JP2013138623A - 新規キャッピング酵素、並びに、キャップ化rnaの製造方法及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができるキャッピング酵素、前記キャッピング酵素を使用し、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼにより好適に認識され、高精製度で、かつ効率よく大量にキャップ化RNAを製造することができるキャップ化RNAの製造方法の提供。
【解決手段】鋳型DNAからT7RNAポリメラーゼを用いてRNAを合成するRNA合成工程と、TPase活性及びGTase活性を有し、特定のアミノ酸配列を有する酵素と、MTase活性を有し、特定のアミノ酸配列を有する酵素と、キャップ1MTase活性を有し、特定のアミノ酸配列を有する酵素と、を用いて、前記RNA合成工程で合成されたRNAにキャップ構造を付加するキャップ構造付加工程と、を含むキャップ化RNAの製造方法。
【選択図】図10

Description

本発明は、新規キャッピング酵素、並びに、前記新規キャッピング酵素を使用したキャップ化RNAの製造方法、前記キャップ化RNAの製造方法により製造されたキャップ化RNAを使用したRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法、及び前記新規キャッピング酵素を含むキットに関する。
近年、抗インフルエンザウイルス薬として、タミフルに代表されるノイラミニダーゼ標的薬が使用され、若年層における中枢神経系抑制作用等の副作用の報告があるものの、感染初期において新型インフルエンザウイルスについても効果を発揮するなど、広く治療薬として使用されている。
しかしながら、前記タミフルに耐性を示すH1N1型のインフルエンザウイルスが報告されており、これまでの抗インフルエンザウイルス薬とは異なる作用機序で作用し、かつ優れた効果を発揮し得る抗インフルエンザウイルス薬の開発が望まれている。
インフルエンザウイルスは、該インフルエンザウイルスのmRNAを合成する際にユニークな遺伝子発現機構を有することが知られている。即ち、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼは、宿主細胞のmRNAのキャップ構造を認識し、該キャップ構造に結合する。そして、宿主細胞から、前記キャップ構造を含むRNA断片を切断する。特に、宿主細胞のmRNAの5’末端側から11番目〜13番目の塩基(キャップ構造の塩基を除く)を切断し、これをプライマーとして利用することで、インフルエンザウイルスのmRNAを合成する。
前記キャップ構造とは、真核生物や、該真核生物を宿主とするウイルスのmRNAの大部分に存在し、その構造としては、mRNAの5’末端に7−メチルグアノシン(mG)の5’水酸基が3個のリン酸基(ppp−)を介してRNAの5’末端に結合した構造である。前記キャップ構造は、一般に、メチル基を有さないキャップコア構造(G(5’)pppNpNp−で表される)、1つのメチル基を有するキャップ0構造(mG(5’)pppNpNp−で表される)、及び2つのメチル基を有するキャップ1構造(mG(5’)pppNmpNp−で表される)がある。ここで、前記Nは、任意の塩基を表す。これらの中でも、前記インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼは、特にキャップ1構造を好適に認識することが知られている。
前記インフルエンザウイルスのmRNAにおける遺伝子発現機構を利用した抗インフルエンザウイルス薬は、未だ開発されておらず、該遺伝子発現機構を利用することで、これまでの抗インフルエンザウイルス薬にはない作用機序で作用する抗インフルエンザウイルス薬の開発が期待できる。
これに対し、RNAの5’末端にキャップ構造を付加し、キャップ化RNAを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この提案方法では、RNAのキャップ化に、ワクシニアウイルスやポックスウイルス等のウイルスを用いており、安全性の点で問題がある。また、前記ウイルスを用いる場合、大量に高純度の酵素を得ることが困難であり、キャップ化RNAの製造効率が悪いという問題もある。
したがって、前記インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼにより好適に認識され、前記遺伝子発現機構を利用した抗インフルエンザウイルス薬のスクリーニングに使用可能であり、高精製度で、かつ効率よく大量にキャップ化RNAを製造することができるキャップ化RNAの製造方法は、未だ提供されておらず、その提供が強く望まれているのが現状である。
国際公開第2007/120863号パンフレット
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができるキャッピング酵素、前記キャッピング酵素を使用し、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼにより好適に認識され、高精製度で、かつ効率よく大量にキャップ化RNAを製造することができるキャップ化RNAの製造方法、前記キャップ化RNAを使用したRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法、及び前記キャッピング酵素を含むキットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 鋳型DNAからT7RNAポリメラーゼを用いてRNAを合成するRNA合成工程と、mRNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、を用いて、前記RNA合成工程で合成されたRNAにキャップ構造を付加するキャップ構造付加工程と、を少なくとも含むことを特徴とするキャップ化RNAの製造方法である。
