JP2013142126A - インク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙のような非吸水性または低吸水性記録媒体においても、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れるインク組成物を提供する。
【解決手段】炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含んでなるインク組成物。下記式(I)で表わされる炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルをさらに含んでなるインク組成物:HO−CxH2x−COO−CyH2y+1…(I)(式中、xは2または3の自然数を表し、yは1〜3の自然数を表し、かつ、x+y≦5である)。
【選択図】なし

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙のような非吸水性または低吸水性記録媒体においても、耐水性または耐油性に優れたインク組成物に関する。
背景技術
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。近年のインクジェット記録技術の革新的な進歩により、これまで銀塩写真やオフセット印刷によって実現されてきた高精細印刷の分野においてもインクジェット記録方法が用いられるようになっている。
これまでに、インクジェット記録技術において、インク組成物に、難水溶性のアルカンジオールを用いることにより、インクの凝集抑制、フィルム定着性等に優れたインク組成物が開示されている(特開2011−202143号公報(特許文献1))。
また、難水溶性のアルカンジオールと、結晶性糖アルコールを含むインク組成物をコート紙等の印刷本紙に用いた場合に、ブリーディングやビーディングのない高品質な画像が実現されたインク組成物が開示されている(特開2011−178981号公報(特許文献2))。
しかしながら、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙のような非吸水性または低吸水性記録媒体において、インクを塗布した場合のインクの耐水性や、耐油性について更なる改良が求められている。
特開2011−202143号公報 特開2011−178981号公報
本発明者らは、今般、インク組成物に、炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含むことにより、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙のような非吸水性または低吸水性記録媒体においても、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れるとの知見を得た。本発明はこれらの知見に基づくものである。
したがって、本発明の目的は、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙のような非吸水性または低吸水性記録媒体においても、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れるインク組成物を提供することにある。
そして、本発明のインク組成物は、炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含んでなる、インク組成物である。
本発明のインク組成物によれば、各種記録媒体、とりわけ合成紙や印刷本紙のような非吸水性または低吸水性記録媒体においても、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れるインク組成物を提供できる。
発明の具体的説明
<定義>
本明細書において、アルカンジオールの炭化水素基部分は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよい。
また、本明細書において、「難水溶性」とは、20℃の水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、1.0g未満であることを意味する。また、本明細書において「混和性」とは、20℃の水への溶解度(水100gに対する溶質の量)が、10.0gの場合に、凝集または相分離することなく、均一に分散または溶解する性質を意味する。
また、本明細書において、「非吸水性または低吸水性の記録媒体」とは、水性インクの受容層を備えていない、あるいは、水性インクの受容層が乏しい記録媒体をいう。より定量的には、非吸水性または低吸水性の記録媒体とは、記録面が、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを用いることにより、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れるインク組成物を実現することができる。
なお、本明細書中、ビーディングとは、単色で印刷した際(例えば6インチ四方に単色(結果として、印刷される色が単一であることを意味し、その色を実現するインク組成物数は複数であってよい)で印刷した際)に発生する、局所的な同系色の濃度斑のことを意味し、記録媒体表面がインクによって被覆されない部分が残存することを意味するものではない。また、色材のブリーディングとは、各単色を隣接面として印刷した際(例えば3インチ四方に各単色を隣接面として印刷した際)に、境界線近傍において、混合色が発生してしまう現象を意味する。また、溶剤のブリーディングとは、各単色を隣接面として印刷した際(例えば3インチ四方に各単色を隣接面として印刷した際)に、境界線近傍において、溶剤の滲み出しによる色材の移動等により被覆状態が変化し、同系色の濃度斑が発生してしまう現象を意味する。
また、本発明においては、上記の記録媒体において、米坪が73.3〜〜209.2g/mの印刷本紙等を用いた場合、とりわけ、米坪が73.3〜104.7g/mの薄い印刷本紙を用いた場合であっても、印字面が内側に反り返る、いわゆるカールの発生を抑制できる。
上記のように、炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有することにより、ブリーディングやビーディングが抑制された高品質な画像が実現できる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
記録媒体に記録する場合に発生するインクのビーディングは、例えば、24mN/mよりも高い表面張力を有するインクを用いた場合に、記録媒体に付着したインク滴が流動してしまうことが原因と考えられる。即ち、記録媒体に対するインク滴の接触角が高くなり、インク滴を弾いてしまうことに起因すると考えられる。したがって、ビーディングを抑制するにはインクの表面張力を小さくする必要がある。しかしながら、非吸水性または低吸水性の記録媒体に記録する場合には、インクに含有される水が吸収され難いために、例えば、20〜24mN/mの表面張力を有するインクであってもインク滴が流動してしまうことがある。
なお、本明細書における表面張力は、Wilhelmy法を用いて求めた値を意味する。Wilhelmy法による表面張力は、例えば、全自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社製)によって測定が可能である。
よって、非吸水性または低吸水性の記録媒体において、インクのビーディングを抑制するには、インクの表面張力を小さくするだけでなく、記録媒体に付着した後の流動性を抑制することが好ましいと考えられる。
記録媒体にインクが付着すると、記録媒体に対してインクが濡れ広がった後に記録媒体へ浸透することが知られている。そうすると、記録媒体に記録する場合に発生するインクのブリーディングは、例えば、24mN/mよりも高い表面張力を有するインクを用いた場合に、記録媒体に付着したインク滴が流動してしまうことが原因と考えられる。即ち、記録媒体に対するインクの濡れ性が低いために、インクに含有される溶媒が記録媒体へ直ちに浸透しないことに起因すると考えられる。したがって、ブリーディングを抑制するにはインクの表面張力を小さくする必要がある。しかしながら、非吸水性または低吸水性の記録媒体に記録する場合には、インクに含有される水が浸透し難いために、例えば、20〜24mN/mの表面張力を有するインクであってもインク滴が流動してしまうことがある。
