以下、図面を参照して、本発明に係る睡眠学習制御装置の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施の形態に係る睡眠学習制御装置は、睡眠学習を行う人(使用者)が睡眠するベッドやリクライニングシート等のある場所に設けられ、個人が使用するものでもよいしあるいは予備校や英会話教室等で不特定多数の人が使用するものでもよい。本実施の形態に係る睡眠学習制御装置は、使用者が睡眠する前に起動され、使用者の生理情報に基づいて使用者の睡眠深度を検出して、使用者の睡眠深度をコントロールしながら睡眠学習を行う。
なお、使用者は、睡眠学習によって暗記をしたい人であり、例えば、受験生(大学試験、高校試験、弁理士試験、司法試験等)、英会話内容を暗記したい人、演説前の演説内容を暗記したい人である。学習教材内容は、睡眠学習に用いる教材の内容であり、例えば、大学試験、高校試験、弁理士試験、司法試験等の各試験の暗記系の学習教材の内容、英会話教材の内容、演説原稿の内容がある。所定の学習単元は、学習教材に応じた学習単元である。通常は、ウルトラディアンリズム(1.5〜2時間周期)に応じてレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)とが交互に繰り返され、その周期の中でレム睡眠は数10分程度であるので、この程度の学習時間となる学習単元であることが望ましい。特に、人の記憶に残るのは、覚醒前の数10分のレム睡眠中の内容である。
図1及び図2を参照して、本実施の形態に係る睡眠学習制御装置1について説明する。図1は、本実施の形態に係る睡眠学習制御装置の構成図である。図2は、本実施の形態に係る睡眠学習時の睡眠パターンである。
睡眠学習制御装置1は、使用者が時間を有効に使って効率良く睡眠学習を行うために、使用者が指定する所定の学習単元が終了するまでは浅い眠りを維持させて睡眠学習を行い、所定の学習単元が終了すると使用者を覚醒させる。さらに、睡眠学習制御装置1は、使用者が疲れて深い眠りを欲している場合には、深い眠りを所定時間許容してから上記の睡眠学習を行う。また、睡眠学習制御装置1は、使用者の起きたい時間が決まっている場合には、起きたい時間に合わせて所定の学習単元の再生スピードを変化させ、起きたい時間で使用者を覚醒させる。
睡眠学習制御装置1は、生理情報検出部10、入力部11、刺激付与装置20、学習装置21、制御ユニット30(睡眠深度判定部31、睡眠パターン決定部32、睡眠時間測定部33、睡眠深度比較部34、付与刺激制御部35、学習装置再生部36)を備えている。なお、本実施の形態では、生理情報検出部10及び睡眠深度判定部31が特許請求の範囲に記載する睡眠深度検出手段に相当し、睡眠パターン決定部32が特許請求の範囲に記載する睡眠時間設定手段に相当し、睡眠時間測定部33、睡眠深度比較部34及び付与刺激制御部35が特許請求の範囲に記載する制御手段に相当し、学習装置21及び学習装置再生部36が特許請求の範囲に記載する音声再生手段に相当する。
生理情報検出部10は、使用者の睡眠深度を判定可能な生理情報を検出するためのものである。睡眠深度を判定可能な生理情報としては、例えば、心拍数、まばたき回数がある。生理情報検出部10は、例えば、使用者の心拍数を計測する心拍数計測センサである。心拍数計測センサは、使用者が利用するベッドやリクライニングシート等に内蔵されるセンサでもよいし、使用者が身に着けるウェアラブル型のセンサでもよい。あるいは、生理情報検出部10は、例えば、使用者の顔周辺を撮像するカメラと一定時間毎の撮像画像から目周辺を検出し、一定時間毎の目周辺画像から所定時間内のまばたき回数を計測する画像処理部からなる装置である。カメラは、ベッドやリクライニングシート等の設置状況に応じて使用者の顔を撮像可能に設置される。画像処理部は、カメラに一体で構成されてもよいし、あるいは、制御ユニット30内に構成されてもよい。生理情報検出部10は、睡眠学習制御装置1が起動中は一定時間毎に、使用者の生理情報を検出し、その生理情報を制御ユニット30に送信する。
