JP2013166702A - キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 - Google Patents
キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2013166702A JP2013166702A JP2010128607A JP2010128607A JP2013166702A JP 2013166702 A JP2013166702 A JP 2013166702A JP 2010128607 A JP2010128607 A JP 2010128607A JP 2010128607 A JP2010128607 A JP 2010128607A JP 2013166702 A JP2013166702 A JP 2013166702A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cisplatin
- day
- tegafur
- tsu
- combination
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K33/00—Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
- A61K33/24—Heavy metals; Compounds thereof
- A61K33/243—Platinum; Compounds thereof
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/495—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with two or more nitrogen atoms as the only ring heteroatoms, e.g. piperazine or tetrazines
- A61K31/505—Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim
- A61K31/513—Pyrimidines; Hydrogenated pyrimidines, e.g. trimethoprim having oxo groups directly attached to the heterocyclic ring, e.g. cytosine
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/40—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil
- A61K31/403—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil condensed with carbocyclic rings, e.g. carbazole
- A61K31/404—Indoles, e.g. pindolol
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/435—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
- A61K31/44—Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof
- A61K31/4412—Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof having oxo groups directly attached to the heterocyclic ring
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K31/00—Medicinal preparations containing organic active ingredients
- A61K31/33—Heterocyclic compounds
- A61K31/395—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
- A61K31/53—Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with three nitrogens as the only ring hetero atoms, e.g. chlorazanil, melamine
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Abstract
【課題】顕著な抗腫瘍効果を示す新規併用療法剤の提供。
【解決手段】テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンと、TSU−68又はその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤。
【選択図】図1
【解決手段】テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンと、TSU−68又はその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤。
【選択図】図1
Description
本発明は、複数の癌化学療法剤を組み合わせてなる新規な抗腫瘍剤及びTSU−68を有効成分とする抗腫瘍効果増強剤に関する。
従来、進行胃癌に対する化学療法として、5−フルオロウラシル(以下、「5−FU」ともいう)、シスプラチン、イリノテカン、ドセタキセルなどの抗腫瘍剤が臨床応用されてきた。
5−FUは投与方法によりその効果や副作用が様々であるため、より効果が高くあるいは安全性の高い治療薬として5−FUのプロドラッグが開発され、そのうち5−FUのプロドラッグであるテガフールが配合されたユーエフティー(商品名)(テガフール:ウラシル=1:4(モル比)で含有する配合剤)、ティーエスワン(商品名)(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1(モル比)で含有する配合剤、以下、「S−1」ともいう)が広く臨床で用いられている。
5−FUは投与方法によりその効果や副作用が様々であるため、より効果が高くあるいは安全性の高い治療薬として5−FUのプロドラッグが開発され、そのうち5−FUのプロドラッグであるテガフールが配合されたユーエフティー(商品名)(テガフール:ウラシル=1:4(モル比)で含有する配合剤)、ティーエスワン(商品名)(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム=1:0.4:1(モル比)で含有する配合剤、以下、「S−1」ともいう)が広く臨床で用いられている。
S−1は、先般、従来日本において標準療法とされていたS−1単独療法とS−1とシスプラチンの併用療法(以下、「S−1/シスプラチン併用療法」という)の比較試験により、S−1/シスプラチン併用療法でより良い生存期間(11ヶ月 vs 13ヶ月)が得られたことが公表され、S−1/シスプラチン併用療法が、進行胃癌に対する標準療法になりうることが示唆された(非特許文献1)。
しかしながら、S−1/シスプラチン併用療法は進行・再発の胃癌に対し高い治療効果をもたらす有用な治療法であるが、患者のさらなる長期生存に寄与するべく、より強力な抗腫瘍効果を奏し、且つ副作用の少ない胃癌の治療法が望まれている。
しかしながら、S−1/シスプラチン併用療法は進行・再発の胃癌に対し高い治療効果をもたらす有用な治療法であるが、患者のさらなる長期生存に寄与するべく、より強力な抗腫瘍効果を奏し、且つ副作用の少ない胃癌の治療法が望まれている。
(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸(以下、「TSU−68」という)は、血管内皮増殖因子(以下、「VEGF」という)受容体であるFlk−1(以下、「KDR」ともいう)のチロシンのリン酸化を阻害し、腫瘍組織における血管の新生を抑制することで酸素と栄養の供給を断ち、腫瘍の増殖と転移を抑制する低分子化合物である。また、VEGF受容体の他に細胞内シグナル伝達に関与する血小板由来増殖因子(以下、「PDGF」という)受容体、FGF受容体等のチロシンリン酸化も阻害することがin vitroにて確認されている。各種ヒト癌細胞株を皮下に移植したヌードマウスin vivoモデルにおけるTSU−68単独経口投与時の抗腫瘍効果を検討した結果、肺癌、大腸癌、子宮癌などに対して腫瘍増殖抑制効果が認められている(非特許文献2)。TSU−68は、臨床試験において、肝細胞癌などの癌種に治療効果があることが報告されている(非特許文献3)。
また、S−1にTSU−68とを併用させることにより、抗腫瘍効果が増強されることが報告されている(非特許文献4)。
また、S−1にTSU−68とを併用させることにより、抗腫瘍効果が増強されることが報告されている(非特許文献4)。
Lancet Oncol 9(3):215−221,2008.
