JP2013171387A - 二次元座標検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光分配アセンブリのような光学装置を複数備える光学式の二次元座標検知装置において、各光学装置が他の光学装置からの通常反射光を受光した場合であっても、その影響を受けずに物体の座標を検知することができる。
【解決手段】 二次元座標検知装置1は、二次元座標領域D2に光源31の光を出射する走査部32、及び走査部32から出て再帰反射部で再帰反射された光を受光する受光部33を有する2つの光学装置3,4と、各光学装置を制御する制御回路部8とを備える。制御回路部8は、二次元座標領域D2を走査する光を出射する光学装置が所定の時点で1つのみとなるように光学装置3,4を制御し、且つ各光学装置3,4が光を出射している間に受光部33が受光した光に基づいて物体の座標を検知する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、二次元座標領域にある物体の座標を検知する装置に関する。
従来、物体の位置(座標)を決定する長方形状の目標区域(二次元座標領域)を内部に有するハウジングと、一対の光分配検出アセンブリとを備える光学的位置決め装置(二次元座標検知装置)が知られている(特許文献1)。この装置において、ハウジングは、再帰反射性の材料からなる反射器アセンブリを有する。ここで、再帰反射とは、入射した光に平行で且つ入射方向と反対の方向に光が出射される反射のことである。また、光分配検出アセンブリは、目標区域を走査する走査光を出射する光源と、走査光が反射器アセンブリにより再帰反射した光を検出する光検出器とを有する。
光源から出射された光が反射器アセンブリに到達する前に物体に遮られた場合には、物体に遮られていない場合に比べて光検出器が検出する光のレベルが変化する。光分配検出アセンブリは、この検出した光のレベルによって物体の有無を検知できる。
ここで、目標区域内に1つの物体がある場合、一対の光分配検出アセンブリの各々は、一回の走査において、この物体によって光源から出射された光が遮られる角度を1つ検知する。一対の光分配検出アセンブリの各々から検知した角度となる直線を引いたとき、2つの直線が交わる点(交点)がある。この交点が物体の座標となる。一対の光分配検出アセンブリ間の距離は既知であるので、一辺とその両端の角度(一対の光分配検出アセンブリの各々が検知した角度)とからこの交点(三角形の頂点)を求める三角測量法によって目標区域内の物体の座標を検知することができる。
特開昭62−5428号公報
反射器アセンブリは、通常、再帰反射性を有するために、ガラスビーズ又はコーナーキューブ等の再帰反射体を多数並設している。このような再帰反射体は、小さく形成されるので、表面に水分又は埃等の異物が付着した場合に、当該異物を除去することが困難である。また、再帰反射体の表面に上記のような異物が付着している場合、当該異物によって入射光又は反射光の光路が遮蔽される恐れがある。
このため、通常、反射器アセンブリには、メンテナンス性の向上等のために、再帰反射体の表面を覆うように板状の透光性プラスチック等が配置されている。これにより、反射器アセンブリに入射する光は、次に示される2つの光に分離される。
1つは、透光性プラスチックを通過し、再帰反射体によって再帰反射される光(以下、「再帰反射光」という)である。もう1つは、透光性プラスチックによって正反射される光(以下、「正反射光」という)である。再帰反射光は、反射器アセンブリに入射した光を出射した光分配検出アセンブリに向かって、当該反射器アセンブリから出射される光である。
各光分配検出アセンブリによる走査時において、一方の光分配検出アセンブリから出射された光のうち一部の正反射光が、他方の光分配検出アセンブリに向かうときがある。このとき、他方の光分配検出アセンブリは、一方の光分配検出アセンブリからの正反射光を受光してしまう。一対の光分配検出アセンブリの各々は、常に走査光を出射している。このため、各光分配検出アセンブリは、受光した光が、自身が出射した光の再帰反射光であるのか、又は他方の光分配検出アセンブリが出射した光の正反射光であるのか区別が付かない。
他方の光分配検出アセンブリからの正反射光を遮断する位置に物体があったとき、一方の光分配検出アセンブリは、当該一方の光分配検出アセンブリからの再帰反射光が、物体によって遮蔽された場合と、他方の光分配検出アセンブリからの正反射光が、物体によって遮蔽された場合との2つの場合で、受光部に入射する光の遮断を検知することとなる。これにより、物体の座標を正しく検知できなくなる。
本発明は、光分配アセンブリのような光学装置を複数備える光学式の二次元座標検知装置において、各光学装置が他の光学装置からの正反射光を受光した場合であっても、その影響を受けずに物体の座標を検知できる二次元座標検知装置を提供することを目的とする。
本発明の二次元座標検知装置は、光を出射する光出射部と光を受光する受光部とを有し、二次元座標領域にある1又は複数の物体の座標を検知するために前記二次元座標領域の周縁上又は前記二次元座標領域外に配置される複数の光学装置と、前記光学装置から出射された光を再帰反射する再帰反射部と、前記光出射部が少なくとも前記二次元座標領域を走査するように前記光出射部を制御すると共に、前記受光部が受光した光に基づいて前記物体の座標を検知する制御部とを備え、前記制御部は、前記光出射部から出射された光が前記二次元座標領域を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように前記光出射部を制御し、且つ前記複数の光学装置の各々において前記光出射部から光を出射している間に前記受光部が受光した光に基づいて前記物体の座標を検知することを特徴とする。
本発明によれば、二次元座標検知装置の制御部は、複数の光学装置の各々の光出射部を、二次元座標領域を走査する光を光出射部から出射するように制御する。そして、各光学装置は、受光部によって光を受光する。
光学装置の光出射部から出射された光が再帰反射されて当該光学装置の受光部まで到達する時間は、光学装置が走査する周期に比べて著しく短いので、一瞬とみなせる。すなわち、光学装置からの光が再帰反射して受光部に入射するときの当該光学装置の走査角度は、光出射部から光を出射したときの角度と同じであるとみなせる。
また、二次元座標領域に物体がある場合、再帰反射された光が遮られるので光のレベルが変化する。このように、制御部は、各光学装置において、物体によって光が遮られるか否かによって、すなわち、受光部が受光した光に基づいて二次元座標領域にある物体の座標を検知する。
再帰反射部に入射した光は、当該再帰反射部によって再帰反射される光である再帰反射光と、当該再帰反射部の表面等に設けられた透光性部材等によって反射される(出射角が、再帰反射部の表面への垂線を挟んで、入射角と同じとなるように反射する通常の反射)光である正反射光とに分かれる。
そこで、制御部は、複数の光学装置の各々の光出射部から光を出射させるとき、当該光出射部から出射された光が二次元座標領域を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように、複数の光学装置の各々の光出射部から光を出射させる。これにより、光出射部から光が出射されている光学装置が、どの時点においても1つの光学装置のみとなる。
これにより、制御部は、光出射部から光を出射していない光学装置の受光部が光を受光した場合、その時点においては当該光学装置が光を出射していないので、当該受光した光を当該光学装置から出射した光が再帰反射されたものではないと判別できる。また、制御部は、光出射部から光が出射されている光学装置の受光部が光を受光した場合、その時点においては当該光学装置のみが光を出射しており、当該光学装置以外の光学装置は光を出射していないので、当該受光した光を当該光学装置から出射された光が再帰反射されたものであると判別できる。従って、制御部は、各光学装置において光出射部から光を出射している間に受光部が受光した光に基づいて物体の座標を検知する。
このように、物体の座標を検知するときに基づく光には、他の光学装置からの正反射光が含まれていない。従って、複数の光学装置を備える光学式の二次元座標検知装置において、各光学装置が他の光学装置からの正反射光を受光した場合であっても、その影響を受けずに物体の座標を検知することができる。
