JP2013138667A - 腎機能改善用組成物 - Google Patents

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Masayuki Shibata
雅之 柴田
Yusuke Shishido
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Abstract

【課題】本発明は、風味が改善された、腎機能改善用組成物を課題とする。
【解決手段】乾物あたりの蛋白質及び炭水化物の総含量が80重量%以上であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して10重量%未満、植物ステロールとしてのカンペステロールおよびスチグマステロールの和が脂質100gに対して200mg以上である減脂大豆蛋白素材を含有する、腎機能改善用組成物は、風味が良好でかつ、腎機能改善効果を有するものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、腎機能改善用組成物に関する。
大豆を原料とする、腎症患者用大豆たん白素材については、特許文献1に記載がある。
国際公開2009/110504号パンフレット
本発明は、風味が改善された、腎機能改善用組成物を課題とする。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を行った。
引用文献1には「非7S・11S−酸沈殿性大豆蛋白」に強い尿中アルブミン低下作用がある」との記載がある。しかし当該「非7S・11S−酸沈殿性大豆蛋白」は脱脂大豆を出発原料として調製されているため、脱脂大豆に由来する風味が含まれる場合がある。
上記のような状況に鑑み、本発明者はさらに研究を重ねた結果、脱脂大豆を出発原料とすることなく、特定の方法で調製した減脂大豆蛋白素材は、風味も極めて良好で、かつ、腎機能改善作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は
(1)乾物あたりの蛋白質及び炭水化物の総含量が80重量%以上であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して10重量%未満、植物ステロールとしてのカンペステロールおよびスチグマステロールの和が脂質100gに対して200mg以上である減脂大豆蛋白素材を含有する、腎機能改善用組成物、
(2)(1)に記載の腎機能改善用組成物を用いた食品、
(3)(2)記載の、腎機能改善用組成物を用いた食品の製造法、
に関するものである。
本発明による腎機能改善用組成物は、良好な風味と腎機能改善作用を有するものであり、これを用いることで、腎機能改善効果を示す、風味の優れた各種食品を容易に得ることができる。
ラットの2週間摂食時の尿中NAG活性を示す図である。
本発明の腎機能改善用組成物は、下記に説明する「減脂大豆蛋白素材」を含有することが特徴である。詳しくは、日本国出願(特願2011−108598号)の明細書に開示されるものであるが、以下、該減脂大豆蛋白素材について説明する。
<減脂大豆蛋白素材>
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、大豆を由来とし、グリシニン及びβ−コングリシニンを主体とする蛋白質を主な構成成分とし、豆乳の場合は糖質、灰分などの水溶性成分も比較的多く含まれる一方で、食物繊維質は除去され、脂質は中性脂質と極性脂質が共に低減され、リポキシゲナーゼ蛋白質等のLPの含量も少ないものである。
すなわち、乾物あたりの蛋白質及び炭水化物の総含量が80重量%以上であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して10重量%未満、植物ステロールとしてのカンペステロールおよびスチグマステロールの和が脂質100gに対して200mg以上、であることを特徴とするものである。