<2> 鋳型DNAがT7プロモーター配列及び該T7プロモーター配列に相補的な配列を有し、前記T7プロモーター配列に相補的な配列より下流であり、かつ該T7プロモーター配列に相補的な配列から11番目〜13番目の塩基がチミジンである前記<1>に記載のキャップ化RNAの製造方法である。
<3> RNA合成工程の後、かつキャップ構造付加工程の前に、前記RNA合成工程で得られたRNAを固相に添加し固相抽出法により精製する精製工程を更に含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法。
<4> 固相からRNAを3容量%〜9容量%のアセトニトリル水溶液で溶出する前記<3>に記載のキャップ化RNAの製造方法である。
<5> キャップ構造が、キャップコア構造、キャップ0構造、及びキャップ1構造の少なくともいずれかであり、キャップ構造が付加されたRNAの90%以上がキャップ1構造である前記<1>から<4>のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法である。
<6> 下記配列番号4で表される塩基配列を有するキャップ化RNAを製造する前記<1>から<5>のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法である。
GpppGmAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA(配列番号4)
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法により製造されたキャップ化RNAを用い、RNAポリメラーゼを阻害する物質をスクリーニングすることを特徴とするRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法である。
<8> RNAポリメラーゼが、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼであり、該RNAポリメラーゼが有するキャップ化RNAの切り出し反応を阻害する物質をスクリーニングする前記<7>に記載のRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法である。
<9> (i)mRNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素、(ii)mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素、及び(iii)mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素、の少なくともいずれかを有することを特徴とする酵素である。
<10> T7RNAポリメラーゼと、RNAを担持し得る固相と、前記<9>に記載の酵素と、を少なくとも含み、RNAポリメラーゼを阻害する物質をスクリーニングすることに用いられることを特徴とするキットである。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができるキャッピング酵素、前記キャッピング酵素を使用し、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼにより好適に認識され、高精製度で、かつ効率よく大量にキャップ化RNAを製造することができるキャップ化RNAの製造方法、前記キャップ化RNAを使用したRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法、及び前記キャッピング酵素を含むキットを提供することができる。
図1は、キャップ構造付加工程のフローチャートの一例を示す図である。 図2は、本発明のキャップ化RNAの製造方法のフローチャートの一例を示す図である。 図3は、酵素D1Nの製造時の精製工程において各画分を電気泳動で確認した結果である。 図4は、酵素ABD1の製造時の精製工程において各画分を電気泳動で確認した結果である。 図5は、酵素VP39の製造時の精製工程において各画分を電気泳動で確認した結果である。 図6は、本発明のキャップ化RNAの製造方法における精製工程において各画分中のRNAの存在を確認した結果を示す図である。 図7は、ジヌクレオチドの含有量を確認した結果を示す図である。 図8は、キャップ構造付加工程における、酵素D1N、酵素ABD1、及び酵素VP39のそれぞれの機能を解析した結果を示す図である。 図9は、実施例及び比較例のキャップ構造付加効率を確認した結果を示す図である。 図10は、本発明のキャップ化RNAの製造方法で得られたキャップ化RNAが、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼに認識され、キャップ構造を含むヌクレオチドが切断されることを確認した結果を示す図である。
(酵素)
本発明の酵素は、下記(i)から(iii)の少なくともいずれかを有する酵素である。
(i)RNA5’−トリホスファターゼ活性(以下、「TPase活性」と称することがある)及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性(以下、「GTase活性」と称することがある)を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素である(以下、「酵素D1N」と称することがある)。
(ii)mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性(以下、「MTase活性」と称することがある)を有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素である(以下、「酵素ABD1」と称することがある)。
(iii)mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性(以下、「キャップ1MTase活性」と称することがある)を有し、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素である(以下、「酵素VP39」と称することがある)。
