より高いスループット・より短い遅延のために、HSPA(High Speed Packet Access:高速パケットアクセス)の進化が考慮されている。データサービス、特に短時間のHDR(High Data Rate)が要求されるウェブブラウジングなどのインターネットサービスの増加により、CELL_FACHにおけるWTRU(Wireless transmit/receive unit:無線送受信ユニット)をCELL_DCHに移行させる3GPP(the Third Generation Partnership Project:第3世代パートナーシッププロジェクト)R99(リリース99)メカニズムは、かなりのネットワークリソースを必要とし、かつ、そのサービスに遅延をかける。CELL_FACHでこのようなタイプのサービスをサポートするために、WTRUがCELL_DCHに移行せずにE−DCHを共有リソースと共に使用することが、既に提案され、「E−RACH(Enhanced random access channel:拡張ランダムアクセスチャネル)アクセス」、または「CELL_FACH状態及びアイドルモードにおけるE−DCH(Enhanced dedicated channel:拡張専用チャネル)」と呼ばれる。
E−RACHアクセスは、RACH(Random Access Channel:ランダムアクセスチャネル)プリアンブル送信フェーズとE−DCH送信フェーズとの組合せである。図1はE−RACHアクセス手順を示す。RACHプリアンブル送信フェーズは、E−RACHにおいて使われるNodeBが指定または放送したR99 RACHシグネチャのサブセットを使用する。NodeBによるプリアンブルの受信がAICH(Acquisition Indication Channel:受信確認表示チャネル)で肯定応答され、また、WTRUには共有E−DCHリソースを使用するためのインデックスが割当てられる。共有E−DCHリソースは、NodeBによって、CELL_FACHでE−RACHアクセスに使用されるように事前に指定される。全ての共有E−DCHリソースについて、パラメーターは、初期設定中にWTRUに提供され、またはNodeBによってセル内のWTRUに放送される。各E−DCHリソースはインデックスと関連し、インデックスはE−RACHアクセスに対する肯定応答の一部として発信され、または他のシグナリングメカニズムを使用する。
WTRUがインデックス値を受信すると、すべての割当てられた共有E−DCHリソースと関連する構成パラメーターが知られ、WTRUはR99と同じようにNodeBと通信する必要がない。実際には、E−RACHにおいて、通常のR99の10または20msのPRACH(Physical Random Access Channel:物理ランダムアクセスチャネル)メッセージ部分のかわりに、E−DCHがメッセージ送信に使用される。
E−RACHアクセスは、従来のCELL_FACHからCELL_DCHに移行と関連するオーバーヘッドを不要にする。データ転送が完了すると、データ共有E−DCHリソースが解放され、WTRUがCELL_FACH内のままで、他のWTRUが共有E−RACHリソースを使用できる。従って、かなりの移行遅延削減は実現され、CELL_DCHが終了する時、CELL_FACHへ再移行ならびに再初期化は不要になる。WTRUはE−RACHアクセスからCELL_DCHへ直接パーマネント移行を要求することができる。
従来のRACHアクセスは、事前に構成された初期電力レベルで、16個までのシグネチャのセットからランダムに選択された一つのPRACHシグネチャのプリアンブル送信から開始する。関連するAICHでNodeBから応答が受信できない場合、WTRUは次の利用可能なアクセススロットを選択し、電力を事前に定義された量によって増加させ、新しい利用可能なシグネチャのセットからランダムに選択されたシグネチャを送信する。プリアンブル送信の最大量を超えた場合、またはNACK(Negative Acknowledgement:否定応答)を受信した場合、WTRUはPRACHアクセス手順を終了し、これをより上位層(MAC(Medium Access Control:媒体アクセス制御))に報告する。
NodeBからACK(Positive acknowledgement:肯定受信応答)を受信した場合、WTRUは、前回送信されたRACHプリアンブルのアップリンクアクセススロットから、3または4アプリンクアクセススロット後に、RACHメッセージを送信する。図2はRACHアクセススロットとAICHアクセススロットとの間のタイミング関係を示す。RACHアクセススロットは、対応するAICHアクセススロットにτp-a先行する。例えば、WTRUがPRACHアクセススロット#2でプリアンブルを送信する場合、WTRUの能力により、WTRUは、AICHアクセススロット#2でACK応答を得て、PRACHアクセススロット#5または#6でRACHメッセージの送信を開始することができる。
