化を細線で示し、中高濃度絶対技術を用いて紙白補正した装置絶対色値情報(装置紙白色値情報)の変化を太線で示している。
色較正係数算出部15は、目標紙白色値情報変換部13で変換した目標紙白色値情報と装置紙白補正部14で得た装置紙白色値情報から、較正出力装置に与える色値を較正するための係数を算出する。この例では、図13(A)に太線で示した変換後の目標紙白色値情報と、図13(B)に太線で示した装置紙白色値情報との突き当てにより、例えば図13(C)に示す関数を較正のための係数として得ればよい。
例えば色値Sについては、目標出力装置に色値Sを与えた場合に出力される紙白補正後の色値として、図13(A)に太線で示した変換後の目標紙白色値情報から色値ζが得られる。この色値ζが較正出力装置から出力されるために、較正出力装置に与える色値を図13(B)に太線で示した装置紙白色値情報から得ると、色値Vが得られることになる。この色値Sと色Vの関係を、他の色値についても取得すると、目標出力装置に与える色値と較正出力装置に与える色値との対応関係が分かるので、この対応関係を示す情報を較正のための係数とすればよい。この対応関係を図13(C)に示している。
ここでは紙白補正の方法として中高濃度絶対技術を用いるものとして説明したが、例えば相対変換技術など、他の紙白補正技術を用いてもよいことは言うまでもない。
図14は、本発明の色較正係数算出装置の第2の実施の形態における変形例を示す構成図である。図中、16は装置再現開始値情報取得部である。この変形例は、上述の第1の実施の形態における第2の変形例で説明した、較正対象の出力装置における再現開始値についても考慮した例である。
装置再現開始値情報取得部16は、装置絶対色値情報をもとに、較正出力装置で与える色値を紙白から変化させて色再現が視認される値を装置再現開始値として取得するとともに、目標紙白補正部11で得た目標紙白色値情報から再現開始設定値での補正値を取得する。
装置紙白補正部14では、基本的には装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い、装置紙白色値情報を得るものであるが、装置再現開始値での補正後の値が再現開始設定値での補正値となるように、装置絶対色値情報に対して紙白の補正を行い、装置紙白色値情報を得る。
図15は、本発明の色較正係数算出装置の第2の実施の形態の変形例における動作の一例の説明図である。ここでは、具体例として紙白補正の方法に中高濃度絶対技術を用いるものとして説明する。図15(A)は図13(A)に示したものであり、目標絶対色値情報の変化を実線で、変換後の目標紙白色値情報の変化を太線で、それぞれ示している。また、図15(B)において実線で示した装置絶対色値情報の変化と、破線で示した中高濃度絶対技術により紙白補正を施した装置絶対色値情報の変化については、図13(B)においてそれぞれ実線及び太線で示したものである。
図15(B)において、目標出力装置において紙白から再現開始値までの色差ΔEを較正出力装置で得る場合に、較正出力装置に与える色値(装置再現開始値)を色値U、色値Uを与えて出力される色値を色値δとして示している。
本発明の第1の実施の形態の第2の変形例でも説明したが、較正出力装置側において装置再現開始値を考慮した較正を行う場合、基本的には、目標出力装置で再現開始設定値を与えて出力される色値が、較正出力装置における再現開始値で再現されるように較正すればよい。例えば図15においては目標出力装置における再現開始設定値である色値Sに対応する補正された色値ζが、較正出力装置で装置再現開始値である色値Uを与えて出力される色値となればよい。
この処理のために、装置再現開始値情報取得部16は、目標出力装置における再現開始設定値である色値Sに対応する補正された色値ζを取得するとともに、較正出力装置における装置再現開始値である色値Uを取得する。色値ζは、目標紙白色値情報を用いて再現開始設定値である色値Sから求めればよい。あるいは、目標相対紙白色値情報変換部13で変換された目標紙白色値情報を用いて、色値Sに対応する色値ζを求めてもよい。
装置紙白補正部14では、装置再現開始値である色値Uでの紙白補正後の色値が色値ζとなるように、装置絶対色値情報に対して紙白補正を行い、装置紙白色値情報を得る。得られた装置紙白色値情報の変化を、図15(B)において太線で示している。装置紙白色値情報を得る際には、例えば図11に示した合成比により、図15(B)に実線で示した装置絶対色値情報と、細線で示した相対変換技術で紙白補正した装置絶対色値情報を合成すればよい。