本発明において、前記光出射部は、所定の角度範囲を往復動することで少なくとも前記二次元座標領域を走査し、前記走査の1周期は、前記1回の往復動であり、前記光出射部から光が出射する時間は、前記1周期の半分以下で且つ前記走査の1周期において当該光出射部が前記二次元座標領域を走査している時間の半分以上であることが好ましい。
光出射部による走査の1周期は、1回の往復動である。すなわち、走査の1周期において、二次元座標領域を2回走査する。また、光出射部は、少なくとも二次元座標領域を走査する。換言すれば、光出射部は、「二次元座標領域のみを走査する」か又は「二次元座標領域及び二次元座標領域外」を走査する。光出射部は、二次元座標領域のみを走査する場合、1周期の半分の時間で二次元座標領域を1回走査する。また、光出射部は、二次元座標領域に加え二次元座標領域外も走査する場合、1周期の半分よりも短い時間で二次元座標領域を1回走査する。すなわち、1周期の半分以下の時間とは、少なくとも二次元座標領域を1回走査する時間となる。
制御部は、光出射部から光を出射する時間を、走査の1周期の半分以下で且つ走査の1周期において当該光出射部が二次元座標領域を走査している時間の半分以上に設定する。このため、制御部は、光出射部から光を出射する時間が、少なくとも二次元座標領域を1回走査する時間以上となるように制御する。これにより、複数の光学装置を備える場合であっても各光学装置の光出射部は、所定の時点において1つの光学装置のみが光出射部から光を出射できると共に、各光学装置は、確実に二次元座標領域を走査できる。
本発明の第1実施形態の二次元座標検知装置の構成を示す図。 図1の二次元座標検知装置が備える光学装置及び光学装置の構成を示す図。 第1実施形態の二次元座標検知装置において、物体が第1座標に位置しているときの各値の時間変化を示す図。 第1実施形態の二次元座標検知装置において、物体が第2座標に位置しているときの各値の時間変化を示す図。 本発明の第2実施形態の二次元座標検知装置において、再帰反射光及び正反射光の経路を示す図。 第2実施形態の二次元座標検知装置において、二次元座標内に物体が位置しているときの各値の時間変化を示す図。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の二次元座標検知装置の構成について説明する。本実施形態の二次元座標検知装置(以下、単に「座標検知装置」という)1は、大型ディスプレイやホワイトボード等に搭載される二次元座標検知装置である。
図1に示されるように、本実施形態の座標検知装置1は、外枠2と、平面状の領域である二次元座標領域D2にある物体の座標を検知するために、光を出射すると共に受光する左右一対となる2つの光学装置3,4と、該2つの光学装置3,4を制御する制御回路部8とを備える。
外枠2は、二次元座標領域D2の周縁上に配置され、図1において上側の上辺21と、下側の下辺22と、右側の右辺23と、左側の左辺24とで構成される。上辺21と下辺22は互いに平行で且つ水平な辺として構成され、右辺23と左辺24は互いに平行で且つ上下辺21,22に垂直な辺として構成される。
外枠2は、大画面の枠として必要な剛性を持つ部材であればよく、例えば、「熱可塑性樹脂を用いて射出成形等の製法で製造された軽量安価な樹脂枠」又は「プレス等の製法で製造されたアルミニウム等の軽金属枠」が好ましい。下辺22,右辺23及び左辺24は、入射した光に平行で且つ入射方向とは反対方向に出射する再帰反射となるような反射特性を持つように表面が加工されている。例えば、ガラスビーズ又はコーナーキューブ等が表面に並べられた再帰反射テープ又は再帰反射シート等が下辺22,右辺23及び左辺24に貼付されている。ここで、下辺22,右辺23及び左辺24が、本発明における再帰反射部に相当する。
このような再帰反射テープ又は再帰反射シートは、ガラスビーズ又はコーナーキューブ等の再帰反射体が表面に直接露出しているのではなく、当該表面を保護するための透光性を有する平面状の透光性部材(図示省略)によって覆われている。透光性部材としては、例えば、透光性プラスチック板又は透光性プラスチックフィルム等が用いられる。これにより、下辺22,右辺23及び左辺24は、その表面に水分又は埃等の異物が付着した場合であっても、当該異物を取り除く等のメンテナンスを容易にできる。
このため、下辺22,右辺23又は左辺24に入射した光は、表面の透光性部材を通過して再帰反射体(ガラスビーズ又はコーナーキューブ等)によって再帰反射される光である再帰反射光と、表面の透光性部材によって反射(出射角が、再帰反射部の表面への垂線を挟んで、入射角と同じとなるように反射する通常の反射。以下、この反射を「正反射」という)される光である正反射光との2つに分離される。
座標検知装置1において、再帰反射部としての下辺22,右辺23又は左辺24は、その表面を覆う透光性部材の反射特性を、正反射光よりも再帰反射光の光度が大きくなるように調整されていることが望ましい。
また、上辺21においては、その表面に、光を反射しないような加工が施されている。
右側の光学装置3は、上辺21と右辺23の交点上、すなわち図1の右上の角の外枠2の周縁上に配置され、左側の光学装置4は、上辺21と左辺24の交点上、すなわち図1の左上の角の外枠2の周縁上に配置される。また、制御回路部8は、上辺21に配置される。制御回路部8は、2つの光学装置3,4の各々と配線(図示省略)によって電気的に接続されている。制御回路部8は、2つの光学装置3,4の各々に駆動信号を出力すると共に、2つの光学装置3,4から電気信号が入力される。ここで、制御回路部8が本発明における「制御部」に相当する。
2つの光学装置3,4は、外枠2の配置される位置に応じて左右対称に同じ構成を有するものであるので、以下の説明では、主に右側の光学装置3について説明し、左側の光学装置4の詳細な説明は省略する。
図2に示されるように、右側の光学装置3(及び左側の光学装置4)は、光源31と、走査部32と、受光部33とを備える。光源31は、狭指向性の光となるように半導体レーザ光を出射するように構成されている。このため、光が進んだ距離による光の減衰は無いものとして扱うことができる。これによって、本実施形態の各光学装置3,4は、大型ディスプレイに適した構成となっている。また、光源31には、振幅が0と0ではない値(例えば5[V])とを交互に繰り返すパルス波形が駆動波形として制御回路部8から供給されるものであり、パルス波の振幅が0のときに光源31が消灯し、パルス波の振幅が0ではない値のときに光源31が点灯する。
走査部32は、光偏向器40を有している。走査部32は、光偏向器40が有するミラーを回転駆動することで、光源31が出射したレーザ光を様々な角度に偏向して、外枠2で形成された二次元座標領域D2を走査する。ここで、光源31と走査部32とが本発明における「光出射部」に相当する。
本実施形態では、光偏向器40を、制御回路部8から電圧信号が供給されることでミラーを回転駆動する圧電アクチュエータを備えるMEMS(Micro Electro Mechanical System)デバイスで構成している。このように、圧電アクチュエータを用いることで、光偏向器40の制御部を非常に小型化できる。なお、光偏向器40は、本実施形態の構成に限らず、モータ(電動機)等の駆動力により回転駆動するものであってもよい。
受光部33は、走査部32によって二次元座標領域D2に出射された光が、外枠2の下辺22及び左辺24のいずれか(左側の光学装置の場合には、下辺22及び右辺23のいずれか)に入射し、再帰反射して戻って来た反射光を受光できるように配置される。受光部33は、受光したエネルギーに応じて電気信号を出す光電変換素子であり、コスト等を考慮するとフォトダイオードが好ましいが、これに限らず、イメージセンサー等を使用しても良い。
光源31は、外枠2の上辺21から走査部32の光偏向器40のミラーの中央部に向けてレーザ光を出射できる位置に配置される。本実施形態では、光源31は、半導体レーザの出力にビーム整形用のレンズを装着してレーザ光を出力できるように構成しているがこれに限らない。例えば、任意の位置に配置された光源の光を、光ファイバによって本実施形態の光源31の位置に伝達させて、光偏向器40のミラーに向けてレーザ光を出射できるように構成したものであってもよい。