前記酵素D1N、前記酵素ABD1、及び前記酵素VP39は、いずれもRNAのキャップ化に寄与し得るキャッピング酵素である。
<酵素D1N>
前記酵素D1Nは、RNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有し、これによりRNAの5’末端にキャップコア構造(GpppG)を付加することができる酵素である。
前記酵素D1Nは、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素であるが、RNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有する限り、配列番号1で表されるアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有するものであってもよく、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)のアミノ酸が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号1で表されるアミノ酸配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
これらの中でも、前記酵素D1Nは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなることが好ましい。
また、前記配列番号1で表されるアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有するものとしては、例えば、公知のタンパク質解析プログラム(例えば、XBLAST(Altschulら (1990) J. Mol. Biol. 215:403−10)など)を用いて選択することができる。
また、前記酵素D1Nは、例えば、融合タンパク質等のより大きいタンパク質の一部としてもよい。前記融合タンパク質において付加される配列としては、例えば、多重ヒスチジン残基等の精製に有効な配列、組換え体を産生する際の安定性に有効な配列などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酵素D1Nの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の遺伝子工学的手法により製造する方法、自然界(天然に存在するもの)から、破砕、抽出、精製等の標準的な手法により調製する方法などが挙げられる。
前記酵素D1Nを、前記自然界から調製する方法としては、例えば、ワクシニアウイルスから得る方法などが挙げられる。
前記遺伝子工学的手法の具体例としては、前記酵素D1NをコードするDNA配列を含む組換えベクターを作製し、これを用いて適宜選択した宿主細胞(例えば、大腸菌)を形質転換して形質転換体を作製し、該形質転換体内で発現された組換えタンパク質を回収することにより、前記酵素D1Nを得ることができる。前記回収された組換えタンパク質は、必要に応じて、公知の方法で濃縮、精製等の処理が施されてもよい。
前記遺伝子工学的手法を用いることで、例えば、前記酵素D1NをコードするDNA配列と、所望のタンパク質をコードするその他のDNA配列とを、同じベクターにクローニングし、前記同様の方法で組換えタンパク質を産生させることで、前記酵素D1Nに任意のペプチド乃至タンパク質が連結された融合組換えタンパク質を得ることもできる。
前記その他のDNA配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記酵素ABD1、前記酵素VP39などが挙げられる。
また、前記酵素D1Nの製造において、糖鎖及び/又は脂質の付加や、N末端若しくはC末端のプロセッシングが生ずるような修飾を施してもよい。
以上のような修飾により、組換えタンパク質である前記酵素D1Nの抽出及び/又は精製の簡便化、又は生物学的機能の付加等が可能である。
なお、本発明には、このようにして作製した、前記酵素D1NをコードするDNA配列、前記ベクター、前記形質転換体なども、本発明の範囲内に含み得る。
−酵素D1NをコードするDNA配列−
前記酵素D1NをコードするDNA配列としては、該DNA配列より得られる酵素がRNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、配列番号5で表される塩基配列を有することが好ましい。
また、前記酵素D1NをコードするDNA配列は、配列番号5で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものであってもよく、配列番号5で表される塩基配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)の塩基が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号5で表される塩基配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
前記DNA配列に前記変異を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、制限酵素により処理する方法、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等により処理する方法、位置指定突然変異導入法、ランダム突然変異導入法、紫外線を照射する方法などが挙げられる。
これらの中でも、前記酵素D1Nは、配列番号5で表される塩基配列からなるDNA配列でコードされるタンパク質であることが好ましい。
また、前記配列番号5で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものとしては、例えば、配列番号5で表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列、SNP(一塩基多型)等の多型などが挙げられる。
