JP2013159225A - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スタビリティファクタを使用して旋回性能を向上させる制御のための演算や装置の簡素化と旋回性能の向上とを両立させる。
【解決手段】前後加速度を伴う旋回時のスタビリティファクタを定義する前後加速度の二次関数式に基づいてスタビリティファクタの現在値と目標値とを求め、その現在値を目標値に近づかせるための駆動力を前記関数式に基づいて求めるように構成された車両の駆動力制御装置において、駆動力が制限されている場合に、現在の前後加速度が二次関数式を線形近似式に置き換えることができる前後加速度の範囲に入っていることを判定し(ステップS1)、現在の前後加速度が前記範囲に入っていることが判定された場合に、前記線形近似式に基づいて目標駆動力を求め(ステップS3)と、その求められた目標駆動力を前記制限による駆動力に設定する(ステップS6)。
【選択図】図1

Description

この発明は、車両の旋回特性に関連して駆動力を制御する装置に関し、特にスタビリティファクタの実際値もしくは推定値を目標値に追従させるように駆動力を制御する装置に関するものである。
車両の回頭性あるいは旋回特性は、タイヤで発生する横力や前輪あるいは後輪の駆動力に基づくヨーモーメントなどによって変化する。例えば転舵した状態で前輪の駆動力を大きくすれば、車体の重心を中心としたモーメントが小さくなるのでアンダーステア傾向が強くなり、これとは反対に後輪の駆動力を大きくすれば、車体の重心を中心としたモーメントが大きくなるのでオーバーステア傾向が強くなる。このような旋回性能に関係する物理量としてスタビリティファクタが知られている。定常円を旋回している場合のスタビリティファクタは、車体の重心から前輪車軸および後輪車軸までの距離や前輪および後輪におけるコーナリングパワーをパラメータとして含むものであるが、前後加速度が生じている旋回走行にまで拡張されたスタビリティファクタが知られている。特許文献1に記載された装置は、そのいわゆる拡張されたスタビリティファクタを使用して旋回特性を向上させるように構成されている。すなわち、特許文献1に記載された装置では、拡張させたスタビリティファクタの基本式に基づいてその時点のスタビリティファクタと目標とするスタビリティファクタとを求め、これらのいわゆる実際値(もしくは推定値)と目標値との偏差を求め、その偏差と上記の拡張されたスタビリティファクタの基本式とを使用して前後加速度を未知数とした二次方程式を立て、これを解いて前後加速度およびその前後加速度を生じさせる駆動力を求めている。
なお、車両の旋回特性に関連して何らかの制御を行うように構成された装置が特許文献2や特許文献3に記載されている。その特許文献2に記載された装置は、車両のステア特性を目標ステア特性に一致させるべく制御する駆動力が、車両の走行状態あるいは制御状態などに応じて制限されている場合、駆動力の制限値として、複数の制限値のうち最も小さい制限値を採用して、最終的に駆動力の増加量の上限値を求めるように構成されている。また、特許文献3に記載された装置は、車両の旋回特性を推定するのにあたり、現在のスタビリティファクタと基準スタビリティファクタとの偏差を求め、そのスタビリティファクタの偏差と旋回特性データテーブルとから車両の旋回特性を推定するように構成されており、このように構成することにより、旋回特性を推定するのに要する計算量や記憶容量を少なくできる、とされている。
特開2011−236810号公報 特開2011−218953号公報 特開2009−274507号公報
駆動あるいは制動を伴う(すなわち前後加速度を伴う)円旋回にまで拡張したスタビリティファクタkhtは、前後加速度をGx とすると、
kht=A+B×Gx +C×Gx
と定義される。ここでAおよびBならびにCは車両に応じて予め定まる定数である。特許文献1に記載されている装置は、検出されたヨーレートおよび車速ならびにホイールベース、操舵角などに基づいてスタビリティファクタの実際値(推定値)を演算し、また上記の基本式を使用して目標値を演算し、さらに目標とする前後加速度などを演算するように構成されているので、理論に忠実な制御を行うことになって、運転者が意図した旋回性能を達成することができる。その一方で、多くのパラメータを含んだ二次方程式を解くことになるので、演算が複雑になる。例えば、二次方程式の一般解を求める演算式は、一次の項の係数の自乗値から、定数項と二次の項の係数との積を減じた値の平方根を演算する項を含んでいるから、その平方根が実数になるか虚数になるかの判定、実数となる場合には一次の項の係数との和および差の算出、およびプラス側とマイナス側との解の選択、虚数となる場合には共有解の計算、平方根k演算(いわゆるルートを開く演算)など、複雑かつ多数の連続した演算を必要とする。そのため、特許文献1に記載された装置では、制御精度が良いものの演算装置すなわちECU(電子制御ユニット)に対する処理負荷が増大し、また使用するメモリ領域が大きくなってしまう可能性がある。