大豆蛋白素材の種類としては具体的には豆乳が挙げられるが、豆乳以外の大豆蛋白素材としては、該豆乳を原料としてさらに蛋白質の純度を高めた大豆蛋白素材が挙げられ、典型的には豆乳から糖質、灰分等の水溶性成分を除去して蛋白質の純度を高めた分離大豆蛋白や、前記豆乳あるいは分離大豆蛋白の蛋白質をさらに分画してグリシニンあるいはβ−コングリシニンの純度を高めた分画大豆蛋白が挙げられる。これらの分離大豆蛋白や分画大豆蛋白の製造は公知の方法で製造することが可能である。
(炭水化物)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は糖質及び蛋白質が乾物の大部分を占める主成分であり、炭水化物(乾物から脂質、蛋白質及び灰分を除いたもの)の含量は、蛋白質との総含量で表すと乾物あたり80重量%以上、好ましくは85重量%以上である。乾物の残成分は灰分と微量の脂質からほぼ構成され、灰分は乾物当たり通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下である。食物繊維は炭水化物に含まれるものの、本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は食物繊維質が除去されているので、乾物当たり3重量%以下、好ましくは2重量%以下の微量である。
(蛋白質)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材の蛋白質含量は乾物あたりで30〜99重量%の範囲となりうる。大豆蛋白素材が豆乳の場合、通常は下限が乾物あたり45重量%以上、あるいは50重量%以上、あるいは55重量%以上であり、上限が70重量%以下、あるいは65重量%以下でありうる。蛋白質の分画や他の成分の添加など、加工方法によっては30重量%以上45重量%未満の範囲にもなりうる。また大豆蛋白素材が豆乳をさらに精製して蛋白質純度を高めた分離大豆蛋白の場合は、下限が70重量%超、あるいは80重量%以上であり、上限は99重量%以下、あるいは95重量%以下でありうる。
○蛋白質含量の分析
本発明における蛋白質含量はケルダール法により窒素量として測定し、該窒素量に6.25の窒素換算係数を乗じて求めるものとする。
○蛋白質の各成分の組成分析
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材の蛋白質の各成分組成はSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分析することができる。
界面活性剤であるSDSと還元剤であるメルカプトエタノールの作用によって蛋白質分子間の疎水性相互作用、水素結合、分子間のジスルフィド結合が切断され、マイナスに帯電した蛋白質分子は固有の分子量に従った電気泳動距離を示ことにより、蛋白質に特徴的な泳動パターンを呈する。電気泳動後に色素であるクマシーブリリアントブルー(CBB)にてSDSゲルを染色した後に、デンシトメーターを用い、全蛋白質のバンドの濃さに対する各種蛋白質分子に相当するバンドの濃さが占める割合を算出する方法により求めることができる。
(リポキシゲナーゼ蛋白質)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、一般に水溶性で抽出されやすいリポキシゲナーゼ蛋白質が極めて少ないことも大きな特徴であり、減脂大豆蛋白素材中の全蛋白質あたり1%以下であり、好ましくは0.5%以下である。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではリポキシゲナーゼ蛋白質は可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明ではリポキシゲナーゼ蛋白質が原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。
減脂大豆蛋白素材の蛋白質中におけるリポキシゲナーゼ蛋白質の割合が極めて少ないことによって、脂質の含有量を極めて低レベルに保つ豆乳を得ることがきるという利点がある。
リポキシゲナーゼ蛋白質の場合は通常L-1、L-2、L-3の3種類が存在し、上記の電気泳動法により、リポキシゲナーゼ蛋白質に相当するこれらのバンドの濃さから含量を算出できる。