走査部32は、制御回路部8から周期性を有する電圧波形(例えば、正弦波や三角波等)が光偏向器40に供給されることで、光偏向器40のミラーを±22.5°(計45°)以上の角度(例えば、50°)で回転駆動(振動)し、二次元座標領域D2の全領域に対して光源31からのレーザ光で走査可能に構成される。このとき、走査部32は、光源31からのレーザ光を偏向した光が、二次元座標領域D2の面に対して水平に出射されるように光偏向器40のミラーを回転駆動する。以下、この光偏向器40に偏向されたレーザ光の光路で形成される平面を「走査平面」という。
光偏向器40のミラーの偏向角が22.5°の時には、二次元座標領域D2の垂直方向に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。すなわち、右側の光学装置3の場合には、上辺21と右辺23の交点から下辺22と右辺23の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。また、左側の光学装置4の場合には、上辺21と左辺24の交点から下辺22と左辺24の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。
光偏向器40のミラーの偏向角が-22.5°の時には、二次元座標領域D2の水平方向に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。すなわち、右側の光学装置3の場合には、上辺21と右辺23の交点から上辺21と左辺24の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。また、左側の光学装置4の場合には、上辺21と左辺24の交点から上辺21と右辺23の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。
なお、光偏向器40のミラーの偏向角は、その絶対値が22.5°よりも大きい25°になるように設定されている。光偏向器40のミラーから出射されるレーザ光は、その偏向角が「22.5°よりも大きく25°以下のとき」又は「-22.5°よりも小さく-25°以上のとき」には、二次元座標領域D2には出射されない。そして、右辺23及び左辺24上には、フォトダイオード等の光電変換素子23a,24aが配置される(以下、右辺23に配置される光電変換素子を「右側同期用受光部23a」といい、左辺24に配置される光電変換素子を「左側同期用受光部24a」という)。右側同期用受光部23aは右側の光学装置3からの光を受光するように配置される。左側同期用受光部24aは左側の光学装置4からの光を受光するように配置される。
これにより、右側の光学装置3(又は左側の光学装置4)のミラーの偏向角が22.5°になったときに、右辺23(又は左辺24)上に配置される右側同期用受光部23a(又は左側同期用受光部24a)が右側の光学装置3(又は左側の光学装置4)からの光を受光する。制御回路部8は、2つの光学装置3,4の走査部32(ひいては光偏向器40)に印加する駆動波形のみで、2つの光学装置3,4の各々の光偏向器40の偏向角(ひいては走査角度)を検知するものに比べて、右側同期用受光部23a及び左側同期用受光部24aが受光したタイミングをも考慮して(例えば、当該同期用受光部23a,24aが受光したときからの経過時間等を考慮して)検知することで、当該検知の精度を向上することが可能となる。
以上のように、光偏向器40のミラーの偏向角の絶対値が22.5°よりも大きい25°のときには、二次元座標領域D2の外に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。このとき、二次元座標領域D2を走査しているわけではないので、2つの光学装置3,4の各々は、その走査角度が0°〜90°の範囲に設定されていることとなる。
このように、制御回路部8によって、光偏向器40のミラーの偏向角を±25°の角度の範囲を往復動させることで、各光学装置3,4の走査角度が0°〜90°の範囲で変化する。このことが、本発明における「前記光出射部を、少なくとも前記二次元座標領域を走査する所定の角度範囲を往復動するように制御する」ことに相当する。
本実施形態においては、光偏向器40のミラーが変動するときの1周期の長さ(以下、「周期長」という)はT1[s]に設定されている。この周期長T1が、本発明における「1周期」に相当する。そして、当該1周期の間に、二次元座標領域D2を走査する長さ(以下、「走査長」という)はT2[s]に設定されている。なお、光偏向器40のミラーが変動するときの1周期の間に、走査角度が0°→90°に変化する走査と、走査角度が90°→0°に変化する走査との2回の走査が行われるので、走査長は、この2回の走査の合計となる。ここで、走査長T2が、本発明における「前記走査の1周期において当該光出射部が前記二次元座標領域を走査している時間」に相当する。
周期長T1と走査長T2との関係は、1周期における光偏向器40のミラーの偏向角の最大値と最小値との差をαとし、このうち、二次元座標領域D2に光を出射しているときにおける光偏向器40のミラーの偏向角の最大値と最小値との差をβとしたとき、次式(1)で表される。
Figure 2013171387
本実施形態においては、αが50°であり、βが45°である。従って、T2は、次式(2)で表される。
Figure 2013171387
本実施形態において、座標検知装置1は、走査部32を小型化するために、MEMSデバイスで構成された光偏向器40を用いている。このため、光偏向器40は、大きな偏向角を得るために、その共振周波数で駆動される。すなわち、光偏向器40には、制御回路部8から当該共振周波数となる周波数の正弦波(すなわち、図3(a)の波形)が印加される。
本実施形態では、この共振周波数が、例えば30[kHz]に設定されている。このため、周期長T1は約33.3[μs]となり、走査長T2は30[μs]となる。この共振周波数(ひいては周期長T1)は、光偏向器40の構造に依存するものであり、二次元座標領域D2にある物体の座標を検知する目的を達成できる値であれば、どのような値に設定されていてもよい。
次に、外枠2の下辺22,右辺23及び左辺24の詳細について説明する。
下辺22,右辺23及び左辺24は、入射角が0°の光を、反射角が0°で最大光度となり所定の半値角の広がりを持つ光として反射する反射特性を持つ。これによって、例えば、二次元座標領域D2の対角線の長さが50インチ程度とすると、光学装置3,4から出射した光が再び光学装置3,4に戻ってきた時点で、30〜40[mmR]程度のビーム幅を持つことになる。従って、この場合には、各光学装置3,4の受光部33は、光偏向器40のミラーから30〜40[mm]以内の場所に配置されれば、再帰反射した光を受光できる。
本実施形態では、受光部33を外枠2の右上(上辺21と右辺23の交点)及び左上(上辺21と左辺24の交点)の二次元座標領域D2側の側壁に配置している。このとき、各光学装置3,4の光偏向器40のミラーと受光部33は、二次元座標領域D2の面に対して法線方向に30〜40[mm]程度ずらした位置に配置される。
このように、各光学装置3,4の光偏向器40のミラーから受光部33までの距離を、再帰反射部としての下辺22,右辺23及び左辺24の反射特性と、二次元座標領域D2の大きさとに応じて決定することで、ビーム分割器のような光束を分割する装置を設けることなく、光偏向器40のミラーと受光部33とを互いに干渉しないように配置できる。
以上が座標検知装置1の構成である。
次に、このように構成された座標検知装置1による二次元座標領域D2にある物体の座標の検知方法について説明する。
図3は、座標検知装置1に関する各値の時間変化(波形)を、二次元座標領域D2の走査の2周期分を示している。図3の(a)〜(f)の横軸は時間(単位は[s])を示す。また、図3(a)の縦軸は、2つの光学装置3,4の各々の光偏向器40に印加される電圧(単位は[V])を示す。図3(b)の縦軸は、右側の光学装置3の光源31に印加される電圧(単位は[V])を示す。図3(c)の縦軸は、左側の光学装置4の光源31に印加される電圧(単位は[V])を示す。
