JP2013158843A - 放電加工用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電極材料を緻密に形成でき、台金と電極材料の接合を密接とする放電加工用電極を安価に製造すること。さらには形状の自由度が高く、酸化物やホウ化物などの添加材も添加できること。
【解決手段】 被加工物に放電する電極部(1)および、電極部を保持する銅などの材質の台金部(2)を有し、電極部を構成する材料をタングステンやCu−W系複合材料などとし、台金部(2)が電極部(1)の少なくとも一部を鋳包みした構造を持つ放電加工用電極とするにより解決した。
【選択図】 図1
【解決手段】 被加工物に放電する電極部(1)および、電極部を保持する銅などの材質の台金部(2)を有し、電極部を構成する材料をタングステンやCu−W系複合材料などとし、台金部(2)が電極部(1)の少なくとも一部を鋳包みした構造を持つ放電加工用電極とするにより解決した。
【選択図】 図1
Description
本発明は放電加工用電極の構造に関する。
放電加工用電極としては、電極部をCu−W複合材料、Ag−W複合材料、WC、Wにより構成した提案が数多く公開されている。
例えば特許文献1には、Cu−W、Ag−W基複合材料に添加物としてBi、Th、Caなどを添加した放電加工用電極が示されている。融点が極めて高いWのスケルトン中に、CuやAgといった低電気抵抗の材料を充填することにより、Wの低消耗率と低電気抵抗率の材料による放電加工効率を両立させるために有用な構造である。
特許文献2にはCu、Ag、Alなどの低電気抵抗の金属を鋳込みにて製造した後に、Cu−Ag−W、Cu−Wなどの高融点材料を低電気抵抗の金属の表面に噴射鋳型法にて形成する方法が述べられている。
また、特許文献3には得たい形状の高融点金属のスケルトンを成形し、そのスケルトンに低電気抵抗の材料を溶浸すると同時にシャンク(台金)を一体化する方法が示されている。
特許文献1に開示された技術にはCu−W、Ag−W系材料に添加物を加えることにより、放電加工用電極部の消耗を抑え、なおかつ放電加工速度を向上させる点において効果を有する。そのほかにも様々な添加物を加えた発明や、高融点材料の粒子径などを規定して消耗や速度向上を有利にするための技術が公開されている。
しかしながら、Ag−WはもとよりCu−Wなどの材料は単体のCu系材料と比較して材料費、製造費用ともに明らかに高価である。そのために、例えば鉛筆程度の大きさの電極を作成して被加工物を放電加工する際には費用面で有利に働くが、被加工物が大きくなる程に材料費、製造費用ともに大幅に上がることになる。このような場合は小径の電極を用いて創成加工することも考えられるが、小径の電極は使用に伴い消耗量が次々変化するために、加工対象がミクロン単位の精度を求められる場合には適用が難しい。被加工物が大きくなればなるほど、加工精度を上げるためにはある程度の大きさの電極を使用することが有利となる。
特許文献2に開示された技術には、略被加工物の形状に成形された台金部の上にWなどの高融点材料を被覆することにより、被加工物が大きくなった場合でも費用面での増加を抑えることができる。しかしながら、溶射被膜は特に高融点の材料になるほどに溶射した粒子同士に隙間ができやすく、この隙間は放電加工時に被加工物の加工面に転写されるために、加工面の仕上がり面の状態が粗くなるという問題点がある。また、溶射法であるために、単体のWであれば処理は可能であるが、融点の開きが極めて大きい、例えばWとCuを同時に溶射して複合材料とすることは適していない。さらに、酸化物などの添加物を加えることはさらに困難である。また、形成されるのは台金を基本とした膜状の形状に限られるために、応用できる範囲は限られる。
特許文献3に開示された技術は、粉末状態またはそれを押圧などして成形したタングステンに、銅などの低融点金属を溶浸して複合材料を得、それを放電加工用電極に使用する技術が示されている。しかしながら、この方法で得られる複合材料は、タングステンの粒子同士が熱処理によりネッキングしていないことから、単に銅のプール中にWの粒子が分散している状態となる。この構造では、Wの粒子同士が互いにネッキングしていないために、使用時に高温に晒されることで低融点の金属が容易に溶融する欠点があり、ネッキングしたスケルトン構造と比較して寿命が大きく低下する。