(脂質親和性蛋白質:LP)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、蛋白質の種類の中では脂質親和性蛋白質(Lipophilic Proteins)が一般の大豆素材よりも含量が少ないことが特徴である。脂質親和性蛋白質は、大豆の主要な酸沈殿性大豆蛋白質の内、グリシニン(7Sグロブリン)とβ−コングリシニン(11Sグロブリン)以外のマイナーな酸沈殿性大豆蛋白質群をいい、レシチンや糖脂質などの極性脂質を多く随伴するものである。以下、単に「LP」と略記することがある。
LPは雑多な蛋白質が混在したものであるが故、各々の蛋白質を全て特定し、LPの含量を厳密に測定することは困難であるが、下記LCI(Lipophilic Proteins Content Index)値を求めることにより推定することができる。
これによれば、減脂大豆蛋白素材中の蛋白質のLCI値は通常40%以下、より好ましくは38%以下、さらに好ましくは36%以下である。
通常の未変性(NSI 90以上)の大豆を原料とした場合ではLPは可溶性の状態で存在するため、水抽出すると水溶性画分側へ抽出される。一方、本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材の場合、LPが原料大豆中において加熱処理によって失活され不溶化しているため、不溶性画分側に残る。
減脂大豆蛋白素材の蛋白質中におけるLPの割合が低いことによって脂質の含有量を極めて低レベルに保つ豆乳を得ることがきるという利点がある。
〔LP含量の推定・LCI値の測定方法〕
(a) 各蛋白質中の主要な蛋白質として、7Sはαサブユニット及びα'サブユニット(α+α')、11Sは酸性サブユニット(AS)、LPは34kDa蛋白質及びリポキシゲナーゼ蛋白質(P34+Lx)を選択し、SDS−PAGEにより選択された各蛋白質の染色比率を求める。電気泳動は表1の条件で行うことが出来る。
(b) X(%)=(P34+Lx)/{(P34+Lx)+(α+α’)+AS}×100(%)を求める。
(c) 低変性脱脂大豆から調製された分離大豆蛋白のLP含量を加熱殺菌前に上記方法1,2の分画法により測定すると凡そ38%となることから、X=38(%)となるよう(P34+Lx)に補正係数k*=6を掛ける。
(d) すなわち、以下の式によりLP推定含量(Lipophilic Proteins Content Index、以下「LCI」と略する。)を算出する。
(表1)

(脂質)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、原料である大豆粉の脂質含量/蛋白質含量の比よりも低い値しか脂質が含まれず、中性脂質と共に極性脂質の含量も低いことが特徴である。これに対し、一般の減脂豆乳は大豆をヘキサンで脱脂した脱脂大豆を水抽出して得られるが、その減脂豆乳は極性脂質が除去されておらずなお多く含まれる。
そのため、本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材中の脂質含量は、クロロホルム:メタノールが2:1(体積比)の混合溶媒を用い、常圧沸点において30分間抽出された抽出物量を総脂質量として、脂質含量を算出した値とする。溶媒抽出装置としてはFOSS社製の「ソックステック」を用いることができる。なお上記の測定法は「クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法」と称するものとする。
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、脂質含量が蛋白質含量に対して10重量%未満、好ましくは9重量%未満、より好ましくは8重量%未満、さらに好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは4重量%以下であり、3重量%以下とすることも可能である。すなわち蛋白質よりも中性脂質と極性脂質を含めた総脂質が極めて少ないことが1つの重要な特徴である。通常の有機溶剤を用いて脱脂された脱脂大豆から抽出した脱脂豆乳も中性脂質は殆ど含まれないが、極性脂質が一部抽出されるため、蛋白質に対する脂質含量はおよそ5〜6重量%である。すなわち本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は通常の有機溶剤を使用している脱脂豆乳と同等以上に脂質、特に極性脂質が低減されたものである。
