JP2013154310A - 多管式反応器 - Google Patents

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昌幸 水野
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Abstract

【課題】 熱媒を大流量化しても、圧力損失の増大が抑えられるようにする。
【解決手段】 反応容器1は、容器内の両端部に、管板2と4により仕切られた熱媒供給ヘッダ3と熱媒排出ヘッダ5を備え、それぞれに連通する熱媒入口8と熱媒出口9を備える。各管板2と4の間に、各ヘッダ3と5に連通する複数の管7を設ける。各管板2と4の間で且つ各管7の外側には、反応原料入口17から反応原料11が供給される反応原料分配室12と、触媒14が充填された触媒層13と、生成した反応生成物15を反応生成物出口18へ導くための反応生成物集合室16を、下方から上方へ順に設けて、多管式反応器を形成する。触媒層13での触媒反応により反応原料11より反応生成物15を生成させる際に熱交換のために各管7内を流通させる熱媒10は、その流れが管群を横切らないようにさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、反応温度条件をコントロールしながら触媒反応を行わせるために用いる多管式反応器に関するものである。
反応原料から触媒反応により反応生成物を連続的に製造するプロセスでは、発熱反応や吸熱反応である触媒反応の進行に伴う温度変化を防止するために、触媒反応の実施時に、熱媒との間接的な熱交換を並行して行わせることにより、反応温度条件を一定に維持することが行われている。
この種の熱媒との熱交換を用いて反応温度条件をコントロールしながら触媒反応を効率よく実施させるための装置としては、たとえば、アクリル酸の製造や、エチレン酸、メタクリル酸、その他の各種化学物質の製造プロセスで広く用いられている多管式反応器(チューブラーリアクター)がある。
上記多管式反応器は、一般に、反応容器の一端部に、管板によって仕切られた反応原料の分配室が設けてあると共に、該反応容器の他端部に、管板によって仕切られた反応生成物の集合室が設けてある。且つ上記各管板同士の間には、平行配置した複数の管を、上記分配室と集合室の双方に連通するように取り付けて、該各管の内部に、触媒を充填した構成とされている。
上記のように各管内に触媒が充填された管内触媒式の多管式反応器は、上記反応容器内における各管板同士の間で且つ上記各管の外側の空間が熱媒流通領域とされている。なお、熱媒としては、通常、熱容量の大きな液体が使用される。
上記熱媒流通領域に熱媒を流通させる形式の1つとしては、上記各管を通す孔を備えたバッフル(邪魔板)を複数枚設けた構成として、該各バッフルにより熱媒の流れを蛇行させるようにして、該熱媒の流れ方向が上記各管の長手方向に対して直交する方向となるようにした熱媒直交流形式がある(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
又、上記熱媒流通領域に熱媒を流通させる別の形式としては、上記各管板の内側に、上記各管を通す孔を備え且つ熱媒を分散させることが可能な分配プレートにより仕切られた熱媒分散用と熱媒集合用の各区画を形成して、該熱媒分散用区画側の分配プレートから、熱媒集合用区画側の分配プレートまでの間に、熱媒を、該各管の長手方向に平行な方向に流通させるようにした熱媒平行流形式が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
更に、多管式反応器の別の形式のものとしては、熱媒を流通させるための管の外側に触媒を配置するようにした管外触媒式の多管式反応器が従来提案されている。
かかる管外触媒式の多管式反応器は、上端部に反応原料の注入用通路を設け、且つ下端部に反応生成物の排出用通路を設けた反応容器を備えている。上記反応容器の内部には、該反応容器の上部位置に、熱媒の上方分配ダクトが配置されると共に、該反応容器の下部位置に、熱媒の下方収集ダクトが配置され、該上方分配ダクトと下方収集ダクトとの間に、上下方向に延びる複数の管(チャンバ)が、双方のダクトに連通するように取り付けられている。更に、上記上方分配ダクトと下方収集ダクトとの間で且つ上記各管の外側に、触媒が配置された構成としてある。
これにより、上記管外触媒式の多管式反応器は、上記上方分配ダクトから各管を通して下方収集ダクトへ熱媒を流通させ、この状態で、注入用通路から反応容器内へ供給される反応原料が、上記上方分配ダクトと反応容器の内壁との間の隙間を通して上記触媒の層に進入して、触媒反応に供されるようにしてある。その後、該触媒反応により生成した反応生成物は、上記下方収集ダクトと反応容器の内壁との間の隙間を通して反応容器の下端部へ導かれた後、排出用通路を通して反応容器の外へ取り出されるようにしてある(たとえば、特許文献4参照)。
ところで、多管式反応器では、反応生成物の品質確保に基づく設計要求として、触媒についての均一温度分布、たとえば、水平及び垂直方向に数℃以内というような均一温度分布が求められることがあり、この場合は、反応容器に流通させる熱媒の大流量化が必要とされる。