入力部11は、使用者が制御ユニット30へ各種情報を入力するためのものである。入力部11としては、例えば、キーボード、ディスプレイとマウス、タッチパネル、音声認識装置がある。制御ユニット30がパソコン等の汎用コンピュータの場合、その汎用コンピュータの入力手段を利用する。入力情報としては、睡眠学習を行う学習単元(その学習単元を音声再生する再生時間でもよい)、使用者の起きたい時間等がある。使用者が入力する学習単元は、1つでもよいし、複数でもよい。入力部11では、使用者によって情報が入力されると、その入力情報を制御ユニット30に送信する。
刺激付与装置20は、使用者に対して物理的な刺激を付与する装置である。物理的な刺激としては、音による聴覚的な刺激、光による視覚的な刺激、室温調整等の知覚的な刺激、マッサージ、振動、電気刺激等による触覚的な刺激、睡眠中の体の傾斜等の体感的な刺激がある。刺激付与装置20では、刺激の大きさや付与する周期等が可変であると好ましい。刺激付与装置20としては、例えば、ベッドやリクライニングシート等に内蔵あるいは室内に設置されるスピーカあるいはイヤホン端子、ベッドやリクライニングシート等の設置状況に応じて使用者の顔に発光できる発光装置、室内のエアコン、ベッドやリクライニングシート(あるいは、枕)に内蔵されるマッサージ機、振動発生装置、電気刺激発生装置、傾斜角度調整装置がある。刺激付与装置20では、制御ユニット30から刺激付与要求を受信すると、その刺激付与要求に応じて使用者に刺激を付与する。
学習装置21は、使用者に対して学習教材内容を音声で出力する装置である。学習装置21は、例えば、学習単元毎の学習教材内容の音声データが記憶されたCDやDVD等の光ディスクの再生装置、USBメモリやSDカード等のフラッシュメモリのドライバあるいはハードディスクのドライバと、ベッドやリクライニングシート等に内蔵又は室内に設置されるスピーカあるいはイヤホン端子とからなる装置である。光ディスクやフラッシュメモリの場合には使用者が睡眠学習したい学習単元の学習教材内容の音声データが記憶された光ディスクやフラッシュメモリを学習装置21に使用者がセットするようにしてもよいし、ハードディスクの場合には多数の学習教材内容の音声データがハードディスクに予め格納されており、使用者が入力部11で睡眠学習を行いたい学習単元を入力するようにしてもよい。学習装置21は、再生スピードの可変機能を有しており、学習教材内容を標準スピードで再生する他にも、標準スピードよりも速いスピードあるいは遅いスピードで再生可能である。再生スピードの可変範囲としては、レム睡眠で活動中の脳が十分に認識可能な程度の再生スピードの範囲とする。学習装置21では、制御ユニット30からの再生要求を受信するとその再生要求に設定あれているスピードで使用者指定の学習単元の学習教材内容を再生し、制御ユニット30からの再生終了要求を受信すると(その学習単元が終了するとき)再生を終了する。
制御ユニット30は、睡眠学習制御装置1を統括的に制御する制御ユニットである。制御ユニット30は、パソコン等の汎用コンピュータに専用のアプリケーションソフトが組み込まれ、そのアプリケーションソフトが実行されることによって構成されてもよいし、あるいは、マイコンや各種メモリ装置等からなる専用の制御ユニットとして構成されてもよい。制御ユニット30は、一定時間毎に生理情報検出部10から生理情報を受信するとともに、使用者から入力される毎に入力部11から入力情報を受信する。制御ユニット30は、睡眠深度判定部31、睡眠パターン決定部32、睡眠時間測定部33、睡眠深度比較部34、付与刺激制御部35、学習装置再生部36を有しており、各部31,32,33,34,35,36の処理を実行し、必要に応じて刺激付与装置20や学習装置21に各種要求を送信する。
睡眠深度判定部31では、一定時間毎に、生理情報検出部10で検出されている生理情報に基づいて使用者の睡眠深度を判定する。睡眠深度としては、基本的には、浅い深度(レム睡眠に相当)と深い深度(ノンレム睡眠に相当)である。さらに、浅い深度、深い深度において、より詳細に深度の段階をそれぞれ設定してもよい。睡眠していないときは、覚醒である。例えば、睡眠深度判定部31では、睡眠深度が深くなるほど心拍数が少なくなるので、所定の心拍数閾値を設けて心拍数から睡眠深度を判定する。
