<実施形態1>
図1は、本発明の第1の実施形態の健診情報分析システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
本実施形態の健診情報分析システムは、サーバ101、データベース102及び端末装置103を備える。
サーバ101とデータベース102とは、サーバ101がデータベース102に格納されたデータにアクセス可能なように接続される。また、サーバ101と端末装置103とは、ネットワーク104を介して接続される。
サーバ101は、入力装置111、出力装置112、プログラムを実行するプロセッサ(CPU)113、プログラムを格納するメモリ(図示省略)、記憶装置114及び通信インターフェース115を有する計算機である。
入力装置111は、キーボード及びマウスなどであり、管理者からの入力を受けるインターフェースである。出力装置112は、ディスプレイ装置及びプリンタなどであり、管理者が視認可能な形式で計算結果を出力する。
プロセッサ113は、メモリに格納されたプログラムを実行する。
メモリは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶装置であり、オペレーティングシステム(OS)及びアプリケーションプログラムを格納する。プロセッサ113が、オペレーティングシステムを実行することによって、サーバ101の基本機能が実現され、アプリケーションプログラムを実行することによって、サーバ101が提供する機能が実現される。
通信インターフェース115は、サーバ101をネットワークに接続し、他の装置との通信を制御する。
記憶装置114は、例えば、磁気記憶装置、フラッシュメモリ等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ113によって実行されるプログラム及びプログラム実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プロセッサ113によって実行されるプログラムは、記憶装置114から読み出され、メモリにロードされて、プロセッサ113によって実行される。
具体的には、記憶装置114は、制御部131、対象団体分布作成部132、参照集団分布作成部133、分布比較部134、指標値算出部135、治療状況判定部136、出力部137及び背景因子項目管理部138の各部を実装するためのプログラムを格納する。
制御部131は、所定のプログラムの実行によって、他の各部を呼び出して、本実施形態の健診情報分析システムの動作の全体を制御する。
対象団体分布作成部132は、所定のプログラムの実行によって、対象団体の指標の分布と背景因子項目の分布とを作成する(図12参照)。
参照集団分布作成部133は、所定のプログラムの実行によって、参照集団の指標の分布と背景因子項目の分布とを作成する(図13参照)。
分布比較部134は、所定のプログラムの実行によって、対象団体と参照集団との分布の面積差を求める(図14参照)。
指標値算出部135は、所定のプログラムの実行によって、対象団体や参照集団に属する人の健診結果から指標を計算する(図11参照)。
治療状況判定部136は、所定のプログラムの実行によって、対象団体及び参照集団から健診項目に関連する治療を行っている者を抽出する。
出力部137は、所定のプログラムの実行によって、健診情報分析システムによる分析結果を表示装置に表示する又はプリンタによって印刷するためのデータを出力する。
背景因子項目作成部138は、所定のプログラムの実行によって、背景因子項目管理部125(図6参照)のデータを生成する(図34参照)。
データベース102は、サーバ101が健診情報を分析するためのデータ、すなわち、健診情報管理部121(図2参照)、個人情報管理部122(図3参照)、団体情報管理部123(図4参照)、基準値管理部124(図5参照)、背景因子項目管理部125(図6参照)、指標管理部126(図7参照)、非可変項目管理部127(図8参照)及び契約項目管理部128(図9参照)を格納する。
サーバ101は、物理的に一つの計算機上に構築されても、物理的には一つ又は複数の計算機上に構成された論理区画上に構築されてもよい。
なお、プロセッサ113によって実行されるプログラムは、不揮発性の記憶媒体又はネットワークを介して、サーバ101に提供される。このため、サーバ101は、記憶媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)を読み込むインターフェースを備えるとよい。
端末103は、通信インターフェース141、プログラムを実行するプロセッサ(CPU)142、プログラムを格納するメモリ(図示省略)、入力装置143及び出力装置144、及び記憶装置(図示省略)を有する計算機である。
通信インターフェース141は、端末103をネットワークに接続し、他の装置との通信を制御する。
プロセッサ142は、メモリに格納されたプログラムを実行する。
端末103のメモリは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶装置であり、オペレーティングシステム(OS)及びアプリケーションプログラムを格納する。プロセッサ142が、オペレーティングシステムを実行することによって、端末103の基本機能が実現され、アプリケーションプログラムを実行することによって、端末103が提供する機能が実現される。
入力装置143は、キーボード、マウス及びタッチパネルなどであり、ユーザからの入力を受けるインターフェースである。出力装置144は、ディスプレイ装置及びプリンタなどであり、ユーザが視認可能な形式で処理結果を出力する。
端末103の記憶装置は、例えば、磁気記憶装置、フラッシュメモリ等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ142によって実行されるプログラム及びプログラム実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プロセッサ142によって実行されるプログラムは、記憶装置から読み出されて、メモリにロードされて、プロセッサ142によって実行される。
端末103は、サーバ101から出力される計算結果を表示し、ユーザからの入力を受け付けるためのアプリケーション(例えば、webブラウザ)が動作すればよい。
図2は、本発明の第1の実施形態の健診情報管理部121に格納されるデータの構成を説明する図である。
健診情報管理部121は、健康診断の情報が格納されるデータベースであり、健診ID12101、個人ID12102、受診日12103、受診時年齢12104、身長12105、体重12106、BMI12107、GOT12108、GPT12109、血糖値12110、喫煙12111、間食12112、運動12113、糖尿病治療12114、脂質異常治療12115、高血圧治療12116、家族病歴12117及び職種12118のデータを含む。
健診ID12101は、健康診断を一意に識別する識別情報である。個人ID12102は、受診者を一意に識別する識別情報である。受診日12103は、健康診断が実施された年月日である。受診時年齢12104は、健康診断の実施日における受診者の年齢である。
BMI12107は、受診者の肥満度を示す指標であり、身長12105及び体重12106から計算することができる。GOT12108及びGPT12109は、逸脱酵素の血中濃度であり、肝機能を表す。血糖値12110は、受診者の血糖値である。これらの身長12105、体重12106、BMI12107、GOT12108、GPT12109及び血糖値12110は、健康診断によって得られる健診結果の一例であり、健診情報管理部121が他の種類の健診結果を含んでもよい。
喫煙12111は、受診者に喫煙の習慣があるかを示し、間食12112は、受診者に間食の習慣があるか(例えば、間食をするか、しないか)を示し、運動12113は、受診者に運動の習慣(例えば、1週間の運動量運動が多いか、少ないか)があるかを示す。これらの喫煙12111、間食12112及び運動12113は、健診における問診によって得られる健診結果の一例であり、健診情報管理部121が他の種類の生活習慣に関する問診の結果を含んでもよい。
糖尿病治療12114は、受診者が糖尿病治療中であるかを示し、脂質異常治療12115は、受診者が脂質異常(例えば、高脂血症)の治療中であるかを示し、高血圧治療12116は、受診者が高血圧の治療中であるかを示す。なお、図示した例では、治療中である場合は「1」が記録される。これらの糖尿病治療12114、脂質異常治療12115及び高血圧治療12116は、健診における問診によって得られる治療歴の一例であり、健診情報管理部121が他の種類の治療歴に関する情報を含んでもよい。
家族病歴12117は、受診者の家族の病歴であり、職種12118は受診者の職種である。健診情報管理部121が他の種類の個人情報を含んでもよい。
図3は、本発明の第1の実施形態の個人情報管理部122に格納されるデータの構成を説明する図である。
個人情報管理部122は、健康診断の受診者の情報が格納されるデータベースであり、個人ID12201、氏名12202、性別12203、企業12204、部門12205、業種12206及び地域12207のデータを含む。
個人ID12201は、受診者を一意に識別する識別情報であり、健診情報管理部121の個人ID12102と同じ値が用いられる。氏名12202は、受診者の氏名である。性別12203は、受診者の性別である。企業12204は、受診者が勤務する企業の識別情報である。部門12205は、受診者が所属する部門の識別情報である。業種12206は、受診者が勤務する業種の識別情報である。地域12207は、受診者が勤務する場所の識別情報である。
図4は、本発明の第1の実施形態の団体情報管理部123に格納されるデータの構成を説明する図である。
団体情報管理部123は、受診者が所属する団体の情報が格納されるデータベースであり、団体ID12301、団体属性12302及び名称12303のデータを含む。
団体ID12301は、受診者が属する団体を一意に識別する識別情報である。団体属性12302は、団体の属性を示す。名称12303は、団体の名称である。
なお、図示した団体情報管理部123において、団体ID12301=J0000は、受診者全体の集団に割り当てられている。
図5は、本発明の実施の形態の基準値管理部124に格納されるデータの構成を説明する図である。
基準値管理部124は、健診で異常と判断される基準値が格納されるデータベースであり、項目12401及び受診勧奨レベル12402のデータを含む。項目12401に規定された項目において受診勧奨レベル12402の条件を満たす健診結果が得られた場合、医師による診断が推奨される。
例えば、図示する例では、BMIについては、受診勧奨レベルは設定されていないが、血糖値が、126以上であれば、医療機関における受診が勧奨され、中性脂肪が150以上であれば受診が勧奨される。
図6は、本発明の第1の実施形態の背景因子項目管理部125に格納されるデータの構成を説明する図である。
背景因子項目管理部125は、背景因子が格納されるデータベースであり、項目・指標12501、項目1(12502)、項目2(12503)及び項目3(12504)のデータを含む。
