JP2013167322A - トロイダル式無段変速機 - Google Patents
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Abstract
【課題】2つの駆動源を、それぞれの状況に適した回転数で回転させることができるトロイダル式無段変速機を提供する。
【解決手段】トロイダル式無段変速機1は、第1駆動源5の動力が伝達される第1入力軸21と一体に回転する第1入力ディスク23と、第2駆動源29の動力が伝達される第2入力軸22と一体に設けられる第2入力ディスク24と、第1入力軸と第2入力軸とを連結自在な分割クラッチ28と、出力ディスク25と、第1入力ディスク23と出力ディスク25との間で揺動自在に配置された第1パワーローラ26と、第2入力ディスク24と出力ディスク25との間に揺動自在に配置された第2パワーローラ27とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】トロイダル式無段変速機1は、第1駆動源5の動力が伝達される第1入力軸21と一体に回転する第1入力ディスク23と、第2駆動源29の動力が伝達される第2入力軸22と一体に設けられる第2入力ディスク24と、第1入力軸と第2入力軸とを連結自在な分割クラッチ28と、出力ディスク25と、第1入力ディスク23と出力ディスク25との間で揺動自在に配置された第1パワーローラ26と、第2入力ディスク24と出力ディスク25との間に揺動自在に配置された第2パワーローラ27とを備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、トロイダル式無段変速機に関する。
従来、駆動源の動力が伝達される入力軸と、入力軸と一体に回転する一対の入力ディスクと、この一対の入力ディスクの間に位置させて入力軸と相対回転自在に設けられた出力ディスクと、入力ディスクと出力ディスクとの間に揺動自在に配置されたパワーローラとを備え、パワーローラの揺動角度を調節することにより変速比を制御するトロイダル式無段変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
近年、車両の駆動源として、内燃機関と電動機との2つの駆動源を用いるハイブリッド車両が普及してきている。そして、トロイダル式無段変速機も2つの駆動源を備える車両に適用することが考えられる。
ところで、例えば、2つの駆動源として内燃機関と電動機とを用いる場合、各駆動源の効率の良い回転領域は異なることが一般的である。従って、高効率の回転領域が異なる2つの駆動源のうちの一方を、効率よく回転させようとすると、他方が効率よく回転させることができないという問題が生じる。
また、例えば、内燃機関を始動させるときや電動機で発電させるときなどの状況に応じて、駆動源の適切な回転数が変化する場合がある。
本発明は、以上の点に鑑み、高効率の回転領域が異なる2つの駆動源の両方を、効率のよい回転領域で用いることができ、または、2つの駆動源を、それぞれの状況に適した回転数で回転させることができるトロイダル式無段変速機を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するため、本発明のトロイダル式無段変速機は、第1駆動源の動力が伝達される第1入力軸と、前記第1入力軸と一体に回転する第1入力ディスクと、第2駆動源の動力が伝達され、前記第1入力軸と相対回転自在に且つ同心に設けられる第2入力軸と、前記第2入力軸と一体に回転する第2入力ディスクと、前記第1入力軸と前記第2入力軸とを連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在な分割クラッチと、前記第1入力ディスクと前記第2入力ディスクとの間に配置される出力ディスクと、前記第1入力ディスクと前記出力ディスクとの間で揺動自在に配置された第1パワーローラと、前記第2入力ディスクと前記出力ディスクとの間に揺動自在に配置された第2パワーローラとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、分割クラッチを開放状態とすることで、第1入力軸及びこれと一体に回転する第1入力ディスクと、第2入力軸及びこれと一体に回転する第2入力ディスクとを相対回転自在とすることができる。そして、第1入力ディスクと第2入力ディスクとに伝達されたトルクは、第1パワーローラと第2パワーローラとを介して出力ディスクで合成することができる。従って、第1駆動源と第2駆動源とで高効率の回転領域が異なる場合であっても、2つの駆動源の両方を、効率のよい回転領域で同時に用いることができる。
