JP2013147923A - 圧着構造の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄筋と、鉄筋に圧着される圧着金具の圧着構造を形成する方法において、鉄筋と、圧着金具の当接面の摩擦力を高め、これにより、鉄筋と圧着金具との圧着強度を高めることを目的とする。
【解決手段】鉄筋2に、鉄筋2を挿入するための貫挿孔1aが形成された圧着金具1を圧着させた圧着構造において、予め、粒状微粉末が混合された塗布液を鉄筋2や圧着金具1の貫挿孔1a内に塗布しておき、圧着金具1を貫挿孔1a内に貫挿させた鉄筋2に圧着させる。これにより、圧着金具1と、圧着金具1の貫挿孔1a内に挿入された鉄筋2の当接面に、当該挿入された鉄筋を貫挿孔1a内から引き抜く力に抗する摩擦力を高めるための粒状微粉末を介在させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄筋と圧着金具の圧着構造及びその方法であって、特に、鉄筋と圧着金具の当接面に粒状微粉末を介在させると共に、鉄筋に圧着金具を圧着させて、その圧着強度を高める技術に関する。
従来、一対の鉄筋の一部同士をスリーブに挿入させて鉄筋を連結する機械式継手が提供されている。
例えば、特許文献1では、一対の鉄筋の一端部同士を、互いに付き合わせてスリーブ内に挿入した上、当該スリーブを外周面上から押圧して鉄筋にスリーブを圧着せしめる機械式継手が提供されている。
このような機械式継手においては、鉄筋にかかる引張力に対し、所定の引張り強度を確保する必要があり、鉄筋の外周面上に設けられた節や、当該節のスリーブの内周面への食い込みといった構造によって、そのような引張り強度が確保されている。
また、鉄筋の引き抜き強度の確保という点では、特許文献2において、コンクリートとの付着力を高めることができる鉄筋として、鉄筋を加熱し、鉄筋にエポキシ粉体塗料を吹き付けて第一防食被膜を形成すると共に、溶融状態にある第一防食被膜の表面に、エポキシ樹脂及び硬化剤とが混合されてなる粉体塗料による第二防食被膜を形成して、第二防食被膜によって形成された無数の突起によりコンクリートに対する付着力を高めたものが提案されている。
一方、特許文献3では、金属製スリーブをコンクリート補強棒に取り付ける方法であって、スリーブと棒の対向面間にコンクリート補強棒、スリーブの両方の硬度よりも大きい硬度の粒子を存在させ、これらの粒子が前記棒及びスリーブに食い込んで共に把持するに十分な力でスリーブを棒に圧着させる方法が提案されている。
特開平10−131303号公報 特開2005−66574号公報 特開昭53−4318号公報
上記特許文献1、2では、連結された鉄筋の引張強度や、コンクリートに付着された鉄筋の引き抜き強度を高める構造が提供されているが、鉄筋と、鉄筋に圧着される金具の当接面に着目して、鉄筋と当該金具の間の摩擦力を高め、これにより鉄筋と当該金具との圧着強度を確保しようとするものではない。
一方、上記特許文献3記載の方法は、より具体的には、スリーブと棒の間に、寸法が約0.8乃至1.5mm、あるいは16メッシュ前後の冷硬鋼球などで構成される粒子を介在させ、エポキシ樹脂・硬化剤系のプラスチック接着剤あるいはネオプレンをベースとした接着剤など、硬化剤を用いた接着剤により、当該粒子をスリーブや棒に付着させている。
この方法において、このような粒径の粒子、及び接着剤を用いているのは、粒子をスリーブや棒に食い込ませ、これによりスリーブと棒の圧着強度を高めるためである。しかしながら、このような接着剤は高粘度を有するため、粒子が埋もれ易く、また、スリーブに棒を差し込む前に硬化して差し込みにくくなってしまう。粒子が埋もれてしまうと、粒子はスリーブと棒の間の圧着強度の向上に寄与できないし、硬化した接着剤そのものが逆にスリーブと棒との間の摩擦を低減し、圧着強度の低下を引き起こす。
そこで、本発明は、鉄筋、当該鉄筋に圧着される圧着金具の圧着構造を形成する方法において、鉄筋と、鉄筋と圧着金具の当接面の摩擦力を高め、これにより、鉄筋と圧着金具との圧着強度を高めることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る鉄筋と圧着金具の圧着構造の形成方法は、鉄筋に、当該鉄筋を挿入するための貫挿孔が形成された圧着金具が圧着させられた圧着構造を形成するための方法であって、上記鉄筋の外周面、又は/及び上記圧着金具の貫挿孔の内周面に、水溶性樹脂エマルジョンに粒径180〜600μmの粒状微粉が混合された塗布液を塗布する工程と、上記圧着金具の貫挿孔に、上記鉄筋を貫挿させる工程と、上記貫挿孔に上記鉄筋が挿入された上記圧着金具を押圧して、上記圧着金具を上記鉄筋に圧着させる工程と、を有することを特徴とする。