なお、理論に基づいた複雑な演算や制御を、実用に供し得る範囲で簡素化あるいは簡略化することは従来行われており、例えば特許文献3に記載されているようにデータテーブルを用意し、そのデータテーブルで使用するパラメータを演算する方法がその一例であり、また理論に基づく基本式に対応する近似式を使用することも知られている。しかしながら、車両の走行状態は極めて多様に変化し、それに伴って例えば特許文献2に記載されているように駆動力が制限されるなどの制御の制約条件も生じるので、前述したスタビリティファクタを使用して旋回性能を向上させる制御に、上記の特許文献3に記載されている手法や近似式を、単に適用したので、得られた解が理論に即した基本式で得られる解から大きく外れてしまい、その結果、旋回性能がかえって悪化する可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、スタビリティファクタを使用して旋回性能を向上させる制御のための演算や装置の簡素化と旋回性能の向上とを両立させることを目的としたものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、前後加速度を伴う旋回時のスタビリティファクタを定義する前後加速度の二次関数式に基づいてスタビリティファクタの現在値と目標値とを求め、その現在値を目標値に近づかせるための駆動力を前記関数式に基づいて求めるように構成された車両の駆動力制御装置において、前記駆動力が制限されている場合に、現在の前後加速度が前記二次関数式を線形近似式に置き換えることができる前後加速度の範囲に入っていることを判定する判定手段と、その判定手段によって、現在の前後加速度が前記二次関数式を線形近似式に置き換えることができる前後加速度の範囲に入っていることが判定された場合に、前記線形近似式に基づいて目標駆動力を求める算出手段と、その算出手段で求められた目標駆動力を前記制限による駆動力に設定する目標駆動力設定手段とを備えていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記線形近似式に基づいて求められた目標駆動力を、車両の前後加速度が前記二次関数式の極小値もしくは極大値に相当する前後加速度に基づいて定められた制限加速度を超えて変化しない駆動力に制限する駆動力制限手段を更に備えていることを特徴とする車両の駆動力制御装置である。
この発明における前記前後加速度の範囲は、前記現在値を前記目標値に一致させるために必要とする前後加速度の補正量が、前記駆動力が制限されていることによる前後加速度の補正量より大きくなる範囲とすることができる。
また、この発明における前記線形近似式は、現在の前後加速度と、前記二次関数式で表される曲線における現在の前後加速度に対応する点での微分値に基づく勾配とから求められる一次関数式とすることができる。
この発明の駆動力制御装置によれば、スタビリティファクタの現在値を目標値に一致もしくは近づけるように、前後加速度の二次関数として表されるスタビリティファクタの定義式に基づいて駆動力を求めるが、駆動力が制限されることによりその補正量が制限されているなどの場合に、その制限の大小もしくは目標とする駆動力の大小などに基づいて、上記の二次関数式に替えて線形近似式を用いて前後加速度もしくはそれに対応する駆動力を求めることができるか否かが判断される。具体的には、現在の前後加速度が所定の範囲に入っているか否かが判断される。これは、上記の二次関数式に基づいて求めた目標駆動力もしくはそれに応じた前後加速度の補正量を上記の制限によって制限した場合の値と、線形近似式に基づいて求めた目標駆動力もしくはそれに応じた前後加速度の補正量との乖離を抑制するためのものである。