特許第4424991号公報 特開2006−510471号公報 特開2006−192430号公報 特開2004−89998号公報
ところが、上記特許文献1、2に示された管内触媒式で且つ熱媒直交流形式の多管式反応器は、各バッフルの位置で反転させられることで熱媒の流れが複雑になり、該熱媒の温度分布にむらが生じやすい。更に、上記熱媒直交流形式は、各管を横切るように熱媒が流れるため、熱媒の大流量化を図ると、各管による流動抵抗が増加して圧力損失が大きくなり、熱媒を循環させるためのポンプ動力が大きくなるという問題もある。
なお、上記熱媒直交流形式では、バッフルに設ける孔の径を管の外径よりも大きくすることや、バッフルに管を通す孔以外の孔(ダミー孔)を設けることで、バッフルにて熱媒のリーク(漏れ)を生じさせて。該熱媒の圧力損失を低減させることが考えられている。しかし、この構成では、熱媒の温度分布のむらが更に増大する虞があると共に、多管式反応器の製造時における孔開け工数の増加に繋がるという問題が生じてしまう。
上記特許文献3に示された管内触媒式で且つ熱媒平行流形式の多管式反応器は、各分配プレートにより仕切られた熱媒分散用と熱媒集合用の各区画内では、熱媒を、触媒が充填された各管に対して管の長手方向に直交する方向に流通させる必要がある。そのため、該各区画内では、各管による流動抵抗が大きくなることから、熱媒の大流量化を図ると、圧力損失が大きくなり、熱媒を循環させるためのポンプ動力が大きくなるという問題が生じてしまう。
又、熱媒が各管の長手方向に平行に流れる領域では、長手方向のいずれかの部分で局所的に隣接する管同士の間隔(管ピッチ)が狭くなるところが生じると、そこでは熱媒が流れにくくなり、反対に、局所的に管ピッチが広くなるところが生じると熱媒が流れやすくなるため、熱媒の流量配分が不均一となって、温度むらの原因となる。特に、上流側で局所の温度むらが生じると、その温度むらが下流にまで影響を及ぼすことがある。このため、該領域では、各管の長手方向に亘って所定の管ピッチを維持するために、ロッドバッフル等を用いて各管の長手方向に中間部を保持させる必要があることから、構造が複雑化し、製造時の工数が増加してしまう。
上記特許文献4に示された従来の管外触媒式の多管式反応器は、反応原料を触媒の層へ供給するときには、上方分配ダクトの外周における反応容器の内壁との隙間を通す必要があると共に、触媒の層から反応生成物を取り出すときにも、下方収集ダクトの外周における反応容器の内壁との隙間を通す必要がある。そのため、上記触媒の層では、上記反応原料や反応生成物の流れが、反応容器の外周寄りに偏ってしまう。そのため、反応容器の中心付近に配置されている触媒を有効利用することが困難で、触媒反応の効率が低いという問題がある。
しかも、上記の各問題は、熱媒との熱交換効率を高めるために該熱媒を流通させる管の本数を増加させたり、反応容器の径を大きくすると、より顕著になってしまう。
そこで、本発明は、触媒層と熱媒の熱交換効率を高めることができると共に、熱媒の流動抵抗を低減させることができて、該熱媒の大流量化を図る場合であっても、圧力損失の増大を抑えて熱媒を循環させるためのポンプ動力が大きくなることを防止でき、しかも、製造時の工数を削減でき、更には、触媒を均等に触媒反応に利用することができて、触媒の無駄をなくすことができる多管式反応器を提供しようとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、反応容器内の一端部に管板により仕切って形成した熱媒供給ヘッダと、上記反応容器内の他端部に管板により仕切って形成した熱媒排出ヘッダと、上記反応容器に上記熱媒供給ヘッダ及び熱媒排出ヘッダにそれぞれ連通するように設けた熱媒入口及び熱媒出口と、上記各管板の間に配置して、両端部を上記各管板に穿設された管接続孔にそれぞれ連通接続した複数の管とを備え、更に、上記反応容器内における各管板同士の間で且つ上記各管の外側に、反応原料入口より供給される反応原料を反応容器内で分散させるための反応原料分配室と、触媒が充填された触媒層と、触媒層で生成される反応生成物を集合させてから排出させるようにする反応生成物集合室とを、いずれか一方の管板側から、他方の管板側へ順に設け、且つ上記反応原料分配室と反応生成物集合室の少なくとも一方の上記触媒層側に、触媒を支持して該触媒の通過は阻止する一方、上記反応原料及び反応生成物の通過を許容できる機能を有する触媒保持板を備えてなる構成とする。
又、上記構成において、反応容器における触媒層の上端部に対応する個所に触媒投入口を備えると共に、触媒層の下端部に対応する個所に触媒排出口を備えるようにした構成とする。
更に、上記各構成において、反応原料分配室と、触媒層と、反応生成物集合室を上下方向に配列させ、且つ触媒層の上下両側に、触媒保持板を平行に傾斜配置させて設けるようにした構成とする。
