JP2013155655A - 液体ロケットエンジンの推力制御装置及び推力制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンの推力低減制御時に、液体推進薬の飽和蒸気圧が当該低減制御に必要な燃焼圧よりも高くなるよう、温度制御手段によって液体推進薬を昇温する。これにより、液体推進薬が噴射オリフィスを通過する際にキャビテーションが発生する。こうすることにより、燃焼室における燃焼圧に変動が生じた場合であっても、噴射オリフィスを通過する液体推進薬の流量は一定に保たれ、燃焼圧変動と液体推進薬の流量変動が結合することにより燃焼が不安定になるチャギングを抑制できる。
【選択図】図7
Description
という関係がある。ここで、Tはロケットエンジンの推力、CFは推力係数、pcは燃焼圧、Atはノズルスロート面積、c*はロケットエンジンの特性速度、
は推進薬(燃料、酸化剤)の噴射流量である。
は重要なパラメータであり、この値が大きければ安定化し、この値が小さくなれば不安定化するとされている。従って、推力を深く絞った低減制御を行うと低周波振動燃焼(チャギング)のリスクが増加することが示唆される。
とおき、噴射差圧と流量の関係式の微分を取ると、燃焼圧力の変動割合に対する流量変動割合は
(A)「推進薬配管内に挿入したキャビテーティングベンチュリの利用」
ベンチュリ管の下流圧を下げ続けると、流量は増え続けるとともにベンチュリの咽喉部では圧力が低下する。咽喉部での圧力は液体の温度における飽和蒸気圧に達すると、下流圧をいくら下げ続けても咽喉部では圧力が飽和蒸気圧よりも下がることなく蒸気を発生し、流量はベンチュリノズルの上流圧と咽喉部の飽和蒸気圧で決定される差圧に従って一定の流量を保持する。このようなものをキャビテーティングベンチュリという。
前述の噴射オリフィスを通過する推進薬の流量を記述する式(1)から明らかなように、必要な噴射差圧は流量の自乗に比例するので、定格に対して推力を低下させると、推力低下させた割合の自乗に比例して噴射差圧が小さくなる。チャギングの発生に関わるパラメータとして知られる(噴射差圧)/(燃焼圧)は燃焼圧に比例するので、燃焼圧が低くなるとこのパラメータも小さくなり、チャギングを誘起しやすくなる。
1.ターボポンプのタービン駆動に用いるための高エンタルピガス流(タービン駆動前またはタービン駆動後、タービン上流からの分岐)を用いた熱交換器、
2.燃焼室周囲の冷却ジャケットにおける燃焼ガスからの熱交換、
3.ターボポンプの吐出側から吸込み側に還流することによって、液体推進薬単位流量当たりのポンプ仕事を増加させてポンプ流体を昇温させる方法、
などがある。
これらいずれの方法によっても、燃焼圧の変動が生じた場合でも、それが噴射オリフィスを通る液体推進薬の流量に影響することはなくなるので、流量変動と結合した燃焼圧変動を起こすチャギングは発生しなくなる。
1.推力を低減制御する際に、エンジン燃焼室の噴射オリフィスにおいて液体推進薬にチョーク特性を持たせることができ、燃焼圧の変動に対する流量の変動を完全に抑制することが可能となるために、低周波振動燃焼のリスクを除去できる。
2.液体推進薬の温度を制御することによって、キャビテーションを発生させる飽和蒸気圧の制御を行うことから、望む燃焼圧に対して推進薬のキャビテーションの作動点に関する制御の範囲が拡大する。
3.定格設計点において噴射差圧を過大とすることにより、推力の低域制御における低周波振動燃焼のリスクを軽減する設計では、定格時におけるターボポンプの吐出圧を過大にする設計となり、エンジンシステム上、性能損失あるいはエンジンの重量増などを招くが、噴射オリフィスで制御されたキャビテーションを発生させる方法を用いることにより、このようなシステム上のデメリットを避けられる。