項目・指標12501、健診項目や評価指標である。項目1〜3(12502〜12504)は、当該健診項目や評価指標に対する背景因子である。背景因子とは、健診項目や評価指標に影響する事項であり、例えば、受診者の職種や、家族に糖尿病患者がいるかが、血糖値に影響する。
このため、団体又は集団の検査結果の分布を比較する場合、団体及び集団の構成員の背景因子を同じ条件に揃えることが必要である(図13のS141〜S143)。
図7は、本発明の第1の実施形態の指標管理部126に格納されるデータの構成を説明する図である。
指標管理部126は、健診結果を評価・分析するための指標を計算する方法(例えば、計算式、関数を呼び出すためのポインタ)が格納されるデータベースであり、評価指標12601、健診項目12602、指標値算出ロジック12603及び異常値方向12604のデータを含む。
評価指標12601は、計算される指標の名称である。健診項目12602は、この評価指標の計算に用いられる健診結果である。指標値算出ロジック12603は、この評価指標の計算方法であり、例えば、計算式、関数を呼び出すためのポインタが記録される。異常値方向12604は、この評価指標が大きい場合に異常値か、小さい場合に異常値かを示す。
例えば、分析項目BMIは、健診結果の身長及び体重を用いて、BMI=体重/(身長×身長)で計算することができる。
図8は、本発明の第1の実施形態の非可変項目管理部127に格納されるデータの構成を説明する図である。
非可変項目管理部127は、健診項目のうち自らの意思で変えることができない項目が格納されるデータベースであり、番号12701及び項目12702のデータを含む。
図9は、本発明の第1の実施形態の契約項目管理部128に格納されるデータの構成を説明する図である。
契約項目管理部128は、健康診断に関する各団体との契約内容が格納されるデータベースであり、団体ID12801、契約開始12802、契約終了12803、身長・体重12804、血糖値12805、肝機能12806、血圧12807、脂質12808、肺がん12809、大腸がん12810のデータを含む。
団体ID12801は、受診者が属する団体を一意に識別する識別情報であり、団体情報管理部123の団体ID12301と同じ値が用いられる。
契約開始12802及び契約終了12803は、それぞれ、その団体との健康診断の契約が開始及び終了した年月を示す。身長・体重12804、血糖値12805、肝機能12806、血圧12807、脂質12808、肺がん12809及び大腸がん12810は、健康診断の内容であり、その団体に属する人が受診する内容を「1」で示す。
図10は、本発明の第1の実施形態の課題項目抽出処理のフローチャートである。図10に示す課題項目抽出処理では、参照集団との比較において対象団体で課題となる項目を抽出する。
まず、サーバ101の制御部131は、ユーザが端末103の入力装置143から入力した対象団体の指定を、通信インターフェース115を介して受け付け(S101)、指定された対象団体のデータを団体情報管理部123から取得する(S102)。
その後、制御部131は、取得した対象団体のデータから分析項目を一つ選択し(S103)、契約項目管理部128を参照して、対象団体が分析に必要な項目を契約しているかを確認する(S104)。
その結果、対象団体が分析に必要な項目を契約していなければ、ステップS103に戻り、次の分析項目を選択する。一方、対象団体が分析に必要な項目を契約していれば、ステップS105に進む。
ステップS105において、指標値算出部135は、対象団体に属する人の健診結果から指標値を計算する。この指標値計算処理の詳細は、図11を用いて後述する。
その後、対象団体分布作成部132は、対象団体について、計算された指標値に基づいて、指標の分布と、背景因子項目の分布とを作成する(S106)。この対象団体分布作成処理の詳細は、図12を用いて後述する。
その後、対象団体以外のデータで、分析に必要な項目を契約している団体のデータを団体情報管理部123から参照集団として取得する(S107)。なお、参照集団は、対象団体と比較される母集団であり、健康診断を受診した全受診者としたり、年齢、職業、生活習慣などの条件で絞り込んだ者でもよい。
その後、指標値算出部135は、参照集団に属する人の健診結果から指標値を計算する。(S108)。この指標値計算処理の詳細は、図11を用いて後述する。
その後、参照集団分布作成部133は、参照集団のデータを、背景因子を用いて調整し、指標値の分布を作成する(S109)。この参照集団分布作成処理の詳細は、図13を用いて後述する。
その後、分布比較部134は、対象団体の分布と参照集団の分布との面積差を求める(S110)。この分布比較処理の詳細は、図14を用いて後述する。
その後、制御部131は、全ての分析項目について計算が完了しているかを判定する(S111)。
その結果、一部の分析項目の計算が完了していなければ、制御部131は、ステップS103に戻り、次の分析項目を選択する。一方、全ての分析項目の計算が完了していれば、制御部131は、対象団体の分布と参照集団の分布との面積差に基づいて、分析項目の優先順位を決定する(S112)。
図11は、本発明の第1の実施形態の指標値計算処理のフローチャートである。図11に示す指標値計算処理は、サーバ101の指標値算出部135によって実行される。
まず、指標値算出部135は、課題項目抽出処理(図10)等から渡されるパラメータから、分析すべき項目を取得する(S121)。
その後、指標管理情報126から、分析項目12601に対応する指標値算出ロジック12603を取得する(S122)。
その後、指標値算出ロジックで使用するデータを、健診情報管理部121から取得する(S123)。
その後、取得した指標値算出ロジックを用いて、個人のデータに対しする指標を算出する(S124)。
最後に、全員分の計算が完了したかを判定する(S125)。その結果、一部の対象者の計算が完了していなければ、ステップS124に戻り、次の対象者の計算をする。一方、全員分の計算が完了していれば、この処理を終了する。
図12は、本発明の第1の実施形態の対象団体分布作成処理のフローチャートである。この対象団体分布作成処理は、サーバ101の対象団体分布作成部132によって実行される。
まず、対象団体に属する人の指標値を取得する。指標値は指標値計算処理(図11)によって計算されている。また、当該取得した指標値に対する背景因子調整項目を背景因子調整項目管理部125から取得する(S131)。
次に、指標値の最大値と最小値とを取得して、取得した指標値の最大値と最小値の間隔を所定の数で除し、階層の間隔を決定する(S132)。なお、階層の数を予め定めてもよい。
次に、個人の指標値について、階層毎の度数(人数)を計算する(S133)。
その後、ステップS131で取得した背景因子調整項目の値を健診情報管理部121から取得する(S134)。
そして、取得した背景因子調整項目について、背景因子の組み合わせ別の人数を集計する(S135)。
その後、評価対象の指標について全背景因子の組み合わせの集計が完了しているかを判定する(S136)。その結果、一部の組み合わせの集計が完了していなければ、ステップS135に戻り、次の組み合わせを集計する。一方、全ての組み合わせの集計が完了していれば、この処理を終了する。
図13は、本発明の第1の実施形態の参照集団分布作成処理のフローチャートである。この参照集団分布作成処理は、サーバ101の参照集団分布作成部133によって実行される。
まず、参照集団に属する人の指標値を取得する。指標値は指標値計算処理(図11)によって計算されている。また、当該指標値に対する背景因子調整項目の値を健診情報管理部121から取得する(S141)。
次に、参照集団について、背景因子の組み合わせ別の人数と、背景因子と指標値の層の組み合わせ別の人数を集計する(S142)。
そして、下式を用いて、背景因子を考慮した参照集団の背景因子と指標値の層の組み合わせ別の人数を計算する(S143)。
参照集団の背景因子と指標値の層との組み合わせ別の人数×対象団体の背景因子の組み合わせ別の人数/参照集団の背景因子の組み合わせ別の人数
その後、全ての計算を完了しているかを判定する(S144)。その結果、一部の計算が完了していなければ、ステップS143に戻り、次の計算をする。一方、全ての計算が完了していれば、指標値の層別に人数を集計して(S145)、この処理を終了する。
図14は、本発明の第1の実施形態の分布比較処理のフローチャートである。この分布比較処理は、対象団体と参照集団との分布の面積差を求める処理であり、サーバ101の分布比較部134によって実行される。
まず、対象団体分布作成処理(図12)によって作成された対象団体の分布と、参照集団分布作成処理(図13)によって作成された参照集団の分布とを取得する(S151)。対象団体の分布と参照集団の分布とは、記憶装置114のバッファ領域に一時的に記憶されている。
次に、参照集団について、人数分布が最大の指標値の層を求め、計算を開始する層に設定する(S152)。
そして、対象団体の指標値の層の人数から参照集団の指標値の層の人数を減じた値を、人数差の合計に加算する(S153)。
その後、指標値の層を1階層、異常値方向に移動する(S154)。
そして、異常値方向の全ての層について計算が完了しているかを判定する(S155)。その結果、一部の計算が完了していなければ、ステップS153に戻り、次の層について計算する。一方、全ての層について計算が完了していれば、人数差の合計を2つの集団の差に設定して(S156)、この処理を終了する。
次に、対象団体分布作成処理及び参照集団分布作成処理における背景因子の調整について、具体例を用いて説明する。
具体例では、血糖値を用い、血糖値の背景因子が年齢及び性別であると仮定し、年齢は40未満と40以上とで階層化し、性別は男女で区分する。なお、説明に用いる人数は例示であり、対象団体に属する人数も、参照集団に属する人数も100人である。
まず、対象団体分布作成処理によって、対象団体の指標値の人数分布A(図15)及び対象団体の背景因子調整項目の組み合わせ別の人数分布C(図16)を求める。ここで、対象団体の合計人数を変数Bに代入する。
次に、参照集団分布作成処理のS142において、参照集団の背景因子の組み合わせ別の人数分布D(図17)を求める。対象団体の人数分布C(図16)と、参照集団の人数分布D(図17)とを比較すると、対象団体と参照集団とでは背景因子の組み合わせ別の人数(分布)が異なることが分かる。ここで、参照集団の合計人数をEと定義する。
参照集団分布作成処理による背景因子の調整によって、図18に示すように、調整後の参照集団の背景因子の組み合わせ別の人数分布は、対象団体の背景因子の組み合わせ別の人数分布C(図15)と等しくなる。
具体的には、参照集団分布作成処理のステップS142において、参照集団の背景因子と指標値の層との組み合わせ別の人数分布F(図19)を算出する。その後、ステップS143において、下式を用いて、参照集団の背景因子と指標値の層との組み合わせ別の調整後の人数分布G(図20)を算出する。
G=F×(C/B)/(D/E)
上式において、Fは参照集団の背景因子と指標値の層との組み合わせ別の人数分布(図19)であり、Cは対象団体の人数分布(図16)であり、Bは対象団体の背景因子の組み合わせ別の合計人数であり、Dは参照集団の背景因子の組み合わせ別の人数分布(図17)であり、Eは参照集団の合計人数である。
