JP2013165887A - 拡張カテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】バルーン等の拡張体よりも前方を確認するとともに、拡張体を確認することによって、正確で安全、且つ迅速な処置実現を図り得る拡張カテーテルを提供する。
【解決手段】拡張可能なバルーン110と、前記バルーン110が外周に取り付けられ当該拡張体に沿って伸延する先端部124と、前記先端部124よりも基端側に位置し前記先端部124の伸延方向とは非平行に屈曲した屈曲部125と、を含む長尺状の本体120と、前記屈曲部125において前記バルーン110に対向する位置から前記バルーン110を撮像する撮像部130と、を有する拡張カテーテル100である。
【選択図】図2

Description

本発明は、副鼻腔炎によって狭窄した自然口を拡張し得る拡張カテーテルに関する。
風邪又はアレルギー等によって鼻腔に生じた炎症は、鼻腔に隣接する骨内空洞である副鼻腔へと広がることがある。このようにして副鼻腔内に生じた炎症は副鼻腔炎と呼ばれる。副鼻腔は、自然口と称される小孔によって鼻腔と連通しているが、副鼻腔炎によって自然口付近で粘膜の浮腫又は肥厚等が生じると、自然口が狭窄するため、副鼻腔内の分泌物及び細菌等が鼻腔へ排出され難くなり、また通気障害が生じる。
従来、副鼻腔炎に対する処置として、自然口を狭窄している狭窄部を鉗子及びドリル等によって除去する外科的処置が一般的であったが、近年、狭窄した自然口をバルーンカテーテルによって拡張する低侵襲な処置が注目されている。例えば特許文献1では、内視鏡下でバルーンカテーテルを操作することによって自然口を拡張することが開示されている。
特表2008−513125号公報
しかしながら、内視鏡下でバルーンカテーテルを操作すると、両手がふさがる、又は内視鏡の太さに制約されて見える範囲が限られる等の理由から、本発明者らは、小型カメラが搭載されたバルーンカテーテルについて研究・開発を進めている。
このようにカメラをバルーンカテーテルに搭載する場合、自然口を探すため、カメラを先端に設けてバルーンよりも前方を確認するのが一般的である。しかし、前方を確認するだけでは、バルーンカテーテルが病変部に到達したことは確認できるが、バルーンが狭窄部に確実に位置合わせできているか、あるいはバルーンにより狭窄部が拡張できたかは確認しがたい。バルーンも確認できれば、より正確で安全、且つ迅速な処置を実現し得ると考えられる。
そこで、本発明の目的は、バルーン等の拡張体よりも前方を確認するとともに、拡張体を確認することによって、正確で安全、且つ迅速な処置実現を図り得る拡張カテーテルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための拡張カテーテルは、拡張可能な拡張体と、前記拡張体が先端部に取り付けられる長尺状の本体と、前記拡張体を、基端側から撮像する撮像部と、を有する拡張カテーテルである。
上記のように構成した拡張カテーテルにあっては、本体の先端よりも前方と拡張前後の拡張体の外形線との両方が撮像部の視野に収まる。このため、術者は、拡張カテーテルの前方の様子を確認しつつ拡張カテーテルを体内の目的の箇所へと進められ、また、拡張体の位置及び拡張動作を確認しつつ体内の目的の箇所を拡張できる。従って、例えば意図する位置と異なる位置への拡張体の配置、及びそのことにともなう誤った位置での拡張体の拡張又は拡張体の位置の再調整等が防止されるので、上記のように構成した拡張カテーテルは、正確で安全、且つ迅速な処置実現を図り得る。
前記撮像部が先端部に設けられた長尺体をさらに有し、前記本体には、前記長尺体を移動自在に挿通可能なルーメンが形成され、前記撮像部は、前記長尺体の先端部が前記屈曲部に位置する際に、前記拡張体を基端側から撮影し、前記長尺体の先端部が前記本体の先端部に位置する際に、本体の進行方向の画像を撮像するようにすれば、撮像部が本体内を移動自在な長尺体に設けられているので、撮像部の位置を調整することによって、拡張カテーテルの進行方向および拡張前後の拡張体の外形線をそれぞれ確認できる。また、一つの撮像部で異なる箇所を確認できるので、製造コストを低減できる。
前記長尺体が、前記長尺体の先端部が前記本体の先端部に位置した状態で、前記本体の先端部と対応する第1部分、前記屈曲部と対応する第2部分、前記屈曲部よりも基端側に位置する第3部分とを含み、前記第1部分が、塑性変形可能な構造または材料により形成され、前記第2部分が、前記第3部分よりも剛性が低い構造または材料により形成されていれば、前記長尺体の先端部が前記本体の先端部に位置した状態で、本体が体腔内等を進行する場合、第1部分が塑性変形可能に形成されているので、形状を変形しつつ、体腔や病変部へ容易に進入できる。第2部分は第3部分よりも剛性が低いので、前記長尺体の先端部が前記本体の先端部まで本体内部を進行する際に、第3部分が変形しにくく、押し込み力を伝達しやすい。一方で、第2部分は、屈曲部を曲がる際に変形してスムーズに進行できる。
前記本体の先端部に取り付けられ、前記本体の先端側の画像を撮像する先端撮像部をさらに有し、前記撮像部は前記屈曲部に取り付けられていれば、本体の先端部に設けられた先端撮像部により拡張カテーテルの進行方向の画像を、屈曲部に設けられた撮像部により拡張部の画像を確実に撮像できる。
前記撮像部が、可視光線を感知し、前記拡張体が着色されていれば、着色された拡張体を明瞭に撮像できる。
前記撮像部が、赤外線を感知するようにすれば、拡張部を赤外線により明瞭に撮像できる。
前記本体の先端部が、前記本体の他の部分よりも剛性が低く形成されていれば、体腔や病変部に本体の先端部から進入させる際に、先端部を変形させて進入を容易にできる。
第1実施形態に係る拡張システムの概略構成を示すブロック図である。 第1実施形態におけるバルーンカテーテルの構成を示す断面図である。 バルーンカテーテルを鼻腔内に進行する様子を示す図である。 バルーンカテーテルを狭窄した自然口に位置合わせした様子を示す図である。 自然口を拡張するバルーンを観察するバルーンカテーテルの様子を示す図である。 撮像素子により撮像された画像の例を示す図であり、(A)はバルーンを自然口に挿入した際、(B)はバルーンを拡張させた際、(C)はバルーンを収縮させた際を示す。 バルーンカテーテルにより狭窄した自然口を拡張する様子を示す図である。 バルーンカテーテルを鼻腔から除去した様子を示す図である。 第2実施形態におけるバルーンカテーテルの構成を示す断面図である。 第3実施形態におけるバルーンカテーテルの構成を示す断面図である。 第3実施形態におけるバルーンカテーテルの変形例の構成を示す断面図である。 第4実施形態におけるバルーンカテーテルの先端側の構成を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