図15(A)に太線で示した変換後の目標紙白色値情報と、図15(B)に太線で示した装置紙白色値情報を用い、求めた較正のための係数(較正のための関数)を図15(C)に示している。例えば色値Sが与えられた場合、目標出力装置において紙白補正後の色値は図15(A)に太線で示した変換後の目標紙白色値情報から色値ζである。この色値ζを較正出力装置で出力させるには、図15(B)に太線で示した装置紙白色値情報の曲線から、色値Uを与えればよいことになる。すなわち、色値Sが与えられた場合に、色値Uに補正して較正出力装置に与えれば、目標出力装置での出力である色値ζが得られることになる。この場合、目標出力装置では再現開始設定値である色値Sで紙白から色の変化が視認されるが、較正出力装置においても、補正された色値Uが装置再現開始値であることから、紙白からの色の変化が視認されることになる。図15(C)に示す、与えた色信号と補正後の色信号との対応関係を示す情報を、較正のための係数として色較正係数算出部15で得ればよい。例えば、関数を表す係数や、対応表などの形態で較正のための係数を算出するなど、従来から較正のために得ている情報を算出すればよい。
この第2の実施の形態の変形例の説明では、基本的な紙白補正方法として中高濃度絶対技術を用いる場合について説明した。これに限らず、紙白補正方法として例えば相対変換技術など、他の紙白補正技術を用いてもよいことは言うまでもない。
図16は、本発明の色変換装置の実施の一形態を示す構成図である。図中、21は色変換部、22は補正部である。色変換部21は、出力装置に与えた色信号と出力された色とを対にした色値情報の集合を基本情報として、その基本情報をもとに作成された色変換モデルを用いて色変換を行う。色値情報は、例えば出力装置に対して色信号を与え、出力装置から出力される色を測色することにより、与えた色信号と測色値との対が得られる。この対を色値情報とすればよい。色信号についてはCMYやCMYK、RGBなどの出力装置に依存した色空間における種々の色信号でよく、測色値は、装置に依存しない色空間における色値であり、ここでは一例としてCIELAB色空間における色値とするが、これに限られるものではない。色値情報から、出力装置に依存した色空間の色信号から、装置に依存しない色空間の色値への対応関係が得られる。色変換モデルでは、色値情報の関係を逆に用い、装置に依存しない色空間の色値から出力装置に依存した色空間の色信号を得るモデルを作成しておく。なお、上述の本発明の色較正係数算出装置の第1,第2の実施の形態で使用した目標絶対色値情報を基本情報として用いてもよい。基本情報から色変換モデルを作成する方法については、従来より種々の方法が提案されており、いずれの方法を用いてもよい。一例としては、特開平10−262157号公報に記載されている重み付け回帰演算による方法を用いるとよい。
補正部22は、実際に色を出力させる出力装置を較正出力装置として、本発明の色較正係数算出装置の第1、第2の実施の形態で説明した方法により算出された較正のための係数を用いて、色変換部21による色変換結果を補正する。
上述の較正においては、装置非依存色空間の色値が色変換部21に与えられて出力装置に依存した色空間の色信号に変換される。その色信号は補正部22により補正され、出力装置へ渡されて色が出力されることになる。補正部22では、本発明の色較正係数算出装置の第1,第2の実施の形態で説明したように、目標出力装置の出力特性に補正されているとともに、再現開始設定値での色再現についても補正されており、目標出力装置において再現開始設定値で色再現されるように較正された色出力が得られる。
このように、補正部22では目標出力装置の出力特性及び再現開始設定値での色再現についても補正しているが、色変換部21で色変換を行う際の変換誤差によっては、補正部22で意図した補正が行われない場合がある。そのため、色変換部21において用いる色変換モデルは、補正部22による補正の意図が反映されるように、ハイライト部分では通常よりも変換誤差が少なくなるように作成しておくとよい。
図17は、色変換モデルの一例における基本情報と変換結果の一例の説明図である。色変換モデルを求める方法の一例として、例えば重み付け回帰演算による方法を用いることとし、基本情報の色値情報を丸印で、使用する重み関数を実線で、得られた色変換モデルによる変換結果の一例を太線で、それぞれ示している。
図17(A)及び(B)には一律に重み関数を用いた場合の色値情報と変換結果の一例を示しており、図17(A)において円で囲んだハイライト部分について、図17(B)に示している。重み付け回帰演算による方法では、各色値情報に対して重み付けを行うことにより、測色値のばらつきを抑えている。そのため、図17(B)に示すように、色変換モデルを用いた変換結果の変化は、与えられた色値情報が正しくても、その色値情報を通るわけではなく、誤差が生じる。
上述の再現開始値での色再現まで補正する場合、少なくともハイライト部分についての色変換誤差を図17(A)、(B)に示した場合に比べて低減するとよい。そのための方法の一例としては、ハイライト部分に色値情報を追加して色変換モデルを作成すればよい。図17(C)には色値情報を追加した場合を示しており、重み付け回帰演算の際に、追加した色値情報の影響も反映されることになる。そのため、色変換モデルによる変換結果は、色値情報を追加しない場合に比べて各色値情報に対する追従性が向上して誤差も低減する。