背景因子と指標値の層との組み合わせ別の人数分布の計算が完了した後、参照集団分布作成処理のステップS145において、指標値の階層別に人数を合計する。調整前の参照集団の指標値の人数分布を図21に示す。なお、この例では、説明の便宜のため、指標値の層毎に人数を単純に合計すると、参照集団の人数分布(図21)は対象団体の人数分布(図15)と同じになっている。
調整後の参照集団の指標値の人数分布Hを図22に示す。なお、分布比較処理(図14のステップS125)において定められる計算開始の層は、血糖値が80〜99の層となる。
次に、分布比較処理(図14のステップS153)において、対象集団の指標値の層別の人数から調整後の参照集団の指標値の層別の人数を減じ、両集団の人数差を計算する。そして、計算された人数差を合計し、両集団の人数分布の面積差Iを求める(図23)。
対象集団と調整後の参照集団との指標値の層別の人数の差を図24に図示する。このように、参照集団の背景因子の人数分布を、対象集団の背景因子の人数分布と揃えることによって、参照集団の分布が変化する。
次に、分析結果の表示方法(計算された面積差の見せ方)の例について説明する。
図25、図26、図28、図30、図31、図33は、本発明の第1の実施形態の健診情報分析システムによって導出された相対異常者数の分析結果の表示を説明する図である。
例えば、図25に示す様に、分析結果は、相対異常者数を表す棒グラフ形式で表示され、各健診項目において、参照集団中の異常者数に比べ、対象団体中の異常者数がどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の各棒の面積で示す。
例えば、図25(A)は、健診の検査項目である、「BMI」、「血糖値」、「収縮期血圧」において、対象団体の異常者数の割合が参照集団の異常者数の割合より多く、「HDL」において、対象団体の異常者数の割合が参照集団の異常者数の割合より少ないことを示す。
また、図25(B)は、問診の結果、「飲酒量」、「喫煙量」、「間食回数」において、対象団体の異常者数の割合が参照集団の異常者数の割合より多く、「運動量」において、対象団体の異常者数の割合が参照集団の異常者数の割合より少ないことを示す。
また、図25(C)は、疾病発症リスクにおいて、「糖尿病」、「メタボリックシンドローム」、「高血圧」において、対象団体の異常者数の割合が参照集団の異常者数の割合より多く、「脂質異常症」において、対象団体の異常者数の割合が参照集団の異常者数の割合より少ないことを示す。
次に、図25に示す相対異常者数の棒グラフを作成する方法について、図10に示すフローチャートに従って、具体的に説明する。
まず、ステップS101で、ある団体(例えば、図4の団体IDがJ0001の団体)が指定される。
次に、ステップS102で、個人情報管理部122(図3)を参照し、団体IDがJ0001の団体(対象団体)に属する人の個人IDを取得し、該取得した個人IDの健診情報を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS103で、指標管理部126(図7)から、評価指標を一つ選択する(例えば、最初にBMIを選択)。
次に、ステップS104で、契約項目を契約項目管理部128(図9)から取得し、選択した評価指標自体又は選択した評価指標の計算に必要な健診情報(例えば、BMIの計算に必要な体重及び身長)が、対象団体の契約項目に含まれているかを確認する。
次に、ステップS105(指標値計算処理(図11))で、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、対象団体に属する人の身長及び体重からBMIを計算する。
次に、ステップS106(対象団体分布作成処理(図12))で、対象団体に属する人のBMIの分布を求める。また、背景因子調整項目管理部125(図6)を参照して、当該評価指標の背景因子調整項目(例えば、BMIに対する「職種」)を取得し、該取得した個人IDの職種を健診情報管理部121(図2)から取得し、職種別のBMIの分布を求める。
次に、ステップS107で、契約項目管理部128(図9)を参照して、参照集団の団体ID、すなわち、BMIの計算に使用される身長及び体重の測定を契約している他の団体の団体ID(J0002、J0003、J0004・・・)を取得する。
次に、ステップS108(指標値計算処理(図11))で、参照集団に属する人の身長及び体重を健診情報管理部121(図2)から取得し、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、取得した身長及び体重からBMIを計算する。
次に、ステップS109(参照集団分布作成処理(図13))で、計算したBMIの分布を求める。このとき、BMIの背景因子調整項目(職種)について、対象団体の職種毎の分布を用いて、参照集団の分布を調整する。
その後、ステップS110(分布比較処理(図14))で、ステップS106で作成した対象団体のBMIの分布と、ステップS109で作成した参照集団のBMIの分布との面積差を計算する。
その後、ステップS111で、指標管理部126に含まれる全ての評価指標について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない評価指標がある場合、ステップS103に戻り、指標管理部126(図7)から、次の評価指標(例えば、血糖値)を選択し、ステップS104からS110の処理を繰り返す。
全ての評価指標について計算が完了した後に、ステップS112で、各指標(BMI、血糖値など)について、悪化方向の人数を正とした場合の、各層における参照集団の人数と対象団体の人数との差を計算する。これを、検査項目、問診、疾病発症リスクに分類し、各分類において対象団体の方が参照集団より悪い状態の人数が多い順に並べてグラフを表示する。
また、図26に示す様に、分析結果は度数分布の形式で表示することができる。度数分布による表示では、当該健診項目において、参照集団中の異常者数に比べ、対象団体中の異常者数が、どの辺りでどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の各分布の面積で示すことができる。図26に示す度数分布による表示では、横軸に表される区間(層)において、参照集団の度数の面積(人数×区間の幅)と、対象団体の度数の面積(人数×区間の幅)とによって、対象団体が、参照集団に対して、どの程度良いか悪いかを知ることができる。
図26に示す度数分布は、ステップS106で作成した対象団体のBMIの分布と、ステップS109で作成した参照集団のBMIの分布とを重ねて表示することによって作成する。
度数分布を表示するためのインターフェースは、例えば、図25に示す棒グラフをクリックして、特定の評価指標を選択することによって、選択された項目の度数分布を表示するものでよい。
例えば、図26(A)は、健診の検査項目である「BMI」についての、対象団体と参照集団との度数分布が示されており、対象団体において、BMIが高めの人の割合が多くなっていることが分かる。
また、図26(B)は、問診における「飲酒量」についての度数分布であり、図26(C)は、疾病発症リスクにおける「糖尿病」リスクについての度数分布である。
なお、図26中の縦の細い破線は、参照集団における人数のピーク(最頻値)を示す。
具体的には、図26の度数分布は、対象団体分布作成処理(図12)のステップS132で決定された階層を横軸に設定し、ステップS133で決定された階層別人数を縦軸に設定して、対象団体の度数分布を作成する。また、参照集団分布作成処理(図13)のステップS143番目で決定された階層別人数を縦軸に設定して、参照集団の度数分布を作成する。
以上に説明したように、第1の実施形態の課題項目抽出処理では、対象団体について、対象団体分布作成部132が作成した、健診結果や疾病に関する指標値の階層別の人数分布と、対象団体以外の参照集団について参照集団分布作成部133が作成した、健診結果や指標値の階層別の人数分布とを、分布比較部134で比較することによって、各健診結果や指標値が、対象団体にとって良い結果であるか、悪い結果であるかを分かりやすく示すことができる(図25、図26)。
特に、分布比較部134が、対象団体と参照集団とを比較して、悪い状態にある人の人数を求めるので、各健診結果や指標値について、悪い状態にある人がどの程度多いかを正確に比較することができる。
さらに、参照集団分布作成部133が、背景因子(例えば、男女比、年齢層別の割合、職種など)の割合を対象団体と合わせた健診結果や指標値の分布を作成し、分布比較部134が、参照集団の分布と対象団体の分布を比較する。このため、対象団体と男女比や年齢構成や職種などが同程度の他の集団と比べて、悪い状態にある人が多いか少ないかを提示することができる。
さらに、背景因子項目管理部125が、健診結果や評価値と受診者が変えられない項目(職種、家族病歴など)との関係を管理し、参照集団分布作成部133が、対象団体と背景因子を揃えた参照集団の分布を作成し、分布比較部134が、参照集団の分布と対象団体の分布とを比較する。これによって、対象団体と参照集団との間で、職種や家族病歴などの受診者が変えることができない項目を揃えることができ、健診項目及び指標値の分布について、より正しく評価することができる。
<異常者数の変化>
次に、第1の実施形態における異常者数の変化を算出する処理について説明する。
図27A及び図27Bは、本発明の第1の実施形態の変化算出処理のフローチャートである。
まず、サーバ101の制御部131は、ユーザが端末103の入力装置143から入力した対象団体及び評価すべき年の指定を、通信インターフェース115を介して受け付け(S161)、指定された対象団体のデータを団体情報管理部123から取得する(S162)。
その後、制御部131は、取得した対象団体のデータから分析項目を一つ選択し(S163)、契約項目管理部128を参照して、対象団体が分析に必要な項目を契約しているかを確認する(S164)。
その結果、対象団体が分析に必要な項目を契約していなければ、ステップS163に戻り、次の分析項目を選択する。一方、対象団体が分析に必要な項目を契約していれば、ステップS165に進む。
ステップS165において、指標値算出部135は、ステップS161で指定された年の健診結果から、対象団体に属する人の指標値を計算する。この指標値計算処理の詳細は、図11に示す通りである。
その後、対象団体分布作成部132は、対象団体について、計算された指標値の分布と、背景因子項目の分布とを作成する(S166)。この対象団体分布作成処理の詳細は、図12に示す通りである。
その後、指標値算出部135は、指定年の前年の健診結果から、対象団体に属する人の指標値を計算する(S167)。この指標値計算処理の詳細は、図11に示す通りである。
その後、参照集団分布作成部133は、対象団体の指定年の前年のデータを、指定年の背景因子を用いて調整し、指標値の分布を作成する(S168)。この対象団体の指定年の前年の分布を作成する処理の詳細は、図13に示す通りである。
その後、分布比較部134は、対象団体の指定年分布と前年の分布との面積差を計算する(S169)この分布比較処理の詳細は、図14に示す通りである。
