JP2013147464A - 医薬組成物 - Google Patents

医薬組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2013147464A
JP2013147464A JP2012009759A JP2012009759A JP2013147464A JP 2013147464 A JP2013147464 A JP 2013147464A JP 2012009759 A JP2012009759 A JP 2012009759A JP 2012009759 A JP2012009759 A JP 2012009759A JP 2013147464 A JP2013147464 A JP 2013147464A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
cancer
protein
cells
pharmaceutical composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012009759A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Nishimura
孝司 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
Original Assignee
Hokkaido University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokkaido University NUC filed Critical Hokkaido University NUC
Priority to JP2012009759A priority Critical patent/JP2013147464A/ja
Publication of JP2013147464A publication Critical patent/JP2013147464A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

【課題】本発明の目的は、新規な癌特異抗原を発見し、癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドを有効成分として含む医薬組成物及び癌ワクチンを提供することである。
【解決手段】前記課題は、癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを有効成分として含む医薬組成物であって、前記タンパク質又はペプチドが、(1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又はその部分ペプチド、(2)前記タンパク質又は部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、(3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は(4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチド、である医薬組成物によって解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、癌に対する免疫誘導活性を有するペプチド、若しくはHP15タンパク質の発現又は機能を抑制する化合物を含む医薬組成物、癌ワクチン、癌の検出方法、及び癌治療用化合物のスクリーニング方法に関する。
癌は、心疾患に次ぐ第2のヒトの死亡原因であり、全世界で数百万の人々が、毎年癌により死亡している。癌による死亡数は増加の傾向にあり、心疾患を抜いて、癌が第一の死亡原因になることが予測されている。
癌細胞は、生体の細胞の遺伝子に起きたなんらかの変化によって、生体細胞がコントロールを失って、無秩序に増殖するようになったものである。このような癌細胞の多くは、癌特異的な抗原を発現している。癌特異抗原(腫瘍特異抗原)としては、HER−2/neu、BAGE、GAGE−1、GAGE−2、MUM−1、CDK4、MUC−1、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、p15、β−カテニン、TRP−1、TRP−2、CEA、p53、MAGE−1、MAGE−3、MAGE−A4、及びsurvivinなどが発見されてきた。これらの癌特異抗原は、成人の正常細胞には全く存在していないか、又は非常に低レベルで存在する抗原である。そのため、このような癌特異抗原を検出することにより、癌の診断が試みられている。
また癌特異抗原自体が、癌の無秩序な増殖に関与していることもある。このような場合、癌特異抗原の発現を抑制したり、又はその機能を抑制することにより、癌の増殖を抑え、癌を治療することが可能である。例えば、ハーセプチン(登録商標)は、ヒト上皮成長因子レセプター2(HER2)に選択的に結合するヒト化モノクローナル抗体であり、乳癌の治療薬として用いられている。また、リツキサン(登録商標)は、正常及び悪性Bリンパ球の表面に見出されるCD20抗原に対するキメラモノクローナル抗体であり、非ホジキンリンパ腫の治療薬として用いられている。すなわち、癌特異抗原を分子標的とする、治療薬の開発が期待されている。
更に、癌の治療法として、癌に対する免疫療法が行われている。癌の免疫療法は、癌患者自身の免疫機構が有する抗腫瘍免疫反応を利用して癌を治療するものである。この腫瘍免疫の標的分子として、癌特異抗原が期待されている。癌免疫療法は、具体的には、細胞傷害性T細胞が、HLA抗原(白血球型抗原;Human Leukocyte Antigen)と、癌特異抗原のペプチドとの複合体を認識し、癌細胞を排除するものである。例えば、MAGE−A4、及びsurvivinの癌ペプチドを用いた免疫療法が行われている(非特許文献1及び2)。
「ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer」(英国)2009年、第100巻、p.1135−1143 「キャンサー・サイエンス(Cancer Science)」(日本)2011年、第102巻、p.324−329
前記のように癌特異抗原は、癌の診断及び治療において重要である。
本発明の目的は、新規な癌特異抗原を発見し、癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドを有効成分として含む医薬組成物及び癌ワクチンを提供することである。また、本発明の別の目的は、新規な癌特異抗原の発現又は機能を抑制する化合物を有効成分として含む医薬組成物を提供することである。本発明の別の目的は、新規な癌特異抗原又は新規な癌特異抗原の遺伝子を分析することによる、癌の検出方法を提供することである。更に本発明の別の目的は、新規な癌特異抗原を用いた癌治療用化合物のスクリーニング方法を提供することである。
本発明者は、新規な癌特異抗原について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、HP15タンパク質及びそれをコードする遺伝子が多くの種類の癌細胞に発現していることを見出した。また、HP15タンパク質由来のペプチドが、癌に対する免疫誘導活性(例えば、細胞傷害性T細胞の活性化、及びヘルパーT細胞の活性化)を有し、癌治療剤又は癌ワクチンとして有用であることを見出した。更に、HP15のmRNAをsiRNAにより破壊することにより、HP15タンパク質の発現が低下し、癌の増殖を抑制することができることを見出した。すなわち、HP15タンパク質又はその遺伝子の発現又は機能を抑制する化合物が、癌の治療剤として有用であることを見出した。更に、HP15タンパク質が、多くの種類の癌に発現していることから、HP15タンパク質、又はHP15遺伝子を検出することにより、癌を検出することができることを見出した。また、MAGE−A4、又はsurvivinによる癌の検出と組み合わせることにより、癌の検出率が上昇することを見出した。更には、HP15タンパク質をマーカーとして、癌治療用化合物のスクリーニングが可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1]癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを有効成分として含む医薬組成物であって、前記タンパク質又はペプチドが、(1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又はその部分ペプチド、(2)前記タンパク質又は部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、(3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は(4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチド、である医薬組成物、
[2]前記部分ペプチドが、配列番号4〜65のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドである、[1]に記載の医薬組成物、
[3]癌の治療用である、[1]又は[2]に記載の医薬組成物、
[4]前記ペプチドが、Th細胞エピトープ及び/又はTc細胞エピトープを含むペプチドである、[1]〜[3]のいずれかに記載の医薬組成物、
[5]癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを有効成分として含む癌ワクチンであって、前記タンパク質又はペプチドが、(1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質の部分ペプチド、(2)前記タンパク質又部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、(3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は(4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチド、である癌ワクチン、
[6]前記ペプチドが、Th細胞エピトープ及び/又はTc細胞エピトープを含むペプチドである、[5]に記載の癌ワクチン、
[7]配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるHP15タンパク質の発現又は機能を抑制する化合物を有効成分として含む、医薬組成物、
[8]前記化合物が、(1)HP15タンパク質のmRNAを、RNA干渉を介して開裂することのできるsiRNA、前記siRNAをコードするDNA、若しくは前記DNAを含むベクター、又は(2)HP15タンパク質に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合部位を有する抗体フラグメントである、[7]に記載の医薬組成物、
[9]前記siRNAが、HP15タンパク質のmRNAにおける、配列番号68で表される塩基配列からなるmRNA領域、配列番号69で表される塩基配列からなるmRNA領域、及び配列番号70で表される塩基配列からなるmRNA領域からなる群から選択されるmRNA領域を、RNA干渉を介して開裂することのできるsiRNAであって、
前記siRNAが、(a)二重鎖RNA部分を形成する2つのRNA鎖が、ヘアピンループを形成することのできるRNA部分によって結合しているshRNA、(b)二重鎖RNA部分の末端が平滑である二本鎖ヌクレオチド、又は(c)二重鎖RNA部分を形成する2つのRNA鎖の一方又は両方の3’末端に、デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドが結合し、突出末端を形成している二本鎖オリゴヌクレオチド、
である、[8]に記載の医薬組成物、又は
[10]癌の治療用である[7]〜[9]のいずれかに記載の医薬組成物、
に関する。
本発明の癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを含む医薬組成物によれば、癌患者において細胞傷害性T細胞及び/又はヘルパーT細胞を誘導することによって、患者の免疫機能を高め、癌を治療することができる。
本発明の癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを含む癌ワクチンによれば、癌患者において、癌の予防、癌の進行の抑制、又は癌の退縮を起こすことができる。
本発明のHP15タンパク質の発現又は機能を抑制する化合物を有効成分として含む、医薬組成物によれば、HP15タンパク質の発現又は機能を抑制することによって、癌の増殖を抑制することが可能であり、癌を治療することができる。