図1は拡張システムの概略構成を示すブロック図である。
図1および図2において概説すると、副鼻腔炎によって狭窄した自然口の拡張に用いられ得る本実施形態の拡張システム10は、自然口に挿入可能なバルーンカテーテル(拡張カテーテル)100を有する。また、本実施形態の拡張システム10は、バルーンカテーテル100に接続した、圧力供給装置20、光源装置30、及び表示装置40を有する。
圧力供給装置20は、バルーンカテーテル100に備えられたバルーン(拡張体)110の内部と連通している。圧力供給装置20は、例えば生理食塩水や造影剤等の液体をバルーン110の内部に供給する。バルーン110は、加圧された液体が圧力供給装置20から供給されることによって拡張し、また、バルーン110の内部から圧力供給装置20へ液体が排出されることによって収縮する。圧力供給装置20は、例えば、インデフレータ、シリンジ、又はポンプ等である。
光源装置30は、バルーンカテーテル100に備えられた照射部160から出射される光を発生させる。光源装置30で発生した光は、バルーンカテーテル100内部に配置された光ファイバ145によって、照射部160に導かれる。
表示装置40は、バルーンカテーテル100に備えられた撮像部130によって取得された画像を表示する。撮像部130はレンズ131及び撮像素子132から構成される。表示装置40は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)である。
バルーンカテーテル100の構造について、より詳細に説明する。
図2はバルーンカテーテルの構成を示す断面図である。
図2に示すように、バルーンカテーテル100は、拡張可能なバルーン110と、先端部にバルーン110が取り付けられた長尺状の本体120とを有する。また、バルーンカテーテル100は、本体120内を移動自在であり、先端部に撮像部130が設けられた長尺状のゾンデカテーテル140を有する。
バルーン110は、後述する撮像部130による確認を容易にするため、本実施形態では、着色されている。バルーン110は、ステントデリバリーシステムの分野で一般的に使用される各種樹脂材料により形成される。より具体的には、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカノラクタム(ナイロン11)、ポリドデカノラクタム(ナイロン12)等の単独重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン6/11)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、アジピン酸とメタキシレンジアミンとの共重合体、又はヘキサメチレンジアミンとm,p−フタル酸との共重合体等の共重合体等のポリアミド樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリアルキレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、並びにこれらの架橋物及び部分架橋物(例えば、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体)等のポリオレフィン、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂(アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂(ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、スチロール樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、ポリアリーレンサルファイド(例えば、ポリフェニレンサルファイド)、シリコーンゴム、ラテックスゴム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等をハードセグメントとし、ポリアルキレングリコール、ポリエーテル、又は脂肪族ポリエステル等をソフトセグメントとするブロック共重合体であるナイロンエラストマー等を採用することができる。この中でも膨張させた際に破裂しないよう高耐圧性であることが好ましく、例えばポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン等によって形成されるとよい。
本体120は、外管121および内管122を有する。
外管121は、バルーン110の内部と連通するように、バルーン110が取り付けられている。バルーン110が取り付けられるのは、外管121の先端、すなわち、本体120の先端部の外周である。外管121は、可撓性を有し、本実施形態では、可視光線を透過する。外管121は、好ましくは、透明に形成され、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等によって形成される。
内管122は、外管121の内部に配置される。内管122の内部には、ゾンデカテーテル140を移動自在に挿通可能なルーメン123が形成されている。内管122は、可撓性を有し、本実施形態では、可視光線を透過する。内管122は、好ましくは、透明に形成され、例えば、上述した外管121に適用可能な材料によって形成される。また、内管122は、外周にバルーン110が位置する部分(本体120の先端部124)において、スパイラル加工が施されることで螺旋溝127が形成されて他の部分よりも剛性が低く形成されている。これにより、剛性が低い内管122の該当部分が変形すると、変形後の形状が保持される。内管122の該当部分は、スパイラル加工に限定されず、例えば蛇腹構造に形成されてもよい。
本体120は、外管121および内管122を含めて、バルーン110の伸延方向と平行な先端部124と、先端部124よりも基端側に位置し先端部124の伸延方向とは非平行に屈曲した屈曲部125とを有する。本体120は、屈曲部125の基端側において、先端部124と略平行に伸延するように形成されている。ただし、本体120は全体的に可撓性を有するので、先端部124と、屈曲部125よりも後端側の部分126とでは、必ずしも平行にはならない。このように、本体120は、負荷がかからない基本姿勢として、屈曲部125の両側で段違いとなる形状に形成されている。