また、実施例5にはタングステンをスケルトン構造として、そこに銅を溶浸させることが記載されているが、製造対象物はその全体として銅とタングステンからなる複合材料からなる電極であり、台金については述べられておらず、単なるタングステンスケルトンへの銅の溶浸法を示しているに過ぎない。
本発明で解決仕様とする課題は、
(1)放電加工用電極をなるべく安価に製造する
(2)被加工物または被加工部分が大型であっても対応できる
(3)形状の自由度が高い
(4)電極材料に添加物を自在に添加可能
(5)電極材料を緻密に形成でき、また、台金と電極材料の接合を密接とする
以上に示した課題を解決しようとするものである。
(1)放電加工用電極をなるべく安価に製造する
(2)被加工物または被加工部分が大型であっても対応できる
(3)形状の自由度が高い
(4)電極材料に添加物を自在に添加可能
(5)電極材料を緻密に形成でき、また、台金と電極材料の接合を密接とする
以上に示した課題を解決しようとするものである。
前述の課題を解決するために、本発明の構成は以下とした。
請求項1に記載の本発明は、放電加工用電極であって、被加工物に放電する第1の部材である電極部および、第1の部材を保持する第2の部材である台金部を有し、第1の部材を構成する材料がタングステン(W)、炭化タングステン(WC)、Cu−W系複合材料、Ag−W系複合材料のいずれかであり、第2の部材を構成する材料が純銅もしくは銅系材料であり、第2の部材が第1の部材の少なくとも一部を鋳包みすることにより第1の部材と一体に形成されたことを特徴とする放電加工用電極である。台金部は放電加工機から与えられる電流の電極部への通り道であると同時に、放電加工機への放電加工用電極の固定の際に使われる部分である。
まず、本発明の放電加工用電極の特徴は、被加工物に対して放電を行なう電極部と、電極部を保持する台金部を備えることである。この構成とすることにより、実際に被加工物と対峙して放電を行なう部分のみを電極部としてのWやCu−Wなどの原材料費および製造費用が比較的高価な材料とすることができる。電極部以外の台金部分は原材料費および製造費用が安価である純銅やCu系材料などからなり、放電加工用電極全体を電極部と同じ材料としないために、特に放電加工用電極、被加工物、被加工部分が大きくなる場合に費用面で極めて有利に製造できる。
次の特徴として、第1の部材である電極部と第2の部材である台金部の一体化について述べる(電極部自体の詳細な製造方法は後に述べる)。第1の部材を非酸化雰囲気下の炉に投入する。投入の際は非酸化雰囲気で第1の部材、第2の部材と反応しない、例えばカーボンや酸化物セラミックスのボートに設置する。このボートは製造したい放電加工用電極と略同形状の凹部を持ち、放電加工用電極の電極部に対応する部分に第1の部材を置く。同じくボート上またはボートに隣接した部分に第2の台金の材料を置く。この状態で昇温し、銅や銅系材料の融点を越えた時点で銅や銅系材料は溶融し、液体状態となって低い部分に移動する。移動先は前記凹部であり、そこに設置されている第1の部材と少なくとも一部で接触する。この状態から降温することにより、第2の部材は第1の部材と接したまま固体状態に戻り、凹部の形状となり固化し第1の部材の少なくとも一部を鋳包む。この固化した部分が台金部である第2の部材である。第1の部材と第2の部材は非酸化雰囲気で互いに酸化被膜などを形成することなく一体化しており、その接合はほとんど隙間が無く強固である。この際に小なりとも銅や銅系材料は不要な部分が生じることになるが、第2の部材は純銅、Cu系合金などからなるために、機械加工などで整形するのは容易である。