本発明の癌の検出方法によれば、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を分析することにより、癌を検出することができる。
本発明の癌治療用化合物のスクリーニング方法によれば、大量の被検化合物から、HP15タンパク質を発現する癌の治療に有効な化合物を、容易にスクリーニングすることができる。
HP15タンパク質のアイソフォーム1(A)、アイソフォーム2(B)、又はアイソフォーム3(22kDa)(C)のアミノ酸配列を示した図である。 HP15遺伝子をHMV−1細胞に発現させ、その機能を解析した結果を示す図である。HP15遺伝子が発現したHMV−1 HP15細胞のMMP2遺伝子、及びOct3/4遺伝子の発現(A)、HMV−1 HP15細胞の移植された生体内での増殖(B)、HMV−1 HP15細胞のリンパ節への転移(C)を示したものである。 HP15タンパク質の7アミノ酸ずつオーバーラップさせた61個の部分ペプチドの、1人の健常人ボランティア(A)のT細胞のインビトロにおけるインターフェロン−γの産生能を示したグラフである。 HP15タンパク質の7アミノ酸ずつオーバーラップさせた61個の部分ペプチドの、2人の健常人ボランティア(B、C)のT細胞のインビトロにおけるインターフェロン−γの産生能を示したグラフである。 HP15タンパク質の7アミノ酸ずつオーバーラップさせた62個の部分ペプチドのうち、4人の健常人ボランティアにおいて、免疫誘導活性を示した部分ペプチドを模式的に示した図である。 ペプチド#19によるCD8陽性T細胞(Tc細胞)のHLA classII拘束性を示したグラフである。 ペプチド#19によるCD4陽性T細胞(Th細胞)のHLA classI拘束性を検討した示したグラフである。 shRNA1導入細胞株(K562 sh#1)、shRNA2導入細胞株(K562 sh#2)及びコントロールのshRNA導入細胞株(K562 shcont)におけるHP15の発現を確認したグラフである(A)。shRNA2導入細胞株(K562 sh#2)を、マウスに5×10個(B)、又は1×10個(C)皮内接種した場合の、腫瘍の増殖を示したグラフである。 shRNA2導入細胞株(K562 sh#2)及びコントロールのshRNA導入細胞株(K562 shcont)を、マウスに皮内接種した場合の、腫瘍の増殖(A及びB)及び所属リンパ節への転移(C及びD)を示した写真である。 shRNA2導入細胞株(HMV−1 HP15 sh#2)を、マウスに5×10個皮内接種した場合の、腫瘍の増殖を示したグラフである(A)。shRNA1導入細胞株(HMV−1 HP15 sh#1)、shRNA2導入細胞株(HMV−1 HP15 sh#2)及びコントロールのshRNA導入細胞株(HMV−1 HP15 shcont)におけるHP15の発現を確認したグラフ(B)及び写真(C)である。 臨床検体におけるHP15遺伝子、MAGE−A4遺伝子及びsurvivin遺伝子の陽性率を示したグラフである。 HP15遺伝子の発現を、健常人の各組織において解析した電気泳動の写真である。 各種の癌における、HP15遺伝子の測定値とMAGE−A4遺伝子の測定値との相関、又はHP15遺伝子の測定値とsurvivin遺伝子の測定値との相関をプロットしたグラフである。
[1]ペプチドを含む医薬組成物
本発明のペプチド含有医薬組成物は、癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドを有効成分として含み、前記ペプチドが(1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又はその部分ペプチド、(2)前記タンパク質又は部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、(3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は(4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチドである。
(HP15タンパク質)
HP15タンパク質及び遺伝子は、ヒトの大腸癌、肺癌、胆嚢癌、頭頚部癌、又は泌尿器の癌などに発現しており(図10)、精巣を除く正常組織には発現していない(図11)新規な癌/精巣抗原である。また、K562(ヒト前骨髄性白血病由来細胞株)、Hep3B(ヒト肝癌由来細胞株)、PLC/PRF/5(ヒト肝癌由来細胞株)、RERF−LC−MS(ヒト肺腺癌由来細胞株)、及びG361(悪性黒色腫由来細胞株)において、RT−PCR法によりmRNAの発現が確認された。
HP15遺伝子は染色体の第16番染色体に存在し、オープンリーディングフレーム(open reading frame)73から、C16orf73と名付けられている。しかしながら、C16orf73遺伝子から翻訳されたタンパク質の機能は、同定されていない。
HP15タンパク質には3つのアイソフォームが存在し、アイソフォーム1は471アミノ酸(配列番号1;図1A)、アイソフォーム2は442アミノ酸(配列番号2;図1B)、アイソフォーム3(22kDa)は198アミノ酸(配列番号3;図1C)からなっている。HP15タンパク質のホモログは、チンパンジー、マウス、ラット、ニワトリ、ショウジョウバエ、及び蚊に存在している。
前記のようにHP15タンパク質は、特定の癌細胞に発現している。従って、HP15タンパク質に対する宿主の免疫応答を誘導することによって、HP15タンパク質が発現している癌細胞をヒトの体内から排除することが可能である。すなわち、HP15タンパク質の中のT細胞エピトープに対する免疫を誘導することにより、癌特異抗原に対する細胞傷害性T細胞、又はヘルパーT細胞を誘導し、癌を治療することができる。従って、全長のHP15タンパク質は、本発明の医薬組成物に有効成分として含まれることができる。すなわち、全長のHP15タンパク質を有効成分として含む、本発明の医薬組成物は、癌の治療薬として有効である。
(ペプチド)
本発明の医薬組成物に、有効成分として含まれるペプチドは、癌に対する免疫誘導活性を有している。前記ペプチドの免疫誘導活性は、生体の免疫機能の活性化であれば特に限定されるものではないが、例えば樹状細胞(dendritic cell)による抗原提示、B細胞による抗体産生、細胞傷害性T細胞(以下、Tc細胞と称することがある)の活性化、又はヘルパーT細胞(以下、Th細胞と称することがある)の活性化を挙げることができるが、癌の治療の観点からは、癌抗原特異的認識による細胞傷害性T細胞の活性化、又はヘルパーT細胞の活性化が好ましい。細胞傷害性T細胞の活性化としては、細胞傷害性T細胞のサイトカイン(例えば、インターフェロン−γ)の産生、エフェクター分子(例えば、パーフォリン、グランザイム)の産生、又は癌細胞に対する細胞傷害活性を挙げることができる。またヘルパーT細胞の活性化としては、サイトカイン(例えば、インターフェロン−γ、又はIL−2)の産生、又はサイトカイン産生を介した効率的な細胞傷害性T細胞の分化、誘導、又は維持の補助を挙げることができる。
癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドは、樹状細胞等の抗原提示細胞により貪食され、リソソームで樹状細胞等の表面に提示することのできるペプチド(T細胞エピトープ)に分解される。T細胞エピトープは、組織適合性抗原(HLA)と複合体を形成して、樹状細胞等の表面に提示されるが、HLAのタイプによって複合体を形成することのできるT細胞エピトープと、複合体を形成できないT細胞エピトープがあり、これをHLA拘束性と称する。従って、図4に免疫誘導活性を示したペプチドと、免疫誘導活性を示さなかったペプチドを記載したが、これらのデータは4人のHLAの異なるリンパ球を用いて解析しており、この4人のHLA以外のリンパ球を用いた場合、免疫誘導活性を示さなかったペプチドも免疫誘導活性を示すことがある。
また、HLAは、細胞傷害性T細胞に認識されるHLAクラスI分子、及びヘルパーT細胞に認識されるHLAクラスII分子があり、HLAクラスI分子は、すべての細胞、例えば単球、マクロファージ、活性化B細胞、T細胞、皮膚のランゲルハンス細胞、樹状細胞、又は腫瘍組織内の癌細胞に発現しており、一方HLAクラスII分子は、樹状細胞等抗原提示細胞に発現している。
前記T細胞エピトープの長さは、特に限定されるものではないが、通常7〜30アミノ酸であり、通常T細胞エピトープは直線状であり、特定の三次元構造を示さない。癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドはT細胞エピトープを少なくとも1つ以上を含む。従って、癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドの長さは、T細胞エピトープを含むことができる限りにおいて限定されるものではないが、下限は7アミノ酸以上が好ましく、上限は特に限定されるものではない。
また、T細胞エピトープは、細胞傷害性T細胞が認識することのできるTc細胞エピトープと、ヘルパーT細胞が認識することのできるTh細胞エピトープがある。本発明に用いるペプチドは、Tc細胞エピトープ又はTh細胞エピトープを含んでいればよいが、Tc細胞エピトープ及びTh細胞エピトープを含むペプチドが、癌の治療及び癌ワクチンの観点からは好ましい。Tc細胞の効率的な分化、誘導、又は生体内での維持にはTh細胞の活性化が必要で、両方の細胞を活性化できるからである。
ペプチドが免疫誘導活性を有するか否かは、後述の実施例に示したように、数人の健常者のリンパ球を用いインターフェロン−γの産生を測定することにより、決定することができる。また、ペプチドのHLA拘束性も実施例に記載の抗体によるブロッキングアッセイ、又はLCLアッセイにより、決定することができる。また、特定の長さのペプチドがインターフェロン−γの産生を誘導することができれば、そのペプチドを含む長いペプチドは、免疫誘導活性を有する。更に、細胞傷害活性もペプチドを感作したターゲット細胞を用い、通常のCTLアッセイにより測定することができ、それによってペプチドが免疫誘導活性を有しているかを決定することができる。
細胞傷害性T細胞とは、表面にCD8分子を発現しており、宿主にとって異物となる細胞(例えば、癌細胞、ウイルス感染細胞、又は移植細胞)を攻撃して排除するT細胞である。細胞傷害性T細胞は、細胞傷害物質であるパーフォリン及びグランザイムなどの放出、並びに標的細胞のFasを刺激してアポトーシス起こさせることによって、標的細胞を排除する。
Tc細胞は、前述のようにHLAクラスI分子により拘束されている。すなわち、T細胞レセプター(TCR)を介して、HLAクラスI分子及びペプチド(Tc細胞エピトープ)の複合体を認識する。HLAクラスI分子は、単球及びマクロファ−ジ以外にも、活性化B細胞、皮膚のランゲルハンス細胞、組織内の樹状細胞(dendritic cell)などにも発現しており、これらの細胞もTc細胞に対してペプチド(Tc細胞エピトープ)を提示することができる。
ヘルパーT細胞とは、表面にCD4分子を発現しており、そのサイトカインの産生パターンによりTh1細胞、及びTh2細胞に分けられていたが、更にTh17細胞が存在する。Th1細胞は、IL−12存在下で分化し、インターフェロン−γを分泌し、細胞性免疫(例えば、自己免疫疾患又は遅延型アレルギー)に関与している。また、Th2細胞は、IL−4存在下で分化し、IL−4を分泌し、液性免疫に関与している。更にTh17細胞は、IL−6及びTGF−β存在下で分化し、IL−17を分泌し、自己免疫疾患に関与していると考えられている。
Th細胞は、前記のように樹状細胞等に発現しているHLAクラスII分子により拘束されている。すなわち、T細胞レセプター(TCR)を介して、HLAクラスII分子及びペプチド(Th細胞エピトープ)の複合体を認識する。HLAクラスII分子を介してペプチドにより刺激されたTh1細胞は、細胞傷害性T細胞又は樹状細胞を活性化して、細胞性免疫を活性化させる。また、HLAクラスII分子を介してペプチドにより刺激されたTh2細胞は、B細胞及び抗原提示細胞に作用して、体液性免疫を活性化させる。
(部分ペプチド)
HP15タンパク質の部分ペプチドは、配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質の連続するアミノ酸配列からなるペプチドであり、且つ癌に対する免疫誘導活性を有する限り、限定されるものではない。本明細書において、「癌に対する免疫誘導活性を有する」とは、少なくとも1つのT細胞エピトープを含み、細胞傷害性T細胞又はヘルパーT細胞を活性化することを意味する。すなわち、限定されるものではないが、少なくとも後述の実施例に示したように、健常者のリンパ球を用いインターフェロン−γの産生活性を有するペプチドは、癌に対する免疫誘導活性を有するものである。