ここで、圧着金具とは、鉄筋に圧着される金具であって、機械式継手として鉄筋同士を連結するスリーブであったり、コンクリートに対する定着力を高めるために鉄筋に取り付けられる金具であったりする。
また、上記粒状微粉の粒径が、180〜300μmであるものとしてもよい。
また、上記粒状微粉は、炭化珪素系材料あるいはアルミナ系材料からなるものとしてもよい。
本発明によれば、鉄筋と圧着金具の圧着構造を形成する際、鉄筋と、圧着金具の当接面に粒状微粉末を塗布しておく。これにより形成される圧着構造では、鉄筋と圧着金具の当接面に粒状微粉末が介在し、その結果、鉄筋と圧着金具の間の摩擦力が高くなり、鉄筋と圧着金具との圧着強度を高めることができる。
本発明の実施形態に係る圧着構造の形成方法により形成した圧着構造を示す部分断面図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法によって形成した圧着構造について、鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す部分拡大図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により、鉄筋を連結する工程を示す図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により、鉄筋を連結する工程を示す図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造について行った評価試験を示すグラフである。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造について行った評価試験を示すグラフである。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造について行った評価試験を示すグラフである。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により形成した別の鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す部分断面図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法により形成した別の鉄筋と圧着金具の圧着構造を構成する部材を示す分解図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法、及びこれにより形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法、及びこれにより形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法、及びこれにより形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法、及びこれにより形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す図である。 本実施形態に係る圧着構造の形成方法、、及びこれにより形成した鉄筋と圧着金具の圧着構造を示す図である。
次に、本発明の実施形態に係る鉄筋と圧着金具の圧着構造の形成方法について、図を参照して説明する。
なお、本実施形態によって形成される圧着構造は、鉄筋と、鉄筋に圧着される圧着金具としてのスリーブとからなる機械式継手として構成されている。
図1に示されるように、本実施形態に係る鉄筋と圧着金具の圧着構造の形成方法によって形成される圧着構造では、スリーブ1に形成されている貫挿孔1aの両端から、鉄筋2が挿入されている。さらに、鉄筋2に対してスリーブ1が圧着されており、これにより一対の鉄筋が連結されている。
スリーブ1は略円筒形状からなり、両端が開口した貫挿孔1aが形成されている。この貫挿孔1aの径は、鉄筋2の径よりも僅かに大きく、鉄筋2を挿入することができる。