本発明において、ストリンジェントな条件とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、配列番号5で表される塩基配列が結合する塩基配列の融解温度(Tm)に基づいて決定することができる(Berger and Kimmel 1987,Guide to Molecular Cloning Techniques Methods in Enzymology,Vol. 152,Academic Press,San Diego CA参照)。
このようなストリンジェントな条件の具体例としては、例えば、ハイブリダイズ後の洗浄条件として、通常「1×SSC(NaCl,trisodiumcitrate)、0.1質量% SDS(sodium dodecyl sulfate)、37℃」程度の条件を挙げることができ、前記条件で洗浄しても、配列番号5で表される塩基配列とハイブリダイズ状態を維持するものをいう。
配列番号5で表される塩基配列を有する前記酵素D1NをコードするDNA配列を調製する方法としては、特に制限はなく、公知の、遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法等を用いて調製する方法などが挙げられる。
具体例としては、ワクシニアウイルス(例えば、WTF7−3株)から常法によりゲノムDNAを調製し、前記ゲノムDNAに対して特異的にハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドプライマーを適宜利用してPCR法などにより調製することができる。前記オリゴヌクレオチドプライマーは、市販の自動化DNA合成装置等を用いて容易に合成することができる。また、配列情報を利用して、化学合成によって目的とする塩基配列を得てもよい。
−ベクター−
前記ベクターとしては、前記酵素D1NをコードするDNA配列、好ましくは、配列番号5で表される塩基配列を有するベクターである。
前記ベクターとは、該ベクターに挿入された核酸分子を宿主細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいい、その種類や形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、前記ベクターは、前記宿主細胞内で前記酵素D1Nを発現させることができる発現ベクターであることが好ましい。
−形質転換体−
前記形質転換体としては、前記酵素D1NコードするDNA配列、好ましくは、配列番号5で表される塩基配列が導入された形質転換体である。
前記形質転換体は、所望の宿主細胞等のターゲットに、前記組換えベクターを用いて、トランスフェクション又はトランスフォーメーション等を行うことにより調製することができる。
前記トランスフェクション又はトランスフォーメーションを行う方法としては、例えば、リン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション法、マイクロインジェクション法、酢酸リチウム法、プロトプラスト−ポリエチレングリコール法などが挙げられる。
前記宿主細胞としては、特に制限はなく、使用するベクターの種類などに応じて適宜選択することができる。
<用途>
本発明の前記酵素D1Nは、安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができ、RNAの5’末端にキャップコア構造(GpppG)を付加することができるため、RNAのキャップ化に好適に利用でき、特に後述するキャップ化RNAの製造方法、RNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法、キットなどに好適に利用可能である。
<酵素ABD1>
前記酵素ABD1は、mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有し、これによりキャップコア構造(GpppG)をキャップ0構造(mGpppG)に転換することができる酵素である。
前記酵素ABD1は、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素であるが、mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有する限り、配列番号2で表されるアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有するものであってもよく、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)のアミノ酸が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号2で表されるアミノ酸配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
これらの中でも、前記酵素ABD1は、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなることが好ましい。
また、前記配列番号2で表されるアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有するものとしては、例えば、公知のタンパク質解析プログラム(例えば、XBLASTなど)を用いて選択することができる。
また、前記酵素ABD1は、例えば、融合タンパク質等のより大きいタンパク質の一部としてもよい。前記融合タンパク質において付加される配列としては、例えば、多重ヒスチジン残基等の精製に有効な配列、組換え体を産生する際の安定性に有効な配列などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酵素ABD1の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記酵素D1Nの製造方法と同様の方法などが挙げられる。
前記酵素ABD1を、前記自然界から調製する方法としては、例えば、出芽酵母から得る方法などが挙げられる。