さらにまた乾物あたりでの脂質含量も5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下である。
(植物ステロール)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、植物ステロールの脂質に対する含量が通常の脱脂豆乳よりも格段に高いことが特徴である。
植物ステロールは大豆種子中に0.3重量%程度含まれ、主にシトステロール、カンペステロール、スチグマステロール等が含まれる。これら大豆に含まれる植物ステロールは極性が低いため、一般的にヘキサンなどの有機溶媒で大豆油を抽出をする場合には大豆油側に大部分移行してしまい、大豆油が精製される過程で除去される。そのため脱脂大豆には植物ステロールは非常に微量である。
一方、本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材においては、中性脂質と極性脂質が共に含量が低いにもかかわらず、脂質と親和性が高く水に不溶の植物ステロールであるカンペステロールとスチグマステロールが特に多く残存することを見出した。このように減脂大豆蛋白素材中の脂質に対する植物ステロールの含量を上げることは別途に添加する方法以外では極めて難しく、本発明では脂質を殆ど含むことなく植物ステロールを多く含有する大豆蛋白素材を提供できる利点を有する。
これらカンペステロール及びスチグマステロールの含有量の和は、ヘキサン等の有機溶媒で脱脂された脱脂大豆を原料に調製された減脂大豆蛋白素材では、脂質100g当たり40〜50mg程度であるのに対し、本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材では脂質100g当たりで少なくとも200mg以上という高含量であり、好ましくは230mg以上、より好ましくは400mg以上、さらに好ましくは450mg以上、さらに好ましくは500mg以上も含まれる。
これら植物ステロールの含有量は、有機溶媒で抽出後、クロマトグラフィーにより、標準品とのピーク面積の比率で求めるような、一般的な方法により求めることができる。
例えば財団法人日本食品分析センターのステロール定量法(第11014761号−別添分析法フローチャート参照)に準じて分析することができる。具体的には試料1.2gを採取し、1mol/Lの水酸化カリウムのエタノール溶液50mlに分散し、ケン化を行い、水150mlとジエチルエーテル100mlを加え、エーテル層に不ケン化物を抽出し、さらにジエチルエーテルを50mlを2回加えて抽出する。抽出された不ケン化物のジエチルエーテル層を水洗し、脱水ろ過し、溶媒を揮発除去する。その後、カラムクロマトグラフィー(シリカカートリッジカラム)にて抽出物をジエチルエーテル:ヘキサン(8:92)溶液10mlで洗浄し、ジエチルエーテル:ヘキサン(20:80)溶液25mlにて溶出させる。その液に内部標準として5α―コレスタン0.5mgを加え、溶媒を揮発除去する。この試料にヘキサン5mlを加え、ガスクロマトグラフ法(水素炎イオン検出器)によって目的の植物ステロールを検出する。ガスクロマトグラフ法の条件は、以下の通りで行うことができる。
<ガスクロマトグラフ操作条件>
機 種 :GC-2010[株式会社島津製作所]
検出器 :FID
カラム :DB-1[J&W SCIENTIFIC] φ0.25mm×15m、膜厚0.25μm
温 度 :試料注入口290℃、検出器290℃
カラム240℃→3℃/min昇温→280℃
試料導入系:スプリット(スプリット比 1:30)
ガス流量 :ヘリウム(キャリアーガス)2.3ml/min
ヘリウム(メイクアップガス)30ml/min
ガス圧力 :水素40ml/min、空気400ml/min
(イソフラボン類)