Cancer Res 60:4152,2000.
Euro J Cancer Suppl;6(12):17 #43,2008.
第60回日本癌学会総会 580頁、No.2024,2001.
本発明は、顕著な抗腫瘍効果、特に腫瘍増殖遅延効果を示す新規な抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤を提供することを目的とする。
本発明者はこのような現状に鑑み、より患者の生存期間延長に寄与する抗腫瘍剤を開発すべくS−1/シスプラチン併用療法と他の抗腫瘍剤を組み合わせた新規な併用療法に関して研究を重ねた結果、更に、血管新生に関与するVEGF、PDGFなどの受容体チロシンキナーゼの阻害剤であるTSU−68を併用することにより、S−1/シスプラチン併用療法の抗腫瘍効果が顕著に増強される一方で、副作用の発症は増強されないことを見出し、本発明を完成するに至った。また、抗腫瘍剤に他の抗腫瘍剤を新たに併用させた場合、抗腫瘍効果の増強に伴い、副作用も増強されることが一般的であるが、本発明のように顕著に強い抗腫瘍効果、特に腫瘍増殖遅延効果と低い副作用の発症リスクを両立できたことは驚くべきことである。
すなわち本発明は、以下の1)〜8)を提供するものである。
1)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンと、TSU−68又はその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤。
2)配合剤中のテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムのモル比(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム)が、1:0.1〜5:0.1〜5である上記1)記載の抗腫瘍剤。
3)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を1日量としてテガフール換算量で50〜120mg/m2、シスプラチンを1日量として30〜150mg/m2、TSU−68又はその塩を1日量として200〜1500mg、それぞれ組み合わせる上記2)記載の抗腫瘍剤。
4)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を1日量として64〜80mg/m2、シスプラチンを1日量として50〜60mg/m2、TSU−68又はその塩を1日量として400〜800mg、それぞれ組み合わせる上記1)記載の抗腫瘍剤。
5)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンを含有する製剤と、TSU−68又はその塩を含有する製剤の組み合わせからなるものである上記1)〜4)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
6)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤、シスプラチンを含有する製剤、及びTSU−68又はその塩を含有する製剤からなるキット製剤である上記1)〜4)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
7)TSU−68又はその塩を有効成分とする、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とシスプラチンとを組み合わせた併用療法の抗腫瘍効果増強剤。
8)TSU−68又はその塩を、1投与単位当たり100〜200mg含有する上記7)記載の抗腫瘍効果増強剤。
1)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンと、TSU−68又はその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤。
2)配合剤中のテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムのモル比(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム)が、1:0.1〜5:0.1〜5である上記1)記載の抗腫瘍剤。
3)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を1日量としてテガフール換算量で50〜120mg/m2、シスプラチンを1日量として30〜150mg/m2、TSU−68又はその塩を1日量として200〜1500mg、それぞれ組み合わせる上記2)記載の抗腫瘍剤。
4)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を1日量として64〜80mg/m2、シスプラチンを1日量として50〜60mg/m2、TSU−68又はその塩を1日量として400〜800mg、それぞれ組み合わせる上記1)記載の抗腫瘍剤。
5)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンを含有する製剤と、TSU−68又はその塩を含有する製剤の組み合わせからなるものである上記1)〜4)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
6)テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤、シスプラチンを含有する製剤、及びTSU−68又はその塩を含有する製剤からなるキット製剤である上記1)〜4)のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
7)TSU−68又はその塩を有効成分とする、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とシスプラチンとを組み合わせた併用療法の抗腫瘍効果増強剤。
8)TSU−68又はその塩を、1投与単位当たり100〜200mg含有する上記7)記載の抗腫瘍効果増強剤。
本発明のテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンと、TSU−68又はその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤は、従来の抗腫瘍剤の併用と比較して顕著に高い抗腫瘍効果、例えば腫瘍体積の減少や腫瘍成長の停滞などを奏するが、副作用の発症は増強されない。すなわち、後記実施例に示すように、本発明の抗腫瘍剤は、それぞれ単独で用いた場合や2剤を併用した場合と比較して、副作用の発症を抑えつつ、顕著に高い抗腫瘍効果を実現できる。なお、本発明において抗腫瘍効果とは、腫瘍縮小効果、腫瘍増殖遅延効果及び延命効果などとして評価される。従って、本発明の抗腫瘍剤を用いることにより、より長い生存期間を得ることができる。