睡眠パターン決定部32では、睡眠深度判定部31から一定時間毎に睡眠深度を入力し、現在の睡眠深度に基づいて覚醒状態から睡眠状態(浅い眠り)に入ったか否かを判定する。睡眠状態に入った場合、睡眠パターン決定部32では、睡眠状態に入るまでの所定時間分の睡眠深度の時系列データに基づいて睡眠深度の変化速度を算出する。そして、睡眠パターン決定部32では、その変化速度が閾値未満か否かを判定する。この閾値は、人が疲れ等によって深い眠りになる場合の急速に深くなる睡眠深度の変化を判定するための閾値である。この閾値の速度としては、例えば、使用者の通常の睡眠状態を解析して得られた使用者固有の速度でもよいし、多数の被験者の睡眠状態を解析して得られた一般的な速度でもよい。
変化速度が閾値未満の場合、睡眠パターン決定部32では、入力部11で使用者によって入力された学習単元を標準スピードで再生した場合の再生時間を算出し、その再生時間を浅い睡眠深度を維持する睡眠時間として設定する。そして、睡眠パターン決定部32では、その設定した睡眠時間の間は浅い睡眠深度を維持し、睡眠時間経過後に覚醒する第1睡眠パターンを決定する。例えば、図2(a)には、第1睡眠パターンP1の一例を示しており、睡眠状態に入ると、標準スピードでの再生で学習単元が終了するまでは浅い眠りが維持され、学習単元が終了すると覚醒するパターンとなっている。なお、図中の一点鎖線は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)の境界を示しており、この境界の睡眠深度よりも少し浅い睡眠深度に維持される。
変化速度が閾値以上の場合、睡眠パターン決定部32では、深い眠りを許容する許容時間を設定するとともに、上記と同様に浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を設定する。深い眠りの許容時間としては、例えば、使用者が入力部11で設定した時間でもよいし、深い眠りで疲れ等を回復できる一般的な時間でもよいし、深い眠り(ノンレム睡眠)が持続する一般的な時間でもよい。そして、睡眠パターン決定部32では、その設定した許容時間の間は深い睡眠深度を許容し、許容時間経過後にその設定した睡眠時間の間は浅い睡眠深度を維持し、睡眠時間経過後に覚醒する第2睡眠パターンを決定する。図2(b)には、第2睡眠パターンP2の一例を示しており、睡眠状態に入ると、許容時間の間は深い眠りが許容され、許容時間経過後に深い眠りから浅い眠りに移行され、浅い眠りになると標準スピードでの再生で学習単元が終了するまでは浅い眠りが維持され、学習単元が終了すると覚醒するパターンとなっている。
特に、入力部11からの使用者による起きたい時間の情報を受信している場合、睡眠パターン決定部32では、上記の浅い睡眠深度を維持する睡眠時間の設定に代えて、浅い睡眠深度維持の終了時間を起きたい時間(浅い睡眠深度を維持する睡眠時間は浅い睡眠深度の維持開始時間から起きたい時間まで)とする第1睡眠パターン又は第2睡眠パターンを決定する。図2(c)には、浅い眠り維持の第1睡眠パターンであるが、使用者による起きたい時間が入力されている場合の第1睡眠パターンP3の一例を示しており、標準スピードで学習単元を再生した場合よりも早い時間が起きたい時間として入力されており、睡眠状態に入ると、標準スピードよりも速い再生スピードでの再生で学習単元が終了するまで(起きたい時間まで)浅い眠りが維持され、学習単元が終了すると覚醒するパターンとなっている。
なお、上記の第1睡眠パターンや第2睡眠パターンのように維持する浅い睡眠深度を一定にするのではなく、浅い眠りの中でも睡眠深度を非常に浅い睡眠深度にするような睡眠パターンでもよい。睡眠深度を非常に浅めに数回することによって、その回数分、記憶によく残る時間が増える可能性がある。つまり、通常は覚醒する前の数10分間の記憶が残るが、この睡眠パターンの場合には非常に浅い睡眠深度になる前の数10分間の記憶が数度分残る可能性がある。図2(d)には、浅い眠りにおいて非常に浅い睡眠深度に3回移行させる睡眠パターンP4を示している。
