JP2013172402A - 画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラム - Google Patents

画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 画像の色構造を考慮しつつ、軸上色収差を確度高く補正できる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の色成分の画素値を有する対象画像を平滑化して平滑化の度合いが異なる複数の平滑画像を生成する画像平滑手段と、対象画像の画素それぞれにおいて、対象画像の所定の色成分と平滑画像の所定の色成分とは異なる色成分との差分である色差および色差の分散を算出する演算手段と、色差の分散に基づき対象画像の画素において鮮鋭度が最も高い色成分を決定し、決定した鮮鋭度が最も高い色成分に基づき対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を調整する調整量を算出する調整手段と、色差および調整量に基づいて対象画像の画素における画像構造を判定し、判定結果に応じて対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を調整量で補正する補正手段と、を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像処理装置、撮像装置および画像処理プログラムに関する。
従来、撮像レンズ等の光学系によって結像された被写体を撮像した画像は、その光学系による色収差、特に、軸上色収差の影響を受ける。
それを解決するために、例えば、基準となる色成分の色面を平滑化して他の色成分の色面との色差が最小となるように、各色成分間のMTF特性の不整合を調整して、軸上色収差を補正する技術が開発されている(特許文献1等参照)。
特開2007−28041号公報
しかしながら、従来技術では、基準となる色成分の色面の平滑化を、他の色成分の色面との色差が最小となるようにする際、平滑化の度合いが大きくなると色差が予測できない振る舞いをする場合がある。
また、軸上色収差による影響以外の画像の色構造部分では、彩度が小さくなり色抜けするという問題がある。
上記従来技術が有する問題に鑑み、本発明の目的は、画像の色構造を考慮しつつ、軸上色収差を確度高く補正できる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明を例示する画像処理装置の一態様は、複数の色成分の画素値を有する対象画像を平滑化して平滑化の度合いが異なる複数の平滑画像を生成する画像平滑手段と、対象画像の画素それぞれにおいて、対象画像の所定の色成分と平滑画像の所定の色成分とは異なる色成分との差分である色差および色差の分散を算出する演算手段と、色差の分散に基づき対象画像の画素において鮮鋭度が最も高い色成分を決定し、決定した鮮鋭度が最も高い色成分に基づき対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を調整する調整量を算出する調整手段と、色差および調整量に基づいて対象画像の画素における画像構造を判定し、判定結果に応じて対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を調整量で補正する補正手段と、を備える。
また、調整手段は、対象画像の画素における鮮鋭度が最も高い色成分を、色差の分散の最小値に基づいて決定してもよい。
また、演算手段は、対象画像の画素それぞれにおいて、対象画像と一の平滑画像とを同じ色成分ごとに差分して、対象画像における画像構造の多さを示すテクスチャ量を算出し、補正手段は、色差、調整量およびテクスチャ量に基づいて対象画像の画素における画像構造を判定してもよい。
また、調整手段は、テクスチャ量が所定の値以下となるぼけた画像領域を抽出し、ぼけた画像領域の画素における色差の分散の最小値を平滑化してもよい。
また、補正手段は、対象画像の画素における色差の変化率および調整量の大きさに基づいて、対象画像の画素における画像構造が色境界か否かを判定し、色境界と判定した場合、対象画像の画素を補正対象から除外してもよい。
また、補正手段は、対象画像の画素における調整量と隣接する画素の調整量との大きさを比較して対象画像の画素における画像構造が孤立した構造か否かを判定し、孤立した構造と判定した場合、対象画像の画素を補正対象から除外してもよい。
また、補正手段は、対象画像の画素におけるテクスチャ量および補正量の大きさに基づいて、対象画像の画素における画像構造が軸上色収差に類似した擬似軸上色収差領域か否かを判定し、擬似軸上色収差領域と判定した場合、対象画像の画素を補正対象から除外してもよい。
また、補正手段は、各色成分の分布に基づいて、色境界と判定された対象画像の画素の画像構造が飽和領域周辺の濃度差による色にじみか否かを判定し、色にじみと判定した場合、対象画像の画素を補正対象としてもよい。
また、鮮鋭度が調整された対象画像の画素の画素値を、色差空間において、鮮鋭度の調整前の画素値の色差の向きと同じになるように補正する色差補正手段を備えてもよい。
また、画像平滑手段は、少なくとも2つの異なる平滑化の度合いで対象画像を平滑化して一組の平滑画像を生成し、一組の平滑画像を所定の割合で混合して複数の平滑画像を生成してもよい。
本発明を例示する撮像装置の一態様は、被写体を撮像して、複数の色成分の画素値を有する対象画像を生成する撮像手段と、本発明の画像処理装置と、を備える。