よって、非吸水性または低吸水性の記録媒体において、インクのブリーディングを抑制するには、インクの表面張力を小さくするだけでなく、記録媒体に付着してからのインクの流動性を抑制することが好ましいと考えられる。
本発明によるインク組成物にあっては、表面張力が低く、かつ記録媒体に付着した後のインク滴の流動性が抑制されたインクが実現できたものと考えられ、その結果、ブリーディング、ビーディングが効果的に抑制されたものと考えられる。
<炭素数7〜10のアルカンジオール>
本発明のインク組成物には、炭素数7〜10のアルカンジオールが含まれ、炭素数7〜10のアルカンジオールは難水溶性である(以下、炭素数7〜10のアルカンジオールを単に「難水溶性のアルカンジオール」という場合もある)。
本発明の好ましい態様によれば、炭素数7〜10のアルカンジオールは、片末端アルカンジオールである。本発明の好ましい態様によれば、炭素数7〜10のアルカンジオールは、1,2−アルカンジオールであり、ビーディングをより効果的に抑制できる。1,2−アルカンジオールとしては、例えば、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、5−メチル−1,2−ヘキサンジオール、4−メチル−1,2−ヘキサンジオール、または4,4−ジメチル−1,2−ペンタンジオールが挙げられる。これらの中でも、1,2−オクタンジオールがより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、炭素数7〜10のアルカンジオールの含有量は、インクのブリーディングおよびビーディングインクを効率良く抑制出来る限りにおいて、適宜決定されてよいが、組成物全体に対し、0.5〜4.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜2.5質量%である。炭素数7〜10のアルカンジオールの量が上記範囲にあることで、とりわけ上限を超えずにあることで、インクのブリーディングおよびビーディングを抑制することができ、また初期粘度が高くなりすぎず、通常のインク保存状態において、油層の分離を有効に防止でき、インクの保存性の観点から好ましい。
<エチレン−ビニルアルコール共重合体>
本発明のインク組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含んでなるものである。
エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率は、1〜20mol%が好ましく、1〜10mol%がより好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率を前記範囲とすることで、インク組成物とするために必要な水溶性を確保できるとともに、耐水性及び耐油性に優れる記録物を得ることができる。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体の重合度としては、300〜2000が好ましく、500〜1500がより好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体の重合度を前記範囲とすることで、インク組成物とするために必要な水溶性を確保できるとともに、加熱時の収縮特性に優れるためシュリンクフィルムに好ましく用いることができる。
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体のけん化度としては、90.0〜99.9mol%が好ましく、95.0〜99.9mol%がより好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体のけん化度を前記範囲とすることで、インク組成物とするために必要な水溶性を確保できるとともに、耐水性及び耐油性に優れる記録物を得ることができる。
本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体の好ましい態様によれば、エクセバール(クラレ社製)を好適に使用でき、より好ましくは、RSポリマーシリーズ(クラレ社製)のRS−4104、4105、2117、1117、2817、1717、1113、または1713であり、特に好ましくはHR−3010(クラレ社製)である。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、インク組成物全体に対し、0.5〜3.0質量%含まれることが好ましく、0.5〜1.5質量%含まれることがより好ましく、0.6〜1.2質量%含まることが一層好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量がこの範囲にあることで、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れる記録物を得ることできる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体と、炭素数7〜10のアルカンジオールとの含有量比は、6:1〜1:8であることが好ましく、4:3〜1:5であることが好ましい。上記含有量比がこの範囲にあることで、ブリーディングやビーディングに優れ、また耐水性または耐油性に優れる記録物を得ることできる。
<炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステル>
本発明の好ましい態様によれば、本発明のインク組成物は、炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とに加えて、下記式(I)で表される炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルを含むことができる。
HO−C2x−COO−C2y+1 …(I)
(式中、xは2または3の自然数を表し、yは1〜3の自然数を表し、かつ、x+y≦5である。)
炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルは、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶解補助剤として作用することが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体と、炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルとの含有質量比は、2:1〜1:3であることが好ましく、1:1〜1:2であることがより好ましい。この範囲にあることで、エチレン‐ビニルアルコールの溶解が容易になり、インクの調製が容易になることから好ましい。
また、炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルの表面張力は、30mN/m以下であるので、表面張力の低いインクとなるため、凝集むらおよび筋むらの発生を抑制できる観点で好ましい。
炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルの具体例としては、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピルなどのヒドロキシプロピオン酸エステル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、2−ヒドロキシブタン酸メチル、2−ヒドロキシイソブタン酸エチル、2−ヒドロキシブタン酸エチル、3−ヒドロキシイソブタン酸メチル、3−ヒドロキシブタン酸メチル、3−ヒドロキシイソブタン酸エチル、3−ヒドロキシブタン酸エチル、などのヒドロキシブタン酸エステルが挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物として用いることができる。
炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルの中でも、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、2−ヒドロキシブタン酸メチルが乾燥性に優れることから好ましく、2−ヒドロキシイソブタン酸メチルがより好ましい。
炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルの添加量は、適宜決定されてよいが、0.1〜10.0質量%程度とすることができる。
また、炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルは、上述の通り、エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶解補助剤として用いることができるため、クリーニングキャップ周辺およびフラッシングボックス等に(インクの造膜による)インク固形物が堆積するという不具合を改善できるとの利点も有する。
<水溶性のアルカンジオール>
本発明の好ましい態様によれば、本発明のインク組成物は、炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とに加えて、水溶性のアルカンジオールを含んでなることができる。これにより、インク組成物が含有している固形分以外の物質、すなわち溶剤を含む水溶液のブリーディング発生がさらに抑制できる点で有利である。
本発明の好ましい態様によれば、水溶性のアルカンジオールは、両末端または片末端アルカンジオールであり、分岐鎖を有するものがより好ましい。また、本発明の水溶性のアルカンジオールは炭素数3以上のアルカンジオールが好ましく、より好ましくは炭素数3〜6のアルカンジオールである。本発明のインク組成物に含まれる水溶性のアルカンジオールは、好ましくは、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、および1,6−ヘキサンジオールが挙げられ、より好ましくは、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の水溶性のヘキサンジオールが挙げられ、その中でも1,2−ヘキサンジオールが好ましい。また、高周波数での吐出安定性が優れる観点から、1,6−ヘキサンジオールであってもよい。
<着色剤>
本発明のインク組成物には着色剤を含んでもよい。着色剤としては、染料および顔料のいずれも使用することができるが、耐光性や耐水性の観点から顔料を好適に使用できる。また、着色剤は、前記顔料およびその顔料をインク中に分散させることが可能な下記分散剤を含んでなることが好ましい。
顔料としては、無機顔料および有機顔料を使用することができ、それぞれ単独または複数種を混合して用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、酸化チタンおよび酸化鉄の他に、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックが使用できる。また、前記有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が使用できる。
顔料の具体例は、得ようとするインク組成物の種類(色)に応じて適宜挙げられる。例えば、イエローインク組成物用の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,12,14,16,17,73,74,75,83,93,95,97,98,109,110,114,128,129,138,139,147,150,151,154,155,180,185等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントイエロー74,110,128、および129からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。また、マゼンタインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5,7,12,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,112,122,123,168,184,202,209;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントレッド122,202,209、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選ばれる一種または二種以上を用いることが好ましく、これらの固溶体であってもよい。また、シアンインク組成物用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1,2,3,15:2,15:3,15:4,15:34,16,22,60;C.I.バットブルー4,60等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。これらのうち、特にC.I.ピグメントブルー15:3および/または15:4を用いることが好ましく、とりわけ、C.I.ピグメントブルー15:3を用いることが好ましい。
また、ブラックインク組成物用の顔料としては、例えば、ランプブラック(C.I.ピグメントブラック6)、アセチレンブラック、ファーネスブラック(C.I.ピグメントブラック7)、チャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)等の炭素類、酸化鉄顔料等の無機顔料;アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料等が挙げられるが、本発明においては、カーボンブラックが好ましく用いられる。カーボンブラックとして、具体的には、#2650、#2600、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#966、#960、#950、#900、#850、MCF-88、#55、#52、#47、#45、#45L、#44、#33、#32、#30、(以上、三菱化学(株)製)、SpecialBlaek4A、550、Printex95、90、85、80、75、45、40(以上、デグッサ社製)、Regal660、RmogulL、monarch1400、1300、1100、800、900(以上、キャボット社製)、Raven7000、5750、5250、3500、3500、2500ULTRA、2000、1500、1255、1200、1190ULTRA、1170、1100ULTRA、Raven5000UIII(以上、コロンビアン社製)等が挙げられる。
顔料の濃度は、インク組成物を調製した際に適宜な顔料濃度(含有量)に調整すればよいため特に限定されない。例えば、顔料濃度を1〜4質量%とすることで、粒状性が抑制された画像を得ることが可能である。一方、顔料濃度を4〜12質量%とすることで、発色性に優れた画像を得ることが可能である。
前記顔料は、後記する分散剤との混練処理がされた顔料であることが画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点から好ましい。
<分散剤>
本発明のインク組成物は、着色剤を分散させるための分散剤としては、スチレン−アクリル酸系共重合樹脂(スチレンアクリル酸共重合樹脂)、オキシエチルアクリレート系樹脂(オキシエチル樹脂)、ウレタン系樹脂、およびフルオレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含んでなることが好ましく、より好ましくは、オキシエチルアクリレート系樹脂およびフルオレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含んでなる。これら共重合樹脂は、顔料に吸着して分散性を向上させる。
共重合体樹脂における疎水性モノマーの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルアクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、iso−オクチルアクリレート、iso−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フエニルメタクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシエチル化オルトフェニルフェノールアクリレートなどを挙げることができる。これらは、単独でまたは二種以上を混合して用いてもよい。