部分ペプチドの長さは、少なくとも1つのT細胞エピトープを含む限り、限定されるものではない。下限は7アミノ酸以上が好ましく、上限はアイソフォーム1のHP15タンパク質で471アミノ酸以下、アイソフォーム2のHP15タンパク質で442アミノ酸以下、アイソフォーム3のHP15タンパク質で198アミノ酸以下である。具体的には、部分ペプチドの長さは、好ましくは7〜200アミノ酸であり、より好ましくは10〜100アミノ酸であり最も好ましくは20〜60アミノ酸である。より具体的には、部分ペプチドは、表1に記載の配列番号4〜65のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドを挙げることができる。
なお、例えば配列番号22の#19部分ペプチドは、図5及び6に示すように、HLAクラスI分子のHLA−A型がA*0201のTc細胞、及びHLAクラスII分子のHLA−DR型がDRB1*0803を持つ抗原提示細胞に対して、免疫誘導活性が示されることから、このHLAのタイプと複合体を形成し、免疫誘導活性を示すことが考えられる。
本発明に用いる部分ペプチドは、Tc細胞エピトープ又はTh細胞エピトープを含んでいればよいが、Tc細胞エピトープ及びTh細胞エピトープを含む部分ペプチドが、癌の治療及び癌ワクチンの観点からは好ましい。
(変異タンパク質及び変異ペプチド)
本発明に用いることのできる変異タンパク質は、前記HP15タンパク質(配列番号1〜3のいずれか1つのHP15タンパク質)において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、且つ癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質である。
また、本発明に用いることのできる変異ペプチドは、前記部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異ペプチドであって、且つ癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドである。本明細書において、「アミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/若しくは付加されたアミノ酸」とは、アミノ酸の置換等により改変がなされたことを意味する。アミノ酸の改変の個数は、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜5個、最も好ましくは1〜2個である。本発明に用いることのできる変異ペプチドの改変アミノ酸配列の例は、好ましくは、そのアミノ酸が、1又は数個(好ましくは、1、2、3又は4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であることができる。
ここで、「保存的置換」とは、1若しくは数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置き換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことでできる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該技術分野において公知である。非極性(疎水性)アミノ酸としては、例えば、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としては、例えば、グリシン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、システインなどが挙げられる。正電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
このような変異ペプチドは、アミノ酸の欠失、置換、及び/又は付加が、前記T細胞エピトープ以外の部分であれば、本発明の医薬組成物に有効に用いることができる。また、アミノ酸の欠失、置換、及び/又は付加がT細胞エピトープであっても、改変されたアミノ酸数が少なく、また保存的置換であれば、T細胞エピトープとして機能することが可能であり、本発明の医薬組成物に有効に用いることができる。
本発明に用いる変異ペプチドは、Tc細胞エピトープ又はTh細胞エピトープを含んでいればよいが、Tc細胞エピトープ及びTh細胞エピトープを含む変異ペプチドが、癌の治療及び癌ワクチンの観点からは好ましい。
(複合ペプチド)
本発明に用いることのできる複合ペプチドは、前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含み、且つ癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドであるが、2つ以上の部分ペプチド及び/又は変異ペプチドを含むものが好ましい。また、複合ペプチドは、部分ペプチド又は変異ペプチド以外のアミノ酸として、免疫誘導活性に影響しないアミノ酸配列を含んでもよく、好ましくはN末端又はC末端に免疫誘導活性に影響しない1〜数個アミノ酸を含んでもよい。また、2つ以上の部分ペプチド及び/又は変異ペプチドを含む場合、それらのペプチドを結合させるためにリンカー配列として、免疫誘導活性に影響しない数個のアミノ酸を含んでもよい。リンカーアミノ酸としては、例えばG、GG、GGG、GGGG、GGGGG、GGGGGG、GGGGGGG、及びGGGGGGGGを挙げることができる。
経験的に、N末端、C末端、又はリンカーアミノ酸は、T細胞エピトープとしては機能せず、また新たなエピトープを形成することも少ないため、前記複合ペプチドは、本発明の医薬組成物に有効に用いることができる。
また、本発明に用いる複合ペプチドは、Tc細胞エピトープ又はTh細胞エピトープを含んでいればよいが、Tc細胞エピトープ及びTh細胞エピトープを含むペプチドが、癌の治療及び癌ワクチンの観点からは好ましい。
(誘導体ペプチド)
本発明に用いることのできる誘導体ペプチドは、前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体であり、且つ癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドである。ペプチドの誘導体としては、例えば、ペプチドの安定性を向上させる各種修飾を施したペプチド誘導体を挙げることができる。前記修飾としては、例えばL体アミノ酸のD体化(例えば、N末端アミノ酸のD体化、C末端アミノ酸のD体化、N末端及びN末端アミノ酸以外のD体化)N末端アミノ基のアセチル化、C末端カルボキシル基のアミド化、天然アミノ酸の(性質の類似した)非天然型アミノ酸への置換、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
これらの修飾は、前記T細胞エピトープ以外の部分であれば、ペプチドの免疫誘導活性に影響を与えない可能性が高く、誘導体ペプチドは本発明の医薬組成物に有効に用いることができる。また、修飾がT細胞エピトープであっても、T細胞エピトープとして機能することが可能であり、本発明の医薬組成物に有効に用いることができる。
本発明に用いる誘導体ペプチドは、Tc細胞エピトープ又はTh細胞エピトープを含んでいればよいが、Tc細胞エピトープ及びTh細胞エピトープを含む誘導体ペプチドが、癌の治療及び癌ワクチンの観点からは好ましい。
(癌)
本発明の医薬組成物は、癌の治療用として用いることができる。治療される癌は、HP15が発現されている癌である限り、限定されるものではないが、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍を挙げることができる。
前記HP15タンパク質若しくはHP15変異タンパク質、又はペプチド(部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド又は誘導体ペプチド)は、癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍)の治療用ペプチドとして用いることができる。
また、前記HP15タンパク質若しくはHP15変異タンパク質、又はペプチド(部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド又は誘導体ペプチド)は、癌患者(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍の患者)に投与することを含む癌の治療方法に用いることができる。
更に、前記HP15タンパク質若しくはHP15変異タンパク質、又はペプチド(部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド又は誘導体ペプチド)は、癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍)の治療薬の製造のために使用することができる。
本発明の別の態様においては、医薬組成物は前記HP15タンパク質若しくはHP15変異タンパク質、又はペプチド(部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド又は誘導体ペプチド)によって感作された抗原提示細胞を含むことができる。また、医薬組成物はペプチドと感作された抗原提示細胞とを含むこともできる。癌患者自身、又は癌患者と同じHLAを有するヒトの体内の抗原提示細胞を採取し、試験管内で前記ペプチドと混合することによって得られた抗原提示細胞を含む医薬組成物を癌患者に投与することによって、癌を治療することが可能である。
また、本発明の別の態様においては、医薬組成物は前記HP15タンパク質若しくはHP15変異タンパク質、又はペプチド(部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド又は誘導体ペプチド)によって誘導された細胞傷害性T細胞又はヘルパーT細胞を含むことができる。また、医薬組成物はペプチド及び誘導された細胞傷害性T細胞又はヘルパーT細胞を含むことができ、ペプチド、感作された抗原提示細胞及び誘導された細胞傷害性T細胞又はヘルパーT細胞を含むこともできる。癌患者自身、又は癌患者と同じHLAを有するヒトの体内の細胞傷害性T細胞又はヘルパーT細胞を採取し、試験管内で前記ペプチドにより誘導された細胞傷害性T細胞又はヘルパーT細胞を含む医薬組成物を癌患者に投与することによって、癌を治療することが可能である。
[2]ペプチドを含む癌ワクチン
本発明のHP15タンパク質若しくはHP15変異タンパク質、又はペプチドを含む癌ワクチンは、癌に対する免疫誘導活性を有するペプチドを有効成分として含み、前記ペプチドが、(1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質又はその部分ペプチド、(2)前記タンパク質又は部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、(3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は(4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチド、である。
本明細書において、癌ワクチンとは、癌の予防、癌の進行の抑制、又は癌の退縮を起こすことのできるものを意味する。
本発明の癌ワクチンに用いるこことのできるタンパク質としては、前記「[1]ペプチドを含む医薬組成物」に記載のHP15タンパク質を用いることができる。
(ペプチド)
本発明の癌ワクチンに用いることのできるペプチドとしては、部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド、及び誘導体ペプチドを挙げることができ、これらのペプチドは、前記「[1]ペプチドを含む医薬組成物」に記載のペプチドを用いることができる。
癌ワクチンに含まれるペプチドとしては、Th細胞エピトープ及びTc細胞エピトープを含むペプチドが好ましい。従って、部分ペプチド及び変異ペプチドは、Th細胞エピトープ少なくとも1つ、及びTc細胞エピトープを少なくとも1つを含む長さのペプチドが好ましい。また、複合ペプチドは、Th細胞エピトープを少なくとも1つを含む部分ペプチド又は変異ペプチドと、Tc細胞エピトープを少なくとも1つを含む部分ペプチド又は変異ペプチドとが結合した複合ペプチドが好ましい。Th細胞エピトープ及びTc細胞エピトープを含むことによって、より効果的な抗腫瘍効果を発揮するために必要な両細胞を同時に活性化できるからである。