本発明において、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤としては、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを任意の割合で混合し、適宜、後述するような薬学的に許容される担体を添加して調製された製剤が挙げられる。
ここで、「テガフール」は、5−フルオロ−1−(2−テトラヒドロフリル)−2,4−(1H,3H)−ピリミジンジオンで表される公知の化合物であり、生体内で活性化を受けて抗腫瘍活性の本体である5−FUを放出する薬剤である。テガフールは、公知の方法、例えば特公昭49−10510号に記載されている方法に従って製造することができる。
「ギメラシル」は、2,4−ジヒドロキシ−5−クロロピリジンで表される公知の化合物であり、それ自身全く抗腫瘍活性を有さないものであるが、5−FUが生体内において代謝されて不活性化されることを抑制するものであり、抗腫瘍効果を増強させることができる。
「オテラシルカリウム」は、モノポタシウム 1,2,3,4−テトラヒドロ−2,4−ジオキソ−1,3,5−トリアジン−6−カルボキシレートで表される公知の化合物であり、それ自身は抗腫瘍活性を有さないが、主に消化管に分布してその部位での5−FUの活性化を抑制することにより消化管障害を抑制するものである。
テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムの配合割合は、それぞれの配合目的を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、特許第2614164号公報に記載されている公知の配合剤と同様の範囲で良く、テガフール1モルに対して、ギメラシルを0.1〜5モル程度、好ましくは0.2〜1.5モル程度とすればよく、オテラシルカリウムを0.1〜5モル程度、好ましくは0.2〜2モル程度とすればよい。特に好ましくは、各有効成分の配合割合は、テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム(モル比)=1:0.4:1であり、一般名「テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤」(商品名:「ティーエスワン」)として市販されているものが挙げられる。
本発明において「シスプラチン」は、CDDPとも称される公知の白金錯体化合物であり、DNA合成阻害作用により抗腫瘍効果を奏することが知られて、公知の方法により製造することができる。
本発明の抗腫瘍剤におけるシスプラチンの配合割合は、抗腫瘍効果の増強効果を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、1日量としてテガフール1モルに対して、シスプラチンを0.025〜50モル程度、好ましくは0.1〜10モル程度、特に好ましくは0.2〜2.0モル程度とすればよい。
本発明の抗腫瘍剤におけるシスプラチンの配合割合は、抗腫瘍効果の増強効果を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、1日量としてテガフール1モルに対して、シスプラチンを0.025〜50モル程度、好ましくは0.1〜10モル程度、特に好ましくは0.2〜2.0モル程度とすればよい。
本発明の(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸(TSU−68)は、公知のVEGF受容体、PDGF受容体等のチロシンキナーゼ阻阻害剤であり、肺癌、大腸癌、子宮癌などに抗腫瘍効果を奏することが知られている。TSU−68又はその塩は、公知の方法、例えば特表2002−516310号公報に記載の方法により製造できる。
TSU−68の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に制限されず、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、りん酸等の無機酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸との反応により得られる塩が例示できる。
本発明の抗腫瘍剤におけるTSU−68又はその塩の配合割合は、抗腫瘍効果の増強効果を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、1日量としてテガフール1モルに対して、TSU−68又はその塩を0.1〜100モル程度、好ましくは0.5〜50モル程度、特に好ましくは1〜10モル程度とすればよい。
TSU−68の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に制限されず、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、りん酸等の無機酸や、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等の有機酸との反応により得られる塩が例示できる。
本発明の抗腫瘍剤におけるTSU−68又はその塩の配合割合は、抗腫瘍効果の増強効果を奏する範囲であれば特に制限されず、例えば、1日量としてテガフール1モルに対して、TSU−68又はその塩を0.1〜100モル程度、好ましくは0.5〜50モル程度、特に好ましくは1〜10モル程度とすればよい。
本発明の抗腫瘍剤は、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤、シスプラチン及びTSU−68又はその塩を上記の配合比となるように配合した配合剤(複数の有効成分を含有する製剤)として一の剤型に製剤化したもの(1剤型形態)でも、同時に又は間隔を空けて別々に使用できるように、上記有効成分をそれぞれの製剤又は配合剤として複数の剤型に製剤化したもの(多剤型形態)であってもよい。このうち、シスプラチンを含有する製剤と、TSU−68又はその塩を含有する製剤と、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とを組み合わせて、多剤型形態で用いるのが好ましい。
上記製剤の投与形態としては特に制限は無く、治療目的に応じて適宜選択でき、具体的には経口剤(錠剤、被覆錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤など)、注射剤、坐剤、貼付剤、軟膏剤等が例示できる。本発明の抗腫瘍剤を複数の剤型に製剤化する場合は、当該製剤はそれぞれ異なる投与形態であっても同一の投与形態であってよい。例えば、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びTSU−68又はその塩を含有する製剤は経口剤、シスプラチンを含有する製剤は注射剤とすることが好ましい。
