JP2013159582A - 錠剤の製造方法および錠剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】視認性に優れた指標部を有する錠剤を提供すること、また、視認性に優れた指標部を有する錠剤を生産性良く製造することができる錠剤の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の錠剤の製造方法は、粉末を含む組成物を用いて仮成形体を形成する仮成形体形成工程と、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部の形成に用いる指標部形成用組成物を、前記仮成形体に付与する指標部形成用組成物付与工程と、前記指標部形成用組成物が付与された前記仮成形体を圧縮する圧縮工程とを有し、前記粉末を含む材料で構成された基材および前記指標部を有する錠剤を得ることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、錠剤の製造方法および錠剤に関するものである。
医薬品等の錠剤には、商品名や商品を特定するため記号(例えば、識別コード)等の刻印が施されているものがある(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、単なる凹部である刻印が施されていても、視認性が悪く、その情報を的確に読み取れない場合が多い。
特開2001−104453号公報
本発明の目的は、視認性に優れた指標部を有する錠剤を提供すること、また、視認性に優れた指標部を有する錠剤を生産性良く製造することができる錠剤の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の錠剤の製造方法は、粉末が結合してなる基材に対して、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部の形成に用いる指標部形成用組成物を付与する指標部形成用組成物付与工程を有し、
前記粉末を含む材料で構成された前記基材および前記指標部を有する錠剤を得ることを特徴とする。
これにより、視認性に優れた指標部を有する錠剤を生産性良く製造することができる錠剤の製造方法を提供することができる。また、インクジェット法を用いることにより、刻印に比べて、より細かい文字、記号等を有する指標部を確実に形成することができる。その結果、指標部により多くの情報を盛り込むことが可能となる。また、錠剤の有効成分(基材の構成材料)の含有率が相対的に低くなることを防止しつつ、上記のような効果を確実に発揮することができる。また、インクジェット法を用いることにより、多品種生産に好適に対応することができる。また、オンデマンド性が優れたものとなり、小ロット生産にも好適に対応することができる。
本発明の錠剤の製造方法では、前記基材は、前記粉末を含む組成物を圧縮成形することにより製造されたものであることが好ましい。
これにより、錠剤の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。また、指標部の基材に対する密着性を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって、上記のような効果をより確実に発揮させることができる。
本発明の錠剤の製造方法は、粉末を含む組成物を用いて仮成形体を形成する仮成形体形成工程と、
インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部の形成に用いる指標部形成用組成物を、前記仮成形体に付与する指標部形成用組成物付与工程と、
前記指標部形成用組成物が付与された前記仮成形体を圧縮する圧縮工程とを有し、
前記粉末を含む材料で構成された基材および前記指標部を有する錠剤を得ることを特徴とする。
これにより、視認性に優れた指標部を有する錠剤を生産性良く製造することができる錠剤の製造方法を提供することができる。また、インクジェット法を用いることにより、刻印に比べて、より細かい文字、記号等を有する指標部を確実に形成することができる。その結果、指標部により多くの情報を盛り込むことが可能となる。また、錠剤の有効成分(基材の構成材料)の含有率が相対的に低くなることを防止しつつ、上記のような効果を確実に発揮することができる。特に、基材を形成した後に指標部形成用組成物を付与する場合に比べて、さらに細かい文字、記号等を有する指標部を確実に形成することができるため、上記のような効果をより顕著に発揮させることができる。また、インクジェット法を用いることにより、多品種生産に好適に対応することができる。また、オンデマンド性が優れたものとなり、小ロット生産にも好適に対応することができる。
本発明の錠剤の製造方法では、前記指標部形成用組成物付与工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程をさらに有し、前記指標部形成用組成物は少なくともその一部が前記下地層の表面に付与されるものであることが好ましい。
これにより、基材と指標部との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、指標部の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
本発明の錠剤の製造方法では、前記仮成形体形成工程と前記指標部形成用組成物付与工程との間に、下地層を形成する下地層形成工程をさらに有し、前記指標部形成用組成物は少なくともその一部が前記下地層の表面に付与されるものであることが好ましい。
これにより、基材と指標部との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、指標部の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。また、錠剤の製造過程において、仮成形体と指標部形成用組成物との密着性を優れたものとすることができるため、錠剤の製造過程(例えば、圧縮工程時)において、指標部形成用組成物が脱落してしまうことをより効果的に防止することができる。その結果、錠剤の生産性、歩留まり、製造される錠剤の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の錠剤の製造方法では、前記下地層は、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、基材と指標部との密着性をさらに優れたものとし、指標部の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。また、これらの材料は、白色度が高いものであるため、基材がいかなる色調のものであっても、指標部の視認性をより確実に優れたものとすることができる。
本発明の錠剤の製造方法では、前記下地層形成工程は、インクジェット法を用いて行うものであることが好ましい。
これにより、所望の部位に選択的に下地層を形成することができ、錠剤中に占める下地層の構成材料の含有率が必要以上に高くなってしまうことをより確実に防止することができる。その結果、錠剤が本来有すべき特性をより確実に発揮させることができる。また、錠剤の生産コスト低減の観点等からも有利である。また、下地層形成工程において目的とする形状の下地層(形成すべき指標部に対応する形状の下地層)を形成した場合、指標部形成用組成物付与工程において何らかの理由により指標部形成用組成物を付与する部位の位置ずれが生じてしまった場合であっても、下地層およびそれ以外の部位(基材または仮成形体)に対する液状(流動性を有する)の指標部形成用組成物の親和性の違いから、目的とする形状の指標部を確実に形成することができる。
本発明の錠剤は、本発明の錠剤の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、視認性に優れた指標部を有する錠剤を提供することができる。
本発明の錠剤は、粉末が結合してなる基材と、
インクジェット法を用いて形成された指標として機能する指標部とを有することを特徴とする。
これにより、視認性に優れた指標部を有する錠剤を提供することができる。
本発明の錠剤では、前記基材は、凹部を有するものであり、
前記指標部は、その少なくとも一部が前記凹部内に設けられたものであることが好ましい。
これにより、基材と指標部との密着性をさらに優れたものとし、指標部の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
本発明の錠剤では、前記指標部は、食用色素、金コロイド、白金コロイドおよび銀コロイドよりなる群から選択される1種または2種以上を含む組成物を用いて形成されたものであることが好ましい。