本体120の基端には、外管121及び内管122の基端に接続したハブ150が備えられている。ハブ150は、外管121に連通する空間部151を有する。空間部151は圧力供給装置20と連通する。バルーン110を拡張させる液体は、空間部151及び外管121を通じ、圧力供給装置20からバルーン110へ供給され、また、バルーン110から圧力供給装置20へ排出される。外管121の基端は液密にハブ150に接着されており、また、内管122の基端は外管121の基端から突出してハブ150に液密に接着されている。
ハブ150の基端には、凹部152が形成されており、当該凹部152に環状の弾性体153が収納されている。環状の弾性体153には、ゾンデカテーテル140が挿通可能である。また、弾性体153を凹部152に収納するように、ハブ150の基端には、ホルダ154が取り付けられている。ホルダ154には、ハブ150の基端外周に形成された外ネジ155と噛み合う内ネジ156が設けられている。またホルダ154には、弾性体153に向かって突出する突出部157が形成されている。術者がホルダ154を締めて、ハブ150とホルダ154とを接近させると、ホルダ154の突出部157が弾性体153を押圧して変形させる。弾性体153が変形すると、ゾンデカテーテル140を挿通している孔が小さくなり、変形した弾性体153がゾンデカテーテル140の位置を固定する。また、ホルダ154を緩めると、弾性体153の変形が解除され、ゾンデカテーテル140が自由に移動できるようになる。ハブ150およびホルダ154は、例えばポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂によって形成される。また弾性体153は、例えばシリコーンゴム、ラテックスゴム等によって形成される。
ゾンデカテーテル140は、ハブ150を介して、本体120の内管122内に挿通される。ゾンデカテーテル140は、先端から、第1部分141、第2部分142、第3部分143を有し、第1部分141の先端に撮像部130が取り付けられている。
第1部分141は、ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、本体120の先端部124(バルーン110)の内部に位置する部分である。第1部分141は、塑性変形可能な構造または材料により形成されている。第1部分141は、例えば、繊維を網状に織ったり、あるいは管状部材の表面に複数の孔を設けたりして形成したメッシュ形状を有してもよいし、メッシュ形状と異なり外周壁が塞がった蛇腹形状、スパイラル加工が施された形状等を有してもよい。第1部分141は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属材料によって形成される。第1部分141が変形すると、バルーン110も第1部分141に倣って変形する。第1部分141の塑性変形は、メッシュのような構造ではなく、材料の選択により達成することもできる。例えば、第1部分141をアルミニウムのような塑性変形しやすい金属で形成してもよい。
第2部分142は、ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、本体120の屈曲部125の内部に位置する部分である。第2部分142は、屈曲部125の内部で第1部分141および第3部分143に対して屈曲した姿勢が続いても、その後ゾンデカテーテル140の位置が調整されたときに、形状が元に戻るように弾性を有する。第2部分142は、例えば、ステンレス等の金属コイルとして形成される。
第3部分143は、ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、本体120の屈曲部125よりも基端側に位置する部分である。第3部分143は、術者がゾンデカテーテル140を本体120に押し込むときや引き抜くときの力によっては塑性変形しないように、第2部分142よりも剛性が高い構造または材料により形成されている。第3部分143は、たとえば、ステンレス等の金属管として形成される。
撮像素子132は、可視光線を感知して、画像を取得し、たとえば、CCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサである。本実施形態では、上述のように、本体120の内管122および外管121が可視光線を透過する材料により形成されているので、撮像部130が本体120内に位置する状態、たとえば、屈曲部125に位置する状態でも撮像部130が本体120外の様子を撮像できる。
ゾンデカテーテル140内には、撮像素子132と表示装置40とを接続するケーブル144と、光源装置30からゾンデカテーテル140の先端に光を導く光ファイバ145とが配置される。ケーブル144は、撮像部130により取得された画像を表示装置40に伝達する。複数の光ファイバ145は、ゾンデカテーテル140内に配置された管に収められることによって束ねられており、先端から光を照射する。ケーブル144及び光ファイバ145は、ハブ150の基端から引き出される。ケーブル144に光ファイバを用い、先端で取得された情報を基端側で撮像するように構成してもよい。
(拡張方法)
次に、バルーンカテーテル100を用いた本実施形態の拡張方法について述べる。
図3はバルーンカテーテルを鼻腔内に進行する様子を示す図、図4はバルーンカテーテルを狭窄した自然口に位置合わせした様子を示す図、図5は自然口を拡張するバルーンを観察するバルーンカテーテルの様子を示す図、図6は撮像素子により撮像された画像の例を示す図、図7はバルーンカテーテルにより狭窄した自然口を拡張する様子を示す図、図8はバルーンカテーテルを鼻腔から除去した様子を示す図である。
概説すると、本実施形態の拡張方法は、(1)ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、前方を視認しながら体内の目的の位置付近へバルーン110を配置する配置工程と、(2)配置工程後、ゾンデカテーテル140を本体120内で基端側に引き、撮像部130を屈曲部125に位置させて、当該撮像部130によりバルーン110を視認する視認工程と、(3)視認工程によるバルーン110位置に基づいて、バルーン110および本体120の位置を調整する調整工程と、(4)本体120の位置を固定しつつ、バルーン110を拡張させる拡張工程と、を有する。また、本実施形態の拡張方法は、(5)拡張工程後、バルーン110の外形線を視認しながらバルーン110を収縮させる収縮工程と、(6)収縮工程後、バルーンカテーテル100を回収する回収工程と、を有する。以下、副鼻腔炎によって狭窄した自然口の拡張を例に挙げて各工程について述べる。