1.ロケットエンジンの燃焼室に液体推進薬を噴射する噴射器の噴射オリフィスにおいて、スロート部で液体推進薬の流れが高速になり圧力が低下して飽和蒸気圧に達するとキャビテーションが発生して、それ以上の圧力低下が起こらなくなるために、流量も変化しなくなる現象を利用して、飽和蒸気圧よりも低く設定する下流側の燃焼室の圧力が変動しても、噴射オリフィスを通過する液体推進薬の流量が変動しないようにする。
2.ロケットエンジンの推力を低域まで制御する際に、特別の方法を講じなければ、噴射オリフィスにおける差圧が低下して、燃焼室における圧力の変動が発生した場合に液体推進薬の流量が大きく変動して低周波の燃焼振動が発生することを、上記1の方法を用いることにより、噴射オリフィスにおける液体推進薬の流量変動が発生しないことを利用して防止する。
3.液体推進薬の飽和蒸気圧特性を利用して、その温度を制御することにより、推力の低減制御をする際に、液体推進薬と作動燃焼圧に対する適正な飽和蒸気圧となるように制御し、液体推進薬の種類や作動燃焼圧に対して、広い範囲で適用できるようにする。
4.液体推進薬の昇温に用いる熱源として、ターボポンプを駆動するガスによる熱交換、燃焼室の冷却ジャケットによる熱交換、ターボポンプ吐出側から吸込み側への還流によるポンプ仕事によるエンタルピ増加、ガス発生器、プリバーナ、別途の燃焼器のガスによる熱交換、あるいはこれらの組み合わせ、などを利用する。
Claims (8)
- 噴射オリフィスを通して燃焼室に液体推進薬を噴射する液体ロケットエンジンの推力制御装置において、
前記噴射オリフィスの上流側において、前記液体推進薬の温度を制御する温度制御手段を備え、
エンジンの推力低減制御時に、前記液体推進薬の飽和蒸気圧が当該低減制御に必要な燃焼圧よりも高くなるよう、前記温度制御手段によって前記液体推進薬を昇温することを特徴とする液体ロケットエンジンの推力制御装置。 - 前記温度制御手段は、前記燃焼室の周囲に設けられた冷却ジャケットにおける燃焼ガスとの熱交換を熱源として前記液体推進薬の温度を昇温する熱交換器である、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの推力制御装置。
- 前記温度制御手段は、エンジンに設けられたターボポンプのタービン駆動に用いる高エンタルピガス流から前記液体推進薬に熱を供給するものである、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの推力制御装置。
- 前記温度制御手段は、エンジンに設けられたターボポンプの吐出側から吸い込み側に還流することによって前記液体推進薬の単位流量当たりのポンプ仕事を増加させて前記液体推進薬を昇温するものである、請求項1に記載の液体ロケットエンジンの推力制御装置。
- 噴射オリフィスを通して燃焼室に液体推進薬を噴射する液体ロケットエンジンを推力低減制御する液体ロケットエンジンの制御方法において、
前記噴射オリフィスの上流側に前記液体推進薬の温度を制御する温度制御手段を設け、エンジンの推力低減制御時に、前記液体推進薬の飽和蒸気圧が当該低減制御に必要な燃焼圧よりも高くなるよう、前記温度制御手段によって前記液体推進薬を昇温することを特徴とする液体ロケットエンジンの推力制御方法。 - 前記温度制御手段は、前記燃焼室の周囲に設けられた冷却ジャケットにおける燃焼ガスとの熱交換を熱源として前記液体推進薬の温度を昇温する熱交換器である、請求項5に記載の液体ロケットエンジンの推力制御方法。
- 前記温度制御手段は、エンジンに設けられたターボポンプのタービン駆動に用いる高エンタルピガス流から前記液体推進薬に熱を供給するものである、請求項5に記載の液体ロケットエンジンの制御方法。
- 前記温度制御手段は、エンジンに設けられたターボポンプの吐出側から吸い込み側に還流することによって前記液体推進薬の単位流量当たりのポンプ仕事を増加させて前記液体推進薬を昇温するものである、請求項5に記載の液体ロケットエンジンの推力制御方法。
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