JP2013160756A - 光学式力検出要素及び微細手術用器具 - Google Patents

光学式力検出要素及び微細手術用器具 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで製造され、構造体のz方向軸において当該軸に垂直なx−y方向においてよりも5〜20倍高い感度を有する光学式力検出要素を開示すること。
【解決手段】一体式の構造体が、3つのノッチを含み、それら全てのノッチは、間に2つのブレード部を形成することにより、同一の方向からパンチ様に作られる。当該構造体が、z軸に平行なチャネルの内部に固定された3つの光ファイバを含み、当該光ファイバは、底面から入って頂面またはその近傍に達し、光ファイバを有するチャネルは当該構造体内において第1のノッチだけを横切って他の2つのノッチを迂回し、全ての光ファイバは当該第1のノッチ内にファブリペロー干渉空間を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、3つの直交する方向x、y及びzで力Fを測定するための、微細手術用機器のための光学式力検出要素に関する。当該要素は、一体式のシリンダ構造体を備え、当該構造体は、x−y平面に広がる底面(3)と、z方向の軸と、当該z方向の軸を囲む円筒状表面と、前記底面の反対側にあり測定されるべき力を吸収して伝達することに適した頂面とを有する。
低侵襲な微細手術及び治療の分野において、器具またはツールの先端部に作用する接触力に関する体内フィードバック情報は、処置の結果を改善するために執刀医によって要求される重要なパラメータである。しばしば、アクセスが制限された状況は、前記器具と治療されている組織あるいは臓器との間の相互作用力の感覚に影響を及ぼし、対象の力が人間の知覚の閾値より低い。
本発明が適用される具体的事例は、鼓膜形成術において耳小骨連鎖の可動性を評価するために、中耳の外科的処置中に行われる触診に関する。耳小骨の可動性に関する知識は、外科的処置に関する決定や、聴力レベルの向上の経過(予後)にとって重要である。例えば、アブミ骨の可動性を評価するための微細手術用ツールに加えられる典型的な接触力は、10mNより低く、これは操作者の触覚感度の閾値より低い。
そのような中耳用3次元力検出ツールは、今日まで知られていない。報告されている唯一の器具は、「”An apparatus for diagnostics of ossicular chain mobility in humans” by Takuji Koike et al, International Journal of Audiology 2006; 45: 121-128」に記載されているように、アブミ骨の評価のためのツールであるが、1つの軸方向でしか測定することができない。
本発明が適用される他の具体的事例は、網膜の微細手術のための微小力検出ツールに関する。網膜の微細手術は、網膜組織のデリケートな処置が要求され、ツール−組織間の接触力は、しばしば、人間の知覚の閾値より低い。網膜の外科的処置中の微細手術用器具の先端での典型的な接触力は、7.5mNより低い。
そのような網膜の外科的処置用3次元力検出ツールは、今日まで知られていない。横向き2方向の微小力をファイバブラッググレーティング技術を用いて測定する器具が、「”A sub-millimetri, 0.25mN resolution fully integrated fibre-optic force sensing tool for retinal microsurgery” by Iulian Iordachita et al, published online 15. April 2009 by International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery (Int J CARS)」で報告されている。
したがって、微細手術用機器またはツールの先端部と診察または治療されるべき組織または臓器との間の、3次元の接触力を検出しモニタリングする方法を提供することが望ましいであろう。
光ファイバ測定技術を用いてカテーテルの先端部の接触力を測定する、カテーテル適用技術のための公知の機構が報告されている。この機構では、力検出要素は前記先端部の近くに位置している。