本発明の多管式反応器によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)反応容器内の一端部に管板により仕切って形成した熱媒供給ヘッダと、上記反応容器内の他端部に管板により仕切って形成した熱媒排出ヘッダと、上記反応容器に上記熱媒供給ヘッダ及び熱媒排出ヘッダにそれぞれ連通するように設けた熱媒入口及び熱媒出口と、上記各管板の間に配置して、両端部を上記各管板に穿設された管接続孔にそれぞれ連通接続した複数の管とを備え、更に、上記反応容器内における各管板同士の間で且つ上記各管の外側に、反応原料入口より供給される反応原料を反応容器内で分散させるための反応原料分配室と、触媒が充填された触媒層と、触媒層で生成される反応生成物を集合させてから排出させるようにする反応生成物集合室とを、いずれか一方の管板側から、他方の管板側へ順に設け、且つ上記反応原料分配室と反応生成物集合室の少なくとも一方の上記触媒層側に、触媒を支持して該触媒の通過は阻止する一方、上記反応原料及び反応生成物の通過を許容できる機能を有する触媒保持板を備えてなる構成としてあるので、触媒層と、各管内に流通させる熱媒との熱交換により、該触媒層における反応温度条件を保持しながら、反応原料より触媒反応によって反応生成物を連続的に製造することができる。
(2)上記熱媒は、反応容器の内部にて、熱媒入口より熱媒供給ヘッダ、各管内、熱媒排出ヘッダを経て熱媒出口まで流れる過程で、管群を横切るように流れることはない。このため、上記熱媒の大流量化を図る場合であっても、圧力損失の増大を抑えることができて、熱媒を循環させるためのポンプ動力が大きくなることを防止することができる。
(3)よって、熱媒の大流量化が容易に実現できるため、本発明の多管式反応器は、触媒層についての均一温度分布の設計要求を満たすことが可能になり、反応生成物の品質の向上化を図ることが可能になる。
(4)上記各管の外側には、触媒層に充填された触媒が存在していて該各管が支持されるため、各管の長手方向に亘って所定の管ピッチを維持するために、該各管の長手方向の中間部を支持するための部材を設ける必要はない。このため、本発明の多管式反応器は、構成を単純化することができて、製造時の工数を削減することができる。
(5)又、触媒層は、反応原料流入側と反応生成物流出側の両端面の全域で反応原料分配室と反応生成物集合室に接続されているため、該反応原料分配室から触媒層へ、及び、触媒層から反応生成物集合室へ、それぞれ反応原料及び反応生成物を反応容器の中心部から外周部まで均等に流通させることができて、触媒層全体の触媒を均等に触媒反応に利用することができる。よって、触媒反応の効率を高めることができると共に、触媒の無駄をなくすことができる。
本発明の多管式反応器の実施の一形態を示す概略切断側面図である。 図1の多管式反応器における管の配置を示すもので、(a)は正方配列の場合を示す概要図、(b)は千鳥配列の場合を示す概要図である。 本発明の実施の他の形態を示す概略切断側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2(a)(b)は本発明の多管式反応器の実施の一形態を示すものである。
すなわち、本発明の多管式反応器は、図1に示すように、反応容器1内の一端部(図では下端部)に、管板2によって仕切られた熱媒供給ヘッダ3が設けてある。又、上記反応容器1内の他端部(図では上端部)には、別の管板4によって仕切られた熱媒排出ヘッダ5が設けてある。
更に、上記反応容器1は、一端部に、上記熱媒供給ヘッダ3に連通して外部より熱媒10を供給するための熱媒入口8が設けてあると共に、他端部に、上記熱媒排出ヘッダ5に連通して外部へ熱媒10を排出させるための熱媒出口9が設けてある。
上記各管板2及び4には、互いに対応する配置で複数の管接続孔6が穿設されており、該各管板2と4同士で対応する各管接続孔6に、該各管板2と4同士の間に配置した複数の管7の両端部が、それぞれ連通接続されている。
これにより、外部の図示しない熱媒供給手段により、熱媒10が上記熱媒入口8より熱媒供給ヘッダ3へ供給されると、該熱媒10は、上記熱媒供給ヘッダ3内で各管接続孔6に向けて分配された後、該各管接続孔6に接続されている上記各管7の内部を流れるようにしてある。その後、上記各管7を通過した熱媒10は、上記熱媒排出ヘッダ5で合流させられた後に、上記熱媒出口9を通して外部へ排出されるようにしてある。この外部へ排出される熱媒10は、たとえば、図示しない熱交換器に導いて、本発明の多管式反応器で行わせる触媒反応が発熱反応の場合は放熱(熱回収)させ、一方、触媒反応が吸熱反応の場合は昇温させてから、上記図示しない熱媒供給手段に戻して、再循環させるようにすればよい。よって、上記図示しない熱媒供給手段より上記熱媒入口8へ連続的に熱媒10を供給させることで、上記各管7に熱媒10を連続して流通させることができるようにしてある。
上記反応容器1内における各管板2と4同士の間で且つ上記各管7の外側には、反応原料11を反応容器1の断面内で分散させるための反応原料分配室12と、触媒14が充填された触媒層13と、反応生成物15を集合させるための反応生成物集合室16が、いずれか一方の管板2又は4側から、他方の管板4又は2側へ順に設けられている。たとえば、図1に示すように、上記反応原料分配室12と、触媒層13と、反応生成物集合室16が、下方の管板2側から上方の管板4側へ順に配列して設けられている。
更に、上記反応容器1には、上記反応原料分配室12に連通する反応原料入口17と、上記反応生成物集合室16に連通する反応生成物出口18とを備えた構成としてある。
詳述すると、上記反応原料分配室12は、上記反応容器1の一端部(下端部)に設置されている管板2と、該管板2の内側(上側)に隙間を隔てて配置されて上記触媒14を支持するようにしてある触媒保持板19との間に形成されている。