2つの光学装置3,4の光源31は、印加される電圧に対する応答性が高いので、当該光源31から出射される光の光度(単位は[cd])の時間変化も当該印加される電圧の時間変化と同等のパターンを示す。すなわち、右側の光学装置3の光源31から出射される光の光度の時間変化は図3(b)に示されるようなパターンとなり、左側の光学装置4の光源31から出射される光の光度の時間変化は図3(c)に示されるようなパターンとなる。なお、上述したように、図3(b)又は(c)において、電圧の値が0[V]であるときには光学装置(3又は4)の光源31から光は出射されず、電圧の値が非0[V]であるときには光学装置(3又は4)の光源31から光が出射される。
図3(d)の縦軸は、二次元座標領域D2に物体が1つも存在しないときの、左側の光学装置4の受光部33が、受光した光に応じて出力した電流(単位は[A])を示す。図3(e)の縦軸は、二次元座標領域D2の第1座標P1に物体O1(図1)のみが1つ存在するときの左側の光学装置4の受光部33が、受光した光に応じて出力した電流(単位は[A])を示す。図3(f)は、図3(d)から図3(e)を減じたときの波形を示す。従って、図3(f)の縦軸は、電流(単位は[A])を示す。ここで、第1座標P1は、各光学装置3,4と下辺22の中央部との間を結ぶ線上以外に存在する座標である。
また、図3において、時点t0は、1周期目の開始時点を示し、時点t05は、時点t0から半周期(T1/2)経過した時点を示す。時点t1は、時点t05から半周期経過した時点、すなわち1周期目の終了時点(及び2周期目の開始時点)を示す。時点t15は、時点t1から半周期経過した時点を示す。時点t2は、時点t15から半周期経過した時点、すなわち2周期目の終了時点を示す。また、時点t0,t1,t2において、各光学装置3,4の光偏向器40のミラーの偏向角は-25°であり、時点t05及び時点t15において、各光学装置3,4の光偏向器40のミラーの偏向角は25°である。
また、本実施形態では、上述したように、2つの光学装置3,4の各々の光偏向器40のミラーの偏向角の範囲を-25°〜25°に設定している。このうち、二次元座標領域D2を走査するときの偏向角の範囲は、-22.5°〜22.5°である。時点t01,t09,t11,t19は、各光学装置3,4の光偏向器40のミラーの偏向角が-22.5°の時点、すなわち各光学装置3,4の走査角度が0°の時点を示す。時点t04,t06,t14,t16は、各光学装置3,4の光偏向器40のミラーの偏向角が22.5°の時点、すなわち各光学装置3,4の走査角度が90°の時点を示す。また、時点t04,t14においては、右側の光学装置3からの光を右側同期用受光部23aが受光する。また、時点t06,t16においては、左側の光学装置4からの光を左側同期用受光部24aが受光する。
このため、時間t01〜t04と時間t06〜t09とを合計した時間、及び時間t11〜t14と時間t16〜t19とを合計した時間は、各々が走査長T2に相当する。また、時間t0〜t1及び時間t1〜t2は、各々が周期長T1に相当する。
2つの光学装置3,4は、図3(a)に示されるように、周波数及び波形の変化のタイミング等が同一の信号が、制御回路部8から走査部32の光偏向器40に印加されることで、二次元座標領域D2を走査する。同一の信号の印加は、制御回路部8に対して、2つの光学装置3,4の光偏向器40が並列に接続されることで実現される。このように、制御回路部8は、2つの光学装置3,4に同一の信号を印加することで、2つの光学装置3,4に別々の信号を印加するときよりも各光学装置3,4の制御を簡単にすることができる。
制御回路部8は、右側の光学装置3の光源31に図3(b)に示される電圧を印加し、左側の光学装置4の光源31に図3(c)に示される電圧を印加する。図3(b)に示される波形は、時間t0〜t05、時間t1〜t15において非0であり、時間t05〜t1、時間t15〜t2において0である。また、図3(c)に示される波形は、時間t0〜t05、時間t1〜t15において0であり、時間t05〜t1、時間t15〜t2において非0である。図3(b)及び(c)に示される波形は、時点t0,t05,t1,t15,t2において0と非0が瞬時に切り替わるものとみなす。
すなわち、右側の光学装置3の光源31に非0の電圧が印加されることと、左側の光学装置4の光源31に非0の電圧が印加されることとは、同時に発生することがない。換言すると、2つの光学装置3,4の各々の光源31に対しては、時間軸上で排他的に、非0の電圧が印加されている。上述したように、制御回路部8が、各光学装置3,4の光源31に非0の電圧を印加することで、当該光源31(ひいては、走査部32)から光が出射される。
すなわち、制御回路部8は、光学装置(3又は4)の光源31に図3(b)又は(c)の電圧を印加することで、2つの光学装置3,4の光出射部である走査部32から光を出射する光学装置は、所定の時点において1つのみとなるように各光学装置3,4(ひいては光源31)を制御していることとなる。このように制御回路部8による電圧の印加が、本発明における「前記制御部は、前記光出射部から出射された光が前記二次元座標領域を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように前記光出射部を制御」することに相当する。
また、二次元座標領域D2を1回走査するときには、走査角度を、0°から90°に変更するか、又は90°から0°に変更すればよい。しかしながら、図3(a)に示されるように、各光学装置3,4の走査の1周期内では、ミラーの偏向角が「-25°→25°→-25°」と変化し、ひいては走査角度が「0°→90°→0°」と変化する。すなわち、各光学装置3,4の走査の1周期内には、当該光学装置から走査光を常に出射しているならば2回の走査が行われることとなる。このため、制御回路部8は、1周期内の2回の走査のうち、最初の走査において右側の光学装置3から光を出射し、次の走査において左側の光学装置4から光を出射するように、各光学装置3,4に電圧を印加している。
このように、各光学装置3,4から光を出射する時間が設定されていることが、本発明における「前記光出射部から光が出射する時間は、前記1周期の半分以下で且つ前記走査の1周期において当該光出射部が前記二次元座標領域を走査している時間の半分以上である」ことに相当する。
以上のように制御回路部8は、右側の光学装置3と左側の光学装置4とが交互(順番)に光を出射するように、各光学装置3,4を制御している。
以下、1周期のうち最初の半周期(時間t0〜t05又は時間t1〜t15)を「前半周期」といい、次の半周期(時間t05〜t1又は時間t15〜t2)を「後半周期」という。
左側の光学装置4において、前半周期(時間t0〜t05,時間t1〜t15)では光源31から光を出射していないので、その受光部33が当該光学装置からの再帰反射光を受光することはない。しかしながら、前半周期(時間t0〜t05,時間t1〜t15)において右側の光学装置3の光源31からは光が出射されている。従って、右側の光学装置3の光源31から出射された光が下辺22の中央部に入射するとき、下辺22の表面の透光性部材による正反射光が、左側の光学装置4の受光部33に入射する。時点t03,t13は、このとき(右側の光学装置3の光源31から出射された光が下辺22の中央部に入射するとき)の時点を示す。
このため、左側の光学装置4の受光部33は、時点t03,t13において、図3(d)に示されるように右側の光学装置3からの正反射光を受光することにより出力電流が増加する。
また、左側の光学装置4において、後半周期(時間t05〜t1,時間t15〜t2)では光源31から光を出射しているので、当該光が二次元座標領域D2にある物体に遮られない限りは、左側の光学装置4の受光部33は当該光学装置からの再帰反射光を受光する。図3(d)においては、上述したように二次元座標領域D2に物体が存在していないので、後半周期(時間t05〜t1,時間t15〜t2)において、左側の光学装置4の受光部33は、常に当該光学装置からの再帰反射光を受光している状態となる。
二次元座標領域D2に物体O1が存在しているとき、当該物体O1によって各光学装置3,4からの光が遮られる。時点t07,t17は、図3(e)に示されるように、左側の光学装置4の受光部33が、当該光学装置から出射された光が物体O1によって遮られて再帰反射光を受光できなかった時点を示す。