こうして、線形近似式に置き換えることができることが判定された場合に、線形近似式を使用して目標駆動力が求められる。すなわち、スタビリティファクタを目標値に一致あるいは近づけるように線形近似式に基づいて算出された前後加速度を発生するように目標駆動力が求められる。そして、この目標駆動力が上記の制限によって制限される。したがって、目標前後加速度もしくはそれに対応した駆動力を成形近似式によって演算できるので、演算のための機器もしくは記憶手段に対する負荷が軽減され、またその容量を小さくすることができるので、装置の小型化や簡素化を図ることができる。また同時に、上記の判定を行うことにより、理論式である二次関数式で得られる目標駆動力もしくは前後加速度に近い値の目標駆動力もしくは前後加速度を求めることができるので、車両の旋回特性を向上させることができる。
特に請求項2の発明によれば、前後加速度に応じたスタビリティファクタの変化傾向が変わる場合には、目標前後加速度もしくはそれに対応する目標駆動力を制限することとしたので、線形近似式を使用するとしても車両の旋回特性を向上させることができる。
この発明に係る駆動力制御装置によって実行される制御の一例を説明するためのフローチャートである。 線形近似適応領域を説明するための線図である。 二次関数式で求めた制御量および線形近似式で求めた制御量ならびにそれらの制限後の値を模式的に示すグラフである。 スタビリティファクタの極値を与える前後加速度の値で補正量を制限することを説明するための線図である。 この発明を適用できる車両の一例を模式的に示すブロック図である。
この発明を図に示す具体例に基づいて説明する。この発明の制御装置は、車両の旋回特性を向上させるために、スタビリティファクタを利用して前後加速度あるいは駆動力を制御するように構成された装置であり、その車両は、内燃機関やモータなどを動力源とした前輪駆動車や後輪駆動車あるいは四輪駆動車などであってよい。エンジンによって後輪を駆動する二輪駆動車の駆動系統および制御系統の一例を図5にブロック図で示してある。エンジン1の出力側に変速機2が連結され、その変速機2から出力された動力をデファレンシャル(終減速機)3を介して左後輪Rlおよび右後輪Rrに分配して伝達するように構成されている。また、左右の前輪Fl,Frは操舵輪であり、これらの四輪Fl,Fr,Rl,Rrのそれぞれの回転速度(回転数)を検出する車輪速センサ4が設けられ、また車体に生じるヨーを検出するヨーレートセンサ5が設けられている。
さらに、車両の全体の総合的な制御を行うマイクロコンピュータを主体とする車両用電子制御装置(車両ECU)6が設けられている。その車両用電子制御装置6は、主として、駆動力を制御するように構成されており、前述した車輪速センサ4やその車輪速センサ4の検出値から算出される車体速度、ヨーレートセンサ5が出力する検出信号、前後加速度、横加速度、操舵角、アクセル開度、ブレーキ信号、路面摩擦係数などの各種の検出信号が入力されており、また車体重量やホイールベース、車体の重心から前後輪の軸までの距離(前後軸間距離)、前後輪のコーナリングスティッフネス(コーナリングフォース)などのデータおよびその他の予め設定した定数やマップが車両用電子制御装置6に記憶させられている。そして、車両用電子制御装置6は、これらの検出信号やデータ、マップなどに基づいて演算を行って目標スタビリティファクタや目標駆動力、目標前後加速度などを求め、必要な制御信号を出力するように構成されている。その制御信号が入力されてエンジン1や変速機2を制御するマイクロコンピュータを主体とするエンジン/変速機用電子制御装置(エンジン/TM ECU)7が設けられている。
この発明に係る駆動力制御装置は、前後加速度のある旋回中にスタビリティファクタの目標値を求め、その目標値を達成するように目標駆動力を求めて駆動力を制御する。その場合のスタビリティファクタについての演算は、前述した前後加速度についての二次関数式(すなわち理論式)を使用して行う。その例は前掲の特許文献1に記載されているが、これをより一般的に説明すれば、スタビリティファクタの現在値(もしくは推定値)は、その時点の車速、ヨーレート、操舵角ならびに車両のホイールベースなどに基づいて求め、また前記二次関数式および加速要求に基づく加速度やそれに対応する操作量に基づいて目標値を求める。これらの現在値と目標値とからスタビリティファクタの補正量を演算できるから、その補正量を上記の二次関数式に代入すれば、前後加速度(特にその補正量)を未知数とした二次方程式が得られるので、これを解くことにより前後加速度の補正量が求まり、駆動力をその補正量に相当して増減(補正)する。