また、部分ペプチド、変異ペプチド、複合ペプチド、及び誘導体ペプチドのT細胞エピトープはHLAと複合体を形成し、抗原提示細胞によって、Th細胞及びTc細胞に提示される。HLAは個人によってタイプが異なっているため、さまざまなHLAと複合体を形成することのできる多くのT細胞エピトープを含むペプチドが、癌ワクチンの有効成分として好ましい。
(癌)
本発明の癌ワクチンは予防用として用いることも可能であるが、癌の進行の抑制、又は癌の退縮を目的としても用いることができる。癌の進行の抑制、又は癌の退縮を目的とする場合、癌はHP15が発現している癌である限り、限定されるものではないが、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍を挙げることができる。
[3]HP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物を含む医薬組成物
本発明のHP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物を含む医薬組成物は、配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質の発現又は機能を抑制する化合物を有効成分として含む。
(HP15タンパク質)
HP15タンパク質及び遺伝子は、前記のようにヒトの大腸癌、肺癌、胆嚢癌、頭頚部癌、又は泌尿器の癌などに発現している(図11)。また、図2に示すように、HMV−1細胞(ヒト悪性黒色腫由来細胞株)へ、HP15遺伝子を導入し、HP15タンパク質を強制発現させたところ、RAG2−/−gc−/−BALB/cマウス生体内におけるHMV−1の増殖が亢進した。また、癌の悪性度に関連するMMP2遺伝子の発現の亢進、及び幹細胞のマーカーであるOct3/4遺伝子の発現上昇が認められた。すなわち、HP15遺伝子及びHP15タンパク質は、癌の増殖の亢進、又は悪性度と関連している可能性がある。従って、HP15タンパク質及び遺伝子は、癌治療の標的分子の可能性が高く、HP15タンパク質及び遺伝子を癌治療の標的分子として治療薬を開発できると考えられる。
前記HP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物としては、HP15タンパク質の発現又は機能を抑制することができる限り、限定されるものではないが、例えば(1)HP15タンパク質のmRNAを、RNA干渉を介して開裂することのできるsiRNA、前記siRNAをコードするDNA、若しくは前記DNAを含むベクター、又は(2)HP15タンパク質に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合部位を有する抗体フラグメントを挙げることができる。
(siRNA)
siRNAは、二重鎖のRNA部分を有し、HP15遺伝子のmRNAを、RNA干渉を介して開裂することができる限り限定されるものではないが、HP15遺伝子のmRNAである配列番号69で表される塩基配列からなる標的mRNA領域1(GCAGACAAAUAUGGCUAAUCU)、配列番号70で表される塩基配列からなる標的mRNA領域2(GGAUCAGAAAGGUACACUUUC)、配列番号71で表される塩基配列からなる標的mRNA領域3(GCGAUGACAUGUUGGGAUAAU)において、RNA干渉を介して開裂することができるsiRNAが好ましい。標的mRNA領域としては、標的mRNA領域2が最も好ましい。標的mRNA領域2をターゲットとするsiRNAは、アイソフォーム1及びアイソフォーム2のHP15のmRNAを、RNA干渉を介して開裂させることができる。
二重鎖RNA部分の長さは、塩基として、15〜40塩基、好ましくは15〜30塩基、より好ましくは15〜25塩基、更に好ましくは19〜25塩基、最も好ましくは19〜21塩基である。二重鎖RNA部分には、そのままsiRNAとして機能するものも含まれるが、細胞内でDicerにより切断されて、siRNAとしてRNA干渉を誘導することのできる二重鎖RNA部分も含むことができる。
二重鎖RNAのアンチセンスRNA配列は、HP15のmRNAに細胞内でハイブリダイズできるものであれば、限定されず、前記標的mRNA領域の塩基配列に相補的な塩基配列からなるRNA部分(以下、標的相補RNA部分と称する)の塩基配列において、1〜数個の塩基が置換されたものでもよい。また、アンチセンスRNA部分は、siRNAの全体のGC含量が70%以下、好ましくは30〜70%、30〜60%程度となるように設計されるのが好ましい。
アンチセンスRNAとしては、具体的には標的mRNA領域1におけるsiRNA1as(AGAUUAGCCAUAUUUGUCUGC(配列番号72))、標的mRNA領域2におけるsiRNA2as(GAAAGUGUACCUUUCUGAUCC(配列番号73))、及び標的mRNA領域3におけるsiRNA3as(AUUAUCCCAACAUGUCAUCGC(配列番号74))を挙げることができる。
二重鎖RNA部分のセンスRNA配列は、アンチセンスRNA配列と細胞内でハイブリダイズすることのできるRNAであれば、限定されず、例えば、アンチセンスRNAの塩基配列に相補的な塩基配列からなる塩基配列において1〜数個の塩基が置換されたRNA鎖であってもよいが、最も好ましくは、アンチセンスRNAの塩基配列に完全に相補的な塩基配列からなるセンスRNA配列である。センスRNAとしては、具体的には標的mRNA領域1におけるsiRNA1s(GCAGACAAAUAUGGCUAAUCU(配列番号69))、標的mRNA領域2におけるsiRNA2s(GGAUCAGAAAGGUACACUUUC(配列番号70))、及び標的mRNA領域3におけるsiRNA3s(GCGAUGACAUGUUGGGAUAAU(配列番号71))を挙げることができる。
本発明のsiRNAの態様の1つとして、二重鎖のRNA部分の末端が平滑である二本鎖ヌクレオチドも含まれ、このようなsiRNAは十分なRNAi活性を示す。
また、本発明のsiRNAの態様の1つとして、二重鎖のRNA部分と、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端のオーバーハングとからなり、突出末端を形成する二本鎖オリゴヌクレオチドも含まれる。前記オーバーハング部分は、それぞれ、5塩基以下の任意のヌクレオチド(リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチド)であるが、2塩基のヌクレオチドが好ましい。siRNAの3’側オーバーハングを構成するリボヌクレオチドとしては、例えば、u(ウリジン)、a(アデノシン)、g(グアノシン)、又はc(シチジン)のヌクレオチドを用いることができ、3’側のオーバーハングを構成するデオキシリボヌクレオチドとしては、例えば、dt(チミジン)、da(デオキシアデノシン)、dg(デオキシグアノシン)、又はdc(デオキシシチジン)のヌクレオチドを用いることができる。
前記オーバーハングとしては、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の3’末端に、それぞれ独立して、1又は2塩基のu又はdtが付加されたオーバーハングが好ましく、センス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に、それぞれ独立して、1又は2塩基のu又はdtが付加されたオーバーハングがより好ましく、センス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端に、2塩基のu又はdtが付加されたオーバーハングが特に好ましい。更に、具体的なオーバーハングとしては、例えばug−3’、uu−3’、tg−3’、tt−3’などの塩基配列を挙げることができる。従って、オーバーハング二重鎖siRNAとして、前記siRNA−1s〜siRNA−8sの3’末端にtt−3’が付加されたヌクレオチドと、前記siRNA−1as〜siRNA−8asの3’末端にtt−3’が付加されたヌクレオチドが、それぞれアニールしたオーバーハング二重鎖siRNAを挙げることができ、具体的には、GCAGACAAAUAUGGCUAAUCUtt及びAGAUUAGCCAUAUUUGUCUGCttのアニールしたもの(oh−siRNA1)、GGAUCAGAAAGGUACACUUUCtt及びGAAAGUGUACCUUUCUGAUCCttのアニールしたもの(oh−siRNA2)、GCGAUGACAUGUUGGGAUAAUtt及びAUUAUCCCAACAUGUCAUCGCttのアニールしたもの(oh−siRNA3)、を挙げることができる。
本発明のsiRNAの態様の1つとして、二重鎖RNA部分を形成する2つのRNA鎖が、ヘアピンループを形成することのできるRNA部分によって結合しているショートヘアピンRNA(short hairpin RNA;以下、shRNAと称する)が含まれる。shRNAは、二重鎖RNA部分を形成する前記センスRNA配列とアンチセンス配列が、ヘアピンループを形成することのできるRNA部分によって結合し、前記センスRNA配列とアンチセンス配列が二本鎖構造を形成している。ヘアピンループを形成するRNA部分の鎖長及び塩基配列は、ヘアピンループを形成することができるものである限り、限定されるものではないが、鎖長は好ましくは3〜23であり、より好ましくは、3から10であり、例えば、UUCAAGAGA、CUUCCUGUCA、CCACC、CUCGAG、CCACACC、UUCAAGAGA、AUG、CCC、CTTCCTGTCAGA、又はUUCGのRNAを挙げることができる。具体的には、以下の表2に記載のshRNAを挙げることができる。
本発明の医薬組成物に用いることのできるsiRNAは、公知の製造方法、例えば、化学合成、又は酵素合成法により製造することもできるし、あるいは、後述するように適当な発現ベクターに挿入し、遺伝子工学的に製造することもできる。
化学合成法としては、2’−ACE(2’−bis(acetoxymethoxy)−methylether)又は2’−TBDMS(2’−t−butyldimethylsillyl)等の保護基を用いた方法、酵素合成法としては、T7RNAポリメラーゼ等のRNAポリメラーゼを使用する方法を挙げることができる。化学合成法又は酵素合成法により合成された2本鎖RNAは、安定化や標識化のために、化学修飾基により修飾することができる。
本発明の医薬組成物に用いることのできるDNAは、直鎖状DNAの形態で細胞内に導入され、細胞内でsiRNAを生成することができるものである。特に限定されないが、例えば、前記二本鎖オリゴヌクレオチド又はshRNAをコードするDNA部分の5’側に前記DNAの転写を制御することのできるプロモーターと、3’側にターミネーターとを含むDNAを挙げることができる。更に、このようなDNAをベクターに挿入し、本発明の医薬組成物に用いることのできるベクターを作製することができる。
前記shRNAを生成することができるDNAの場合、shRNAの全長を発現することができるDNA、例えば、プロモーターの下流側にセンス鎖のRNAをコードする配列、ヘアピンループをコードする配列、アンチセンス鎖のRNAをコードする配列、ポリTストレッチ配列、及びストップコドンからなる塩基配列を順番に有するDNAを用いることができ、このDNAをベクターに挿入することができる。
プロモーターとしては、恒常的に発現するためのプロモーターでもよく、特定の条件下で発現するためのプロモーターでもよく、特に限定されないが、例えば、RNAポリメラーゼIII(pol III)プロモーター(Brummerlkamp,T.R., et al., Science, 297, 1352-1354, 2002)、U6プロモーター(a) Lee NS. et al., Nature Biotech. 20, 500-505, 2002;b) Miyagishi M. & Taira K., Nature Biotech. 20, 497-500, 2002;c) Paul CP. et al., Nature Biotech. 20, 505-508, 2002)、H1プロモーター(Brummelkamp TR et al: Science 296, 550-553, 2002)、tRNAプロモーター(Oshima K., et al., Cancer Research 63, 6809-6814, 15, 2003)などを挙げることができる。
前記ベクターは、哺乳動物細胞内でMUC5ACのmRNAの発現を抑制することのできるsiRNAを発現させるためのベクターであり、前記細胞内で効率良くsiRNAを発現できるものであれば、骨格となるベクターは、特に限定されるものではない。前記骨格となるベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、直鎖状2本鎖DNAベクター並びに、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクター等のウイルスベクターを挙げることができる。