なお、本来であれば、当該光学装置(3又は4)の光源31から出射された光の再帰反射光、又は他方の光学装置(4又は3)の光源31から出射された光の正反射光が入射するとき以外においては、この出力される電流は0となる。しかしながら、各光学装置3,4の受光部には、当該座標検知装置1が配置された室内の照明器具の光等のような外部からの光(外乱光)が入射してしまう。このような外乱光が入射することにより、図3(d)及び(e)に例示されているように、2つの光学装置3,4の受光部33からは、当該光学装置(3又は4)の光源31から光が出射されていないときであっても、所定の電流が出力されている。
そこで、本実施形態においては、このような外乱光の影響を低減するために以下のような処理をしている。まず、本実施形態において、このような外乱光は定常的であると仮定している。そして、図3(d)から図3(e)を減ずることで図3(f)の波形が得られる。このようにして得られた図3(f)の波形は、外乱光の影響が著しく低減されている。図3(f)の波形は、左側の光学装置4からの光が物体O1によって遮られた時点t07,t17のみにピーク(Peak)が存在する。
制御回路部8は、このときのピークが検知された時点(t07又はt17)に基づいて二次元座標領域D2にある物体O1に対する左側の光学装置4の走査角度を検知する。なお、制御回路部8は、いずれの時点にピークが存在するかを探す時点は、左側の光学装置4から光を出射している後半周期(時間t05〜t1,時間t15〜t2)のみを対象とする。また、制御回路部8は、ピークの検知を、予め決定された所定の値を超えたか否かによって行う。
これは、例えば「左側同期用受光部24aが光を受光する時点(t06又はt16)からの経過時間(すなわち、時間t06〜t07又は時間t16〜t17)」と、「周期長T1」と、「1周期における左側の光学装置4の光偏向器40のミラーの偏向角の最大値と最小値との差(本実施形態においては25°-(-25°)で50°)」とに基づいて、時点t07又はt17のときの左側の光学装置4の光偏向器40のミラーの偏向角を検知でき、ひいては、左側の光学装置4の走査角度を検知することができる。
右側の光学装置3の走査角度の検知については、左側の光学装置4の走査角度の検知と同様である。制御回路部8は、「二次元座標領域D2に物体が位置していないときの右側の光学装置3の受光部33の出力電流波形(図3(d)に相当)」から「第1座標P1に物体O1が位置しているときの右側の光学装置3の受光部33の出力電流波形(図3(e)に相当)」を減じることで、図3(f)に相当する波形を得る。
そして、制御回路部8は、当該得られた波形のうち図3(f)に相当する波形のうち、右側の光学装置3から光を出射している前半周期(時間t0〜t05,時間t1〜t15)のみを対象として、ピークが存在するか否かを検知する。そして、ピークが検知された時点に基づいて、二次元座標領域D2にある物体O1に対する右側の光学装置3の走査角度を検知する。
以上のようにして、2つの光学装置3,4の間の距離は、それらが配置されることで規定されるので、所定の2つの光学装置の走査角度と当該2つの光学装置の間の距離とが分かることで(すなわち、一辺の長さとその両端の角度が分かることで)、三角形の形状及び大きさが規定されて当該三角形の頂点に位置する物体O1の座標が決定される(すなわち、三角測量法によって決定される)。
なお、制御回路部8は、図3(d)に相当する波形を、予め実験等によって決定し、座標検知装置1の制御回路部8に実装された記憶装置等に記憶保持してもよい。また、制御回路部8は、二次元座標領域D2に物体が存在していないと推定される状況において(座標検知装置1の電源を投入した直後等の使用開始時において)、各光学装置3,4を走査して得られたときの波形を用いてもよい。更に、図3(d)に相当する波形は、本実施形態においては、2周期分の波形を用いているが、1周期分の波形を用いて各周期毎に当該波形を繰り返すようにしてもよい。更に、複数の周期の波形を取得した後、各周期毎に平均をとって得られる1周期分の波形を図3(d)に相当する波形としてもよい。
次に、二次元座標領域D2の第2座標P2に物体O2が存在している場合における座標の検知方法について図4を参照して説明する。ここで、第2座標P2とは、左側の光学装置4と下辺22の中央部との間を結ぶ線上に存在する座標である。図4の(a)〜(d)は、図3の(a)〜(d)と全く同じである。図4の(e)の縦軸は、二次元座標領域D2の第2座標P2に物体O2(図1)のみが1つ存在するときの左側の光学装置4の受光部33が、受光した光に応じて出力した電流(単位は[A])を示す。図4(f)は、図4(d)から図4(e)を減じたときの波形を示す。従って、図4(f)の縦軸は、電流(単位は[A])を示す。また、図4において各時点が示すものは、同じ符号が付与されているものに関しては同じ意味を表す。
物体O2が第2座標P2に位置している場合、右側の光学装置3からの光が下辺22の中央部に入射したとき、その正反射光は、当該物体O2に遮られることにより左側の光学装置4の受光部33に入射しない。このため、図4(e)では、図3(e)と比べたとき、時点t03,t13において、左側の光学装置4の受光部33から出力される電流がその前後と比べて大きくなっていない。
このため、図4(d)から図4(e)を減じて図4(f)を得ることで、図3(f)と比べて時点t07,t17の他に時点t03,t13にもピークが存在する。しかしながら、この時点t03,t13においては、左側の光学装置4の光源31からは光を出射していない。上述したように、制御回路部8は、左側の光学装置4の走査角度を検知するときには、後半周期(時間t05〜t1,時間t15〜t2)のみを対象としてピークを検知する。
このように、制御回路部8は、左側の光学装置4の受光部33に右側の光学装置3からの正反射光が入射した場合であっても、当該ピークが左側の光学装置4からの光の再帰反射光を受光したのではなく、他の光(通常は、右側の光学装置3からの光)を受光したと判別でき、その影響を受けずに二次元座標領域D2にある物体O2に対する左側の光学装置4の走査角度を検知できる。
右側の光学装置3についても同様に、制御回路部8は、「二次元座標領域D2に物体が位置していないときの右側の光学装置3の受光部33の出力電流波形(図4(d)に相当)」から「第2座標P2に物体O2が位置しているときの右側の光学装置3の受光部33の出力電流波形(図4(e)に相当)」を減じることで、図4(f)に相当する波形を得る。
そして、制御回路部8は、当該得られた波形のうち図4(f)に相当する波形のうち、右側の光学装置3から光を出射している前半周期(時間t0〜t05,時間t1〜t15)のみを対象として、ピークが存在するか否かを検知する。そして、ピークが検知された時点に基づいて、二次元座標領域D2にある物体O2に対する右側の光学装置3の走査角度を検知する。
以上のようにして、所定の2つの光学装置の走査角度と当該2つの光学装置の間の距離とが分かることで物体O2の座標が決定される。
このように、「制御回路部8が、右側の光学装置3においては前半周期のみにおいて受光した光に基づいて物体O2に対する走査角度を検知し、左側の光学装置4においては後半周期のみにおいて受光した光に基づいて物体O2に対する走査角度を検知し、二次元座標領域D2にある物体の座標を検知する」ことが、本発明における「前記制御部は、前記複数の光学装置の各々において前記光出射部から光を出射している間に前記受光部が受光した光に基づいて前記物体の座標を検知する」ことに相当する。
以上のように、第1実施形態では、制御回路部8は、右側の光学装置3の光源31に印加する電圧(図3(b))と、左側の光学装置4の光源31に印加する電圧(図3(c))とが同時に非0とならないようにしている。このため、各光学装置3,4の光源31から光が出射されているときの(右側の光学装置3においては前半周期、左側の光学装置4においては後半周期)、当該光学装置の受光部33が受光した光に基づいて物体(O1又はO2)の座標を検知している。これにより、各光学装置(3又は4)が他の光学装置(4又は3)からの正反射光を受光した場合であっても、その影響を受けずに物体(O1又はO2)の座標を検知することができる。