睡眠時間測定部33では、睡眠パターン決定部32で睡眠パターンを決定すると、その睡眠パターンの開始時からの経過時間(現睡眠時間Tn)を測定する。
睡眠深度比較部34では、一定時間毎に、睡眠時間測定部33で測定した現睡眠時間Tnに基づいて、睡眠パターン決定部32で決定した睡眠パターンからその現睡眠時間Tnのときの目標睡眠深度SLtを取得する。そして、睡眠深度比較部34では、睡眠深度判定部31で判定した現睡眠深度SLnと目標睡眠深度SLtとを比較し、現睡眠深度SLnが目標睡眠深度SLtよりも深い深度か、現睡眠深度SLnと目標睡眠深度SLtとが同じ深度か、現睡眠深度SLnが目標睡眠深度SLtよりも浅い深度かを判断する。
付与刺激制御部35では、一定時間毎に、睡眠深度比較部34での比較結果が入力される。そして、付与刺激制御部35では、比較結果が現睡眠深度SLnが目標睡眠深度SLtよりも深い深度の場合には睡眠深度を浅くするために覚醒刺激の付与制御を行い、現睡眠深度SLnと目標睡眠深度SLtとが同じ深度の場合には睡眠深度を維持するために維持刺激の付与制御を行い、現睡眠深度SLnが目標睡眠深度SLtよりも浅い深度の場合には睡眠深度を深くするために誘眠刺激の付与制御を行う。なお、各睡眠パターンの浅い睡眠深度を維持する睡眠時間の間は現睡深度SLnに応じて弱い覚醒刺激、維持刺激、弱い誘眠刺激の各付与制御が繰り返し行われて、浅い睡眠深度が維持される。また、第2睡眠パターンの深い眠りを許容する許容時間の間は全ての付与制御が行われず、使用者の成り行きの睡眠状態となる。
特に、付与刺激制御部35では、睡眠パターン決定部32で決定した睡眠パターンに基づいて、現睡眠時間Tnが浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を経過したか否かを判定し、睡眠時間を経過した場合には使用者を起こすための強い覚醒刺激の付与制御を行う。また、付与刺激制御部35では、睡眠パターン決定部32で第2睡眠パターンを決定している場合、第2睡眠パターンに基づいて、現睡眠時間Tnが深い眠りを許容する許容時間を経過したか否かを判定し、許容時間を経過した場合には使用者を浅い眠りに移行するための覚醒刺激の付与制御を行う。
覚醒刺激の付与制御の場合、付与刺激制御部35では、使用者の睡眠深度を浅くするために、刺激付与装置20に覚醒刺激の付与要求を送信する。覚醒刺激としては、例えば、フラッシュ光、感覚閾値を超えた音圧(例えば、白色雑音で60〜80dB程度)での音楽再生、電気刺激がある。特に、使用者を起こすための強い覚醒刺激を付与する場合、大きな振動やベッドやリクライニングシートを起こすなど、使用者が確実に覚醒するように強い刺激を付与する。また、使用者を深い眠りから浅い眠りに移行させるための覚醒刺激を付与する場合、使用者が浅い眠りに確実に移行するような適度な刺激を付与する。この際、覚醒又は浅い眠りに移行するにしたがって、刺激の大きさや刺激の周期を減らしていくとよい。
維持刺激の付与制御の場合、付与刺激制御部35では、使用者の睡眠深度を維持するために、刺激付与装置20に維持刺激の付与要求を送信する。維持刺激としては、例えば、微弱な光の連続付与、微弱な振動の連続付与、所定の音圧レベル(例えば、ピンクノイズで55dB程度)の音声を一定周期で繰り返し再生がある。この所定の音圧レベルは、時間が長くなるにしたがってレベルを小さくすることが好ましく、また、音声の周波数が高くなるに従ってレベルを小さくすることが好ましい。なお、現睡眠深度SLnと目標睡眠深度SLtとが同じ深度の場合、使用者に対して刺激を付与しないようにしてもよい。
誘眠刺激の付与制御の場合、付与刺激制御部35では、使用者の睡眠深度を深くするために、刺激付与装置20に誘眠刺激の付与要求を送信する。誘眠刺激としては、例えば、エアコンによる睡眠に適した室温調整、マッサージ機による睡眠に適したマッサージ、睡眠に適した音楽再生がある。