図1に示されるように、NodeBによってE−DCHリソースが割当てられるとき、CELL_FACH中の3GPP R8(リリース8)E−RACHアクセスは、RACHプリアンブル送信から開始し、RACHプリアンブル送信の後に共有E−DCH送信が続く。NodeBからNACKまたは無応答の場合、WTRUは、最大数の試みを達するまで、次に使用可能なアクセススロットで再び送信することが要求される。R99と同じように、NodeBがAICHを介してRACHプリアンブルに応答する。E−DCH送信開始のタイミングは、F−DPCH(Fractional Dedicated Physical Channel:フラクショナル専用物理チャネル)フレームタイミング(通常のE−DCHと同じ)に対して固定時間オフセットとされることが、同意されている。変数τF-DPCH,pで表現されるF−DPCHタイミングオフセットは、ネットワークにより設定され、F−DPCHによって異なることがあり、ただし、P−CCPCHフレームタイミングからのオフセットは、常に256チップの倍数である。図3はダウンリンク物理チャネルの無線フレームタイミング及びアクセススロットタイミングを示す。図4はP−CCPCH(Primary Common Control Physical Channel)とAICHとF−DPCHとDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)とE−DCHとの間のダウンリンク及びアップリンクタイミング関係を示す。
CELL_FACH状態及びアイドルモードにおけるE−DCHの使用と関連する課題の一つは、F−DPCHフレームタイミングを決定することにある。従来のシステムにて、WTRUがCELL_DCHに移行するとき、F−DPCHフレームタイミングはネットワークにより明確に通知される。F−DPCHフレームはプリアンブル送信の初めを指示し、本質的にアップリンクスクランブリングコードシーケンスの開始を決定する。フレーム中にスクランブリングコードの初期化が難しいので、一般的に、WTRUは少なくとも1回フレーム境界を横断してからアプリンク送信を開始することが必要となる。
現在CELL_DCHにされるとおりに、F−DPCHフレームタイミングをP−CCPCHに固定するのは、CELL_FACHにおけるE−DCHに困難を引き起こす可能性がある。実際には、電力制御更新を1フレーム(10ms)遅延させる可能性を引き起こす。例示のため、E−DCH共有リソースのF−DPCHフレームタイミングで(固定P−CCPCHに関して)定義されるように、アップリンクE−DCHフレームの終わりに近いアクセススロットにおいて送信されるE−RACHプリアンブルが考えられる。ACKはAICHを介して送信されると仮定すれば、このACK応答がアプリンクE−DCHフレームの終わり、または次のE−DCHフレームの初めで受信され、その結果、次のE−DCHフレームの初めまでは、WTRUが、送信する機会がないことがある(スクランブリングコードを初期化する必要のため)。結果として、電力制御ループが確立できる前に長い遅延が生じ、本質的に、初回の電力制御更新は、前回のRACHプリアンブル送信からほぼ1フレーム(10ms)後になる。これで電力制御ループ安定化問題を引き起こすことがある。また、RACHメッセージ部分の送信に付加的な遅延を生じさせることもある。従って、P−CCPCHに対する所定のF−DPCHオフセットの場合、E−RACHアクセスに他のアクセススロットより有利なアクセススロットもあり、電力制御更新遅延により望ましくないアクセススロットもある。
以下で参照される場合、「WTRU(無線送受信ユニット)」という用語には、それだけには限定されないが、UE(ユーザ機器)、移動局、固定式または携帯式の加入者ユニット、ページャ、セルラー電話、PDA、コンピュータ、または無線環境で動作することができる他の任意のタイプのユーザ装置が含まれる。以下で参照される場合、「Node−B」という用語には、それだけに限定されないが、基地局、サイトコントローラ、AP(アクセスポイント)、または無線環境で動作することができる他の任意のタイプのインターフェイス装置が含まれる。
本実施形態はR8に適用でき、また、E−RACHを使用して、以前のリリースのように全面的なCELL_DCHへの切り替えを必要とせず、CELL_FACH状態またはアイドルモード中に共有E−DCHリソースへのアクセスを提供する、3GPP WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)(登録商標)規格を超えて適用できる。ここで開示される実施形態は、WCDMAまたは3GPP R8以外の任意の無線システムに拡張することができることを注意するべきである。