これにより、指標部の視認性を特に優れたものとすることができる。また、錠剤全体としての審美性、高級感等を特に優れたものとすることができる。また、これらの材料は、特に安全性の高いものであるため、人体等への悪影響の発生をより効果的に防止することができる。
本発明の錠剤では、前記粉末は、白色のものであることが好ましい。
これにより、指標部の視認性を特に優れたものとすることができる。
本発明の錠剤では、前記指標は、商品名または商品を特定するための記号であることが好ましい。
これにより、類似した形状の他製品との誤使用の危険性を低減させることができる。他社製品等との差別化を図り、当該製品の宣伝広告機能を発揮させることができる。また、当該製品の高級ブランド化等を図ることができる。
本発明の錠剤では、前記指標は、暗号化情報であることが好ましい。
これにより、偽造の危険性を低減させることができる。また、偽造が行われた場合に、当該事実を速やかに発見することが可能となる。
本発明の錠剤では、前記粉末は、乳糖、デンプン、デキストリン、白糖、ブドウ糖、結晶セルロースおよび糖アルコールよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、指標部の視認性を特に優れたものとすることができる。また、指標部や下地層との密着性を特に優れたものとし、指標部の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
本発明の錠剤の製造方法の第1実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の錠剤の製造方法の第2実施形態を模式的に示す断面図である。 基材の製造に用いる製造装置の構成を示す断面図である。 基材の製造方法の第1の工程を示す断面図である。 基材の製造方法の第2の工程を示す断面図である 基材の製造方法の第3の工程を示す断面図である。 図4〜図6に示す第1の工程〜第3の工程を繰り返し行った状態を示す断面図である。 基材の形状を示す断面図である。 本発明の錠剤の一例を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
≪錠剤の製造方法≫
まず、本発明の錠剤の製造方法について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の錠剤の製造方法の第1実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の錠剤10の製造方法は、粉末を含む組成物(基材形成用組成物)を用いて基材1を形成する基材形成工程(1a)と、下地層3を形成する下地層形成工程(1b)と、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部2の形成に用いる指標部形成用組成物2’を下地層3が形成された基材1に付与する指標部形成用組成物付与工程(1c)とを有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
<基材形成工程>
本工程では、粉末を含む組成物(基材形成用組成物)を用いて基材1を形成する(1a)。
基材形成用組成物を構成する粉末は、白色のものであるのが好ましい。これにより、白色の基材1を好適に形成することができ、指標部2の視認性を特に優れたものとすることができる。この場合、後に詳述する指標部2は、有色でかつ白色以外の色であるのが好ましい。これにより、指標部2の視認性をさらに優れたものとすることができる。
製造すべき錠剤の種類等によって異なるが、基材形成用組成物を構成する粉末としては、例えば、錠剤の用途に応じた有効成分(例えば、錠剤が医薬品の場合は、医薬成分)や、賦形剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、流動化剤、甘味剤、滑沢剤、無機塩類、生薬類、酵素類、有機酸類、保湿剤、着色剤、香料、洗浄剤(酸化剤)、発泡剤、界面活性剤、結合剤、消臭剤、色素、キレート剤等が挙げられる。特に、医薬品の錠剤では医薬成分、賦形剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、流動化剤、界面活性剤、着色剤、甘味剤、滑沢剤等を用いることができ、入浴剤では無機塩類、生薬類、酵素類、有機酸類、保湿剤、着色剤、香料等を用いることができ、各種洗浄剤では洗浄剤(酸化剤)、発泡剤、界面活性剤、酵素類、賦形剤、結合剤、消臭剤、香料、色素、キレート剤等を用いることができる。
本発明の錠剤が医薬品である場合、医薬成分は、それ自体が、固形状、結晶状、油状、溶液状等、いかなる形態を有するものでもよい。
また、医薬成分としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、滋養強壮保健薬、向精神薬、抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、中枢神経作用薬、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸薬、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、制吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、アレルギー用薬、抗ヒスタミン剤、歯科口腔用薬、強心剤、不整脈用剤、利尿薬、血圧降下剤、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、血液凝固阻止剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、抗リウマチ薬、骨格筋弛緩薬、鎮けい剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療薬、抗悪性腫瘍剤等から選択される1種または2種以上を用いることができる。
解熱鎮痛消炎薬としては、例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、エテンザミド、塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、ジクロフェナクナトリウム、リン酸ジヒドロコデイン、サリチルアミド、アミノピリン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシン、カフェイン、無水カフェイン等が挙げられる。滋養強壮保健薬には、例えば、ビタミンA、ビタミンB1(ジベンゾイルチアミンおよびフルスルチアミン塩酸塩等)、ビタミンB2(酪酸リボフラビン等)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン等)、ビタミンB12(酢酸ヒドロキソコバラミンおよびシアノコバラミン等)、ビタミンC(アスコルビン酸およびL−アスコルビン酸ナトリウム等)、ビタミンDおよびビタミンE(酢酸d−α−トコフェロール等)のビタミン、カルシウム、マグネシウムおよび鉄等のミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖および生薬等が含まれる。向精神薬としては、例えば、クロルプロマジン、レセルピン等が挙げられる。抗うつ薬としては、例えば、アンフェタミン、イミプラミン、塩酸マプロチリン等が挙げられる。抗不安薬としては、例えば、ジアゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド等が挙げられる。催眠鎮静薬としては、例えば、エスタゾラム、ジアゼパム、ニトラゼパム、ペルラピン、フェノバルビタールナトリウム等が挙げられる。鎮痙薬には、例えば、臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸パパベリン等が含まれる。中枢神経作用薬としては、例えば、シチコリン等が挙げられる。脳代謝改善剤としては、例えば、塩酸メクロフェニキセート等が挙げられる。脳循環改善剤としては、例えば、ビンポセチン等が挙げられる。抗てんかん剤としては、例えば、フェニトイン、カルバマゼピン等が挙げられる。交感神経興奮剤としては、例えば、塩酸イソプロテレノール等が挙げられる。胃腸薬には、例えば、ジアスターゼ、含糖ペプシン、ロートエキス、セルラーゼAP3、リパーゼAP、ケイヒ油等の健胃消化剤;塩化ベルベリン、耐性乳酸菌、ビフィズス菌等の整腸剤等が含まれる。制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。抗潰瘍剤としては、例えば、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、シメチジン、ファモチジン、塩酸ラニチジン等が挙げられる。