また、図2に示されるように、貫挿孔1aの内周面と鉄筋2の外周面が当接する当接面には、当該当接面における摩擦力を高めるための粒状微粉末10が介在している。本実施形態では、貫挿孔1aの内周面及び鉄筋2の外周面に、粒状微粉末10が塗布液によって付着される。
粒状微粉末10は例えば、粒径180〜600μmの炭化珪素系微粉末やアルミナ系微粉末など、無機粒状物を主原料とした微粉末である。なお、この粒状微粉末10は、粒径180〜600μmの範囲のうちの一定の粒径のもの、例えば300μmの粒径のもののみを使用するものとしてもよいし、粒径180〜600μmの範囲の粒径のもの、例えば粒径200〜400μmの粒径のものを混ぜ合わせて使用するものとしてもよい。
なお、本実施形態において連結される鉄筋2は、特にその種類が限定されることはないが、本実施形態では図面中、外周面上に、一定のピッチで互いに平行な節が形成された異形鉄筋を例示している。
続いて、鉄筋2にスリーブ1を圧着させる方法について、図3、図4を参照して説明する。
まず、図3に示されるように、予め貫挿孔1aの内周面又は鉄筋2の外周面に、所定の液体に粒状微粉末10を混合させた塗布液を塗り付けておいてから、スリーブ1の貫挿孔1a内に、両端から鉄筋2を挿入する。なお、貫挿孔1aの内周面と鉄筋2の外周面の双方に、粒状微粉末10を混合した塗布液を塗り付けておくものとしてもよい。
ここで、粒状微粉末10を混合する液体は、所定の粘度を有し、塗布面への付着力を発揮するものである。具体的には、水を分散媒とし、水溶性樹脂を用いた合成樹脂エマルジョンであり、水溶性樹脂には、アラビアガム、デキストリン等の天然水溶性樹脂やカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の半合成水溶性樹脂、ポリビニールアルコール、アクリル系樹脂等の合成水溶性樹脂などが使用できる。
貫挿孔1aの内周面又は鉄筋2の外周面に、塗布液によって粒状微粉末10が付着した状態で、図4に示されるように、鉄筋2を貫挿孔1a内に挿入した後、スリーブ1の外周面上から径方向内側に向かってスリーブ1を押圧する。押圧によって、貫挿孔1aは縮径し、貫挿孔1aの内周面と鉄筋2が、粒状微粉末10を介して圧着する。
なお、圧着した後においては、圧着時に発生する熱の影響と相まって塗布液は粒状微粉末10を残して蒸発し、粒状微粉末10のみが貫挿孔1aの内周面と鉄筋2の間に介在した状態となる。
以上の工程により、鉄筋2とスリーブ1は、当接面に粒状微粉末10を介在させた状態で圧着される。その結果、この粒状微粉末10によって、鉄筋2とスリーブ1の間の摩擦力が高くなり、これにより、鉄筋2とスリーブ1との圧着強度が高められる。特に、鉄筋2のリブなどが形成されていない平滑な面にも高い摩擦力が与えられることから、短いスリーブで、長いスリーブと同程度の強度を実現することができ、短いスリーブが好適な場面では特に有効である。
また、スリーブ1には、貫挿孔1aの内径を縮径する塑性加工が施されるので、加工硬化によって、高い強度を有する。
こうして形成される圧着構造について、粒状微粉末10の粒径を変えて性能評価を行った。その試験結果を以下の表1、及び図5〜図7に示す。
なお、粒状微粉末10無しの試験体では、規格降伏強度の50%である172.5[N/mm]以下の応力で抜出したため、剛性及びすべり量の計測を行っていない。
Figure 2013147923
この試験結果によれば、強度は試験体Dが最も高く、次いで試験体B、試験体Aとなった。剛性は試験体Cが最大となり、次いで試験体B、試験体A、試験体Dの順となった。一方、粒径75μm以下の試験体F〜試験体Hでは、他の試験体A〜Eに比して明らかに強度が劣ることがわかった。
以上の試験結果から、180〜1180μmの範囲の粒径の粒状微粉末10を用いるのが好適であることが分かった。
一方、この範囲の粒径の粒状微粉末10であっても、粒径の大きいものを用いる場合、鉄筋2とスリーブ1を圧着する前の工程で、鉄筋2の外周面あるいはスリーブ1の内周面に塗布液で粒状微粉末10を付着させる際、粒状微粉末10が鉄筋2又はスリーブ1の表面に付着しにくく、付着してもはがれやすい。これに対しては、塗布液そのものの粘性あるいは付着力を強いものとすることで、粒状微粉末10がはがれるのを防ぐことができるが、そうすると、鉄筋2をスリーブ1に挿入する際、鉄筋2がスリーブ1の貫挿孔1aにくっついて挿入しにくくなるし、粒状微粉末10が塗布液に埋もれ、鉄筋2とスリーブ1の間における摩擦力の向上に寄与しなくなる。