実施形態1によれば、E−DCH送信用の電力レベルは、R99と同様なオープンループ電力制御スキームを利用してオフセットPp-mで制御され、E−DCH送信の後に正常なRACHプリアンブル送信が続く。dB単位で測定される電力オフセットPp-mは、前回送信できたRACHプリアンブルの電力とランダムアクセスメッセージの制御部分との間のオフセットである。電力オフセットPp-mは、次のE−DCHフレーム境界までの時間に基づいて修正される。E−DCH送信スロットが前回のRACHプリアンブル送信から遠いほど、RACHプリアンブル送信中に測定される電力レベルが高く調整される。調整関数は、不確定性を表す線形、放物線、またはdBインクリメントでよい。
実施形態2によれば、PRACHアクセススロットが限定され、選択されるE−RACHプリアンブルスロットはE−DCH送信がアップリンクフレーム境界に近いことを確保する。E−RACHプリアンブル送信は、E−DCHフレーム中心に制限されてもよい。例えば、ゼロF−DPCHオフセットの特定の場合、PRACHアクセススロットは、E−RACHプリアンブル送信用の許容スロットとして、アクセススロット4、5、6、11、12、13及び14に限定されてもよい。
3GPP TS 25.214 v7.5.0に規定されるように、E−RACHプリアンブル送信をRACHサブチャネル毎に割当てることができ、ここで表1に提供される。RACHサブチャネルは、全体集合のRACHアクセススロットのサブセットを定義する。表1に示されるように、全部で12RACHサブチャネルがある。アップリンク及びダウンリンクタイミング関係、ならびにE−DCHフレーム境界に基づいて、表1でRACHプリアンブル送信に適切な行を選択できる。τF-DPCH,pはE−DCHフレーム境界の算出に使用できるので、τF-DPCH,pの値に基づいてアクセススロットを限定することができる。
実施形態3によれば、一部のアクセススロットがR8 E−RACHに有利なので、F−DPCH時間オフセット(τF-DPCH,p)の場合、アクセススロットのサブセットがR8 WTRUに割当てられ、他のスロットがR99 WTRUに割当てられる。例えば、R8 E−RACHアクセスに有利な半分のアクセススロットがR8 WTRUに割当てられ、他のアクセススロットがR99 WTRUに割当てられる。
アクセススロットの割当はダイナミックでもよい。R99及びR8 E−RACH向けのアクセススロットがネットワークによって構成され、R99 WTRUが顕著になるときに、さらにアクセススロットがR99 RACHに割当てられ、E−RACHアクセス能力を持つR8 WTRUが顕著になるときに、さらにアクセススロットがR8 E−RACHアクセスに割当てられる。的確なアクセススロットの分割は、NodeBまたはRNC(Radio Network Controller:無線ネットワークコントローラ)によって決定される。図5は、アクセススロットは、60%がR99 RACHアクセスに割当てられ、40%がR8 E−RACHアクセスに割当てられる例示的な実例を示す。
実施形態4によれば、前回のRACHプリアンブル送信から経った時間が長すぎる場合、共有E−DCH送信に適当な電力レベルを再調整するために、二度目のプリアンブルを送信することができる。この場合、不利なRACHアクセススロットにおけるそれらのWTRUは、共有E−DCH送信の電力レベルを再調整するために、二度目のプリアンブル送信を要求するので、より多くのRACHプリアンブル送信が起こる可能性がある。
実施形態5によれば、RACHプリアンブル及び/または共有E−DCH送信時に、CPICH測定または他のレファレンスチャネル測定に基づいて、共有E−DCH送信電力レベルを推定することができる。
実施形態6によれば、F−DPCHフレームのタイミングは、前回のRACHアクセススロットでのRACHプリアンブル送信とその初期E−DCH送信との間に短い遅延を生じさせるように、設定される。この遅延は、前回のRACHプリアンブル用の送信電力レベルがE−DCH送信によい開始点であることを確保できるくらい十分に短かくすべきであり、これより、ポテンシャル電力同期化問題及び過度のアップリンク干渉を最小化する。
