JP2013152438A - 現像部材、プロセスカートリッジおよび電子写真用画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体と表面層とを有する現像部材であって、該表面層は、バインダー樹脂としてのポリウレタン樹脂及び該バインダー樹脂中に分散しているポリウレタン樹脂粒子を含有し、該バインダー樹脂としてのポリウレタン樹脂は、隣接する2つのウレタン結合の間に、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる何れか一方または両方の構造とを有し、かつ、隣接する2つのウレタン結合の間に、構造式(4)で示される構造を有するものであることを特徴とする現像部材。
【選択図】図1A
Description
本発明に係る現像部材は、図1Aまたは図1Bに示すように、円柱状あるいは中空円筒状の基体(軸芯体)2、及び表面層4を有している。また、基体2が円柱状の場合には、図1Aに示すように基体2と表面層4の間に弾性層3を有する。特に非磁性一成分接触現像系プロセスでは、弾性層3を有する現像ローラが好適に用いられる。
基体2は、導電性を有し、現像ローラ1の電極および支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金、クロム又はニッケルで鍍金処理を施した鉄の如き導電性の材質で構成される。
なお、軸芯体の表面には、軸芯体と、後述する弾性層との接着性の向上を図るため、プライマーを塗布してもよい。プライマーの例としては、シランカップリング剤系プライマー、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリエーテル系またはエポキシ系の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等を用いることができる。
また、市販のプライマーとしては以下のものが挙げられる。
「DY39−051」、「DY39−067」、「DY39−115」(いずれも商品名:東レ・ダウコーニング社製);
「X−33−173」、「PRIMER−NO.4」、「PRIMER−NO.32」、「PRIMER−NO.35」(いずれも商品名:信越化学工業社製);
「XP81−405」、「XP81−A6361」、「XP81−B7015」、「ME21」、「ME151」、「ME153」、「XC9214」(いずれも商品名:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)。
プライマーは染料もしくは顔料によって着色してもよい。染料および顔料の例としては、例えば、モノアゾ染料およびポリアゾ染料、アントラキノン誘導体、アントロン誘導体系アントラキノン染料・顔料、フタロシアニン染料・顔料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、蛍光染料、アゾイック染料、ベンガラ、カーボンブラック、酸化チタンを挙げられる。これらは1種単独でも2種以上の組み合わせでも使用することが出来る。また、染料または顔料のより詳細な具体例を以下に挙げる。
特に、上記した市販のプライマーを着色する上では、ソルベントブルー44、ソルベントブルー70、ピグメントブルー15、ソルベントブラック3またはピグメントレッド122を好適に用いることができる。
弾性層3は、感光体表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧可能な硬度や弾性を現像ローラ1に付与するために設けられる。弾性層3は種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム。これらは単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。この中でも、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体が挙げられる。
本発明の表面層は表面に粗さを付与させトナーの搬送性を持たせる目的でバインダー樹脂中に分散しているポリウレタン樹脂粒子を含有する。
そして該ポリウレタン樹脂は、
隣接する2つのウレタン結合の間に、
下記構造式(1)で示される構造と、
下記構造式(2)で示される構造および下記構造式(3)で示される構造から選ばれる何れか一方または両方の構造とを有し、かつ、
隣接する2つのウレタン結合の間に下記構造式(4)で示される構造を有する。
本発明に係るポリウレタン樹脂を含む表面層が、柔軟でありながらも、粗し粒子であるところのポリウレタン樹脂粒子の脱落を抑制できている理由は明らかではない。しかしながら、本発明に係る現像ローラと、本発明に係る構成を有しない現像ローラとを、長期に亘って電子写真画像の形成に用いたときの表面層の状態の観察の結果から、以下のように推測される。
ところが、これらの現像ローラを長期に亘って使用し続けたときに、表面層からの樹脂粒子の脱落状況に明確な差異が現れた。すなわち、本発明に係る現像ローラにおいては、図6に示すように、樹脂粒子を被覆しているバインダー樹脂は削れているものの、樹脂粒子は、残されたバインダー樹脂によって表面層に確実に保持されており、表面層からの脱落が抑制されていた。
一方、本発明に係る構成を有しない現像ローラにおいては、図7に示したように、表面層からの多くの樹脂粒子の脱落が認められた。また、樹脂粒子が存在していた部分においては、バインダー樹脂が引きちぎられたような痕跡が認められた。また、そのような部分は樹脂粒子が脱落し、顕著にトナー融着が進行していることが分かった。
すなわち、本発明にかかるウレタン樹脂において、隣接する2つのウレタン結合の間に構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる何れかまたは両方の構造とを有する部分(以下、「A部分」ともいう)は、従来のポリエーテルウレタンに比べ、側鎖にメチル基が導入されていることにより、結晶化しにくく柔軟である。また、側鎖にメチル基が導入されていることにより非常に低極性となっている。
一方、隣接する2つのウレタン結合の間に構造式(4)で示される構造を有する部分(以下、「B部分」ともいう)も非常に低極性である。よって、A部分とB部分とは、表面層中で相分離せず存在することが可能である。