その後、制御部131は、対象団体以外のデータで、分析に必要な項目を契約している団体(参照集団)のデータを団体情報管理部123から取得する(S170)。
その後、指標値算出部135は、指定年の健診結果から、参照集団に属する人の指標値を計算する(S171)。この指標値計算処理の詳細は、図11に示す通りである。
その後、参照集団分布作成部133は、参照集団の指定年のデータを、対象団体の背景因子を用いて調整し、指標値の分布を作成する(S172)。この参照集団分布作成処理の詳細は、図13に示す通りである。
その後、指標値算出部135は、指定年の前年の健診結果から、参照集団に属する人の指標値を計算する(S173)。この指標値計算処理の詳細は、図11に示す通りである。
その後、参照集団分布作成部133は、参照集団の指定年の前年のデータを、指定年の背景因子を用いて調整し、指標値の分布を作成する(S174)。この参照集団分布作成処理の詳細は、図13に示す通りである。
その後、分布比較部134は、対象団体の指定年の分布と前年の分布との面積差を求める(S175)。この分布比較処理の詳細は、図14に示す通りである。
その後、制御部131は、全ての分析項目について計算が完了しているかを判定する(S176)。
その結果、一部の分析項目の計算が完了していなければ、制御部131は、ステップS163に戻り、次の分析項目を選択する。一方、全ての分析項目の計算が完了していれば、制御部131は、対象団体の面積差と参照集団の面積差とに基づいて、分析項目の優先順位を決定する(S177)。
その後、対象団体の面積差と参照集団の面積差とを軸にして、分析項目をグラフ化する(S178)。
また、図28に示す様に、分析結果は散布図の形式で表示することができる。散布図による表示は、対象団体及び参照集団における昨年度と今年度との異常者数の変化を、例えばパーセント(又は、人数)によって示す。
例えば、図28(A)は、横軸に参照集団の異常者数の増減を、縦軸に対象団体の異常者数の増減を設定した散布図である。なお、異常者数は、全人数に対する割合でも、人数でもよい。図28(A)によると、血糖値の異常者数は、対象団体において減少し、参照集団において増加していることが分かる。図28(B)及び図28(C)に、血糖値に関する対象団体及び参照集団における昨年度と今年度との異常者数の度数分布を示す。図28(B)によると、対象団体における血糖値の異常者数は昨年度より今年度の方が減少しており、図28(C)によると、参照集団における血糖値の異常者数は昨年度より今年度の方が増加していることが分かる。
さらに、図28(A)によると、中性脂肪の異常者数は、対象団体及び参照集団において増加していることが分かる。また、HDLコレステロールの異常者数は、対象団体及び参照集団において減少しており、両者の減少度合いは同程度であることが分かる。また、収縮期血圧の異常者数は、対象団体及び参照集団において減少しており、参照集団の減少度合いの方が大きいことが分かる。
次に、図28(A)に示す相対異常者数の散布図を作成する方法について、図27A、図27Bに示すフローチャートに従って、具体的に説明する。
まず、ステップS161で、ある団体及び評価対象の年(例えば、図4の団体IDがJ0001の団体、対象年=2009年)が指定される。
次に、ステップS162で、個人情報管理部122(図3)を参照し、団体IDがJ0001の団体(対象団体)に属する人の個人IDを取得し、該取得した個人IDの対象年(2009年)の健診情報を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS163で、指標管理部126(図7)から、評価指標を一つ選択する(例えば、最初にBMIを選択)。
次に、ステップS164で、契約項目管理部128(図9)を参照し、選択した評価指標自体又は選択した評価指標の計算に必要な健診結果(BMIの計算に必要な体重及び身長)が対象団体の契約項目に含まれているかを確認する。
次に、ステップS165(指標値計算処理(図11))で、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、対象団体に属する人の2009年の身長及び体重から2009年のBMIを計算する。
次に、ステップS166(対象団体分布作成処理(図12))では、対象団体に属する人の2009年のBMIの分布を求める。また、背景因子調整項目管理部125(図6)を参照して、当該評価指標の背景因子調整項目(例えば、BMIに対する「職種」)を取得し、該取得した個人IDの職種を健診情報管理部121(図2)から取得し、職種別のBMIの分布を求める。
次に、ステップS167(指標値計算処理(図11))で、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、対象団体に属する人の指定年の前年(2008年)の身長及び体重からBMIを計算する。
次に、ステップS168(参照集団分布作成処理(図13))で、計算した2008年のBMIの分布を求める。このとき、BMIの背景因子調整項目(職種)について、対象団体の2009年の職種毎の分布を用いて、対象団体の2008年の分布を調整する。
その後、ステップS169(分布比較処理(図14))で、ステップS166で作成した対象団体の2009年のBMIの分布と、ステップS168で作成した対象団体の2008年BMIの分布との面積差を計算する。
次に、ステップS170で、契約項目管理部128(図9)を参照して、参照集団の団体ID、すなわち、BMIの計算に使用される身長及び体重の測定を契約している他の団体の団体ID(J0002、J0003、J0004・・・)を取得する。
次に、ステップS171(指標値計算処理(図11))で、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、参照集団(団体IDがJ0002、J0003、J0004の団体)に属する人の2009年の身長及び体重からBMIを計算する。
次に、ステップS172(参照集団分布作成処理(図13))で、計算したBMIの分布を求める。このとき、BMIの背景因子調整項目(職種)について、対象団体の2009年の職種毎の分布を用いて、参照集団の2009年の分布を調整する。
次に、ステップS173(指標値計算処理(図11))で、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、参照集団に属する人の指定年の前年(2008年)の身長及び体重からBMIを計算する。
次に、ステップS174(参照集団分布作成処理(図13))で、計算したBMIの分布を求める。このとき、BMIの背景因子調整項目(職種)について、対象団体の2009年の職種毎の分布を用いて、参照集団の2008年の分布を調整する。
その後、ステップS175(分布比較処理(図14))で、ステップS172で作成した参照集団の2009年のBMIの分布と、ステップS174で作成した参照集団の2008年BMIの分布との面積差を計算する。
その後、ステップS176で、全ての評価指標(指標管理部126に含まれる全ての評価指標)について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない評価指標がある場合、ステップS163に戻り、指標管理部126(図7)から、次の評価指標(例えば、血糖値)を選択し、ステップS164からS175の処理を繰り返す。
全ての評価指標について計算が完了している場合、ステップS177で、対象団体の面積差と参照集団の面積差の差から評価指標を順位付ける。
最後に、ステップS178で、図28(A)の散布図を作成する。具体的には、横軸は、ステップS175で計算した2008年の参照集団の異常者数を基準(中央)として、2009年の参照集団の異常者数と2008年の参照集団の異常者数との差を、2009年の異常者数が2008年の異常者数より少ない場合は減少側に、また、2009年の異常者数が2008年の異常者数より多い場合は増加側になるように、評価指標毎にプロットする。縦軸は、ステップS169で計算した2008年の対象団体の異常者数を基準(中央)として、2009年の対象団体の異常者数と2008年の対象団体の異常者数との差を、2009年の異常者数が2008年の異常者数より少ない場合は減少側に、また、2009年の異常者数が2008年の異常者数より多い場合は増加側になるように、評価指標毎にプロットする。このとき、ステップS177で付けられた順位に従って、上位から順に所定数の評価指標をプロットすればよい。
図28(B)に示す対象団体の度数分布はステップ166及びステップ168で作成した対象団体の分布を重ねて表示することによって作成することができる。また、図28(C)に示す参照集団の度数分布はステップ172及びステップ174で作成した参照集団の分布を重ねて表示することによって作成することができる。
なお、度数分布(図28(B)、図28(C))を表示するためのインターフェースは、例えば、図28(A)に示す散布図にプロットされた指標をクリックして、特定の評価指標を選択することによって、選択された項目の度数分布を表示するものでよい。
以上に説明したように、第1の実施形態の変化算出処理では、分布比較部134が、対象団体の前年度の分布と今年度の分布とを比較し、悪い状態にある人数の差を求め、参照集団の前年度の分布と今年度の分布とを比較し、悪い状態にある人数の差を求め、求められた二つの人数差(変化量)を比較し、この二つの人数差の関係から、対象団体の健診結果の変化を評価することによって、参照集団の変化量を基準にして、対象団体の改善量を評価することができる。
例えば、対象団体において、血圧が高い人が減少していても、参照集団における悪い状態にある人の変化量(減少量)の方が大きい場合は、対象団体としては改善が不十分で、まだ改善の可能性があると評価できる。また、中性脂肪が高い状態の人数が増加していても、参照集団の方が大きく増加している場合は、中性脂肪が高い人は増えているが、他と比べれば抑制できていると評価できる。このように、顧客団体に対して、悪い状態の人が増えているか減っているか、また、増減が他の団体と比べてどうかを分かりやすく提示することができる(図28)。
<受診勧奨レベルの判定>
次に、第1の実施形態における受診勧奨レベルの判定処理について説明する。受診勧奨レベルの判定処理においては、課題項目抽出処理(図10のステップS110)から、前述した分布比較処理(図14)に代えて、図29に示す分布比較処理が呼び出される。
図29は、本発明の第1の実施形態の分布比較処理の別な例のフローチャートである。図29に示す分布比較処理は、分布比較部134によって実行され、対象団体の分布と参照集団の分布とを基準値を用いて比較し、両者の面積差を求める。
まず、対象団体分布作成処理(図12)によって作成された対象団体の分布と、参照集団分布作成処理(図13)によって作成された参照集団の分布とを取得する(S181)。対象団体の分布と参照集団の分布とは、記憶装置114のバッファ領域に一時的に記憶されている。
その後、基準値管理部124の受診勧奨レベル12402に該当すると判定される分布中の指標値の層を取得する(S182)。
そして、対象団体の指標値の層の人数から参照集団の指標値の層の人数を減じ、計算された人数差を、人数差の合計に加算する(S183)。