電極部は、台金と一体化する以前の工程では、個別に製造するため、形状の自由度が高い。これは引用文献2に示された方法が、台金部分に溶射手段にて電極部を形成する方法と比較すると、電極部の厚さや形状の自由度があがることは明白である。同様に、電極部を製造するまでは電極部のみを個別に製造するために、その中に添加物を加えることは容易である。例えば、Cu−W材料の放電加工電極の加工速度、電極消耗率を有利にするために現在までホウ素、ホウ化物、ホウ酸化物、アルカリ土類金属、ZrO2、希土類酸化物、Ni、Co、BaWO4など様々な添加物が従来技術文献として開示されているが、用途に応じてこれらを自由に使用することができる。これは、引用文献2に示された溶射方法を用いた場合には実現が極めて困難である。
また、電力の効率的使用も同時に達成することができる。台金部と放電加工用電極部からなる放電加工用電極は、一般に両者はろう付けで接合されているが、ろう材は電気抵抗値が高く、接合面積率も高くても60%程度のため、電極と台金の材質以上に電気抵抗が高くなる。本発明のように両者を鋳包みにより接合した放電加工用電極であれば、ろう材などの高電気抵抗の材料を使用せず、接合面積率もほぼ100%(低くとも98%)のため、電極部と台金部の材料以上に電気抵抗が高くなることがない。
さらに、電極部の実際に放電加工を行なう表層部に例えば0.5〜3mmと近い部分まで純銅もしくは銅系材料からなる台金部を接近させることができる。純銅および銅系材料は電極部に対して電気抵抗率が著しく低いために、発熱等による電流の損失を最低限に抑えられる。これは電力消費や装置寿命、加工効率を改善する効果がある。
請求項2に記載の本発明は、前記第1の部材を構成する材料の一部が、前記第2の部材を構成する材料と同じ材料である請求項1に記載の放電加工用電極である。これは、第1の部材がCu−Wなどの金属スケルトン中に低融点金属が充填された複合材料の場合に適用できる。例えばCu−Wに使用するCuは純銅でもよければクロム−銅合金(クロム銅)、スズ銅、ベリリウム銅などの高銅合金や、アルミナ分散銅などの固さや強度を強化したCuとしてもよい。これらの第1の部材に使用した材料と、第2の部材を構成する材料とを同じにすることで、鋳包み時に両者の親和性が高く、相互拡散が起りやすくなり、両者の接合がより強固なものとなる。この場合の「同じ材料」というのは、両者の相互拡散を阻害するような組成や添加物ではないという意味で使用している。たとえば、純銅を選択した場合に99.9%の純銅と、99.999%の純銅も同じ材料として扱う。クロム銅同士でクロム含有量が0.5質量%違うものは同じ材料として扱う。クロム−銅合金とアルミナ分散銅は同じ材料として扱わない。
請求項3に記載の本発明は、放電加工による被加工物と直接放電しない部分に貫通穴、または止まり穴のいずれか1種もしくは両方を有する請求項1または請求項2に記載の放電加工用電極である。
図6および図7に貫通穴、止まり穴を設けた例を示す。
図6および図7に貫通穴、止まり穴を設けた例を示す。
まず図6に示したのは放電加工用電極10に貫通穴11を設けた例である。この例では貫通穴11は、台金部2に設けているが、電極部1を貫通するものでもよく、双方を貫通するものでもよい。直接放電しない電極部分であればよい。
貫通穴11を設けることにより、放電加工用電極周辺で加工液を良好に循環させやすいようになり、設けられていないものと比較して加工くずの排出が適切に行なわれる。この特徴は、同時に加工する面積が広い場合や、放電加工用電極が大きい場合に特に有効になる。また、別の効果として、放電加工用電極自体の重量を抑えることができ、同時に材料費用も低くできる。止まり穴の場合にも放電加工用電極自体の重量を抑えることができ、同時に材料費用も低くできる。図7には貫通穴11と止まり穴12を有する放電加工用電極の一例を示した。
貫通穴11を設けることにより、放電加工用電極周辺で加工液を良好に循環させやすいようになり、設けられていないものと比較して加工くずの排出が適切に行なわれる。この特徴は、同時に加工する面積が広い場合や、放電加工用電極が大きい場合に特に有効になる。また、別の効果として、放電加工用電極自体の重量を抑えることができ、同時に材料費用も低くできる。止まり穴の場合にも放電加工用電極自体の重量を抑えることができ、同時に材料費用も低くできる。図7には貫通穴11と止まり穴12を有する放電加工用電極の一例を示した。