なお、これらの各刺激については、実験等によって最適な刺激の大きさ、刺激を与える時間、刺激を与える周期等を予め設定しておく。特に、使用者個々について学習し、使用者個々の最適値を設定するのが好ましい。
学習装置再生部36では、睡眠パターン決定部32で第1睡眠パターンを決定している場合、第1睡眠パターンの開始時から使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードで再生するための再生要求を学習装置21に送信する。また、学習装置再生部36では、睡眠パターン決定部32で第2睡眠パターンを決定している場合、第2睡眠パターンに基づいて現睡眠時間Tnが深い眠りを許容する許容時間を経過したか否かを判定し、許容時間を経過した場合(現睡眠深度SLnが浅い睡眠深度になった場合でもよい)に使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードで再生するための再生要求を学習装置21に送信する。そして、学習装置再生部36では、各睡眠パターンに基づいて現睡眠時間Tnが浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を経過したか否かを判定し、睡眠時間を経過した場合(すなわち、使用者指定の学習単元の標準スピードでの再生時間が経過した場合)には再生終了要求を学習装置21に送信する。
特に、睡眠パターン決定部32で起きたい時間指定の睡眠パターンを決定している場合、学習装置再生部36では、睡眠パターンにおける浅い睡眠深度を維持する睡眠時間(起きたい時間に合わせた時間)に基づいて起きたい時間までに使用者指定の学習単元の学習教材内容の再生が終了する再生スピードを算出し、その再生スピードで再生するための再生要求を学習装置21に送信する。そして、学習装置再生部36では、現睡眠時間Tnが浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を経過したか否か(すなわち、起きたい時間になったか否か)を判定し、睡眠時間を経過した場合(すなわち、起きたい時間になった場合)には再生終了要求を学習装置21に送信する。
図2(a)の第1睡眠パターンP1の場合、睡眠に入るときの使用者の緩やかな睡眠深度の変化から第1睡眠パターンP1を決定すると、浅い睡眠深度を維持する睡眠制御を行って使用者の浅い眠りを維持するとともに使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードで音声再生する。この浅い睡眠深度維持制御の間は、弱い覚醒刺激、維持刺激、弱い誘眠刺激の何れかの刺激を繰り返し付与している。浅い睡眠深度の維持の睡眠時間が終了すると(つまり、使用者指定の学習単元が終了すると)、強い覚醒刺激S1を付与して使用者を起こすとともに音声再生を終了する。ちなみに、従来の睡眠学習制御装置の場合、使用者の睡眠状態が成り行き任せなので、例えば、破線で示すように浅い眠り(レム睡眠)より深い眠りになってしまうと、装置から覚醒刺激ASを付与して使用者を起こしてしまう。
図2(b)の第2睡眠パターンP2の場合、睡眠に入るときの使用者の急な睡眠深度の変化から第2睡眠パターンP2を決定すると、破線で示すような浅い睡眠深度を維持することなく、許容時間の間は刺激を付与せずに(つまり、使用者の睡眠状態を成り行き任せで)深い眠りを許容する。許容時間が経過すると、適度な覚醒刺激S2’を付与して使用者を浅い眠りに移行する。そして、使用者が浅い眠りになると、浅い睡眠深度を維持する睡眠制御を行って使用者の浅い眠りを維持するとともに使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードで音声再生する。浅い睡眠深度の維持の睡眠時間が終了すると、強い覚醒刺激S2を付与して使用者を起こすとともに音声再生を終了する。