親水性モノマーの具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などを挙げることができる。
前記疎水性モノマーと親水性モノマーとの共重合樹脂は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、スチレン−メチルスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、またはスチレン−マレイン酸共重合樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、またはスチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂、ヒドロキシエチル化オルトフェニルフェノールアクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合樹脂のいずれかであることが好ましい。
前記共重合樹脂は、スチレンと、アクリル酸またはアクリル酸のエステルとを反応して得られる重合体を含む樹脂(スチレン−アクリル酸樹脂)であってもよい。あるいは、前記共重合樹脂は、アクリル酸系水溶性樹脂であってもよい。またはこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン等の塩であってもよい。
前記共重合樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは50〜320であり、一層好ましくは100〜250である。
前記共重合樹脂の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは2,000〜3万であり、より好ましくは2,000〜2万である。
前記共重合樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは30℃以上であり、一層好ましくは50〜130℃である。
前記共重合樹脂は、顔料分散液中において顔料に吸着している場合と、遊離している場合とがあり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記共重合樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下(さらに好ましくは0.1μm以下)であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成している粒子としての分散径(累積50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラックUPA(MicrotracInc.社)を使用して測定することができる。
前記共重合樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは20〜50質量部であり、一層好ましくは20〜40質量部である。
本発明においては、前記共重合樹脂として、オキシエチルアクリレート系樹脂を使用することもできる。使用することにより、インクの初期粘度の低減、高温時の保存安定性、目詰まり回復性に優れるので、より好ましい。
上記オキシエチルアクリレート系樹脂は、オキシエチルアクリレート骨格を有する樹脂であれば特に限定されないが、好ましくは下記式(II)で表される化合物である。下記式(II)で表される化合物は、例えば、モノマーモル比として、CAS No.72009−86−0のオルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレートを45〜55%と、CAS No.79−10−7のアクリル酸を20〜30%と、CAS No.79−41−4のメタクリル酸を20〜30%と含む樹脂が挙げられる。これらは、単独でもまたは二種以上を混合して用いてもよい。また、上記モノマー構成比は、特に限定されないが、好ましくはCAS No.72009−86−0のオルト-ヒドロキシエチル化フェニルフェノールアクリレートが70〜85質量%、CAS No.79−10−7のアクリル酸が5〜15質量%、CAS No.79−41−4のメタクリル酸が10〜20質量%である。
Figure 2013142126
(R1および/またはR3は水素原子またはメチル基であって、R2はアルキル基またはアリール基である。nは1以上の整数である。)
上記式(II)で表される化合物は、好ましくはノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレートまたはポリプロピレングリコール#700アクリレートが挙げられる。
前記オキシエチルアクリレート系樹脂の含有量は、インク組成物の初期粘度およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに、凝集斑を抑制し、埋まり性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは10〜40質量部であり、一層好ましくは15〜25質量部である。
前記オキシエチルアクリレート系樹脂に占めるアクリル酸とメタクリル酸の群から選ばれる水酸基を有するモノマー由来の樹脂構成比の合計は、インク組成物の初期粘度およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに、目詰まり回復性の観点からは、好ましくは30〜70%であり、一層好ましくは40〜60%である。
前記オキシエチルアクリレート系樹脂の架橋前の数平均分子量(Mn)は、インク組成物の初期粘度およびインク組成物の保存安定性を両立する観点からは、好ましくは4000〜9000であり、より好ましくは5000〜8000である。Mnは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
前記オキシエチルアクリレート系樹脂は、顔料分散液中において顔料に吸着している場合と、遊離している場合とがあり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記共重合樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下(さらに好ましくは0.1μm以下)であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成している粒子としての分散径(累積50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラックUPA(MicrotracInc.社)を使用して測定することができる。
前記オキシエチルアクリレート系樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは20〜50質量部であり、一層好ましくは20〜40質量部である。
また、本発明においては、定着性顔料分散剤として、ウレタン系樹脂を用いることにより、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる。ウレタン系樹脂とは、ジイソシアネート化合物と、ジオール化合物とを反応して得られる重合体を含む樹脂であるが、本発明においては、ウレタン結合および/またはアミド結合と、酸性基とを有する樹脂であることが好ましい。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、フェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、これらの変性物が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系、ポリエチレンアジベート、ポリブチレンアジベート等のポリエステル系、ポリカーボネート系が挙げられる。
前記ウレタン系樹脂の酸価は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは10〜300であり、一層好ましくは20〜100である。なお、酸価は、樹脂1gを中和させるのに必要なKOHのmg量である。
