JP2013152042A - 太陽熱利用システム、および熱媒の凍結防止制御方法 - Google Patents
太陽熱利用システム、および熱媒の凍結防止制御方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】太陽熱利用システム1は、集熱器3、タンク4およびポンプ2が配管7により接続された熱媒の循環経路と、配管7に設けられた温度センサ部34と、ポンプ2を制御し、熱媒を循環させる制御部6と、を有する。制御部6は、ポンプ2を一時的に動作させることで、ポンプ2の停止中に集熱器3にあった熱媒を、配管7に設けた温度センサ部34にまで押し出し、温度センサ部34により集熱器3の熱媒の温度を検出して凍結状態を判断し、集熱器3の熱媒が凍結し始めている場合には、ポンプ2を連続的に動作させて熱媒を循環させる熱媒循環制御を実行する。
【選択図】図1
Description
特許文献1では、集熱器で熱媒が凍結しないように、集熱器より低い位置に落水タンクを設け、落水バルブを開いて、集熱器の熱媒を落水タンクへ落水させる。
特許文献2では、熱媒として、水より凝固点が低い不凍液を使用する。
特許文献3では、熱媒の検出温度が熱媒の凝固点より高い判定温度以下になると、ポンプを動作させて熱媒を強制的に循環させる。
しかしながら、特許文献1では、集熱器の熱媒を落水させる膨張タンクを必要とし、設備コストがアップする。
特許文献2では、水より高価な不凍液の使用が必須となり、コストアップの一因となる。また、不凍液を使用したとしても、使用環境によっては、熱媒としての不凍液が凍結してしまう可能性が残る。
特許文献3では、追加設備等は不要であるものの、例えば集熱器内の最も温度が低下する箇所の温度を測定することは困難で、可能だとしても集熱器の内部に温度センサを取り付ける等が必要となり、コストアップとなるため、それ以外の配管中や集熱器と配管の接続部分に温度センサを設置している。そのため、最も温度が低下する箇所と、温度センサ設置箇所の温度差を考慮し、安全のため熱媒の検出温度を凝固点より高い判定温度と比較している。その結果、熱媒の温度が凝固点に低下しないような状況下でも、凍結防止のためポンプが動作することになる。熱媒の凍結を防止するためのランニングコストが嵩む。
また、検出した熱媒の温度を用いて集熱器またはラジエタの熱媒が凍結し始めるまでの凍結開始時間を予想し、その凍結開始時間が経過すると、ポンプを一時的に動作させて集熱器内部またはラジエタ内部の熱媒を温度センサ部に押し出して、熱媒の温度を検出する。
しかも、温度検出後にポンプは停止するが、次にポンプが動作するのは凍結開始時間経過直後であるため、仮に熱媒が凍結していたとしても、熱媒が凍結し始めたタイミングである。よって、凍結による熱媒の流動性の低下が抑えられ、ポンプを動作させることにより熱媒を容易に循環でき、短時間のポンプ動作により熱媒を凍結していない状態に戻すことができる。
これに対して、熱媒の凍結タイミングとは無関係な周期で熱媒の温度を検出して凍結開始を判断する場合には、ポンプを一時的に動作させる検出タイミングによっては、そのタイミングが長すぎることで熱媒の凍結が進行してしまっている、もしくは短すぎることで温度は凝固点よりも十分に高い可能性がある。長すぎる場合、凍結栓などが形成されて、ポンプを動作させたとしても熱媒を循環できず、熱媒を凍結していない状態に戻すことができない可能性が生じる。また、凍結を解除するためにヒータなどを併用する必要が生じ、コストアップ、ランニングコストの増加を招く。一方短すぎる場合、ポンプの動作が頻繁となり、ランニングコストのアップやポンプの寿命の低下を招く。
更に、本発明では、検出した熱媒の温度について凝固点と比較している。そして、検出温度が凝固点以下である場合に連続的にポンプを動作させている。よって、検出温度を凝固点より高い判定温度と比較してポンプを動作させる場合と比べて、ポンプの動作回数を減らすことができ、ランニングコストを削減することができる。