また、2つの駆動源を、それぞれの状況に適した回転数で回転させることができるため、例えば、第1駆動源が内燃機関である場合には、第2駆動源の回転数に関わらず、第1駆動源たる内燃機関を、その始動に際して適切な回転数で始動させることができる。また、例えば、第2駆動源が電動機である場合には、第1駆動源の回転数に関わらず、第2駆動源たる電動機で発電させる際に、発電に適した回転数で回転させることができる。
[2]また、本発明においては、第1駆動源が内燃機関であり、第2駆動源が電動機であり、内燃機関が停止していて電動機のみで車両を走行させるときに、分割クラッチを開放状態とし、第2パワーローラを第2入力ディスクの回転を減速させて出力ディスクに伝達するように揺動させ、第1パワーローラを出力ディスクの回転を減速させて第1入力ディスクに伝達するように揺動させることができる。
本発明によれば、内燃機関に伝達されるトルクを増大させることができ、スムーズに内燃機関を始動させることができる。
[3]また、本発明においては、第1駆動源のみが駆動し、第1入力軸に前記第1駆動源の動力が伝達されているとき、分割クラッチを開放状態とし、電動機が効率の高い回転領域で回転するように、第2パワーローラの揺動角度を設定することができる。
本発明によれば、第1駆動源の回転数に関わらず、第2駆動源たる電動機の回転領域を効率の良い領域とすることができ、発電効率を向上させることができる。
[4]また、本発明においては、車両が減速しており、且つ電動機による回生制動が許可されているとき、分割クラッチを開放状態とし、電動機の発電効率が高い領域で電動機が回転するように、第2パワーローラの揺動角度を設定し、第2パワーローラで前記出力ディスクの回転を変速させて第2入力ディスクに伝達し、第1パワーローラを出力ディスクの回転を減速させて第1入力ディスクに伝達するように揺動させることができる。
本発明によれば、電動機の発電効率やバッテリー充電率の高低に応じて第2パワーローラの揺動角度を設定し電動機及びバッテリーにおける適切な回生制動を行うことができる。なお、電動機の発電だけでは制動力が足りない場合は、第1駆動源の制動力で補うことができる。
[5]また、本発明においては、車両が停止しており、且つ内燃機関が停止しているとき、分割クラッチとを開放状態とし、第2パワーローラを第2入力ディスクの回転を減速させて出力ディスクに伝達するように揺動させ、第1パワーローラを出力ディスクの回転を減速させて第1入力ディスクに伝達するように揺動させる。
本発明によれば、第2駆動源のトルクは、第2入力ディスクから第2パワーローラを介して出力ディスクに伝達されるときに増幅される。そして、この増幅されたトルクは、出力ディスクから第1パワーローラを介して第1入力ディスクに伝達されるときに更に増幅される。従って、第2駆動源の出力トルクを大きく増幅することができるため、第2駆動源として最大出力トルクが比較的小さいものを用いても、適切に内燃機関を始動させることができる。
[6]また、本発明においては、第1駆動源の動力が第1入力軸に伝達可能な伝達状態と、この伝達を断つ開放状態とに切換自在な発進クラッチを備え、第1駆動源と第1入力軸との間で動力伝達が要求される場合には、発進クラッチを伝達状態とするように構成することもできる。
本発明によれば、第1駆動源と第1入力軸との間で動力を伝達する必要があるときだけ、発進クラッチを伝達状態とすることにより、第1駆動源と第1入力軸との間で動力を伝達させることができる。このため、第1駆動源に動力を伝達する必要がないときには、発進クラッチを開放状態として、第1駆動源に動力が伝達されることを阻止することができ、第1駆動源が回転抵抗となってトルクロスが発生することを防止できる。
[基本骨格及び基本動作の説明(図1〜図2)]
図1及び図2を参照して、本発明のトロイダル式無段変速機の実施形態を説明する。本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、車両(自動車)に搭載されるものであり、トロイダル型変速機構2と、遊星歯車機構3とを備える。
図1及び図2を参照して、本発明のトロイダル式無段変速機の実施形態を説明する。本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、車両(自動車)に搭載されるものであり、トロイダル型変速機構2と、遊星歯車機構3とを備える。
トロイダル型変速機構2は、発進クラッチ4を介して内燃機関5(第1駆動源)の動力が伝達される第1入力軸21と、第1入力軸21と同心に且つ相対回転自在に設けられた第2入力軸22と、一対の入力ディスク23,24と、入力ディスク23,24の間に配置された出力ディスク25と、入力ディスク23,24と出力ディスク25の間に夫々設けられたパワーローラ26,27と、キャビティ分割用の分割クラッチ28とを備える。
第2入力軸22には、第2駆動源たる電動機29の動力が伝達されるように構成されている。