図3、図4に示すように、配置工程において、術者は、鼻腔Nに挿入したバルーンカテーテル100を自然口Eへと進め、そして、バルーン110を自然口Eに挿入して病変部Sに配置する。ここでは、ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、ハブ150にホルダ154が締められて、ゾンデカテーテル140の位置が固定されている。バルーン110は収縮した状態である。
術者は、光ファイバ145を介して光源装置30からの光をゾンデカテーテル140の先端から照射しつつ、表示装置40に表示される画像によってバルーンカテーテル100の前方を確認して、バルーンカテーテル100を自然口Eへと進める。また、術者は、表示装置40に表示される画像によってバルーンカテーテル100の前方及びバルーン110を確認しつつ、バルーン110を自然口Eに挿入して配置する。
図5に示すように、視認工程において、術者は、ハブ150からホルダ154を緩めて、ゾンデカテーテル140を移動可能にし、本体120内においてゾンデカテーテル140を基端側に引き、撮像部130を屈曲部125に位置させる。撮像部130が屈曲部125に位置する状態で、術者は、再度ハブ150にホルダ154を締めて、ゾンデカテーテル140の位置を固定する。撮像部130は、可視光線を透過する内管122および外管121を介して、バルーン110および自然口Eを基端側から撮像する。撮像部130により撮像された画像は、図6に示すような画像として、表示装置40上に表示される。
調整工程において、術者は、表示装置40を確認しながら本体120を動かしてバルーン110の位置を調整する。術者は、例えば、図6(A)に示すように、バルーン110と自然口Eとが接触する画像が視認されるように、本体120の位置を調整する。
図7に示すように、拡張工程において、術者は、圧力供給装置20によってバルーン110を加圧してバルーン110を拡張させることによって、狭窄した自然口Eを拡張する。バルーン110が拡張されると、図6(B)に矢印で示すように、自然口Eもバルーン110の外形に倣って拡張する。術者は、表示装置40により、図6(B)に示すような自然口Eの拡張の様子を確認しながら、バルーン110の拡張を調整できる。
収縮工程において、術者は、圧力供給装置20によってバルーン110を減圧してバルーン110を収縮させる。術者は、図6(C)に矢印で示すように、バルーン110の外形だけが収縮、自然口Eが拡張したままであることを表示装置40の表示により確認する。
その後、回収工程において、図8に示すように、術者は、バルーンカテーテル100を引いて自然口Eからバルーン110を抜去し、そして鼻腔Nからバルーンカテーテル100を抜去して回収する。
(効果)
本実施形態の効果を述べる。
本実施形態のバルーンカテーテル100にあっては、バルーン110をある程度位置決めした後、ゾンデカテーテル140を本体120内で引いて、撮像部130を屈曲部125に位置させる。屈曲部125は、バルーン110とは非平行に伸延しているので、バルーン110と対向しており、対向する位置から撮像部130によりバルーン110を撮像する。これにより、バルーン110を見やすい位置から確実に撮像できる。結果として、バルーン110を自然口Eに正確で安全、且つ迅速に位置合わせでき、狭窄した自然口Eを適切に拡張できる。
特に、本実施形態では、撮像部130が本体120内を移動自在なゾンデカテーテル140に設けられている。したがって、撮像部130を本体120の先端部124に位置させれば、バルーンカテーテル100の前方を撮像でき、また、撮像部130を本体120の屈曲部125に位置させれば、バルーン110の状態を基端側から確認できる。一つの撮像部130で異なる箇所を確認できるので、製造コストを低減できる。
本実施形態では、ゾンデカテーテル140が第1部分141、第2部分142、第3部分143に分けられており、それぞれ異なる構造または材料により形成されている。ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、本体120が体腔内等を進行する場合、第1部分141が塑性変形可能に形成されているので、形状を変形しつつ、体腔や病変部へ容易に進入できる。また、第2部分142は第3部分143よりも剛性が低いので、ゾンデカテーテル140の先端部が基端側から本体120の先端部124まで本体120内部を進行する際には、第3部分143が変形しにくく、押し込み力を伝達しやすい。一方で、第2部分142は、屈曲部125を曲がる際に変形してスムーズに進行できる。
バルーン110は、着色されており、透明な外管121および内管122を介して撮像部130により撮像される。したがって、明瞭にバルーン110を確認できる。
また、本体120の内管122は、バルーン110が外周に位置する部分(本体120の先端部124)において、他の部分よりも剛性が低く形成されている。したがって、ゾンデカテーテル140の先端部が本体120の先端部124に位置した状態で、ゾンデカテーテル140の第1部分141が変形すると、内管122の先端部分も第1部分141の変形に倣って変形する。これにより、本体120の先端形状を患部に進入させ易い所望の形状に変形させて、処置を実行でき、バルーンカテーテル100の操作性を向上できる。
なお、上記第1実施形態では、内管122および外管121を可視光線が透過可能な透明な材料により形成している。しかし、これに限定されない。たとえば、内管122および外管121を不透明な材料により形成してもよい。この場合、図5において撮像部130からバルーン110が観察できるように、内管122および外管121に透明な窓を設ける。あるいは、内管122および外管121を赤外線を透過する材料により形成してもよい。この場合、撮像素子132を赤外線を感知できるカメラに置き換え、光源装置30から赤外領域を含む波長の光を照射することで、撮像素子132によって目的の波長を取り出し、画像とすることもできる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る拡張システムは、自然口Eに挿入可能なバルーンカテーテル(拡張カテーテル)が第1実施形態と異なる。第1実施形態と同様の構成については、同様の参照番号を使って説明する。