カテーテル適用技術に使用されるそのような微細手術用機器のための一体式のシリンダ構造体を含む力検出要素は、周知である。3次元の力が当該構造体の先端部に作用することにより、当該構造体は、当該構造体の一組のノッチによって決まる予め決まった態様で変形される。これらノッチは、複数の弾力的な領域を規定し、x、y及び/またはz方向のいくつかに前記構造体を曲がりやすくする。前記構造体に組み込まれた光ファイバは、前記構造体の個々の部品の変位の量を測定することを可能にする。変位の量は、前記先端部に適用される力に比例する。当該光ファイバは、当該構造体に、当該構造体の底部から入り、チャネル内を案内され、当該構造体のノッチの1つまで延びている。当該光ファイバから出る光は、当該光ファイバの端部に対向する前記構造体の表面によって、逆反射される。逆反射された光は、再び当該光ファイバに入り、当該光ファイバの端部と当該光が反射された表面との間の距離を決定するために評価される。
カテーテルの先端部の接触力を測定するための公知の機構は、米国特許公開公報US2008/0009750号に記載されている。この機構は、設計が大変複雑で、製造中に回転させる必要がある一体式の構造体に関する。さらに、当該構造体は、0.5mmの壁厚と5mmの最外径とを有する筒状体である。そのような構造体のサイズを小さくすることは、製造上の理由や機械的安定性の観点から、不可能である。
米国特許公開公報US2009/0177095号には、中央軸に沿って互いから離間した3つの同一ノッチを有する同様の筒状構造体が示されている。各ノッチは、ある側部からの切込によって作られていて、この側部は他の2つの側部から120°回転した位置にある。当該3つのノッチの各々では、光ファイバの端部に対向する前記構造体までの距離を測定する為に、1つの光ファイバがその端部を有する。前記光ファイバのいくつかが、その目的地に達するまで他のノッチを横切ることは、必然である。当該光ファイバを固定することは、必須である。この構造体は、一つ一つのノッチを製造している間は、回転される必要がない。しかし、依然として、前記ノッチをカット作業の合間に回転させなければならない。要求される精度で製造するには、相変わらず大変高価である。さらに、当該構造体は、軸方向において堅く、径方向において可撓性であるため、当該構造体に近い先端部に作用する力を検出することにだけ適している。
さらに他の構造体が、国際公開WO2009114955号公報に開示されている。この構造体は、x−y平面、x−z平面またはy−z平面のいずれかでブレード部を規定している平面でカットすることにより作られ、必要とされる可撓性の領域が規定されている。さらに、3つの光ファイバが、適用されている力を判定するために、ノッチにおける間隙の大きさを判定する。この構造体は、より小さく作ることが可能であり、2.5mmより小さく、1.7mmと2mmとの間の直径を有する。残念なことに、この構造体は、z方向には大変大きく、複雑であり、7つのノッチを含んでいる。同一の出願に示されている他の変形例は、長さ方向においてより小さく、2つまたは4つの切込しか含まないが、軸に垂直な方向において大変曲がりやすく設計されている。
これらの構造体は、製造するにはシンプルであるが、上述の目的、すなわち中耳の外科的処置や網膜の微細手術、のために用いることはできない。そのようなツールは、先端部を有するセンサ構造体の前方において長くて細いシャフトを含み、z軸に垂直な方向(xまたはy方向)において遠くに位置する先端部に作用する力は、同じ方向ではあるが前記構造体の近くで作用する力より、慣性モーメントのために5〜20倍強いという効果を前記構造体にもたらす。
さらに、感染のリスクを減らすために医療用器具を使い捨てにすることが、ますます一般的になっている。したがって、前記構造体は、低いコストで製造されるべくできる限りシンプルでなければならない。
公知の全ての構造体は、カテーテルと共に用いられ、したがって、横方向の力Fx、Fy、及び、軸方向の力Fzのために設計されているが、横方向の力は、可撓性の領域に近い前記構造体の頂部に適用され、当該可撓性の領域に対して前記構造体の直径dの3倍より離れた場所では適用されない。