一対の入力ディスク23,24は、第1入力軸21に連結され一体的に回転する第1入力ディスク23と、第2入力軸22に連結され一体的に回転する第2入力ディスク24とからなる。また、出力ディスク25には、外歯25aが設けられている。
遊星歯車機構3は、サンギア31と、リングギア32と、サンギア31及びリングギア32に噛合するピニオン33を自転及び公転自在に軸支するキャリア34とからなるシングルピニオン型で構成される。
サンギア31には、出力ディスク25の外歯25aと噛み合う高速側中間歯車61が同心に連結され、一体的に回転するように構成されている。また、サンギア31及び高速側中間歯車61と同心に且つ相対回転自在に、出力ギア7が設けられている。出力ギア7は、デファレンシャルギア8に噛合している。高速側中間歯車61と出力ギア7とは、両者を連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在な高速側クラッチ91で、連結自在とされている。
第2入力軸22には、第1低速側中間歯車11が一体的に回転するように固定されている。第1低速側中間歯車11には、第2低速側中間歯車12が噛合する。第2低速側中間歯車12には、第3低速側中間歯車13が噛合する。第1から第3の3つの低速側中間歯車11〜13で低速側中間歯車列10が構成される。第3低速側中間歯車13は、キャリア34と一体回転するようにキャリア34に固定されている。
遊星歯車機構3のリングギア32と出力ギア7とは、両者を連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在な低速側クラッチ92で、連結自在とされている。
本実施形態のトロイダル型変速機構2は、ダブルキャビティ型で構成され、第1入力ディスク23と出力ディスク25とで構成される凹部を第1キャビティ、第2入力ディスク24と出力ディスク25とで構成される凹部を第2キャビティと定義する。
分割クラッチ28は、第1入力軸21と第2入力軸22とを連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在に構成されている。
以上の如く構成されるトロイダル式無段変速機1の作動について、図2を参照して、説明する。本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、ローモードとハイモードの2つのモードを備える。ローモードは、高速側クラッチ91を開放状態とし、低速側クラッチ92を連結状態とすることにより確立される。ハイモードは、高速側クラッチ91を連結状態とし、低速側クラッチ92を開放状態とすることにより確立される。
ローモードでは、キャリア34の回転数が、第2入力軸22の回転数を低速側中間歯車列10のギア比(第3低速側中間歯車の歯数/第1低速側中間歯車の歯数)で割った値Ncとなる。
また、トロイダル型変速機構2を介して出力された動力は、外歯25aから高速側中間歯車61を介してサンギア31に伝達される。従って、サンギア31の回転数は、パワーローラ26,27の揺動角度で設定されるトロイダル型変速機構2の変速比に応じて変化する。
図2(b)に遊星歯車機構3の共線図(サンギア31、リングギア32、キャリア34の3つの要素の相対回転速度を直線の速度線で表すことができる図)を示す。図2(b)から明らかなように、ローモードにおいては、トロイダル型変速機構2の出力回転速度、即ち、サンギア31の回転速度が大きくなるほど、リングギア32の回転速度、即ち、駆動輪の回転速度が小さくなることが分かる。
なお、本実施形態のトロイダル式無段変速機1においては、ローモードでトロイダル型変速機構2の速度比が最大のときに、リングギア32がマイナス方向(車両が後進する側の方向)に回転するように、遊星歯車機構3のギア比(リングギア32の歯数/サンギア31の歯数)、及び低速側中間歯車列10のギア比(第3低速側中間歯車13の歯数/第1低速側中間歯車の歯数)を設定している。
これにより、本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、前進側と後進側で切り換わるときに出力ギア7の回転速度が「0」となるギアドニュートラル状態を生じさせることができる。
また、本実施形態のトロイダル式無段変速機1が搭載される車両には、所定の気温以下であっても内燃機関5を始動できるようにスターターモータ51が設けられている。
[Lowモード EV発進・加速(図3)]