鎮咳去痰剤としては、例えば、塩酸クロペラスチン、臭化水素酸デキストロメルトファン、テオフィリン、グァヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、リン酸コデイン等が挙げられる。制吐剤としては、例えば、塩酸ジフェニドール、メトクロプラミド等が挙げられる。呼吸促進剤としては、例えば、酒石酸レバロルファン等が挙げられる。気管支拡張剤としては、例えば、テオフィリン、硫酸サルブタモール等が挙げられる。アレルギー用薬としては、例えば、アンレキサノクス、セラトロダスト等が挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル、dl−マレイン酸クロルフェニラミン等が挙げられる。歯科口腔用薬としては、例えば、オキシテトラサイクリン、トリアムシノロンアセトニド、塩酸クロルヘキシジン、リドカイン等が例示される。強心剤としては、例えば、ジゴキシン、カフェイン等が挙げられる。不整脈用剤としては、例えば、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、ピンドロール等が挙げられる。利尿薬としては、例えば、フロセミド、イソソルピドおよびヒドロクロロチアジド等が挙げられる。血圧降下剤としては、例えば、カプトプリル、塩酸デラプリル、塩酸ヒドララジン、塩酸ラベタロール、塩酸マニジピン、カンデサルタンシレキセチル、メチルドパ、ペリンドプリルエルブミン等が挙げられる。血管収縮剤としては、例えば、塩酸フェニレフリン等が挙げられる。冠血管拡張剤としては、例えば、塩酸カルボクロメン、モルシドミン、塩酸ペラパミル等が挙げられる。末梢血管拡張薬としては、例えば、シンナリジン等が挙げられる。血液凝固阻止剤としては、例えば、ジクマロール等が挙げられる。高脂血症用剤としては、例えば、セリバスタチンナトリウム、シンバスタチン、プラバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物等が挙げられる。利胆剤としては、例えば、デヒドロコール酸、トレピプトン等が挙げられる。抗生物質には、例えば、セファレキシン、アモキシシリン、セファクロル、塩酸ピプメシリナム、塩酸セフォチアムヘキセチル、セファドロキシル、セフィキシム、セフジトレンピボキシル、セフテラムピボキシル、セフポドキシミプロキセチル等のセフェム系;アンピシリン、シクラシン、ナリジクス酸、エノキサシン等の合成抗菌剤カルモナムナトリウム等のモノバクタム系;ペネム系;カルバペネム系抗生物質等が挙げられる。化学療法剤としては、例えば、スルファメチゾール等が挙げられる。糖尿病用剤としては、例えば、トルブタミド、ボグリボース、塩酸ピオグリタゾン、グリベンクラミド、トログリダゾン等が挙げられる。骨粗しょう症用剤としては、例えば、イプリフラボン等が挙げられる。骨格筋弛緩薬としては、例えば、メトカルバモール等が挙げられる。鎮けい剤としては、例えば、塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等が挙げられる。抗リウマチ薬としては、例えば、メソトレキセート、ブシラミン等が挙げられる。ホルモン剤としては、例えば、リオチロニンナトリウム、リン酸デキメタゾンナトリウム、プレドニゾロン、オキセンドロン、酢酸リュープロレリン等が挙げられる。アルカロイド系麻薬として、例えば、アヘン、塩酸モルヒネ、トコン、塩酸オキシコドン、塩酸アヘンアルカロイド、塩酸コカイン等が挙げられる。サルファ剤としては、例えば、スルフィソミジン、スルファメチゾール等が挙げられる。痛風治療薬としては、例えば、アロプリノール、コルヒチン等が挙げられる。抗悪性腫瘍剤としては、例えば、5−フルオロウラシル、ウラシル、マイトマイシン等が挙げられる。医薬成分(活性成分)は、一般に医療、食品分野等で用いられる希釈剤等によって希釈されたものであってもよい。また、活性成分の苦味のマスキングを目的として処理したものを用いてもよい。
賦形剤としては、例えば、糖アルコール類、糖類、リン酸カルシウム類、結晶セルロース類、デンプン類、リン酸ナトリウム類、ゼラチン等が挙げられる。好ましい賦形剤としては糖アルコール類や糖類が挙げられる。糖アルコール類としては、例えば、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。糖としては、例えばブドウ糖、果糖、乳糖、白糖、トレハロース、麦芽糖、オリゴ糖等が挙げられる。
結合剤としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース、寒天、コポリビドン、精製セラック、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合物、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、プルラン、ペクチン、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーSおよびメチルセルロースが挙げられる。中でも、結合剤としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、プルラン、ポリビニルアルコール等が好ましく、とりわけアミノアルキルメタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースが特に好ましく用いられる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、セルロースまたはその誘導体、デンプンまたはその誘導体等が挙げられる。
pH調製剤としては、例えば、クエン酸およびその塩、リン酸およびその塩、炭酸およびその塩、酒石酸およびその塩、フマル酸およびその塩、酢酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、コハク酸およびその塩、乳酸およびその塩等が挙げられる。
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、酸化チタン、ステアリン酸、トウモロコシゲル、重質無水ケイ酸等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、リン酸水素ナトリウム類、リン酸水素カリウム類等が挙げられる。
着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用黄色5号、食用黄色4号、アルミニウムキレート、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
甘味剤としては、例えば、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。
中でも、基材形成用組成物を構成する粉末は、乳糖、デンプン、デキストリン、白糖、ブドウ糖、結晶セルロースおよび糖アルコールよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、指標部2の視認性を特に優れたものとすることができる。また、指標部2や下地層3との密着性を特に優れたものとし、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。特に、下地層3が後述するような材料で構成されたものである場合、粉末が上記のような材料で構成されたものであることによる効果がより顕著に発揮される。糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール等が挙げられる。
基材形成用組成物としては、実質的に粉末のみを含むものを用いてもよいし、粉末以外の成分(その他の成分)を含むものを用いてもよい。
基材形成用組成物を構成する粉末以外の成分としては、例えば、前記粉末を分散させる分散媒、前記粉末を溶解する溶媒等が挙げられる。
本工程で形成される基材1は、図示のように、凹部11を有するものであるのが好ましい。これにより、後に詳述する指標部2を、その少なくとも一部が凹部11内に設けられたものとすることができる。その結果、最終的に得られる錠剤10において、基材1と指標部2との密着性をさらに優れたものとし、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
本工程は、いかなる方法で行うものであってもよいが、粉末を含む基材形成用組成物を圧縮成形することにより行うものであるのが好ましい。これにより、製造される錠剤10の機械的強度、形状の安定性を特に優れたものとすることができる。また、指標部2の基材1に対する密着性を特に優れたものとすることができ、長期間にわたって、上記のような効果をより確実に発揮させることができる。