上記触媒保持板19は、その面内における上記各管7の配置と対応する個所に、該各管7を通すための孔が穿設されており、該各孔に、対応する各管7を挿通させた状態で、上記反応容器1の内側に、該反応容器1の一端寄り個所(下部)を仕切るように取り付けてある。
更に、上記触媒保持板19は、上記触媒14の通過は阻止する一方、上記反応原料11を分散させて通過させることができるようにした開口(図示せず)を、面内における上記各管7挿通用の孔の穿設個所を除く部分の全面に多数配置して設けた構成としてある。
上記反応原料分配室12の外周には、外部の図示しない反応原料供給手段より反応原料入口17を通して供給される反応原料11を周方向に一旦分散させてから該反応原料分配室12へ流入させるための反応原料ヘッダ20が設けてある。反応原料分配室12と反応原料ヘッダ20の間には、スリット又は多孔板等の分散板20aを設置して流動抵抗を生じさせ、反応原料ヘッダ20から反応原料分配室12への反応原料11の一様流入を実現できるようにしてある。
なお、反応容器1の径が大きい場合や、反応原料入口17が周方向の1個所にしかない場合は、上記反応原料分配室12内での反応原料11の流れを均等化するという観点から考えると、上記反応原料ヘッダ20及び分散板20aを備える構成とすることが好ましい。しかし、上記反応原料ヘッダ20及び分散板20aは必ずしも必須ではなく、たとえば、図示しないが、上記反応原料分配室12の周方向の1個所、あるいは、複数個所に、上記図示しない反応原料供給手段により反応原料11が供給される反応原料入口17を直接設けるようにした構成としてもよいことは勿論である。
上記反応生成物集合室16は、上記反応容器1の他端部(上端部)に設置されている管板4と、該管板4の内側(下側)に隙間を隔てて配置された触媒保持板21との間に形成されている。
上記触媒保持板21は、上記触媒保持板19と同様に、各管7を通すための孔と、上記触媒14の通過は阻止する一方、上記反応生成物15の通過は許容できるようにした図示しない開口を多数備えた構成としてあって、上記各孔に、対応する各管7を挿通させた状態で、上記反応容器1の内側に、該反応容器1の他端寄り個所(上部)を仕切るように取り付けてある。
上記反応生成物集合室16の外周には、図1に示すように、該反応生成物集合室16内の反応生成物15を、外周側へ一旦導いてから反応生成物出口18へ取り出すことができるようにするための反応生成物ヘッダ22が設けてある。反応生成物集合室16と反応生成物ヘッダ22の間には、スリット又は多孔板等の分散板22aを設置して流動抵抗を生じさせ、反応生成物集合室16から反応生成物ヘッダ22への反応生成物15の一様流出を実現できるようにしてある。
なお、反応容器1の径が大きい場合や、反応生成物出口18を周方向の1個所にしか設けられない場合は、上記反応生成物集合室16内での反応生成物15の流れを均等化するという観点から考えると、上記反応生成物ヘッダ22及び分散板22aを備える構成とすることが好ましい。しかし、上記反応生成物ヘッダ22及び分散板22aは必ずしも必須ではなく、たとえば、図示しないが、上記反応生成物集合室16の周方向の1個所、あるいは、複数個所に、上記反応生成物出口18を直接設けるようにした構成としてもよいことは勿論である。
上記各触媒保持板19と21の間は、上記各管7の外側に触媒14を充填して、触媒層13が形成してある。
なお、上記各触媒保持板19と21は、触媒層13に充填される触媒14の荷重を支持できるような強度を備えていればよく、上記したように触媒14の通過は阻止する一方、上記反応原料11や反応生成物15の通過は許容できるようにするという機能を容易に得るためには、パンチングメタルやメッシュに各管7を通すための孔を穿設した構成とすることが好適である。しかし、上記各触媒保持板19と21は、上記構成に限定されるものではなく、触媒層13に充填される触媒14を保持することができる剛性を備え、且つ反応原料11や反応生成物15と反応する虞や、反応原料11や反応生成物15による腐食を受ける虞がない材質としてあればよい。更に、上記反応原料11や反応生成物15が液体の場合には、触媒14の活性を低下させる物質の溶出が生じない材質を選定するようにすればよい。
これにより、上記図示しない反応原料供給手段より反応原料入口17へ供給される反応原料11は、上記反応原料分配室12に導かれると、上記触媒保持板19の面内の全面に設けられている図示しない開口を通して、上記触媒層13へ分散されて流入して、触媒反応に供されるようにしてある。
又、上記触媒反応により生成した反応生成物15は、上記触媒保持板21の図示しない多数の開口を通して反応生成物集合室16に導かれた後、上記反応生成物出口18より外部へ取り出されて回収されるようにしてある。
ところで、上記触媒層13に充填されている触媒14は、触媒反応に供されることにより、徐々に劣化するため、所定の使用時間ごと等に、定期的な交換が必要になる。