このように、本発明では、コストをかけて集熱器内部やラジエタ内部に新たな温度センサを設置することなく、また、熱媒の凍結を検出する回数およびそれに基づくポンプの一時的な動作の回数を減らし、しかも、凍結を検出した場合でのポンプの負荷および動作期間を削減できる。よって、本発明では、熱媒の凍結を防止するための各種のコストを総合的に削減できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る太陽熱利用システム1の概略構成図である。
図1の太陽熱利用システム1は、ポンプ2、集熱器3、タンク4、ラジエタ5、コントローラ(CTRL)6を有する。集熱器3とタンク4とは、分離されている。集熱器3とタンク4とは、一体化されてもよい。太陽熱利用システム1は、太陽熱を、タンク4の給湯用の水を加熱するために利用する。
ポンプ2、集熱器3、タンク4は、断熱材で覆われた配管7により環状に接続される。これにより、熱媒としての水が循環する循環経路が構成される。熱媒は、オイルなどの他の液体またはCO2などの気体でもよい。
ラジエタ5は、循環経路から分岐接続された配管7により、ポンプ2と集熱器3との間の配管7と並列に接続される。
循環経路とラジエタ5との分岐箇所には、コントローラ6により切り替え制御される第1切替バルブ8および第2切替バルブ9が設けられる。
コントローラ6には、時間を計測するタイマ(TMR)31が接続される。コントローラ6は、タイマ31から時刻または時間の情報を取得し、太陽熱利用システム1の制御に利用する。
コントローラ6には、各種のセンサが接続される。本実施形態では、コントローラ6に、たとえば、熱媒の流量計32、熱媒の供給温度センサ33、熱媒の排出温度センサ34、外気温センサ35、日射量センサ36が接続される。
図1の太陽熱利用システム1において、コントローラ6は、タンク4の給湯用の水を太陽熱で加熱するための制御を実行する。
タンク4内の給湯用の水の温度が所定の熱媒温度以下に冷たい場合、コントローラ6は、ポンプ2を動作させる。熱媒は、循環経路で循環する。
熱媒の温度には、供給温度センサ33または排出温度センサ34により実測された温度、または日射量センサ36の実測値の積算値などから演算した温度を利用すればよい。
タンク4内の水が利用されると、水道圧により、タンク4内へ新たな常温の水が追加される。
タンク4内の水の温度が熱媒温度以下になる度に、コントローラ6は、上述した太陽熱によるタンク4の水を加熱する制御を繰り返し実行する。制御の度に、ポンプ2は、動作と停止とを繰り返す。
なお、太陽の日射は、昼間のみであり、夜間はない。コントローラ6は、日射量センサ36により日射が検出されている期間に、またはタイマ31の計測時間により判断される日中期間に、熱媒を循環させるように加熱制御を実行してよい。
冷却制御が開始した場合、コントローラ6は、第1切替バルブ8および第2切替バルブ9を配管7からラジエタ5へ切り替え、ポンプ2を動作させる。これにより、熱媒は、ラジエタ5を循環して冷却される。
熱媒の温度が低下すると、コントローラ6は、ポンプ2を停止し、第1切替バルブ8および第2切替バルブ9をラジエタ5から配管7へ切り替える。
このため、図1の太陽熱利用システム1では、上述した太陽熱による加熱制御に加えて、熱媒を凍結させない制御を実行する。
図2は、図1の太陽熱利用システム1における、熱媒の凍結防止制御のフローチャートである。
熱媒を凍結させないために、コントローラ6は、太陽熱利用システム1の動作期間中に周期的に、熱媒の温度を検出し、熱媒が凍結する場合には、ポンプ2を動作させて熱媒循環制御を実行する。
また、配管7が断熱材で覆われ、タンク3が断熱構造を有することから、熱媒は、一般的に、集熱器3およびラジエタ5において最も冷却される。集熱器3では、放射冷却により、熱媒の温度が外気より低い温度になることがある。
熱媒が凍結すると、熱媒の体積が凝固により増え、太陽熱利用システム1中の機器が破損する可能性がある。