図2(c)の起きる時間が指定されている第1睡眠パターンP3の場合、起きる時間が指定の第1睡眠パターンP3を決定すると、浅い睡眠深度を維持する睡眠制御を行って使用者の浅い眠りを維持するとともに使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードより速い再生スピードで音声再生する。浅い睡眠深度の維持の睡眠時間が終了すると(使用者指定の起きたい時間になると)、学習単元も終了しており、強い覚醒刺激S3を付与して使用者を起こすとともに音声再生を終了する。
図2(d)の睡眠パターンP4の場合、非常に浅い睡眠深度に3回移行させる睡眠パターンP4を決定すると、浅い睡眠深度を維持する睡眠制御を行って使用者の通常の浅い眠りを維持するとともに使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードで音声再生する。最初の非常に浅い睡眠深度に移行させる時間になると、適度な覚醒刺激S4’を付与して使用者を非常に浅い眠りに移行するとともに音楽再生を終了する。そして、使用者が通常の浅い眠りに戻ると(使用者の成り行きまかせでもよいし、あるいは、誘眠刺激を付与してもよい)、浅い睡眠深度を維持する睡眠制御を行って使用者の通常の浅い眠りを維持するとともに使用者指定の次の学習単元の学習教材内容を標準スピードで音声再生する。この制御をあと2回繰り返す。最後の浅い睡眠深度の維持の睡眠時間が終了すると、強い覚醒刺激S4を付与して使用者を起こすとともに音声再生を終了する。
なお、睡眠学習制御装置1が起動されてから使用者の睡眠深度が深くならない状態(覚醒状態)がある程度の時間継続している場合、睡眠学習制御装置1では、誘眠刺激を使用者に付与するようにしてもよい。
図1及び図2を参照して、睡眠学習制御装置1の動作について説明する。ここでは、図3のフローチャートに沿って睡眠パターン決定の動作を説明し、図4のフローチャートに沿って第1睡眠パターンの場合の動作を説明し、図5のフローチャートに沿って第2睡眠パターンの場合の動作を説明する。図3は、本実施の形態に係る睡眠パターン決定の流れを示すフローチャートである。図4は、本実施の形態に係る第1睡眠パターンでの睡眠学習制御の流れを示すフローチャートである。図5は、本実施の形態に係る第2睡眠パターンでの睡眠学習制御の流れを示すフローチャートである。
使用者は、睡眠学習制御装置1を起動させると、入力部11によって睡眠学習を行う学習教材での学習単元等を入力する。ここでは、起きたい時間が入力されていないものとする。
睡眠学習制御装置1が起動後、生理情報検出部10では、使用者の生理情報を検出し、その生理情報を制御ユニット30に送信する(S10)。制御ユニット30では、その生理情報を受信する。そして、睡眠深度判定部31では、生理情報に基づいて使用者の睡眠深度を判定する(S11)。睡眠パターン決定部32では、現在の睡眠深度に基づいて、使用者が睡眠状態に入ったか否かを判定する(S12)。S12にて睡眠状態に入っていないと判定した場合、睡眠学習制御装置1では、次回の動作まで一定時間待ち、上記のS10からの動作を繰り返す。
S12にて睡眠状態に入ったと判定した場合、睡眠パターン決定部32では、睡眠状態に入るまでの所定時間分の睡眠深度データに基づいて睡眠深度の変化速度を算出し(S13)、変化速度が閾値未満か否かを判定する(S14)。S14にて変化速度が閾値未満と判定した場合、睡眠パターン決定部32では、使用者が入力した学習単元を標準スピードで再生した場合の再生時間を算出し、その再生時間を浅い睡眠深度を維持する睡眠時間として設定し、その睡眠時間の間は浅い睡眠深度を維持する第1睡眠パターンを決定する(S15)。また、S14にて変化速度が閾値以上と判定した場合、睡眠パターン決定部32では、深い眠りを許容する許容時間を設定するとともに上記と同様に浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を設定し、許容時間の間は深い眠りを許容し、許容時間経過後の睡眠時間の間は浅い睡眠深度を維持する第2睡眠パターンを決定する(S16)。