本発明を例示する画像処理プログラムの一態様は、複数の色成分の画素値を有する対象画像を読み込む入力手順、対象画像を平滑化して平滑化の度合いが異なる複数の平滑画像を生成する画像平滑手順、対象画像の画素それぞれにおいて、対象画像の所定の色成分と平滑画像の所定の色成分とは異なる色成分との差分である色差および色差の分散を算出する演算手順、色差の分散に基づき対象画像の画素において鮮鋭度が最も高い色成分を決定し、決定した鮮鋭度が最も高い色成分に基づき対象画像の画素の色成分間の鮮鋭度を調整する調整量を算出する調整手順、色差および調整量に基づいて対象画像の画素における画像構造を判定し、判定結果に応じて対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を調整量で補正する補正手順、をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、画像の色構造を考慮しつつ、軸上色収差を確度高く補正できる。
本発明の一の実施形態に係る画像処理装置として動作させるコンピュータの構成を示すブロック図 色構造について説明する図 一の実施形態に係るコンピュータによる画像処理の動作を示すフローチャート 画素(i,j)と参照領域との関係を示す図 画素(i,j)における標準偏差DEVr[k’]の分布を示す図 本発明に係るデジタルカメラの構成の一例を示す図 補正後の色差成分の大きさに応じた補正出力率を示す図
図1は、本発明の一の実施形態に係る画像処理装置として動作させるコンピュータ10の構成を示すブロック図である。
図1(a)に示すコンピュータ10は、CPU1、記憶部2、入出力インタフェース(入出力I/F)3およびバス4から構成される。CPU1、記憶部2および入出力I/F3は、バス4を介して情報伝達可能に接続される。また、コンピュータ10には、入出力I/F3を介して、画像処理の途中経過や処理結果を表示する出力装置30、ユーザからの入力を受け付ける入力装置40がそれぞれ接続される。出力装置30には、一般的な液晶モニタやプリンタ等を用いることができ、入力装置40には、キーボードやマウス等をそれぞれ適宜選択して使用できる。
なお、コンピュータ10によって処理される対象画像は、各画素において、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の色成分それぞれの画素値を有することを前提とする。すなわち、本実施形態の対象画像は、3板式カラーのデジタルカメラで撮像された、または、単板式カラーのデジタルカメラで撮像され色補間処理された画像であるとする。また、対象画像は、デジタルカメラ等による撮像の際、撮像レンズによる軸上色収差の影響を有し、色成分間の鮮鋭度が異なるものとする。
CPU1は、コンピュータ10の各部を統括的に制御するプロセッサである。例えば、CPU1は、入力装置40で受け付けたユーザからの指示に基づいて、記憶部2に記憶されている画像処理プログラムを読み込む。CPU1は、その画像処理プログラムの実行により、画像平滑部20、演算部21、調整部22、補正部23、色差補正部24として動作し(図1(b))、対象画像に対して軸上色収差の補正処理を施す。CPU1は、その画像に対する画像処理の結果を、出力装置30に表示する。
画像平滑部20は、平滑化の度合い(ぼかし指標)が異なる、例えば、N個の公知のガウシアンフィルタを用い、各ガウシアンフィルタのぼかし指標に応じて対象画像を平滑化しN個の平滑画像を生成する(Nは2以上の自然数)。なお、本実施形態におけるぼかし指標とは、例えば、ぼかし半径の大きさを指す。
演算部21は、後述するように、対象画像およびN個の平滑画像を用い、各画素の画素位置において、対象画像の色成分と平滑画像の対象画像の色成分とは異なる色成分との差分の絶対値から、ぼかし指標に応じた色差面(色差)およびその標準偏差(分散)の値を算出する。また、本実施形態の演算部21は、対象画像とぼかし指標が最も小さい(すなわち平滑化の度合いが最も小さい)平滑画像とを同一の色成分ごとに差分し、対象画像の画像構造の多さを示す各色成分のテクスチャ量を算出する。
調整部22は、対象画像の各画素の画素位置における、ぼかし指標に対する標準偏差の分布に公知の内挿法を適用して、その画素位置で最小の標準偏差を与えるぼかし指標を求める。調整部22は、各画素において求められた各色差面の最小の標準偏差を与えるぼかし指標(以下、最小ぼかし指標と称す)に基づいて、鮮鋭度が最も高い色成分を決定する。調整部22は、決定した鮮鋭度が最も高い色成分に基づいて、対象画素の各画素の画素位置での色成分間の鮮鋭度を調整する補正値(調整量)を算出する。
補正部23は、演算部21により算出された色差および各色成分のテクスチャ量と、調整部22により算出された補正値とに基づいて、対象画像の各画素の画素位置における画像構造が、軸上色収差の補正が可能な構造か否かを判定する。補正部23は、補正可能な画像構造の場合、調整部22により算出された補正値を用いて、各画素における色成分間の鮮鋭度を補正する。
ここで、図2は、本実施形態において考慮する代表的な色構造を示す。図2(a)は、例えば、白地の背景に一本の黒線が配置された被写体を撮像した対象画像で、黒線に直交する走査方向におけるR成分(点線)、G成分(実線)、B成分(破線)の画素値の分布を示す。図2(b)は、一例として、赤と白とからなる色境界を有する被写体を撮像した対象画像で、色境界に直交する走査方向におけるR成分(点線)、G成分(実線)、B成分(破線)の画素値の分布を示す。図2(c)は、例えば、街灯等の明るい光源がある被写体を撮像し、いわゆるパープルフリンジの影響を受けた対象画像で、光源の中心を通る走査方向におけるR成分(点線)、G成分(実線)、B成分(破線)の画素値の分布を示す。ここで、パープルフリンジとは、街灯等の光源の周囲や水面の照り返し等、光量が大きいために各色成分の画素値が飽和した高輝度領域(飽和領域)の周りに生じる紫色の色にじみのことである。なお、図2の各対象画像を撮像したカメラの撮像レンズは、軸上色収差を有しG成分で合焦しているものとする。