従来、F−DPCHタイミングオフセット(τF-DPCH,p)は、P−CCPCHフレーム境界に対して、定義される。実施形態6によれば、WTRUに割当てられるF−DPCHタイミングオフセットは、前回のRACHプリアンブル送信若しくは受信の開始若しくは終了、加えてオプションとして付加的なオフセット、または前回のAICHプリアンブル送信若しくは受信の開始若しくは終了、加えてオプションとして付加的なオフセットに対して、定義される。F−DPCHタイミングオフセットは、事前に定義されてもよい、またはより上位層シグナリング(例えば、SIB(System Information Block:システム情報ブロック))を介して通知されてもよい。F−DPCHタイミングオフセットが前回のRACHプリアンブル送信若しくは受信、またはAICH送信若しくは受信のタイミングに対するので、この前回RACHプリアンブル送信とE−DCH送信との間に大きい遅延ができる可能性があるという問題はなくなる。
複数のWTRUは同じF−DPCHチャネライゼーションコードを共有することが許可されると、異なるF−DPCHタイミングオフセットで定義されるリソースを有することが好ましい。あるいは、リソースをF−DPCHタイミングオフセットに関して定義するかわりに、全てのリソースについて、PRACHアクセススロット送信に対するF−DPCHタイミングオフセットを、事前に定義された値に固定してもよい、ただし、WTRU用のリソースを異なるF−DPCHスロットフォーマットに関して定義してもよい。異なるリソースに異なるF−DPCHスロットフォーマットを使用するのは、F−DPCHタイミングオフセットが事前に決定された場合でも、NodeBが十分で柔軟に同じF−FPCHチャネライゼーションコードを複数のWTRUに割当てることを可能にさせる。
あるいは、ネットワークはF−DPCH「相対」(RACH送信若しくは受信、またはAICH送信若しくは受信に対する)タイミングオフセットを放送することができる。これは複数のWTRUが同時に同じF−DPCHチャネライゼーションコードを共有することを可能にさせながら、同時に、前回のRACHプリアンブル送信とE−DCH送信の開始との間に、遅延を最小化するP−CCPCHに関するF−DPCH「絶対」タイミングオフセットを選択するのには、柔軟性を提供する。ネットワークはSIBを介して各E−DCHリソースと関連するF−DPCH「相対」タイミングオフセットを放送することができる。フレーム毎にN無線スロットを有するシステムと同じF−DPCHを共有するK個のWTRUとについて、各リソースに一意のF−DPCH「相対」タイミングオフセットR_off=0…K−1を割当てることができる。そして、WTRUとネットワークは遅延を最小化できるスロット番号(S_num=1..N)を選択する柔軟性を持つ。WTRUとネットワークとの間に一致を確保するために、スロット番号の選択にルールが規定される(例えば、規格において、スロット番号S_numが固定されてもよい)。リソースと関連するF−DPCH相対タイミングオフセットと、事前に構成された、またはWTRU及びNodeBによって選択されたスロット番号とから、F−DPCH“絶対”タイミングオフセットを(S_num−1)×K+R_offにより算出することができる。
図6は、N=15かつK=10となる実例における相対及び絶対タイミングオフセットを示す。図7は例示的なE−DCH送信のシナリオを示す。図7において、PRACHアクセススロット5においてRACHプリアンブルがすでに正常に送信され、AICHアクセススロット5においてネットワークがACKで応答する。E−DCHリソースは使用可能であれば、それらをWTRUに割当てることができる。このリソース割当は、F−DPCH「相対」タイミングオフセットと関連する。WTRU及びネットワークは、事前に構成されたルールに基づいて、スロット14でE−DCH送信開始を決定する。スロット14の選択は、構成されたτp―mまたは、他の規格化された若しくはネットワーク構成された遅延Tに基づいてもよい、τp―mまたはTは、例えばSIBを介して放送される。
複数のDPCCHスロットを含むDPCCH電力制御プリアンブル(即ち、E−DCH送信なしに、DPCCHのみの送信)を、最初のE−DCH送信前の複数の無線スロットの間に送信することができ、電力制御ループのアップリンク同期化及び安定化することができる。図8は、E−DCH送信前の4無線スロットのDPCCHプリアンブル送信を示す。以前の3GPP規格のリリースには、同期化手順Aと関連するDPCCHプリアンブルの持続期間が無線フレームの数に関して定義される。本実施形態によれば、DPCCHプリアンブル持続期間、開始及び停止時間は、無線スロットに関して定義されてもよい。DPCCHプリアンブル持続期間は、前回のアップリンクRACHプリアンブル送信とDPCCHプリアンブルの開始との間の時間差によって決めることができる。このように、時間差が大きくなるのに伴い、電力制御ループを安定化するために、プリアンブル送信が長くなる。プリアンブル持続期間及びプリアンブル開始時間の選択用のパラメーターは、より上位層によって通知されてもよい、または事前に構成されても、及び/または暗黙でもよい。