前記ウレタン樹脂の架橋前の重量平均分子量(Mw)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは100〜20万であり、より好ましくは1000〜5万である。Mwは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
前記ウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg;JISK6900に従い測定)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、好ましくは−50〜200℃であり、一層好ましくは−50〜100℃である。
前記ウレタン系樹脂は、カルボキシル基を有することが好ましい。
前記ウレタン系樹脂の含有量は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは20〜50質量部であり、一層好ましくは20〜40質量部である。
さらに、本発明においては、定着性顔料分散剤として、フルオレン系樹脂を使用することもできる。使用することにより、インクの初期粘度の低減、高温時の保存安定性、印刷本紙への定着性に優れるので、より好ましい。
また、前記フルオレン系樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば何ら制限されるものではなく、例えば、下記のモノマー単位を共重合することにより得ることができる。
5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098−71−9)
2,2‘−[9H−フルオレン−9−イリデンビス(4,1−フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344−32−8)
3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピロン酸(CAS No.4767−03−7)
N,N−ジエチル−エタンアミン(CAS No.121−44−8)
上記フルオレン樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば、モノマー構成比は、特に限定されないが、好ましくは、5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(CAS No.4098−71−9)が35〜45質量%、2,2‘−[9H−フルオレン−9−イリデンビス(4,1−フェニレンオキシ)]ビスエタノール(CAS No.117344−32−8)が40〜60質量%、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸(CAS No.4767−03−7)が5〜15質量%、N,N−ジエチル−エタンアミン(CAS No.121−44−8)が5〜15質量%である。
前記フルオレン系樹脂の架橋前の数平均分子量(Mn)は、インク組成物の初期粘度およびインク組成物の保存安定性を両立する観点からは、好ましくは2000〜5000であり、より好ましくは3000〜4000である。Mnは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定する。
前記フルオレン系樹脂は、顔料分散液中において顔料に吸着している場合と、遊離している場合と、があり、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記共重合樹脂の最大粒径は0.3μm以下であることが好ましく、平均粒径は0.2μm以下(さらに好ましくは0.1μm以下)であることが一層好ましい。なお、平均粒径とは、顔料が実際に分散液中で形成している粒子としての分散径(累積50%径)の平均値であり、例えば、マイクロトラックUPA(MicrotracInc.社)を使用して測定することができる。
前記フルオレン系樹脂の含有量は、カラー画像の定着性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層定着性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、前記顔料100質量部に対して、好ましくは20〜50質量部であり、一層好ましくは20〜40質量部である。
前記共重合樹脂および前記定着性顔料分散剤の質量比(前者/後者)は、1/2〜2/1が好ましいが、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、1/1.5〜1.5/1であることが一層好ましい。
前記顔料の固形分と、前記共重合樹脂および前記定着性顔料分散剤の固形分との質量比(前者/後者)は、カラー画像の光沢性、ブロンズ防止、およびインク組成物の保存安定性を両立するとともに一層光沢性に優れたカラー画像を形成できる観点からは、100/40〜100/100であることが好ましい。
また、分散剤として、界面活性剤を用いてもよい。このような界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。上記した界面活性剤はインク組成物に添加されることで、界面活性剤としての機能をも果たすことは言うまでもない。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物は、さらに、界面活性剤を含んでなることが好ましい。記録媒体として、その表面にインクを受容するための樹脂がコーティングされたものに対して、界面活性剤を用いることにより、光沢感がより重視される写真紙等の記録媒体においても、優れた光沢を有する画像を実現することができる。とりわけ、印刷本紙のように、表面の受容層に油性インクを受容するための塗布層が設けられているような記録媒体を用いた場合であっても、色間の滲み(ブリーディング)や、ビーディングを防止できるとともに、インク付着量の増加に伴い発生する光の反射光による白化を防止することができる。
本発明において用いられる界面活性剤としては、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を好適に使用でき、記録画像を形成する際に、記録媒体表面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を用いた場合、上記したような炭素数7〜10のアルカンジオールを含有するため、界面活性剤のインク中への溶解性が向上し、不溶物等の発生を抑制できるため、吐出安定性がより優れるインク組成物を実現できる。
前記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤は、特に限定されないが、グリセリンを20質量%、1,2−ヘキサンジオールを10質量%、前記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を0.1質量%、および水を69.9質量%含む水溶液とした場合に、その水溶液の1Hzの動的表面張力が26mN/m以下ものを使用することが好ましい。動的表面張力は、例えば、バブルプレッシャー動的表面張力計BP2(KRUS社製)を用いて測定することができる。
上記のような界面活性剤は市販されているものを用いてもよく、例えば、オルフィンPD−501(日信化学工業株式会社製)、オルフィンPD−570(日信化学工業株式会社製)、BYK−347(ビックケミー株式会社製)、BYK−348(ビックケミー株式会社製)等を用いることができる。
また、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤として、下記式(III):
Figure 2013142126
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜13の整数を表し、mは2〜70の整数を表し、nは1〜8の整数を表す。)