本発明のsiRNA、DNA及びベクターは、siRNAとして、又は後述の医薬組成物として、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法、又はカチオン脂質法を用いて目的の組織、又は細胞内に導入することが可能である。骨格となるベクターとして、ウイルスベクターを用いる場合は、目的の細胞へのウイルスベクターの感染によってsiRNAを導入することが可能である。
前記DNA又はベクターは、細胞内においてsiRNAを転写し、そのsiRNAが作用するものである。細胞内におけるsiRNAの発現は、一過的でも、安定的でも細胞内において有効に作用する。
(抗体)
本発明の医薬組成物に用いることのできる抗体は、HP15に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合部位を有する抗体フラグメントであって、且つHP15タンパク質の発現又は機能を抑制することができる限り、限定されるものではないが、マウスのモノクローナル抗体、又はそのキメラ抗体、CDRグラフト化抗体、若しくはヒト型抗体が好ましい。
モノクローナル抗体は、免疫抗原としてHP15タンパク質を用いること以外は、公知の方法によって作製することが可能であり、例えばKoehlerとMilsteinの方法(Nature 256:495−497,1975)に従って、作成することができる。免疫抗原であるHP15タンパク質は、配列番号1〜3のいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなるタンパク質の全部又は一部のペプチドを用いることができる。具体的には、生体試料から精製した抗原、遺伝子工学的に作成した組換え抗原、又は化学的に合成した部分ペプチドなどを用いることが可能である。大腸菌や酵母などで発現させる組換え抗原を用いる場合は、発現を容易にするため、他のタンパク質、例えば、SODやTrpEとの融合抗原とすることも可能である。また、精製を容易にするため、His−Tagなどを結合させて発現させることもできる。
キメラ抗体は、例えばマウスの重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインをコードするDNAを、ヒト抗体の定常領域のポリペプチドをコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。キメラ化抗体に用いる重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメイン、並びに定常領域のポリペプチドの由来は、ヒトの抗体であれば特に限定されるものではなく、例えばマウスのIgGの重鎖可変領域ドメイン及び軽鎖可変領域ドメインとヒトのIgM、又はIgGの定常領域のポリペプチドとにより、キメラ抗体を得ることができる。
CDRグラフト化抗体は、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR)を、例えばヒト抗体の相補性決定領域と入れ替え、移植したものである。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR;framework region)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAを、ヒト抗体C領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得ることができる。CDRグラフト化抗体に用いる相補性決定領域、並びにフレームワーク領域及び定常領域のポリペプチドの由来は、ヒトの抗体であれば特に限定されるものではなく、例えばマウスのIgGの相補性決定領域とヒトのIgM、又はIgGのフレームワーク領域及び定常領域のポリペプチドとにより、CDRグラフト化抗体を得ることができる。また、マウスの相補性決定領域とヒトのIgM、又はIgGフレームワーク領域とにより、CDRグラフト化抗体の抗原結合性断片を得ることができる。
また、本明細書において、「ヒト型抗体」は、ヒト抗体遺伝子を導入したトランスジェニック動物から得られる抗体、及びヒトの抗体産生細胞をミエローマ細胞と細胞融合させて得ることのできるモノクローナル抗体を意味する。
本発明のHP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物を含む医薬組成物は、癌の治療用として用いることができる。治療される癌は、HP15タンパク質又はHP15遺伝子が発現している癌である限り、限定されるものではないが、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍を挙げることができる。
前記HP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物は、癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍)の治療用HP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物として用いることができる。
また、HP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物は、癌患者(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、頭頚部癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍の患者)に投与することを含む癌の治療方法に用いることができる。
更に、HP15タンパク質の発現又は機能抑制化合物は、癌(例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、頭頚部癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍)の治療薬の製造のために使用することができる。
[4]癌の検出方法
本発明の癌の検出方法では、前記HP15タンパク質又はHP15遺伝子を分析することにより、癌を検出する。
(HP15タンパク質及び遺伝子)
HP15タンパク質及びHP15遺伝子は、前記のようにヒトの大腸癌、肺癌、胆嚢癌、頭頚部癌、又は泌尿器の癌などの癌組織に発現しており(図10)、またK562(ヒト前骨髄性白血病由来細胞株)、Hep3B(ヒト肝癌由来細胞株)、PLC/PRF/5(ヒト肝癌由来細胞株)、RERF−LC−MS(ヒト肺腺癌由来細胞株)、及びG361(悪性黒色腫由来細胞株)などの癌由来の細胞に発現している。また、精巣以外の健常人の組織では発現していない。従って、癌が疑われる組織のHP15タンパク質及びHP15遺伝子を分析し、HP15タンパク質及びHP15遺伝子が発現している場合は、その患者が癌であると診断することが可能である。すなわち、HP15タンパク質又はHP15遺伝子は、癌患者の診断マーカーとして用いることができる。
本発明の癌の検出方法において、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を分析する方法としては、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を定量的又は半定量的に決定することができるか、あるいは、HP15タンパク質又はHP15遺伝子の存在の有無を判定することができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、HP15遺伝子のmRNA量を測定する分子生物学的分析方法、又は抗HP15抗体若しくはその断片を用いる免疫学的手法(例えば、酵素免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、放射免疫測定法、免疫沈降法、免疫組織染色法、又はウエスタンブロット等)を挙げることができる。また、本発明の検出方法は、生体由来の被検試料をインビトロにおいて、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を分析する方法である。従って、HP15遺伝子の全長の遺伝子、又はそのフラグメントを検出してもよく、HP15タンパク質の全長のタンパク質又はそのペプチド断片を測定してもよい。
(分子生物学的分析方法)
HP15遺伝子の分子生物学的分析方法としては、試料中の遺伝子、例えばmRNA又はそれから得られたcDNAなどと、それらのヌクレオチドにハイブリダイズすることのできるプライマーやプローブとを用い、ハイブリダイズの原理を用いた方法で分析するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、サザンブロット法、ノザンブロット法、及びPCR法を挙げることができ、好ましくはリバーストランスクリプション−PCR(RT−PCR)であり、特にはリアルタイムPCR法を好適に用いることができる。
リアルタイムPCR法としては、フォワードプライマー及びリバースプライマーからなるプライマーセットを用い、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する化合物であるインターカレーター、例えば、SYBR Green IをPCRの反応系に加えるインターカレーター法、並びに前記プライマーセットと、5’末端をレポーター色素で、3’末端をクエンチャー色素で修飾したプローブ(TaqManプローブ)とをPCRの反応系に加えるTaqMan法等を挙げることができる。このようなリアルタイムPCR法自体は周知であり、そのためのキット及び装置も市販されているので、前記プライマーセット、又はプライマーセット及びプローブを合成すれば、市販のキット及び装置を用いて容易に実施することができる。
前記フォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにプローブは、HP15タンパク質をコードするヌクレオチドの塩基配列に基づいて作成することができる。具体的には、HP15遺伝子のフォワードプライマー及びリバースプライマー、並びにプローブは、配列番号66〜68のいずれか1つで表される塩基配列から、適当な塩基配列を選択し、作製することができ、例えば、フォワードプライマーとして5’−agtcgtcttttgcgatgaca−3’(配列番号78)を、リバースプライマーとして5’−tgaggcaaatattactgtttctcg−3’(配列番号79)のプライマーセット(#42プライマーセット)、又はフォワードプライマーとして5’−atcacacaggcacccttcat−3’(配列番号80)を、リバースプライマーとして5’−attgcaagaaactcatgtaccg−3’(配列番号81)のプライマーセット(#73プライマーセット)を挙げることができる。なお、配列番号81のヌクレオチドの配列は、アイソフォーム1をコードするヌクレオチドのみに存在する配列であり、従って#73プライマーセットはアイソフォーム1をコードするヌクレトチドのみを増幅できるプライマーセットである。
プライマーの長さは、特に限定する必要はないが、好ましくは、15mer〜35merであり、より好ましくは、16mer〜30merであり、最も好ましくは、19mer〜25merである。プローブの長さは、特に限定する必要はないが、好ましくは、12mer〜30merであり、より好ましくは、13mer〜29merであり、最も好ましくは、14mer〜18merである。
前記RT−PCR法(特にはリアルタイムPCR法)は、
(1)生体由来の試料からmRNAを抽出する工程、
(2)抽出されたmRNAを鋳型として、逆転写酵素によりcDNAを合成する工程、
(3)プライマーセット、又はプライマーセット及びプローブを用いてDNAを増幅する工程、及び
(4)増幅されたDNAを検出する工程、
を含むことができる。
本発明の癌の検出方法においては、癌が疑われる患者の生体由来の試料中におけるHP15遺伝子のmRNAの発現量を、測定し、健常者生体由来試料中のHP15のmRNAの発現量と比較することにより、前記患者が癌であるか否かを判定することができる。より具体的には、健常者のHP15のmRNAの発現量と比べて、前記患者のHP15のmRNAの発現量が有意に多い場合に前記患者は癌であると判定することができる。
(免疫学的分析方法)