そして、指標値の層を異常値方向に1段階移動する(S184)。
その後、受診勧奨レベルに該当すると判定された全ての層の計算が完了しているかを判定する(S185)。
その結果、一部の層の計算が完了していなければ、ステップS183に戻り、次の層について計算をする。一方、全ての層の計算が完了していれば、人数差の合計を両集団の差とする(S186)。
図30は、検査結果が受診勧奨レベルであるが、受診をしていない未受診者の数を分析した結果の表示を説明する図である。
例えば、図30(A)に示す様に、相対未受診者数を棒グラフ形式で表示し、各健診項目において、参照集団中の未受診者数に比べ、対象団体中の未受診者数がどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の各棒の面積で示す。
また、図30(B)に示す様に、相対未受診者数を度数分布の形式で表示することができる。検査結果が受診勧奨レベルを超える未受診者が、参照集団と比較し、対象団体において、どの辺りでどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の各分布の面積で示す。なお、治療中の者は分布外に、棒グラフの形式で表示してもよい。
次に、図30に示す受診勧奨レベル未受診者数の棒グラフを作成する方法について、図10に示すフローチャートに従って、具体的に説明する。
まず、ステップS101で、ある団体(例えば、図4の団体IDがJ0001の団体)が指定される。
次に、ステップS102で、個人情報管理部122(図3)を参照し、団体IDがJ0001の団体(対象団体)に属する人の個人IDを取得し、該取得した個人IDの健診情報を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS103で、基準値管理部124(図5)を参照し、受診勧奨レベルが設定されている評価指標を一つ、指標管理部126(図7)から選択する(例えば、最初に血糖値を選択)。
次に、ステップS104で、対象団体の契約項目を契約項目管理部128(図9)から取得し、選択した評価指標自体又は選択した評価指標の計算に必要な健診結果が契約項目に含まれているかを確認する。具体的には、血糖値が契約項目に含まれているかを確認する。
次に、ステップS105(指標値計算処理(図11))で、取得した健診結果から血糖値を取得する。なお、血糖値に関しては、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)が定義されていないので、健診情報をそのまま使用する。
次に、ステップS106(対象団体分布作成処理(図12))では、対象団体に属する人の血糖値の分布を求める。また、背景因子調整項目管理部125(図6)を参照して、当該評価指標の背景因子調整項目(血糖値に対する「職種」「家族病歴」)を取得し、該取得した個人IDの職種及び家族病歴を健診情報管理部121(図2)から取得し、職種別、家族病歴別の血糖値の分布を求める。
次に、ステップS107で、契約項目管理部128(図9)を参照して、参照集団の団体ID、すなわち、血糖値の測定を契約している他の団体の団体ID(J0002、J0003、J0004・・・)を取得する。
次に、ステップS108(指標値計算処理(図11))で、参照集団(団体IDがJ0002、J0003、J0004)に属する人の血糖値を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS109(参照集団分布作成処理(図13))で、血糖値の分布を求める。このとき、血糖値の背景因子調整項目(職種、家族病歴)について、対象団体の職種毎及び家族病歴毎の分布を用いて、参照集団の分布を調整する。また、健診情報管理部121(図2)からの治療中の情報(糖尿病治療12114)を取得し、糖尿病治療中の人を別に集計する。
その後、ステップS110(分布比較処理(図29))で、ステップS106で作成した対象団体の血糖値の分布と、ステップS109で作成した参照集団の血糖値の分布との面積差を計算する。このとき、面積差は、基準値管理部(図5)の受診勧奨レベル(血糖値では、126以上)についての面積差を計算する。
その後、ステップS111で、指標管理部126に含まれる全ての評価指標について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない評価指標がある場合、ステップS103に戻り、指標管理部126(図7)から、次の評価指標(例えば、血糖値)を選択し、ステップS104からS110の処理を繰り返す。
全ての評価指標について計算が完了した後に、ステップS112で、各指標(BMI、血糖値など)について、悪化方向の人数を正とした場合の、各層における参照集団の受診勧奨レベルの人数と対象団体の受診勧奨レベルの人数との差を計算する。これを、検査項目、問診、疾病発症リスクに分類し、各分類において対象団体の方が参照集団より悪い状態の人数が多い順に並べてグラフを表示する。
また、例えば、図31に示す様に、分析結果は散布図の形式で表示することができる。散布図による表示は、対象団体及び参照集団における昨年度と今年度との未受診者数の変化を示す。
例えば、図31(A)は、横軸に参照集団の未受診者数の増減を設定し、縦軸に対象団体の未受診者数の増減を設定した散布図である。なお、未受診者数は、全人数に対する割合でも、人数でもよい。図31(A)によると、血糖値の未受診者数は、対象団体において減少し、参照集団において増加していることが分かる。図31(B)及び図31(C)に、血糖値に関する対象団体及び参照集団における昨年度と今年度との未受診者数の度数分布を示す。図31(B)によると、対象団体における血糖値の未受診者数は昨年度より今年度の方が減少しており、図31(C)によると、参照集団における血糖値の未受診者数は昨年度より今年度の方が増加していることが分かる。
さらに、図31(A)によると、中性脂肪の未受診者数は、対象団体及び参照集団において増加していることが分かる。また、HDLコレステロールの未受診者数は、対象団体及び参照集団において減少しており、両者の減少度合いは同程度であることが分かる。また、収縮期血圧の未受診者数は、対象団体及び参照集団において減少しており、参照集団の減少度合いの方が大きいことが分かる。
次に、図31(A)に示す未受診者数の散布図を作成する方法について、図27A、図27Bに示すフローチャートに従って、具体的に説明する。図31(A)に示す未受診者数の散布図は、前述した変化算出処理(図27A、図27B)によって作成されるが、ステップS169及びステップS175からは、分布比較処理(図14)に代えて、図29に示す分布比較処理が呼び出される。
まず、ステップS161で、ある団体及び評価対象の年(例えば、図4の団体IDがJ0001の団体、対象年=2009年)が指定される。
次に、ステップS162で、個人情報管理部122(図3)を参照し、団体IDがJ0001の団体(対象団体)に属する人の個人IDを取得し、該取得した個人IDの対象年(2009年)の健診情報を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS163で、基準値管理部124(図5)を参照し、指標管理部126(図7)から、受診勧奨レベルが設定されている評価指標を一つ選択する(例えば、最初に血糖値を選択)。
次に、ステップS164で、契約項目管理部128(図9)を参照し、選択した評価指標自体(例えば、血糖値)又は選択した評価指標の計算に必要な健診結果が対象団体の契約項目に含まれているかを確認する。
次に、ステップS165(指標値計算処理(図11))で、取得した健診情報から2009年の血糖値を取得する。なお、血糖値に関しては、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)が定義されていないので、健診情報をそのまま使用する。
次に、ステップS166(対象団体分布作成処理(図12))では、対象団体に属する人の2009年の血糖値の分布を求める。また、背景因子調整項目管理部125(図6)を参照して、当該評価指標の背景因子調整項目(血糖値に対する「職種」「糖尿病家族病歴」)を取得し、該取得した個人IDの職種及び糖尿病家族病歴を健診情報管理部121(図2)から取得し、対象団体の2009年の職種別、糖尿病家族病歴別の血糖値の分布を求める。
次に、ステップS167(指標値計算処理(図11))で、取得した健診情報から指定年の前年(2008年)の血糖値を取得する。
次に、ステップS168(参照集団分布作成処理(図13))で、対象団体の2008年の血糖値の分布を求める。このとき、血糖値の背景因子調整項目(職種、糖尿病家族病歴)について、2009年の職種毎及び家族病歴毎の分布を用いて、2008年の分布を調整する。また、健診情報管理部121(図2)からの治療中の情報(糖尿病治療12114)を取得し、糖尿病治療中の人を別に集計する。
その後、ステップS169(分布比較処理(図29))で、ステップS166で作成した対象団体の2009年の血糖値の分布と、ステップS168で作成した対象団体の2008年血糖値の分布との面積差を計算する。
次に、ステップS170で、契約項目管理部128(図9)を参照して、参照集団の団体ID、すなわち、血糖値の測定を契約している他の団体の団体ID(J0002、J0003、J0004・・・)を取得する。
次に、ステップS171(指標値計算処理(図11))で、参照集団(団体IDがJ0002、J0003、J0004の団体)に属する人の2009年の血糖値を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS172(参照集団分布作成処理(図13))で、参照集団の2009年の血糖値の分布を求める。このとき、血糖値の背景因子調整項目(職種、糖尿病家族病歴)について、対象団体の2009年の職種毎及び家族病歴毎の分布を用いて、参照集団の2009年の分布を調整する。
次に、ステップS173(指標値計算処理(図11))で、指標管理部126の指標値算出ロジック(図7の12603)に従って、参照集団に属する人の指定年の前年(2008年)の血糖値を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS174(参照集団分布作成処理(図13))で、参照集団の2008年の血糖値の分布を求める。このとき、血糖値の背景因子調整項目(職種)について、対象団体の2009年職種毎の分布を用いて、参照集団の2008年の分布を調整する。
その後、ステップS175(分布比較処理(図29))で、ステップS172で作成した参照集団の2009年の血糖値の分布と、ステップS174で作成した参照集団の2008年血糖値の分布との面積差を計算する。
その後、ステップS176で、全ての評価指標(指標管理部126に含まれる全ての評価指標)について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない評価指標がある場合、ステップS163に戻り、指標管理部126(図7)から、次の評価指標を選択し、ステップS164からS175の処理を繰り返す。
全ての評価指標について計算が完了している場合、ステップS177で、対象団体の面積差と参照集団の面積差の差から評価指標を順位付ける。