たとえばタイマ31により計測される時刻がたとえば夜間などの凍結可能性のある時間帯である場合、コントローラ6は、凍結防止制御が必要であると判断する。この他にも、外気温センサ35に検出される外気温が熱媒の凝固点に低下している場合、コントローラ6は、凍結防止制御が必要であると判断してよい。また、時間帯のみならず、季節、月等をも考慮して、凍結防止制御の要否を判断してよい。
そして、熱媒の凍結防止制御が不要であると判断した場合、コントローラ6は、凍結防止制御を実行することなく、図2の処理を終了する。
集熱器3は、一般的に集熱器3内部の熱媒の温度を検出する機能を持たない。集熱器3と配管7の接続部周辺に温度センサを設けたとしても、集熱器3内部の熱媒は放射冷却により外気温より低い温度に冷却されるので、集熱器3内部の熱媒の温度を検出することにならない。また、ラジエタ5も同様に内部の熱媒の温度を検出する機能を持っておらず、温度センサ設置のためには追加的なコストが発生する。
そこで、本実施形態では、コントローラ6は、熱媒の沸騰防止制御や加熱制御などで用いる供給温度センサ33および排出温度センサ34を用いて、集熱器3の熱媒の温度およびラジエタ5の熱媒の温度を検出する。
また、コントローラ6は、第1切替バルブ8および第2切替バルブ9を、配管7からラジエタ5へ切り替える。
ポンプ2の動作時間は、集熱器3の熱媒が排出温度センサ34まで移動するのに十分であり、かつ、ラジエタ5の熱媒が供給温度センサ33まで移動するのに十分な時間とする。動作時間は、熱媒の検出流量Qと配管7の長さに基づいて演算されたものでも、予め設定された固定値でもよい。本実施形態では、熱媒の凍結が始まっている状態で検出する可能性がある。このため、熱媒の検出流量Qを用いて最少の動作時間を演算し、使用するのが望ましい。
コントローラ6は、集熱器3の熱媒の凍結が始まると予想される時点までの第1凍結開始時間と、ラジエタ5の熱媒の凍結が始まると予想される時点までの第2凍結開始時間とを演算し、これらの短い方を、制御に使用する凍結開始時間とする。
本実施形態の集熱器3は、真空管形である。この場合、集熱器3から天空へ輻射放熱される放熱量は、下記式1、式2により演算できる。
なお、内部循環路12が真空断熱されていないたとえば所謂平板形集熱器では、この輻射放熱ととともに対流放熱を考慮する必要がある。
式1は、Bruntの式と呼ばれ、放射熱量Qc[J/m2/s]を演算する式である。εは輻射率であり、σ[W/m2K4]はステファン・ボルツマン定数であり、Tc[K]は集熱器3の温度であり、Ta[K]は外気温度であり、Cfは雲量であり、RHは相対湿度であり、ρ’[hPa]は飽和水蒸気圧である。また、通常、晴天日を考えればよいので、雲量は「0」とできる。
ここで、時間dtの間に、温度変化dTcが生じたとすると、式2の方程式が成立する。これを用いて、t[sec]後のTc[K]を解くことができる。
本実施形態では、Tcが0度(=273K)となるt[sec]を、第1凍結開始時間として演算する。
式2において、Cpc[J/m2K]は、集熱器3の比熱である。
なお、εは、集熱器3毎に特有の値である。この値は、あらかじめコントローラ6のROMに記憶させればよい。Ta[K]、RH、ρ’には、検出した計測値を用いるが、過去の最小値を調査し、その最小値をあらかじめコントローラ6のROMに記憶させてもよい。最小値を用いた場合、実測値を用いる場合より、第1凍結開始時間が短くなるため、検出頻度(すなわち、ポンプの動作頻度)が増加し、ランニングコストはアップするが、これらの検出のためのセンサが不要となる。
式3は、JIS A9501(保温保冷工事標準)による、t[h]後のラジエタの配管温度θ[℃]を演算する式である。θtm[℃]は初期水温であり、θa[℃]は外気温度であり、qwp[W/m]は拡散熱量であり、t[h]は経過時間であり、mw[kg]は保有水質量であり、Cpw[kJ/kgK]は保有水比熱であり、mp[kg]は配管質量であり、Cpp[kJ/kgK]は配管比熱であり、hse[W/m2K]は表面熱伝達率であり、Tse[K]は表面温度であり、θse[℃]は表面温度であり、De[m]は配管外形であり、εは輻射率であり、w[m/sec]は風速である。自然対流の場合には風速wは、0[m/sec]でよい。