HP15タンパク質の分析方法として、免疫学的分析方法を用いる場合には、HP15タンパク質に対するモノクローナル抗体、又はポリクローナル抗体を用いることができる。モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体は、免疫抗原としてHP15タンパク質を用いること以外は、公知の方法によって作製することが可能であり、例えば、モノクローナル抗体は、KoehlerとMilsteinの方法(Nature 256:495−497,1975)に従って、作成することができる。また、ポリクローナル抗体は、例えば、ウサギの皮内に、HP15のタンパク質を単独もしくはBSA、KLHなどと結合させた抗原として、フロイント完全アジュバント等のアジュバントと混合して定期的に免疫する。血中の抗体価が上昇した時点で採血し、そのまま抗血清として、又は抗体を公知の方法で精製して使用することができる。
モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を取得するために用いることのできる免疫抗原は、配列番号1〜3のいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなるタンパク質の全部又は一部のペプチドを免疫抗原として用いることができる。具体的には、生体試料から精製した抗原、遺伝子工学的に作成した組換え抗原、又は化学的に合成した部分ペプチドなどを用いることが可能である。大腸菌や酵母などで発現させる組換え抗原を用いる場合は、発現を容易にするため、他のタンパク質、例えば、SODやTrpEとの融合抗原とすることも可能である。また、精製を容易にするため、His−Tagなどを結合させて発現させることもできる。
本発明の癌の検出方法において、前記分析は、好ましくはHP15タンパク質に特異的に結合する抗体又はその抗原結合部位を含む抗体フラグメントと、被検試料とを接触させる工程;及びHP15タンパク質と前記抗体又はその抗原結合部位を含む抗体フラグメントとの結合体を検出する工程を含む免疫学的分析方法である。この免疫学的分析法は、酵素免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、放射免疫測定法、免疫沈降法、免疫組織染色法、又はウエスタンブロット等を含む。
免疫学的分析方法に用いる抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、又はそれらの抗体の抗原結合部位を有する抗体フラグメントなどを用いることができる。抗体フラグメントとしては、例えば、F(ab’)、Fab’、Fab、又はFv等を挙げることができる。これらの抗体フラグメントは、例えば、抗体を常法によりタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン又はパパイン等)によって消化し、続いて、常法のタンパク質の分離精製の方法により精製することにより、得ることができる。
なお、本明細書において、「HP15タンパク質に特異的に結合する抗体」は、HP15タンパク質に特異的に結合する抗体の抗原結合部位を有する抗体フラグメントを意味することがある。
本発明の検出方法では、HP15タンパク質の存在の有無、あるいはHP15タンパク質の量を測定することにより、癌を検出することが可能である。例えば、被検試料として血液等を用いる場合、癌の疑いのある患者から血液を採取し、その中のHP15タンパク質又はHP15遺伝子の量を測定し、健常者から採取した血液中のHP15タンパク質又はHP15遺伝子の量と比較することにより、前記患者が癌であるか否かを判定することができる。より具体的には、健常者のHP15タンパク質又はHP15遺伝子の量と比べて、前記患者のHP15タンパク質又はHP15遺伝子の量が有意に多い場合に前記患者は癌であると判定することができる。
(被検試料)
本発明の癌の検出方法において、HP15タンパク質又はHP15遺伝子の分析に用いる被検試料としては、癌の疑いのある患者の被検試料であり、癌検診を受けた正常者の被検試料も含まれる。より具体的には、HP15を含有する可能性のある生体由来の組織又は液体試料(例えば、尿、血液、血清、血漿、リンパ液、組織液、髄液、唾液、尿、汗等)を挙げることができる。
本発明の癌の検出方法は、癌の診断方法として、用いることができ、健康診断などにおいて、癌の早期発見に有効である。
(癌の検出用キット)
癌の検出用キットとしては、分子生物学的分析方法に用いるためのキット、及び免疫学的分析方法に用いるためのキットが含まれる。
分子生物学的分析方法用のキットは、例えばフォワードプライマー及びリバースプライマーからなるプライマーセット、及び/又はプローブを含むことができる。キットの分析方法としては、特に限定されるものではないが、サザンブロット法、ノザンブロット法、又はPCR法の原理を用いた分析方法が挙げられる。プライマーセット及びプローブは、適用される測定原理に基づいて、修飾されてもよい。例えば、TaqMan法の場合、TaqManプローブは、5’末端をレポーター色素で、3’末端をクエンチャー色素で修飾される。
疫学的分析方法用のキットは、HP15タンパク質に特異的に結合する抗体、その抗原結合部位を有する抗体フラグメント、又はその組み合わせを含む。前記抗体としては、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれを用いることもできる。前記抗体フラグメントとしては、HP15タンパク質への特異的結合能を有する限り、特に限定されるものではなく、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、又はFvを用いることができる。
また、前記キットは、用いる免疫学的手法に応じて、所望の形態でHP15タンパク質に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合部位を有する抗体フラグメントを含むことができる。例えば、標識化抗体を用いる免疫学的手法、例えば、酵素免疫測定法、化学発光免疫測定法、蛍光抗体法、又は放射免疫測定法などの場合には、標識物質で標識した標識化抗体又は標識化抗体断片の形態で含むことができる。標識物質の具体例としては、酵素としてペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、又はグルコースオキシダーゼ等を、蛍光物質としてフルオレセインイソチアネート又は希土類金属キレート等を、放射性同位体としてH、14C、又は125I等を、その他、ビオチン、アビジン、又は化学発光物質等を挙げることができる。
癌の検出用キットは、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を標準物質として含むことができる。具体的には、生体試料から精製したHP15タンパク質、遺伝子工学的に作成した組換えHP15タンパク質又はHP15遺伝子、又は化学的に合成したHP15タンパク質の部分ペプチド又はHP15遺伝子の部分オリゴヌクレオチドを挙げることができる。
癌の検出用キットは、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を分析することを特徴とする本発明の癌の検出方法に用いることができる。従って、キットには癌の検出用であることを明記した取り扱い説明書を含むことができる。包装容器に癌の検出用であることを明記することもできる。また、本発明の癌の検出用キットは、癌の診断に用いることができる。
前記HP15遺伝子に特異的に結合するフォワードプライマー及びリバースプライマーからなるプライマーセット、及び/又はプローブは、癌の検出用キットに使用することができる。また、HP15遺伝子に特異的に結合するフォワードプライマー及びリバースプライマーからなるプライマーセット、及び/又はプローブは、癌の検出用キットの製造に使用することができる。
前記HP15タンパク質に特異的に結合する抗体、その抗原結合部位を有する抗体フラグメント、又はその組み合わせは、癌の検出用キットに使用することができる。また、HP15タンパク質に特異的に結合する抗体、その抗原結合部位を有する抗体フラグメント、又はその組み合わせは、癌の検出用キットの製造に使用することができる。
(癌)
本発明の癌の検出方法によって検出される癌は、限定されるものではないが、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、扁平上皮癌、皮膚癌、骨癌、リンパ腫、白血病、又は脳腫瘍を挙げることができ、特には、大腸癌、肺癌、胆嚢癌、頭頚部癌、泌尿器の癌、前骨髄性白血病、又は悪性黒色腫を挙げることができる。
[5]癌治療用化合物のスクリーニング方法
本発明の癌治療用化合物のスクリーニング方法は、(1)癌治療の標的分子と被検化合物とを接触させる工程であって、前記標的分子が、(a)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、(b)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質であって、且つ癌に対する免疫誘導活性を有する変異タンパク質、(c)前記タンパク質、又は変異タンパク質を含む融合タンパク質、(d)前記タンパク質若しくは変異タンパク質の部分ペプチド、部分ペプチド少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は部分ペプチド若しくは複合ペプチドの誘導体ペプチド、又は(e)前記タンパク質(a)、変異タンパク質(b)、融合タンパク質(c)及びペプチド(d)をコードする遺伝子、である接触工程;(2)前記標的分子と、被検化合物との結合を測定する工程;(3)前記標的分子と結合する被検化合物を選択する工程;を含む。
また、本発明の癌治療用化合物のスクリーニング方法の別の態様においては、(1)癌治療の標的分子が発現している細胞と被検化合物とを接触させる工程であって、前記標的分子が、(a)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、(b)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質であって、且つ癌に対する免疫誘導活性を有する変異タンパク質、(c)前記タンパク質、又は変異タンパク質を含む融合タンパク質、(d)前記タンパク質若しくは変異タンパク質の部分ペプチド、部分ペプチド少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は部分ペプチド若しくは複合ペプチドの誘導体ペプチド、又は(e)前記タンパク質(a)、変異タンパク質(b)、融合タンパク質(c)及びペプチド(d)をコードする遺伝子である接触工程;(2)前記標的分子の発現を測定する工程;及び(3)被検化合物を接触させない場合と比較して、前記標的分子の発現レベルを変化させる化合物を選択する工程;を含む。
すなわち、(a)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、(b)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質であって、且つ癌に対する免疫誘導活性を有する変異タンパク質、
(c)前記タンパク質、又は変異タンパク質を含む融合タンパク質、
(d)前記タンパク質若しくは変異タンパク質の部分ペプチド、部分ペプチド少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は部分ペプチド若しくは複合ペプチドの誘導体ペプチド、又は(e)前記タンパク質(a)、変異タンパク質(b)、融合タンパク質(c)及びペプチド(d)をコードする遺伝子は、癌治療用化合物スクリーニング用標的分子として用いることができる。
(HP15タンパク質及びHP15遺伝子)
HP15遺伝子をHMV−1細胞(ヒト悪性黒色腫由来細胞株)へ導入し、HP15タンパク質を強制発現させたところ、RAG2−/−gc−/−BALB/cマウス生体内におけるHMV−1の増殖が亢進した。従って、HP15タンパク質及び遺伝子は、癌治療の標的分子となり得ると考えられる。このHP15タンパク質及び遺伝子を標的分子として、レンチウイスベクターによるshRNAをHMV−1細胞(HP15遺伝子)に導入させることによって、HP15遺伝子及びHP15タンパク質の発現が抑制された。すなわち、HP15遺伝子を発現させたHMV−1細胞を、標的として癌治療用化合物をスクリーニングすることが可能であることが示された。
また、本発明には前記癌治療用化合物スクリーニング用標的分子を含むスクリーニングキットが含まれる。更に、本発明には前記スクリーニング方法により得られたスクリーニング結果物、及びスクリーニング結果物を含む医薬を含むことができる。