図9は第2実施形態におけるバルーンカテーテルの構成を示す断面図である。
副鼻腔炎によって狭窄した自然口Eの拡張に用いられ得る第2実施形態の拡張システムは、自然口Eに挿入可能なバルーンカテーテル(拡張カテーテル)200を有する。また、第2実施形態の拡張システムは、バルーンカテーテル200に接続した、圧力供給装置20、光源装置30、及び表示装置40を有する。
圧力供給装置20は、バルーンカテーテル200に備えられたバルーン(拡張体)210の内部と連通している。なお、圧力供給装置20は、第1実施形態における圧力供給装置20と同様の形態であるため、説明を省略する。
光源装置30は、バルーンカテーテル200に備えられた第1照射部260および第2照射部262から出射される光を発生させる。光源装置30で発生した光は、バルーンカテーテル200内部に配置された第1光ファイバ261および第2光ファイバ263によって、第1照射部260および第2照射部262に導かれる。
表示装置40は、バルーンカテーテル200に備えられた第1撮像部230および第2撮像部231によって取得された画像を表示する。表示装置40は、第1撮像素子232および第2撮像素子233が取得する各々の画像を表示できる。また、表示装置40は、第1撮像素子232および第2撮像素子233が取得する画像のうち必要なものだけを表示することもできる。表示装置40は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)である。
バルーンカテーテル200は、長尺状の本体220と、本体220の外周に設けられた拡張可能なバルーン210と、を有する。また、バルーンカテーテル200は、本体220に設けられバルーン210よりも先端側と拡張前及び拡張後のバルーン210の外形線とを視野に収める第1レンズ270を有する。第1撮像素子232は、第1レンズ270を介して画像を撮像する。第1照射部260は、光を出射して撮像対象を照らす。
バルーン210は、後述する第1撮像部230および第2撮像部231による確認を容易にするため、本実施形態では、着色されている。バルーン210は、第1実施形態におけるバルーン110と同様の形態であるため、説明を省略する。
本体220は、可撓性を有する外管221と、外管221の内部に配置された可撓性を有する内管222と、を有する。また、本体220は、内管222の先端に設けられバルーン210よりも軸方向先端側に突出した先端突出部227と、外管221及び内管222の後端に接続したハブ250と、を有する。
本体220は、外管221および内管222を含めて、バルーン210の伸延方向と平行な先端部224と、先端部224よりも基端側に位置し先端部224の伸延方向とは非平行に屈曲した屈曲部225とを有する。本体220は、屈曲部225の基端側において、先端部224と略平行に伸延するように形成されている。ただし、本体220は全体的に可撓性を有するので、先端部224と、屈曲部225よりも後端側の部分226とでは、必ずしも平行にはならない。このように、本体220は、負荷がかからない基本姿勢として、屈曲部225の両側で段違いとなる形状に形成されている。
外管221は、バルーン210の内部と連通するように、バルーン210が取り付けられている。バルーン210が取り付けられるのは、外管221の先端、すなわち、本体220の先端部224の外周である。外管221は、可撓性を有し、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等によって形成される。
内管222は、外管221の内部に配置される。内管222の内部には、ルーメン223が形成されている。内管222は、可撓性を有している。
内管222は、互いに重なり合った外層管222A及び内層管222Bからなる。術者が手で内管222を曲げると、内層管222Bが塑性変形して曲げられた形状を保持する。内層管222Bは、繊維を網状に織ったり、あるいは管状部材の表面に複数の孔を設けたりして形成したメッシュ形状を有してもよいし、メッシュ形状と異なり外周壁が塞がった蛇腹形状、螺旋溝が形成された形状等を有してもよい。内層管222Bは、例えば、ステンレス等の金属材料によって形成される。内層管222Bの塑性変形は、メッシュのような構造ではなく、材料の選択により達成することもできる。例えば、内層管222Bをアルミニウムのような塑性変形しやすい金属で形成してもよい。若しくは内層管222Bの塑性変形を上述した材料からなる棒状の金属線を内層管の一部に固着することで達成してもよい。外層管222Aを形成する材料は、外管221と同様の材料を適用できる。内層管222Bは塑性変形して曲げられた形状を保持でき、しかも外層管222Aは内層管222Bの変形に合わせて変形するため、術者が自然口Eの形状等に応じて内管222の形状を調整することが可能である。
内管222の内部には、第1撮像部230,第2撮像部231と表示装置40との間を接続する第1ケーブル244,第2ケーブル245、及び光源装置30から第1照射部260,第2照射部262へと光を導く第1光ファイバ261,第2光ファイバ263が通っている。第1光ファイバ261および第2光ファイバ263は、ハブ250の後端から引き出される。
ハブ250は、外管221のルーメン228に連通する空間部251を有する。空間部251は圧力供給装置20と連通する。バルーン210を拡張させる液体は、空間部251及びルーメン228を通じ、圧力供給装置20からバルーン210へ供給され、また、バルーン210から圧力供給装置20へ排出される。外管221の後端は液密にハブ250に接着されており、また、内管222の後端は外管221の後端から突出してハブ250に液密に接着されている。
先端突出部227は、先端からバルーン210に向かって拡がるテーパー状に形成されている。先端突出部227は、内管222の先端に固定されており、また、第1レンズ270、第1照射部260、及び第1撮像素子232を保持する。
ハブ250および先端突出部227は、例えばポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂によって形成される。
第1レンズ270は、先端突出部227のテーパー状の傾斜に沿って設けられている。第1レンズ270は、先端突出部227の先端よりも前方、より好ましくは、これに加えて先端突出部227の先端を視野に収める。また、第1レンズ270は、拡張前のバルーン210の外形線、より好ましくは、拡張前後のバルーン210の外形線を視野に収める。第1レンズ270の視野に収まるバルーン210の外形線は、好ましくは、バルーン210のうち、先端側から後端側へ向かって拡径するテーパー状の部分の最も径が大きい箇所の外周をなす円弧状の外形線、又はそのテーパー状の部分より後端側に形成された略円筒形状の部分の外周をなす円弧状の外形線である。第1レンズ270は、好ましくは、180°以上の視野を有する魚眼レンズ、又は180°に近い視野を有する他の広角レンズである。
第1照射部260は、視野の広い第1レンズ270に対応して広い範囲に光を照射できるように、複数で構成される。
本実施形態は上述のレンズに限らず、第1レンズ270は先端突出部227の先端よりも前方、より好ましくは、これに加えて先端突出部227の先端を視野に収められればよい。また、本実施形態は、上述の180°以上の視野を有する魚眼レンズ、又は180°に近い視野を有する他の広角レンズに限らず、魚眼レンズ又は広角レンズに比べ視野の狭い標準レンズであってもよい。
第1撮像素子232は、例えば、CCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサである。第1撮像素子232は、1つのセンサにより構成されてもよいが、視野の広い第1レンズ270に対応して、複数のセンサを並べて構成されてもよい。
第2レンズ272は、外管221に設けられる。第2レンズ272は、バルーン210が視野に収まるように、屈曲部225におけるバルーン210に対向する位置に設けられる。第2レンズ272は、バルーン210を視野に収められればよく、例えば、上述のような魚眼レンズ又は広角レンズに比べ視野の狭い標準レンズであってもよい。第2レンズ272は、拡張前のバルーン210の外形線、より好ましくは拡張前後のバルーン210の外形線を視野に収める。
また、第2レンズ272は、標準レンズに限定されず、上述のような魚眼レンズ又は広角レンズであってもよい。この場合、視野が標準レンズに比べて広く、よってバルーン210及びその近傍をより広い範囲で確認でき、また、第2レンズ272よりも後端側をも確認できる。
第2照射部262は、外管221に設けられる。第2照射部262は、第2レンズ272の視野に収まる、バルーン210の外形線及びその近傍を照らす。例えばバルーン210が狭窄した自然口Eに配置されている場合、第2照射部262は、バルーン210の外形線に加えて、バルーン210に接する狭窄した自然口Eを照らす。第2照射部262は、好ましくは第2レンズ272よりも後端側に設けられる。第2照射部262が第2レンズ272より後端側に設けられることによって、第2照射部262が視野の妨げとならないため、バルーン210の外形線をより視認し易い。
第2照射部262へ光を導く第2光ファイバ263は、管及び内管222の外周を貫通して外管221内に引き出されている。バルーン210の拡張・収縮のために外管221内を移動する液体が内管222内に流入しないように、内管222の外周に形成された第2光ファイバ263が引き出される貫通孔は、液密に封止されている。第2光ファイバ263は、ハブ250の後端から引き出されて第2照射部262と光源装置30とを光学的に接続する。
第2撮像部231は、内管222に配置される。第2撮像素子233は、第2レンズ272の視野内の画像を、バルーン210よりも後端側から撮像する。第2撮像素子233は、例えば、CCDイメージセンサ、又はCMOSイメージセンサである。第2撮像素子233は、バルーン210を拡張・収縮させるための液体が流入しないように隔壁229に囲まれて、外管221内に配置されている。
第2撮像素子233からの信号を表示装置40へ送る第2ケーブル245は、内管222の外周を貫通して第2撮像素子233に電気的に接続している。外管221内を移動する液体が内管222内に流入しないように、内管222の外周に形成された第2ケーブル245が通る貫通孔は、液密に封止されている。第2ケーブル245は、ハブ250の後端から引き出されて第2撮像素子233と表示装置40とを電気的に接続する。第2ケーブル245には光ファイバを用い、先端で取得された情報を基端側で撮像するように構成してもよい。
(効果)
本実施形態の効果を述べる。
第2実施形態のバルーンカテーテル200は、屈曲部225においてバルーン210に対向する位置からバルーン210を撮像する第2撮像部231を有するため、バルーン210の画像を基端側から確実に撮像できる。このため、術者は、バルーンカテーテル200を目的の自然口Eへと進めた後(図4参照)、バルーン210の位置及び拡張動作を第2撮像部231によって確認しつつ狭窄した自然口Eを拡張できる。従って、例えば意図する位置と異なる位置へのバルーン210の配置、及びそのことにともなう誤った位置でのバルーン210の拡張又はバルーン210の位置の再調整等が防止されるので、正確で安全、且つ迅速な処置実現を図り得る。
また、屈曲部225にもうけられる第2撮像部231とは異なる第1撮像部230が、本体220の先端側に設けられるため、第1実施形態のように撮像部を移動させることなしに、第1撮像部230によって先端突出部227よりも前方を観察できるとともに、第2撮像部231によってバルーン210を基端側から観察することができ、操作性が向上する。なお、第1撮像部230によって先端突出部227よりも前方を観察するのではなしに、第2撮像部231によって先端突出部227よりも前方を観察してもよい。したがって、第1撮像部230が設けられずに第2撮像部231のみが設けられてもよい。
また、第1撮像部230が、先端突出部227よりも前方を観察するだけでなく、バルーン210を先端側から観察できるため、第2撮像部231によってバルーン210の基端部を観察しつつ第1撮像部230によってバルーン210の先端部を観察でき、バルーン210の位置及び拡張動作をさらに確実に確認できる。
また、撮像部は、第1,第2実施形態のように、CCDイメージセンサ等の撮像素子を用いる形態に限定されず、例えば、レンズからの光を受光可能な、光ファイバの束であってもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る拡張システムは、自然口Eに挿入可能なバルーンカテーテル(拡張カテーテル)が第1実施形態および第2実施形態と異なる。特に、バルーンカテーテル300の先端側において、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。したがって、バルーンカテーテル300の先端側の構成について、特に説明する。