また、本実施形態のように、基材1が凹部11を有するものである場合、凹部11はいかなる方法で形成されたものであってもよく、例えば、凹部11に対応する凸部を有する成形型を用いた圧縮成形により、凹部11を有する基材1を形成してもよいし、凹部11を有さない母材を形成し、その後、当該母材に、レーザー光による加工、切削等の機械的加工、エッチング等の化学的加工等を施すことにより、凹部11を形成し、これを基材1としてもよい。
また、基材1は、例えば、粉末で構成された層を形成する第1の工程と、前記層に前記粉末を凝集させる液体を付与する第2の工程とを有し、前記第1の工程と前記第2の工程とを繰り返し行うことにより、複数の前記層を積層させ、三次元的な形状を有する基材1(第2実施形態においては、仮成形体1’)を形成する方法を用いて製造されたものであってもよい。これにより、基材1が複雑な形状を有するものであっても容易かつ確実に形成することができる。また、組成等が異なる複数の層を有する基材1を備えた錠剤10や、組成等が傾斜的に変化する傾斜材料で構成された基材1を備えた錠剤10であっても、好適に製造することができる。また、オンデマンド性が優れたものとなり、小ロット生産、多品種生産にも好適に対応することができる。
また、基材1は、上記のような方法(第1の工程と第2の工程とを有し、これらを繰り返し行う方法)を用いて製造された母材を、圧縮(加圧)することにより製造されたものであってもよい。これにより、形状の安定性を特に優れたものとすることができ、より長期間にわたって形状を保持し、輸送による振動や衝撃等による形状の変化がより確実に防止される。
以下、第1の工程と第2の工程とを有し、これらを繰り返し行う方法を用いた基材1の製造方法について詳細に説明する。
図3は、基材の製造に用いる製造装置の構成を示す断面図、図4は、基材の製造方法の第1の工程を示す断面図、図5は、基材の製造方法の第2の工程を示す断面図、図6は、基材の製造方法の第3の工程を示す断面図、図7は、図4〜図6に示す第1の工程〜第3の工程を繰り返し行った状態を示す断面図、図8は、基材の形状を示す断面図である。
基材1は、例えば、図3に示すような製造装置を用いて製造することができる。
図3に示すように、製造装置S100は、粉末供給槽S1と、形成ステージS2と、粉末伸展部S3と、液滴吐出ヘッドS4とを有しており、また、紙面垂直方向に所定の長さを有している。
粉末供給槽S1には、基材1(第2実施形態においては、「仮成形体1’」。以下、同様。)の製造に用いられる粉末6が貯えられている。
粉末供給槽S1の底部S11は、ピストンとなっており、鉛直方向に移動可能となっている。
形成ステージS2は、粉末供給槽S1から供給された粉末6と、液体7とを接触させることにより粉末6を凝集させ、基材1を製造するためのステージである。
形成ステージS2は、第1の部材S21と、第1の部材S21の上面側に配置された第2の部材S22とを備えている。第1の部材S21には開口部が設けられておらず、第2の部材S22には、粉末6の粒子よりも大きい開口部S221が設けられている。第1の部材S21の幅(図中の横方向の幅)は、第2の部材S22の幅よりも小さいものとなっている。また、第1の部材S21と第2の部材S22とは、分離可能に構成されている。そして、第1の部材S21と第2の部材S22とが接触した状態(図3〜図7に示す状態)では、第2の部材S22の開口部S221が設けられた領域が、第1の部材S21により塞がれている。
形成ステージS2は、ピストンにより鉛直方向に移動可能となっている。
粉末伸展部S3は、ブレードS31と、ブレードS31の動作を規制するガイドレール(図示せず)と、ブレードS31を移動させる駆動部(図示せず)とを備えている。
ブレードS31は、ガイドレールによる規制により、粉末供給槽S1上および形成ステージS2上を略水平方向に移動するものであり、粉末供給槽S1の粉末6を用いて、形成ステージS2上に層61を形成する機能を有する。
ブレードS31は、Y方向(図中の奥行き方向)に長く、下部先端が尖った刃状の形状を有している。ブレードS31のY方向の長さは、形成ステージS2のY方向の幅(基材形成領域の幅)をカバーできる長さとなっている。なお、ブレードS31による粉末6の伸展(拡散)が円滑に行えるように、ブレードに微小振動を与えるバイブレーション機構を付加してもよい。
駆動部は、ブレードS31をZ方向(図中の上下方向。鉛直方向。)に昇降移動させたり、X方向(図中の左右方向。水平方向。)に往復移動させることが可能となっている。そして、駆動制御部からの指令に基づいて駆動部が動作することにより、ブレードS31のX方向およびZ方向の移動が可能となる。
液滴吐出ヘッドS4は、粉末6の層61の少なくとも一部に向けて、液体7を吐出する機能を有する。
このような製造装置S100を用いた製造方法の各工程について、順次説明する。
[粉末で構成された層の形成(第1の工程)]
まず、粉末供給槽S1中の粉末6を用いて、形成ステージS2上に粉末6の層61を形成する。
本実施形態では、図4に示すように、ブレードS31が、粉末供給槽S1上および形成ステージS2上を略水平方向に移動することにより、粉末供給槽S1の上面付近の粉末6が、形成ステージS2上に供給され、層61が形成される。
なお、粉末供給槽S1から供給された粉末6の余剰分は、粉末回収槽S5に回収される。
[液体の吐出(第2の工程)]
次に、上述のようにして形成した層61の少なくとも一部に、液体7を接触させる。これにより、層61を構成する粉末6のうち液体7と接触したものが凝集する。このようにして粉末6の凝集を行うことにより、結合材(バインダー)を添加することなく、粉末6を構成する粒子同士を結合させることができる。このため、得られる基材1を、不純物の含有量の少ない、純度の高いものとすることができる。なお、粉末6の凝集は、粉末6を構成する材料の化学反応を伴うものであってもよい。また、液体7については、後に詳述する。
本実施形態では、液体7は、液滴吐出ヘッドS4から液滴として吐出される。液体7がこのような液滴であると、目的とする部位において、粉末6と液体7との接触を精度良くかつ効率良く行うことができる。その結果、基材1の寸法精度がさらに優れたものとなるとともに、生産性も向上する。液滴吐出法としては、インクジェット法を好適に採用することができる。これにより、液体7の付与量、付与部位等をより精確に制御することができ、所望の基材1を容易かつ確実に製造することができる。
図5に示すように、本工程では、液滴吐出ヘッドS4は、粉末供給槽S1上および形成ステージS2上を略水平方向に順次移動し、凝集部62が目的のパターンとなるように液体7の液滴を吐出する。
[第3の工程]
その後、図6に示すように、粉末供給槽S1の底部S11を上方に移動させることにより、粉末供給槽S1内の粉末6の上面の高さを調節するとともに、形成ステージS2を下方に移動させることにより、層61の上面の高さを調整する。
このとき、底部S11の移動距離は、前記第1の工程で粉末供給槽S1から供給された粉末6の高さとほぼ等しいものであるのが好ましい。また、形成ステージS2の移動距離は、前記第1の工程で形成された層61の平均厚さとほぼ等しいものであるのが好ましい。これにより、積層される複数の層61の厚さをほぼ一定にすることができる。
その後、前記第1の工程、第2の工程および第3の工程を繰り返し行うことにより、図7に示すように、複数の層61が積層され、凝集部62により目的とする基材1の形状が形成される。
このように、当該方法は、凝集部62を積み重ねることにより、目的の基材1を製造する点に特徴を有する。これにより、目的とする基材1が複雑な形状を有するものであっても、容易に作製することができる。また、これにより、得られる基材1は寸法精度に優れるものとなる。また、当該方法によれば、多数個の基材1を同時に製造することができるため、錠剤10の生産性を特に優れたものとすることができる。
次に、ピストンにより、形成ステージS2を下方に移動させる。これにより、第2の部材S22の下面が段差部S6に当接する。その後さらに、ピストンを駆動させると、第1の部材S21と第2の部材S22とが分離し、第1の部材S21のみが下方に移動する。その結果、凝集していない粉末6が開口部S221を通過して落下し、凝集していない粉末6と基材1とが分離されることとなる(図8参照)。この際、図示しない振動手段により第2の部材S22に振動を与えたり、吸引手段(図示せず)により凝集していない粉末6を下方に吸引したり、吹き飛ばし手段(図示せず)により下方に向けて気体を吹き付けたりしてもよい。これにより、凝集していない粉末6と基材1との分離の効率がさらに向上し、錠剤10の生産性をさらに優れたものとすることができる。
次に、液体7について詳細に説明する。
[液体]
液体7は、粉末6を凝集させるものであればいかなるものであってもよい。