さらに、B部分は結晶性を有する。その結果、隣接する2つのウレタン結合の間に構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる何れかまたは両方の構造とを有する柔軟性の高いポリウレタン中に、隣接する2つのウレタン結合間に構造式(4)で示される構造を含む結晶性の高いポリウレタンがフィラーのような形で存在することとなり、バインダー樹脂全体として補強されているものと考えられる。その結果として、本発明に係る表面層は、柔軟であって、耐引き裂き性にも優れるものとなっているものと推測される。
また、樹脂粒子の平均粒子径が30μm以下であると粒子脱落を抑制することが可能となる。被覆層中に含有されている樹脂粒子の平均粒子径は、層の断面を顕微鏡等で観察することにより簡易的に求める事もできる。
本発明の電子写真画像形成装置の一例を図3に示す。図3において、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーの各色トナー毎に設けられる画像形成ユニットa〜dが設けられる。各画像形成ユニットa〜dには、それぞれ矢印方向に回転する静電潜像担持体としての感光体5が設けられる。各感光体5の周囲には、感光体5を一様に帯電するための帯電装置11、一様に帯電処理した感光体5にレーザー光10を照射して静電潜像を形成する不図示の露光手段、静電潜像を形成した感光体5にトナーを供給し静電潜像を現像する現像装置9が設けられる。
また、本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例を図4に示す。図4に示す電子写真プロセスカートリッジは、現像装置9と、感光体5、クリーニング装置12を有し、これらが一体化されて電子写真画像形成装置本体に着脱可能に設けられる。現像装置9としては電子写真画像形成装置で説明したものと同様のものを挙げることができる。本発明の電子写真プロセスカートリッジは、上記の他、感光体5上のトナー像を記録材22に転写する転写部材などを上記の部材と共に一体的に設けたものであってもよい。
(ポリウレタン樹脂粒子1の製造)
攪拌機が付属している容量が2リットルのセパラブルフラスコに水900質量部を仕込み、この中に「メトローズ90SH−100」(商品名、信越化学工業社製)30質量部を溶解して分散媒を調製した。
更に、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸とを反応させて得たポリエステルポリオール「クラレポリオールP−6010」(商品名、株式会社クラレ製)200質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネート120g、メチルエチルケトン(MEK)100質量部、およびジブチル錫ジラウレート0.003質量部を混合して、ポリウレタン樹脂粒子原材料を調製した。
前記分散媒を600rpmで攪拌しながら、前記原材料を加え、懸濁液を調製した。次いで、攪拌継続下に懸濁液を60℃に昇温し、5時間反応させた後、室温まで冷却し、固液分離し、水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥して、平均粒子径10μm、ガラス転移温度−52℃のポリウレタン樹脂粒子1を得た。
100質量部のポリウレタン樹脂粒子1に対して、シリカ微粒子(商品名:OX50、日本アエロジル社製)を1.0質量部を外添してポリウレタン樹脂粒子2を得た。外添は、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)を用いて3000回転/分で15分間処理することにより行った。
(イソシアネート基末端プレポリマーAの合成)
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:コスモネートMDI、三井化学社製)80.0質量部に対し、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造を有するポリオール(商品名:PTG−L2000,保土谷化学製)200.0質量部を反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.8%のイソシアネート基機末端ウレタンプレポリマーA(以下、「イソシアネートA」ともいう)を230質量部得た。
窒素雰囲気下、反応容器中でトリレンジイソシアネート(商品名:コスモネート80、三井化学社製)70.4質量部に対し、ポリプロピレングリコール系ポリオール(商品名:エクセノール1030、三洋化成工業社製)200.0質量部を反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量4.9%のイソシアネート基機末端ウレタンプレポリマーB(以下、「イソシアネートB」ともいう)を248質量部得た。
窒素雰囲気下、反応容器中でポリメリックMDI(商品名:コスモネートMDI、三井化学社製)80.0質量部に対し、構造式(1)で示される構造を有するポリオール(商品名:PTG2000,保土谷化学製)180.0質量部を反応容器内の温度を65℃に保持しつつ、徐々に滴下した。滴下終了後、温度65℃で2時間反応させた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、イソシアネート基含有量3.9%のイソシアネート基機末端ウレタンプレポリマーC(以下、「イソシアネートC」ともいう)を250質量部得た。
(実施例1)
<軸芯体2の製造>
軸芯体2として、外径6mm、長さ280mmのSUS304製の軸芯体にプライマー(商品名:DY35−051;東レダウコーニング社製)を塗布、焼付けしたものを用意した。
ついで、軸芯体2を金型に配置し、以下の材料を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に形成されたキャビティに注入した。
・液状シリコーンゴム材料(商品名:SE6724A/B;東レ・ダウコーニング社製)100質量部、
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB;東海カーボン社製)35質量部、