図2(a)に示すように、G成分は色構造をよく再現するのに対し、軸上色収差によりR成分やB成分は色構造がぼけてしまう。これにより、黒線の部分は緑またはマゼンダに滲む。しかしながら、各色成分の分布は、本来互いに一致することから、後述するように、演算部21、調整部22、補正部23によるR成分およびB成分に対する鮮鋭度の調整(すなわち軸上色収差の補正)により、図2(a)に示す各色成分の分布を互いに一致させることができる。逆に言えば、本実施形態の軸上色収差の補正処理は、元の対象画素の各色成分の分布は、互いに一致していることを前提としている。なお、このような色構造付近では、演算部21により算出されるテクスチャ量は色成分ごとに大きく異なる分布を示すのに対し、調整部22により算出される各色差の最小ぼかし指標は互いに似たようななだらかで一様な分布を示す。
次に、図2(b)に示す色境界では、各色成分の色構造が大きく異なる。すなわち、色境界付近において、テクスチャ量の分布は色成分ごとに大きく異なるとともに、各色差の最小ぼかし指標の分布も急激な変化を示す。このことから、図2(b)に示すような色境界では、上述した前提が成り立たたず、調整部22により算出される補正値も大きな値となり、軸上色収差を適切に補正することができない。そこで、本実施形態の補正部23は、各色差の最小ぼかし指標の分布および補正値の大きさに基づいて、色構造が図2(b)に示すような色境界か否かを判定する。補正部23が、色構造が色境界であると判定した場合、本実施形態では、その色境界の画素に対する軸上色収差の補正を行わないようにする。これにより、色境界に対する軸上色収差の補正処理を施すことにより生じる変色を抑制することができる。
一方、図2(c)に示すパープルフリンジの場合、色成分ごとに飽和領域が異なり、光源から離れるに従ってG成分が最初に減少し、R成分が最も広い範囲まで分布する。このような分布により、紫色の色にじみとなって現れる。このような各色成分の分布は、図2(a)に示す色構造とも異なる。しかしながら、上述したように、図2(a)に示す黒線の部分が軸上色収差により緑またはマゼンダに滲むという点は、パープルフリンジと似ている。そこで、本実施形態では、パープルフリンジの画像領域に対して、軸上色収差と同様の補正処理を施す。そのために、補正部23は、図2(c)に示すように、対象画像の画素を中心とする周辺領域、または対象画像全体における各色成分の画素値の分布を求め、その分布から各色成分の画素値の飽和領域を求める。補正部23は、最も広く分布する色成分の飽和領域(図2(c)の場合は、R成分)およびその飽和領域の端から幅β広げた領域をパープルフリンジ領域として抽出する。補正部23は、画素位置が抽出したパープルフリンジ領域に含まれるか否かに基づいて、色構造がパープルフリンジであるか否か判定する。補正部23は、パープルフリンジと判定された画素の各色成分に対し、調整部22により算出された補正値に基づいて軸上色収差の補正処理を施す。
なお、パープルフリンジ付近では、図2(b)に示す色境界と同様に、テクスチャ量の分布は色成分ごとに大きく異なるとともに、各色差の最小ぼかし指標の分布も急激な変化を示す。
本実施形態では、図2に示す色構造以外にも、ショットノイズなどの影響により1画素の画素値だけ異常な補正値を示す孤立した構造や、軸上色収差の画像領域と似たような色構造を示すにもかかわらず、軸上色収差の補正処理を施した場合、過剰に補正がかかってしまい対象画像の画質を低下させてしまう領域(以下、擬似軸上色収差領域と称す)についても考慮する。そして、本実施形態では、これらの画像構造については軸上色収差の補正処理を施さない。なお、これらの画像構造の判定処理については後述する。
色差補正部24は、鮮鋭度が調整された画素の各色成分の画素値を、色差空間において、調整前の色差の向きと同じになるように補正し、軸上色収差の補正処理によって生じる変色を抑制する。
記憶部2は、対象画像とともに、対象画像における軸上色収差を補正するための画像処理プログラム等を記録する。記憶部2に記憶される画像やプログラム等は、バス4を介して、CPU1から適宜参照することができる。記憶部2には、一般的なハードディスク装置、光磁気ディスク装置等の記憶装置を選択して用いることができる。なお、記憶部2は、コンピュータ10に組み込まれるとしたが、外付けの記憶装置でもよい。この場合、記憶部2は、入出力I/F3を介してコンピュータ10に接続される。
次に、本実施形態のコンピュータ10による軸上色収差を補正する画像処理の動作について、図3に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
ユーザは、入力装置40を用いて、画像処理プログラムのコマンドを入力、または、出力装置30に表示されたそのプログラムのアイコンをダブルクリック等することにより、画像処理プログラムの起動をCPU1に指示する。CPU1は、その指示を入出力I/F3を介して受け付け、記憶部2に記憶されている画像処理プログラムを読み込み実行する。CPU1は、図3のステップS10からの処理を開始する。
ステップS10:CPU1は、入力装置40を介して、ユーザによって指定された軸上色収差の補正対象の対象画像を読み込む。
ステップS11:CPU1の画像平滑部20は、各ガウシアンフィルタのぼかし指標に応じ、読み込んだ対象画像を平滑化し、N個の平滑画像を生成する。なお、本実施形態では、対象画像自身も平滑画像の1つとし、本実施形態における平滑画像の総数は、(N+1)個となる。
ステップS12:CPU1の演算部21は、R成分とG成分との色差面Cr、B成分とG成分との色差面Cb、およびR成分とB成分との色差面Crbを対象画像と各平滑画像とを用いて算出する。