本発明の抗腫瘍剤又は抗腫瘍効果増強剤は、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤、シスプラチン及びTSU−68又はその塩が併用投与される限り、上記製剤ごとにそれぞれ個別に製造・包装・流通されるものでもよく、また上記製剤のすべて又は一部を併用投与に適した単一のパッケージ(キット製剤)として製造・包装・流通されるものでもよい。
本発明における各有効成分を含有する製剤は、薬理学的に許容される担体を用いて、通常公知の方法により調製することができる。斯かる担体としては、通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、無痛化剤等を例示できる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ショ糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、マルトース、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、イノシトール、デキストラン、ソルビトール、アルブミン、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、メチルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム及びこれらの混合物等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられる。結合剤としては、例えば、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖及びこれらの混合物等が挙げられる。希釈剤としては、例えば、水、エチルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類及びこれらの混合物等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸及びこれらの混合物等が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ホウ酸、ブドウ糖、グリセリン及びこれらの混合物等が挙げられる。pH調整剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。無痛化剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の抗腫瘍剤又は抗腫瘍効果増強剤によって治療できる癌としては特に制限されるものではなく、例えば、結腸・直腸癌、肝臓癌、腎臓癌、頭頸部癌、食道癌、胃癌、胆道癌、胆のう・胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮体癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣腫瘍、骨・軟部肉腫、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、皮膚癌、脳腫瘍、睾丸腫瘍等が挙げられ、好ましくは結腸・直腸癌、胃癌、頭頸部癌、肺癌、乳癌、膵臓癌、胆道癌、肝臓癌であり、特に好ましくは胃癌である。
本発明の抗腫瘍剤における各有効成分の投与量は、それぞれの配合目的を奏する量であれば特に制限されず、患者の年齢、癌種、病期、転移の有無、治療暦、他の抗腫瘍剤の有無などにより適宜設定されるが、テガフールは20〜500mg/m2(体表面積あたり)/day、好ましくは50〜120mg/m2/day、特に好ましくは64〜80mg/m2/dayであり、ギメラシルは5.8〜145mg/m2/day、好ましくは14.5〜34.8mg/m2/day、特に好ましくは18.6〜23.2mg/m2/dayであり、オテラシルカリウムは19.6〜490mg/m2/day、好ましくは49〜117.6mg/m2/day、特に好ましくは62.7〜78.4mg/m2/dayであり、シスプラチンは20〜200mg/m2/day、好ましくは30〜150mg/m2/day、特に好ましくは50〜60mg/m2/dayであり、TSU−68又はその塩は50〜3000mg/day、好ましくは200〜1500mg/day、特に好ましくは400〜800mg/dayである。
従って、本発明の抗腫瘍剤は、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤、シスプラチン及びTSU−68又はその塩を、1日量が上記投与量になるように組み合わせてなるのが好ましい。すなわち、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を、1日量としてテガフール換算量で50〜120mg/m2、好ましくは64〜80mg/m2、シスプラチンを、1日量として30〜150mg/m2、好ましくは50〜60mg/m2、TSU−68又はその塩を、1日量として200〜1500mg、好ましくは400〜800mg、それぞれ組み合わせるのが好ましい。
従って、本発明の抗腫瘍剤は、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤、シスプラチン及びTSU−68又はその塩を、1日量が上記投与量になるように組み合わせてなるのが好ましい。すなわち、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を、1日量としてテガフール換算量で50〜120mg/m2、好ましくは64〜80mg/m2、シスプラチンを、1日量として30〜150mg/m2、好ましくは50〜60mg/m2、TSU−68又はその塩を、1日量として200〜1500mg、好ましくは400〜800mg、それぞれ組み合わせるのが好ましい。