で表される一種または二種以上の化合物を含んでなるか、または、上記式(III)の化合物において、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜11の整数を表し、mは2〜50の整数を表し、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることが好ましく、または、上記式(III)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜5の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。また、上記式(III)の化合物において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが2〜13の整数であり、mは2〜50の整数であり、nは1〜8の整数である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。あるいは、上記式(III)の化合物において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0〜4であり、nが1または2である一種または二種以上の化合物を含んでなることが好ましく、または、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数、であり、mが0であり、nが1である一種または二種以上の化合物を含んでなることがより好ましい。このような特定のオルガノポリシロキサン系界面活性剤を使用することにより、記録媒体として印刷本紙に印刷した場合であっても、インクの凝集むらがより改善される。
上記式(III)の化合物においては、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがより好ましい。このような化合物を使用することによって、より一層インクの凝集むらが改善できる。
また、上記式(III)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが2〜5の整数であり、mが20〜40の整数であり、nが2〜4の整数である化合物、または、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(III)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物、または、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記式(III)の化合物においては、Rがメチル基であり、aが6〜12の整数、であり、mが0であり、nが1である化合物を用いることがさらに好ましい。このような化合物を使用することにより、さらにインクの凝集むらと滲みを改善することができる。
また、上記式(III)の化合物においては、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜10の整数であり、mが10〜20の整数であり、nが4〜8の整数である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
さらに、上記の式(II)においては、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが9〜13の整数であり、mが2〜4の整数であり、nが1〜2の整数である化合物と、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0であり、nが1である化合物とを混合したものを用いることが最も好ましい。このような化合物を使用することにより、より一層、インクの凝集むらと滲みを改善することができる。
前記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤は、特に限定されないが、グリセリンを20質量%、1,2−ヘキサンジオールを10質量%、前記ポリオルガノシロキサン系界面活性剤を0.1質量%、および水を69.9質量%含むインク組成物とした場合に、そのインク組成物の1Hzの動的表面張力が26mN/m以下のものを使用することが好ましい。動的表面張力は、例えば、バブルプレッシャー動的表面張力計BP2(KRUS社製)を用いて測定することができる。
上記界面活性剤は、本発明のインク組成物中に、好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.05〜0.50質量%含有される。特に、Rが水素基である上記界面活性剤を使用する場合は、Rがメチル基である上記界面活性剤を用いた場合よりも、含有量を少なくすることがビーディングの観点から好ましい。Rが水素基である界面活性剤を0.01〜0.1質量%含有させることにより、撥水性が発現し、ブリードを調整できる。
本発明のインク組成物には、その他の界面活性剤、具体的には、アセチレングリコール系界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等をさらに添加しても良い。
これらのうち、アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(商品名、日信化学社製)、サーフィノール61、104,82,465,485、あるいはTG(商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
<水、その他の成分>
本発明のインク組成物は、上記した炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含有するとともに、溶媒として水を含有する。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
また、本発明のインク組成物は、さらに浸透剤を含んでも良い。浸透剤としては、グリコールエーテル類を好適に使用できる。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールなどが挙げられ、これらの一種または二種以上の混合物として用いることができる。
上記グリコールエーテル類の中でも、多価アルコールのアルキルエーテルが好ましく、特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、または3−メトキシ−1−ブタノールが好ましい。より好ましくは、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、または3−メトキシ−1−ブタノールである。
上記浸透剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30質量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20質量%程度である。
また、本発明のインク組成物は、上記成分に加えて、記録媒体溶解剤を含んでも良い。
記録媒体溶解剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ピロリドンカルボン酸、およびそれらのアルカリ金属塩などの、ピロリドン類を好適に使用できる。上記記録媒体溶解剤の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜30質量%程度が好ましく、より好ましくは1〜20質量%程度である。
また、本発明のインク組成物においては、グリセリンやその誘導体、例えば、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2−プロパンジオール(CAS14641−24−8)、3−(2−ヒドロキシプロポキシ)−1,2−プロパンジオール等の湿潤剤を含むことが好ましい。グリセリンやその誘導体は、インクジェットノズル等において、インクが乾燥して固化するのを防ぐ機能を有するものであるため、目詰まり回復性を向上させる観点で好ましい。本発明においては、これら湿潤剤を0.1〜8質量%以下含ませることもできる。
本発明のインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等を挙げることができる。
さらに、pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