なお、本実施形態において、制御回路部8は、2つの光学装置3,4の各々の光源31を点灯又は消灯するように制御することで、光源31から出射された光が二次元座標領域D2を走査する光を出射する光学装置(3又は4)が所定の時点において1つのみとなるように各光学装置3,4を制御している。しかしながら、これに限らず、走査光が二次元座標領域D2に出射されないのであれば、どのような方法であってもよい。例えば、制御回路部8から印加される駆動信号によって、光を遮蔽する物体(例えば、遮蔽板等)を可動できるように構成する。そして、制御回路部8は、「走査光が二次元座標領域D2に出射されないように光源31の出射方向又は光偏向器40のミラーの表面側に当該物体を配置すること」と、「当該物体によって走査光が二次元座標領域D2に出射されることを遮蔽されない位置に、当該物体を配置すること」とを繰り返すように構成してもよい。
また、本実施形態において、制御回路部8は、各光学装置3,4の走査部32の光偏向器40のミラーの偏向角の絶対値を、22.5°よりも大きい値である25°に設定しているが、これに限らない。光偏向器40のミラーの偏向角の絶対値は、二次元座標領域D2を走査するという目的を達するために必要な角度以上に設定されていればよい。例えば、本実施形態と同様の位置に、各光学装置3,4が配置されているならば、二次元座標領域D2を走査するという目的を達するために必要な角度の範囲は-22.5°〜22.5°であるので、光偏向器40のミラーの偏向角の絶対値が22.5°以上以上に設定されていればよい。このとき、光偏向器40のミラーの偏向角の絶対値が22.5°に設定されている場合には、各光学装置3,4から出射される光が二次元座標領域D2外に出射されることがなく、周期長T1と走査長T2とは同じ値となる。なお、二次元座標領域D2を走査するという目的を達するために必要な光偏向器40のミラーの偏向角は、二次元座標領域D2と各光学装置3,4との相対的な位置関係に応じて決定されるものである。
また、本実施形態において、制御回路部8は、前半周期(時間t0〜t05,時間t1〜t15)において右側の光学装置3の光源31から光を出射し、後半周期(時間t05〜t1,時間t15〜t2)において左側の光学装置4の光源31から光を出射するように制御している。これにより、各光学装置3,4のうち光源31から光を出射している光学装置が、所定の時点において1つのみとなる。しかしながら、上述したように、各光学装置3,4の走査部32の光偏向器40のミラーの偏向角の絶対値が、22.5°より大きい値であるとき(時間t0〜t01,時間t04〜t06,時間t09〜t11,時間t14〜t16及び時間t19〜t2。以降、これらの時間をまとめて「領域外時間」という)には、当該光学装置の光源31から出射される光は、二次元座標領域D2外に出射される。ここで、領域外時間以外の時間である時間t01〜t04,時間t06〜t09,時間t11〜t14及び時間t16〜t19をまとめて「領域時間」という。
領域外時間において、各光学装置3,4から出射された光は、再帰反射部(下辺22,右辺23又は下辺22)によって再帰反射及び正反射されることはない。従って、領域外時間においては、各光学装置3,4のいずれもが光を出射した場合であっても、制御回路部8による二次元座標領域D2にある物体の座標を検知に影響を与えない。従って、時間t01〜t04及び時間t11〜t14においては(走査長T2の半分の時間においては)、右側の光学装置3から光が出射し、左側の光学装置4からは光が出射していない必要があり、時間t06〜t09及び時間t16〜t19においては(走査長T2の半分の時間においては)、左側の光学装置4から光が出射し、右側の光学装置3からは光が出射していない必要があるが、領域外時間(時間t0〜t01,時間t04〜t06,時間t09〜t11,時間t14〜t16,時間t19〜t2)においては、各光学装置3,4からは光が出射していても出射していなくてもよい。
このように、制御回路部8は、領域外時間において各光学装置3,4から同時に光が出射されるように、制御回路部8が各光学装置3,4を制御した場合であっても、領域時間において(すなわち、二次元座標領域D2に光が出射されている時間において)、光が出射される光学装置が1つのみとなるように制御すればよい。このような制御回路部8による制御が、本発明における「前記制御部は、前記光出射部から出射された光が前記二次元座標領域を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように前記光出射部を制御する」ことに相当する。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の座標検知装置10について図5及び図6を参照して説明する。第2実施形態においては、第1実施形態で用いられものと基本的に同じ構成の光学装置を4つ用いて、外枠2の四隅に1つずつ配置する。これらの4つの光学装置3〜6は、右側の光学装置3、左側の光学装置4、右下の光学装置5、左下の光学装置6となる。
右側の光学装置3及び左側の光学装置4は、第1実施形態と同様に配置される。右下の光学装置5は、下辺22と右辺23の交点上、すなわち図1の右下の角の外枠2の周縁上に配置され、左下の光学装置6は、下辺22と左辺24の交点上、すなわち図1の左下の角の外枠2の周縁上に配置される。制御回路部8は、4つの光学装置3〜6の各々と配線(図示省略)によって電気的に接続されている。制御回路部8は、4つの光学装置3〜6の各々に駆動信号を出力すると共に、4つの光学装置3〜6から電気信号が入力される。ここで、右下の光学装置5は右側の光学装置3に対して上下対象に同じ構成であり、左下の光学装置6は左側の光学装置4に対して上下対象に同じ構成である。
また、本実施形態において、上辺21は、下辺22,右辺23及び左辺24と同様に、再帰反射するようにその表面が加工されている。すなわち、本実施形態においては、外枠2を構成する上辺21,下辺22,右辺23及び左辺24が本発明における「再帰反射部」に相当する。
そして、右下の光学装置5の受光部33は、当該光学装置の走査部32によって二次元座標領域D2に出射された光が、外枠2の上辺21及び左辺24のいずれかに入射し、再帰反射して戻って来た反射光を受光できるように配置される。左下の光学装置6の受光部33は、当該光学装置の走査部32によって二次元座標領域D2に出射された光が、外枠2の上辺21及び右辺23のいずれかに入射し、再帰反射して戻って来た反射光を受光できるように配置される。
光偏向器40のミラーの偏向角が22.5°の時には、二次元座標領域D2の垂直方向に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。すなわち、右下の光学装置5の場合には、下辺22と右辺23の交点から上辺21と右辺23の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。また、左下の光学装置6の場合には、下辺22と左辺24の交点から上辺21と左辺24の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。
光偏向器40のミラーの偏向角が-22.5°の時には、二次元座標領域D2の水平方向に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。すなわち、右下の光学装置5の場合には、下辺22と右辺23の交点から下辺22と左辺24の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。また、左下の光学装置6の場合には、下辺22と左辺24の交点から下辺22と右辺23の交点に向かって光偏向器40のミラーからレーザ光が出射される。
また、右下の光学装置5及び左下の光学装置6の光偏向器40のミラーの偏向角は、右側の光学装置3及び左側の光学装置4の光偏向器40のミラーの偏向角と同期させるために同じように設定されている。すなわち、偏向角の絶対値が22.5°よりも大きい25°になるように設定されている。これらの光偏向器40のミラーから出射されるレーザ光は、その偏向角が「22.5°よりも大きく25°以下のとき」又は「-22.5°よりも小さく-25°以上のとき」には、二次元座標領域D2には出射されない。