この発明の駆動力制御装置では、基本的には、このようにして上記の二次関数式に基づいた旋回時の駆動力の制御を行うが、駆動力が制限されている場合には、以下に説明するように、線形近似式を用いて駆動力の制御を行う。図1はその制御の一例を説明するためのフローチャートであって、ここに示す制御は、車両が旋回中であって、かつ駆動力が制限されている場合に実行される。その駆動力の制限は、車両のドライバビリティの悪化を避けるために行われる制限や、車両のシステムの保護のために駆動力を所定値以下にする制限などであり、それぞれの制御システムにおいて実行され、従来知られている制限制御であってよい。図1に示すルーチンは駆動力の制限を伴って車両が走行している場合あるいは旋回している場合に、所定の短時間毎に繰り返し実行されており、そのルーチンでは先ず、現在の前後加速度が線形近似適応領域内にあるか否かが判定される(ステップS1)。
この線形近似適応領域とは、旋回性能を向上させるための駆動力もしくは前後加速度あるいはそれらの補正量についての領域であり、スタビリティファクタを目標値に一致もしくは追従させるように求められた駆動力もしくは前後加速度あるいはそれらの補正量を、上述したドライバビリティやシステム保護などの要請で制限した場合に、二次関数式に基づいて制御することによる制御量と線形近似式に基づいて制御することによる制御量との乖離が小さくなるように設定した領域である。これを図2に基づいて説明すると、図2は制御対象車両の現在のスタビリティファクタ(推定kh )と目標スタビリティファクタ(目標kh との差を縦軸に採り、前後加速度Gx を横軸に採った線図であって、実線はその推定kh と目標kh との偏差を示し、破線は制御量が上記のように制限されている場合におけるスタビリティファクタの補正可能最大値を示している。線形近似適応領域は、上記の推定kh と目標kh との偏差が制限量制限下でのスタビリティファクタの補正可能量以上の前後加速度範囲であり、図2では「Gx0」の符号を付した線より図2での右側の領域である。このように領域を設定すれば、図3に示すように、制御量(例えば目標スタビリティファクタを達成するための前後加速度もしくはその補正量)の制限後の値が、スタビリティファクタを定義する二次関数式に基づいて求めた場合と、線形近似式に基づいて求めた場合とで等しくなる。すなわち、理論値といわゆる簡易制御での近似値との乖離が小さくなる。
上記のステップS1で肯定的に判断された場合、すなわち現在の前後加速度が線形近似適応領域内にあることが判定されると、車両の前後加速度(前後G)の二次式で表されるスタビリティファクタ理論式を線形近似式に置き換える(ステップS2)。スタビリティファクタを定義する二次関数式は、
khs=kh0+kh1・Gx +kh2・Gx
で表される。ここで、kh0およびkh1ならびにkh2は設計上の定数であり、Gx は車両の前後加速度である。ステップS2では、これを例えば下記の線形近似式に置き換える。
khf=α・Gx
ここで、αは、上記の二次関数式における現在の前後加速度Gxpでの微分値すなわちグラフ上の傾きであり、
dkhs/dGx =kh1+2・kh2・Gx
における前後加速度Gx に現在値である「Gxp」を代入して、
α=kh1+2・kh2・Gxp
として求めることができる。なお、この傾きαは、適宜に補正してもよく、例えば前後加速度や操舵角に応じて、前輪駆動車の場合には減少させ、また後輪駆動車の場合は増大させるなどの修正を行うこともできる。
ついで、ステップS2で設定された線形近似式を使用して補正後の前後加速度(前後G)を算出する(ステップS3)。補正後の前後加速度は、スタビリティファクタを目標値にするためのものであるから、スタビリティファクタについての偏差を使用してその偏差に対応する前後加速度補正値を求める。スタビリティファクタの偏差は、現在のスタビリティファクタの値もしくはその推定値と、アクセル開度で表される駆動要求量などに基づいて演算される目標値との差である。これら現在値や目標値は、前述した特許文献1などに記載されているようにして求めることができる。このようにして求められたスタビリティファクタ偏差を上記の線形近似式(khf=α・Gx )に代入し、その一次式を前後加速度Gx について解くことにより前後加速度の補正量ΔGx が求められる。これを現在の前後加速度に加えれば、補正後の前後加速度が得られる。