図3を参照して、自動車等の車両がローモード、且つ電動機29の駆動力のみで走行するEV(Electric Vehicle)モードで、発進又はEV加速するときを説明する。ローモードでは、高速側クラッチ91が開放状態とされ、低速側クラッチ92が連結状態とされる。EVモードで発進又は加速するときには、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は、開放状態とされる。これにより、エンジン等の内燃機関5を引き摺ることを防止し、比較的出力の小さい電動機29であっても適切にEVモードで発進及び加速することができる。
図3を参照して、自動車等の車両がローモード、且つ電動機29の駆動力のみで走行するEV(Electric Vehicle)モードで、発進又はEV加速するときを説明する。ローモードでは、高速側クラッチ91が開放状態とされ、低速側クラッチ92が連結状態とされる。EVモードで発進又は加速するときには、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は、開放状態とされる。これにより、エンジン等の内燃機関5を引き摺ることを防止し、比較的出力の小さい電動機29であっても適切にEVモードで発進及び加速することができる。
このとき、第2入力ディスク24と出力ディスク25の間に配置された複数の第2パワーローラ27は、車両の走行速度等の所定の車両情報に基いて決定される変速比となるように、図示省略したトランスミッション・コントロール・ユニット(制御部)で、その揺動角度を設定される。
第1入力ディスク23と出力ディスク25との間に配置された複数の第1パワーローラ26は、最高速側(変速比が最小となる側)となるように、その揺動角度を設定される。これにより、出力ディスク25から第1パワーローラ26を介して第1入力ディスク23に伝達されるトルクを迅速に増幅することができ、エンジンからなる内燃機関5をスムーズに始動させることが可能となる。また、第2駆動源たる電動機29の出力トルクを大きく増幅することができるため、第2駆動源たる電動機29として最大出力トルクが比較的小さいものを用いても、適切に内燃機関5を始動させることができる。
内燃機関5を始動させる際には、まず、スターターモータ51で内燃機関5をクランキングさせた後、発進クラッチ4を連結状態として徐々にトルクを内燃機関5に伝達させる。そして、第1キャビティ内の第1パワーローラ26の揺動角度を第2パワーローラ27の揺動角度に合わせてから点火して、内燃機関5を始動させる。
なお、本実施形態のトロイダル型変速機構2は、ダブルキャビティ型で構成され、第1入力ディスク23と出力ディスク25とで構成される凹部を第1キャビティ、第2入力ディスク24と出力ディスク25とで構成される凹部を第2キャビティと定義する。
[Highモード EV加速(図4)]
次に、図4を参照して、車両がハイモード且つEVモードで加速するときを説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。EVモードで加速するときには、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は、開放状態とされる。これにより、エンジン等の内燃機関5を引き摺ることを防止し、比較的出力の小さい電動機29であっても適切にEVモードで加速することができる。
次に、図4を参照して、車両がハイモード且つEVモードで加速するときを説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。EVモードで加速するときには、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は、開放状態とされる。これにより、エンジン等の内燃機関5を引き摺ることを防止し、比較的出力の小さい電動機29であっても適切にEVモードで加速することができる。
このとき、第2入力ディスク24と出力ディスク25の間に配置された複数の第2パワーローラ27は、車両の走行速度等の所定の車両情報に基いて決定される変速比となるように、その揺動角度を設定される。
第1入力ディスク23と出力ディスク25との間に配置された複数の第1パワーローラ26は、最高速側(変速比が最小となる側)となるように、その揺動角度を設定される。これにより、出力ディスク25から第1パワーローラ26を介して第1入力ディスク23に伝達されるトルクを増幅することができ、いつでもエンジンからなる内燃機関5を始動させることが可能となる。また、第2駆動源たる電動機29の出力トルクを大きく増幅することができるため、第2駆動源たる電動機29として最大出力トルクが比較的小さいものを用いても、適切に内燃機関5を始動させることができる。
内燃機関5を始動させる際には、まず、スターターモータ51で内燃機関5をクランキングした後、発進クラッチ4を連結状態として徐々にトルクを内燃機関5に伝達させる。そして、第1キャビティ内の第1パワーローラ26の揺動角度を第2パワーローラ27の揺動角度に合わせてから点火して、内燃機関5を始動させる。