液体7としては、例えば、一般に、溶媒、分散媒として用いられる液状の無機化合物、有機化合物を用いることができるが、水または水を主とするものであるのが好ましい。水は特に安全性の高いものであるため、これにより、人体等への悪影響の発生をより効果的に防止することができる。また、水は、容易に除去することができるため、基材1(錠剤10)中に液体7が残存することによる問題の発生をより効果的に防止することができる。また、粉末6が上述したような材料で構成されたものである場合、水を用いることにより粉末の凝集が好適に進行し、錠剤10の生産性を特に優れたものとすることができる。また、水を用いることにより、粉末の凝集の程度をより好適に制御することができる。その結果、形成すべき錠剤の大きさ、重量(粉末の含有率)等をより正確に制御することができる。
また、液体7は、例えば、基材1(錠剤10)の構成成分となるべき成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、粉末6の構成成分と同一の物質(以下、「成分A」ともいう)や、最終的に得られる錠剤10(基材1)中においては、粉末として存在するものであり、かつ、粉末6とは異なる組成の成分(以下、「成分B」ともいう)等が挙げられる。液体7が成分Aを含むものであることにより、例えば、液体7中の溶媒成分が、粉末6を溶解しやすいものである場合(粉末6が液体7中の溶媒成分に対する溶解度の高いものである場合)であっても、液体7を粉末6に付与した際に粉末が液体7に溶解してしまい、所望の形状の基材1を製造することができなくなるといった問題の発生をより確実に防止することができる。また、例えば、粉末6と成分Bとの均一な混合が困難であり、粉末6として成分Bも含むものを用いた場合においては、個体間での組成のばらつきが生じやすいが、液体7が成分Bを含むものであることにより、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。また、成分Bを含む液体7を用いる場合、例えば、複数種の液体7を用いることにより、組成等が異なる複数の層を有する基材1を備えた錠剤10や、組成等が傾斜的に変化する傾斜材料で構成された基材1を備えた錠剤10をより好適に製造することができる。また、成分Bを含む液体7を用いることにより、1種類の粉末6を用いて、組成等が異なる複数の層を有する基材1を備えた錠剤10や、組成等が傾斜的に変化する傾斜材料で構成された基材1を備えた錠剤10を製造することができるため、回収される粉末は、粉末供給槽S1から供給された粉末と同一のものとなる。その結果、回収された粉末(凝集していない粉末6)の再利用が容易となる。
<下地層形成工程>
次に、基材1の表面に下地層3を形成する(1b)。
このように本実施形態では、前述した基材形成工程と、後に詳述する指標部形成用組成物付与工程とに加え、これらの間に、下地層3を形成する下地層形成工程をさらに有している。これにより、基材1と指標部2との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
下地層3は、基材1の表面全体に形成するものであってもよいが、基材1上の一部のみに形成するものであるのが好ましい。これにより、錠剤10中に占める下地層3の構成材料の含有率が必要以上に高くなってしまうことをより確実に防止することができる。その結果、錠剤10が本来有すべき特性をより確実に発揮させることができる。また、錠剤10の生産コスト低減の観点等からも有利である。特に、下地層3は、形成すべき指標部2に対応する領域に選択的に形成されるものであるのが好ましい。これにより、上述した効果はより顕著に発揮される。
本工程は、下地層3の形成用の組成物(下地層形成用組成物)を用いて行うことができる。
下地層形成用組成物としては、下地層3の構成材料またはその前駆体を含むものを用いることができる。
また、下地層形成用組成物は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、下地層3の構成材料またはその前駆体を溶解する溶媒、下地層3の構成材料またはその前駆体を分散させる分散媒等が挙げられる。
本工程は、いかなる方法を用いて行うものであってもよいが、インクジェット法を用いて行うものであるのが好ましい。これにより、所望の部位に選択的に下地層3を形成することができ、錠剤10中に占める下地層3の構成材料の含有率が必要以上に高くなってしまうことをより確実に防止することができる。その結果、錠剤10が本来有すべき特性をより確実に発揮させることができる。また、錠剤10の生産コスト低減の観点等からも有利である。また、本工程において目的とする形状の下地層3(形成すべき指標部2に対応する形状の下地層3)を形成した場合、後述する指標部形成用組成物付与工程において何らかの理由により指標部形成用組成物2’を付与する部位の位置ずれが生じてしまった場合であっても、下地層3および基材1(後述する第2実施形態では仮成形体1’)に対する液状(流動性を有する)の指標部形成用組成物2’の親和性の違いから、目的とする形状の指標部2を確実に形成することができる。
下地層3は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、基材1と指標部2との密着性をさらに優れたものとし、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。また、これらの材料は、白色度が高いものであるため、基材1がいかなる色調のものであっても、指標部2の視認性をより確実に優れたものとすることができる。特に、基材形成用組成物(後述する第2実施形態では仮成形体形成用組成物)を構成する粉末が上述したような材料で構成されたものである場合、このような効果はより顕著に発揮される。
<指標部形成用組成物付与工程>
次に、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部2の形成に用いる指標部形成用組成物2’を、下地層3が設けられた基材1に付与する(1c)。これにより、錠剤10が得られる。このような錠剤は、単なる凹部としての指標が設けられた従来の錠剤に比べて、指標部の視認性に優れている。また、本発明によれば、このような視認性に優れた指標部を備えた錠剤を生産性良く製造することができる。また、インクジェット法を用いることにより、刻印に比べて、より細かい文字、記号等を有する指標部を確実に形成することができる。その結果、指標部により多くの情報を盛り込むことが可能となる。また、錠剤の有効成分(基材の構成材料)の含有率が相対的に低くなることを防止しつつ、上記のような効果を確実に発揮することができる。また、インクジェット法を用いることにより、多品種生産に好適に対応することができる。また、オンデマンド性が優れたものとなり、小ロット生産にも好適に対応することができる。
特に、本実施形態では、基材1は下地層3が設けられたものであり、本工程において、指標部形成用組成物2’は、少なくともその一部が基材1の下地層3が設けられた部位に付与される。これにより、基材1と指標部2との密着性を特に優れたものとし、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
指標部形成用組成物としては、指標部2の構成材料またはその前駆体を含むものを用いることができる。
また、指標部形成用組成物は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、指標部2の構成材料またはその前駆体を溶解する溶媒、指標部2の構成材料またはその前駆体を分散させる分散媒等が挙げられる。
指標部2は、食用色素、金コロイド、白金コロイドおよび銀コロイドよりなる群から選択される1種または2種以上を含む組成物(指標部形成用組成物2’)を用いて形成されたものであるのが好ましい。これにより、指標部2の視認性を特に優れたものとすることができる。また、錠剤10全体としての審美性、高級感等を特に優れたものとすることができる。また、これらの材料は、特に安全性の高いものであるため、人体等への悪影響の発生をより効果的に防止することができる。
前記指標は、商品名(製品名)または商品(製品)を特定するための記号であるのが好ましい。これにより、類似した形状の他製品との誤使用の危険性を低減させることができる。また、他社製品等との差別化を図り、当該製品の宣伝広告機能を発揮させることができる。また、当該製品の高級ブランド化等を図ることができる。
また、前記指標は、暗号化情報であるのが好ましい。これにより、偽造の危険性を低減させることができる。また、偽造が行われた場合に、当該事実を速やかに発見することが可能となる。
また、錠剤10は、指標として、2種以上の暗号化情報を有するものであるのが好ましい。これにより、上記のような効果がより顕著に発揮される。
(第2実施形態)
次に、本発明の錠剤の製造方法の第2実施形態について説明する。以下の説明では、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明は省略する。