例えば、演算部21は、対象画像の所定の色成分であるG成分の画素値G0(i,j)と、平滑画像の上記所定の色成分とは異なる色成分であるR成分の画素値Rk(i,j)との差分の絶対値を各画素位置において求め、次式(1)に示す色差面Cr[−k](i,j)を算出する。
Cr[−k](i,j)=|Rk(i,j)−G0(i,j)| …(1)
ここで、(i,j)は、対象画像の各画素の画素位置の座標を示す。kは、平滑画像のぼかし指標であり、0≦k≦Nの整数である。なお、式(1)において、ぼかし指標kがマイナスであるのは、マイナス側にR面を順次ぼかした色差面Crであることを表す。また、ぼかし指標k=0は、対象画像自身、すなわち平滑化されていない画像を表す。
同様に、演算部21は、対象画像の所定の色成分であるR成分の画素値R0(i,j)と、平滑画像の上記所定の色成分とは異なる色成分であるG成分の画素値Gk(i,j)との差分の絶対値を各画素(i,j)において求め、次式(2)の色差面Cr[k](i,j)を算出する。
Cr[k](i,j)=|R0(i,j)−Gk(i,j)| …(2)
なお、式(2)において、ぼかし指標kがプラスであるのは、プラス側にG面を順次ぼかした色差面Crであることを表す。
同様に、演算部21は、式(3)〜(6)に基づいて、B成分とG成分との色差面Cb、R成分とB成分との色差面Crbそれぞれを各画素(i,j)において算出する。
Cb[−k](i,j)=|Bk(i,j)−G0(i,j)| …(3)
Cb[k](i,j)=|B0(i,j)−Gk(i,j)| …(4)
Crb[−k](i,j)=|Rk(i,j)−B0(i,j)| …(5)
Crb[k](i,j)=|R0(i,j)−Bk(i,j)| …(6)
ステップS13:演算部21は、ステップS12で算出した色差面Cr、Cb、Crbを用い、画素(i,j)における各色差面の標準偏差DEVr、DEVb、DEVrbを、ぼかし指標ごとに算出する。すなわち、演算部21は、図4に示すように、斜線で示す演算対象の画素(i,j)を中心とする15ピクセル×15ピクセルの大きさの参照領域AR1にある画素の各色差面Cr、Cb、Crbの値を用い標準偏差を算出する。なお、本実施形態では、参照領域AR1の大きさを15ピクセル×15ピクセルとするが、CPU1の処理能力や軸上色収差の補正の精度に応じて適宜決めることが好ましく、例えば、一辺を10〜30ピクセルの範囲に設定されるのが好ましい。
演算部21は、次式(7)〜(9)を用い各色差面の標準偏差DEVr、DEVb、DEVrbを算出する。
Figure 2013172402
ここで、k’は、−N〜Nの整数のぼかし指標である。rは、参照領域AR1の一辺のピクセル数を示し、本実施形態ではr=15ピクセルである。また、(l,m)および(x,y)は、参照領域AR1内の画素位置をそれぞれ表す。
ステップS14:演算部21は、画素(i,j)におけるテクスチャ量を算出するために、対象画像およびぼかし指標k=1の平滑画像と、次式(10)とを用いて色成分ごとに差分する。
TR(i,j)=R0(i,j)−R1(i,j)
TG(i,j)=G0(i,j)−G1(i,j) …(10)
TB(i,j)=B0(i,j)−B1(i,j)
演算部21は、画素(i,j)を中心とする5ピクセル×5ピクセルなどの範囲にある各画素の式(10)で求めた差分を色成分ごとに加算した値、あるいは色成分ごとに1画素単位で規格化した値を、画素(i,j)のテクスチャ量として算出する。なお、演算部21は、式(10)の各差分を各色成分のテクスチャ量としてもよい。
ステップS15:演算部21は、ステップS13で算出された各色差面の標準偏差DEVr、DEVb、DEVrbを用い、各画素(i,j)において、最小の標準偏差の値を与える最小ぼかし指標k’を色差面ごとに求める。例えば、図5に示すように、演算部21は、ぼかし指標に応じた色差面Crの標準偏差DEVr[k’]の分布に基づいて、画素(i,j)における最小ぼかし指標k’=αを求める。
演算部21は、色差面Cbおよび色差面Crbの場合についても同様の処理を行い、最小の標準偏差DEVb、DEVrbを与える最小ぼかし指標k’=αおよびk’=αrbを、対象画像の全ての画素(i,j)について求める。
ステップS16:CPU1の調整部22は、ステップS14で求めたテクスチャ量に基づいて、対象画像のうち、合焦領域以外のぼけた画像領域(以下、背景領域と称す)を抽出する。そのために、調整部22は、画素(i,j)のテクスチャ量が所定の値d以下か否かを判定する。調整部22は、テクスチャ量が所定の値d以下の場合、画素(i,j)を背景領域として抽出する。調整部22は、このような抽出処理を対象画像の全ての画素について行う。
ステップS17:調整部22は、ステップS15およびステップS16で求められた最小ぼかし指標α、α、αrbに基づいて、対象画像の画素(i,j)において鮮鋭度が最も高い色成分を決定し、決定した鮮鋭度が最も高い色成分に基づいて、色成分間の鮮鋭度を調整する補正値を算出する。
例えば、調整部22は、最小ぼかし指標αが正の場合、画素(i,j)において鮮鋭度がより高いのはG成分であると決定する。一方、調整部22は、最小ぼかし指標αが負の場合、画素(i,j)において鮮鋭度がより高いのはR成分であると決定する。調整部22は、最小ぼかし指標αおよびαrbに対しても、それらの符号に基づいて、鮮鋭度がより高い色成分をそれぞれ決定する。
上記結果に基づいて、調整部22は、各画素において最も鮮鋭度の高い色成分が決定できたか否かを判定する。すなわち、3つの色差面における結果のうち、2つで同一の色成分が決定された場合、調整部22は、その色成分を、その画素において鮮鋭度が最も高い色成分として決定する。一方、例えば、各色差面のぼかし係数α、α、αrbそれぞれに基づいて、R成分、G成分、B成分がそれぞれ決定された場合、調整部22は、画素(i,j)における最も鮮鋭度の高い色成分を1つに決定することができない。このような場合、調整部22は、不定と判定し、その画素に対する軸上色収差の補正処理を行わないにするのが好ましい。なお、色差面ごとに決定された各色成分の鮮鋭度を比較し鮮鋭度が最も高い色成分を決定してもよい。