本発明には、前記酵素ABD1をコードするDNA配列、該DNA配列を有するベクター、該ベクターを導入した形質転換体なども、本発明の範囲内に含み得る。
−酵素ABD1をコードするDNA配列−
前記酵素ABD1をコードするDNA配列としては、該DNA配列より得られる酵素がmRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、配列番号6で表される塩基配列を有することが好ましい。
また、前記酵素ABD1をコードするDNA配列は、配列番号6で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものであってもよく、配列番号6で表される塩基配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)の塩基が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号6で表される塩基配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
前記DNA配列に前記変異を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記酵素D1Nの製造方法と同様の方法などが挙げられる。
これらの中でも、前記酵素ABD1は、配列番号6で表される塩基配列からなるDNA配列でコードされるタンパク質であることが好ましい。
また、前記配列番号6で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものとしては、例えば、配列番号6で表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列、SNP(一塩基多型)等の多型などが挙げられる。
配列番号6で表される塩基配列を有する前記酵素ABD1をコードするDNA配列を調製する方法としては、特に制限はなく、公知の、遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法等を用いて調製する方法などが挙げられるが、前記酵素D1Nの製造方法と同様の方法が好ましい。
−ベクター−
前記ベクターとしては、前記酵素ABD1をコードするDNA配列、好ましくは、配列番号6で表される塩基配列を有するベクターである。
前記ベクターとの種類や形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、前記ベクターは、前記宿主細胞内で前記酵素ABD1を発現させることができる発現ベクターであることが好ましい。
−形質転換体−
前記形質転換体としては、前記酵素ABD1コードするDNA配列、好ましくは、配列番号6で表される塩基配列が導入された形質転換体である。
前記形質転換体の調製方法、使用し得る宿主細胞等は、前記酵素D1NコードするDNA配列が導入された形質転換体と同様である。
<用途>
本発明の前記酵素ABD1は、安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができ、キャップコア構造(GpppG)をキャップ0構造(mGpppG)に転換することができるため、RNAのキャップ化に好適に利用でき、特に後述するキャップ化RNAの製造方法、RNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法、キットなどに好適に利用可能である。
<酵素VP39>
前記酵素VP39は、mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有し、これによりキャップ0構造(mGpppG)をキャップ1構造(mGpppGm)に転換することができる酵素である。
前記酵素VP39は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素であるが、mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有する限り、配列番号3で表されるアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有するものであってもよく、配列番号3で表されるアミノ酸配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)のアミノ酸が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号3で表されるアミノ酸配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
これらの中でも、前記酵素VP39は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなることが好ましい。
また、前記配列番号3で表されるアミノ酸配列と相同なアミノ酸配列を有するものとしては、例えば、公知のタンパク質解析プログラム(例えば、XBLASTなど)を用いて選択することができる。
また、前記酵素VP39は、例えば、融合タンパク質等のより大きいタンパク質の一部としてもよい。前記融合タンパク質において付加される配列としては、例えば、多重ヒスチジン残基等の精製に有効な配列、組換え体を産生する際の安定性に有効な配列などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酵素VP39の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記酵素D1Nの製造方法と同様の方法などが挙げられる。
前記酵素VP39を、前記自然界から調製する方法としては、例えば、ワクシニアウイルスから得る方法などが挙げられる。
本発明には、前記酵素VP39をコードするDNA配列、該DNA配列を有するベクター、該ベクターを導入した形質転換体なども、本発明の範囲内に含み得る。
−酵素VP39をコードするDNA配列−