本発明のスクリーニング方法にかけることのできる試験物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ケミカルファイルに登録されている種々の公知化合物(ペプチドを含む)、コンビナトリアル・ケミストリー技術[Terrett, N. K. ら, Tetrahedron, 51, 8135-8137 (1995)]又は通常の合成技術によって得られた化合物群、ファージ・ディスプレイ法[Felici, F. ら, J. Mol. Biol., 222, 301-310 (1991)]などを応用して作成されたランダム・ペプチド群、siRNA、又はHP15遺伝子又はタンパク質に結合する抗体、を用いることができる。また、微生物の培養上清、植物若しくは海洋生物由来の天然成分、又は動物組織抽出物などもスクリーニングの試験物質として用いることができる。更には、本発明のスクリーニング方法により選択された化合物(ペプチドを含む)を、化学的又は生物学的に修飾した化合物(ペプチドを含む)を用いることができる。
本発明のスクリーニング方法においては、前記癌治療用化合物スクリーニング用標的分子と試験物質とを接触させ、前記試験物質と、癌治療用化合物スクリーニング用標的分子との結合を分析することにより、試験物質をスクリーニングすることができる。
また、本発明のスクリーニング方法においては、前記癌治療用化合物スクリーニング用標的分子の発現した細胞と試験物質とを接触させ、標的分子の発現を分析することにより、試験物質をスクリーニングすることができる。
更に、本発明のスクリーニング方法においては、前記癌治療用化合物スクリーニング用標的分子と試験物質とを接触させ、前記試験物質の存在下における、標的分子の活性を分析することにより、前記試験物質が、標的分子の活性を修飾するか否かを判断することができる。試験物質の不在下における標的分子の活性と比較して、試験物質の存在下における標的分子の活性が減少する場合には、前記試験物質が、標的分子の活性を抑制又は阻害すると判断することができる。一方、標的分子の活性が上昇する場合には、前記試験物質が、標的分子の活性を促進すると判断することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
本実施例では、HP15遺伝子及びHP15タンパク質の細胞の癌化への関与を調べるため、HMV−1細胞にHP15タンパク質を発現させ、その機能を解析した。
精巣由来cDNAをテンプレートとしてHP15遺伝子をクローニングした。クローニングしたHP15遺伝子を、pMX−IRES−GFPベクターに挿入して、HP15遺伝子とGFPを共発現するベクター(pMX−HP15−IRES−GFP)を作製した。得られたベクターをパッケージ細胞PLAT−Aにトランスフェクションし、HP15遺伝子を含むレトロウイルスを産生させた。得られたレトロウイルスを用いて、HP15遺伝子の発現の見られないHMV−1細胞(ヒト悪性黒色腫由来細胞株)へ、HP15遺伝子を導入した。HP15遺伝子の導入は、GFPの発現にて確認し、GFP陽性細胞をセルソータで単離した。得られたHP15遺伝子導入HMV−1細胞を、HMV−1 HP15細胞と称する。また、コントロール細胞(HMV−1 Mock細胞)はpMX−IRES−GFPベクターを用いて、HMV−1 HP15と同様に作製した。
HMV−1 Mock細胞及びHMV−1 HP15細胞に発現しているmRNAを解析した結果、HMV−1 HP15細胞において、癌の悪性度に関連するMMP2遺伝子及び幹細胞に関連するOct3/4遺伝子の発現上昇が認められた(図2A)。
作製したHMV−1 HP15とHMV−1 Mockを、それぞれ3匹のRAG2−/−gc−/−BALB/cマウスの左右の皮下へ接種した。1匹あたり5×10個、又は1×10個の条件で皮内接種し、腫瘍径の変化を27日又は34日間計測し、腫瘍形成能を検討した。その結果、HMV−1 HP15の腫瘍形成能は、HMV−1 Mockと比較して増加していることが示された(図2B)。更に、1匹あたり5×10個の細胞株を担癌したマウスにおいて、接種から10週後に所属リンパ節への転移を調べた。HMV−1 Mockは3匹中3匹の所属リンパ節への転移を示さなかった一方で、HMV−1 HP15は3匹中3匹の所属リンパ節へ転移を示した(図2C)。
HP15遺伝子及びHP15タンパク質は癌の悪性度に関与していると考えられ、HP15タンパク質が発現することによって、癌の増殖速度が速くなり、また癌の転移を誘導する可能性がある。
《実施例2》
本実施例では、HP15タンパク質の部分ペプチドの免疫誘導活性を、ペプチド刺激によるリンパ球のインターフェロン−γの産生によって測定した。
部分ペプチドとして、HP15タンパク質の全アミノ酸を7アミノ酸ずつオーバーラップさせ、20アミノ酸の長さの62個の部分ペプチド(#1〜#62)を調整した(配列番号4〜65;表1)。
2人の健常人のボランティアの末梢単核球(PBMC)を取得し、PBMCの付着細胞を抗原提示細胞として用い、非付着性細胞より単離したCD4陽性T細胞と前記ペプチドと1週間培養した。1週間後、更に、ボランティア由来の樹状細胞を再刺激の抗原提示細胞として用い、ペプチドと培養していたCD4陽性T細胞と一緒に1週間培養した。2週間後に、ペプチドで2時間処理した樹状細胞を3回目の再刺激用の抗原提示細胞として用い、培養していたCD4陽性T細胞と共に1週間培養した。3週間後、培養していたCD4陽性T細胞と樹状細胞をペプチド存在下で24時間培養し、得られた培養上清中の、インターフェロン−γをELISAで測定した。
部分ペプチドとしては、まずペプチドを5つ混合したグループ(例えば、#1〜#5、又は#6〜#10、最後のグループは#56〜#61)を用いて、インターフェロン−γの産生を測定した。その後、インターフェロン−γが産生されたグループの個別のペプチドについて、同様の実験を行い、免疫誘導活性を分析した。結果を図3に示す。多くのペプチドにおいて、抗原特異的インターフェロン−γ産生Th細胞(Th1細胞)を誘導することができた。抗原特異的Th1細胞を誘導できたペプチドを、図4において、濃い色で表されたペプチドとして示す。
《実施例3》
本実施例では、免疫誘導活性が示されたペプチド#19による、CD8陽性T細胞(Tc細胞)の誘導と、HLA classI拘束性を検討した。
健常人のボランティアよりPBMCを分離し、PBMCからフローサイトメトリーによりCD8陽性T細胞を分離した。同じボランティアのPBMC付着細胞を抗原提示細胞として用い、OK432で2時間処理した抗原提示細胞と、前記CD8陽性T細胞と、ペプチドとを1週間培養した。
7日後に、同じボランティアの樹状細胞を、未処理のまま再刺激の抗原提示細胞として用い、培養していたCD8陽性T細胞と、ペプチドとを、更に1週間培養した。
14日後に、同じボランティアの樹状細胞を、ペプチドで2時間処理し、3回目の再刺激の抗原提示細胞として用い、培養していたCD4陽性T細胞と更に1週間培養した。IL−2は0日目より、10U/mL添加して培養を行った。
得られたペプチド#19特異的なCD8陽性T細胞を用いて、LCL Assayを行った。AutoのHLA−A型がA*0201/A2402であったため、A*0201陽性、A2402陽性、A*0201陰性/A*2402陰性の3パターンのLCLに対する反応性を検討した。抗原提示細胞であるLCL(2×10個)と、CD8陽性T細胞(1×10個)と、ペプチド(5μg/mL)とを24時間培養した。培養上清を回収し、ELISAにてサイトカイン産生を解析した。その結果、A201陽性のLCLにのみ抗原特異的なサイトカイン(インターフェロン−γ)産生が見られた。ペプチド#19は、HLA−A*0201に拘束性であった(図5)。
《実施例4》
本実施例では、免疫誘導活性が示されたペプチド#19による、CD4陽性T細胞(Th細胞)の誘導と、HLA classII拘束性を検討した。
健常人のボランティアよりPBMCを分離し、PBMCからフローサイトメトリーによりCD4陽性T細胞を分離した。同じボランティアのPBMC付着細胞を抗原提示細胞として用い、IFN−γで2時間処理した抗原提示細胞と、前記CD4陽性T細胞と、ペプチドとを1週間培養した。
7日後に、同じボランティアの樹状細胞を、OK432で2時間処理し、再刺激の抗原提示細胞として用い、培養していたCD8陽性T細胞と、ペプチドとを、更に1週間培養した。
14日後に、同じボランティアの樹状細胞を、ペプチドで2時間処理し、3回目の再刺激の抗原提示細胞として用い、培養していたCD4と更に1週間培養した。IL−2は9日目より10U/mLを加え、14日目から20U/mLとした。
得られたペプチド#19特異的なCD4陽性T細胞について、抗HLA−DR抗体、抗HLA−DP抗体、及び抗HLA−DQ抗体を用いたブロッキングアッセイを行った。抗原提示細胞(5×10個)と、ペプチド(5μg/mL)とを抗HLA−DR抗体、抗HLA−DP抗体、又は抗HLA−DQ抗体存在下で培養する。1時間後、CD4陽性T細胞(5×10個)を加え24時間後の培養上清を回収、ELISAにてサイトカイン産生を解析した。その結果、ペプチド#19特異的なCD4陽性T細胞は、HLA−DR拘束性であった。
更に得られたペプチド#19特異的なCD4陽性T細胞を用いて、LCL Assayを行った。AutoのHLA−DR型がDRB1*0803陽性/1504陽性であったので、DR*0803陽性、DR*15陽性、DR**0803陰性/1504陰性の3パターンのLCLに対する反応性を検討した。抗原提示細胞であるLCL(2×10個)と、CD4陽性T細胞(1×10個)と、ペプチド(5μg/mL)とを24時間後培養した。培養上清を回収し、ELISAにてサイトカイン産生を解析した。その結果、DRB1*0803陽性のLCLにのみ抗原特異的なサイトカイン産生が見られた。ペプチド#19はHLA−DR*0803に拘束性であった(図6)。
《実施例5》
本実施例では、HP15遺伝子に対するshRNAが、癌治療に有効であるかを検討した。
(1)shRNA導入細胞株の作製
HP15遺伝子の塩基配列から、shRNA1(GCAGACAAATATGGCTAATCTcttcctgtcagaAGATTAGCCATATTTGTCTGC;配列番号75)、shRNA2(GGATCAGAAAGGTACACTTTCcttcctgtcagaGAAAGTGTACCTTTCTGATCC;配列番号76)、及びshRNA3(GCGATGACATGTTGGGATAATcttcctgtcagaATTATCCCAACATGTCATCGC;配列番号77)、を設計した。shRNA1及びshRNA2のDNAをpSIH1−H1−copGFP shRNAベクターに導入して、pSIH1−H1−siHP15sh#1−copGFPベクター(shRNA1)及びpSIH1−H1−siHP15sh#2−copGFPベクター(shRNA2)を作製した。pVSV−G、pPACKH1−GAG、pPACKH1−REVと共に293TN細胞にポリエチレンイミン(PEI)を用いて導入し、レンチウイルスを回収した。回収したレンチウイルスをPEG6,000を用いて濃縮し、HP15遺伝子を内在的に発現しているK562細胞に、ポリブレンを架橋材として用いて感染させ、shRNAを導入した。shRNA導入細胞株はGFPの発現にて確認し、GFP陽性細胞をセルソータで単離した。また、同様の方法でコントロール細胞株をpSIH−H1−copGFPベクターを用いて作製した。
(2)shRNA導入細胞株のHP15mRNAの発現
作製したshRNA1導入細胞株(K562 sh#1)、shRNA2導入細胞株(K562 sh#2)、及びshcont導入細胞株(K562 shcont)のHP15遺伝子の発現をリアルタイムPCRにより解析した。フォワードプライマーとして5’−agtcgtcttttgcgatgaca−3’(配列番号78)を、リバースプライマーとして5’−tgaggcaaatattactgtttctcg−3’(配列番号79)のプライマーセット(#42プライマーセット)、又はフォワードプライマーとして5’−atcacacaggcacccttcat−3’(配列番号80)を、リバースプライマーとして5’−attgcaagaaactcatgtaccg−3’(配列番号81)のプライマーセット(#73プライマーセット)を用いて、ロッシュ社ライトサイクラー、ユニバーサルプローブを用いてHP15mRNAの発現を解析した。図7Aに#73プライマーセットを用いた場合の、mRNAの発現の結果を示す。shRNA1及びshRNA2を導入したK562細胞は、HP15遺伝子の発現が抑制されていた(図7A)。
(3)shRNA2導入細胞株のマウスへの移植
shRNA2導入細胞株をマウスに移植し、腫瘍形成能を解析した。
RAG2−/−gc−/−BALB/cマウスに、1匹あたり5×10個、又は1×10個の条件で、shcont導入細胞株(K562 shcont)及びshRNA2導入細胞株(K562 sh#2)を皮内接種し、腫瘍径の変化を19日間計測した。その結果、shRNA2導入細胞株の腫瘍形成能は、そのコントロール細胞株であるshRNA導入細胞株(K562 shcont)と比較して減少していた(図7B及びC)。