本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材は、イソフラボン類の含量が比較的高いことも特徴である。具体的には乾物あたりの含量が0.10重量%以上であるのが好ましい。なお、イソフラボン類の含量は、「大豆イソフラボン食品 品質規格基準(公示 No.50、見直し改訂版)」(財団法人日本健康・栄養食品協会、2009年3月6日発行)に記載される分析法に従い定量することができる。本発明においてはイソフラボン類の含量は配糖体としての当量を表す。
(乾物含量)
本発明に用いられるの減脂大豆蛋白素材が減脂豆乳で、性状が液体の場合、乾物(dry matter)は通常3〜20重量%程度であるが、特に限定されるものではない。すなわち加水して低粘度の液状としたものや、減圧濃縮や凍結濃縮等の濃縮加工により高粘度化したものであってもよく、また噴霧乾燥や凍結乾燥等の粉末加工により粉末状としたものであってもよい。
(減脂大豆蛋白素材の製造様態)
本発明に用いられる減脂豆乳や、該減脂豆乳を原料とする他の大豆蛋白素材の製造法は、例えば水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index、以下「NSI」と称する。)が20〜77、好ましくは20〜70、乾物あたりの脂質含量が15重量%以上の含脂大豆に対して、加水して懸濁液を調製する工程の後、該懸濁液を固液分離し、中性脂質及び極性脂質を不溶性画分に移行させて該不溶性画分を除去し、蛋白質及び糖質を含む水溶性画分を回収することにより得ることができる。以下、該製造態様について示す。
・原料大豆及びその加工
減脂大豆蛋白素材の原料である大豆としては、全脂大豆あるいは部分脱脂大豆等の含脂大豆を用いる。部分脱脂大豆としては、全脂大豆を圧搾抽出等の物理的な抽出処理により部分的に脱脂したものが挙げられる。一般に全脂大豆中には脂質が乾物あたり約20〜30重量%程度含まれ、特殊な大豆品種については脂質が30重量%以上のものもあり、特に限定されないが、用いる含脂大豆としては、少なくとも脂質を15重量以上、好ましくは20重量%以上含むものが適当である。原料の形態は、半割れ大豆、グリッツ、粉末の形状でありうる。
過度に脱脂され脂質含有量が少なすぎると、脂質が少ない一方で植物ステロールを多く含む減脂豆乳を得ることが困難となる。特にヘキサン等の有機溶媒で抽出され、中性脂質の含量が1重量%以下となった脱脂大豆は、大豆の良い風味が損なわれ好ましくない。
上記含脂大豆は天然の状態では蛋白質の多くが未変性で可溶性の状態にあり、NSIとしては通常90を超えるが、本発明においては、NSIが20〜77好ましくは20〜70になるよう加工処理を施した加工大豆を用いるのが適当である。より好ましいNSIの下限値は40以上、より好ましくは41以上、さらに好ましくは43以上、最も好ましくは45以上とすることができる。より好ましいNSIの上限値は75未満、より好ましくは70未満とすることができ、またさらに65未満、あるいは60未満、あるいは58未満の低NSIのものを用いることができる。
そのような加工大豆は、加熱処理やアルコール処理等の加工処理を行って得られる。加工処理の手段は特に限定されないが、例えば乾熱処理、水蒸気処理、過熱水蒸気処理、マイクロ波処理等による加熱処理や、含水エタノール処理、高圧処理、およびこれらの組み合わせ等が利用できる。
NSIが例えば80以上の高い数値になると脂質と蛋白質の分離効率が低下し、減脂大豆蛋白素材の脂質含量が増加する傾向となり、また風味は青臭みが強くなる。
例えば過熱水蒸気による加熱処理を行う場合、その処理条件は製造環境にも影響されるため一概に言えないが、おおよそ120〜250℃の過熱水蒸気を用いて5〜10分の間で加工大豆のNSIが上記範囲となるように処理条件を適宜選択すれば良く、加工処理に特段の困難は要しない。簡便には、NSIが上記範囲に加工された市販の大豆を用いることもできる。
なお、NSIは所定の方法に基づき、全窒素量に占める水溶性窒素(粗蛋白)の比率(重量%)で表すことができ、本発明においては以下の方法に基づいて測定された値とする。
すなわち、試料2.0gに100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分間遠心分離し、上清1を得る。残った沈殿に再度100mlの水を加え、40℃にて60分攪拌抽出し、1400×gにて10分遠心分離し、上清2を得る。上清1および上清2を合わせ、さらに水を加えて250mlとする。No.5Aろ紙にてろ過したのち、ろ液の窒素含量をケルダール法にて測定する。同時に試料中の窒素含量をケルダール法にて測定し、ろ液として回収された窒素(水溶性窒素)の試料中の全窒素に対する割合を重量%として表したものをNSIとする。