オプションとして、初期DPCCHプリアンブル電力レベルを実施形態1によるE−DCH電力送信電力オフセットのように、調整することができる。初期DPCCHプリアンブル電力レベルは、前回のRACHプリアンブル送信とアップリンク送信開始(DPCCHまたはE−DCH送信)の時点との間の時間差に基づいて調整することができる。これは、初期送信失敗を引き起こす可能性があるチャネルにおける時間変動の防止を可能にさせる。電力オフセットの量を選択するパラメーターは、より上位層によって通知されてもよい、または事前に構成されても、及び/または暗黙でもよい。
DPCCHのみのプリアンブルの送信は、アップリンクスクランブリングコードの開始と関連する困難を引き起こす可能性がある。アップリンクスクランブリングコードは、1無線フレームの期間(10ms)を持つ疑似ランダムシーケンスである。アップリンクスクランブリングの開始は、E−DCH無線フレームの初めと同期化される。従って、アップリンク無線フレームを開始する前にWTRUがDPCCHプリアンブルの送信を開始する場合、WTRU及びNodeBはどこからスクランブリングシーケンスを開始するかを知る必要があり、これはスクランブリングシーケンス生成自体が原因で、困難なタスクとなる。
この問題を解決するため、DPCCHプリアンブルの持続期間に、また、2msのTTI(Transimission Time Interval:送信時間間隔)を持つE−DCHの場合、最初の数E−DCH TTIの間にも、共通アップリンクスクランブリングコードが一時的に使用されてもよい。この共通アップリンクスクランブリングは、事前に構成されても、またはより上位層によって通知されても、または暗黙でもよい。例えば、共通アップリンクスクランブリングコードは、WTRUによってRACHで前回のアクセスプリアンブルに使用されたスクランブリングコードと、同じでもよい。WTRUは、予めに共通アップリンクスクランブリングコードを知るので、WTRUは、無線フレームの何処からでもアップリンク送信を開始することができ、本質的に、DPCCHの早い送信を可能にさせる。また、DPCCHプリアンブルに共通スクランブリングコードを使用するのは、DPCCHプリアンブル送信の迅速な検出及び同期化を可能にさせる。このような場合、DPCCHプリアンブル持続期間は、本質的に前回のRACHプリアンブル送信とE−DCH送信の開始との間の時間差により決まる。オプションとして、付加的なDPCCHプリアンブル期間がF―DPCHフレームの開始の後に定義され、NodeBが新しいスクランブリングコードと同期化できるくらい十分な時間があるようにしてもよい。この期間は、事前に定義されても、またはネットワークによって通知されてもよい。
あるいは、CELL_FACHでE−DCH送信のためにF−DPCHフレームを調整して、DPCCHプリアンブル(割当てられたアップリンクスクランブリングコードを使用)が常に、WTRUがAICH・E−AICHでそのE−DCHリソース割当を得てから少なくとも一つのF−DPCHフレーム境界横断後に、開始するようにしてもよい。これは、例えばRACHアクセススロットまたはAICHアクセススロットに基づいてF−DPCH時間オフセットを選択することより、実現することができる。図9は、F−DPCHフレーム境界横断後にDPCCHのみの送信が行われる送信を示す。図9において、最初のN TTIの間、E−DCH送信がオフで、DPCCHのみの送信が行われる。
従来のP−CCPCHフレームタイミングからのF−DPCHフレームオフセットτF-DPCH,pは、256チップの倍数である。τF-DPCH,pは、整数個の無線スロット(P−CCPCHフレームの初めから2560チップの倍数)と無線スロットフラクショナルオフセットとの和として、表すことができる。
τF-DPCH,p=L×2560+k’×256 (1)
ここで、L=0,1,…,14、かつ、k’=0,1,…,9となる。無線スロットフラクショナルオフセットは、同じF−DPCHチャネライゼーションコードを複数のWTRU(同じF−DPCHスロットフォーマットと仮定)に使用することを許可する。