最後に、ステップS178で、図31(A)のグラフを作成する。具体的には、横軸は、ステップS175で計算した2008年の参照集団の異常者数を基準(中央)として、2009年の参照集団の異常者数と2008年の参照集団の異常者数との差を、2009年の異常者数が2008年の異常者数より少ない場合は減少側に、2009年の異常者数が2008年の異常者数より多い場合は増加側になるように、評価指標毎にプロットする。縦軸は、ステップS169で計算した2008年の対象団体の異常者数を基準(中央)として、2009年の対象団体の異常者数と2008年の対象団体の異常者数との差を、2009年の異常者数が2008年の異常者数より少ない場合は減少側に、2009年の異常者数が2008年の異常者数より多い場合は増加側になるように、評価指標毎にプロットする。このとき、ステップS177で付けられた順位に従って、上位から順に所定数の評価指標をプロットすればよい。
図31(B)に示す対象団体の度数分布はステップ166及びステップ168で作成した対象団体の分布を重ねて表示することによって作成することができる。また、図31(C)に示す参照集団の度数分布はステップ172及びステップ174で作成した参照集団の分布を重ねて表示することによって作成することができる。
なお、度数分布(図31(B)、図31(C))を表示するためのインターフェースは、例えば、図31(A)に示す散布図にプロットされた指標をクリックして、特定の評価指標を選択することによって、選択された項目の度数分布を表示するものでよい。
以上に説明したように、第1の実施形態の受診勧奨レベル判定処理では、治療状況判定部136が、問診結果から、受診者が治療中であるかを判定し、対象団体分布作成部132及び参照集団分布作成部133が、治療中の人を除外した健診項目又は指標値の分布を算出する。そして、分布比較部134が、治療が必要なレベルにあるが治療を受けていない人の人数を比較する。これによって、治療が必要なレベルにあって治療を受けていない人が、他の団体と比べて多いか少ないかを容易に判定することができる(図30)。
また、分布比較部134が、対象団体と参照集団とにおいて治療が必要なレベルにあって治療を受けていない人の今年度と前年度の分布の人数差を算出するので、対象団体と参照集団との関係から、治療が必要な受診者が参照集団と比べて、増えているか、減っているかを評価することができる(図31)。
健診結果が悪い人に早期に治療を受けさせることは、健康診断の重要な目的の一つであり、受診勧奨レベル判定処理によって、医師による診断が必要な未治療者が多いか、少ないかを評価することができる。また、未治療者が少ない、又は、未治療者が減ったデータを示すことによって、健診機関における受診者への治療勧奨活動の優秀さを示すことができる。
<推奨健診項目の抽出>
次に、第1の実施形態における推奨健診項目抽出処理について説明する。
図32A及び図32Bは、本発明の第1の実施形態の推奨健診項目抽出処理のフローチャートである。
まず、サーバ101の制御部131は、ユーザが端末103の入力装置143から入力した対象団体の指定を、通信インターフェース115を介して受け付け(S191)、指定された対象団体のデータを団体情報管理部123から取得する(S192)。
その後、制御部131は、契約項目管理部128を参照して、対象団体が契約していない項目を選択する(S193)。
その後、制御部131は、背景因子項目管理部125から、指標値に対する背景因子調整項目を取得し(S194)、背景因子の各項目について、背景因子の階層の組み合わせ別の人数を集計する(S195)。
その後、対象の指標について全背景因子の組み合わせの集計が完了しているかを判定する(S196)。
その結果、一部の指標の集計が完了していなければ、ステップS195に戻り、次の指標について集計をする。一方、全ての指標の集計が完了していれば、制御部131は、対象団体以外のデータで、選択した項目を契約している団体を参照集団として、
参照集団に属する人の健診情報を健診情報管理部121から取得する(S197)。
その後、指標値算出部135は、参照集団に属する人の健診結果から指標値を計算する(S198)。この指標値計算処理の詳細は、図11に示す通りである。
その後、参照集団分布作成部133は、背景因子を用いて参照集団のデータを調整し、指標値の分布を作成する(S199)。この参照集団分布作成処理の詳細は、図13に示す通りである。
その後、参照集団について、背景因子を調整しない分布を計算する(S200)。
その後、分布比較部134は、背景因子を調整した参照集団の分布と、背景因子を調整しなかった参照集団の分布との面積差を計算する(S201)。この分布比較処理の詳細は、図14に示す通りである。
その後、制御部131は、全ての分析項目について計算が完了しているかを判定する(S202)。
その結果、一部の分析項目の計算が完了していなければ、制御部131は、ステップS193に戻り、次の分析項目を選択する。一方、全ての分析項目の計算が完了していれば、制御部131は、対象団体の分布と参照集団の分布との面積差から、分析項目の優先順位を決定する(S203)。
図33は、検査結果から推定される異常者数から推奨される健診項目を分析した結果の表示を説明する図である。
例えば、図33(A)に示す様に、異常者数の推定値を表す棒グラフ形式で表示することができる。図33(A)の棒グラフでは、各健診項目において、参照集団中の異常者数に比べ、対象団体中の異常者数の推定値がどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の各棒の面積で示す。
また、図33(B)に示す様に、異常者数の推定値を表す度数分布の形式で表示することができる。図33(B)の棒グラフでは、検査結果で異常が推定される者が、参照集団と比較し、対象団体において、どの辺りでどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の各分布の面積で示す。
次に、図33(A)に示す異常者数の推定値を表す棒グラフを作成する方法について、図32A、図32Bに示すフローチャートに従って、具体的に説明する。
まず、ステップS191で、ある団体(例えば、図4の団体IDがJ0002の団体)が指定される。
次に、ステップS192で、個人情報管理部122(図3)を参照し、対象団体(団体IDがJ0002の団体)に属する人の個人IDを取得し、該取得した個人IDの健診情報を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS193で、対象団体が契約していない項目(例えば、肝機能)を契約項目管理部128(図9)から取得する。
次に、ステップS194で、背景因子調整項目管理部125(図6)を参照して、当該非契約項目の背景因子調整項目(肝機能(GOT、GPT)に対する「職種」、「肝炎家族病歴」)を取得する。
次に、ステップS195、S196において、ステップS192で取得した健診情報から、背景因子項目毎の人数(例えば、肝機能について、職種及び家族病歴の層別人数)を集計する。
次に、ステップS197で、対象団体以外の団体(参照集団)で、肝機能の検査を契約している団体の団体ID(J0001、J0004)を契約項目管理部128(図9)から取得し、団体IDがJ0001、J0004の団体(参照集団)に属する人の健診情報を健診情報管理部121(図2)から取得する。
次に、ステップS198(指標値計算処理(図11))で、取得した健診情報からGOT及びGPTを取得する。なお、該非契約項目(肝機能)について、指標値算出ロジックが定義されている場合、指標管理部126(図7の12603)から取得した指標値算出ロジックに従って、非契約項目に関する計算をする。
次に、ステップS199(参照集団分布作成処理(図13))で、参照集団の肝機能(GOT、GPT)の分布を求める。このとき、GOT、GPTの背景因子調整項目(職種、肝炎家族病歴)について、ステップS195で作成した対象団体の職種毎及び肝炎家族病歴毎の分布を用いて、参照集団の分布を調整する。これによって、対象団体の人数分布を推定することができる。
次に、ステップS200(対象団体分布作成処理(図12))では、参照集団に属する人の肝機能(GOT、GPT)の分布を求める。なお、ステップS200では、背景因子を調整しない。
次に、ステップS201(分布比較処理(図14))では、ステップS199で作成した対象団体の肝機能の推定分布と、ステップS200で作成した参照集団の肝機能の分布との面積差を計算する。
その後、ステップS202で、全ての非契約項目(契約項目管理部128に含まれ、対象団体が契約していない項目(例えば、肺がん、大腸がんなど))について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない契約項目がある場合、ステップS193に戻り、次の契約項目を契約項目管理部128(図9)から選択し、ステップS194からS201の処理を繰り返す。
最後に、ステップS203で、各指標(肝機能、肺がん、大腸がんなど)について、悪化方向の人数を正とした場合の、各層における、参照集団の人数と対象団体(推定値)の人数との差を計算する。これを、対象団体の方が参照集団より悪い状態の人数が多い順に並べてグラフを表示する。
図33(B)に示す異常者数の推定値の度数分布は、ステップS199で作成した対象団体の肝機能の推定分布と、ステップS200で作成した参照集団の肝機能の分布とを重ねて表示することによって作成することができる。
度数分布を表示するためのインターフェースは、例えば、図33(A)に示す棒グラフをクリックして、特定の評価指標を選択することによって、選択された項目の度数分布を表示するものでよい。
以上に説明したように、第1の実施形態の推奨健診項目抽出処理では、顧客団体が契約していない項目について、対象団体と背景因子を揃えた参照集団の分布(対象集団の推定分布)を計算し、参照集団の分布と対象集団の推定分布との間で、悪い状態にある人数差を計算し、この人数差に基づいて、対象団体が契約していない項目を出力することによって、顧客団体が健診を実施していない項目のうち、異常者が多い可能性が高い項目を抽出することができる。これによって、健診機関は、異常者が多い可能性がある項目の健康診断を顧客団体に提案することができ、顧客団体との契約交渉において、新たな健診項目を獲得しやすくなる。
<背景因子項目の生成>
次に、第1の実施形態における背景因子生成処理について説明する。
図34は、本発明の第2の実施形態の背景因子項目決定処理のフローチャートである。この背景因子項目決定処理は、背景因子項目作成部138によって実行される。
まず、背景因子項目作成部138は、指標管理情報126から評価指標12601を一つ選択する(S211)。
その後、指標値と非可変問診項目との間で重回帰分析を行い、非可変問診項目に対する指標値の係数を計算する(S212)。
その後、指標値の係数が有意と判定される非可変問診項目を、背景因子調整項目に登録する(S213)。
その後、全ての指標値について計算が完了しているかを判定する(S214)。
その結果、一部の指標値の計算が完了していなければ、ステップS211に戻り、次の指標値を選択する。一方、全ての指標値の計算が完了していれば、この処理を終了する。