本発明における各有効成分の投与スケジュール(投与順序や投与間隔)は、相乗効果が得られる範囲であれば特に制限されない。例えば、21〜35日間を1サイクルとして、S−1を1日目から14〜21日目にかけて投与し、シスプラチンを1日目又は8日目に投与し、TSU−68又はその塩を第1日目から21〜35日目にかけて投与することを1回又は複数回繰り返す投与スケジュールが挙げられ、好ましくは、35日間を1サイクルとして、S−1を1日目から21日目にかけて投与し、シスプラチンを1日目又は8日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から35日目にかけて投与することを1回又は複数回繰り返す投与スケジュール、又は28日間を1サイクルとして、S−1を1日目から21日目にかけて投与し、シスプラチンを8日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から28日目にかけて投与することを1回又は複数回繰り返す投与スケジュール、又は、21日間を1サイクルとして、S−1を1日目から14日目にかけて投与し、シスプラチンを第1日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から21日目にかけて投与することを1回又は複数回繰り返す投与スケジュールが挙げられ、特に好ましくは、35日間を1サイクルとして、S−1を1日目から21日目にかけて投与し、シスプラチンを8日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から35日目にかけて投与することを1回又は複数回繰り返す投与スケジュールが挙げられる。或いは、21〜35日間を1サイクルとして、S−1を1日目から21〜35日目にかけて投与し、シスプラチンを1日目又は8日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から21〜35日目にかけて投与するスケジュールが挙げられ、好ましくは、35日間を1サイクルとして、S−1を1日目から35日目にかけて投与し、シスプラチンを1日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から35日目にかけて投与するスケジュールが挙げられる。或いは、70日間を1サイクルとして、S−1を1日目から35日目にかけて投与し、シスプラチンを1日目に投与し、TSU−68又はその塩を1日目から70日目まで投与するスケジュールなどが挙げられる。また、本発明の抗腫瘍剤をキットとする場合は、それぞれ単独の製剤を、同時に或いは間隔を空けて投与してもよい。
本発明のTSU−68又はその塩は、それ単独でも抗腫瘍効果を奏するが、S−1/シスプラチン併用療法と併用することにより、さらに顕著にS−1/シスプラチン併用療法の抗腫瘍効果を増強する。したがって、TSU−68又はその塩は、S−1/シスプラチン併用療法の抗腫瘍効果増強剤として有用である。S−1/シスプラチン併用療法の抗腫瘍効果増強効果と副作用の許容性の面から、TSU−68又はその塩は1日あたり2回に分けて投与することができ、1投与単位当たりの量は100〜750mg(1日投与量として200〜1500mg)が好ましく、200〜400mg(1日投与量として400〜800mg)がより好ましい。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ヒト胃癌株SC−2のヌードマウス皮下移植モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用効果
ヒト胃癌株SC−2のヌードマウス皮下移植モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用効果
試験モデル
ヒト胃癌株SC−2の約2〜3mm角のフラグメントを背部皮下に移植した雄性ヌードマウス(BALB/cAJcl−nu、5週齢、日本クレア株式会社)の腫瘍体積(長径x短径2÷2)を算出し、平均腫瘍体積がほぼ150mm3になった時点で群分けした(1群8匹)。この群分け日をday0とし、翌日より薬剤投与を開始した。
S−1は、テガフール換算量で6.9又は8.3mg/kg/dayをday1からday14まで1日1回経口投与し、シスプラチンは、7.0mg/kg/dayをday1に尾静脈投与した。TSU−68は、200又は400mg/kg/dayをday1からday14まで1日1回経口投与した。また、S−1/シスプラチン/TSU−68併用は、これらと同様の用量、スケジュール、経路で投与した。薬剤無投与群をコントロール群とした。
ヒト胃癌株SC−2の約2〜3mm角のフラグメントを背部皮下に移植した雄性ヌードマウス(BALB/cAJcl−nu、5週齢、日本クレア株式会社)の腫瘍体積(長径x短径2÷2)を算出し、平均腫瘍体積がほぼ150mm3になった時点で群分けした(1群8匹)。この群分け日をday0とし、翌日より薬剤投与を開始した。
S−1は、テガフール換算量で6.9又は8.3mg/kg/dayをday1からday14まで1日1回経口投与し、シスプラチンは、7.0mg/kg/dayをday1に尾静脈投与した。TSU−68は、200又は400mg/kg/dayをday1からday14まで1日1回経口投与した。また、S−1/シスプラチン/TSU−68併用は、これらと同様の用量、スケジュール、経路で投与した。薬剤無投与群をコントロール群とした。
抗腫瘍効果
薬剤投与期間中及び投与期間後、3〜4日おきに各マウスの腫瘍体積を測定し、各群の相対腫瘍体積(Relative Tumor Volume;RTV)を下記式1により、腫瘍増殖抑制率(Inhibition Rate;IR(%))を下記式2により算出した。コントロール群と薬剤投与群との抗腫瘍効果の有意差について、Intersection Unit Test(閉手順)で統計解析した。すなわち、それぞれ対応する投与量の各群の平均RTVを、コントロール群とS−1/シスプラチン併用群、コントロール群とTSU−68単独群、コントロール群とS−1/シスプラチン/TS−U68併用群、S−1/シスプラチン併用群とS−1/シスプラチン/TSU−68併用群、TSU−68単独群とS−1/シスプラチン/TSU−68併用群の各比較対でAspin−Welchのt検定(両側)により解析し、有意水準が0.05未満であり、且つ薬剤群の平均RTVが、コントロール群と比較し低値を示している場合に「抗腫瘍効果がある」と判定するものである。また、抗腫瘍効果の上乗せ効果の有意差について、全比較対で得られる有意水準の最大値(Overall Maximal p値)が0.05未満であり、且つS−1/シスプラチン/TSU−68併用群の平均RTVが、S−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、低値を示している場合に「抗腫瘍効果の上乗せ効果がある」と判定するものである。