一方、このようにして補正後の前後加速度を求めるのは、車両の駆動力が制限されているからであり、したがって駆動力の制限に応じて前後加速度が制限される。その前後加速度の制限値は、制限されている駆動力を車両の質量で除算することにより得られる。図1に示すルーチンのステップS4では、車両のドライバビリティの維持やシステム保護などの要請から制限されている前後加速度の制限値Gxlim以下に、補正後の前後加速度を制限する。
この発明に係る駆動力制御装置は、このようにして求めた前後加速度を制御指令値として出力し、駆動力をその指令値に応じた値に制御してもよい。これに対して図1に示す制御例では、前後加速度もしくはその補正量ΔGx に更に制限(ステップS5)を施すように構成されている。
そのステップS5で実行される制限制御について説明すると、前後加速度を伴う旋回を行っている状態に拡張したスタビリティファクタの定義式は上述したように二次式であるから、前後加速度Gx を横軸、スタビリティファクタkh を縦軸に取った座標には,上に向けて凸となった二次曲線(後輪駆動車の場合)、あるいは下に向けて凸となった二次曲線(前輪駆動車の場合)で表される。すなわち所定の前後加速度でスタビリティファクタkh が極大値もしくは極小値となる。前輪駆動車の場合の例を図4に示してあり、前後加速度が「Gxh」の点でスタビリティファクタkh が極小値となり、前後加速度がその「Gxh」に向けて減少すれば、スタビリティファクタkh が次第に低下して前輪駆動車の旋回特性は曲がり易い特性になり、すなわちオーバーステアー傾向が増大する。しかし、前後加速度がスタビリティファクタkh の極小値に対応する「Gxh」を超えて低下すると、スタビリティファクタkh は前後加速度の低下に従って増大し、前輪駆動車の旋回特性は曲がり難い特性になり、すなわちアンダーステアー傾向が増大する。なお、後輪駆動車の場合には、前後加速度がスタビリティファクタが極大値になる値を挟んで変化することにより旋回特性の変化の傾向が反転する。なおまた、図4に示す例は、二次関数式の微分値を減少補正した値を線形近似式における勾配に相当する係数にした例である。
前述したように線形近似式を代替的に使用して前後加速度の補正量もしくは補正前後加速度を求める場合、算出される前後加速度は、スタビリティファクタを定義している二次関数式で得られる値から幾分外れ、その乖離量はスタビリティファクタの前述した偏差Δkh が大きいほど大きくなる場合がある。その結果、算出される前後加速度補正量ΔGx が、現在の前後加速度Gxpとスタビリティファクタの極値を与える前後加速度Gxhとの差の絶対値を超える場合がある。そこで、図1に示す制御例では、ステップS5において、前後加速度がスタビリティファクタの極値を与える値Gxhを越えて(挟んで)変化しないように、前後加速度補正量ΔGx を制限することとしたのである。言い換えれば、ステップS5では、現在の前後加速度Gxpと演算して求められた補正後の前後加速度Gxvとの差(すなわち補正量)ΔGx の絶対値が、現在の前後加速度Gxpとスタビリティファクタが極値となる前後加速度Gxhとの差の絶対値を超えないように、前後加速度もしくはその補正量を制限する。こうすることにより前後加速度を補正することが、スタビリティファクタを目標値に一致もしくは近づけると言う所期の目的を減殺する方向に変化すること、あるいはその所期の目的の達成度合いを減じる作用が生じることを回避もしくは抑制することができる。
上記の線形近似式を使用して目標とする前後加速度もしくはその補正量を求め、かつその算出した値に上記の各制限を施して最終的な補正後の前後加速度(補正前後G)が得られるので、ステップS6ではその最終的な値を指令値として出力する。そして、車両の駆動力がその指令値に応じた前後加速度を達成するように制御される。
なお、前述したステップS1で否定的に判断された場合、すなわち現在の前後加速度が線形近似適応領域から外れている場合には、スタビリティファクタの定義式に従って補正後の前後加速度(目標前後加速度)が算出される(ステップS7)。すなわち、前後加速度の二次関数で表されるスタビリティファクタ理論式を使用して補正後の前後加速度(補正前後G)が算出される。そして、ステップS6に進んで、その補正後の前後加速度が指令値として出力され、車両の駆動力がその指令値に応じた前後加速度を達成するように制御される。