[Highモード EVクルーズ(図5)]
次に、図5を参照して、車両がハイモードでEVクルーズ(一定速度)走行しているときを説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。EVクルーズ走行するときには、発進クラッチ4は開放状態とされ、分割クラッチ28は連結状態とされている。発進クラッチ4を開放状態とすることにより、エンジン等の内燃機関5を引き摺ることを防止し、比較的出力の小さい電動機29であっても適切にEVモードでクルーズ走行することができる。
次に、図5を参照して、車両がハイモードでEVクルーズ(一定速度)走行しているときを説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。EVクルーズ走行するときには、発進クラッチ4は開放状態とされ、分割クラッチ28は連結状態とされている。発進クラッチ4を開放状態とすることにより、エンジン等の内燃機関5を引き摺ることを防止し、比較的出力の小さい電動機29であっても適切にEVモードでクルーズ走行することができる。
また、ハイモードでのEVクルーズ走行中は、第1入力軸21と第2入力軸22の回転数の差が少ない。従って、分割クラッチ28を連結状態とすることにより、分割クラッチ28でのフリクションロスの発生を防止又は抑制することができる。
このとき、第2入力ディスク24と出力ディスク25の間に配置された複数の第2パワーローラ27は、車両の走行速度等の所定の車両情報に基いて決定される変速比となるように、その揺動角度を設定される。
第1入力ディスク23と出力ディスク25との間に配置された複数の第1パワーローラ26は、最高速側(変速比が最小となる側)となるように、その揺動角度を設定される。これにより、出力ディスク25から第1パワーローラ26を介して第1入力ディスク23に伝達されるトルクを増幅することができ、いつでもエンジンからなる内燃機関5を始動させることが可能となる。また、第2駆動源たる電動機29の出力トルクを大きく増幅することができるため、第2駆動源たる電動機29として最大出力トルクが比較的小さいものを用いても、適切に内燃機関5を始動させることができる。
内燃機関5を始動させる際には、まず、スターターモータ51で内燃機関5をクランキングさせた後、発進クラッチ4を連結状態として徐々にトルクを内燃機関5に伝達させる。そして、第1キャビティ内の第1パワーローラ26の揺動角度を第2パワーローラ27の揺動角度に合わせてから点火して、内燃機関5を始動させる。
[Highモード ENGクルーズ発電(図6)]
次に、図6を参照して、車両がハイモードで内燃機関のみの駆動力を用いて一定速度で走行しているとき(ENGクルーズ走行)を説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。ENGクルーズ走行するときには、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は連結状態とされている。分割クラッチ28を連結状態とすることにより、分割クラッチ28でのフリクションロスの発生を防止又は抑制することができる。
次に、図6を参照して、車両がハイモードで内燃機関のみの駆動力を用いて一定速度で走行しているとき(ENGクルーズ走行)を説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。ENGクルーズ走行するときには、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は連結状態とされている。分割クラッチ28を連結状態とすることにより、分割クラッチ28でのフリクションロスの発生を防止又は抑制することができる。
ENGクルーズ走行に電動機29による発電が要求される場合には、分割クラッチ28を開放状態とし、第2パワーローラ27の揺動角度を、電動機29の回転領域が発電効率の良い領域となるように、設定し、電動機29で発電を行う。
これにより、第1駆動源たる内燃機関5の回転数に関わらず、第2パワーローラ27の揺動角度を調節することで、第2駆動源たる電動機29の回転領域を効率の良い領域とすることができ、発電効率を向上させることができる。
[Highモード 回生制動(図7)]
次に、図7を参照して、車両がハイモードで減速状態であるときを説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。減速状態であるときは、車両の減速度及び電動機29の発電量、及びバッテリー充電率(SOC)等の所定の車両情報に応じて、電動機29による回生制動のみの場合、回生制動とエンジンブレーキの両方を用いる場合、エンジンブレーキのみを用いる場合の3つの場合の中から適宜選択される。