前記酵素VP39をコードするDNA配列としては、該DNA配列より得られる酵素がmRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、配列番号7で表される塩基配列を有することが好ましい。
また、前記酵素VP39をコードするDNA配列は、配列番号7で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものであってもよく、配列番号7で表される塩基配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)の塩基が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号7で表される塩基配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
前記DNA配列に前記変異を導入する方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、前記酵素D1Nの製造方法と同様の方法などが挙げられる。
これらの中でも、前記酵素VP39は、配列番号7で表される塩基配列からなるDNA配列でコードされるタンパク質であることが好ましい。
また、前記配列番号7で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものとしては、例えば、配列番号7で表される塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列、SNP(一塩基多型)等の多型などが挙げられる。
配列番号7で表される塩基配列を有する前記酵素VP39をコードするDNA配列を調製する方法としては、特に制限はなく、公知の、遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法等を用いて調製する方法などが挙げられるが、前記酵素D1Nの製造方法と同様の方法が好ましい。
−ベクター−
前記ベクターとしては、前記酵素VP39をコードするDNA配列、好ましくは、配列番号7で表される塩基配列を有するベクターである。
前記ベクターとの種類や形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、前記ベクターは、前記宿主細胞内で前記酵素VP39を発現させることができる発現ベクターであることが好ましい。
−形質転換体−
前記形質転換体としては、前記酵素VP39をコードするDNA配列、好ましくは、配列番号7で表される塩基配列が導入された形質転換体である。
前記形質転換体の調製方法、使用し得る宿主細胞等は、前記酵素D1NコードするDNA配列が導入された形質転換体と同様である。
<用途>
本発明の前記酵素VP39は、安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができ、キャップ0構造(mGpppG)をキャップ1構造(mGpppGm)に転換することができるため、RNAのキャップ化に好適に利用でき、特に後述するキャップ化RNAの製造方法、RNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法、キットなどに好適に利用可能である。
(キャップ化RNA及びその製造方法)
本発明のキャップ化RNAの製造方法は、RNA合成工程と、キャップ構造付加工程と、を少なくとも含み、精製工程とを含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
前記RNA合成工程は、前記キャップ構造付加工程の前に行われることが好ましく、前記精製工程は、前記キャップ構造付加工の前、好ましくは、前記RNA合成工程の後、かつ前記キャップ構造付加工程の前に行われる。
<RNA合成工程>
前記RNA合成工程は、鋳型DNAからT7RNAポリメラーゼを用いてRNA(キャップ構造を付加する前のmRNA)を合成する工程である。
<<鋳型DNA>>
前記鋳型DNA配列としては、前記T7RNAポリメラーゼが認識し得る塩基配列を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記配列番号8で表されるT7プロモーター配列に相補的な配列を有することが好ましい。
5’−TATAGTGAGTCGTATTA−3’(配列番号8)
前記鋳型DNAが有するT7プロモーター配列は、前記T7RNAポリメラーゼが認識し得る限り、配列番号8で表される塩基配列又は配列番号8で表される塩基配列に相補的な配列と相同な塩基配列を有するものであってもよい。
これらの中でも、前記T7プロモーター配列に相補的な配列は、配列番号8で表される塩基配列であることが好ましい。
また、前記鋳型DNA配列は、前記T7プロモーター配列に相補的な配列より下流(5’末端側)であり、かつ該T7プロモーター配列に相補的な配列から11番目〜13番目の塩基がチミジン(T)であることが好ましい。
このような鋳型DNA配列は、市販の自動化DNA合成装置等を用いて容易に合成することができる。
前記鋳型DNAの長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、28塩基〜40塩基が好ましく、28塩基〜33塩基がより好ましい。前記鋳型DNAが、15塩基未満であると、固相抽出による分離において不純物が混入する可能性があり、50塩基を超えると、溶出効率が悪くなることがある。
これらの中でも、前記鋳型DNA配列は、下記配列番号9で表される塩基配列を有することが好ましい。なお、前記鋳型DNA配列は、前記T7RNAポリメラーゼが認識し得る限り、配列番号9で表される塩基配列と相同な塩基配列を有するものであってもよく、配列番号9で表される塩基配列において、1個又は数個(例えば、3個〜10個)の塩基が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。