これらの構造体は、外科的処置で使用されることが不可能である。外科的処置においては、横方向の力は、当該構造体の可撓性の領域に対して距離が遠く離れた場所で適用され、当該距離Dは、当該構造体の直径dの20倍にまで達する。公知の構造体は、当該構造体を寸法決めし直すことによっても外科的処置への適用には適合され得ない、ということが既に示されている。
解決されるべき課題は、本発明の技術分野の欄で説明されたような微細手術用器具のための光学式力検出要素であって、低コストで製造され、構造体のz方向軸において当該軸に垂直なx−y方向においてよりも5〜20倍高い感度を有する光学式力検出要素を開示することである。さらなる課題は、中耳の外科的処置または網膜の微細手術のための微細手術用器具、及び、前記力検出要素を製造するための方法を開示することである。当該力検出要素の精度は、高くなければならず、製造コストは、低くなければならない。さらに、当該力検出要素は、小さな直径dを有さなければならない。
前記問題は、当該問題に関する特許請求の範囲に記載の特徴によって解決される。
本発明の基本的な考えは、一体式の構造体が、3つのノッチを含み、それら全てのノッチは、間に2つのブレード部を形成することにより、同一の方向からパンチ様に作られること、及び、当該構造体が、z軸に平行なチャネルの内部に固定された3つの光ファイバを含み、当該光ファイバは、底面から入って頂面またはその近傍に達し、光ファイバを有するチャネルは当該構造体内において第1のノッチだけを横切って他の2つのノッチを迂回し、全ての光ファイバは当該第1のノッチ内にファブリペロー干渉空間を有すること、である。
前記3つのノッチは、好ましくは、ワイヤEDM(Electrical Discharge Machining:放電加工)によって作られる。前記構造体の当該ノッチは、パンチ様に設計されているので、当該構造体は、全てのノッチを機械加工する全工程において回転される必要がない。これにより、前記構造体の精度が増し、製造コストが低くなる。
図1は、評価ユニットに接続された本発明に係る微細手術用器具の概略図である。 図2は、本発明に係る微細手術用器具を縦に切断した図である。 図3は、本発明に係る光学式力検出要素の斜視図である。 図4は、好適な実施の形態における本発明に係る光学式力検出要素を縦に切断した図である。 図5は、図4の光学式力検出要素の断面図である。 図6aは、好適な変形例の光ファイバを有するチャネルを示す図である。 図6bは、好適な変形例の光ファイバを有するチャネルを示す図である。 図6cは、好適な変形例の光ファイバを有するチャネルを示す図である。
添付の図面は、本発明の好適な実施の形態を示す。
本発明は、添付の図面を参照して説明される。図1は、本発明による微細手術用機器22の概略図を示している。当該機器22は、コネクタ20を有するケーブル19内の光ファイバ9を介して、評価ユニット23に接続されている。当該評価ユニット23は、例えば、ファブリペロー干渉空間のギャップ長を読み取るためのWLIシグナルコンディショナと、力ベクトルの計算を行うためのマイクロプロセッサまたはコンピュータと、から構成されているオプトエレクトロニクスユニットである。微細手術用機器22は、執刀医によって手で扱われてもよいし、光学式力検出要素1を含むハウジング18上に設けられた自動ロボットシステムによって制御されてもよい。微細手術用機器22は、さらに、先端部21を有する長くて細いシャフト17を含み、当該シャフト17は、ハウジング18内の光学式力検出要素1に取り付けられている。力検出要素1の中心とシャフト17の先端部21との間の総距離は、長さDである。使用中、3次元の力Fxyzが、先端部21に適用され、光学式力検出要素1で記録される。測定された情報は、ケーブル19内の光ファイバ9を通り、コネクタ20を経由して評価ユニット23に伝達される。
図2に示されているように、力検出要素1は、細長いシャフト17の後方のハウジング18内に位置している。シャフト17は、ハウジング18の外部に達している。力検出要素1は、接続部16を含み、当該接続部16において、シャフト17がしっかりと担持されている。力検出要素1の底面3は、ハウジング18にしっかりと固定されているが、力検出要素1及びシャフト17の残りの部分は、自由なままであり、先端部21に適用される力Fの大きさや方向に応じて変形する。力検出要素は、シャフトの先端部21における3次元の接触力Fを測定するために用いられる。先端部21は、真っ直ぐに形成されてもよいし、45°の角度のフック形状に形成されてもよいし、外科的処置に適した他のいかなる形状に形成されてもよい。力検出要素1は、例えば執刀医の指によって加えられる横方向の力から十分に保護され、且つ、力検出要素をより容易に液体や外部の塵から密閉するように、ハウジング18の内部に取り付けられている。