次に、図7を参照して、車両がハイモードで減速状態であるときを説明する。ハイモードでは、高速側クラッチ91が連結状態とされ、低速側クラッチ92が開放状態とされる。減速状態であるときは、車両の減速度及び電動機29の発電量、及びバッテリー充電率(SOC)等の所定の車両情報に応じて、電動機29による回生制動のみの場合、回生制動とエンジンブレーキの両方を用いる場合、エンジンブレーキのみを用いる場合の3つの場合の中から適宜選択される。
電動機29による回生制動のみの場合、発進クラッチ4及び分割クラッチ28は解放状態とされている。そして、第2パワーローラ27の揺動角度を、電動機29の回転領域が発電効率の良い領域となるように設定し、電動機29で発電を行う。このとき、内燃機関5は停止している。
回生制動では制動力が足りず、内燃機関5を始動させてエンジンブレーキを用いる必要がある場合には、まず、スターターモータ51で内燃機関5をクランキングした後、発進クラッチ4を連結状態として締結圧を高めていき徐々にトルクを内燃機関5に伝達させる。そして、第1キャビティ内の第1パワーローラ26の揺動角度を第2パワーローラ27の揺動角度に合わせてから点火して、内燃機関5を始動させる。
これにより、電動機29の回生制動と、内燃機関5のエンジンブレーキの両方を用いることができる。この場合、電動機29の回生制動と内燃機関5のエンジンブレーキとの割合は、車両の走行速度等の所定の車両情報に基いて適宜設定される。電動機29は使用せず、内燃機関5のエンジンブレーキのみを用いる場合には、分割クラッチ28を連結状態とする。
以上、ハイモードの制動について説明したが、ローモードについても、高速側クラッチ91が開放状態となり、低速側クラッチ92が連結状態となる以外は全て同様である。
[停車中における電動機でのENG始動及び発電(図8)]
次に、図8を参照して、停車中における電動機29による内燃機関5の始動について説明する。本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、バッテリー充電率(SOC)が所定値以下となると、内燃機関5を始動させて電動機29で発電する。
次に、図8を参照して、停車中における電動機29による内燃機関5の始動について説明する。本実施形態のトロイダル式無段変速機1は、バッテリー充電率(SOC)が所定値以下となると、内燃機関5を始動させて電動機29で発電する。
まず、停車中においては、第1パワーローラ26の揺動角度は、最高速側に設定されている。これにより、出力ディスク25から第1パワーローラ26を介して第1入力ディスク23に伝達されるトルクを迅速に増幅することができ、エンジンからなる内燃機関5をスムーズに始動させることが可能となる。また、第2駆動源たる電動機29の出力トルクを大きく増幅することができるため、第2駆動源たる電動機29として最大出力トルクが比較的小さいものを用いても、適切に内燃機関5を始動させることができる。
そして、電動機29を駆動させ、発進クラッチ4を連結状態として徐々にトルクを内燃機関5に伝達させる。そして、第1キャビティ内の第1パワーローラ26の揺動角度を第2パワーローラ27の揺動角度に合わせてから点火することにより、内燃機関5を始動させる。
内燃機関5が始動した後は、第1パワーローラ26を高速回転側の揺動角度に設定し、第2パワーローラ27を低速回転側の揺動角度に設定する。これにより、内燃機関5により駆動する第1入力ディスク23の回転は、第1キャビティで増速されて、出力ディスク25に伝達される。また、第2パワーローラ27は低速回転側の揺動角度に設定されているため、出力ディスク25の回転は、第2キャビティで増速されて第2入力ディスク24に伝達される。従って、内燃機関5の回転数を比較的低速回転としても、電動機29を高効率の比較的高い回転数で回すことができ、発電効率を向上させることができる。
[本実施形態の効果]
本実施形態のトロイダル式無段変速機1によれば、分割クラッチ28を開放状態とすることで、第1入力軸21及びこれと一体に回転する第1入力ディスク23と、第2入力軸22及びこれと一体に回転する第2入力ディスク24とを相対回転自在とすることができる。そして、第1入力ディスク23と第2入力ディスク24とに伝達されたトルクは、第1パワーローラ26と第2パワーローラ27とを介して出力ディスク25で合成することができる。従って、内燃機関5(第1駆動源)と電動機29(第2駆動源)とで高効率の回転領域が異なる場合であっても、2つの駆動源5,29の両方を、効率のよい回転領域で同時に用いることができる。また、2つの駆動源5,29を、それぞれの状況に適した回転数で回転させることができるため、第1駆動源が内燃機関5である場合には、第2駆動源の電動機の回転数に関わらず、第12駆動源たる内燃機関を、その始動に際して適切な回転数で始動させることができる。また、第1駆動源の回転数に関わらず、第2駆動源たる電動機で発電させる際に、発電に適した回転数で回転させることができる。