薬剤投与期間中及び投与期間後、3〜4日おきに各マウスの腫瘍体積を測定し、各群の相対腫瘍体積(Relative Tumor Volume;RTV)を下記式1により、腫瘍増殖抑制率(Inhibition Rate;IR(%))を下記式2により算出した。コントロール群と薬剤投与群との抗腫瘍効果の有意差について、Intersection Unit Test(閉手順)で統計解析した。すなわち、それぞれ対応する投与量の各群の平均RTVを、コントロール群とS−1/シスプラチン併用群、コントロール群とTSU−68単独群、コントロール群とS−1/シスプラチン/TS−U68併用群、S−1/シスプラチン併用群とS−1/シスプラチン/TSU−68併用群、TSU−68単独群とS−1/シスプラチン/TSU−68併用群の各比較対でAspin−Welchのt検定(両側)により解析し、有意水準が0.05未満であり、且つ薬剤群の平均RTVが、コントロール群と比較し低値を示している場合に「抗腫瘍効果がある」と判定するものである。また、抗腫瘍効果の上乗せ効果の有意差について、全比較対で得られる有意水準の最大値(Overall Maximal p値)が0.05未満であり、且つS−1/シスプラチン/TSU−68併用群の平均RTVが、S−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、低値を示している場合に「抗腫瘍効果の上乗せ効果がある」と判定するものである。
(式1)相対腫瘍体積(RTV)= dayNの腫瘍体積÷day0の腫瘍体積
(式2)腫瘍増殖抑制率(IR(%))=[1−(薬剤投与群の平均RTV÷コントロール群の平均RTV)]×100
(式2)腫瘍増殖抑制率(IR(%))=[1−(薬剤投与群の平均RTV÷コントロール群の平均RTV)]×100
day15における平均RTV及びIRの結果を表1に示す。
day15におけるS−1/シスプラチン併用群、TSU−68単独群は、それぞれコントロール群と比較し、いずれも統計上有意な「抗腫瘍効果がある」ことが認められた。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも統計上有意な「抗腫瘍効果の上乗せ効果がある」ことが認められた。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも統計上有意な「抗腫瘍効果の上乗せ効果がある」ことが認められた。
腫瘍増殖遅延効果
各群の平均RTVが経時的に指数的に増殖するものとして、各群の平均RTVが5を超す日前後の測定日の平均RTVから一次関数式を求め、平均RTVが5.0になる日(RTV5(day))を求めた。また、増殖遅延効果(Growth Delay Period;GDP)として、GDP5を薬剤投与群のRTV5とコントロール群のRTV5の差より求めた。
各群のRTV5及びGDP5を表2に示す。
各群の平均RTVが経時的に指数的に増殖するものとして、各群の平均RTVが5を超す日前後の測定日の平均RTVから一次関数式を求め、平均RTVが5.0になる日(RTV5(day))を求めた。また、増殖遅延効果(Growth Delay Period;GDP)として、GDP5を薬剤投与群のRTV5とコントロール群のRTV5の差より求めた。
各群のRTV5及びGDP5を表2に示す。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも腫瘍の増殖が遅延した。
副作用
また、腫瘍体積と併せて、各マウスの体重を測定し、各群の体重変化率(BWC(%))を下記数式3により算出した。
また、腫瘍体積と併せて、各マウスの体重を測定し、各群の体重変化率(BWC(%))を下記数式3により算出した。
(式3)体重変化率(BWC(%))=((dayNの体重−day0の体重)÷day0の体重)×100
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群(200mg群及び400mg群)は、S−1+シスプラチン併用群と比較し、体重減少が同等もしくは少なかった。これからS−1/シスプラチン療法にTSU−68を併用投与することによる副作用(体重減少)の増強が限りなく少ないことが確認された。
[実施例2]
ヒト胃癌株NUGC−3のヌードマウス皮下移植モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用効果
ヒト胃癌株NUGC−3のヌードマウス皮下移植モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用効果
試験モデル
ヒト胃癌株NUGC−3を用い、平均腫瘍体積がほぼ125mm3になった時点で群分けし、S−1は、テガフール換算量で6.9mg/kg/dayをday1からday14まで1日1回経口投与した以外は実施例1と同様の方法で、S−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用効果を検討した。
ヒト胃癌株NUGC−3を用い、平均腫瘍体積がほぼ125mm3になった時点で群分けし、S−1は、テガフール換算量で6.9mg/kg/dayをday1からday14まで1日1回経口投与した以外は実施例1と同様の方法で、S−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用効果を検討した。
抗腫瘍効果
day15における平均RTV及びIRの結果を表3に示す。
day15における平均RTV及びIRの結果を表3に示す。
day15におけるS−1/シスプラチン併用群、TSU−68単独群は、それぞれコントロール群と比較し、いずれも統計上有意な「抗腫瘍効果がある」ことが認められた。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも統計上有意な「抗腫瘍効果の上乗せ効果がある」ことが認められた。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも統計上有意な「抗腫瘍効果の上乗せ効果がある」ことが認められた。
腫瘍増殖遅延効果
実施例1の増殖遅延効果に準じ、RTV5の代わりに、各群の平均RTVが3.0になる日(RTV3(day))を求めた。また、同様にGDP5の代わりに、GDP3を薬剤投与群のRTV3とコントロール群のRTV3の差より求めた。
各群のRTV3値及びGDP3値の結果を表4に示す。
実施例1の増殖遅延効果に準じ、RTV5の代わりに、各群の平均RTVが3.0になる日(RTV3(day))を求めた。また、同様にGDP5の代わりに、GDP3を薬剤投与群のRTV3とコントロール群のRTV3の差より求めた。
各群のRTV3値及びGDP3値の結果を表4に示す。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも腫瘍の増殖が遅延した。
副作用
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群(200mg群、400mg群)は、S−1/シスプラチン併用群と比較し、体重減少が同等もしくは少なかった。S−1/シスプラチン併用療法にTSU−68を併用投与することによる副作用(体重減少)の増強が限りなく少ないことが確認された。
[実施例3]