請求項4に記載の本発明は、放電加工用電極が形彫放電加工用電極、輪郭放電加工用電極および創成加工用放電加工用電極のいずれかであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の放電加工用電極である。形彫放電加工というのは図4に示すように通常放電加工用電極10を被加工物20の所望の形状と対を成す形状に整形し、そのまま被加工物のほうに加工しながら電極部形状を転写する加工方法である。これに対し、輪郭放電加工に使用する放電加工用電極は図6(2)に示すように、主に側面を使用して放電加工用電極10と被加工物20の主として平面状の相対位置を、所望の形状にプログラム化することにより、プログラムに従い移動させながら加工を行なう方法である。また前記輪郭放電加工と異なり、工具の先端部を垂直に用い、長さ方向の補正を行いながらプログラムに沿って放電加工を行う方法を輪郭放電加工という。本発明1から3に記載の放電加工用電極は、これらのいずれのかの用途に使用することがより適している。
本発明の放電加工用電極は以下に示す効果のうち複数または全ての効果を有する。
(1)放電加工用電極をなるべく安価に製造できる。
(2)被加工物または被加工部分が大型であっても対応できる
(3)形状の自由度を高くできる
(4)電極材料に添加物を自在に添加可能とできる
(5)電極材料を緻密に形成でき、また、台金と電極材料の接合を密接にできる
(1)放電加工用電極をなるべく安価に製造できる。
(2)被加工物または被加工部分が大型であっても対応できる
(3)形状の自由度を高くできる
(4)電極材料に添加物を自在に添加可能とできる
(5)電極材料を緻密に形成でき、また、台金と電極材料の接合を密接にできる
第1の部材についてその製法を説明する。
まず、第1の部材の材料がWなどの単体である場合には、焼結体を準備すればよい。
次に、第1の部材の材料がCu−WやAg−Wなどの複合材料の場合はWなどの高融点材料のスケルトン(「仮焼結体」とも言う。Wの粒子同士が完全に緻密化せずに、開気孔を有する状態で一部ネッキングを起こした状態)中にCuやAgなどの低融点金属を充填した構造を持つ複合材料である。第1の部材をこの複合材料とすることで、電気伝導率が十分に高いまま、Wの高い耐消耗性を生かすことができる。
まず、第1の部材の材料がWなどの単体である場合には、焼結体を準備すればよい。
次に、第1の部材の材料がCu−WやAg−Wなどの複合材料の場合はWなどの高融点材料のスケルトン(「仮焼結体」とも言う。Wの粒子同士が完全に緻密化せずに、開気孔を有する状態で一部ネッキングを起こした状態)中にCuやAgなどの低融点金属を充填した構造を持つ複合材料である。第1の部材をこの複合材料とすることで、電気伝導率が十分に高いまま、Wの高い耐消耗性を生かすことができる。
Wと低融点金属は、例えば双方の粉末を混合してそのまま炉中で焼結して製造する方法もあるが、より放電状態で表面が溶融によって変化しにくい材料、Wで形成されたスケルトン中に低融点金属の材料を充填した溶浸法によって得られる。スケルトンを得るためには、平均粒子径がおよそ0.5μm〜10μmの粉末状態のW材料をプレス成形し、非酸化雰囲気にて900〜1500℃程度に加熱すればよい。Wの粒子同士が形状を保つ程度に、また連続した開気孔を有する程度にネッキングをしたスケルトン状の焼結体が得られる。
低融点金属はWの材料のスケルトンを充填する量が確保されていればどのような形状でもよく、液体状態となった低融点金属がスケルトンに接する状態で溶浸を行なえば、毛細管現象によりスケルトンの開気孔全てに低融点金属が溶浸する。溶浸の条件としては低融点金属の融点以上の温度、非酸化雰囲気にて行なうことができる。例えば、純銅であればその融点が1084℃であるために、1100℃〜1500℃程度が適当な温度である。