そこで、本発明の多管式反応器は、上記触媒層13に充填されている触媒14を容易に交換できるようにするために、上記触媒層13の上端部に相当する位置の反応容器1の外側壁に、触媒投入口23が設けてあると共に、上記触媒層13の下端部に相当する位置の反応容器1の外側壁に、触媒排出口24が設けてある。上記触媒投入口23及び触媒排出口24は、それぞれ図示しない開閉手段を備えて、後述する触媒層13の触媒14の排出時や、触媒14の投入時には、該触媒投入口23及び触媒排出口24を、必要に応じて個別に開閉操作できるようにしてある。
これにより、上記触媒排出口24の開放時は、上記触媒層13に充填されている触媒14を、該触媒排出口24を通して外部に排出させることができるようにしてある。更に、上記触媒14の排出後に上記触媒排出口24を閉じて、上記触媒投入口23を開いた状態では、該触媒投入口23を通して投入される触媒14を、上記反応容器1の触媒保持板19と21の間における各管7の外側の空間に充填させて、上記触媒層13を形成させることができるようにしてある。
上記各管7は、上記触媒層13に充填されている触媒14全体と、該各管7内に流通させる熱媒10との熱交換を行うことができるように、本数や反応容器1内における配置が設定されているものとする。又、隣接する管7同士の間隔(管ピッチ)は、上記触媒14が自在に通り抜けることができるように設定されているものとする。
又、上記各管7の配列は、上記したように触媒排出口24を通して触媒14を排出させる際の効率や、上記触媒投入口23より投入する触媒14を各管7の外側に充填させる際の効率を考えると、図2(a)に示すように、正方配置とすることが好ましい。なお、各管7の配列は、必ずしも正方配置に限定されるものではなく、たとえば、図2(b)に示すような千鳥配置や、その他のいかなる正方配置以外の配置を採用してもよいことは勿論である。
以上の構成としてある本発明の多管式反応器を使用する場合は、先ず、上記図示しない熱媒供給手段より、後述する触媒反応を行わせる際の反応温度条件として所望する温度に予め温度調整した状態の熱媒10を、熱媒入口8より連続的に供給させる。これにより、該熱媒10は、熱媒供給ヘッダ3を経て各管7内に連続的に流通させられるようになる。上記各管7内を流通した後の熱媒10は、熱媒排出ヘッダ5及び熱媒出口9を経て外部に排出されるようになる。
この際、上記触媒層13の触媒14は、該触媒層13を貫くように配置されている上記各管7内を流通する熱媒10と、該各管7の管壁を介して間接的に熱交換されるので、上記所定の反応温度条件に常に保持されるようになる。
この状態で、上記図示しない反応原料供給手段により、反応原料11を、反応原料入口17より供給させると、該反応原料11は、反応原料ヘッダ20と反応原料分配室12を経た後、触媒保持板19の全面に設けてある図示しない多数の開口を通して上記触媒層13に分散されて供給される。
上記触媒層13に供給された反応原料11は、該触媒層13に充填されている触媒14が流動抵抗となることにより該触媒層13の断面内でより均等に分散されるようになる。
これにより、上記触媒層13では、上記所定の反応温度条件の下で、上記触媒14に対する上記反応原料11の接触効率が高められた状態で、該触媒14を介して上記反応原料11から反応生成物15を生成する触媒反応が実施されるようになる。この際、上記触媒反応が発熱反応又は吸熱反応のいずれであるとしても、上記各管7内を連続的に流通させてある上記熱媒10との熱交換により、その発熱又は吸熱による熱の変化分が連続的に吸収されて、上記触媒層13の温度変化は防止される。
上記触媒層13における触媒反応によって生成された反応生成物15は、上記触媒保持板21を経て、反応生成物集合室16で一旦集合させられた後、反応生成物ヘッダ22と反応生成物出口18を通して外部へ回収されるようになる。
上記触媒反応による反応生成物15の製造を所定期間実施して、上記触媒層13の触媒14が劣化した場合は、該劣化した触媒14を新たな触媒14に交換する。
この交換作業は、先ず、上記触媒排出口24を開けて、図1に二点鎖線で示すように、該触媒排出口24を通して上記触媒層13の触媒14を排出させる。この際、上記触媒排出口24は、上記触媒層13の下端部に開口させて設けてあるため、上記触媒14の自重を利用して該触媒14を排出させることができる。上記触媒14の自重を利用した排出手法によっても排出されない分の触媒14は、上記触媒排出口24より掻き出して排出させるようにすればよい。
その後、上記触媒排出口24を閉じた後、上記触媒投入口23を開けて、図1に二点鎖線で示すように、該触媒投入口23より新たな触媒14を投入する。この際、上記触媒投入口23は、形成させるべき触媒層13の上端部に開口するように設けてあるため、該触媒投入口23から投入される上記触媒14は、上記反応容器1内の所定個所に充填させられるため、触媒層13が容易に形成されるようになる。
触媒層13が形成されると、上記触媒投入口23を閉塞させてから、前述したと同様の手順により、反応原料11からの触媒反応による反応生成物15の製造を再開させるようにすればよい。
このように、本発明の多管式反応器によれば、触媒層13の触媒14と、上記各管7内に流通させる熱媒10との熱交換により、該触媒層13における反応温度条件を保持しながら、上記触媒14を介した触媒反応によって反応原料11より反応生成物15を連続的に製造することができる。
この際、上記熱媒10は、反応容器1の内部にて、上記熱媒入口8より熱媒供給ヘッダ3、各管7、熱媒排出ヘッダ5を経て上記熱媒出口9まで流れる過程で、管群を横切るように流れることはない。