なお、mw[kg]、Cpw[kJ/kgK]、mp[kg]、Cpp[kJ/kgK]、hse[W/m2K]、De[m]、εは、ラジエタ5毎に固有の値である。この値は、あらかじめコントローラ6のROMに記憶させればよい。θa[℃]、Tse[K]、θse[℃]には、検出した計測値を用いるが、過去の最小値を調査し、その最小値をあらかじめコントローラ6のROMに記憶させてもよい。最小値を用いた場合、実測値を用いる場合より、第2凍結開始時間が短くなるため、検出頻度(すなわち、ポンプの動作頻度)が増加し、ランニングコストはアップするが、これらの検出のためのセンサが不要となる。
タイマ31の経過時間が凍結開始時間を経過したと判断すると、コントローラ6の処理は、ステップST1に戻る。
このように、コントローラ6は、検出した熱媒の温度を用いて熱媒の凍結が始まるまでの凍結開始時間を予想することと、当該凍結開始時間が経過すると熱媒の温度を検出することとを、凍結開始時間毎に繰り返し実行する。
また、ステップST1において凍結防止が不要であると判断すると、図2の凍結防止処理を終了する。コントローラ6は、第1切替バルブ8および第2切替バルブ9を、ラジエタ5から配管7へ切り替える。
熱媒循環制御において、コントローラ6は、まず、ポンプ2を動作させる(ST7)。
その後、コントローラ6は、集熱器3の熱媒の温度、およびラジエタ5の熱媒の温度を検出する(ST8)。
熱媒の温度を検出した後、コントローラ6は、双方の検出温度が、熱媒が凍結しない制御温度以上であるか否かを判断する(ST9)。
制御温度は、たとえば熱媒が凝固する凝固点より数度高い温度とする。たとえば水の凝固点に対して、2度であればよい。本実施形態では、熱媒の凍結防止をする制御において、ポンプ2を動作させるだけである。この場合、循環される熱媒は、配管7との摩擦熱、動作するポンプ2の発熱のみにより加熱される。
双方の検出温度が制御温度以上である場合、コントローラ6は、ポンプ2を停止する。
また、ST8およびST9は、ポンプ2の運転時間をカウントし、熱媒が過熱するに足る一定時間の経過後にポンプ2が停止するような制御としてもよい。
特に、第1実施形態では、加熱制御や沸騰防止制御に用いる供給温度センサ33、排出温度センサ34を利用して、凍結防止制御を行えるため、凍結防止のための追加的な初期コストが発生しない。また、検出した熱媒の温度を用いて熱媒の凍結が始まるまでの凍結開始時間を予想し、その凍結開始時間が経過すると、ポンプ2を一時的に動作させて集熱器3の内部やラジエタ5の内部の熱媒を温度センサ部に押し出して、熱媒の温度を検出する。
しかも、第1実施形態の検出タイミングにおいて、温度検出後にポンプ2は停止するが、次にポンプ2が動作するのは凍結開始時間経過直後であるため、仮に熱媒が凍結していたとしても、熱媒が凍結し始めたタイミングである。よって、凍結による熱媒の流動性の低下が抑えられ、ポンプ2を動作させることにより熱媒を容易に循環でき、短時間のポンプ2の動作により熱媒を凍結していない状態に戻すことができる。
これに対して、熱媒の凍結タイミングとは無関係な周期で熱媒の温度を検出して凍結開始を判断する場合には、ポンプ2を一時的に動作させる検出タイミングによっては、そのタイミングが長すぎることで熱媒の凍結が進行してしまっている、もしくは短すぎることで温度は凝固点よりも十分に高い可能性がある。長すぎる場合、凍結栓などが形成されて、ポンプ2を動作させたとしても熱媒を循環できず、熱媒を凍結していない状態に戻すことができない可能性が生じる。また、凍結を解除するためにヒータなどを併用する必要が生じ、コストアップ、ランニングコストの増加を招く。一方短すぎる場合、ポンプの動作が頻繁となり、ランニングコストのアップやポンプの寿命の低下を招く。
更に、第1実施形態では、検出した熱媒の温度について凝固点と比較している。そして、検出温度が凝固点以下である場合にポンプ2を動作させている。よって、検出温度を凝固点より高い判定温度と比較してポンプ2を動作させる場合と比べて、ポンプ2の動作回数を減らすことができ、ランニングコストを削減することができる。