配列番号9で表される塩基配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、プロモーター配列又は該プロモーターに相補的な配列以外の位置であることが好ましい。また、配列番号9で表される塩基配列における複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
これらの中でも、前記鋳型DNA配列は、配列番号9で表される塩基配列からなることが好ましい。なお、配列番号9で表される塩基配列において、下線は、T7プロモーターの相補鎖の配列を示す。
5’−TTAATTAATTAATATTATATTTTTTAATTATTCTATAGTGAGTCGTATTAAGCTT−3’(配列番号9)
前記鋳型DNAは、市販の自動化DNA合成装置等を用いて容易に合成することができる。
<<T7RNAポリメラーゼ>>
前記T7RNAポリメラーゼは、前記T7プロモーター配列を含む二本鎖DNAを鋳型とし、ATP、UTP、GTP等を基質として、該T7プロモーター配列より下流(5’末端側)の鋳型DNAに相補的な一本鎖RNAを合成する酵素である。
前記T7RNAポリメラーゼは、例えば、市販品を用いることができる。
前記RNA合成工程に使用する前記T7RNAポリメラーゼの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000U/mL〜4,000U/mLが好ましく、3,000U/mL〜4,000U/mLがより好ましい。
前記RNA合成工程を実施する温度、時間などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記RNA合成工程において、前記T7RNAポリメラーゼを反応させる際の反応系に含まれる組成としては、前記鋳型DNAと、前記T7プライマーと、前記T7RNAポリメラーゼと、基質(ATP、UTP、CTP、GTPなど)とを少なくとも含むことが好ましく、その他、前記T7RNAポリメラーゼの効果を損なわない限り、特に制限はないが、GTPの濃度は他のヌクレオチドに対して1/5程度の濃度であることが望ましいが、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基質のうち、キャップ構造を形成するGTPは、標識を有することが好ましい。
<<RNA>>
前記RNA合成工程で得られたRNAとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、製造されたキャップ化RNAがインフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼの基質として用いられる場合は、5’末端のキャップ構造を有するグアニン(G)から数えて(5’末端のキャップ構造を有するグアニンを1番目としたとき)、11番目〜13番目の塩基がアデニン(A)であることが好ましく、下記配列番号10で表されるRNAを有することがより好ましい。なお、配列番号10で表される塩基配列は、1個又は数個(例えば、3個〜10個)の塩基が、欠失、置換、付加、挿入、又はこれらの組み合わせにより変異したものであってもよい。配列番号10で表される塩基配列において、欠失、置換、付加、挿入などが生じる位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、また、複数の位置で欠失、置換、付加、挿入などが生じてもよい。
これらの中でも、前記RNA合成工程で得られたRNAは、配列番号10で表される塩基配列からなることが特に好ましい。
5’−pppGAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA−3’(配列番号10)
また、前記RNAは、蛍光標識や、放射性標識を有することが、RNA量を正確に把握することができる点で好ましい。
前記蛍光標識としては、前記RNAに結合可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フルオレセイン、オレゴングリーン、エオシン、エリスロシン等のフルオレセイン類;テトラメチルローダミン誘導体、テキサスレッド誘導体、ローダミンB base、リサミンローダミンB、ローダミン6G等のローダミン類;クマリン類;ダンシル型(ジメチルアミノナフタレンスルホン酸型)蛍光色素;NBD型色素;ピレン;R−フィコエリスリン、フロフィコシアニン、アロフィコシアニン等のフィコビリプロテイン;BODIPY誘導体;Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5等のCy(登録商標)色素;Alexa Fluor350、405、430、488、532、546、555、568、594、633、647、680、700、750等のアレキサ(登録商標)フローラなど挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記放射性標識としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、32P、33Pなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記RNAに前記標識が結合する位置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記RNAに前記標識を結合させる方法としても、特に制限はなく、該標識の種類などに応じて公知の方法の中から適宜選択することができる。例えば、前記RNA合成反応時に、反応系に該標識を付した基質(GTP、ATP、UTP等)を添加しておくことにより、これが取り込まれることにより得られるRNAが標識される。
前記RNA合成工程で得られるRNAの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5pmol/μL以上が好ましく、10pmol/μL〜20pmol/μLがより好ましい。前記濃度が、1pmol/μm未満であると、次に精製工程を行う場合、該精製工程を行う前にエタノール沈殿等で濃縮する必要があり、操作が煩雑になる。