次に、調整部22は、決定した鮮鋭度が最も高い色成分に基づいて、色成分間の鮮鋭度を調整するための補正値を算出する。例えば、調整部22は、図5に示す色差面Crの標準偏差DEVrの分布に基づいて、画素(i,j)における真の意味での最小の標準偏差の値を与えるぼかし指標sを求める。すなわち、演算部21がステップS15で求めた最小ぼかし指標αは、図5の点線が示すように、必ずしも真に最小の標準偏差DEVrを与えるぼかし指標ではない。そこで、調整部22は、最小ぼかし指標αと、隣接する両端の最小ぼかし指標α−1およびα+1との3点に対し内挿法を適用し、より正確な最小ぼかし指標(内挿点)sを求める。なお、画素(i,j)で最も鮮鋭度が高い色成分をG成分とした場合の一例を以下に示す。
ここで、標準偏差DEVr[k’](i,j)の分布において、DEVr[α−1](i,j)>DEVr[α+1](i,j)の場合、最小ぼかし指標sは、次式(11)のように表される。
s=((α+1)+α)/2+(DEVr[α+1](i,j)−DEVr[α](i,j))/2/a …(11)
ここで、係数aは傾きであり、(DEVr[α−1](i,j)−DEVr[α](i,j))/((α−1)−α)となる。
一方、DEVr[α−1](i,j)<DEVr[α+1](i,j)の場合、最小ぼかし指標sは、次式(12)のように表される。
s=((α−1)+α)/2+(DEVr[α−1](i,j)−DEVr[α](i,j))/2/a …(12)
なお、傾きaは(DEVr[α+1](i,j)−DEVr[α](i,j))/((α+1)−α)となる。
その後、調整部22は、ステップS16で抽出した背景領域における各色差面の最小ぼかし指標である内挿点sの分布を平滑化する。つまり、背景領域は、ぼけた画像領域であることから、各色差面の最小ぼかし指標はなだらかに一様に分布するものと考えられる。しかしながら、背景領域において最小ぼかし指標が大きく変化する画素が存在する場合、その画素に対する軸上色収差の補正処理を適正に施すことができず、ノイズとして対象画像の画質を低下させてしまう。それを回避するために、本実施形態の調整部22は、例えば、背景領域の画素(i,j)の内挿点sを、画素(i,j)を中心とする5ピクセル×5ピクセルなどの範囲で隣接する画素の内挿点sと平均し、その平均値を画素(i,j)の新たな内挿点sとして上書きする。他の色差面の内挿点sについても同様の処理が施される。これにより、背景領域において各色差面の最小ぼかし指標をなだらかに一様に分布させる。
そして、調整部22は、内挿点sとともに、ぼかし指標α、α+1のGα(i,j)、G(α+1)(i,j)を用いた公知の重み付け加算により、補正値G’(i,j)を算出する。
ステップS18:CPU1の補正部23は、最小ぼかし指標α、α、αrbおよび補正値に基づいて、画素(i,j)の色構造が色境界か否かを判定する。まず、補正部23は、画素(i,j)における最小ぼかし指標α、α、αrbそれぞれの変化率を求める。そのために、補正部23は、例えば、画素(i,j)を中心とした5ピクセル幅くらいで隣接する両端の画素の最小ぼかし指標α、α、αrbそれぞれを公知の微分係数の公式に適用して傾きを求め、その傾きを画素(i,j)の各色差の最小ぼかし指標の変化率とする。補正部23は、それらの変化率が閾値ε以上、且つ補正値が閾値ε以上か否かを判定する。なお、本実施形態では、例えば、閾値ε=4、および閾値ε=40(対象画像が255階調の画像の場合)と設定する。なお、閾値εおよび閾値εの値は、軸上色収差の補正処理に要求される精度やCPU1の処理能力等に応じて決定されることが好ましい。
そして、補正部23は、その判定結果が真の場合、画素(i,j)の色構造が色境界と判定し、ステップS19(YES側)へ移行する。一方、補正部23は、判定結果が偽の場合、ステップS20(NO側)へ移行する。
ステップS19:補正部23は、ステップS18において色境界と判定された画素(i,j)の色構造がパープルフリンジであるか否かを判定する。そのために、補正部23は、画素(i,j)およびその周辺画素、または対象画像全体の各色成分の画素値を用い、図2(c)に示すような色成分ごとの画素値の分布から画素値が飽和した飽和領域(255階調の画像の場合、画素値が255)を求める。補正部23は、各色成分の飽和領域の大きさのうち、最も領域が広い、例えば、R成分の飽和領域とその飽和領域の端から幅β広げた領域とを合わせた領域をパープルフリンジ領域とする。なお、本実施形態における幅βの値は、例えば、10ピクセル程度とする。ただし、幅βの大きさは、CPU1の処理能力、軸上色収差の補正処理の精度や各色成分における飽和状態からの減少度合いに応じて決定されるのが好ましい。
補正部23は、求めたパープルフリンジ領域に基づいて、画素(i,j)がそのパープルフリンジ領域内か否かを判定する。補正部23は、画素(i,j)がパープルフリンジ領域にある場合、ステップS20(YES側)へ移行する。一方、補正部23は、画素(i,j)がパープルフリンジ領域にない場合、ステップS24(NO側)へ移行する。
ステップS20:補正部23は、ステップ17で算出され閾値ε以上である画素(i,j)の補正値が、隣接する画素の補正値と閾値ε以上の差を有するか否かを判定する。つまり、補正部23は、画素(i,j)の補正値が閾値ε以上である原因が、ショットノイズなどによる孤立した構造によるものか否かを判定する。なお、閾値εの値は軸上色収差の補正処理に要求される精度やCPU1の処理能力等に応じて決定され設定されることが好ましい。