前記の加工大豆は水抽出の前に、予め乾式又は湿式による粉砕、破砕、圧偏等の組織破壊処理を施されることが好ましい。組織破壊処理に際して、あらかじめ水浸漬や蒸煮により膨潤させても良く、これによって組織破壊に必要なエネルギーを低減させたり、ホエー蛋白質やオリゴ糖等の不快味を持つ成分を溶出させ除去できると共に、保水性やゲル化性の能力が高いグロブリン蛋白質(特にグリシニン及びβ−コングリシニン)の全蛋白質に対する抽出比率、すなわち水溶性画分への移行比率をより高めることができる。
・原料大豆からの水抽出
水抽出は含脂大豆に対して3〜20重量倍、好ましくは4〜15重量倍程度の加水をし、含脂大豆を懸濁させて行われる。加水倍率は高い方が水溶性成分の抽出率が高まり、分離を良くすることができるが、高すぎると濃縮が必要となりコストがかかる。また、抽出処理を2回以上繰り返すと水溶性成分の抽出率をより高めることができる。
抽出温度には特に制限はないが、高い方が水溶性成分の抽出率が高まる反面、油脂も可溶化されやすくなり、減脂豆乳の脂質が高くなるため、70℃以下、好ましくは55℃以下で行うと良い。あるいは5〜80℃、好ましくは50〜75℃の範囲で行うこともできる。
抽出pH(加水後の大豆懸濁液のpH)も温度と同様に高いほうが水溶性成分の抽出率が高まる反面、油脂も可溶化されやすくなり、減脂豆乳の脂質が高くなる傾向にある。逆にpHが低すぎると蛋白質の抽出率が低くなる傾向にある。具体的には下限をpH6以上、もしくはpH6.3以上、もしくはpH6.5以上に調整して行うことができる。また上限は脂質の分離効率を上げる観点でpH9以下、もしくはpH8以下、もしくはpH7以下に調整して行うことができる。あるいは蛋白質の抽出率を高める観点でpH9〜12のよりアルカリ性側に調整して行うことも可能である。
・水抽出後の固液分離
水抽出後、含脂大豆の懸濁液を遠心分離、濾過等により固液分離する。この際、中性脂質のみならず極性脂質も含めた大部分の脂質を水抽出物中に溶出させず、不溶化した蛋白質や食物繊維質の方に移行させ沈殿側(不溶性画分)とすることが重要である。具体的には含脂大豆の脂質の70重量%以上を沈殿側に移行させる。また抽出の際に上清側にも少量の脂質が溶出するが、豆乳中の脂質のように微細にエマルション化されたものではなく、15,000×g以下、あるいは5,000×g程度以下の遠心分離によっても容易に浮上させ分離することができ、この点で遠心分離機を使用するのが好ましい。なお遠心分離機は使用する設備によっては10万×g以上の超遠心分離を使用することも可能であるし、本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材の場合は超遠心分離機を用いなくとも実施が可能である。
また水抽出の際あるいは水抽出後に解乳化剤を添加して豆乳からの脂質の分離を促進させることも可能であり、解乳化剤は特に限定されない。ただし本発明に用いられる減脂大豆蛋白素材を調製する場合は解乳化剤を用いなくとも実施が可能である。
水抽出工程後の固液分離により、中性脂質のみならず極性脂質を不溶性画分に移行させ、他方の水溶性画分を回収することにより減脂豆乳の画分を得ることができる。
固液分離として遠心分離を用いる場合、二層分離方式、三層分離方式のいずれも使用することができる。二層分離方式の場合は水溶性画分として上清を回収する。また三層分離方式を用いる場合は、(1)浮上層(脂質を含む比重の最も小さいクリーム画分)、(2)中間層(脂質が少なく蛋白質、糖質を多く含む水溶性画分)、(3)沈殿層(脂質と食物繊維を多く含む不溶性画分)、の三層の画分に分けられる。この場合、脂質含量の少ない水溶性画分の中間層(2)をするとよい。
○減脂豆乳
得られた水溶性画分は、そのまま、あるいは必要に応じて濃縮工程、加熱殺菌工程、粉末化工程などを経て本発明に用いられる減脂豆乳とすることができる。
○分離大豆蛋白質