そのため、粘性あるいは付着力が強すぎない塗布液を用いながら、鉄筋2やスリーブ1に粒状微粉末10を付着させておける粒径であって、圧着構造において十分な強度が得られる粒状微粉末10の粒径は、好適には180〜600μm、より好適には180〜300μmであることが分かった。
次に、本発明の別の実施形態に係る鉄筋と圧着金具の圧着構造の形成方法について説明する。
図8に示されるように、本実施形態によって形成される圧着構造も機械式継手として構成されている。一対のスリーブ3夫々の一端側には鉄筋2の端部が挿入されており、当該一対のスリーブ3の他端同士が連結部材4によって連結され、粒状微粉末を介在させてスリーブ3と鉄筋2が互いに圧着した構造からなる。
スリーブ3はスリーブ1と同様、略円筒形状からなり、両端が開口した貫挿孔3aが形成されている。
一方、スリーブ3はスリーブ1と異なり、一端側が鉄筋2を挿入するための貫挿部31を構成し、他端側が連結部材4を取り付けるための螺合部32を構成している。
貫挿部31における貫挿孔3aの径は、鉄筋2の径よりも僅かに大きく、鉄筋2を挿入することができる。
また、貫挿部31における貫挿孔3aの内周面と鉄筋2の外周面が当接する当接面には、当該当接面における摩擦力を高めるための粒状微粉末が介在している。本実施形態では、貫挿部31における貫挿孔3aの内周面及び鉄筋2の外周面には粒状微粉末が付着している。
なお、粒状微粉末は前述のとおり、例えば、粒径180〜600μm程度の炭化珪素系微粉末やアルミナ系微粉末など、無機粒状物を主原料とした微粉末である。
螺合部32は予め、貫挿部31と同じ径から塑性加工によって縮径されており、貫挿部31よりも僅かに径が小さい。
この螺合部32内には、連結ボルト4の外周面上に形成されている雄ネジに螺合する雌ネジが螺刻されている。
連結ボルト4は、外周面に雄ネジが形成された円柱状の部材である。
この連結ボルト4の径は、スリーブ3の螺合部32の貫挿孔3aの径に対応しており、連結ボルト4は、スリーブ3の螺合部32の貫挿孔3aに螺入させることができる。
さらに、連結ボルト4の軸心方向の長さは、螺合部32の長さの約2倍であり、一端側を一のスリーブ3の螺合部32に螺入させると共に、他端側を他のスリーブ3の螺合部32に螺入させることでき、これにより、鉄筋2が挿入されたスリーブ3同士を連結することができる。
続いて、鉄筋2にスリーブ3を圧着させた圧着構造を形成する方法について、図9を参照して説明する。
まず、スリーブ3を二つ用意し、各スリーブ3の貫挿部31の貫挿孔3a内に鉄筋2を挿入する。この際、予め、スリーブ3の貫挿孔3aの内周面及び鉄筋2の外周面に、粒状微粉末を混合した塗布液を塗り付けておくことにより、粒状微粉末をスリーブ3の貫挿孔3aの内周面と鉄筋2の外周面に付着させておく。
そして、貫挿部31の貫挿孔3aに鉄筋2が挿入された二つのスリーブ3を、螺合部32の開口端部を向かい合わせにし、夫々の螺合部32に、連結ボルト4の一端側あるいは他端側を螺入させる。
さらに、鉄筋2が挿入された貫挿部31を、外周面から径方向内側に向かって押圧し、塑性加工を施す。押圧によって貫挿部31は縮径し、粒状微粉末を介在させた状態で、貫挿部31の内周面と鉄筋2とが圧着する。
これにより、二つのスリーブ3夫々の貫挿部31の貫挿孔3aの内周面に鉄筋2が圧着すると共に、スリーブ3が連結ボルト4によって連結されて、二本の鉄筋2が連結される。
以上のとおり、本実施形態においても、当接面に粒状微粉末を介在させた状態で鉄筋2にスリーブ3が圧着される。その結果、この粒状微粉末によって、鉄筋2とスリーブ3の間の摩擦力が高くなり、これにより、鉄筋2とスリーブ3との圧着強度が高められる。
なお、以上の本実施形態において、機械式継手の形状や構造については、特に本実施形態のものに限ることはなく、鉄筋2を挿入する貫挿孔1a、3aが形成されたスリーブ1、3に対し、鉄筋2を挿入する形状あるいは構造を有するものであれば適用することができる。
また、鉄筋2とスリーブ1、3の当接面に介在させる粒状微粉末は、薄手のシートの一面に貼り付けた上、他面側を貫挿孔1a、3aの内周面に貼り付けるようにしたり、スリーブ1、3を加熱した上、貫挿孔1a、3aの内周面に吹き付けて溶融付着させたりすることもできる。