このように、第1実施形態では、コストをかけて集熱器3の内部やラジエタ5の内部に温度センサを設置することなく、また、熱媒の凍結を検出する回数およびそれに基づくポンプ2の一時的な動作回数を減らし、しかも、凍結を検出した場合でのポンプ2の負荷および動作期間を削減できる。よって、本発明では、熱媒の凍結を防止するための各種のコストを総合的に削減できる。
よって、第1実施形態では、落水タンクや不凍液を用いることなく、ポンプ2による熱媒の循環により、熱媒の凍結を効果的に抑制できる。しかも、このポンプ2による熱媒の循環を開始する温度を凝固点としているため、判定温度を下げ、ポンプ2の動作回数および動作時間を最小化できる。
図3は、本発明の第2実施形態に係る太陽熱利用システム41の概略構成図である。
図3の太陽熱利用システム41は、太陽熱で室内を冷房するものであり、熱を伝える媒体として、太陽熱で加熱される熱媒と、熱媒の熱で加熱されて循環する冷媒と、冷却する室内へ循環する水とを用いる。
集熱器3、熱交換器42、ポンプ2は、断熱材で被覆された配管7により環状に接続され、熱媒としての水が循環する循環経路を構成する。
ラジエタ5は、ポンプ2と集熱器3との間の熱媒の供給路と並列に接続される。ラジエタ5とこれと並列の循環経路の配管7との分岐箇所には、コントローラ6により切り替え制御される第1切替バルブ8および第2切替バルブ9が設けられる。
コントローラ6には、タイマ31と、図示しない各種のセンサが接続される。コントローラ6には、たとえば、図1と同様に、熱媒の流量計32、熱媒の供給温度センサ33、熱媒の排出温度センサ34、外気温センサ35、日射量センサ36が接続される。
コントローラ6は、第2実施形態と同様に、太陽熱で加熱された熱媒を熱交換器42へ循環させる太陽熱の利用制御と、熱媒の沸騰防止制御とを実行する。
ファンコイルユニット44と吸収式冷凍機43は配管により接続される。ファンコイルユニット44と吸収式冷凍機43との間で、水が循環される。室内の熱は、水により、吸収式冷凍機43へ移動する。
図3に示すように、吸収式冷凍機43では、冷媒としての水の気化熱を利用して熱交換を実施する。吸収式冷凍機43では、蒸発器51、吸収器52、再生器53および凝縮器54の4つが配管により接続される。
蒸発器51は、凝縮器54に接続される。蒸発器51には、ファンコイルユニット44に接続された水の熱交換器が配置される。蒸発器51に供給された凝縮水は、ファンコイルユニット44を介して室内から移動した熱により、気化する。
吸収器52は、蒸発器51と再生器53との間に接続される。蒸発器51で気化した水蒸気は、吸収器52において、再生器53から供給される水分が気化されて高濃度となった吸収液に吸収され、吸収液は低濃度になる。低濃度の吸収液は、再び、再生器53へ供給される。
また、第2実施形態でも、熱媒の凍結防止制御を実行するので、第1実施形態と同様に、熱媒の凍結の発生を効果的に抑制できる。
この他にもたとえば、ラジエタ5を持たない太陽熱利用システム1,41の場合、または、設置条件などにより、ラジエタ5での熱媒の温度が、集熱器3の熱媒の温度より常に高く維持される場合などにおいては、集熱器3の熱媒の温度のみを検出してよい。
この他にもたとえば、熱媒の検出温度が安定している場合には、前回使用した凍結開始時間を、次回の凍結開始時間に再利用してよい。
この他にもたとえば、集熱器3のハウジングの内部は、大気圧でもよい。この場合、集熱器3の内部循環路12の熱媒は、対流により放熱する。よって、集熱器3の熱媒の凍結が始まるまでの凍結開始時間には、輻射放熱と対流放熱とを考慮する必要がある。
この他にもたとえば、ラジエタ5は、タンク4と並列に接続されてよい。この場合、第1切替バルブ8および第2切替バルブ9の切り替えにより、ラジエタ5とタンク4とが切り替えられるので、熱媒循環制御において熱媒を循環させても、冷たい熱媒がタンク4に循環しなくなる。