このため、本発明の多管式反応器は、上記熱媒10の大流量化を図る場合であっても、圧力損失の増大を抑えることができて、熱媒10を循環させるためのポンプ動力が大きくなることを防止することができる。
よって、上記熱媒10の大流量化が容易に実現できることになることから、本発明の多管式反応器は、触媒層13の触媒14についての均一温度分布、たとえば、水平及び垂直方向に数℃以内というような均一温度分布の設計要求を満たすことが可能になり、反応生成物15の品質の向上化を図ることが可能になる。
なお、反応原料分配室12では、反応原料11が上記各管7に対してその長手方向に直交する方向に流通するようになり、又、反応生成物集合室16では、反応生成物15が上記各管7に対してその長手方向に直交する方向に流通するようになる。しかし、上記反応原料11の流動経路においては、触媒14が充填されている触媒層13を該反応原料11が流通するときの流動抵抗による圧力損失が、もともと大きい。しかも、上記反応原料11の流量は、通常、上記熱媒10の流量に比して小さい。このために、上記反応原料11や反応生成物15が管群を横切るように流れるときの流動抵抗は、該反応原料11や反応生成物15の上記触媒層13中での流動抵抗に比して大幅に小さい。よって、上記触媒層13では、反応原料11を、従来と同様の流速で流通させることができる。
又、本発明の多管式反応器は、後述する実施例の計算結果から明らかなように、従来の管内触媒式の多管式反応器に比して、管7と反応原料11側の熱伝達率を向上させることができて、熱媒10から触媒層13に存在している反応原料11までの熱通過率を向上させることができる。よって、本発明の多管式反応器では、熱媒10と触媒層13の熱交換効率を高めることができる。
更に、上記各管7の外側には、触媒層13に充填された触媒14が存在していて該各管7を支えているため、管ピッチを長手方向に亘って維持することができる。したがって、本発明の多管式反応器は、該各管7の長手方向の中間部を支持するための部材を設ける必要はないため、構成を単純化することができて、製造時の工数を削減することができる。
又、本発明の多管式反応器では、触媒層13が、反応原料11の流入側と反応生成物15の流出側の両端面の全域で反応原料分配室12と反応生成物集合室16に接続されているため、上記反応原料分配室12から触媒層13へ反応原料11を供給するとき、及び、触媒層13から反応生成物集合室16へ反応生成物15を取り出すときには、該反応原料11や反応生成物15を、反応容器1の中心部から外周部まで均等に流通させることができる。よって、上記触媒層13の触媒14は、該触媒14全体を均等に触媒反応に利用することができて、触媒反応の効率を高めることができると共に、触媒の無駄をなくすことができる。
上記触媒層13は、その上端部と下端部に対応する位置に、触媒投入口23と触媒排出口24が設けてあるため、触媒14の交換作業を容易に実施することができる。
図3は本発明の実施の他の形態として、図1及び図2(a)(b)の実施の形態の応用例を示すものである。
すなわち、本実施の形態の多管式反応器は、図1及び図2(a)(b)に示したと同様の構成において、触媒層13の下側に設ける触媒保持板19と、上側に設ける触媒保持板21を、各管7の長手方向に直交する水平面内に配置された構成とすることに代えて、触媒層13の上側と下側に、平行に傾斜配置された触媒保持板19aと触媒保持板21aを設けてなる構成としたものである。
更に、上記触媒層13の上側の触媒保持板21aの傾斜に対応して、該触媒層13の上端部と対応する個所に、触媒投入口23を設け、且つ上記触媒層13の下側の触媒保持板19aの傾斜に対応して、該触媒層13の下端部と対応する個所に、触媒排出口24が設けるようにしたものである。
その他の構成は図1及び図2(a)(b)に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
本実施の形態の多管式反応器によれば、上記各管7の触媒層13の内側に配置されている部分の長さ寸法は、均等になっているため、上記各管7内を流通させる熱媒10と触媒層13の触媒14との熱交換は、上記触媒保持板19aと21aの傾斜に起因して部分的な偏りが生じる虞はなく、触媒層13の全体で均等に行われるようになる。
よって、本実施の形態の多管式反応器によっても、図1及び図2(a)(b)の実施の形態の多管式反応器と同様に使用することができると共に、同様の効果を得ることができる。
更に、本実施の形態の多管式反応器では、上記各触媒保持板19a及び21aの傾斜に伴って触媒層13の下端部となる個所と、上端部となる個所に、触媒排出口24と、触媒投入口23がそれぞれ設けてあるため、触媒層13の触媒14の交換作業を実施するときに、上記触媒排出口24からの触媒14の自重を利用した排出と、上記触媒投入口23から投入する触媒14の触媒層13への充填とを、より効率よく行わせることができる。よって、本実施の形態の多管式反応器は、上記触媒層13の触媒14の交換作業の手間及び時間を、より削減することができる。