また、以上の本実施形態に係る鉄筋と圧着金具の圧着構造の形成方法では、鉄筋同士を連結する機械式継手を形成する場合を示したが、これに限らず、本発明の別の実施形態として、鉄筋と、当該鉄筋をコンクリートに定着させる圧着金具との圧着構造を形成する方法として構成することもできる。この一例を図10に示す。
図10(A)、(B)に示されるように、略楕円形状の圧着金具5に形成されている円形の貫挿孔5aには、鉄筋2の一端部が挿入されている。圧着金具5と鉄筋2が当接する貫挿孔5aの内周面には粒状微粉末が介在させられており、この状態で、圧着金具5は鉄筋2に圧着されている。
この圧着構造を形成する方法について、図10(C)〜(E)を参照して説明する。
まず、円形状の貫挿孔5aが形成された略四角形状の圧着金具5に対し、貫挿孔5a内に鉄筋2の端部を挿入する。それから、円弧溝51aを備えたダイス51によって圧着金具5を外周面上から押圧する。これにより、圧着金具5の外周が略楕円形に圧縮変形すると共に、圧着金具5が鉄筋2に圧着される。
本実施形態によっても、圧着金具5と鉄筋2とが当接する部分にあたる貫挿孔5aの内周面に、粒状微粉末を混合した塗布液を圧着前に予め塗布しておくことで、圧着金具5と鉄筋2は、互いの当接面に粒状微粉末を介在させた状態で圧着される。
また、本実施形態に係る圧着構造の形成方法によって形成される、さらに別の圧着構造を図11に示す。
図11(A)、(B)に示されるように、円形状の貫挿孔6aを備えた圧着金具6は、六角形状の外周を有する部分と、当該六角形状から圧縮変形して円形状に形成された外周を有する部分とからなる。円形状に圧縮変形した部分の貫挿孔6aには、鉄筋2の一端部が挿入されており、この部分において、粒状微粉末を介在させて圧着金具6が鉄筋2に圧着されている。
この圧着構造を形成する方法について、図11(C)〜(E)を参照して説明する。
まず、円形状の貫挿孔6aが形成された六角形状の圧着金具6に対し、貫挿孔6a内に、貫挿孔6aの奥行き半分まで鉄筋2の端部を挿入する。それから、円弧溝61aを備えたダイス61によって、圧着金具6を、鉄筋2が挿入されている部分だけ外周面上から押圧する。これにより、圧着金具6の押圧された部分が略円形に圧縮変形すると共に、当該部分において圧着金具6が鉄筋2に圧着される。なお、この圧着によって、圧着金具6の外周面は段差を形成して、元の六角形状のままの部分と、円形状に圧縮された部分とから構成される。
本実施形態によっても、圧着金具6や鉄筋2に、粒状微粉末を混合した塗布液を圧着前に予め塗布しておくことで、圧着金具6と鉄筋2は、互いに当接する部分に粒状微粉末を介在させた状態で圧着される。また、この圧着金具6は、圧着の過程で形成された外周面上の段差によって、コンクリートに対する定着力を増強することができる。
また、本実施形態に係る圧着構造の形成方法によって形成される、さらに別の圧着構造を図12に示す。
図12(A)、(B)に示されるように、円形の貫挿孔7aを備えた圧着金具7は、断面円形状で、薄肉の筒状の部分と、当該筒状の部分の端部から徐々に拡径した厚肉の部分とからなる。筒状の部分の貫挿孔7aには、鉄筋2の一端部が挿入されており、この部分において、粒状微粉末を介在させて圧着金具7が鉄筋2に圧着されている。
この圧着構造を形成する方法について、図12(C)〜(G)を参照して説明する。
まず、円形状の貫挿孔7aが形成された筒状の圧着金具7にチャック73、74を取り付ける。そして、薄肉部分の内周に挿入可能な円柱状の突起部を有するダイス72を、薄肉部分の端部に押し当てる。これにより、薄肉部分の端部が拡径し、次いでこの拡径した端部が、ダイス72の平坦部分によって押し広げられる。これにより、薄肉部分は末広がり状に拡径する。次に、拡径していない厚肉の部分の貫挿孔7aに鉄筋2を挿入し、円弧溝71aを有するダイス71によって、圧着金具7を、鉄筋2が挿入されている部分だけ外周面上から押圧する。これにより、圧着金具7の押圧された部分が圧縮変形すると共に、当該部分において圧着金具7が鉄筋2に圧着される。
本実施形態によっても、圧着金具7や鉄筋2に、粒状微粉末を混合した塗布液を圧着前に予め塗布しておくことで、圧着金具7と鉄筋2は、互いに当接する部分に粒状微粉末を介在させた状態で圧着される。また、この圧着金具7は、末広がり状に拡径した部分によって、コンクリートに対する定着力を増強することができる。
また、本実施形態に係る圧着構造の形成方法によって形成される、さらに別の圧着構造を図13に示す。