AICHまたはE−AICHでE−DCHリソース割当の直後にF−DPCHフレーム境界が届くように、ネットワークは、所定のF−DPCHチャネライゼーションコードに対して、無線スロットのうちにTPC(Transmit Power Control:送信電力制御)コマンドがいつ送信されるかを決定するタイミングオフセットの部分のみを、または同等に無線スロットフラクショナルオフセット(固定のF−DPCHスロットフォーマットと仮定)を、または同等に無線スロットフラクショナルオフセットとF−DPCHスロットフォーマットとの組合せをE−DCH共有リソースの一部とし、放送することができる。この情報は、式(1)におけるk’で表現することができる。整数個の無線スロットに関して表される(例えば、式(1)におけるLで表される)タイミングオフセットの部分は、WTRUにより送信される前回のRACHプリアンブルに対して定義されるオフセットL’を(または、RACHとAICHとの間に固定のタイミング関係があるので、同等にAICHの送信に対して定義されるオフセットを)含む。このオフセットL’は、規格で事前に構成されても、またはより上位層によって(例えば、SIBの一部として)通知されてもよい。これは、アップリンク送信の開始にできるだけ近いF−DPCHフレームオフセットを定義するのを可能にさせ、一方、全てのDPCHチャネライゼーションコード割当の柔軟性をNodeBに任せる。そして、結果としてP−CCPCHに対する絶対F−DPCHフレームオフセット(L)は、(1)前回送信されたRACHアクセススロット(またはAICHアクセススロット)のタイミングによって決定されたP−CCPCHフレームからのオフセット(即ち、RACHプリアンブルの送信またはAICHの受信前のP−CCPCHからのRACHまたはAICHアクセススロットの数)と、(2)その前回のRACHプリアンブル(または受信されたAICH)に対するオフセット(L’)と、(3)通知された無線スロット内のオフセット(k’)(256チップの倍数で)との和として、現すことができる。F−DPCHフレームオフセットが常に正数で、最も近いP−CCPCHフレームに対することに注意されたい。従って、必要の場合、打ち切りを適用することができる。
各共通E−DCHリソースに対して、P−CCPCHに関する絶対タイミングオフセットのかわりに、無線スロット内の相対タイミングオフセットを放送する利点は、後者が前者よりずっと少ない情報を必要とすることである。実際には、無線スロット毎に10オフセットの一つを通知するのは4ビットを必要とするが、150オフセットの一つ(スロット毎に10オフセット、無線フレーム毎に15スロット)を通知するのは8ビットを必要とする。この情報がSIBで各共通E−DCHリソースに放送されることを考えれば、これはかなりの利点をあらわせる。
図10は例示的なWTRU1000のブロック図である。WTRU1000は送受信ユニット1002、制御ユニット1004、及び測定ユニット1006を含む。送受信ユニット1002は、ランダムに選択されるRACHアクセススロットでRACHプリアンブルを送信し、AICHを介してRACHプリアンブルに応答するACKまたはNACK表示を受信し、E−DCHを介してE−RACHメッセージを送信するように、構成される。コントローラ1004は、上述された実施形態1乃至7による無線リンク同期化及び電力制御用の制御機能を実行するように構成され、上記制御機能は、肯定応答されたRACHプリアンブルの送信から次のE−DCHフレーム境界までの時間に基づいて、肯定応答されたRACHプリアンブルの送信電力とE−RACHメッセージの制御部分の送信電力との間に電力オフセットを調整することと、E−DCH送信がアップリンクフレーム境界に近いことを確保するように、RACHアクセススロットを選択することと、肯定応答されたRACHプリアンブル送信から経つ時間が事前に決定された閾値を超える場合、E−RACHメッセージに送信電力を決定するために、もう一つのRACHプリアンブルの送信を開始することと、CPICH測定に基づいて、E−RACHメッセージ送信に送信電力を決定することと、肯定応答されたRACHプリアンブル送信およびRACHプリアンブルに応答するAICH受信のうちの一つに関して、F−DPCHタイミングオフセットを決定することと、DPCCH電力制御プリアンブルの送信を制御することとを含む。測定ユニット906は、CPICH測定などの測定を実行するように構成される。
(実施形態)
1.CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける無線リンク同期化及び電力制御のための方法。
2.ランダムに選択されるRACHアクセススロットにおいてRACHプリアンブルを送信するステップを含む実施形態1に記載の方法。
3.RACHプリアンブルを肯定応答する受信確認表示及びE−DCHリソースのインデックスを受信するステップを含む実施形態2に記載の方法。
4.相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーター及び受信確認表示を含むAICHアクセススロットのタイミングに基づいて、DPCCH送信開始時間とF−DPCH受信開始時間を決定するステップであって、前記DPCCH送信開始時間と前記F−DPCH受信開始時間は事前に決定されたオフセットによってオフセットされるステップを含む実施形態3に記載の方法。