可撓性の結合部24が、ハウジング18とシャフト17との間に取り付けられていて、力検出要素1と当該力検出要素1に固定された光ファイバ9とを気密にシールしている。結合部24は、ゴム製の詰め物(Oリング)やベローズ形状の要素であってよく、金属や合成ゴム材料で作られ得る。可撓性結合部24によってシャフト17に加えられる力は、先端部接触力Fと比較して、小さいはずである。
ハウジングの他方の端部、すなわち、結合部24の反対側では、光ファイバ9はハウジングを出てケーブル19内部に続いている。
図3及び図4では、本発明に係る光学式力検出要素1が、異なる視点で示されている。当該力検出要素1は、一体式のシリンダ構造体2を含み、当該構造体2は、x−y平面に広がる底面3と、z方向の軸と、当該z軸を囲む円筒状表面4と、前記底面3の反対側にあり測定されるべき力Fを吸収して伝達することに適した頂面5と、を有する。当該頂面5は、好ましくは、シャフト17を支持する接合部16を含む。典型的には、構造体2は、0.5mm〜4mmのx−y方向の外径dを有し、1つの貫通孔を含むように機械加工されてもよいし、または含まないように機械加工されてもよい。
この構造は、3つのパンチ様ノッチ6を特徴とし、全てのノッチは、y方向に平行である。これらのノッチは、z軸に沿って離間しており、ちょうど2つのブレード部7をx−y平面に平行に形成している。第1のブレード部7は、第1及び第2のノッチ6の間にあり、第2のブレード部7は、第2及び第3のノッチ6の間にある。全てのノッチ6は、パンチ様であり平行であるため、x−z平面に伸び構造体2をy方向に貫いて進むパンチによって作られたように見える。典型的には、ブレード部7は、0.02mm〜0.4mmというz方向の厚さを有する。
好適な実施の形態では、ノッチ6は、中央のx−z平面に対して鏡映対称であり、当該ノッチは、中心のy軸に対して180°の回転対称性を有している。
第1及び第3のノッチ6は、x方向及び−x方向に形成された長い開口部であり、当該開口部は、互いに対して平行であり、好ましくはx方向及び−x方向に同一の長さを有し、互いに重複し、0.05mm〜0.5mmというz方向に同一の幅wを有する。第2のノッチ6は、構造体2の中心に位置する貫通孔である。x方向において、第2のノッチ6は、好ましくは、第1及び第3のノッチの重複した領域に渡って伸びているが、z方向については、第2のノッチは、2つの薄いブレード部7だけを残して、第1及び第3のノッチ6の間のほぼ全領域に渡って伸びている。好ましくは、重複した領域と、従って第2のノッチ6のx方向の幅とは、構造体2の直径dの少なくとも3分の1である。第1及び第3のノッチ6の延長にあるx方向の残りの構造体は、比較的薄く、横方向の力がシャフトの先端部21に適用されたとき、x方向及びy方向に曲がることを可能にする。前記2つの平行な薄いブレード部7は、構造体2をz方向において可撓性にし、x方向及びy方向において曲がりにくくしている。先端部21におけるx方向及びy方向の力Fyxの作用が、構造体にかかるてこの力によって増幅され、力Fzは増幅されないことを考慮すると、3つの全ての方向において、構造体の変形という形での効果は比較可能(同程度の大きさ)である。
構造体2は、さらに3つのチャネル8を含み、当該チャネル8は、円筒状表面4に対して開放または閉鎖されており、z軸に平行である。これらのチャネルは、底面3から頂面5またはその近傍まで伸びており、第1のノッチだけを横切り、構造体2内の他の2つのノッチ6を迂回する。力検出要素1は、さらに、3つの光ファイバ9を含み、それぞれの光ファイバは3つのチャネル8の1つに固定されている。これらの光ファイバ9の全ては、構造体2に底面3から入り、第1のノッチ6を横切って、頂面5またはその近傍で終わるが、第1のノッチ6内で分断されて光ファイバの分離区画部11を規定する。分離された位置では、光ファイバ9と光ファイバの分離区画部11とは、ファブリペロー干渉空間13を規定することによって、2つの平行な面10、12を形成している。2つの面10、12は、ファイバの端部を剥くこと、磨くこと或いはレーザーで切断されることにより0°に得られる。チャネル8は、空間13を形成すべく光ファイバ9と光ファイバの分離区画部11とを正確に整列させる役割を果たす。第1のノッチ6は、本願図面に示されているように、底面3に最も近いノッチであってもよいし、構造体2の頂面5に最も近いノッチであってもよい。