以上に説明したように、第1の実施形態の背景因子生成処理では、背景因子を自動的に生成するので、統計学的に有意な背景因子を的確に生成することができる。すなわち、背景因子項目作成部138が、指標毎に調整すべき背景項目を自動的に決定するので、健診機関毎に問診項目が異なる場合や、検査項目や問診項目を追加した場合などでも、背景因子項目を容易に決定することができる。このため、指標に寄与する項目のみを背景因子に設定し、背景因子を適切に調整をすることができる。
ここまで、第1の実施形態の健診情報分析システムの様々な機能について説明したが、これらの機能が全て実装される必要はなく、一つ以上の機能を様々な組み合わせで実装することができる。
健診結果が集団として改善しているか否かを検討する場合、健診項目の平均値や、特許文献1で示された試算された医療費などについて、前年度の値と今年度の値を比較することによって、改善しているかを判定する方法が考えられる。しかし、改善の程度や、悪化の程度を、より詳細に分析することによって、顧客団体によりきめ細かな情報提供をする方法は提案されていなかったが、本発明によって前年度と今年度の改善や悪化の程度をより詳細に分析することが可能となる。
健診結果が良いか悪いかを判断する方法として、自団体だけでなく、他の集団の健診情報と比較する方法、例えば、特許文献1の方法を応用して他の集団の医療費を推定し、それを自団体と比較することで、健診結果の良否を順位付ける方法が考えられる。しかし、自団体と他の集団との男女比や年齢層が異なる場合、平均的な検査結果や発症する病気の割合なども異なり、両団体の健診結果の比較が難しい。特に、対象とした団体の構成員が、主にデスクワークの事務職なのか、外回りの営業職なのか、製造部員なのかなど、業種や職種によっても生活習慣が異なるため、単純には団体間で比較できなかったが、本発明によって業種や職種を考慮した比較が可能となる。
健康診断は、検査値が異常な人に改善を促すとともに、治療が必要な人に早期に医療機関の受診を勧奨して治療を受けさせることも重要な役割である。そのため、健診結果の良否として、医療機関の受診が必要なレベルであるが受診していない人の数も評価の重要な観点である。治療が必要な人が受診することは、健診機関としての受診勧奨活動が良好であることを示す指標となる。本発明によって、受診勧奨活動が良好度を示す指標を評価することができる。
健診機関は、顧客団体と健診項目単位で契約するため、契約を拡大するためには、顧客団体に必要な健診項目を訴求することが重要である。健診項目の追加を推奨する方法として、例えば、特許文献2において、個人毎の疾病リスクから健診項目の組み合わせを最適化する方法が示されている。しかし、健診費用を個人が全額を負担する場合には、個人単位の組み合わせでよいが、団体と契約とする場合、個人毎の健診の金額が異なるため、実際での利用は難しかったが、本発明によって必要な健診項目を顧客団体に訴求することが可能となる。
健診機関が、健診結果から顧客団体としての健康状態を把握する場合、対象とする顧客団体のデータと他の集団のデータとを比較することによって、どの健診項目について、状態の悪い人が対象顧客団体に多いかを知ることができ、対策を検討することができる。
しかし、健診項目の中には、企業や健康保険組合などの団体による働きかけや、個人の努力では変えることができない項目が存在する。例えば、業種、職種、家族の病歴などは、本人の意思や変えることが難しいが、健診結果に影響する。健康状態の良否の程度や、改善の程度を評価する上では、このような変えられない項目の割合が異なる集団と比較しても、対象団体に属する人の健康状態の良さ(悪さ)や、改善量(悪化量)を正しく評価できない場合がある。
例えば、糖尿病において、親や兄弟などの家族が糖尿病である場合、遺伝的に糖尿病を発症する可能性が高い。しかし、対象団体と比較される他の集団において、家族の糖尿病歴がある人が少ない場合、対象団体の血糖値の検査結果が、相対的に悪くなる可能性がある。このため、意思や行動によって変えることができない項目を揃えた上で、対象団体と他の集団とを比較することが望ましい。
一方、病気や指標によって関連する項目は異なり、検査項目や問診項目は健診機関毎に異なるので、指標別に背景とする項目を設定するためには専門的知識や手間を必要とする。また、背景の調整に複数の項目を使用する場合、背景項目の層の組み合わせに該当する人が0人になるなど、背景を正しく調整できない可能性があり、意味のある項目に背景項目を限定する必要がある。しかし、本発明によって、背景が異なる団体間で適切な比較が可能となる。
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、計算された指標値値に基づいて、改善プログラムを提案する。
なお、第2の実施形態において、前述した第1の実施形態と同じ構成、機能及び処理には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図35は、本発明の第2の実施形態の健診情報分析システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
本実施形態の健診情報分析システムは、サーバ101、データベース102及び端末装置103を備える。
サーバ101とデータベース102とは、サーバ101がデータベース102に格納されたデータにアクセス可能なように接続される。また、サーバ101端末装置103とは、ネットワーク104を介して接続される。
記憶装置114は、例えば、磁気記憶装置、フラッシュメモリ等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、具体的には、記憶装置114は、制御部131、対象団体分布作成部132、参照集団分布作成部133、分布比較部134、指標値算出部135、治療状況判定部136、改善プログラム評価部231、対策項目選定部232、改善プログラム効果推定部233及び改善プログラム順位付け部234の各部を実装するためのプログラムを格納する。
改善プログラム評価部231は、所定のプログラムの実行によって、改善プログラムを評価する。改善プログラム効果推定部232は、所定のプログラムの実行によって、改善プログラムの効果を推定する。改善プログラム順位付け部233は、所定のプログラムの実行によって、改善プログラムに優先順位を付ける。
データベース102は、サーバ101が健診情報を分析するためのデータ、すなわち、健診情報管理部121(図2参照)、個人情報管理部122(図3参照)、団体情報管理部123(図4参照)、基準値管理部124(図5参照)、背景因子項目管理部125(図6参照)、指標管理部126(図7参照)、改善プログラム情報管理部221(図36参照)、改善プログラム履歴管理部222(図37参照)及び改善プログラム効果管理部223(図38参照)を格納する。
図36は、本発明の第2の実施形態の改善プログラム情報管理部221に格納されるデータの構成を説明する図である。
改善プログラム情報管理部221は、受診者に提案される改善プログラムの情報が格納されるデータベースであり、プログラムID22101、プログラム名22102、適用条件22103、一人当たりコスト22104及び効果指標22105のデータを含む。
プログラムID22101は、受診者に提案される改善プログラムを一意に識別する識別情報である。プログラム名22102は、受診者に提案される改善プログラムの名称であり、改善プログラムの内容を簡単に示す。適用条件22103は、改善プログラムが適用される受診者の条件である。一人当たりコスト22104は、改善プログラムを受診者に適用した場合に必要な費用であり、所定期間(例えば、1年)あたりの金額である。効果指標22105は、改善プログラムの実施に対する効果を評価するための指標である。
具体的には、プログラムIDが「PRG0001」のプログラムは、1日の歩数を競う「歩数アップ競争」であり、全員が対象となり、そのコストは1年あたり3600円であり、BMIによって効果を評価することができる。
また、プログラムIDが「PRG0002」のプログラムは、食事を宅配される低カロリー食にする「低カロリー食宅配」であり、血糖値が110を超え126未満であり、かつ、BMIが25以上の人が対象となり、そのコストは1年あたり12000円であり、BMI及び血糖値によって効果を評価することができる。
また、プログラムIDが「PRG0003」の改善プログラムは、食塩を減らすための生活指導を定期的に受ける「減塩指導」であり、収縮期血圧が130以上の者が対象となり、そのコストは1年あたり20000円であり、血圧によって効果を評価することができる。
図37は、本発明の第2の実施形態の改善プログラム履歴管理部222に格納されるデータの構成を説明する図である。
改善プログラム履歴管理部222は、受診者が属する団体に適用される改善プログラムの情報が格納されるデータベースであり、団体ID22201、実施時期22202、プログラムID22203及び適用条件22204のデータを含む。
団体ID22201は、受診者が属する団体を一意に識別する識別情報であり、団体情報管理部123の団体ID12301と同じ値が用いられる。
実施時期22202は、その団体に、このプログラムが適用された時期(開始年月日及び終了年月日)である。プログラムID22203は、受診者に提案される改善プログラムを一意に識別する識別情報であり、改善プログラム情報管理部221のプログラムID22101と同じ値が用いられる。適用条件22204は、改善プログラムが適用される受診者の条件であり、改善プログラム情報管理部221の適用条件22103と同じ条件が規定される。
図38は、本発明の第2の実施形態の改善プログラム効果管理部223に格納されるデータの構成を説明する図である。
改善プログラム効果管理部223は、改善プログラムの効果の図るための指標が格納されるデータベースであり、プログラムID22301、プログラム名22302、適用条件22303、対象項目22304 、分布区分22305、22307、22309、22311及び効果量22306、22308、22310、22312のデータを含む。
プログラムID22301は、受診者に提案される改善プログラムを一意に識別する識別情報であり、改善プログラム情報管理部221のプログラムID22101と同じ値が用いられる。プログラム名22302は、受診者に提案される改善プログラムの名称であり、改善プログラム情報管理部221のプログラム名22102と同じ名称が規定される。適用条件22303は、改善プログラムが適用される受診者の条件であり、改善プログラム情報管理部221の適用条件22103と同じ条件が規定される。
対象項目22304は、改善プログラムの効果を評価するために用いられる健診項目である。なお、図には、一つの健診項目を記載したが、一つのエントリに複数の健診項目が定義されてもよい。
分布区分22305、22307、22309、22311及び効果量22306、22308、22310、22312は、分布区分に対応する効果量のポイントが規定される。効果量は、度数分布上の当該区分の度数の変化量であり、過去の当該プログラムを適用した実績から算出される。