図2は、本発明の錠剤の製造方法の第2実施形態を模式的に示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態の錠剤10の製造方法は、粉末を含む組成物(仮成形体形成用組成物)を用いて仮成形体1’を形成する仮成形体形成工程(2a)と、下地層3を形成する下地層形成工程(2b)と、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部2の形成に用いる指標部形成用組成物2’を、下地層3が形成された仮成形体1’に付与する指標部形成用組成物付与工程(2c)と、指標部形成用組成物2’が付与された仮成形体1’を圧縮する圧縮工程(2d)とを有している。
<仮成形体形成工程>
本工程では、粉末を含む組成物(仮成形体形成用組成物)を用いて基材1を形成する(1a)。
仮成形体形成用組成物としては、前述した基材形成用組成物と同様のものを用いることができる。
また、仮成形体形成用組成物を構成する粉末としては、基材形成用組成物の構成物質としての粉末についての説明で述べたような条件を満足するものであるのが好ましい。
本工程で形成される仮成形体1’は、図示のように、凹部11’を有するものであるのが好ましい。これにより、最終的に得られる錠剤10を、凹部11を有するものとするものとして確実に製造することができ、指標部2を、その少なくとも一部が凹部11内に設けられたものとすることができる。その結果、最終的に得られる錠剤10において、基材1と指標部2との密着性をさらに優れたものとし、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。
本工程は、いかなる方法で行うものであってもよいが、例えば、粉末で構成された層を形成する第1の工程と、前記層に前記粉末を凝集させる液体を付与する第2の工程とを有し、前記第1の工程と前記第2の工程とを繰り返し行うことにより、複数の前記層を積層させ、三次元的な形状を有する仮成形体1’を形成する方法(前述した実施形態において図3〜図8を参照しつつ説明したような方法)を用いて製造されたものであるのが好ましい。これにより、仮成形体1’(基材1)が複雑な形状を有するものであっても容易かつ確実に形成することができる。また、組成等が異なる複数の層を有する基材1を備えた錠剤10や、組成等が傾斜的に変化する傾斜材料で構成された基材1を備えた錠剤10であっても、好適に製造することができる。また、オンデマンド性が優れたものとなり、小ロット生産、多品種生産にも好適に対応することができる。また、このような方法を用いることにより、密度が低いものの、錠剤の製造過程での取り扱いに関して十分な強度(形状の安定性)を有する仮成形体1’を、容易かつ確実に製造することができる。このため、後の圧縮工程をより好適に行うことができる。
<下地層形成工程>
仮成形体形成工程の後に、基材1の表面に下地層3を形成する(1b)。
このように本実施形態では、仮成形体形成工程と指標部形成用組成物付与工程との間に、下地層3を形成する下地層形成工程をさらに有している。これにより、基材1と指標部2との密着性を特に優れたものとすることができるとともに、指標部2の視認性を長期間にわたってより確実に優れたものとすることができる。また、錠剤10の製造過程において、仮成形体1’と指標部形成用組成物2’との密着性を優れたものとすることができるため、錠剤10の製造過程(例えば、圧縮工程時)において、指標部形成用組成物2’が脱落してしまうことをより効果的に防止することができる。その結果、錠剤10の生産性、歩留まり、製造される錠剤の信頼性を特に優れたものとすることができる。
<指標部形成用組成物付与工程>
次に、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部2の形成に用いる指標部形成用組成物2’を、下地層3が設けられた仮成形体1’に付与する(2c)。前述した実施形態では、指標部形成用組成物2’を、下地層3が設けられた基材1に付与したのに対し、本実施形態では、指標部形成用組成物2’を、下地層3が設けられた仮成形体1’に付与する以外は、前述した実施形態と同様にして行うことができ、これにより、前述したのと同様な効果が得られる。
また、本実施形態において、下地層3が、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである場合、前述した実施形態で述べたような効果に加え、以下のような効果も得られる。すなわち、本実施形態では、本工程の後に圧縮工程を有しているが、下地層3が上記のような材料で構成されたものであると、圧縮成時において、指標部形成用組成物2’が脱落してしまうことをさらに効果的に防止することができる。その結果、錠剤10の生産性、歩留まり、製造される錠剤の信頼性をさらに優れたものとすることができる。
<圧縮工程>
その後、指標部形成用組成物2’が付与された仮成形体1’を圧縮(加圧)する(2d)。これにより、錠剤10が得られる。
仮成形体1’を圧縮(加圧)は、等方的に行うものであるのが好ましい。これにより、所望の形状の錠剤10をより確実に得ることができる。
このようにして錠剤を製造することにより、前述した実施形態で述べたような効果に加え、以下のような効果も得られる。すなわち、基材を形成した後に指標部形成用組成物を付与する場合に比べて、さらに細かい文字、記号等を有する指標部2を確実に形成することができるため、指標部2にさらに多くの情報を盛り込むことが可能となる。また、錠剤10の有効成分(基材1の構成材料)の含有率が相対的に低くなることをより効果的に防止しつつ、上記のような効果をさらに確実に発揮することができる。なお、指標部形成前の仮成形体1'を圧縮(加圧)した後に、指標部形成を行っても良い。この場合には圧縮工程の影響を指標部が受けないため、より複雑な指標部を形成することが可能となる。
≪錠剤≫
次に、本発明の錠剤について説明する。
図9は、本発明の錠剤の一例を模式的に示す斜視図である。
本発明の錠剤10は、粉末が結合してなる基材1と、インクジェット法を用いて形成された指標として機能する指標部2とを有するものである。これにより、錠剤を視認性に優れた指標部を有するものとすることができる。
本発明の錠剤は、例えば、上述したような本発明の方法を用いることにより、好適に製造することができる。
図9に示す構成では、錠剤10は、指標部2として、商品(製品)を特定するための記号としての識別コード2aと、暗号化情報2bとを備えている。
本発明の錠剤は、いかなる用途のものであってもよいが、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、サプリメント、食品(健康食品を含む)、入浴剤、洗浄剤(ポット洗浄剤、入れ歯洗浄剤、マウスピース洗浄剤、歯科矯正具洗浄剤、パイプ洗浄剤、洗濯槽洗浄剤、浴槽洗浄剤、トイレ洗浄剤等)、農薬、塩素消毒剤、浄水剤、芳香剤、尿石洗浄剤等に好適に適用することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、前述した実施形態では、錠剤の製造方法では、下地層形成工程を有する場合について代表的に説明したが、本発明の錠剤の製造方法は、下地層形成工程を有していないものであってもよい。
また、前述した第2実施形態では、下地層を形成し、さらに、指標部形成用組成物を付与した後に、仮成形体を圧縮する場合について説明したが、本発明の製造方法では、下地層の形成後であって、指標部形成用組成物の付与前に、仮成形体を圧縮してもよい。
また、前述した実施形態では、下地層は、基材または仮成形体を用意した後、その表面に形成するものとして説明したが、下地層はこのようにして形成されたものでなくてもよい。例えば、上述したような第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程と前記第2の工程とを繰り返し行う方法において、下地層の構成材料を含む液体または粉末を用いて、基材または仮成形体と同時に、下地層を形成してもよい。
また、前述した実施形態では、基材の製造方法としての第1の工程と第2の工程とを有し、これらを繰り返し行う方法について、1種類の粉末6を用いる場合について代表的に説明したが、複数種の粉末6を用いてもよい。これにより、組成等が異なる複数の層を有する基材1を備えた錠剤10や、組成等が傾斜的に変化する傾斜材料で構成された基材1を備えた錠剤10を好適に製造することができる。
また、本発明の製造方法では、上述したような工程に加え、さらに他の工程(前処理工程、中間処理工程、後処理工程)を有するものであってもよい。例えば、上述したような各工程を終えた後に、錠剤の形状を調整する後処理工程(形状調整工程)等を有していてもよい。