次に第2の部材について説明する。第2の部材は第1の部材を鋳包みすることにより第1の部材と一体に形成されるものである。第2の部材は純銅、Cu合金、Ag等の低融点の材料よりなる。第2の部材は、第1の部材を鋳包み接合するまではその形状を問わない。たとえば、市販の純銅の板や塊状、線棒状、粉末状などである。その後は前述の通りであるために省略する。
このようにして第1の部材と第2の部材が鋳包みにより接合した放電加工用電極の素材を得ることができる。
得られた素材を機械加工または電気加工することにより、所望の放電加工用電極形状にすることで本発明の放電加工用電極を得ることができる。
得られた素材を機械加工または電気加工することにより、所望の放電加工用電極形状にすることで本発明の放電加工用電極を得ることができる。
以下実施例により、本発明の形態をより詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1として、円筒の内面にネジ加工を施す放電加工用電極に本発明を適用した例を示す。
図1を用いて説明する。20は放電加工される被加工材である(以下「ワーク」とも呼ぶ)。ワーク20は超硬合金製の内径がφ196(mm)で長さが300(mm)の円筒状である。この内径側にピッチが6(mm)のメスのメートル細めねじを加工する。超硬合金は焼結法によって得られるが、焼結による収縮に若干のバラツキがあるために、このように焼結後に加工することが多い。
実施例1として、円筒の内面にネジ加工を施す放電加工用電極に本発明を適用した例を示す。
図1を用いて説明する。20は放電加工される被加工材である(以下「ワーク」とも呼ぶ)。ワーク20は超硬合金製の内径がφ196(mm)で長さが300(mm)の円筒状である。この内径側にピッチが6(mm)のメスのメートル細めねじを加工する。超硬合金は焼結法によって得られるが、焼結による収縮に若干のバラツキがあるために、このように焼結後に加工することが多い。
本発明の放電加工用電極を外周部がメネジを加工する電極形状とした。円筒状形状の台金2(3)の先端部に、前記円柱よりも径の大きい一体の円筒形状2(4)を有しており、両者を合わせて台金部2(第2の部材)である。その大きい円筒の外周部には電極部1(第1の部材)が鋳包みにより一体に形成されている。
電極部1を形成する第1の部材は、Wのスケルトン中に純銅が充填した構造を持つCu−W複合材料からなる。Wスケルトンは体積で70%を占め、残部は純銅である。
電極部1を形成する第1の部材は、Wのスケルトン中に純銅が充填した構造を持つCu−W複合材料からなる。Wスケルトンは体積で70%を占め、残部は純銅である。
台金部2を形成する第2の部材は純銅からなる。
単体で製造したスリーブ状の第1の部材1を、図2に示すように、スリーブの中央部から上方に円筒状の空間を有するカーボン製治具24の底部に設置し、スリーブの中央部および細い円筒状の空間の上部に純銅からなる板材22を設置する。この板材22は、融点以上の温度で純銅が液体になった際に第1の部材1の内径側に接触し、円筒状の空間までを満たす。冷却固化後には、第1の部材1を内径側から鋳包むと同時に、その上部に円筒形状を形成し、第1の部材1と一体に接合された第2の部材2となる。
単体で製造したスリーブ状の第1の部材1を、図2に示すように、スリーブの中央部から上方に円筒状の空間を有するカーボン製治具24の底部に設置し、スリーブの中央部および細い円筒状の空間の上部に純銅からなる板材22を設置する。この板材22は、融点以上の温度で純銅が液体になった際に第1の部材1の内径側に接触し、円筒状の空間までを満たす。冷却固化後には、第1の部材1を内径側から鋳包むと同時に、その上部に円筒形状を形成し、第1の部材1と一体に接合された第2の部材2となる。
その後に第1の部材および第2の部材から放電加工用電極として余分な箇所を切削加工にて除去し、第1の部材の外径側にねじ山形状をつけることにて本発明の放電加工用電極が完成する。
このような形状は、従来のろう付方法による製法では、ろう付面積が広くまた平面でないために実施は極めて困難である。
このような形状は、従来のろう付方法による製法では、ろう付面積が広くまた平面でないために実施は極めて困難である。