5.F−DPCH受信開始時間によってF−DPCHを受信するステップを含む実施形態4に記載の方法。
6.DPCCH送信開始時間によってDPCCH電力制御プリアンブルを送信するステップを含む実施形態4〜5のいずれかに記載の方法。
7.E−DCHを介してE−RACHメッセージを送信するステップを含む実施形態4〜6のいずれかに記載の方法。
8.WTRUは、RACHプリアンブルを送信する前に相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターを得る実施形態4〜7のいずれかに記載の方法。
9.DPCCH電力制御プリアンブルの持続期間、開始及び停止時間は、無線スロットに関して定義される実施形態6〜8のいずれかに記載の方法。
10.F−DPCH受信開始時間は、256チップで乗算した相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターを事前に決定されたチップ数に加算して最初のオフセットを算出して、前記最初のオフセットを受信確認表示を搬送するAICHアクセススロットの初めに加算することにより算出され、DPCCH送信開始時間は、事前に決定されたオフセットをF−DPCH受信開始時間に加算することにより算出される実施形態4〜9のいずれかに記載の方法。
11.DPCCH送信開始時間は、256チップで乗算した相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターを事前に決定されたチップ数に加算して最初のオフセットを算出して、前記最初のオフセットを受信確認表示を搬送するAICHアクセススロットの初めに加算することにより算出され、F−DPCH受信開始時間は、事前に決定されたオフセットをDPCCH送信開始時間から差し引くことにより算出される実施形態4〜10のいずれかに記載の方法。
12.相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターは、各E−DCHリソースと関連する実施形態4〜11のいずれかに記載の方法。
13.相対F−DPCHタイミングオフセットは、SIBを介して受信される実施形態4〜12のいずれかに記載の方法。
14.DPCCH電力制御プリアンブルは、E−DCHリソースが割当てられてから少なくとも一つのF−DPCHフレーム境界横断後に開始する実施形態4〜13のいずれかに記載の方法。
15.F−DPCHタイミングオフセットは、固定であり、異なるF−DPCHスロットフォーマットは、F−DPCHに同じチャネライゼーションコードが割当てられたWTRUに割当てられる実施形態4〜14のいずれかに記載の方法。
16.E−DCHフレームの開始は、肯定応答されたRACHプリアンブル送信とE−RACHメッセージ送信との間に遅延を最小化するように選択される特定のスロット番号で発生する実施形態4〜15のいずれかに記載の方法。
17.スロット番号は、AICHで受信された受信確認表示から、事前に定義されたオフセットに基づいて選択される実施形態16に記載の方法。
18.CELL_FACH状態及びアイドルモードにおける無線リンク同期化及び電力制御のためのWTRU。
19.ランダムに選択されるRACHアクセススロットにおいてRACHプリアンブルを送信し、RACHプリアンブルを肯定応答する受信確認表示及びE−DCHリソースのインデックスを受信し、F−DPCHを受信し、DPCCH電力制御プリアンブルを送信し、E−DCHを介してE−RACHメッセージを送信するように構成される送受信ユニットを含む実施形態18に記載のWTRU。
20.相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーター及び受信確認表示を含むAICHアクセススロットのタイミングに基づいて、DPCCH送信開始時間とF−DPCH受信開始時間を決定し、前記DPCCH送信開始時間と前記F−DPCH受信開始時間は事前に決定されたオフセットによってオフセットされることにより、DPCCH電力制御プリアンブルの送信及びF−DPCHの受信を制御するように構成されるコントローラを含む実施形態19に記載のWTRU。
21.コントローラは、RACHプリアンブルを送信する前に相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターを受信する実施形態20に記載のWTRU。
22.DPCCH電力制御プリアンブルの持続期間、開始及び停止時間は、無線スロットに関して定義される実施形態20〜21のいずれに記載のWTRU。