ヒト胃癌株MKN−45のヌードマウス腹膜播種モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用による延命効果(1)
試験モデル
ヒト胃癌株MKN−45細胞を、ヌードマウス1匹に2×107個ずつ腹腔内に移植して同日に平均体重が均等になるように群分けした(day0)。S−1は、テガフール換算量で8.3mg/kg/dayを,TSU−68は400mg/kg/dayの用量でいずれもday1からday35まで1日1回経口投与し、シスプラチンは7.0mg/kg/dayをday1に尾静脈投与した。また、S−1/シスプラチン/TSU−68併用は、これらと同様の用量、スケジュール、経路で投与した。薬剤無投与群をコントロール群とした。各群の生存期間を観察比較し、S−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用による延命効果を検討した。
延命効果
コントロール群、TSU−68単独群、S−1/シスプラチン併用群及びS−1/シスプラチン/TSU−68併用群の生存曲線を図1に示す。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも統計上有意な「生存期間の延長効果がある」ことが認められた。
[実施例4]
ヒト胃癌株MKN−45のヌードマウス腹膜播種モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用による延命効果(2)
試験モデル
ヒト胃癌株MKN−45細胞を、ヌードマウス1匹に2×107個ずつ腹腔内に移植して同日に平均体重が均等になるように群分けした(day0)。S−1は、テガフール換算量で8.3mg/kg/dayを1日1回経口投与し、シスプラチンは、7.0mg/kg/dayをday1に尾静脈投与した。TSU−68はday1から35まで1日1回経口投与する群と、day35以降もday70までTSU−68のみ継続投与する群を設定した。薬剤無投与群をコントロール群とした。TSU−68の継続投与の有無による延命効果を比較した。
延命効果
コントロール群、S−1/シスプラチン/TSU−68併用群(TSU−68:35日投与)及びS−1/シスプラチン/TSU−68併用群(TSU−68:70日投与)の生存曲線を図2に示す。
TSU−68の投与をday35で打ち切った群は、day89までに全てのマウスが死亡したのに対して、day70まで継続した群では7匹中6匹がday91の時点で生存した。即ち、TSU−68の投与継続により明らかに生存期間の延長が得られることが確認された。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群(200mg群、400mg群)は、S−1/シスプラチン併用群と比較し、体重減少が同等もしくは少なかった。S−1/シスプラチン併用療法にTSU−68を併用投与することによる副作用(体重減少)の増強が限りなく少ないことが確認された。
[実施例3]
ヒト胃癌株MKN−45のヌードマウス腹膜播種モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用による延命効果(1)
試験モデル
ヒト胃癌株MKN−45細胞を、ヌードマウス1匹に2×107個ずつ腹腔内に移植して同日に平均体重が均等になるように群分けした(day0)。S−1は、テガフール換算量で8.3mg/kg/dayを,TSU−68は400mg/kg/dayの用量でいずれもday1からday35まで1日1回経口投与し、シスプラチンは7.0mg/kg/dayをday1に尾静脈投与した。また、S−1/シスプラチン/TSU−68併用は、これらと同様の用量、スケジュール、経路で投与した。薬剤無投与群をコントロール群とした。各群の生存期間を観察比較し、S−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用による延命効果を検討した。
延命効果
コントロール群、TSU−68単独群、S−1/シスプラチン併用群及びS−1/シスプラチン/TSU−68併用群の生存曲線を図1に示す。
S−1/シスプラチン/TSU−68併用群は、それぞれの用量でS−1/シスプラチン併用群及びTSU−68単独群と比較し、いずれも統計上有意な「生存期間の延長効果がある」ことが認められた。
[実施例4]
ヒト胃癌株MKN−45のヌードマウス腹膜播種モデルにおけるS−1/シスプラチン併用療法に対するTSU−68の併用による延命効果(2)
試験モデル
ヒト胃癌株MKN−45細胞を、ヌードマウス1匹に2×107個ずつ腹腔内に移植して同日に平均体重が均等になるように群分けした(day0)。S−1は、テガフール換算量で8.3mg/kg/dayを1日1回経口投与し、シスプラチンは、7.0mg/kg/dayをday1に尾静脈投与した。TSU−68はday1から35まで1日1回経口投与する群と、day35以降もday70までTSU−68のみ継続投与する群を設定した。薬剤無投与群をコントロール群とした。TSU−68の継続投与の有無による延命効果を比較した。
延命効果
コントロール群、S−1/シスプラチン/TSU−68併用群(TSU−68:35日投与)及びS−1/シスプラチン/TSU−68併用群(TSU−68:70日投与)の生存曲線を図2に示す。
TSU−68の投与をday35で打ち切った群は、day89までに全てのマウスが死亡したのに対して、day70まで継続した群では7匹中6匹がday91の時点で生存した。即ち、TSU−68の投与継続により明らかに生存期間の延長が得られることが確認された。
Claims (8)
- テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンと、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩とを組み合わせてなる抗腫瘍剤。
- 配合剤中のテガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムのモル比(テガフール:ギメラシル:オテラシルカリウム)が、1:0.1〜5:0.1〜5である請求項1記載の抗腫瘍剤。
- テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を1日量としてテガフール換算量で50〜120mg/m2、シスプラチンを1日量として30〜150mg/m2、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を1日量として200〜1500mg、それぞれ組み合わせる請求項2記載の抗腫瘍剤。
- テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤を1日量としてテガフール換算量で64〜80mg/m2、シスプラチンを1日量として50〜60mg/m2、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を1日量として400〜800mg、それぞれ組み合わせる請求項2記載の抗腫瘍剤。
- テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤と、シスプラチンを含有する製剤と、(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する製剤の組み合わせからなるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
- テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤、シスプラチンを含有する製剤、及び(Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を含有する製剤からなるキット製剤である請求項1〜4のいずれか1項記載の抗腫瘍剤。
- (Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を有効成分とする、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムを含有する配合剤とシスプラチンとを組み合わせた併用療法の抗腫瘍効果増強剤。
- (Z)−5−[(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリデン)メチル]2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−プロパン酸又はその塩を、1投与単位当たり100〜200mg含有する請求項7記載の抗腫瘍効果増強剤。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010128607A JP2013166702A (ja) | 2010-06-04 | 2010-06-04 | キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 |
PCT/JP2011/062789 WO2011152516A1 (ja) | 2010-06-04 | 2011-06-03 | キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 |
TW100119706A TW201143769A (en) | 2010-06-04 | 2011-06-03 | Anti-tumor agent combined with kinase inhibitor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010128607A JP2013166702A (ja) | 2010-06-04 | 2010-06-04 | キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013166702A true JP2013166702A (ja) | 2013-08-29 |
Family
ID=45066871
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010128607A Pending JP2013166702A (ja) | 2010-06-04 | 2010-06-04 | キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2013166702A (ja) |
TW (1) | TW201143769A (ja) |
WO (1) | WO2011152516A1 (ja) |
-
2010
- 2010-06-04 JP JP2010128607A patent/JP2013166702A/ja active Pending
-
2011
- 2011-06-03 TW TW100119706A patent/TW201143769A/zh unknown
- 2011-06-03 WO PCT/JP2011/062789 patent/WO2011152516A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2011152516A1 (ja) | 2011-12-08 |
TW201143769A (en) | 2011-12-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6364546B2 (ja) | 抗腫瘍剤の副作用軽減剤 | |
US9814724B2 (en) | Antitumor effect potentiator and antitumor agent | |
TWI594986B (zh) | Antineoplastic agent effect enhancer | |
JP2006503866A (ja) | 癌を処置するための相乗的な方法および組成物 | |
EA037152B1 (ru) | Способ лечения рака | |
WO2010086964A1 (ja) | がん治療のための併用療法 | |
JP2009511450A (ja) | ニロチニブとファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤の組合せ | |
JPWO2013137433A1 (ja) | 3剤を組み合わせた新規な抗腫瘍剤 | |
WO2011152516A1 (ja) | キナーゼ阻害剤を組み合わせた抗腫瘍剤 | |
WO2010131460A1 (ja) | テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤及びオキサリプラチンを含有する抗腫瘍剤 | |
JP5409613B2 (ja) | 抗腫瘍剤、キット及び癌治療方法 | |
CN106176757B (zh) | 一种化合物与替吉奥联合在制备治疗增生性疾病中的药物中的用途 | |
JP5581200B2 (ja) | シチジン誘導体及びカルボプラチンを含有する抗腫瘍剤 | |
JP2015199676A (ja) | レゴラフェニブを含有する抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤 | |
JP2015199678A (ja) | ラパチニブトシル酸塩水和物を含有する抗腫瘍剤及び抗腫瘍効果増強剤 | |
JP2013166703A (ja) | インドール化合物を含有する抗腫瘍剤 |