本発明の放電加工用電極は、比較的高価な材料である第1部材の使用量を減らすことができる。また、放電加工装置の電力使用量を測定したところ、同様の形状で放電加工用電極の全てをタングステン材料で製作した比較例に対して約15%の電力消費量が低減された。これは、良導体である台金部が電極部近傍まで及んでいるために、発熱などによる直接放電加工と関係のない電力消費が抑えられたことに起因すると考えられる。さらに、放電加工用電極の中心部に貫通穴を設けたことにより、重量が大幅に軽減され、作業性が向上した。同時に、材料費用も削減できた。
(実施例2)
実施例2として、図5に示すような、超硬合金材にギア形状を放電加工する放電加工用電極の例を示す。
電極部1の材料は1重量%の硼酸ストロンチウム、0.5重量%のコバルトを含むタングステンとし、それにクロム−銅合金を溶浸した。また、台金部の材料はクロム−銅合金とした。
実施例2として、図5に示すような、超硬合金材にギア形状を放電加工する放電加工用電極の例を示す。
電極部1の材料は1重量%の硼酸ストロンチウム、0.5重量%のコバルトを含むタングステンとし、それにクロム−銅合金を溶浸した。また、台金部の材料はクロム−銅合金とした。
電極部の製法を述べる。1重量%の硼酸ストロンチウム粉末、0.5重量%のコバルト粉末、残量のタングステン粉末を混合し、100MPaのプレス圧にてリング状に成形した。成形後に非酸化雰囲気中1150℃でクロム−銅合金を溶浸し、電極部の素材を得た。
次に得られた電極部の素材を実施例1と同様の概要にて、銅や銅系材料でリングの内径側を鋳包む。次に、鋳包みで発生する第2の部材の余分な部分を切削加工で除去する。また、リング状の電極部を所望のギア形状に機械加工する。
以上の製造方法によって、本発明による放電加工用電極を得ることができる。
以上の製造方法によって、本発明による放電加工用電極を得ることができる。
従来の技術ではギア形状の放電加工用電極を形成する場合、電極全体を比較的高価な材料であるCu−Wで形成するか、フラットな面にろう付けにて台金を形成する方法を取らなければならなかった。
本発明は、円柱の内面に台金を鋳包みした構造のため、比較的高価な電極部の材料使用量を減らすことができた。
また、溶射による形成などの方法と異なり、電極部に従来技術に示された放電加工に有利な添加物を加えるのも容易であった。
また、溶射による形成などの方法と異なり、電極部に従来技術に示された放電加工に有利な添加物を加えるのも容易であった。
さらに、同様の放電加工用電極に、図7に示すように台金部1の一部に複数の貫通穴11と、止まり穴12を設けた構造の放電加工用電極を製作した。本実施例の前述の穴のない構造(図5)のものとの製造上の違いは、クロム−銅合金をタングステン系スケルトンに溶浸する際のカーボン治具の形状のみである(溶浸時にカーボンを追加で設置した部分が、貫通穴および止まり穴となる)。
貫通穴11の作用により、加工漕中の加工液の循環がよくなり、加工くずを効果的に排出できるため、加工速度を穴がないときと比較して上げることができた。また、やはり複数設けた止まり穴12により、さらに放電加工用電極全体の重量を軽くすることが可能となった。
(実施例3)
実施例3として図4に示すような複数の段がついた円錐状の形彫放電加工用電極を製造した。
段付コーン状の電極部1の材料はタングステンスケルトン中に純銀が溶浸した材料である。また、先端が段付の円錐状である円柱形状の台金部2はアルミナ分散銅である。
実施例3として図4に示すような複数の段がついた円錐状の形彫放電加工用電極を製造した。
段付コーン状の電極部1の材料はタングステンスケルトン中に純銀が溶浸した材料である。また、先端が段付の円錐状である円柱形状の台金部2はアルミナ分散銅である。
電極部1の厚さは全体に約1mmであり、所望の形状に成形、機械加工した後に台金部2の材料であるアルミナ分散銅でコーンの内面側を鋳包んだ。
得られた放電加工用電極を形彫放電加工用電極としてワーク20の放電加工用電極として使用した。