以上説明したように、この発明に係る駆動力制御装置によれば、スタビリティファクタを目標値に一致させ、あるいは追従させるように駆動力を制御するにあたり、二次関数式である理論式に基づいた二次方程式を解く替わりに、線形近似式に基づく一次方程式を使用して目標駆動力もしくは駆動力の補正量を求めることができるので、演算およびそのための制御機器を簡素化することができ、ひいては駆動力制御装置の小型軽量化を図ることができる。また、理論式に替えて線形近似式を使用する場合、駆動力が制限されていることを条件としており、かつ現在の前後加速度がその駆動力の制限との関係で決まる所定の領域に入っていることを条件としているので、理論式を使用した場合に得られる値との乖離を少なくすることができ、ひいては駆動力を制御することによる車両の旋回性能を、スタビリティファクタの理論式を用いた場合と同様に向上させることができる。すなわち、この発明によれば、スタビリティファクタを使用して旋回性能を向上させる制御のための演算や装置の簡素化と旋回性能の向上とを両立させることができる。
ここで上述した具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、図1に示すステップS1の制御を実行する機能的手段がこの発明における判定手段に相当し、ステップS2あるいはステップS3の制御を実行する機能的手段がこの発明における算出手段に相当し、ステップS6の制御を実行する機能的手段がこの発明における駆動力設定手段に相当し、さらにステップS5の制御を実行する機能的手段がこの発明における駆動力制限手段に相当する。
なお、この発明における「現在の前後加速度が前記二次関数式を線形近似式に置き換えることができる前後加速度の範囲」は、前述した図2に示す「Gx0」以上の範囲に限られないのであって、その「Gx0」に所定の誤差を加減した値で決まる範囲、あるいは「Gx0」を車両における適宜な動作状態で求まる係数で補正した値で決まる範囲など、必要に応じて適宜設定した範囲であってもよい。また、線形近似式の勾配は、理論式を微分して得られる値を基本的には採用することが好ましいが、その微分値を補正した値を線形近似式の勾配としてもよく、さらにその補正はスタビリティファクタの目標値と現在値との偏差の大きさに応じて補正するものであってもよい。
1…エンジン、 2…変速機、 3…デファレンシャル(終減速機)、 Rl…左後輪、 Rr…右後輪、 Fl…左前輪、 Fr…右前輪、 4…車輪速センサ、 5…ヨーレートセンサ、 6…車両用電子制御装置(車両ECU)、 7…エンジン/変速機用電子制御装置(エンジン/TM ECU)。

Claims (4)

  1. 前後加速度を伴う旋回時のスタビリティファクタを定義する前後加速度の二次関数式に基づいてスタビリティファクタの現在値と目標値とを求め、その現在値を目標値に近づかせるための駆動力を前記関数式に基づいて求めるように構成された車両の駆動力制御装置において、
    前記駆動力が制限されている場合に、現在の前後加速度が前記二次関数式を線形近似式に置き換えることができる前後加速度の範囲に入っていることを判定する判定手段と、
    その判定手段によって、現在の前後加速度が前記二次関数式を線形近似式に置き換えることができる前後加速度の範囲に入っていることが判定された場合に、前記線形近似式に基づいて目標駆動力を求める算出手段と、
    その算出手段で求められた目標駆動力を前記制限による駆動力に設定する目標駆動力設定手段と
    を備えていることを特徴とする車両の駆動力制御装置。
  2. 前記線形近似式に基づいて求められた目標駆動力を、車両の前後加速度が前記二次関数式の極小値もしくは極大値に相当する前後加速度に基づいて定められた制限加速度を超えて変化しない駆動力に制限する駆動力制限手段を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御装置。
  3. 前記前後加速度の範囲は、前記現在値を前記目標値に一致させるために必要とする前後加速度の補正量が、前記駆動力が制限されていることによる前後加速度の補正量より大きくなる範囲である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の駆動力制御装置。
  4. 前記線形近似式は、現在の前後加速度と、前記二次関数式で表される曲線における現在の前後加速度に対応する点での微分値に基づく勾配とから求められる一次関数式を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両の駆動力制御装置。
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