図10は、バルーンカテーテルの先端側の構成を示す図である。
バルーンカテーテル300は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、バルーン310と、バルーン310が先端部324に取り付けられた長尺状の本体320とを有する。図10では、基端側の構成の図示を省略している。基端側には、第1実施形態および第2実施形態と同様に、ハブが設けられ、ハブによって長尺状の本体320が保持されている。長尺状の本体320は、外管321と、外管321内に配置された内管322とを有する。
内管322は、外管321のルーメン328内に配置されている。内管322のルーメン323内には、基端から伸延するケーブル344および光ファイバ345が通されている。ケーブル344の先端には、第1撮像部330が設けられている。第1撮像部330は、バルーンカテーテル300の先端側の様子を撮像できる。ケーブル344の先端には、照射部360が設けられている。照射部360は、バルーンカテーテル300の先端側に光を照射し、第1撮像部330による撮像を助ける。
また、第1撮像部330および照射部360の先端には、透明な先端チップ332が設けられている。先端チップ332は、先端が丸められており、バルーンカテーテル300の先端が体腔にスムーズに挿入されるようにする。
外管321には、ルーメン328とは別にルーメン329が設けられている。ルーメン329内には、第2撮像部331が配置されている。第2撮像部331は、本体320の先端部324(バルーン310)よりも基端側、かつ、先端部324から見て外周側に設けられている。第2撮像部331は、外管321に設けられた前方を視認できる程度に透明な樹脂で形成された観察窓364から、バルーン310の様子を撮像できる。ルーメン329内には、照射部362が設けられる。照射部362は、基端から伸びる光ファイバから伝達された光を、観察窓364からバルーン310に向かって照射する。第2撮像部331および照射部362の先端にも、先端チップ334が設けられてもよい。ルーメン329の先端は液密に封止されている。
また、第1実施形態では、本体120の先端部124において、内管122には螺旋溝127が形成されていた。第3実施形態では、内管322に螺旋溝を形成する代わりに、内管322の外周に金属メッシュからなるカバー370が設けられている。これにより、剛性が低い内管322の該当部分が変形すると、変形後の形状が保持される。
(効果)
本実施形態の効果を述べる。ただし、第1実施形態および第2実施形態と同様の効果については、ここでは説明を省略する。
第3実施形態では、本体320の先端部324の基端側かつ外周側に第2撮像部331を設けられている。したがって、確実にバルーン310の収縮状態および拡張状態を観察できる。第1実施形態では、本体を屈曲させていたが、第3実施形態では外管322に別のルーメン329を設け、ルーメン329内に第2撮像部331を収納している。たとえば、ルーメン328を有する管部材とルーメン329を有する管部材を平行に接合することによって外管322を形成できるので、管部材を屈曲させることなく簡単に外管322を製造できる。
また、第3実施形態では、金属メッシュからなるカバー370を、内管322の外周に取り付けているので、剛性が低い内管322が本体320の先端部324において変形された場合、その変形がカバー370によって保持される。したがって、たとえば、バルーンカテーテル300を体腔内で進行させる際に、本体320の先端部324が変形すると、その変形が維持される。バルーンカテーテル300の進行を容易にできる。
また、第3実施形態では、ルーメン329の先端が液密に封止されているため、粘膜や鼻汁等の体内物質が第2撮像部331に付着することがない。したがって、第2撮像部331は、必要であれば繰り返し使用することが可能となる。
<変形例>
図10に示す第3実施形態では、カバー370を内管322上に取り付けている。これに代えて、別の構成により、本体320の先端部324の変形を維持することもできる。
図11は第3実施形態のバルーンカテーテルの変形例を示す図である。
図11に示すバルーンカテーテル300では、図10のカバー370の代わりに、内管322内に金属ワイヤ380が取り付けられている。金属ワイヤ380は、内管322よりも剛性が高く、本体320の先端部324が変形すると、その変形を維持する。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る拡張システムでは、第3実施形態におけるバルーンカテーテル(拡張カテーテル)の一部を改良している。特に、バルーンカテーテル300の先端側において、第1実施形態および第2実施形態とは異なる。したがって、バルーンカテーテル300の先端側の構成について、特に説明する。
図12は、第4実施形態におけるバルーンカテーテルの先端側の構成を示す図である。
バルーンカテーテル400は、第1実施形態および第2実施形態と同様に、バルーン410と、バルーン410が先端部424に取り付けられた長尺状の本体420とを有する。図12では、基端側の構成の図示を省略している。基端側には、第1実施形態および第2実施形態と同様に、ハブが設けられ、ハブによって長尺状の本体420が保持されている。長尺状の本体420は、外管421と、外管421内に配置された内管422とを有する。外管421のルーメン428は、バルーン410と接続されており、ルーメン428内に空気が充填されることでバルーン410が膨らむ。
内管422は、外管421のルーメン428内に配置されている。第3実施形態と異なり、内管422のルーメン423内には、第1撮像部、ケーブルまたは照射部は配置されていない。内管422は、先端側において開口しており、その一方で、基端側において、吸引力を発生する吸引ポンプ(不図示)と接続されている。内管422の基端は、ハブよりも基端側に延長して、吸引ポンプと接続されうる。吸引ポンプを作動させることにより、内管422の先端から、分泌液や体液等を吸引できる。