本実施形態のトロイダル式無段変速機1によれば、分割クラッチ28を開放状態とすることで、第1入力軸21及びこれと一体に回転する第1入力ディスク23と、第2入力軸22及びこれと一体に回転する第2入力ディスク24とを相対回転自在とすることができる。そして、第1入力ディスク23と第2入力ディスク24とに伝達されたトルクは、第1パワーローラ26と第2パワーローラ27とを介して出力ディスク25で合成することができる。従って、内燃機関5(第1駆動源)と電動機29(第2駆動源)とで高効率の回転領域が異なる場合であっても、2つの駆動源5,29の両方を、効率のよい回転領域で同時に用いることができる。また、2つの駆動源5,29を、それぞれの状況に適した回転数で回転させることができるため、第1駆動源が内燃機関5である場合には、第2駆動源の電動機の回転数に関わらず、第12駆動源たる内燃機関を、その始動に際して適切な回転数で始動させることができる。また、第1駆動源の回転数に関わらず、第2駆動源たる電動機で発電させる際に、発電に適した回転数で回転させることができる。
また、本実施形態のトロイダル式無段変速機1によれば、第1駆動源たる内燃機関5と第1入力軸21との間で動力を伝達する必要があるときだけ、発進クラッチ4を伝達状態とすることにより、内燃機関5と第1入力軸21との間で動力を伝達させることができる。このため、内燃機関5と第1入力軸21との間で動力を伝達する必要がないときには、発進クラッチ4を開放状態として、内燃機関5に動力が伝達されることを阻止することができ、第1駆動源たる内燃機関5が回転抵抗となってトルクロスが発生することを防止できる。
[他の実施形態]
なお、本実施形態においては、遊星歯車機構3を設けて、IVTを構成しているが、本発明の変速機は、IVTに限定されるものではなく、遊星歯車機構を省略したものであっても同様に本発明の効果を得ることができる。
なお、本実施形態においては、遊星歯車機構3を設けて、IVTを構成しているが、本発明の変速機は、IVTに限定されるものではなく、遊星歯車機構を省略したものであっても同様に本発明の効果を得ることができる。
1…トロイダル式無段変速機、2…トロイダル型変速機構、21…第1入力軸、22…第2入力軸、23…第1入力ディスク、24…第2入力ディスク、25…出力ディスク、25a…外歯、26…第1パワーローラ、27…第2パワーローラ、28…分割クラッチ、29…電動機(第2駆動源)3…遊星歯車機構、31…サンギア、32…リングギア、33…ピニオン、34…キャリア、4…発進クラッチ、5…内燃機関(第1駆動源)、51…スターターモータ、61…高速側中間歯車、7…出力ギア、8…デファレンシャルギア、91…高速側クラッチ、92…低速側クラッチ、10…低速側中間歯車列、11…第1低速側中間歯車、12…第2低速側中間歯車、13…第3低速側中間歯車、Nc…ローモードのキャリアの回転数。
Claims (6)
- 第1駆動源の動力が伝達される第1入力軸と、
前記第1入力軸と一体に回転する第1入力ディスクと、
第2駆動源の動力が伝達され、前記第1入力軸と相対回転自在に且つ同心に設けられる第2入力軸と、
前記第2入力軸と一体に回転する第2入力ディスクと、
前記第1入力軸と前記第2入力軸とを連結する連結状態と、この連結を断つ開放状態とに切換自在な分割クラッチと、
前記第1入力ディスクと前記第2入力ディスクとの間に配置される出力ディスクと、
前記第1入力ディスクと前記出力ディスクとの間で揺動自在に配置された第1パワーローラと、
前記第2入力ディスクと前記出力ディスクとの間に揺動自在に配置された第2パワーローラとを備えることを特徴とするトロイダル式無段変速機。 - 請求項1記載のトロイダル式無段変速機であって、
前記第1駆動源が内燃機関であり、前記第2駆動源が電動機であり、
前記内燃機関が停止していて前記電動機のみで車両を走行させるときに、
前記分割クラッチを開放状態とし、
前記第2パワーローラを前記第2入力ディスクの回転を減速させて前記出力ディスクに伝達するように揺動させ、
前記第1パワーローラを前記出力ディスクの回転を減速させて前記第1入力ディスクに伝達するように揺動させることを特徴とするトロイダル式無段変速機。 - 請求項1記載のトロイダル式無段変速機であって、
前記第2駆動源は、電動機であり、
前記第1駆動源のみが駆動し、前記第1入力軸に前記第1駆動源の動力が伝達されているとき、
前記分割クラッチを開放状態とし、
前記電動機が効率の高い回転領域で回転するように、前記第2パワーローラの揺動角度を設定することを特徴とするトロイダル式無段変速機。 - 請求項1記載のトロイダル式無段変速機であって、