上記各実施の形態においては、反応容器1内にて、熱媒入口8及び熱媒供給ヘッダ3と、反応原料入口17及び反応原料分配室12が、触媒層13の下側に設けられ、熱媒出口9及び熱媒排出ヘッダ5と、反応生成物出口18及び反応生成物集合室16が、触媒層13の上側に設けられた構成を示したが、上下を反転させた構成としてもよい。すなわち、熱媒入口8及び熱媒供給ヘッダ3と、反応原料入口17及び反応原料分配室12が、触媒層13の上側に設けられ、熱媒出口9及び熱媒排出ヘッダ5と、反応生成物出口18と反応生成物集合室16が、触媒層13の下側に設けられた構成として、各管7内における熱媒10の流れ方向と、上記触媒層13内における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が下向きとなるようにしてもよい。
又、反応容器1内にて、上下いずれか一方の端部の熱媒入口8及び熱媒供給ヘッダ3側に、反応生成物出口18と反応生成物集合室16が設けられ、上下いずれか他方の端部の熱媒出口9及び熱媒排出ヘッダ5側に、反応原料入口17及び反応原料分配室12が設けられた構成として、各管7内における熱媒10の流れ方向と、触媒層13内における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が、互いに対向するようにしてもよい。
更に、上記各実施の形態では、熱媒10の流れ方向と、触媒層13内における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が、上下方向となる縦型の反応器として示したが、該熱媒10や、触媒層13内における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が水平方向となる横型の反応器としてもよい。更には、上記熱媒10や、触媒層13内における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が斜め方向となる形式の反応器としてもよい。この場合は、触媒層13の上端部と下端部となる位置に応じて、触媒投入口23と触媒排出口24の配置を適宜変更すればよい。
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、触媒層13内における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が、下向きとなる場合は、上記触媒層13の上側に配置される触媒保持板19又は21を省略した構成としてもよい。
又、上記触媒層13における反応原料11及び反応生成物15の流れ方向が上向きであっても、該反応原料11及び反応生成物15と触媒14との比重差が大である等の理由により、該反応原料11や反応生成物15の上向きの流れによって上記触媒層13の触媒14が浮遊する虞のない場合には、上記触媒層13の上側に配置される触媒保持板19又は21を省略した構成としてもよい。
触媒投入口23と触媒排出口24は、反応容器1の周方向の複数個所に設けるようにしてもよい。なお、この場合は、周方向にそれぞれ複数設ける触媒投入口23と触媒排出口24が、周方向ピッチが180度、120度、90度、60度、45度、30度のように等間隔で配置させるようにすることが望ましい。なお、上記触媒投入口23と触媒排出口24の数は相違していてもよい。
触媒層13の劣化した触媒14を新たな触媒14に交換する作業の作業効率を高める観点からすると、反応容器1における触媒層13の上端部と下端部に対応する個所に、触媒投入口23と触媒排出口24を設けることが好ましい。しかし、触媒14の排出を、反応容器1内に差し込むためのノズルを備えた吸引装置による吸引によって行う場合は、反応容器1における触媒層13の上端部と対応する個所にのみ、開閉可能な触媒14の投入口兼排出口を設けるようにしてもよい。
更には、前述したように、触媒層13の上側の触媒保持板19又は21を省略した構成とすることができる場合であって、且つ触媒層13の上側に設けられる反応原料分配室12又は反応生成物集合室16に連通する反応原料入口17又は反応生成物出口18から、上記反応容器1内に差し込むノズルを介して触媒層13の触媒14の吸引による排出や、該触媒層13への触媒14の充填を行うことができる場合は、上記反応容器1における触媒投入口23及び触媒排出口24を省略した構成としてもよい。
又、図3の実施の形態では、触媒層13の下側に配置される触媒保持板19a又は21aにおける触媒層13の下端部と対応する個所に、反応容器1の外から開閉操作が可能な触媒排出用の図示しない扉を設けてなる構成として、該扉の開放により、触媒層13の触媒14を、該触媒層13の下側に設けられる反応原料分配室12と反応原料入口17、又は、反応生成物集合室16と反応生成物出口18を通して外部へ排出できるようにした構成としてもよい。この場合は、反応容器1における触媒排出口24を省略した構成とすることができる。
上記反応原料11及び反応生成物15は、気体又は液体のいずれであってもよい。
本発明の多管式反応器は、アクリル酸製造用途以外に、エチレン酸、メタクリル酸や、その他の各種化学物質の触媒反応を実施させる場合に適用してもよい。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