また、本発明のインク組成物は、酸化防止剤および紫外線吸収剤を含んでいてもよく、その例としては、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のTinuvin 328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor 252 153、Irganox 1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物等を挙げることができる。
本発明のインク組成物は、上記の各成分を適当な方法で分散・混合することよって製造することができる。好ましくは、まず顔料と高分子分散剤と水とを適当な分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミルなど)で混合し、均一な顔料分散液を調製し、次いで、別途調製した樹脂(樹脂エマルジョン)、水、水溶性有機溶媒、糖、pH調製剤、防腐剤、防かび剤等を加えて十分溶解させてインク溶液を調製する。十分に攪拌した後、目詰まりの原因となる粗大粒径および異物を除去するためにろ過を行って目的のインク組成物を得ることができる。前記ろ過は、ろ材として、好ましくは、グラスファイバーフィルターを用いて行ってもよい。前記グラスファイバーは、樹脂含浸グラスファイバーであることが、静電吸着機能の観点から好ましい。また、グラスファイバーフィルターの孔径は、1〜40ミクロンが好ましく、さらに好ましくは1〜10ミクロンであることが、生産性と帯電遊離樹脂等の吸着除去の観点から好ましい。帯電遊離樹脂等の吸着除去を十分に行うことにより、吐出安定性を向上させることができる。上記のフィルターとして、例えば、日本ポール社製のウルチポアGFプラスを挙げることができる。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用に用いることが好ましい。
〈インクジェット記録方法〉
本発明のインク組成物を用いたインクジェット記録方法は、上記のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うものである。本発明による記録方法においては、記録対象となる記録媒体は、特に限定されず、例えば、普通紙や水系インクの受容層を備える記録媒体のほか、非吸水性または低吸水性の記録媒体であっても好適に用いることが可能である。
〈非吸水性または低吸水性の記録媒体〉
非吸水性の記録媒体としては、例えば、インクジェット記録用に表面処理をしていない(すなわち、インク受容層を有していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。好ましい態様によれば、非吸水性の記録媒体として、シュリンクフィルムが挙げられる。
低吸水性の記録媒体としては、例えば、塗工紙が挙げられ、微塗工紙、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等の記録本紙(印刷本紙)等が挙げられる。
塗工紙は、表面に塗料を塗布し、美感や平滑さを高めた紙である。塗料は、タルク、パイロフィライト、クレー(カオリン)、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの顔料と、デンプン、ポリビニルアルコールなどの接着剤を混合して作ることができる。塗料は、紙の製造工程の中でコーターという機械を用いて塗布する。コーターには、抄紙機と直結することで抄紙・塗工を1工程とするオンマシン式と、抄紙とは別工程とするオフマシン式がある。主に記録に用いられ、日本国経済産業省の「生産動態統計分類」では印刷用塗工紙に分類される。
微塗工紙とは、塗料の塗工量が12g/m以下の記録用紙のことをいう。アート紙とは、上級記録用紙(上質紙、化学パルプ使用率100%の紙)に40g/m前後の塗料を塗工した記録用紙のことをいう。コート紙とは、20g/m2 − 40g/m程度の塗料を塗工した記録用紙のことをいう。キャスト紙とは、アート紙やコート紙を、キャストドラムという機械で表面に圧力をかけることで、光沢や記録効果がより高くなるように仕上げた記録用紙のことをいう。
非吸水性または低吸水性の記録媒体として合成紙や印刷本紙(OKT+:王子製紙株式会社製)を用いることが好ましいが、とりわけ、アート紙、POD(プリントオンデマンド)用途に用いられる高画質用紙およびレーザープリンタ用の専用紙において、特に低解像度で印刷した場合でも、ブリーディングやビーディングが抑制された高品質な画像が実現できる。POD用途の高画質用紙としては、例えば、リコービジネスコートグロス100(リコー株式会社製)等が挙げられる。また、レーザープリンタ用の専用紙としては、例えばLPCCTA4(セイコーエプソン株式会社製)等が挙げられる。また、耐水紙としては、カレカ(三菱化学メディア株式会社製)や、レーザーピーチ(日清紡ポスタルケミカル株式会社製)等を挙げられる。
〈ニスコート〉
本発明のインク組成物を用いた記録物は、商業印刷等に用いられるニスコーターで、オフセットニスまたはグラビアニスをオーバーコートしてもよい。インクジェット記録方法により、良好な画像を有するバリアブル印刷を実現し、多品種少量印刷に対応でき、またオフセットニスまたはグラビアニスをオーバーコートするにより、良好な耐水性や耐溶剤性を実現することが可能である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
<インク組成物の調製>
下記表1の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。下記表1中の数値はインク中の含有量(質量%)を表す。
また、インク組成物の調製において、エチレン−ビニルアルコール共重合体として、エクセバールHR−3010(クラレ社製;エチレン共重合比率4.5mol%、けん化度99.0〜99.6、重合度1000)は、さらに2−ヒドロキシイソブタン酸メチルを含む水溶液として用いた。具体的には、HR−3010が10質量%、2−ヒドロキシイソブタン酸メチルが10質量%、水が80質量%の水溶液である。表1中のHR−3010及び2−ヒドロキシイソブタン酸メチルの数値は、インク組成物に含まれる含有量(質量%)を表す。
また、樹脂は固形分の含有量(質量%)を表す。なお、下記表1中の界面活性剤は、ポリオルガノシロキサン系界面活性剤であり、Rがメチルの界面活性剤は、上記の式(III)において、Rがメチル基であり、aが6〜18の整数であり、mが0の整数であり、nが1の整数である化合物であり、Rが水素原子の界面活性剤は、上記の式(III)において、Rが水素原子であり、aが7〜11の整数であり、mが30〜50の整数であり、nが3〜5の整数である化合物である。前記界面活性剤は、グリセリンを20質量%、1,2−ヘキサンジオールを10質量%、前記界面活性剤を0.1質量%、および水を69.9質量%含む水溶液とした場合に、その水溶液の1Hzの動的表面張力が26mN/m以下であった。具体的には、バブルプレッシャー動的表面張力計BP2(KRUS社製)を用いて、1Hz(=泡1個/1秒)の動的表面張力を測定したところ、前記水溶液の1Hzの動的表面張力は、24.6mN/mであった。
Figure 2013142126
Figure 2013142126
上記表1中、下記インクセットに含まれる「Y」は、顔料としてC.I.ピグメントイエロー74を含み、「M」は、顔料としてC.I.ピグメントバイオレット19を含み、「C」は、顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を含み、そして「K」は、顔料としてC.I.ピグメントブラック7を含む。
以下で用いられている「Duty」とは、下式で算出される値である。
Duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
<評価>
耐水性および耐油性の評価
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンタ(PXG930、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填して装着した。装着順は、キャップから離れた順にYYMMCCKKとした。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンタのヘッドにインクを充填し、通常記録できることを確認した。