上記により得られる減脂豆乳からホエー蛋白質やオリゴ糖などの大豆ホエー成分を除去して蛋白質を濃縮し、必要により中和、殺菌、乾燥し粉末化するなどして、高蛋白質純度の分離大豆蛋白質を調製することができる。大豆ホエー成分を除去する方法としては公知の方法をいずれも利用でき、例えば最も一般的である減脂豆乳を等電点付近の酸性pH(pH4〜5程度)に調整し、蛋白質を等電点沈殿させ、遠心分離等により上清のホエーを除去して沈殿を回収する方法の他、膜分離によって比較的低分子のホエーを除去する方法等を適用できる。
(減脂大豆蛋白素材の特徴)
本発明に用いられる上記の減脂大豆蛋白素材は、いずれも含脂大豆を原料としているにもかかわらず、ヘキサン等の有機溶媒を用いて脱脂された脱脂大豆から水抽出して得た脱脂豆乳や分離大豆蛋白とは蛋白質含量が同等であり、ただしその他の成分組成については従来の減脂大豆蛋白素材とは顕著に相違するものである。
該減脂大豆蛋白素材は、ヘキサン等で脱脂した脱脂大豆から水抽出された減脂豆乳や分離大豆蛋白などと比べて、脂質特に極性脂質の含量が低く低カロリーであると共に、ヘキサン等の有機溶媒を使用しないため環境負荷が小さく、有機溶媒による変性を受けておらず風味も格段に優れている。また極性脂質と共にLPが少ないため酸化安定性が高く風味の経時的劣化も極めて少ないことが特長である。特に、乾燥して粉末状素材として利用する場合は、通常の豆乳粉末や粉末状大豆蛋白のように脂質が酸化することがなく風味の保存安定性が格段に優れる。
本発明の減脂大豆蛋白素材には、顕著な腎機能改善効果が存在することが、本発明者により見出された。当該腎機能改善効果は、本発明の減脂大豆蛋白素材を適当量食することにより見られる。すなわち、本発明の減脂大豆蛋白素材は、腎機能改善用組成物の作用本体として用いることができるものである。
また、本発明の腎機能改善用組成物を所定量食品に含有させることで、腎機能改善作用を示す食品を製造することが可能である。このように、「腎機能改善作用を示す食品」を容易に調製できるのは、本発明の腎機能改善用組成物において、良好な風味と腎機能改善作用をあわせ持つことにより始めて導き出されるものであり、本発明により初めて達成されるものである。また、本発明の腎機能改善用組成物を用いることで、腎機能改善作用を示す特定保健用食品や、特別用途食品(病者用食品、えん下困難者用食品)を調製することもできる。
この当該腎機能改善作用を示す食品を製造する方法は、本発明の「腎機能改善用組成物」を含有させることに技術的特長を有するものである。
以下に本発明の実施例を記載する。なお、以下「%」は特に断りのない限り「重量%」を意味する。脂質の分析は特に断りがない限りクロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法に準じて行ったものである。
(製造例1) 減脂豆乳の調製
湿熱加熱処理によりNSI 56とした大豆粉5kgに対して9倍量、60℃の水を加えて懸濁液とし、保温しながら30分間攪拌し、水抽出した。このときのpHは6.5であった。3層分離方式の遠心分離を6,000×gにて連続的に行い、(1)浮上層・(2)中間層・(3)沈殿層に分離させた。そして(2)中間層として減脂豆乳12kgを回収した。得られた画分を凍結乾燥し、一般成分として乾物、並びに、乾物あたりの蛋白質(ケルダール法による)、脂質(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法による)及び灰分を測定し、さらにSDS-PAGEによりリポキシゲナーゼ蛋白質含量、LPの含量の推定値としてLCI値の分析を行った。表2参照)。
(比較製造例1) ヘキサン脱脂豆乳の調製
原料の大豆粉としてヘキサン脱脂した脱脂大豆粉(NSI89)を用い、加水倍率を10倍量、抽出時間を30分とした以外は製造例1と同様にして脱脂豆乳を調製した。抽出時のpHは6.5であった。
(製造例2) 減脂大豆蛋白素材(分離大豆蛋白)の調製
NSIを55に調整した大豆粉20kgに対し、300kgの水を加え、pH6.5に調整し、50℃にて30分攪拌抽出した。遠心分離機にて1,400×g、10分間の分離を行い、クリーム層、中間層、沈殿層(オカラ)に分離した。中間層である豆乳を乾物量12%に濃縮した後、塩酸を適量添加しpH4.5に調整した。更に遠心分離機にて3,000×g,15分間の分離を行い、沈殿を回収した。