23.256チップで乗算した相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターを事前に決定されたチップ数に加算して最初のオフセットを算出して、前記最初のオフセットを受信確認表示を搬送するAICHアクセススロットの初めに加算することにより、F−DPCH受信開始時間を算出し、事前に決定されたオフセットをF−DPCH受信開始時間に加算することにより、DPCCH送信開始時間を算出するように構成されるコントローラを含む実施形態20〜22のいずれかに記載のWTRU。
24.256チップで乗算した相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターを事前に決定されたチップ数に加算して最初のオフセットを算出して、前記最初のオフセットを受信確認表示を搬送するAICHアクセススロットの初めに加算することにより、DPCCH送信開始時間を算出し、事前に決定されたオフセットをDPCCH送信開始時間から差し引くことにより、F−DPCH受信開始時間を算出するように構成されるコントローラを含む実施形態20〜23のいずれかに記載のWTRU。
25.相対F−DPCHタイミングオフセットパラメーターは、各E−DCHリソースと関連する実施形態20〜24のいずれかに記載のWTRU。
26.相対F−DPCHタイミングオフセットは、SIBを介して受信される実施形態20〜25のいずれかに記載のWTRU。
27.DPCCH電力制御プリアンブルは、E−DCHリソースが割当てられてから少なくとも一つのF−DPCHフレーム境界横断後に開始する実施形態20〜26のいずれかに記載のWTRU。
28.F−DPCHタイミングオフセットは、固定であり、異なるF−DPCHスロットフォーマットは、F−DPCHに同じチャネライゼーションコードが割当てられたWTRUに割当てられる実施形態20〜27のいずれかに記載のWTRU。
29.E−DCHフレームの開始は、肯定応答されたRACHプリアンブル送信とE−RACHメッセージ送信との間に遅延を最小化するように選択される特定のスロット番号で発生する実施形態20〜28のいずれかに記載のWTRU。
30.スロット番号は、AICHで受信された受信確認表示から、事前に定義されたオフセットに基づいて選択される実施形態29に記載のWTRU。
特徴および構成要素が特定の組合せで説明されたが、各特徴または構成要素は、他の特徴および構成要素を伴わずに単独で使用することができ、または他の特徴および構成要素を伴うもしくは伴わない様々な組合せで使用することができる。本明細書で提供された方法またはフローチャートは、汎用コンピュータまたはプロセッサによって実行される、コンピュータ読取り可能記憶媒体に含まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアで実施することができる。コンピュータ読取り可能記憶媒体の例は、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよび着脱可能ディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD−ROMディスクおよびDVD(デジタル多用途ディスク)などの光媒体を含む。
適切なプロセッサは、例を挙げれば、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)回路、他の任意のタイプのIC(集積回路)、ならびに/または状態機械を含む。
ソフトウェアと連携するプロセッサは、無線送受信ユニット(WTRU)、ユーザ機器(UE)、端末、基地局、無線ネットワークコントローラ(RNC)、または任意のホストコンピュータにおいて使用される無線周波数トランシーバを実施するために使用することができる。WTRUは、カメラ、ビデオカメラモジュール、ビデオフォン、スピーカフォン、バイブレーションデバイス、スピーカ、マイクロフォン、テレビトランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、キーボード、Bluetooth(登録商標)モジュール、FM(周波数変調)ラジオユニット、LCD(液晶表示)ディスプレイユニット、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレイユニット、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤモジュール、インターネットブラウザ、および/または任意の無線LANもしくはUWB(超広帯域)モジュールなど、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施されるモジュールと併せて使用することができる。