光ファイバ9及び光ファイバの分離区画部11は、ファブリペロー空間の両側において、好ましくは接着剤によって、チャネル8の内部に固定されている。
特に力Fが力検出要素に対して遠く離れた場所で適用されるとき、当該力Fの3つの直交するx、y、z方向の成分を測定するためのそのような力検出要素1は、微細手術用機器22に適している。
好ましくは、構造体2は、チタン、セラミック、ポリマー、ステンレス鋼、または非腐食性金属である。さらに、構造体2の熱膨張率(TCE)は、温度変化に対する感度を低くすべく、光ファイバ9及び/または光ファイバの分離区画部11のTCEに可能な限り近くするべきである。市場に出ている光ファイバは、温度感受性を低くすべく非常に低いTCEを有する石英ガラス材料で作られているため、光ファイバの分離区画部11は、構造体材料のTCEに近いTCEを有する異なる材料で作られ得る。所望であれば、構造体2は、また、補正が必要な場合に備えて温度をモニタリングすべく温度検知装置14を含んでいてもよい。
光変換を向上させるため、ファブリペロー干渉空間にある各々の光ファイバの2つの面10、12は、半反射性被覆材で被覆されていてもよい。
干渉空間13の長さは、シャフトの先端部に加えられる力によって可撓性の構造体が弾性変形する際に変化する。ニュートラルな位置では、光ファイバ9の表面10と光ファイバの分離区画部11の表面12との間の各ファブリペロー干渉空間13のギャップは、典型的には、0.01mm〜0.1mmである。
干渉空間13の長さは、光干渉法を用いて測定され、特には、シグナルコンディショナ、例えばカナダの会社FISO製のもの、を用いるいわゆる白色光干渉法(WLI)を用いて測定される。最終的に、シャフトの先端部に加えられる力は、周知の校正手順に基づいて計算され、その場合、力ベクトルの大きさ及び方向は、光ファイバ空間の3つの長さと校正行列とから計算される。
過負荷がもたらす2つの光ファイバの端部の機械的接触による光ファイバの端部10、12の破損を防ぐために、第1のノッチ6は機械的ストッパ15を含んでいてもよい。
軸方向の力Fzが構造体2に適用されるとき、2つのブレード部7は曲がって構造体の平行な軸方向の変形をもたらし、これにより、全ての3つのファブリペロー干渉空間は長さが等しく変化する。他方、先端部21と構造体2との間の距離が比較的長いため、横方向の力Fxyがシャフト17の先端部21に適用されたとき、慣性モーメントまたはトルクが大きいので、構造体全体は、2つのブレード部7の位置、及び、第1及び第3の横方向ノッチ6によってもたらされる2つの屈曲部分の位置で横方向に曲がり易い。この場合、この3つの空間は、その位置、及び、適用された横方向の力の方向に依存して、異なる変化を起こす。
本実施の形態の構造体2は、検出要素1の中心から長い距離D離れた位置で適用される力に適している。Dを先端部21と検出要素1の中心との間の距離とし、dを構造体2の直径とすると、比R=D/dは典型的には5と20の間である。
本発明の主な利点は、本発明に係る要素1は容易に製造され得ること、当該要素1は長さ及び直径dにおいて寸法が小さくされ得ること、当該要素1は貫通孔を伴ってまたは伴わないで製造され得ること、当該要素1は先端部21に対して遠く離れた位置に取り付けられ得ること、及び、光ファイバ9及び光ファイバの分離区画部11は第1のノッチ6を有する可撓性の領域を除いて溝又は孔の全長に沿って構造体2に固定されているため、当該要素1は熱膨張に対して非常に小さな影響しか示さないこと、である。シリンダ構造体2の底面3及びシリンダ構造体のいかなる断面も、円形、四角形または他のいかなる形状をも有し得る。
図5に示されているように、構造体が中心部のx−y平面でカットされることにより、光ファイバを有する3つのチャネル8が、構造体2の内部に第2のノッチの隣に見て取れる。適用される力による個々の間隙長さの効果的な変化は、構造体2内部における各々のチャネル8の位置を選択することにより、最適化され得る。