そして、右辺23上には、右下の光学装置5からの光を受光するようにフォトダイオード等の光電変換素子(図示省略)が配置され、左辺24上には、左下の光学装置6からの光を受光するようにフォトダイオード等の光電変換素子(図示省略)が配置される。これにより、右下の光学装置5(又は左下の光学装置6)のミラーの偏向角が22.5°になったときに、右辺23(又は左辺24)上に配置される光電変換素子が右下の光学装置5(又は左下の光学装置6)からの光を受光する。
このため、制御回路部8は、右下の光学装置5及び左下の光学装置6の走査部32(ひいては光偏向器40)に印加する駆動波形のみで、当該光学装置の光偏向器40の偏向角(ひいては走査角度)を検知するものに比べて、これらの光電変換素子が受光したタイミングをも考慮して検知することで、当該検知の精度を向上することが可能となる。
本実施形態の座標検知装置10においては、第1実施形態で示されたように、各光学装置3,4から出射された光が、下辺22の中央部に入射して他方の光学装置の受光部に入射する経路以外にも、次に例示されるような経路も存在する。図5では、光学装置から出射された光は実線で示され、再帰反射部によって再帰反射された光は一点鎖線で示され、再帰反射部によって正反射された光は破線で示されている。図5(a)に示されるように、右側の光学装置3から出射した光(実線)が、下辺22の右から4分の1の位置に入射したとき、当該光学装置に再帰反射する再帰反射光(一点鎖線)と、上辺21の中央部に向かって反射する正反射光(破線)とに分割される。
本実施形態においては、上述したように、上辺21も再帰反射するように構成されている。従って、このときの正反射光が入射することで、上辺21の中央部によって再帰反射光(図示省略)と正反射光(破線)とに分割される。その後、当該正反射光が下辺22の左から4分の1の位置に入射して反射し(このとき再帰反射も行われる)、左側の光学装置4の受光部33に入射する。このように、右側の光学装置3から出射された光は、上辺21及び下辺22によって反射されて左側の光学装置4に入射する経路がある。左側の光学装置4から出射された光についても同様に、上辺21及び下辺22によって反射されて右側の光学装置3に入射する経路がある。
また、図5(b)に示されるように、左下の光学装置6から出射された光が右辺23の中央部に入射して、左側の光学装置4の受光部33に入射する経路もある。更に、図5(c)に示されるように、右下の光学装置5から出射された光が、「左辺24の下から3分の1の位置」及び「右辺23の上から3分の1の位置」で反射され、左側の光学装置4の受光部33に入射する経路もある。
図5には、左側の光学装置4の受光部33に、当該光学装置以外(3,5,6)から出射された光が受光する経路の一例を示したが、4つの光学装置3〜6の各々から出射された光が他の3つの光学装置の受光部33に入射する経路は、図5に示された経路の他にも様々な経路がある。
このように、第2実施形態の座標検知装置10は、上辺21が再帰反射部として構成されたことによって当該上辺21が正反射する。このため、各光学装置3〜6の受光部33は、自身が出射した光による再帰反射光以外の光(他の光学装置が出射した光の正反射光)を多数受光する。
次に、上記のように構成された第2実施形態の座標検知装置10による二次元座標領域D2にある物体の座標の検知方法について説明する。
図6は、座標検知装置1に関する各値の時間変化(波形)を、二次元座標領域D2の走査の4周期分を示している。なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、1周期の長さである周期長はT1[s]とする。図6の(a)〜(h)の横軸は時間[s]を示す。また、図6(a)の縦軸は、図3(a)と同様に、4つの光学装置3〜6の各々の光偏向器40に印加される電圧(単位は[V])を示す。図6(b)の縦軸は、右側の光学装置3の光源31に印加される電圧(単位は[V])を示す。図6(c)の縦軸は、左側の光学装置4の光源31に印加される電圧(単位は[V])を示す。図6(d)の縦軸は、右下の光学装置5の光源31に印加される電圧(単位は[V])を示す。図6(e)の縦軸は、左下の光学装置6の光源31に印加される電圧(単位は[V])を示す。
図6(f)の縦軸は、二次元座標領域D2に物体が1つも存在しないときの、右側の光学装置3の受光部33が、受光した光に応じて出力した電流(単位は[A])を示す。図6(g)の縦軸は、二次元座標領域D2に物体が1つ存在するときの右側の光学装置3の受光部33が、受光した光に応じて出力した電流(単位は[A])を示す。図6(h)の縦軸は、図6(f)から図6(g)を減じたときの波形(単位は[A])を示す。なお、右側の光学装置3以外の光学装置4〜6の受光部33が出力する波形については記載を省略する。
4つの光学装置3〜6は、図6(a)に示されるように、周波数及び波形の変化のタイミング等が同一の信号が、制御回路部8から走査部32の光偏向器40に印加されることで、二次元座標領域D2を走査する。同一の信号の印加は、制御回路部8に対して、4つの光学装置3〜6の光偏向器40が並列に接続されることで実現される。このように、制御回路部8は、4つの光学装置3〜6に同一の信号を印加することで、4つの光学装置3〜6に別々の信号を印加するときよりも各光学装置3〜6の制御を簡単にすることができる。
右下の光学装置5及び左下の光学装置6の光源31は、右側の光学装置3及び左側の光学装置4の光源31と同様に、印加される電圧に対する応答性が高いので、当該光源31から出射される光の光度(単位は[cd])の時間変化も当該印加される電圧の時間変化と同等のパターンを示す。すなわち、右下の光学装置5の光源31から出射される光の光度の時間変化は図6(d)に示されるようなパターンとなり、左下の光学装置6の光源31から出射される光の光度の時間変化は図6(e)に示されるようなパターンとなる。
また、本実施形態においては、右側の光学装置3の光源31から出射される光の光度の時間変化は図6(b)に示されるようなパターンとなり、左側の光学装置4の光源31から出射される光の光度の時間変化は図6(c)に示されるようなパターンとなる。なお、上述したように、図6(b)〜(e)において、電圧の値が0[V]であるときには光学装置(3、4、5又は6)の光源31から光は出射されず、電圧の値が非0[V]であるときには光学装置(3、4、5又は6)の光源31から光が出射される。
図6において、時点t0は、1周期目の開始時点を示している。時点t05は、時点t0から半周期経過した時点を示している。時点t1は、時点t05から半周期経過した時点、すなわち1周期目の終了時点を(及び2周期目の開始時点)を示している。時点t15は、時点t1から半周期経過した時点を示している。時点t2は、時点t15から半周期経過した時点、すなわち2周期目の終了時点を(及び3周期目の開始時点)を示している。時点t25は、時点t2から半周期経過した時点を示している。時点t3は、時点t25から半周期経過した時点、すなわち3周期目の終了時点を(及び4周期目の開始時点)を示している。時点t35は、時点t3から半周期経過した時点を示している。時点t4は、時点t35から半周期経過した時点、すなわち4周期目の終了時点を示している。
各光学装置3〜6が、二次元座標領域D2を1回走査するには、当該光学装置の走査の半周期分の時間が必要であることは第1実施形態と同様である。本実施形態では光学装置が4つあるので、光学装置4つの光学装置3〜6の全てが1回走査するには2周期分の時間が必要となる。すなわち、制御回路部8は、図6(b)に示されるように、奇数周期目(1周期目又は3周期目)の前半の半周期(時間t0〜t05,時間t2〜t25)では右側の光学装置3から走査光を出射するように制御する。また、制御回路部8は、図6(c)に示されるように、奇数周期目(1周期目又は3周期目)の後半の半周期(時間t05〜t1,時間t25〜t3)では左側の光学装置4から走査光を出射するように制御する。また、制御回路部8は、図6(d)に示されるように、偶数周期目(2周期目又は4周期目)の前半の半周期(時間t1〜t15,時間t3〜t35)では右下の光学装置5から走査光を出射するように制御する。また、制御回路部8は、図6(e)に示されるように、偶数周期目(2周期目又は4周期目)の後半の半周期(時間t15〜t2,時間t35〜t4)では左下の光学装置6から走査光を出射するように制御する。このように、制御回路部8は、各光学装置3〜6を走査の2周期毎に順番に光を出射するように制御する。