また、ラジエタ5は、集熱器3からタンク4までの熱媒の排出路と並列に接続されてもよい。
さらに、タンク4の配管出入口部分に、熱媒循環制御時にのみ熱媒が流れるバイパス回路を設けてもよい。
この他にもたとえば、タンク4の水そのものを、集熱器3に直接注入し、循環させてもよい。この場合、凍結防止制御においてタンク4に蓄積されていた温水が循環するので、仮に集熱器3またはラジエタ5において熱媒の凍結が進んで凝固した熱媒の栓が形成されたとしても、これを溶かして熱媒が循環できるように復旧させることができる。
以上の実施形態および変形例は、たとえば以下の効果を奏する。
上記実施形態では、集熱器3の内部やラジエタ5の内部といった温度計測が困難で、熱媒の凍結が発生しやすい箇所の熱媒を、ポンプ2の一時的な動作により温度センサ部に押し出すことで、これらの温度を計測している。これにより、これらの箇所にコストをかけて温度センサを設置する場合と比べて、最小限のコストでこれらの温度を計測し、凍結防止制御に用いることができる。
また、検出した熱媒の温度を用いて熱媒の凍結が始まるまでの凍結開始時間を予想し、その凍結開始時間が経過すると、ポンプ2を一時的に動作させて集熱器3の内部やラジエタ5の内部の熱媒を温度センサ部に押し出して、熱媒の温度を検出する。温度検出後にポンプ2は停止するが、次にポンプ2が動作するのは凍結開始時間経過直後であるため、仮に熱媒が凍結していたとしても、熱媒が凍結し始めたタイミングである。よって、凍結による熱媒の流動性の低下が抑えられ、ポンプ2を動作させることにより熱媒を容易に循環でき、短時間のポンプ動作により熱媒を凍結していない状態に戻すことができる。
これに対して、熱媒の凍結タイミングとは無関係な周期で熱媒の温度を検出して凍結開始を判断する場合には、ポンプ2を一時的に動作させる検出タイミングによっては、そのタイミングが長すぎることで熱媒の凍結が進行してしまっている、もしくは短すぎることで温度は凝固点よりも十分に高い可能性がある。長すぎる場合、凍結栓などが形成されて、ポンプ2を動作させたとしても熱媒を循環できず、熱媒を凍結していない状態に戻すことができない可能性が生じる。また、凍結を解除するためにヒータなどを併用する必要が生じ、コストアップ、ランニングコストの増加を招く。一方短すぎる場合、ポンプ2の動作が頻繁となり、ランニングコストのアップやポンプの寿命の低下を招く。
しかも、上記実施形態では、検出した熱媒の温度と凝固点とを比較し、検出温度が凝固点以下である場合にポンプ2を連続的に動作させることで、熱媒を加熱して、凍結を防止している。よって、検出温度を凝固点より高い判定温度と比較してポンプを動作させる場合と比べて、ポンプ2の動作回数を抑えることができ、ランニングコストを削減することができる。
このように、上記実施形態では、コストをかけて集熱器3内部やラジエタ5内部に温度センサを設置することなく、また、熱媒の凍結の検出のためのポンプ2の一時的な動作の回数を極力減らして、ポンプ2の凍結防止動作によるランニングコストの増加を抑えることができる。よって、熱媒の凍結を防止するための各種のコストを総合的に削減できる。
2…ポンプ
3…集熱器
4…タンク
5…ラジエタ
6…コントローラ(制御部)
7…配管
33…供給温度センサ
34…排出温度センサ
42…熱交換器
Claims (9)
- 集熱器、タンクまたは熱交換器、およびポンプが配管により接続された熱媒の循環経路と、
前記配管に設けられた温度センサ部と、
前記ポンプを制御し、熱媒を循環させる制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記ポンプを一時的に動作させることで、前記ポンプの停止中に前記集熱器にあった熱媒を、前記配管に設けた温度センサ部にまで押し出し、
前記温度センサ部により前記集熱器の熱媒の温度を検出して凍結状態を判断し、
前記集熱器の熱媒が凍結し始めている場合には、前記ポンプを連続的に動作させて熱媒を循環させる熱媒循環制御を実行する
太陽熱利用システム。 - 前記制御部は、