また、本発明の錠剤は、粉末が結合してなる基材と、インクジェット法を用いて形成された指標として機能する指標部とを有するものであればよく、上述した方法で製造されたものに限定されない。例えば、上述したような第1の工程と第2の工程とを有し、前記第1の工程と前記第2の工程とを繰り返し行う方法において、粉末凝集用の液体に加え、または、粉末凝集用の液体に代えて、液体としての指標部形成用組成物を用いる方法を用いて製造されたものであってもよい。
また、下地層は、複数層の積層体や、厚さ方向に組成が変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
また、基材、下地層、指標部は、いずれも、各部位で同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成の材料で構成された複数の領域を有するものであってもよい。
また、基材、下地層、指標部は、組成以外条件が各部位で異なるものであってもよい。より具体的には、基材は、構成材料としての粉末の粒径が互いに異なる複数の領域を有するものであってもよい。
[1]錠剤の製造
以下のようにして、錠剤を製造した。
(実施例1)
<基材形成工程>
まず、白色の粉末としてのD−マンニトール70重量部とビタミンC(アスコルビン酸)30重量部とを予備混合した混合粉末に対し、常法により、流動層造流機を用いて、グアーガム0.3重量部を水99.7重量部に溶解したバインダー液を、スプレーで噴霧しながら造粒した。続いて乾燥を行い、さらに整粒機にて顆粒状とした。そして、このようにして得られた顆粒状粉末に対してステアリン酸マグネシウムを0.5重量部の割合で添加し、混合機にて均一になるまで混合した。その後、打錠機を用いることで(圧縮成形により)錠剤状の基材として成形した(図1(1a)参照)。得られた基材は、形成すべき指標部に対応する部位に深さ0.5mmの凹部を有するものであった。
<下地層形成工程>
次に、インクジェット法により、上記のようにして得られた基材の凹部内に選択的に、下地層形成用組成物を付与した(図1(1b)参照)。下地層形成用組成物としては、二酸化チタン(平均粒径36nm):10重量部と、糖アルコール HS−500(株式会社林原製):10重量部、ポリシロキサン系ノニオン界面活性剤(BYK−348、ビックケミー・ジャパン社製):0.5重量部と、イオン交換水:79.5重量部との混合物を用いた。その後、真空乾燥機を用いて、40℃×24時間という条件で水分を除去することにより、基材の凹部内に選択的に下地層を形成した。
<指標部形成用組成物付与工程>
次に、インクジェット法により、下地層の表面に選択的に、指標部形成用組成物を付与した(図1(1c)参照)。その後、低圧水銀灯を用いて紫外線照射を実施しながら150℃の温風を30秒間吹き付けることで、指標部の金コロイドを焼結させ金属光沢を発現させ、続いて、真空乾燥機を用いて、40℃×24時間という条件で溶媒を除去することにより、下地層の表面(基材の凹部内)に選択的に指標部を形成し、図3に示すような錠剤を得た。
なお、指標部形成用組成物としては、以下のようにして調製したものを用いた。
すなわち、0.03mol/Lの塩化金酸(HAuCl)水溶液30mLを反応容器に入れ、次いで0.05mol/Lの臭化テトラオクチルアンモニウムのトルエン溶液80mLを添加して、反応用水相と有機溶媒相の2相からなる混合液を調製した。常温、常圧下で3時間攪拌混合して、塩化金酸を反応用水相から有機溶媒相へ移動させた。その後、0.4mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液25mLを添加し、常温、常圧下で3時間攪拌混合して、反応させた。反応終了後、反応用水相は無色透明であり、有機溶媒相は暗紫色であった。反応用水相と有機溶媒相を分離させて、金コロイドのトルエン分散液を得た。
一方、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液27mLに、0.3mol/LのHS(CHCOOH水溶液(HS(CHCOOHはナカライテスク社製のものを使用)を9mL添加し、イオン交換水4mLを加えて十分攪拌し、40mLの移動用水相を準備した。
反応容器にこの移動用水相を注ぎいれ、これに上記にて調製した金コロイドのトルエン分散液を加え、攪拌を開始した。常温、常圧下で2時間攪拌し、金コロイドを移動用水相へ移動させた。移動操作終了後、移動用水相とトルエン相を分離し、金コロイドの水分散液を得た。このときの金コロイド濃度は約4重量%であった。
その後、実施例1の上記のようにして得られた金コロイドの水分散液:30gを攪拌させながら、イオン交換水:10gを徐々に滴下して、常温で20分間攪拌した。その後、5μmのメンブランフィルターで濾過して、指標部形成用組成物を得た。指標部形成用組成物中において、金微粒子は安定に分散していた。
(実施例2〜4)
表1に示すように条件を変更した以外は、前記実施例1と同様にして錠剤を製造した。
(実施例5)
基材形成工程を以下のようにして行った以外は、前記実施例1と同様にして錠剤を製造した。
すなわち、本実施例では、まず、白色の粉末としてのD−マンニトール70重量部とビタミンC(アスコルビン酸)30重量部との混合粉末を用意し、これを図3に示すような装置に適用して、図3〜図8に示すような方法(図4〜図6に示す各工程を複数回繰り返し行う方法)を用いて、凹部を有する部材を得た。なお、液体としては、水とD−マンニトールとビタミンB2(リボフラビン)との混合物を用いた。また、粉末を凝集させるべき領域に付与する液体の量を変化させることにより、前記部材を、組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものとして得た。
次に、前記部材を等方的に圧縮することにより、前記実施例1で製造したのと同様の形状を有する基材を得た。
(実施例6)
<仮成形体形成工程>
まず、白色の粉末としてのD−マンニトール70重量部とビタミンC(アスコルビン酸)30重量部との混合粉末を用意し、これを図3に示すような装置に適用して、図3〜図8に示すような方法(図4〜図6に示す各工程を複数回繰り返し行う方法)を用いて、凹部を有する仮成形体を得た。なお、液体としては、水とD−マンニトールとビタミンB2(リボフラビン)との混合物を用いた。また、粉末を凝集させるべき領域に付与する液体の量を変化させることにより、仮成形体を、組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものとして得た。
<下地層形成工程>
次に、インクジェット法により、上記のようにして得られた仮成形体の凹部内に選択的に、下地層形成用組成物を付与した(図2(2b)参照)。下地層形成用組成物としては、二酸化チタン(平均粒径36nm):10重量部と、糖アルコール HS−500(株式会社林原製):10重量部、ポリシロキサン系ノニオン界面活性剤(BYK−348、ビックケミー・ジャパン社製):0.5重量部と、イオン交換水:79.5重量部との混合物を用いた。その後、真空乾燥機を用いて、40℃×24時間という条件で水分を除去することにより、仮成形体の凹部内に選択的に下地層を形成した。
<指標部形成用組成物付与工程>
次に、インクジェット法により、下地層の表面に選択的に、指標部形成用組成物を付与した(図2(2c)参照)。その後、低圧水銀灯を用いて紫外線照射を実施しながら150℃の温風を30秒間吹き付けることで、指標部の金コロイドを焼結させて金属光沢を発現させ、続いて、真空乾燥機を用いて、40℃×24時間という条件で水分を除去することにより、下地層の表面(仮成形体の凹部内)に選択的に指標部を形成した。
なお、指標部形成用組成物としては、以下のようにして調製したものを用いた。
すなわち、0.03mol/Lの塩化金酸(HAuCl)水溶液30mLを反応容器に入れ、次いで0.05mol/Lの臭化テトラオクチルアンモニウムのトルエン溶液80mLを添加して、反応用水相と有機溶媒相の2相からなる混合液を調製した。常温、常圧下で3時間攪拌混合して、塩化金酸を反応用水相から有機溶媒相へ移動させた。その後、0.4mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液25mLを添加し、常温、常圧下で3時間攪拌混合して、反応させた。反応終了後、反応用水相は無色透明であり、有機溶媒相は暗紫色であった。反応用水相と有機溶媒相を分離させて、金コロイドのトルエン分散液を得た。
一方、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液27mLに、0.3mol/LのHS(CHCOOH水溶液(HS(CHCOOHはナカライテスク社製のものを使用)を9mL添加し、イオン交換水4mLを加えて十分攪拌し、40mLの移動用水相を準備した。
反応容器にこの移動用水相を注ぎいれ、これに上記にて調製した金コロイドのトルエン分散液を加え、攪拌を開始した。常温、常圧下で2時間攪拌し、金コロイドを移動用水相へ移動させた。移動操作終了後、移動用水相とトルエン相を分離し、金コロイドの水分散液を得た。このときの金コロイド濃度は約4重量%であった。