また別の方法として、少なくともハイライト部分について、各色値情報に追従させるように重み関数を変更することが考えられる。例えば重み関数の半値幅をハイライト部分以外よりも狭くすることにより、重み関数を変更しない場合に比べて他の色値情報の影響が減少し、色変換モデルによる変換結果はハイライト部分の色値情報に追従するようになる。この場合の一例を図17(D)に示している。
重み関数を変更した場合、測色値の誤差に影響されてしまう場合や、色値情報が他の色領域よりも少ない領域では色変換モデルによる変換結果が図17(E)に示すようにガタついてしまう場合がある。このような場合には、上述した色値情報を追加する方法を併用するとよい。これにより、図17(F)に示すガタつきのない色変換モデルの変換結果が得られる。
このように、色変換モデルを作成する際に基本情報に対する色値情報の追加や重み関数の変更などを少なくともハイライト部分で行っておけば、そのようなことを行わない場合に比べてハイライト部分での変換誤差が減少する。従って、補正部22によって、目標出力装置の出力特性への補正とともに、再現開始設定値での色再現の補正についても反映され、目標出力装置において再現開始設定値で色再現されるように較正された色出力が得られることになる。
ここでは重み付け回帰演算による方法を用いて色変換モデルを作成した場合について説明したが、このほかの方法を用いて色変換モデルを作成する場合についても、ハイライト部分について色値情報を追加し、あるいは色値情報への追従性を改善して、他の部分よりも色変換精度を上げておくとよい。また、図16に示した構成では色変換部21と補正部22とを別に示しているが、補正部22による補正をも含む色変換モデルを作成しておき、色変換を行ってもよいことは言うまでもない。
図18は、本発明の色較正係数算出装置の各実施の形態及び色変換装置の実施の一形態で説明した機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体とコンピュータの一例の説明図である。図中、31はプログラム、32はコンピュータ、41は光磁気ディスク、42は光ディスク、43は磁気ディスク、44はメモリ、51はCPU、52は内部メモリ、53は読取部、54はハードディスク、55はインタフェース、56は通信部である。
上述の本発明の色較正係数算出装置の各実施の形態及び色変換装置の実施の一形態として説明した各部の機能の全部または部分的に、コンピュータが実行するプログラム31によって実現してもよい。その場合、そのプログラム31およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータによって読み取られる記憶媒体に記憶させておけばよい。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取部53に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取部53にプログラムの記述内容を伝達するものである。例えば、光磁気ディスク41,光ディスク42(CDやDVDなどを含む)、磁気ディスク43,メモリ44(ICカード、メモリカード、フラッシュメモリなどを含む)等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
これらの記憶媒体にプログラム31を格納しておき、例えばコンピュータ32の読取部53あるいはインタフェース55にこれらの記憶媒体を装着して、コンピュータからプログラム31を読み出し、内部メモリ52またはハードディスク54(磁気ディスクやシリコンディスクなどを含む)に記憶し、CPU51によってプログラム31を実行し、上述の本発明の色較正係数算出装置の各実施の形態及び色変換装置の実施の一形態として説明した機能が全部又は部分的に実現される。あるいは、通信路を介してプログラム31をコンピュータ32に転送し、コンピュータ32では通信部56でプログラム31を受信して内部メモリ52またはハードディスク54に記憶し、CPU51によってプログラム31を実行して実現してもよい。
コンピュータ32には、このほかインタフェース55を介して様々な装置が接続されていてもよい。例えば出力装置がインタフェース55を介して接続され、色変換し、補正を施した色信号に基づいて出力装置で色再現するように構成してもよい。また、例えば情報を受け付ける受付手段等も接続されていてもよい。なお、各構成が1台のコンピュータにおいて動作する必要はなく、処理段階に応じて別のコンピュータにより処理が実行されてもよい。もちろん、本発明の色較正係数算出装置の各実施の形態として説明した機能と、本発明の色変換装置の実施の一形態として説明した機能とが別のコンピュータにより処理が実行されてよいことは言うまでもない。