第1睡眠パターンと決定した場合、学習装置再生部36では、第1睡眠パターンの浅い睡眠深度の維持開始時から使用者指定の学習単元の学習教材内容を標準スピードで音声再生するための再生要求を学習装置21に送信する(S20)。学習装置21では、その再生要求を受信すると、その学習単元の学習教材内容を標準スピードで音声再生する(S20)。
睡眠時間測定部33では、第1睡眠パターンの開始時からの経過時間(現睡眠時間Tn)を測定する(S21)。生理情報検出部10では、使用者の生理情報を検出し、その生理情報を制御ユニット30に送信する(S22)。制御ユニット30では、その生理情報を受信する。そして、睡眠深度判定部31では、生理情報に基づいて使用者の現睡眠深度SLnを判定する(S23)。さらに、睡眠深度比較部34では、第1睡眠パターンから現睡眠時間Tnにおける目標睡眠深度SLtを取得し(S24)、現睡眠深度SLnと目標睡眠深度SLtを比較する(S25)。
睡眠深度比較部34で現睡眠深度SLnが目標睡眠深度SLtより深いと判定した場合、付与刺激制御部35では、使用者の睡眠深度を少し浅くするための弱い覚醒刺激の付与要求を刺激付与装置20に送信する(S26)。刺激付与装置20では、この付与要求を受信すると、弱い覚醒刺激を使用者に付与する(S26)。睡眠深度比較部34で現睡眠深度SLnと目標睡眠深度SLtとが同じと判定した場合、付与刺激制御部35では、使用者の睡眠深度を維持するための維持刺激の付与要求を刺激付与装置20に送信する(S27)。刺激付与装置20では、この付与要求を受信すると、維持刺激を使用者に付与する(S27)。睡眠深度比較部34で現睡眠深度SLnが目標睡眠深度SLtより浅いと判定した場合、付与刺激制御部35では、使用者の睡眠深度を少し深くするための弱い誘眠刺激の付与要求を刺激付与装置20に送信する(S28)。刺激付与装置20では、この付与要求を受信すると、弱い誘眠刺激を使用者に付与する(S28)。使用者は、これらの刺激が付与されることによって、浅い眠り(レム睡眠)を維持する。この際、使用者の脳は活動しており、音声再生されている学習教材内容が記憶に残る。
学習装置再生部36では、現睡眠時間Tnが学習単元の終了時間になったか否か(浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を経過したか否か)を判定する(S29)。S29にて現睡眠時間Tnが学習単元の終了時間になっていないと判定した場合、睡眠学習制御装置1では、次回の動作まで一定時間待ち、上記のS20からの動作を繰り返す。
S29にて現睡眠時間Tnが学習単元の終了時間になったと判定した場合(浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を経過した場合)、学習装置再生部36では、再生終了要求を学習装置21に送信する(S30)。学習装置21では、その再生終了要求を受信すると、学習単元の音声再生を終了する(S30)。また、付与刺激制御部35では、使用者を起こすための強い覚醒刺激の付与要求を刺激付与装置20に送信する(S31)。刺激付与装置20では、この付与要求を受信すると、強い覚醒刺激を使用者に付与する(S31)。この覚醒刺激によって、使用者は起きる。使用者は、起きる直前までの浅い眠りのときに音声再生されていた学習単元の学習教材内容を記憶に残している可能性が高い。
第2睡眠パターンと決定した場合、睡眠時間測定部33では、第2睡眠パターンの開始時からの経過時間(現睡眠時間Tn)を測定する(S40)。そして、付与刺激制御部35では、第2睡眠パターンに基づいて、現睡眠時間Tnが深い眠りを許容する許容時間を経過したか否かを判定する(S41)。S41にて許容時間を経過していないと判定した場合、睡眠学習制御装置1では、次回の動作まで一定時間待ち、上記のS40からの動作を繰り返す。このとき、使用者は、成り行きの睡眠で深い眠り(ノンレム睡眠)である。