分離された沈殿に対して乾物量18%になるよう加水し、水酸化ナトリウム水溶液を適量添加してpH7.5に調整した。加圧加熱殺菌後に噴霧乾燥して、分離大豆蛋白を調製した。
得られた分離大豆蛋白質の分析結果は、乾物量96.0%であり、乾物あたりでそれぞれ蛋白質82.1%,総脂質1.90%(蛋白質あたり2.31%),灰分6.57%、炭水化物5.43%であった。また、植物ステロールは乾物100gあたり10.7mg(脂質100gあたりでは564mg)、イソフラボンの総含量は乾物あたり0.301%であった。
製造例1及び比較製造例1で得られた各減脂豆乳、製造例2で得られた分離大豆蛋白、特表2009−528847号公報の方法で製造されていると推定される分離大豆蛋白「GPF Meat SPI 6500」(スペシャルティ・プロテイン・プロデューサーズ社製)及びヘキサンで脱脂された脱脂大豆から製造される市販の分離大豆蛋白「フジプロF」(不二製油(株)製)を分析サンプルとし、それぞれ一般成分として乾物含量、並びに、乾物あたりの蛋白質含量(ケルダール法による)、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出法による)及び灰分含量を測定し、さらにSDS-PAGEによりリポキシゲナーゼ蛋白質含量、LPの含量の推定値としてLCI値、脂質100g当たりの植物ステロール含量(カンペステロール及びスチグマステロール含量の和)(mg)の分析データを表2にまとめた。なお、製造例1で得られた減脂豆乳中に含まれるイソフラボンの総含量を分析したところ、乾物あたり0.266%含まれていた。
(表2)
※ カッコ内数値は蛋白質あたりの脂質含量(%)
「尿中NAG活性低減試験」
実施例1、比較例1
表3に示す配合の餌をラットに給餌し、尿中のNAG(β-N-アセチル-D-グルコサミニダーゼ)を測定した。
NAGは臓器に広く分布している一方、かなり大きな酵素であるため血清中の酵素が尿に出ることはほとんどなく、尿におけるNAGの量を定量することで、尿細管上皮細胞の変性や破壊のような傷害を知ることができる。
表3 餌配合
(*)conteins 0.002% TBHQ
注)餌中CP=Casein10%+サンプル由来10%とし、蛋白質量、油分量をそろえた2種の餌を作製した。
CaseinのCPは88%であった。
試験方法
動物 :Zucker fattyラット
動物数、期間 : n=6×2群、2週間
評価サンプル : Casein、製造例1減脂豆乳(粉末)
操作 : <体重、摂食量> 毎日測定
<採血> 計2回(途中経過、最終解剖時)
分析 : 尿中NAG活性(NAGテストシオノギ)、尿中蛋白量(トネインTP)
試験結果
尿中NAG活性は、2週間の摂食により製造例1減脂豆乳(粉末)を用いた試験区では、Caseinを用いた試験区と比較して有意に低い値を示した。
なお、Zucker fattyラットは顕著な肥満を示す突然変異体であり、加齢に伴い合併症として腎症が発生することが知られている。
比較例1では、Zucker fattyラットにおける加齢に伴う腎症の発生を、カゼインを用いた餌は何ら抑制しないことを示す一方、実施例1では、積極的に抑制することが示された。
本発明の腎機能改善用組成物を用いることで、需要者は食生活を通じ腎機能を改善させることができる。よって食品業界においては、新たな需要を喚起する製品を開発することが可能となる。

Claims (3)

  1. 乾物あたりの蛋白質及び炭水化物の総含量が80重量%以上であり、脂質含量(クロロホルム/メタノール混合溶媒抽出物としての含量をいう。)が蛋白質含量に対して10重量%未満、植物ステロールとしてのカンペステロールおよびスチグマステロールの和が脂質100gに対して200mg以上である減脂大豆蛋白素材を含有する、腎機能改善用組成物。
  2. 請求項1に記載の腎機能改善用組成物を用いた食品。
  3. 請求項2記載の、腎機能改善用組成物を用いた食品の製造法。
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