そして、補正部23は、その判定結果が真の場合、画素(i,j)の色構造が孤立した構造であると判定し、ステップS24(YES側)へ移行する。一方、補正部23は、判定結果が偽の場合、ステップS21(NO側)へ移行する。
ステップS21:補正部23は、対象画像の各画素におけるテクスチャ量および補正値に基づいて、画素(i,j)の色構造が擬似軸上色収差領域か否かを判定する。
ここで、擬似軸上色収差領域は、上述したように、軸上色収差の影響を受けたような色構造を示すが、軸上色収差の補正処理が適用できない領域である。図2(a)に示す軸上色収差の画像領域におけるテクスチャ量は色成分ごとに大きく異なる分布を示すのに対し、擬似軸上色収差領域の特徴として、各色成分のテクスチャ量は大きな値で、互いに似たような値の分布を示す。そこで、本実施形態の補正部23は、画素(i,j)の各色成分のテクスチャ量が全て閾値ε以上、且つ画素(i,j)の補正値が閾値ε以下か否かを判定する。なお、閾値εおよび閾値εの値は、軸上色収差の補正処理に要求される精度やCPU1の処理能力等に応じて決定され設定されることが好ましい。
そして、補正部23は、その判定結果が真の場合、画素(i,j)の色構造が擬似軸上色収差領域であると判定し、ステップS24(YES側)へ移行する。一方、補正部23は、判定結果が偽の場合、ステップS22(NO側)へ移行する。
ステップS22:補正部23は、ステップS17において算出された補正値を用いて画素(i,j)の軸上色収差を補正する。
補正部23は、例えば、画素(i,j)で最も鮮鋭度が高いのがG面とした場合、次式(13)に基づいて画素(i,j)のR成分の鮮鋭度を調整し軸上色収差を補正する。
R’(i,j)=R0(i,j)+(G0(i,j)−G’(i,j)) …(13)
補正部23は、同様にB成分についても、B成分とG成分との色差面Cbの標準偏差DEVbの分布に基づいて、補正値G”(i,j)を算出し、次式(14)に基づいて、画素(i,j)におけるB成分の鮮鋭度を調整し軸上色収差を補正する。
B’(i,j)=B0(i,j)+(G0(i,j)−G”(i,j)) …(14)
ステップS23:CPU1の色差補正部24は、軸上色収差の補正処理が施された画素(i,j)の各色成分の画素値に対して色差補正を行う。
すなわち、ステップS22において、軸上色収差の補正処理が施された画素の各色成分の画素値は、補正前の画素値と比較した場合、特に、輝度色差の色空間における色差成分の向きが大きく変わる場合があり、それにより変色が発生する。そこで、本実施形態では、その変色の発生を抑制するために、色差補正部24は、画素(i,j)における補正後の色差成分が、輝度色差の空間において、補正前の色差成分の向きと同じになるように補正する。
具体的には、色差補正部24は、画素(i,j)の補正前後の各色成分の画素値を、公知の変換処理を適用して、RGBの画素値(R’,G,B’)をYCrCbの輝度成分と色差成分(Y’,Cr’,Cb’)に変換する。ここで、補正前の輝度成分および色差成分を(Y0,Cr0,Cb0)とする。そして、色差補正部24は、次式(15)により、画素(i,j)の色差成分の向きを補正前の向きに補正する。なお、本実施形態において、輝度成分Y’は補正しない。
Figure 2013172402
色差補正部24は、再度、上述した公知の変換処理を適用して、画素の色差補正後の輝度成分および色差成分(Y’,Cr”,Cb”)をRGBの画素値(R,G,B)に変換する。色差補正部24は、画素値(R,G,B)を画素(i,j)の画素値とする。
ステップS24:CPU1は、対象画像の全ての画素について処理が終了したか否かを判定する。CPU1は、全ての画素について処理が終了していない場合、ステップS18(NO側)へ移行し、次の画素について、ステップS18からステップS23の処理を行う。一方、CPU1は、全ての画素について処理が終了した場合、軸上色収差が補正された画像を、記憶部2に記録したり出力装置30に表示したりする。そして、CPU1は、一連の処理を終了する。
このように、本実施形態では、各色差面の最小ぼかし指標、各色成分のテクスチャ量および補正値の値に基づいて各画素における色構造を判定することにより、軸上色収差の補正を確度高く補正することができる。
また、色境界や擬似軸上色収差領域等と判定された画素に対する軸上色収差の補正処理を行わないことにより、変色や色抜け等の発生を回避することができる。
さらに、補正後の画素値に対して、色差空間において補正前の画素値が有した色差成分の向きに補正することにより、変色や色抜け等を抑制しつつ軸上色収差の補正をより精度よく行うことができる。
《実施形態の補足事項》
(1)本発明の画像処理装置は、画像処理プログラムをコンピュータ10に実行させることで実現させたが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る画像処理装置における処理をコンピュータ10で実現するためのプログラムおよびそれを記録した媒体に対しても適用可能である。
また、本発明の画像処理プログラムを有した図6に示すようなデジタルカメラに対しても適用可能である。なお、図6に示すデジタルカメラにおいて、撮像素子102と、撮像素子102から入力される画像信号のA/D変換や、色補間処理などの信号処理を行うデジタルフロントエンド回路のDFE103とが、撮像部を構成することが好ましい。
また、デジタルカメラを本発明の画像処理装置として動作させる場合、CPU104は、画像平滑部20、演算部21、調整部22、補正部23、色差補正部24の各処理をソフトウエア的に実現してもよいし、ASICを用いてこれらの各処理をハードウエア的に実現してもよい。