・シリカ粉体 0.2質量部、
・白金触媒 0.1質量部。
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを150℃、15分間加硫硬化し、脱型した後、さらに180℃、1時間加熱し硬化反応を完結させ、軸芯体2の外周に厚さ3mmの弾性層3を設けた。
表面層4の材料として、構造式(4)の構造を有するポリオール(商品名:Poly Bd R−15HT、分子量1200、出光興産製)40.0質量部と、構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造式を有するポリオール(商品名:PTG−L2000、分子量2000、保土谷化学製)、イソシアネート基末端プレポリマーA100質量部、カーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)36.0質量部を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
ポリオール、イソシアネート、ポリウレタン樹脂粒子を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜8の現像ローラを得た。なお、表中の材料の詳細は以下のとおりである。
「PTG−L1000」(商品名):構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造式を有するポリオール(分子量1000、保土谷化学製);
「PTG−L3000」(商品名):構造式(1)で示される構造と、構造式(2)で示される構造および構造式(3)で示される構造から選ばれる一方または両方の構造式を有するポリオール(分子量3000、保土谷化学製);
「Poly Bd R−45HT」(商品名):構造式(4)の構造を有するポリオール:分子量2800、出光興産製)。
なお、上記「Poly Bd R−15HT」および「Poly Bd R−45HT」は共に下記式で示される構造を有する水酸基末端液状ポリブタジエン化合物である。
ポリウレタン樹脂粒子を表1のとおりに変更した以外は実施例1と同様の方法で実施例9,10の現像ローラを得た。
ポリオール、イソシアネート、ポリウレタン樹脂粒子を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1、2の現像ローラを得た。
各実施例および各比較例にて製造した現像ローラを以下の手順により評価した。
まず、初めに表面観察を行い現像ローラの表面の状態を確認した。
次に、現像ローラを装着した電子写真画像形成装置を用いて画像出力評価を行い、現像ローラの画像性能を確認した。
最後に、再び現像ローラの表面観察を行い、画像出力評価後の表面観察結果を比較することで、画像出力評価によって現像ローラの表面がどのようになったのか確認した。
次に、これらの内容の具体的な方法を述べる。
後述する電子写真画像の出力試験に供する前の、新品の現像ローラの表面をレーザー顕微鏡(商品名:VK−8700、キーエンス社製、対物レンズの倍率:50倍)を用いて観察し、現像ローラ表面の250μm×200μmの長方形の領域内の、樹脂粒子に起因する凸部の数をカウントした。
電子写真画像形成装置として、図3に示す構成を有するレーザープリンタ(商品名:CLJ CP4525、ヒューレット・パッカード社製)を用意した。当該レーザープリンタ用のプロセスカートリッジに評価対象の現像ローラを組み込んだ。次いで、このプロセスカートリッジに上記レーザープリンタに装填し、環境温度15℃、相対湿度10%の低温低湿環境下で、24時間静置した。
その際、現像剤量規制部材の現像ローラに対する線圧を50gf/cmと、通常の値とよりも高く設定した。次に42枚/分のプロセス速度で電子写真画像を40000枚出力した。
ここで、電子写真画像は、レターサイズの紙(商品名:「Business Multipurpose 4200」、XEROX社製)上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字が、印字率0.5%となるように印字されてなる画像とした。また、印字モードは、レターサイズの紙を1枚出力する毎に、電子写真感光体の回転を1度停止させ、1枚の出力を10秒かけて行う間欠モードとした。
A:現像ローラ表面の粒子脱落部分へのトナー融着に起因する画像欠陥が認められない。
B:現像ローラ表面の粒子脱落部分へのトナー融着に起因するドット状の欠陥がわずかに観察される。
C:現像ローラ表面の粒子脱落部分へのトナー融着に起因するドット状の欠陥が観察される。
D:現像ローラ表面の粒子脱落部分へのトナー融着に起因するドット状の欠陥が明瞭に観察される。
上記評価2に係る電子写真画像の形成に供した現像ローラをプロセスカートリッジから取り出し、現像ローラの表面に付着しているトナーをエアーブローにより除去した。次いで、評価1にて観察した領域と同じ領域を、評価1と同様にして観察し、現像ローラ表面から脱落した樹脂粒子の数をカウントし、評価1でカウントした樹脂粒子由来の凸部の数に対する脱落した樹脂粒子の数の割合、すなわち、樹脂粒子の脱落率(=脱落した樹脂粒子の数×100/初期状態の現像ローラ表面の樹脂粒子由来の凸部の数)を算出し、以下の基準により評価した。
A:樹脂粒子の脱落率が0%。即ち、評価2に係る電子写真画像の形成によっても現像ローラの表面からの樹脂粒子の脱落が認められない。
B:樹脂粒子の脱落率が、0%超、5%未満。
C:樹脂粒子の脱落率が、5%超、10%未満。
D:樹脂粒子の脱落率が、10%超。
2‥‥導電性軸芯体
3‥‥弾性層
4‥‥ポリウレタン表面層
Claims (4)
- 前記ポリウレタン樹脂粒子は、シリカ微粒子によって表面が被覆されていることを特徴とした請求項1に記載の現像ローラ。
- 請求項1または2に記載の現像ローラを具備していることを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1または2に記載の現像ローラを具備し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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