図13(A)、(B)に示されるように、円形の貫挿孔8aを備えた圧着金具8は、断面円形状で、筒状の部分と、当該筒状の部分の端部から拡径して内側に折り返された部分とからなる。筒状の部分の貫挿孔8aには、鉄筋2の一端部が挿入されており、この部分において、粒状微粉末を介在させて圧着金具8が鉄筋2に圧着されている。
この圧着構造を形成する方法について、図13(C)〜(G)を参照して説明する。
まず、円形状の貫挿孔8aが形成された筒状の圧着金具8にチャック83、84を取り付ける。そして、ダイス82を圧着金具8の端面に押し当てる。これにより端面は、外側に膨らむように座屈し、さらにダイス82を押し当てることによって、端面は折り返されて二重に形状になる。次に、筒状の部分の貫挿孔88に鉄筋2を挿入し、円弧溝81aを有するダイス81によって、圧着金具8を、鉄筋2が挿入されている部分だけ外周面上から押圧する。これにより、圧着金具8の押圧された部分が圧縮変形すると共に、当該部分において圧着金具8が鉄筋2に圧着される。
本実施形態によっても、圧着金具8や鉄筋2に、粒状微粉末を混合した塗布液を圧着前に予め塗布しておくことで、圧着金具8と鉄筋2は、互いに当接する部分に粒状微粉末を介在させた状態で圧着される。また、この圧着金具8は、末広がり状に拡径した部分によって、コンクリートに対する定着力を増強することができる。
また、本実施形態に係る圧着構造の形成方法によって形成される、さらに別の実施形態に係る圧着構造を図14に示す。
図14(A)、(B)に示されるように、貫挿孔9aを備えた圧着金具9は、貫挿孔9aが、角が丸い略四角形状に形成された筒状の部分と、貫挿孔9aが円形状に形成され、当該筒状の部分の端部から末広がりに拡径した部分とからなる。そして、筒状の部分には鉄筋2の一端部が挿入されており、この部分において、粒状微粉末を介在させて圧着金具9が鉄筋2に圧着されている。
この圧着構造を形成する方法について、図14(C)〜(G)を参照して説明する。
まず、4つの台形状のダイス91で、筒状部分の外周を四方から押圧し、角の丸い略四角形状の貫挿孔9aを形成する。それから、筒状の部分に鉄筋2の位置端部を挿入した上、円弧溝91aを有する4つのダイス91によって、圧着金具9を、鉄筋2が挿入されている貫挿孔の丸い角部分から中心方向へ押圧する。これにより、圧着金具9の押圧された部分が圧縮変形すると共に、当該部分において圧着金具9が鉄筋2に圧着される。
本実施形態によっても、圧着金具9や鉄筋2に、粒状微粉末を混合した塗布液を圧着前に予め塗布しておくことで、圧着金具9と鉄筋2は、互いに当接する部分に粒状微粉末を介在させた状態で圧着される。また、この圧着金具9は、末広がり状に拡径した部分によって、コンクリートに対する定着力を増強することができる。
なお、2003年10月23日出願の特願2003−362703の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
1 スリーブ
1a 貫挿孔
2 鉄筋
3 スリーブ
3a 貫挿孔
31 貫挿部
32 螺合部
4 連結ボルト
5〜9 圧着金具
10 粒状微粉末
また、参考例では、鉄筋2とスリーブ1、3の当接面に介在させる粒状微粉末は、薄手のシートの一面に貼り付けた上、他面側を貫挿孔1a、3aの内周面に貼り付けるようにしたり、スリーブ1、3を加熱した上、貫挿孔1a、3aの内周面に吹き付けて溶融付着させたりすることもできる。

Claims (3)

  1. 鉄筋に、当該鉄筋を挿入するための貫挿孔が形成された圧着金具が圧着させられた圧着構造を形成するための方法であって、
    上記鉄筋の外周面、又は/及び上記圧着金具の貫挿孔の内周面に、水溶性樹脂エマルジョンに粒径180〜600μmの粒状微粉が混合された塗布液を塗布する工程と、
    上記圧着金具の貫挿孔に、上記鉄筋を貫挿させる工程と、
    上記貫挿孔に上記鉄筋が挿入された上記圧着金具を押圧して、上記圧着金具を上記鉄筋に圧着させる工程と、を有する、
    ことを特徴とする圧着構造の形成方法。
  2. 上記粒状微粉の粒径が、180〜300μmである、
    請求項1記載の圧着構造の形成方法。
  3. 上記粒状微粉は、炭化珪素系材料あるいはアルミナ系材料からなる、
    請求項1又は2記載の圧着構造の形成方法。
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