S41にて許容時間を経過したと判定した場合、付与刺激制御部35では、使用者を浅い眠りに移行させるための適度な覚醒刺激の付与要求を刺激付与装置20に送信する(S42)。刺激付与装置20では、この付与要求を受信すると、適度な覚醒刺激を使用者に付与する(S42)。この覚醒刺激によって、使用者は浅い眠り(レム睡眠)になり、脳が活動状態になる。
この第2睡眠パターンの場合における使用者が浅い眠りになった以降のS43〜S54の動作については、上記で説明した第1睡眠パターンの場合におけるS20〜S31の動作と同様の動作なので、説明を省略する。
なお、上記の動作説明では使用者によって起きたい時間が指定されていない場合の第1睡眠パターンと第2睡眠パターンでの動作について説明したが、起きたい時間が指定された場合の動作は、その起きたい時間に合わせて浅い眠り維持の睡眠時間を設定して各睡眠パターンを決定する点と、音楽再生する際に再生スピードを変える点だけが異なる。
この睡眠学習制御装置1によれば、装置側で使用者の睡眠深度をコントロールし、学習単元が終了するまで浅い睡眠深度を維持させて学習単元が終了すると覚醒させるので、使用者の睡眠時間を効率良く睡眠学習に利用することができる。使用者は、指定した学習単元を必要最小の睡眠時間で最後まで睡眠学習することができる。また、使用者は、睡眠学習中は浅い睡眠深度に維持されかつ睡眠学習が終了すると覚醒されるので、最も睡眠学習に適した状態で睡眠学習を行うことができ、睡眠学習での高い学習効果が得られる可能性が高い。
さらに、睡眠学習制御装置1によれば、使用者が疲れ等で深い眠りを欲している場合には深い眠りを許容することにより、使用者の疲れ等を深い眠りで回復させた上で睡眠学習を効率的に行うことができる。使用者が疲れて深い眠りを欲しているときに、強制的に浅い眠りに維持して睡眠学習を行っても、睡眠学習での高い学習効果が得られないと考えられる。
また、睡眠学習制御装置1によれば、学習単元の学習教材内容の再生時間に応じて浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を設定することにより、その設定した睡眠時間に基づいて睡眠パターンを決定でき、その睡眠パターンに基づいて浅い睡眠深度の維持制御と覚醒制御のタイミングを高精度に管理できる。
また、睡眠学習制御装置1によれば、使用者が起きたい時間を指定している場合、起きたい時間に応じて浅い睡眠深度を維持する睡眠時間を設定するとともに学習単元の再生スピードを変えることにより、使用者が起きたい時間までに学習単元を最後まで睡眠学習でき、使用者の時間を有効に使って睡眠学習を行うことができる。例えば、時間の無い受験生等が時間を有効に使って睡眠学習ができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では学習単元の再生時間に応じて睡眠時間を設定し、その睡眠時間に基づいて睡眠パターンを決定して、睡眠パターンに基づいて睡眠制御を行う構成としたが、睡眠時間や睡眠パターンを設定することなく、学習装置での学習単元の学習教材内容の再生状況を監視し、再生中は浅い睡眠深度の維持制御を行い、再生が終了すると覚醒制御を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では生理情報として心拍数やまばたき回数を検出し、心拍数やまばたき回数から睡眠深度を判定する構成としたが、脳波や呼吸回数等の他の生理情報を検出し、これらの生理情報から睡眠深度を判定してもよいし、あるいは、生理情報以外の情報から睡眠深度を判定してもよい。
また、本実施の形態では使用者の睡眠時に学習単元の学習教材内容を実際に音声で出力して再生する構成としたが、学習教材内容を振動伝達等で再生してもよい。
また、睡眠学習制御装置を予備校の休憩室等に設置し、睡眠学習制御装置をレンタルで利用できるようにした場合、再生する学習単元の数又は学習レベルに応じて使用者が課金することによって、この睡眠学習制御装置を不特定多数の人が睡眠学習に利用できるようにしてもよい。この場合、レンタル料を多く支払うほど、多くの学習単元又は質の高い学習教材を睡眠学習できる。このシステムによれば、短時間で多くの人が睡眠学習制御装置を利用できる。