例えば、プログラムID=PRG0001の「歩数アップ競争」において、BMIが18より少ない区分の度数は変化せず、18≦BMI<22の区分の度数は2だけ増加し、22≦BMI<25の区分の度数は3だけ増加し、25≦BMI<27の区分の度数は3だけ減少することが期待される。
図39は、本発明の第2の実施形態の改善プログラム提案処理のフローチャートである。
まず、サーバ101の制御部131は、改善プログラム実施前後の健診情報を、改善プログラム履歴管理部222から取得する(S221)。
その後、対象団体分布作成部132は、改善プログラム実施前の分布と改善プログラム実施後の分布とを作成する(S222)。
その後、改善プログラム評価部231は、実施前と実施後の分布の差から効果量を抽出し、改善プログラム効果管理部223に格納する(S223)。
そして、制御部131は、全ての改善プログラムの実績について計算が完了したかを判定する(S224)。その結果、一部の改善プログラムの実績について計算が完了していなければ、ステップS222に戻り、次の改善プログラムの実績について計算する。一方、全ての改善プログラムの実績について計算が完了していれば、制御部131は、対象団体の指定を受け付ける(S225)。
そして、制御部131は、参照集団と比較することによって、対象団体の課題項目を抽出する(S226)。この課題項目抽出処理の詳細は、図10に示す通りである。
そして、制御部131は、優先順位に従って対策項目を選択する(S227)。そして、改善プログラム評価部231は、選択された対策項目が対象となる改善プログラムを選択する(S228)。
その後、改善プログラム評価部231は、改善プログラム効果管理部223に基づいて、対象団体の分布を変形し、変形後の対象団体の分布と参照集団の分布との面積差を計算する(S229)。
その後、改善プログラム評価部231は、ステップS208で選択された改善プログラムの単価に人数を乗じて、改善プログラムの総コストを計算する(S230)。
その後、制御部131は、全ての改善プログラムの組み合わせについて計算が完了したかを判定する(S231)。その結果、一部の改善プログラムの組み合わせについて計算が完了していなければ、ステップS208に戻り、次の改善プログラムの組み合わせについて計算する。一方、全ての改善プログラムの組み合わせについて計算が完了していれば、改善プログラム順位付け部234は、改善プログラム適用時の対象団体の分布と参照集団の分布との残差と、総コストとの関係から、原点からの距離を計算し、距離が近いものから優先順位を付ける(S232)。
図40は、本発明の第2の実施形態の健診情報分析システムによって導出された、改善プログラムの費用対効果の分析結果の表示を説明する図である。
例えば、図40(A)に示す様に、改善プログラムの総コストを縦軸に設定し、参照集団からの対象団体の乖離を横軸に設定して、改善プログラムをプロットすることによって、改善プログラムの費用対効果を分析することができる。
また、図40(B)に示す様に、対象団体に改善プログラムを適用した場合に推定される異常者数を度数分布の形式で表示することができる。すなわち、対象団体に改善プログラムを適用した場合に推定される異常者数を参照集団と比較し、どの辺りでどの程度多いか又は少ないかを、グラフ中の分布の面積で示す。
次に、図40(A)に示す改善プログラムの費用対効果のグラフを作成する方法について、図39に示すフローチャートに従って、具体的に説明する。
まず、ステップS221で、改善プログラム履歴管理部222(図37)から、改善プログラムの情報を取得する。例えば、プログラムIDがPRG0001の改善プログラムは、団体IDがJ0001の団体で2009年4月から2010年3月まで実施しているので、団体IDがJ0001の団体の改善プログラムの開始時(2009年4月)より前の1年(2008年4月から2009年3月)と、改善プログラムの終了時(2010年3月)より後の1年(2010年4月から2011年3月)の健診情報を取得する。また、プログラムIDがPRG0001の改善プログラムは、団体IDがJ0004の団体でも2009年4月から2010年3月まで実施しているので、2008年4月から2009年3月、及び、2010年4月から2011年3月における団体IDがJ0004の団体の健診情報を取得する。同様に、プログラムIDがPRG0002の改善プログラムについては、2008年4月から2009年3月及び2010年4月から2011年3月における団体IDがJ0002の団体の健診情報を取得し、プログラムIDがPRG0003の改善プログラムについては、2008年4月から2009年3月と2010年4月から2011年3月における団体IDがJ0003の団体の健診情報を取得する。
次に、ステップS222では、改善プログラム情報管理部221(図36)を参照して、プログラムIDがPRG0001の改善プログラムの効果指標がBMIなので、改善プログラム実施前の健診情報(団体IDがJ0001の団体の2008年4月から2009年3月の身長及び体重と、団体IDがJ0004の団体の2008年4月から2009年3月の身長及び体重)を用いて、指標値計算処理(図11)によってBMIを計算し、対象団体分布作成処理(図12)によってBMIの分布を作成する。さらに、プログラム実施後の健診情報(団体IDがJ0001の団体の2010年4月から2011年3月の身長及び体重と、団体IDがJ0004の団体の2010年4月から2011年3月の身長及び体重)を用いて、指標値計算処理(図11)によってBMIを計算し、参照集団分布作成処理(図13)によってBMIの分布を作成する。
次に、ステップS223では、分布比較処理(図14)によって、改善プログラム実施前の分布と実施後の分布とから、分布の層(区分)毎に、実施前の人数から実施後の人数を減じ、この差分を改善プログラム効果管理部223(図38参照)の効果量22306、22308、22310、22312に記録する。
その後、ステップS224で、全ての改善プログラム(改善プログラム情報管理部221に含まれる全ての改善プログラム)について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない評価指標がある場合、ステップS222に戻り、改善プログラム情報管理部221(図36)から、次の改善プログラム(例えば、プログラムIDがPRG0002、PRG0003の改善プログラム)を選択し、ステップS222からS223の処理を繰り返す。
次に、ステップS225で、ある団体(例えば、図4の団体IDがJ0001の団体)が指定される。
次に、ステップS226で、課題項目抽出処理(図10)によって、団体IDがJ0001の団体の各項目(評価指標)について、対象団体の人数分布と参照集団の人数分布とを作成し、両分布の人数差を求める。
次に、ステップS227では、ステップS226で求めた各評価指標における対象団体の分布と参照集団の分布との差において、健診結果が悪い人が最も多い項目を対策項目として選択する。例えば、対象団体のBMIが、参照集団のBMIと比較して悪い人が最も大きい項目である場合、BMIが選択される。
次に、ステップS228では、改善プログラム効果管理部223(図38)を参照し、選択された対策項目(BMI)が対策項目になっている改善プログラムを一つ(例えば、プログラムIDがPRG0001のプログラム)選択する。
次に、ステップS229では、ステップS226で作成した、対象団体のBMIの分布を、改善プログラム効果管理部223(図38参照)の分布区分22305、22307、22309、22311、及び、効果量22306、22308、22310、22312に基づいて変形する。例えば、対象団体のBMIの分布において、BMIが18以上22未満の人数が10人であった場合、効果量が+2なので、10+2=12を10にするように(10/12倍)、分布を変形する。同様に、分布の全ての階層(分布区分)について、計算をして分布を変形する。そして、変形した分布と、ステップS226で作成された参照集団のBMIの分布との面積差を、分布比較処理(図14)によって求める。
次に、ステップS230で、改善プログラム情報管理部221(図36)から、改善プログラムの適用条件22103及び一人当たりコスト22104を取得し、総コストを計算する。例えば、プログラムIDがPRG0001の改善プログラムの適用条件が全員であり、コストは3600円/年であるため、団体IDがJ0001の団体の人数×3600で総コストを計算することができる。
その後、ステップS231で、改善プログラム効果管理部223(図38)を参照し、BMIが対策項目になっている全てのプログラム(PRG0002)、及び、それらの組み合わせ(PRG0001とPRG0002)について計算が完了したことを確認する。計算が完了していない改善プログラムがある場合、ステップS228に戻り、改善プログラム効果管理部223(図38)から改善プログラムを一つ選択し、ステップS228からS230の処理を繰り返す。
最後に、ステップS232で、図40(A)のグラフを作成する。具体的には、ステップS229で求めた面積差(人数差)を横軸に設定し、ステップS230で計算した総コストを縦軸に設定し、改善プログラム及び改善プログラムの組み合わせ毎にプロットする。このとき、プロットすべき改善プログラムの数が多い場合、原点からの距離が小さい改善プログラムを優先的に表示するとよい。
図40(B)に示す度数分布は、ステップS226で求めた対象団体及び参照集団の分布と、ステップS229で求めた変形後の対象団体の分布を重ねて表示することによって作成することができる。
なお、度数分布(図40(B))を表示するためのインターフェースは、例えば、図40(A)のグラフにプロットされた改善プログラムをクリックして、特定の改善プログラムを選択することによって、選択された改善プログラムの度数分布を表示するものでよい。
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態では、改善プログラム効果管理部223が改善プログラムによる分布の変化を管理し、改善プログラム効果推定部233が改善プログラムの実施による分布の変化を算出するので、改善プログラムを適用した後の分布を算出することができる。
さらに、改善プログラム順位付け部234が、改善プログラム効果推定部233で算出された改善プログラム適用後の推定分布と参照集団の分布との面積差と、指導コストとの関係から、改善プログラムを推奨する順位を定めるので、改善プログラムの適用結果が参照集団に最も近づき、かつ、低コストの改善プログラムを選択できる。
さらに、改善プログラム履歴管理部222が、改善プログラムを適用した団体及び適用時期を管理し、改善プログラム評価部231が、実際の改善プログラム実施結果から、改善プログラムによる分布の変化を算出するので、実際の改善プログラムの実績に基づいて、改善プログラムの効果(分布の変化)を正確に求めることができる。
健診機関は、顧客団体の健診結果が、他の団体と比較して悪い場合、顧客団体は、他の集団と同程度の健診結果を得るための対策が必要となる。本発明によって、問題となっている項目に関する人数の分布を他の団体に近づけるための改善方法を、健診機関が提供することができる。
以上に説明した第2の実施形態の健診情報分析システムは、単独で、又は、第1の実施形態の一つ以上の機能と組み合わせで実装することができる。