外管421には、ルーメン428とは別にルーメン429が設けられている。ルーメン429内には、第2撮像部431が配置されている。第2撮像部431は、本体420の先端部424(バルーン410)よりも基端側、かつ、先端部424から見て外周側に設けられている。第2撮像部431は、基端から伸びるケーブルの先端に取り付けられており、撮影した画像をケーブルを介して基端側に送信する。
また、ルーメン429内には、照射部462が設けられる。照射部462は、基端から伸びる光ファイバから伝達された光を、バルーン410に向かって照射する。第2撮像部431および照射部462の先端には、先端チップ434が設けられてもよい。ルーメン429の先端は、開口している。
第2撮像部431、先端チップ434および照明部462は、筐体436により一体に形成されてもよい。この場合、図12に示すように、筐体436の外周には、ガイド438が設けられている。ガイド438は、貫通孔が設けられており、貫通孔にはワイヤ480が通されている。ガイド438は、ワイヤ480に沿って、先端側または基端側に移動し、つまり、第2撮像部431は、ガイド438の移動に従って先端側または基端側に位置を移動できる。ワイヤ480は、たとえば金属製である。
また、第4実施形態では、内管422は先端までは伸延しておらず、バルーン410の基端部近傍で開口している。内管422の先端には、補助管490が取り付けられている。補助管490は、外管421および内管422よりも柔軟性が高い材料により形成されている。補助管490の外周には金属メッシュからなるカバー470が設けられている。補助管490が容易に変形しつつ、カバー470が変形後の形状を保持できる。
(効果)
本実施形態の効果を述べる。ただし、第1〜第3実施形態と同様の効果については、ここでは説明を省略する。
第4実施形態では、内管422の先端が開口されている。これにより、バルーンカテーテルの内管422のルーメン423を吸引用に用いることができる。内管422から吸引することによって、生体内の分泌液等を除去でき、バルーンカテーテルの生体内での進行を容易にできる。また、第1撮像部がない分だけ、バルーンカテーテルの先端を細径化できる。
また、第2撮像部431は、ガイド438によりワイヤ480に沿って、ルーメン429を進退できる。第2撮像部431の位置を選択的に変更することにより、第2撮像部は、最適な場所から、バルーン410と生体を観察できる。
なお、第4実施形態では、内管422内に何も配置していないが、たとえば、病変部を
治療するための電極等を内管422を通じて、病変部に供給してもよい。
なお、本発明の拡張カテーテルは上述の各形態に限定されるものでなく、本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
10 拡張システム、
100,200、300、400 バルーンカテーテル(拡張カテーテル)、
110,210、310、410 バルーン(拡張部)、
120,220、320、420 本体、
121,221、321、421 外管、
122,222、322、422 内管、
123,223、323、423 ルーメン(内管)、
124,224、324 先端部、
125,225 屈曲部、
126,226 部分、
228、328、329、428、429 ルーメン(外管)、
130 撮像部、
140 ゾンデカテーテル、
141 第1部分、
142 第2部分、
143 第3部分、
144 ケーブル、
145 光ファイバ、
150,250 ハブ、
151,251 空間部、
152 凹部、
153 弾性体、
154 ホルダ、
230、330 第1撮像部、
231、331、431 第2撮像部、
244 第1ケーブル、
245 第2ケーブル、
261 第1ファイバ、
263 第2ファイバ、
370、470 金属メッシュ、
380 金属ワイヤ、
438 ガイド、
480 ワイヤ、
490 補助管。

Claims (10)

  1. 拡張可能な拡張体と、
    前記拡張体が先端部に取り付けられる長尺状の本体と、
    前記拡張体を、基端側から撮像する撮像部と、
    を有する拡張カテーテル。
  2. 前記本体は、前記拡張体が外周に取り付けられ当該拡張体に沿って伸延する先端部と、前記先端部よりも基端側に位置し前記先端部の伸延方向とは非平行に屈曲した屈曲部と、を含み、
    前記撮像部は、前記屈曲部において前記拡張体に対向する位置から前記拡張体を撮像する請求項1に記載の拡張カテーテル。
  3. 前記撮像部が先端部に設けられた長尺体をさらに有し、
    前記本体には、前記長尺体を移動自在に挿通可能なルーメンが形成され、
    前記撮像部は、前記長尺体の先端部が前記屈曲部に位置する際に、前記拡張体を基端側から撮影し、前記長尺体の先端部が前記本体の先端部に位置する際に、本体の進行方向の画像を撮像する請求項2記載の拡張カテーテル。
  4. 前記長尺体は、前記撮像部が前記本体の先端部に位置した状態で、前記本体の先端部と対応する第1部分、前記屈曲部と対応する第2部分、前記屈曲部よりも基端側に位置する第3部分とを含み、
    前記第1部分は、塑性変形可能な構造または材料により形成され、
    前記第2部分は、前記第3部分よりも剛性が低い構造または材料により形成されている請求項3に記載の拡張カテーテル。
  5. 前記本体の先端部に取り付けられ、前記本体の先端側の画像を撮像する先端撮像部をさらに有し、
    前記撮像部は前記屈曲部に取り付けられている請求項2記載の拡張カテーテル。
  6. 前記本体の先端部に取り付けられ、前記本体の先端側の画像を撮像する先端撮像部をさらに有し、
    前記撮像部は、前記本体の先端部よりも基端側かつ外周側に設けられている請求項2記載の拡張カテーテル。
  7. 前記撮像部は、可視光線を感知し、
    前記拡張体は着色されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の拡張カテーテル。
  8. 前記撮像部は、赤外線を感知する請求項1〜6のいずれか一項に記載の拡張カテーテル。
  9. 前記本体の先端部は、前記本体の他の部分よりも剛性が低く形成されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の拡張カテーテル。
  10. 前記本体には、吸引用のルーメンが設けられている請求項1〜9のいずれか一項に記載の拡張カテーテル。
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