記録方法は、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが3ngになるようにプリンタヘッドのピエゾ素子に与える電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、ルミラーS10(100ミクロン厚)(東レ株式会社製のポリエチレンテレフタラートフィルム)に、1440×720dpiの画像を単方向で記録した。また、記録時のメディア温度は約37℃であった。
なお、記録用紙と記録ヘッドとの間の距離は1mmであった。
記録画像は、単色のDuty100%の1次色の画像であり、インク付着量は3.1mg/inchであった。
この記録画像を120℃湿度20%以下の環境に1時間放置した。
その後、20℃湿度40%の環境下に放置し、この環境下で、水または植物油を含んだベンコットンで擦った。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:擦った部分の色材が剥離しない。
B:擦った部分の色材が剥離する。
結果は上記表1に記載される通りであった。
フィルムでのインクビーディング(画質)の評価(ビーディング性)
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンタ(PXG930、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填して装着した。装着順は、キャップから離れた順にYYMMCCKKとした。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンタのヘッドにインクを充填し、通常記録できることを確認した。
記録方法は、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが3ngになるようにプリンタヘッドのピエゾ素子に与える電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、ルミラーS10(100ミクロン厚)(東レ株式会社製のポリエチレンテレフタラートフィルム)に、1440×720dpiの画像を単方向で記録した。この場合、例えば、単色のDuty100%のインク付着量は3.1mg/inchであった。また、記録時のメディア温度は約37℃であった。
なお、記録用紙と記録ヘッドとの間の距離は1mmであった。
記録画像は、同じDutyの単色同士を混合した2次色の画像である。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:各単色Duty80%の2次色Duty160%までが、ビーディングなく再現できている。
B:各単色Duty60%の2次色Duty120%までが、ビーディングなく再現できているが、各単色Duty80%の2次色Duty160%は、ビーディングして再現できていない。
C:各単色Duty60%の2次色Duty120%が、ビーディングして再現できていない。
結果は上記表1に記載される通りであった。
フィルムでのインクブリーディング(画質)の評価(ブリード性)
上記で得られたY、M、C、およびKの各インクをインクセットとして、インクジェットプリンタ(PXG930、セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填して装着した。装着順は、キャップから離れた順にYYMMCCKKとした。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンタのヘッドにインクを充填し、通常記録できることを確認した。
記録方法は、主走査(ヘッド駆動)方向に720dpiでかつ副走査(記録媒体搬送)方向に360dpiで記録できるようにした。次に、着弾時のドットサイズが3ngになるようにプリンタヘッドのピエゾ素子に与える電圧を調整し、一駆動が720×360dpiで、ルミラーS10(100ミクロン厚)(東レ株式会社製のポリエチレンテレフタラートフィルム)に、1440×720dpiの画像を単方向で記録した。この場合、例えば、単色のDuty100%のインク付着量は3.1mg/inchであった。また、記録時のメディア温度は約37℃であった。
なお、記録用紙と記録ヘッドとの間の距離は1mmであった。
記録画像は、Duty80%同士のDuty160%の2次色に、Duty80%の1次色の2〜8ピクセル罫線を接触させた画像である。
得られた画像について、下記の基準により評価を行った。
A:6/720インチの罫線がブリーディングなく、再現できているが、2/720インチの罫線がブリーディングして、再現できていない。
B:10/720インチの罫線がブリーディングなく、再現できているが、6/720インチの罫線がブリーディングして、再現できていない。
C:吐出不良により罫線が得られない。
結果は上記表1に記載される通りであった。
分散液製造時に含有される樹脂溶解剤の1,6−ヘキサンジオールを、1,2−ヘキサンジオールに変更した以外は、同様にして、それぞれ実施例および比較例のインク組成物およびインクセットを得た。また、これらを上記と同様にして耐水性および耐油性、ビーディング性、並びにブリード性について評価を実施した。1,6−ヘキサンジオールを、1,2−ヘキサンジオールに変更した場合でも、変更前と同じ評価結果であった。
分散液製造時に含有される分散樹脂のスチレンアクリル酸共重合体を、オキシエチル樹脂に変更した以外は、同様にして、それぞれ実施例および比較例のインク組成物およびインクセットを得た。また、これらを上記と同様にして耐水性および耐油性、ビーディング性、並びにブリード性について評価を実施した。スチレンアクリル酸共重合体を、オキシエチル樹脂に変更した場合でも、変更前と同じ評価結果であった。

Claims (8)

  1. 炭素数7〜10のアルカンジオールと、エチレン−ビニルアルコール共重合体とを含んでなる、インク組成物。
  2. 下記式(I)で表わされる炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルをさらに含んでなる、請求項1に記載のインク組成物:
    HO−C2x−COO−C2y+1 …(I)
    (式中、xは2または3の自然数を表し、yは1〜3の自然数を表し、かつ、x+y≦5である)。
  3. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体と、前記炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸エステルとの含有質量比が、2:1〜1:3である、請求項2に記載のインク組成物。
  4. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体と、前記炭素数7〜10のアルカンジオールとの含有質量比が、6:1〜1:8である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン共重合比率は、1〜20mol%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体が、インク組成物に対して、0.5〜3.0質量%含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 炭素数7〜10のアルカンジオールが、インク組成物に対して、0.5〜2.5質量%含まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
  8. さらに、下記式で表されるポリオルガノシロキサン界面活性を一種または二種以上含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物:
    Figure 2013142126
    (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、aは2〜13の整数を表し、mは2〜70の整数を表し、nは1〜8の整数を表す)。
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