図6a、図6b及び図6cに示されているように、光ファイバ9は様々な種類のチャネル8に固定され得る。図6aでは、チャネルは閉鎖されていて、構造体2の円筒状表面4に平行な閉鎖貫通孔であるが、図6b及び図6cでは、チャネル8は円筒状表面4に対して開放されている。光ファイバは、図6bに示されている横方向ギャップ貫通孔内に設置されていてもよいし、図6cに示されているような開放された横方向の溝に設置されていてもよい。開放された横方向の溝の利点は、組立中に光ファイバがチャネル8に簡単に挿入されること、及び製造工程が簡単であること、である。
光ファイバ9と光ファイバの分離区画部11は、例えばエポキシまたはUV硬化性接着剤を用いて、チャネル8の内部に固定されている。これらは、適切な位置に、ろう付けまたは機械的に固定されていてもよい。
光学式力検出要素1は、典型的な微細手術用機器22のハンドル部内に適合させ、細長いシャフト17の末端21に適用される接触力Fを正確に測定するために十分なほど小さく製造されることが可能であり、典型的な外径dは1mmと4mmとの間である。
微細手術用機器22の典型的なシャフト17の長さは、約40mmであり、この長さは検出要素1と接触力Fが適用されるシャフト17の先端部21との間の実際の距離に一致している。
手持ちタイプの微細手術用機器22の場合、ハンドルは典型的には長さが10cm〜15cmであり、直径dが5mmである。これらの寸法により、操作者は快適に且つ正確にツールを手に持つことができ、更に、中耳の外科的処置や網膜の微細手術の場合のように、アクセスの難しい小さな開口部の中で顕微鏡を用いて処置をする際、ツールのシャフト及び先端部の視認性も良好である。
本発明の構造体2の主な利点は、構造体2は一方向にのみ機械加工され、これにより製造が簡単で廉価になることである。円筒状の構造体である必要は無い。光ファイバは、構造体2の表面またはその近傍にのみ固定され得るのではなく、構造体2のプロファイル(外形)の内側にも固定され得る。
可撓性の構造体2は、好ましくは、旋削(旋盤加工)または放電加工(EDM)またはこれらの組み合わせによって製造される。構造体2は、レーザーによるカットまたはのこ挽きまたはこれらの組み合わせによっても加工され得る。この構造体は、金属材料、セラミック又は高分子であってよい。好ましくは、チタンまたはステンレス鋼が選択される。
光学式力検出要素1を製造するために、0°に剥かれ或いは磨かれた光ファイバ端部10を有している3つの光ファイバ9は、構造体2の開放されまたは閉鎖されているチャネル8に底面3から挿入され、第1のノッチ6に達し、及び、0°に剥かれ或いは磨かれた光ファイバ端部12を有している光ファイバの3つの分離区画部11は、チャネル8に頂面5から挿入され、第1のノッチ6に達する。6つの光ファイバ9、11は、構造体2に第1のノッチ6の両側で固定されて、ファブリペロー干渉空間13を互いに平行な光ファイバ端部表面10、12で規定している。
他の実施の形態において、光学式力検出要素1を製造するために、3つの単一の連続した光ファイバ9は、ノッチ6を有する構造体2の開放されまたは閉鎖されているチャネル8に底面3から挿入され、第1のノッチ6を通って頂面5またはその近傍に達する。3つの連続した光ファイバ9は、構造体2に第1のノッチ6の両側で固定される。その後、光ファイバ9は、第1のノッチ6の領域内でレーザーによってカットされ、ファブリペロー干渉空間13を規定し、連続した光ファイバ9を光ファイバ9と光ファイバの分離区画部11とに分離する。
典型的には、例えばFISOシグナルコンディショナを用いて白色光干渉法を利用してファブリペロー干渉計の空間長13を測定する場合、可撓性の構造体2は、空間13の変形の大きさが、先端部での任意の方向の最大適用力Fに対して、1ミクロンから10ミクロンのオーダーとなるように、設計されている。最大適用力Fは、ツールが何に適用されるのかに依存し、中耳の外科的処置における触診行為に対しては1Nのオーダーであり、網膜の外科的処置に対しては0.1Nのオーダーであろう。
1 光学式力検出要素
2 構造体、一体式の、円筒形の
3 底面
4 円筒状表面
5 頂面
6 ノッチ
7 ブレード部