前記第2駆動源は、電動機であり、
車両が減速しており、且つ電動機による回生制動が許可されているとき、
前記分割クラッチを開放状態とし、
前記電動機の発電効率が高い領域で前記電動機が回転するように、前記第2パワーローラの揺動角度を設定し、前記第2パワーローラで前記出力ディスクの回転を変速させて前記第2入力ディスクに伝達し、
前記第1パワーローラを前記出力ディスクの回転を減速させて前記第1入力ディスクに伝達するように揺動させることを特徴とするトロイダル式無段変速機。 - 請求項1記載のトロイダル式無段変速機であって、
前記第1駆動源は内燃機関であり、
車両が停止しており、且つ前記内燃機関が停止しているとき、
前記分割クラッチとを開放状態とし、
前記第2パワーローラを前記第2入力ディスクの回転を減速させて前記出力ディスクに伝達するように揺動させ、
前記第1パワーローラを前記出力ディスクの回転を減速させて前記第1入力ディスクに伝達するように揺動させることを特徴とするトロイダル式無段変速機。 - 請求項1から請求項5の何れか1項記載のトロイダル式無段変速機であって、
前記第1駆動源の動力が前記第1入力軸に伝達可能な伝達状態と、この伝達を断つ開放状態とに切換自在な発進クラッチを備え、
前記第1駆動源と前記第1入力軸との間で動力伝達が要求される場合には、前記発進クラッチを伝達状態とすることを特徴とするトロイダル式無段変速機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012031824A JP2013167322A (ja) | 2012-02-16 | 2012-02-16 | トロイダル式無段変速機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012031824A JP2013167322A (ja) | 2012-02-16 | 2012-02-16 | トロイダル式無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013167322A true JP2013167322A (ja) | 2013-08-29 |
Family
ID=49177870
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012031824A Pending JP2013167322A (ja) | 2012-02-16 | 2012-02-16 | トロイダル式無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013167322A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20190093745A1 (en) * | 2017-09-26 | 2019-03-28 | Team Industries, Inc. | Vehicle layout with a continuously variable transmission |
US11485225B2 (en) | 2019-02-20 | 2022-11-01 | Team Industries, Inc. | Drivetrain layout with CVT |
-
2012
- 2012-02-16 JP JP2012031824A patent/JP2013167322A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20190093745A1 (en) * | 2017-09-26 | 2019-03-28 | Team Industries, Inc. | Vehicle layout with a continuously variable transmission |
WO2019067426A1 (en) * | 2017-09-26 | 2019-04-04 | Team Industries, Inc. | VEHICLE LAYOUT WITH CONTINUOUS VARIATION TRANSMISSION. |
US10830324B2 (en) | 2017-09-26 | 2020-11-10 | Team Industries, Inc. | Vehicle layout with a continuously variable transmission |
US11485225B2 (en) | 2019-02-20 | 2022-11-01 | Team Industries, Inc. | Drivetrain layout with CVT |
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