図1及び図2(a)に示した構成の本発明の多管式反応器について、管7と反応原料11(及び反応生成物15)側の熱伝達率、及び、管7と熱媒10側の熱伝達率と、上記熱媒10から反応原料11(及び反応生成物15)までの熱通過率と、反応原料11(及び反応生成物15)の圧力損失、及び、熱媒10側の圧力損失について計算した。
その結果を、以下の表1に示す。
表1における比較例1は、従来の管内触媒式で且つ熱媒平行流形式の多管式反応器の構成について、上記と同様に、反応原料11側の熱伝達率と、熱媒10側の熱伝達率と、熱通過率と、反応原料11の圧力損失と、熱媒10側の圧力損失について計算したものである。
この場合、上記管内触媒式で且つ熱媒平行流形式の多管式反応器の構成は、管7の管径、管ピッチ、本数、反応原料11の流量、熱媒10の流量、触媒14の径、触媒層13における空隙率、反応容器1の高さを、上記本発明の多管式反応器と同様にした条件の下で、管7内に触媒14を充填した構成とし、且つ反応原料11及び反応生成物15の流路と、熱媒10の流路を入れ替えたものとしてある。
又、表1における比較例2は、従来の管内触媒式で且つ熱媒直交流形式の多管式反応器の構成について、上記と同様に、反応原料11側の熱伝達率と、熱媒10側の熱伝達率と、熱通過率と、反応原料11の圧力損失と、熱媒10側の圧力損失について計算したものである。
この場合、上記管内触媒式で且つ熱媒直交流形式の多管式反応器の構成は、上記管内触媒式で且つ熱媒平行流形式の多管式反応器の構成に、熱媒10の流れ方向を変更するためにドーナツ状のバッフル2枚とディスク状のバッフル1枚を設けてなる4段流路構成としたものである。
なお、上記比較例1及び比較例2では、触媒14の量、反応原料11と熱媒10の流路断面積、反応容器1の径については、上記本発明の多管式反応器の構成とは相違させてある。
又、以下の表1では、熱伝達率と熱通過率については、従来、広く一般的に使用されている管内触媒式で且つ熱媒直交流形式の多管式反応器の構成に基づく上記比較例2のときの反応原料側の熱伝達率の計算結果を1.0として、上記比較例1、2及び本発明の上記各項目の計算結果を規格化している。圧力損失についても同様に、上記比較例2のときの反応原料側の圧力損失の計算結果を1.0として、上記比較例1、2及び本発明の上記各項目の計算結果を規格化している。なお、上記比較例2の熱媒側の圧力損失値(表1の※印)については、各管とバッフルとの間の隙間がない条件(隙間リークなし)での値である。実際には各管とバッフルの間には微小の隙間を設けている場合が多いので、※印の値はあくまでも参考データとして扱う必要がある。
Figure 2013154310
以上の結果から明らかなように、本発明の多管式反応器は、従来の管内触媒式の多管式反応器に比して、管7と熱媒10側の熱伝達率は低下するものの、管7と反応原料11側の熱伝達率を向上させることができて、熱通過率を向上させることができることが判明した。よって、本発明の多管式反応器では、熱媒10と触媒層13の熱交換効率を高めることができる。
更に、反応原料11側の圧力損失は、従来の管内触媒式の多管式反応器に比してやや上昇するが、熱媒10側の圧力損失は、従来の管内触媒式の多管式反応器のうち、熱媒直交流形式のものに比しては約80分の1、熱媒平行流形式のものに比しても約7分の1と、大幅に低減させることができることが明らかである。
1 反応容器
2 管板
3 熱媒供給ヘッダ
4 管板
5 熱媒排出ヘッダ
6 管接続孔
7 管
8 熱媒入口
9 熱媒出口
10 熱媒
11 反応原料
12 反応原料分配室
13 触媒層
14 触媒
15 反応生成物
16 反応生成物集合室
17 反応原料入口
18 反応生成物出口
19 触媒保持板
21 触媒保持板
23 触媒投入口
24 触媒排出口

Claims (3)

  1. 反応容器内の一端部に管板により仕切って形成した熱媒供給ヘッダと、
    上記反応容器内の他端部に管板により仕切って形成した熱媒排出ヘッダと、
    上記反応容器に上記熱媒供給ヘッダ及び熱媒排出ヘッダにそれぞれ連通するように設けた熱媒入口及び熱媒出口と、
    上記各管板の間に配置して、両端部を上記各管板に穿設された管接続孔にそれぞれ連通接続した複数の管とを備え、
    更に、上記反応容器内における各管板同士の間で且つ上記各管の外側に、反応原料入口より供給される反応原料を反応容器内で分散させるための反応原料分配室と、触媒が充填された触媒層と、触媒層で生成される反応生成物を集合させてから排出させるようにする反応生成物集合室とを、いずれか一方の管板側から、他方の管板側へ順に設け、
    且つ上記反応原料分配室と反応生成物集合室の少なくとも一方の上記触媒層側に、触媒を支持して該触媒の通過は阻止する一方、上記反応原料及び反応生成物の通過を許容できる機能を有する触媒保持板を備えてなる構成
    を有することを特徴とする多管式反応器。
  2. 反応容器における触媒層の上端部に対応する個所に触媒投入口を備えると共に、触媒層の下端部に対応する個所に触媒排出口を備えるようにした請求項1記載の多管式反応器。
  3. 反応原料分配室と、触媒層と、反応生成物集合室を上下方向に配列させ、且つ触媒層の上下両側に、触媒保持板を平行に傾斜配置させて設けるようにした請求項1又は2記載の多管式反応器。
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