8 チャネル
9 光ファイバ
10 光ファイバの表面
11 光ファイバの分離区画部
12 光ファイバの分離区画部の表面
13 ファブリペロー干渉空間、距離、ギャップ
14 温度検知装置
15 機械的ストッパ
16 接合部
17 シャフト
18 ハウジング
19 ケーブル
20 コネクタ
21 シャフトの先端部
22 微細手術用機器
23 評価ユニット
24 可撓性結合部
F 力
w 第1のノッチの幅
D 構造体の中心からシャフトの先端部までの距離
d 外径

Claims (20)

  1. 3つの直行する方向x、y及びzで力Fを測定するための、微細手術用機器のための光学式力検出要素において、
    一体式のシリンダ構造体(1)を備え、当該構造体は、x−y平面に広がる底面(3)と、z方向の軸と、当該z方向の軸を囲む円筒状表面(4)と、前記底面(3)の反対側にあり測定されるべき力Fを吸収して伝達することに適した頂面(5)と、を有しており、
    前記構造体は、3つのパンチ様ノッチ(6)を有しており、当該ノッチは全てy方向に平行で前記z軸に沿って離間しており、第1及び第2のノッチ(6)の間と当該第2及び第3のノッチ(6)の間にx−y平面に平行な2つのブレード部(7)を形成しており、
    前記構造体は、更に、3つのチャネル(8)を含んでおり、当該チャネルは、前記円筒状表面(4)に対して開放または閉鎖されており、前記z方向の軸に平行で前記底面(3)から前記頂面(5)まで延びており、当該構造体(2)内において前記第2及び第3のノッチ(6)を迂回しながら前記第1のノッチ(6)を横切っており、
    当該力検出要素は、更に、3つの光ファイバ(9)を備え、当該光ファイバの各々は、前記3つのチャネルの1つに固定されており、
    前記光ファイバは全て、前記底面(3)から前記構造体(2)に入り、前記第1のノッチを横切って前記頂面(5)またはその近傍まで延びていて、前記第1のノッチ(6)内で分断されており、前記光ファイバの各々に、ファブリペロー干渉空間(13)を規定することによって、2つの表面(10,12)が形成されている
    ことを特徴とする光学式力検出要素。
  2. 前記チャネル(8)は、前記構造体(2)の当該チャネルの全長に渡って、前記円筒状表面(4)に対して開放されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学式力検出要素。
  3. 前記光ファイバ(9)は、前記チャネル(8)内に接着剤によって固定されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光学式力検出要素。
  4. 前記構造体(2)は、チタン、セラミック、ポリマー、ステンレス鋼、または非腐食性金属である
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  5. 前記ノッチ(6)は、中央のx−z平面に対して鏡映対称であり、
    当該ノッチは、中心のy軸に対して180°の回転対称性を有している
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  6. 前記構造体(2)は、温度検知装置(14)を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  7. ニュートラルな位置において、分断された各光ファイバ(9)の前記2つの表面(10,12)の間の各ファブリペロー干渉空間(13)の間隙は、0.01mm〜0.1mmである
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  8. 前記第1のノッチ(6)は、0.05mm〜0.5mmというz方向における幅wを有している
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  9. 前記第1のノッチ(6)は、前記光ファイバ(9)と光ファイバ分離区画部(11)の端部(10、12)を保護する機械的ストッパ(15)を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  10. 前記構造体(2)は、0.5mm〜4mmというx−y方向の外径を有している