(2)上記実施形態では、画像平滑部20が、N個のガウシアンフィルタを用いて、対象画像からN個の平滑画像を生成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6に示すようなデジタルカメラの撮像レンズ101などの光学系の点広がり関数(PSF)が得られる場合、画像平滑部20は、ガウシアンフィルタを用いる代わりに、PSFを用いて平滑画像を生成してもよい。
また、画像平滑化部20は、例えば、少なくとも2つのガウシアンフィルタを用いて一組の平滑画像を最初に生成し、その一組の平滑画像を所定の割合で混合することにより、ぼかし指標が互いに異なるN個の平滑画像を生成してもよい。これにより、画像処理の単純化および高速化を図ることができる。また、ガウシアンフィルタの最大半径がぼかし量を超えない範囲で、平滑画像の混合の割合を調整することにより、任意のぼかし指標を有する平滑画像を容易に生成することができる。つまり、軸上色収差の補正において、非常に大きなぼかし量が必要となる画像領域に対しても、所望のぼかし量の範囲で平滑画像を容易に生成できる。
(3)上記実施形態では、演算部21は、対象画像とぼかし指標が最も小さいk=1の平滑画像とを同一の色成分ごとに差分してテクスチャ量を算出したが、本発明はこれに限定されない。演算部21は、どの程度の空間スケールの画像構造まで考慮するかに応じて、いずれかのぼかし指標の平滑画像を用いテクスチャ量を算出するのが好ましい。
(4)上記実施形態では、R成分とG成分との色差面Cr、B成分とG成分との色差面Cb、R成分とB成分との色差面Crbに基づいて、対象画像の軸上色収差の補正を行ったが、本発明はこれに限定されない。例えば、3つの色差面のうち2つの色差面に基づいて、対象画像の軸上色収差の補正を行ってもよい。これにより、補正処理の高速化を図ることができる。
(5)上記実施形態では、対象画像は、各画素においてR成分、G成分、B成分の画素値を有するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、対象画像の各画素において、2つまたは4つ以上の色成分を有してもよい。
また、図6に示すデジタルカメラの撮像素子102の受光面の各画素子に、R、G、Bのカラーフィルタが公知のベイヤ配列に従って配置されている場合、その撮像素子102によって撮像されたRAW画像に対しても、本発明は適用可能である。
(6)上記実施形態では、ステップS18において、補正部23が、画素(i,j)における各色差の最小ぼかし指標の変化率が閾値ε以上且つ補正値が閾値ε以上の場合、画素(i,j)の色構造は色境界であると判定したが、本発明ではこれに限定されない。例えば、補正部23は、色境界と判定された画素周辺の画像領域において、最小ぼかし指標の変化率が閾値εより小さく、且つ補正値が閾値ε以上となる領域を検出し、軸上色収差の補正対象から除外することが好ましい。これは、色境界の周辺のそのような領域は、本発明により、軸上色収差の補正が施された場合、対象画像の画質を低下させてしまうことが判明したからである。
(7)本実施形態では、ステップS21において、補正部23は、画素の色構造が擬似軸上色収差領域か否かを判定したが、本発明はこれに限定されず、ステップS21の処理を省略してもよい。
(8)上記実施形態では、色差補正部24は、軸上色収差の補正処理が施された画素全てに対して色差補正を行ったが、本発明これに限定されず、それらの画素の補正後の色差成分の大きさL’の値が、補正前の色差成分の大きさLの値より小さい場合、色差補正を行わないようにしてもよい。
また、色差補正部24は、補正後の色差成分の大きさL’が、補正前の色差成分の大きさL(所定の大きさ)より大きい場合、図7および次式(16)で定義される補正出力率φ(L’)を用いて、式(15)を変形した次式(17)に基づき補正後の色差成分の出力率を小さくしてもよい。
Figure 2013172402
これにより、変色の発生をより正確に抑制することが可能となる。なお、関数clip(V,U,U)は、パラメータVの値が下限値Uと上限値Uとの範囲外の値の場合、下限値Uまたは上限値Uにクリップする。なお、係数WVは、補正出力率φ(L’)を上限値U(=1)から下限値U(=0)に変化させる幅を示し、本実施形態では、255階調の画像の場合、例えば、係数WV=5〜10の値とする。ただし、係数WVの値は、要求される変色の抑制の度合い等に応じて適宜設定されることが好ましい。
(9)上記実施形態では、補正部23は、画素の色構造が色境界や擬似軸上色収差領域の場合、軸上色収差の補正処理を行わないとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、補正部23は、色境界や擬似軸上色収差領域の画素に対して、ステップS22およびステップS23の処理を行ってもよい。ただし、補正部23は、ステップS22において、式(13)および(14)の代わりに次式(18)および(19)を用いて行うのが好ましい。
R’(i,j)=R0(i,j)+γ×(G0(i,j)−G’(i,j))…(18)
B’(i,j)=B0(i,j)+γ×(G0(i,j)−G”(i,j))…(19)
ここで、係数γは、0〜1の間で色構造に応じて設定される値である。すなわち、色構造が色境界や擬似軸上色収差領域などの場合、それらによる影響があまり目立たないようにするために、係数γ=0または0.1〜0.2以下等、各色差面の最小ぼかし指標、補正値または各色成分のテクスチャ量等に応じて、係数γを小さな値にするのが好ましい。一方、色構造が軸上色収差やパープルフリンジ領域と判定された場合、係数γ=1等の値にするのが好ましい。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