また、図6に示されるように、第2実施形態の制御回路部8は、第1実施形態の制御回路部8と同様に、1周期の時間には、二次元座標領域D2に光を出射している(二次元座標領域D2を走査している時間)に加え、二次元座標領域D2外に光を出射している時間も含まれる。すなわち、周期長T1は、走査長T2よりも大きく設定されている。なお、周期長T1は、走査長T2以上に設定されていればよいことは、第2実施形態においても第1実施形態と同様である。
以上のように、制御回路部8は、二次元座標領域D2を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように、各光学装置3〜6を制御する。このような制御回路部8による制御が、本発明における「前記制御部は、前記光出射部から出射された光が前記二次元座標領域を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように前記光出射部を制御」することに相当する。
そして、制御回路部8は、各光学装置3〜6の受光部33が受光した光のうち、二次元座標領域D2に光を出射しているときの光学装置が受光した光のみに基づいて、二次元座標領域D2にある物体の座標を検知する。以下、右側の光学装置3を例に詳細を説明する。図6(f)に示されるように、二次元座標領域D2に物体が存在していないとき、右側の光学装置3の受光部33は、1周期目(又は3周期目)の前半の半周期のうち二次元座標領域D2を走査している時間(以下、各光学装置において、この時間を「対象時間」という)において自身が出射した光を受光している。また、他の光学装置4〜6が、二次元座標領域D2を走査している時間(1周期目と3周期目の後半の半周期、2周期目及び4周期目のうち二次元座標領域D2を走査している時間。以下、このような時間を「非対象時間」という)においては、上辺21〜左辺24による正反射光によって多数の光を受光している。
そして、図6(g)に示されるように、二次元座標領域D2に物体が位置しているとき、右側の光学装置3の受光部33は、対象時間において、当該物体によって遮られたときのみ光を受光していない。また、右側の光学装置3は、非対象時間において、上辺21〜左辺24による正反射光によって多数の光を受光していることは図6(f)と同様である。しかしながら、二次元座標領域D2に物体がある場合(図6(g))には、当該物体によって正反射光が遮られるときがあるので、二次元座標領域D2に物体がない場合(図6(f))に比べて、右側の光学装置3の受光部が、受光する光が減少する。
そして、制御回路部8は、図6(f)から図6(g)を減ずることで図6(h)の波形を得る。これにより、制御回路部8は、第1実施形態と同様に、右側の光学装置3が光を出射している対象時間において、ピークが存在している時点に基づいて物体によって光が遮られたときの走査角度を検知している。なお、図6では、二次元座標領域D2に1つの物体がある例を示しているが、複数の物体があってもよい。この場合に、対象時間におけるピークの数は、物体の数だけ存在する(例えば、物体が2つあれば2つのピークが存在する)。すなわち、各ピークに対応した走査角度を複数検知する。また、制御回路部8は、右側の光学装置3以外の光学装置4〜6においても上記と同様に走査角度を検知する。
二次元座標領域D2に複数の物体がある場合においては、1つの光学装置において複数(物体の数の分)の検知された走査角度が存在するので、1つの光学装置と物体とを結ぶ直線が複数(物体の数の分)存在する。従って、4つの光学装置3〜6の各々と物体とを結ぶ直線の交点は、必ず物体の座標となるわけではない。このため、座標群には、物体の座標(以下、「真座標」という)に加え、物体が複数ある場合には、物体の座標ではない座標(以下、「偽座標」という)も含まれている。
制御回路部8は、各光学装置3〜6によって検知された物体の座標が真座標か偽座標かの区別はできない。しかしながら、偽座標は、2つの光学装置が検知した走査角度によって検知されたものであるので、当該2つの光学装置とは異なる光学装置と物体とを結ぶ直線が必ず偽座標を通るわけではない。すなわち、偽座標は、全ての光学装置3〜6から2つの光学装置を選択するときの全組み合わせ(全ての座標群)に含まれることはない。一方、真座標は、全ての座標群に含まれている。そこで、制御回路部8は、検知された全ての座標群に共通して含まれる1又は複数の座標を、二次元座標領域D2内にある1又は複数の物体の座標として検知する。
このような制御回路部8による検知が、本発明における「前記制御部は、前記複数の光学装置の各々において前記光出射部から光を出射している間に前記受光部が受光した光に基づいて前記物体の座標を検知する」ことに相当する。
なお、二次元座標領域D2にある複数の物体の座標を検知するためには、本実施形態のように光学装置は4つである必要はなく、3つであればよい。このときにおいても、3つの光学装置から2つの光学装置を選択するときの全組み合わせにおいて検知された各座標群に共通して含まれる1又は複数の座標を、二次元座標領域D2内にある1又は複数の物体の座標として検知すればよい。
以上のように、第2実施形態の座標検知装置10は、制御回路部8が、二次元座標領域D2を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように、各光学装置3〜6を制御するので、4つの光学装置3〜6の各々が他の光学装置からの正反射光を受光した場合であっても、その影響を受けずに二次元座標領域D2の物体の座標を検知することができる。
なお、第2実施形態の座標検知装置10においても、第1実施形態の座標検知装置1と同様に、制御回路部8が、領域外時間において各光学装置3〜6から同時に光が出射されるように、制御回路部8が各光学装置3〜6を制御した場合であっても、領域時間において(すなわち、二次元座標領域D2に光が出射されている時間において)、光が出射される光学装置が1つのみとなるように制御してもよい。この場合であっても、4つの光学装置3〜6の各々が他の光学装置からの正反射光を受光した場合であっても、その影響を受けずに二次元座標領域D2の物体の座標を検知することができるという本発明の効果が得られる。
1…座標検知装置(第1実施形態の二次元座標検知装置)、10…座標検知装置(第2実施形態の二次元座標検知装置)、D2…二次元座標領域、21…上辺(第2実施形態における再帰反射部)、22…下辺(再帰反射部)、23…右辺(再帰反射部)、24…左辺(再帰反射部)、3,4…2つの光学装置(第1実施形態における複数の光学装置)、8…制御回路部(制御部)、3〜6…4つの光学装置(第2実施形態における複数の光学装置)、31…光源(光出射部)、32…走査部(光出射部)、33…受光部。

Claims (2)

  1. 光を出射する光出射部と光を受光する受光部とを有し、二次元座標領域にある1又は複数の物体の座標を検知するために前記二次元座標領域の周縁上又は前記二次元座標領域外に配置される複数の光学装置と、
    前記光学装置から出射された光を再帰反射する再帰反射部と、
    前記光出射部が少なくとも前記二次元座標領域を走査するように前記光出射部を制御すると共に、前記受光部が受光した光に基づいて前記物体の座標を検知する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記光出射部から出射された光が前記二次元座標領域を走査する光を出射する光学装置が所定の時点において1つのみとなるように前記光出射部を制御し、且つ前記複数の光学装置の各々において前記光出射部から光を出射している間に前記受光部が受光した光に基づいて前記物体の座標を検知することを特徴とする二次元座標検知装置。
  2. 請求項1に記載の二次元座標検知装置において、
    前記光出射部は、所定の角度範囲を往復動することで少なくとも前記二次元座標領域を走査し、
    前記走査の1周期は、前記1回の往復動であり、
    前記光出射部から光が出射する時間は、前記1周期の半分以下で且つ前記走査の1周期において当該光出射部が前記二次元座標領域を走査している時間の半分以上であることを特徴とする二次元座標検知装置。
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