前記温度センサ部により検出した熱媒の温度を用いて前記集熱器の熱媒が凍結し始めるまでの凍結開始時間を予想し、
当該凍結開始時間が経過した場合、前記ポンプを一時的に動作させて前記温度センサ部により前記集熱器の熱媒の温度を検出する
請求項1記載の太陽熱利用システム。 - 前記制御部は、
前記凍結開始時間毎に、熱媒の温度を繰り返し検出し、
熱媒の温度を検出する度に、前記凍結開始時間を、当該検出での熱媒の温度を用いて更新する
請求項2記載の太陽熱利用システム。 - 前記熱媒の循環経路には、熱媒を冷却するためのラジエタが接続され、
前記配管は、断熱材に覆われ、
前記制御部は、
外気にさらされる前記集熱器の熱媒の凍結が始まるまでの第1凍結開始時間、および熱媒を冷却する前記ラジエタの熱媒の凍結が始まるまでの第2凍結開始時間を予想し、
前記第1凍結開始時間および前記第2凍結開始時間のうちの短い方の凍結開始時間が経過すると、前記集熱器の熱媒の温度および前記ラジエタの熱媒の温度を検出し、
検出したいずれかの熱媒の温度が熱媒が凍結し始める温度以下である場合には、前記ポンプを連続的に動作させて熱媒を循環させる熱媒循環制御を実行する
請求項1から3のいずれか一項記載の太陽熱利用システム。 - 熱媒の前記循環経路では、前記集熱器、前記タンクまたは前記熱交換器、および前記ポンプが環状に接続され、
前記ポンプの動作により熱媒が前記循環経路を循環し、
前記循環経路についての前記集熱器の前後に、供給温度センサと排出温度センサとを設けて供給温度センサ部と排出温度センサ部を構成し、
前記ラジエタは、前記供給温度センサより上流側において前記循環経路に接続され、
前記制御部は、
熱媒の温度を検出する場合、前記ポンプを一時的に動作させて、前記ポンプの停止中に前記集熱器にあった熱媒を、前記排出温度センサ部にまで押し出すことにより検出し、前記ポンプの停止中に前記ラジエタにあった熱媒を、前記供給温度センサ部にまで押し出すことにより検出する
請求項4記載の太陽熱利用システム。 - 前記集熱器、前記タンクまたは前記熱交換器、および前記ポンプは、断熱材に覆われた配管により接続され、
前記制御部は、
前記熱媒循環制御において、熱媒の温度が、熱媒が凍結しない制御温度以上になるまで、前記ポンプを連続的に動作させる
請求項1記載の太陽熱利用システム。 - 前記制御部は、
前記熱媒循環制御を実行した場合、当該熱媒循環制御後の熱媒の検出温度を用いて前記凍結開始時間を予想する
請求項6記載の太陽熱利用システム。 - 前記制御部は、
熱媒が凍結する可能性のある時間帯において、前記凍結開始時間を繰り返し予想する
請求項1記載の太陽熱利用システム。 - 太陽熱を熱媒の熱へ変換する集熱器における、熱媒の凍結防止制御方法であって、
前記集熱器の熱媒を循環させるポンプを一時的に動作させることで、前記ポンプの停止中に前記集熱器にあった熱媒を、前記熱媒が循環する配管に設けた温度センサ部にまで押し出すステップと、
前記温度センサ部により前記集熱器の熱媒の温度を検出して凍結状態を判断するステップと、
前記集熱器の熱媒が凍結し始めている場合には、前記ポンプを連続的に動作させて熱媒を循環させる熱媒循環制御を実行するステップと、
を有する熱媒の凍結防止制御方法。
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JP2012012743A JP5783920B2 (ja) | 2012-01-25 | 2012-01-25 | 太陽熱利用システム、および熱媒の凍結防止制御方法 |
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JPS59175960U (ja) * | 1983-05-13 | 1984-11-24 | 株式会社東芝 | 太陽熱温水器 |
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-
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