また、担癌から8週間後、1匹あたり1×10個の細胞株を担癌したマウスにおいて、コントロールのshRNA導入細胞株(K562 shcont)は、所属リンパ節及びその他の臓器への転移を示した(図8C)が、shRNA2導入細胞株(K562 sh#2)においてはその転移が抑制された(図8D)。
《実施例6》
本実施例では、HP15を発現させたHMV−1細胞に、shRNAを導入して、その効果を確認した。
K562細胞に代えて、実施例1で得られたHMV−1 HP15を用いたことを除いては、実施例5(2)及び(3)の操作を繰り返した。なお、マウスへの移植細胞数は5×10/マウスである。
得られたshRNA2導入細胞株(HMV−1 HP15 sh#2)及びコントロールのshRNA導入細胞株(HMV−1 HP15 shcont)におけるHP15遺伝子の発現を#73プライマーセットを用いてリアルタイムPCR解析した結果、HMV−1 HP15 sh#2ではHMV−1 shcontと比較してHP15遺伝子のmRNA発現が抑制されていた(図9)。
また、shRNA2導入細胞株(HMV−1 HP15 sh#2)の腫瘍形成能は、コントロールのshRNA導入細胞株(HMV−1 HP15 shcont)と比較して、明らかに減少していた(図9)。
《実施例7》
本実施例では、癌組織におけるHP15遺伝子、MAGE−A4遺伝子及びsurvivin遺伝子の発現をリアルタイムPCR解析により評価した。癌組織からトータルRNAを回収し、HP15遺伝子の検出には、前記#73プライマーセットを用いてHP15遺伝子のmRNAを検出した。また、MAGE−A4遺伝子及びsurvivin遺伝子の検出には、以下のプライマー及びRoche社ユニバーサルプローブセットを用いた。
MAGE−A4
Leftプライマー:5’−ggccctgtgaggagtcaag−3’(配列番号82)
Rightプライマー:5’−caggcagatcttctccttgg−3’(配列番号83)
ユニバーサルプローブ#82
survivin
Leftプライマー:5’−cagtgtttcttctgcttcaagg−3’(配列番号84)
Rightプライマー:5’−cttattgttggtttcctttgcat−3’(配列番号85)
ユニバーサルプローブ#36
大腸癌10検体においてはHP15遺伝子、MAGE−A4遺伝子及びsurvivin遺伝子の陽性率は、それぞれ20.0%、40.0%、及び70.0%、肺癌28検体においては28.6%、10.7%、及び46.4%、胆嚢癌7検体においては14.3%、0.0%、及び28.6%、頭頚部由来癌15検体においては33.3%、26.7%、及び60.0%、腎癌65検体においては24.6%、55.4%、及び81.5%であった(表3)。
なお、HP15遺伝子の発現を、健常人の各組織において解析した。図11に示すように、精巣以外の組織においては、HP15遺伝子は発現していなかった。
図12に、HP15遺伝子の検出と、MAGE−A4遺伝子又はsurvivin遺伝子の検出との相関をプロットした。MAGE−A4遺伝子又はsurvivin遺伝子と、HP15遺伝子とが発現している癌も存在するが、MAGE−A4遺伝子又はsurvivin遺伝子と、HP15遺伝子とが単独で発現している癌も存在する。従って、HP15遺伝子及びMAGE−A4遺伝子の検出を組み合わせること、HP15遺伝子及びsurvivin遺伝子の検出を組み合わせること、又はHP15遺伝子、MAGE−A4遺伝子、及びsurvivin遺伝子の検出を組み合わせることによって、癌の検出率を上昇させることができる。
本発明の医薬組成物は、多くの癌の治療薬として用いることができる。本発明の癌ワクチンによれば、癌患者において、癌の予防、癌の進行の抑制、又は癌の退縮に有用である。本発明の癌の検出方法によれば、HP15タンパク質又はHP15遺伝子を分析することにより、癌の診断に有用である。更に本発明の癌治療用化合物のスクリーニング方法は、大量の被検化合物からHP15タンパク質を発現する癌の治療に有効な化合物をスクリーニングすることができる。

Claims (10)

  1. 癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを有効成分として含む医薬組成物であって、前記タンパク質又はペプチドが、
    (1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又はその部分ペプチド、
    (2)前記タンパク質又は部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、
    (3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は
    (4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチド、
    である医薬組成物。
  2. 前記部分ペプチドが、配列番号4〜65のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなる部分ペプチドである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 癌の治療用である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 前記ペプチドが、Th細胞エピトープ及び/又はTc細胞エピトープを含むペプチドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 癌に対する免疫誘導活性を有するタンパク質又はペプチドを有効成分として含む癌ワクチンであって、
    前記タンパク質又はペプチドが、
    (1)配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又はその部分ペプチド、
    (2)前記タンパク質又は部分ペプチドにおいて、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなる変異タンパク質又は変異ペプチド、
    (3)前記部分ペプチド又は変異ペプチドの少なくとも1つを含む複合ペプチド、又は
    (4)前記部分ペプチド、変異ペプチド、又は複合ペプチドの誘導体ペプチド、
    である癌ワクチン。
  6. 前記ペプチドが、Th細胞エピトープ及び/又はTc細胞エピトープを含むペプチドである、請求項5に記載の癌ワクチン。
  7. 配列番号1〜3のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなるHP15タンパク質の発現又は機能を抑制する化合物を有効成分として含む、医薬組成物。
  8. 前記化合物が、
    (1)HP15タンパク質のmRNAを、RNA干渉を介して開裂することのできるsiRNA、前記siRNAをコードするDNA、若しくは前記DNAを含むベクター、又は
    (2)HP15タンパク質に特異的に結合する抗体若しくはその抗原結合部位を有する抗体フラグメントである、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記siRNAが、HP15タンパク質のmRNAにおける、配列番号69で表される塩基配列からなるmRNA領域、配列番号70で表される塩基配列からなるmRNA領域、及び配列番号71で表される塩基配列からなるmRNA領域からなる群から選択されるmRNA領域を、RNA干渉を介して開裂することのできるsiRNAであって、
    前記siRNAが、
    (a)二重鎖RNA部分を形成する2つのRNA鎖が、ヘアピンループを形成することのできるRNA部分によって結合しているshRNA、
    (b)二重鎖RNA部分の末端が平滑である二本鎖ヌクレオチド、又は
    (c)二重鎖RNA部分を形成する2つのRNA鎖の一方又は両方の3’末端に、デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドが結合し、突出末端を形成している二本鎖オリゴヌクレオチド、
    である、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 癌の治療用である請求項7〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
JP2012009759A 2012-01-20 2012-01-20 医薬組成物 Pending JP2013147464A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012009759A JP2013147464A (ja) 2012-01-20 2012-01-20 医薬組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012009759A JP2013147464A (ja) 2012-01-20 2012-01-20 医薬組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013147464A true JP2013147464A (ja) 2013-08-01

Family

ID=49045341

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012009759A Pending JP2013147464A (ja) 2012-01-20 2012-01-20 医薬組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013147464A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015118789A1 (ja) * 2014-02-06 2017-03-23 国立研究開発法人科学技術振興機構 ペプチド/β−1,3−グルカン複合体及びその製造方法並びにそれを含む医薬組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015118789A1 (ja) * 2014-02-06 2017-03-23 国立研究開発法人科学技術振興機構 ペプチド/β−1,3−グルカン複合体及びその製造方法並びにそれを含む医薬組成物
US10195270B2 (en) 2014-02-06 2019-02-05 Japan Science And Technology Agency Peptide/β-1,3-glucan complex and production method thereof and pharmaceutical composition containing peptide/β-1,3-glucan complex

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6276742B2 (ja) がん幹細胞分子マーカー
JP6285472B2 (ja) 診断及び治療のための腫瘍関連マーカーの同定
RU2644686C2 (ru) Идентификация опухолеассоциированных антигенов для диагностики и терапии
EP3209696B1 (en) Methods and compositions for diagnosis and treatment of glioblastoma
JP6349560B2 (ja) Topkペプチドおよびそれを含むワクチン
EP3265179A1 (en) Beta-catenin inhibitors in cancer immunotherapy
US20150361147A1 (en) Novel cancer antigen eef2
JP6959597B2 (ja) 腫瘍抗原ペプチド
CN109072219B (zh) 肿瘤抗原肽
EP2893352A2 (en) Cancer diagnostic and therapeutic method targeting molecules expressed in cancer stem cells
JP2013147464A (ja) 医薬組成物
WO2010050268A1 (ja) がん幹細胞分子マーカー
EA027940B1 (ru) Пептиды, обладающие способностью индуцировать цитотоксические т-лимфоциты, и их применение
JP6857930B2 (ja) がん抗原ペプチド
WO2010124812A2 (en) Identification of tumor-associated markers for diagnosis and therapy
TW201609801A (zh) 來自vegfr2的胜肽及含其之疫苗