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  11. 前記構造体(2)は、0.02mm〜0.4mmというブレード部の厚さを有している
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  12. 前記光ファイバ(9)及び/または光ファイバの分離区画部(11)の端面(10,12)は、半反射性被覆剤で被覆されている
    ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  13. 前記構造体(2)の熱膨張率(TCE)は、前記光ファイバ(9)及び/または光ファイバの分離区画部(11)のTCEと同じである
    ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  14. 光ファイバの分離区画部の熱膨張率(TCE)は、前記構造体(2)のTCEと同じである
    ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  15. 前記頂面(5)は、シャフト(17)を取り付けるための接合部(16)を含んでいる
    ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  16. 前記z方向の軸に沿った中心貫通穴を備えている
    ことを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の光学式力検出要素。
  17. ハウジング(18)に取り付けられた請求項1乃至16のいずれかに記載の光学式力検出要素(1)と、前記光ファイバ(9)を含みコネクタ(20)を有するケーブル(19)と、を備えた微細手術用機器において、
    長尺状のシャフト(17)が、前記頂面(5)に取り付けられており、当該シャフトは、前記ハウジング(18)の外部に達しており、成形された先端部(21)を有している
    ことを特徴とする微細手術用機器。
  18. 請求項1乃至16のいずれかに記載の光学式力検出要素(1)を製造する方法において、
    0°に剥かれ或いは磨かれた光ファイバ端部(10)を有している3つの連続した単一光ファイバ(9)が、前記構造体(2)の開放され或いは閉鎖された前記チャネル(8)に、前記底面(3)から挿入され、前記第1のノッチ(6)に達し、
    0°に剥かれ或いは磨かれた光ファイバ端部(12)を有している光ファイバの3つの分離区画部(11)が、前記チャネル(8)に、前記頂面(5)から挿入されて前記第1のノッチ(6)に達し、
    前記光ファイバ(9)と前記光ファイバの分離区画部(11)は、前記ファイバ端面(10,12)が互いに対して平行な状態で、当該光ファイバ端部(10,12)の間に前記ファブリペロー干渉空間を規定することによって、前記第1のノッチ(6)の両側で前記構造体(2)に固定される
    ことを特徴とする光学式力検出要素を製造する方法。
  19. 請求項1乃至16のいずれかに記載の光学式力検出要素(1)を製造する方法において、
    3つの連続した単一光ファイバ(9)が、前記ノッチ(6)を有する前記構造体(2)の開放され或いは閉鎖された前記チャネル(8)に、前記底面(3)から挿入され、前記第1のノッチ(6)を通り、前記頂面(5)またはその近傍に達し、
    前記3つの連続した光ファイバ(9)は、先に、前記第1のノッチ(6)の両側で前記構造体(2)に固定され、
    その後、前記光ファイバ(9)は、前記第1のノッチ(6)の領域で、好ましくはレーザーマイクロマシニングによって切断されて、前記ファブリペロー干渉空間(13)が規定され、前記連続した光ファイバ(9)は、前記光ファイバ(9)と光ファイバの分離区画部(11)とに分離される
    ことを特徴とする光学式力検出要素を製造する方法。
  20. 3つのノッチ(6)は全て、放電加工(EMD)によって、前記構造体(1)に対して前記x−z平面で移動運動を行いながら、y方向にカットされる、
    ことを特徴とする請求項18または19に記載の光学式力検出要素を製造する方法。
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