1 CPU、2 記憶部、3 入出力I/F、4 バス、10 コンピュータ、20 画像平滑部、21 演算部、22 調整部、23 補正部、24 色差補正部、30 出力装置、40 入力装置

Claims (12)

  1. 複数の色成分の画素値を有する対象画像を平滑化して平滑化の度合いが異なる複数の平滑画像を生成する画像平滑手段と、
    前記対象画像の画素それぞれにおいて、前記対象画像の所定の色成分と前記平滑画像の前記所定の色成分とは異なる色成分との差分である色差および前記色差の分散を算出する演算手段と、
    前記色差の分散に基づき前記対象画像の画素において鮮鋭度が最も高い色成分を決定し、決定した前記鮮鋭度が最も高い色成分に基づき前記対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を調整する調整量を算出する調整手段と、
    前記色差および前記調整量に基づいて前記対象画像の画素における画像構造を判定し、前記判定結果に応じて前記対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を前記調整量で補正する補正手段と、
    を備えることを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記調整手段は、前記対象画像の画素における前記鮮鋭度が最も高い色成分を、前記色差の分散の最小値に基づいて決定することを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の画像処理装置において、
    前記演算手段は、前記対象画像の画素それぞれにおいて、前記対象画像と一の前記平滑画像とを同じ色成分ごとに差分して、前記対象画像における画像構造の多さを示すテクスチャ量を算出し、
    前記補正手段は、前記色差、前記調整量および前記テクスチャ量に基づいて前記対象画像の画素における画像構造を判定する
    ことを特徴とする画像処理装置。
  4. 請求項3に記載の画像処理装置において、
    前記調整手段は、前記テクスチャ量が所定の値以下となるぼけた画像領域を抽出し、前記ぼけた画像領域の画素における前記色差の分散の最小値を平滑化することを特徴とする画像処理装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
    前記補正手段は、前記対象画像の画素における前記色差の変化率および前記調整量の大きさに基づいて、前記対象画像の画素における画像構造が色境界か否かを判定し、前記色境界と判定した場合、前記対象画像の画素を補正対象から除外することを特徴とする画像処理装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
    前記補正手段は、前記対象画像の画素における前記調整量と隣接する画素の調整量との大きさを比較して前記対象画像の画素における画像構造が孤立した構造か否かを判定し、前記孤立した構造と判定した場合、前記対象画像の画素を補正対象から除外することを特徴とする画像処理装置。
  7. 請求項3または請求項4に記載の画像処理装置において、
    前記補正手段は、前記対象画像の画素における前記テクスチャ量および前記補正量の大きさに基づいて、前記対象画像の画素における画像構造が軸上色収差に類似した擬似軸上色収差領域か否かを判定し、前記擬似軸上色収差領域と判定した場合、前記対象画像の画素を補正対象から除外することを特徴とする画像処理装置。
  8. 請求項5に記載の画像処理装置において、
    前記補正手段は、前記各色成分の分布に基づいて、前記色境界と判定された前記対象画像の画素の画像構造が飽和領域周辺の濃度差による色にじみか否かを判定し、前記色にじみと判定した場合、前記対象画像の画素を前記補正対象とすることを特徴とする画像処理装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
    前記鮮鋭度が調整された前記対象画像の画素の画素値を、色差空間において、前記鮮鋭度の調整前の画素値の色差の向きと同じになるように補正する色差補正手段を備えることを特徴とする画像処理装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
    前記画像平滑手段は、少なくとも2つの異なる平滑化の度合いで前記対象画像を平滑化して一組の平滑画像を生成し、前記一組の平滑画像を所定の割合で混合して前記複数の平滑画像を生成することを特徴とする画像処理装置。
  11. 被写体を撮像して、複数の色成分の画素値を有する対象画像を生成する撮像手段と、
    請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  12. 複数の色成分の画素値を有する対象画像を読み込む入力手順、
    前記対象画像を平滑化して平滑化の度合いが異なる複数の平滑画像を生成する画像平滑手順、
    前記対象画像の画素それぞれにおいて、前記対象画像の所定の色成分と前記平滑画像の前記所定の色成分とは異なる色成分との差分である色差および前記色差の分散を算出する演算手順、
    前記色差の分散に基づき前記対象画像の画素において鮮鋭度が最も高い色成分を決定し、決定した前記鮮鋭度が最も高い色成分に基づき前記対象画像の画素の色成分間の鮮鋭度を調整する調整量を算出する調整手順、
    前記色差および前記調整量に基づいて前記対象画像の画素における画像構造を判定し、前記判定結果に応じて前記対象画像の画素における色成分間の鮮鋭度を前記調整量で補正する補正手順、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
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