得られた放電加工用電極を形彫放電加工用電極としてワーク20の放電加工用電極として使用した。
(実施例4)
実施例4として、図6に示すような円筒形状の外周部にのみCu−W材料(これが電極部1)を用いた輪郭放電加工用電極の例を示す。内径側のパイプ部分は純銅からなるパイプ状の台金部2である。この輪郭放電加工用電極は内部に貫通穴11があり、加工液の循環がよい。
実施例4として、図6に示すような円筒形状の外周部にのみCu−W材料(これが電極部1)を用いた輪郭放電加工用電極の例を示す。内径側のパイプ部分は純銅からなるパイプ状の台金部2である。この輪郭放電加工用電極は内部に貫通穴11があり、加工液の循環がよい。
本放電加工用電極は主として放電加工用電極の外径部を使用して、輪郭放電加工用として適している。
1 第1の部材、電極部
1(2)ネジ加工電極部
1(3)ギア加工電極部
2 第2の部材、台金部
2(1) 台金部の円盤状部分
2(2) 台金部の心棒部分
2(3) 台金部の円筒の心棒
2(4) 台金部の円筒の心棒の太い部分
10 放電加工用電極
11 貫通穴
12 止まり穴
13 放電加工用電極の進路
20 被加工材、ワーク
22 銅の板材
23 溶融後固化した銅
24 カーボン治具
1(2)ネジ加工電極部
1(3)ギア加工電極部
2 第2の部材、台金部
2(1) 台金部の円盤状部分
2(2) 台金部の心棒部分
2(3) 台金部の円筒の心棒
2(4) 台金部の円筒の心棒の太い部分
10 放電加工用電極
11 貫通穴
12 止まり穴
13 放電加工用電極の進路
20 被加工材、ワーク
22 銅の板材
23 溶融後固化した銅
24 カーボン治具
Claims (4)
- 放電加工用電極であって、
被加工物に放電する第1の部材である電極部および、
第1の部材を保持する第2の部材である台金部を有し、
第1の部材を構成する材料がタングステン(W)、炭化タングステン(WC)、Cu−W系複合材料、Ag−W系複合材料のいずれかであり、
第2の部材を構成する材料が純銅もしくは銅系材料であり、
第2の部材が第1の部材の少なくとも一部を鋳包みすることにより第1の部材と一体に形成されたことを特徴とする放電加工用電極。 - 前記第1の部材を構成する材料の一部が、前記第2の部材を構成する材料と同じ材料である請求項1に記載の放電加工用電極。
- 放電加工による被加工物に直接放電しない部分に貫通穴、または止まり穴のいずれか1種もしくは両方を有する請求項1または請求項2に記載の放電加工用電極。
- 放電加工用電極が形彫放電加工用電極、輪郭放電加工用電極または創成放電加工用電極のいずれかであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の放電加工用電極。
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JP2012019721A JP2013158843A (ja) | 2012-02-01 | 2012-02-01 | 放電加工用電極 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7086372B1 (ja) * | 2022-04-27 | 2022-06-20 | 冨士ダイス株式会社 | Cu-W系合金及びその製造方法並びに放電加工用電極及びその製造方法 |
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2012
- 2012-02-01 JP JP2012019721A patent/JP2013158843A/ja active Pending
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JP7086372B1 (ja) * | 2022-04-27 | 2022-06-20 | 冨士ダイス株式会社 | Cu-W系合金及びその製造方法並びに放電加工用電極及びその製造方法 |
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