その後、実施例1の上記のようにして得られた金コロイドの水分散液:30gを攪拌させながら、イオン交換する:10gを徐々に滴下して、常温で20分間攪拌した。その後、5μmのメンブランフィルターで濾過して、指標部形成用組成物を得た。指標部形成用組成物中において、金微粒子は安定に分散していた。
<圧縮工程>
次に、指標部形成用組成物が付与された仮成形体を等方的に圧縮することにより、基材と下地層と指標部とを有し、図9に示すような外観の錠剤を得た(図2(2d)参照)。得られた錠剤は、下地層の表面(基材の凹部内)に選択的に指標部を形成が形成されたものであった。
(実施例7〜9)
表1に示すように条件を変更した以外は、前記実施例6と同様にして錠剤を製造した。
(比較例1)
下地層形成工程、指標部形成用組成物付与工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして錠剤を製造した。すなわち、本比較例では、基材形成工程で得られたものをそのまま錠剤とした。
(比較例2)
前記実施例1と同様にして得られた基材に対して、凹部内に選択的に指標部を形成することを目的としたスクリーン印刷法による印刷を行い、これにより、錠剤を得た。なお、スクリーン印刷法では、インク組成物が錠剤表面の凹部以外にも付着したり、印刷がずれてはみ出したりすることが避けられないものであった。
(比較例3)
基材の形状を、印刷が施される部位が平坦(凹部を有さない)なものとした以外は、前記実施例1と同様にして錠剤を製造した。
前記各実施例および各比較例の錠剤の構成、製造条件を表1にまとめて示す。
なお、表中、インクジェット法を「IJ法」、スクリーン印刷を「SC法」、基材形成工程、下地層形成工程、指標部形成用組成物付与工程をこの順で行う方法を「方法A1」、基材形成工程、指標部形成用組成物付与工程をこの順で行う方法を「方法A2」、仮成形体形成工程、下地層形成工程、指標部形成用組成物付与工程、圧縮工程をこの順で行う方法を「方法B1」、仮成形体形成工程、圧縮工程、指標部形成用組成物付与工程をこの順で行う方法を「方法B2」、基材形成工程のみからなる方法を「方法C1」、基材形成工程の後にスクリーン印刷法による印刷を行う方法を「方法C2」、D−マンニトールを「DM」、ビタミンC(アスコルビン酸)を「VC」、二酸化チタンを「TiO」、金を「Au」、ビタミンB2を「VB2」で示した。
Figure 2013159582
[2]評価
以上のようにして得られた錠剤に関して、以下のような評価を行った。
[2.1]視認性評価
前記各実施例および比較例で製造した各錠剤を、JIS Z 9110の照度基準に従い、学校(屋内)の保健室の最低基準である200Luxの照度下という条件で、目視により観察し、指標部の視認性について、以下の基準に従い評価した。
A:非常に優れた視認性を有している。
B:良好な視認性を有している。
C:視認性が不良。
[2.2]外観評価
前記各実施例および比較例で製造した各錠剤を目視により観察し、指標部の美的外観(審美性)について、以下の基準に従い評価した。
A:高級感のある良好な外観を有している。
B:外観が不良。
[2.3]耐久性評価
前記各実施例および比較例で製造した各錠剤について、指で擦る耐擦性試験を行った後に、目視による観察を行い、以下の基準に従い評価した。
A:指標部の視認性の低下が全く認められない。
B:指標部の視認性の低下がわずかに認められる。
C:指標部の視認性の低下が認められる。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2013159582
表2から明らかなように、本発明の錠剤は、指標部の視認性に優れ、外観(審美性)、耐久性にも優れたものであった。また、本発明では、優れた生産性、歩留まりで錠剤を製造することができた。中でも、下地層を有する錠剤は、特に優れた耐久性を有していた。また、指標部形成用組成物付与工程の後に圧縮工程を有する方法を用いた実施例6〜9では、通常の印刷法での限界(7ポイント)未満の大きさ(6ポイント)の文字で構成される指標部を好適に形成することができた。また、図3〜図8に示すような方法を用いた実施例5〜9では、基材の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成された錠剤を好適に製造することができた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、単なる凹部で構成された指標部を有する比較例1の錠剤は、指標部の視認性が特に悪く、審美性にも劣っていた。また、インクジェット法以外の印刷法を用いて凹部内に指標部を形成した比較例2では、凹部内に所望の形状の指標部を安定的に形成することができず、錠剤の審美性が著しく低いものであった。また、インクジェット法以外の印刷法を用いて平坦部に指標部を形成した比較例3では、基材に対する指標部の密着性が著しく低く、錠剤の耐久性が著しく低いものであった。
10…錠剤 1…基材 11…凹部 11’…凹部 1’…仮成形体 2…指標部 2a…識別コード 2b…暗号化情報 2’…指標部形成用組成物 3…下地層 6…粉末 61…層 62…凝集部 7…液体 S100…製造装置 S1…粉末供給槽 S11…底部 S2…形成ステージ S21…第1の部材 S22…第2の部材 S221…開口部 S3…粉末伸展部 S31…ブレード S4…液滴吐出ヘッド S5…粉末回収槽 S6…段差部

Claims (15)

  1. 粉末が結合してなる基材に対して、インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部の形成に用いる指標部形成用組成物を付与する指標部形成用組成物付与工程を有し、
    前記粉末を含む材料で構成された前記基材および前記指標部を有する錠剤を得ることを特徴とする錠剤の製造方法。
  2. 前記基材は、前記粉末を含む組成物を圧縮成形することにより製造されたものである請求項1に記載の錠剤の製造方法。
  3. 粉末を含む組成物を用いて仮成形体を形成する仮成形体形成工程と、
    インクジェット法を用いて、指標として機能する指標部の形成に用いる指標部形成用組成物を、前記仮成形体に付与する指標部形成用組成物付与工程と、
    前記指標部形成用組成物が付与された前記仮成形体を圧縮する圧縮工程とを有し、
    前記粉末を含む材料で構成された基材および前記指標部を有する錠剤を得ることを特徴とする錠剤の製造方法。
  4. 前記指標部形成用組成物付与工程の前に、下地層を形成する下地層形成工程をさらに有し、前記指標部形成用組成物は少なくともその一部が前記下地層の表面に付与されるものである請求項1または2に記載の錠剤の製造方法。
  5. 前記仮成形体形成工程と前記指標部形成用組成物付与工程との間に、下地層を形成する下地層形成工程をさらに有し、前記指標部形成用組成物は少なくともその一部が前記下地層の表面に付与されるものである請求項3に記載の錠剤の製造方法。
  6. 前記下地層は、二酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである請求項4または5に記載の錠剤の製造方法。
  7. 前記下地層形成工程は、インクジェット法を用いて行うものである請求項4ないし6のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする錠剤。
  9. 粉末が結合してなる基材と、
    インクジェット法を用いて形成された指標として機能する指標部とを有することを特徴とする錠剤。
  10. 前記基材は、凹部を有するものであり、
    前記指標部は、その少なくとも一部が前記凹部内に設けられたものである請求項8または9に記載の錠剤。
  11. 前記指標部は、食用色素、金コロイド、白金コロイドおよび銀コロイドよりなる群から選択される1種または2種以上を含む組成物を用いて形成されたものである請求項8ないし10のいずれか一項に記載の錠剤。
  12. 前記粉末は、白色のものである請求項8ないし11のいずれか一項に記載の錠剤。
  13. 前記指標は、商品名または商品を特定するための記号である請求項8ないし12のいずれか一項に記載の錠剤。
  14. 前記指標は、暗号化情報である請求項8ないし13のいずれか一項に記載の錠剤。
  15. 前記粉末は、乳糖、デンプン、デキストリン、白糖、ブドウ糖、結晶セルロースおよび糖アルコールよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである請求項8ないし14のいずれか一項に記載の錠剤。
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