前記RNA濃度は、前記標識を利用して測定することができる。例えば、前記標識が放射性同位体である場合は、該放射活性を測定することにより、また、前記標識が蛍光である場合は、該蛍光の強度を測定することにより、該RNAの濃度を求めることができる。
<精製工程>
前記精製工程は、前記RNA合成工程で得られたRNAを精製する工程である。前記精製工程は、前記RNA合成工程の後、かつ前記キャップ構造付加工程の前に行われることが好ましい。
前記RNAを精製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固相に添加し固相抽出法により精製する方法が好ましく、前記RNA合成工程で合成したRNAを前記固相(固定相)に添加し、該固相に該RNAを結合させた後、洗浄を行い、その後該固相に結合したRNAを溶出する方法がより好ましい。
前記精製工程を行うことにより、前記RNA合成工程において十分に反応しなかったジヌクレオチド等の不要成分を除去することができ、後述するキャップ構造付加工程において、効率よくキャップ1構造を付加することができる点で有利である。
前記固相としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材に官能基が結合した担体、ポーラスポリマー、セルロース、シリカなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記固相としては、基材に官能基が結合したシリカ担体が好ましい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカなどが挙げられる。
前記官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基などが挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。
前記アルキル基の炭素数(C)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、C1〜C18が好ましく、C16〜C18がより好ましく、C18が特に好ましい。
前記固相は、カラム等に充填されて用いられることが、取り扱いが簡便である点で好ましい。このような固相カラムとしては、市販品を用いることができ、例えば、InterSep(登録商標)Slim−JC18(GL−サイエンス社製)、などが挙げられる。
前記固相カラムに対する前記RNAの添加量としては、特に制限はなく、固相の充填量(500mg)などに応じて適宜選択することができるが、0.5nmol〜2nmolが好ましく、1nmol〜1.5nmolがより好ましい。前記添加量が、0.5nmol未満であると、十分な量のRNAを得ることができないことがあり、2nmolを超えると、固相の結合容量を超え、RNAをロスすることがある。
前記固相は、前記RNAを添加後、洗浄される。前記洗浄に使用する溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ギ酸アンモニウム、水、炭酸水素アンモニウム、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ギ酸アンモニウム水溶液が好ましい。
前記ギ酸アンモニウム水溶液におけるギ酸アンモニウムの濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mM〜100mMが好ましく、50mM〜100mMがより好ましい。
前記ギ酸アンモニウムのpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、pH2.7が好ましい。pH7.0〜pH8.5の中性付近でも問題はないが、前記固相に対する前記RNAの結合容量を上げ精製度を高めるためには、pH2.7が特に好ましい。前記pHは、ギ酸によって調製することができる。
前記洗浄回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カラム容量の2倍程度の容量の溶媒で3回以上が好ましく、3回〜5回がより好ましい。前記洗浄回数が3回未満であると、前記ジヌクレオチド等の前記RNA合成工程における不要成分が残存し、後述のキャップ構造付加工程においてキャップ化の効率が悪くなることがあり、5回を超えると、それ以上洗浄による効果が得られず操作が煩雑である。
前記洗浄後、前記固相に結合されたRNAは、溶出溶媒により溶出される。
前記溶出に使用される溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトニトリル、水、ギ酸アンモニウム(好ましくは、pH2.7)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アセトニトリル水溶液が好ましい。
前記アセトニトリル水溶液中のアセトニトリル濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3容量%〜9容量%が好ましく、4容量%〜6容量%がより好ましい。前記アセトニトリル濃度が、3容量%未満又は9容量%を超えると、目的とするRNAを含む画分を得ることができないことがある。
<キャップ構造付加工程>
前記キャップ構造付加工程は、RNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、を用いて、RNAにキャップ構造を付加する工程である。
本発明の前記キャップ化RNAの製造方法に使用し得る酵素としては、本発明の前記酵素D1N、前記酵素ABD1、及び前記酵素VP39が好適に使用されるため、詳細な説明は省略する。
従来から、RNAにキャップ構造を付加するためには、ワクシニアウイルスやポックスウイルス等のウイルスの酵素が用いられてきた。しかしながら、これらのウイルスの酵素をそのまま用いた場合、安全性の面で問題がある。また、これらのウイルスから大量のキャッピング酵素を精製することは、操作が煩雑であり、またその精製度も十分なものではないという問題もあった。
これに対し、本発明のキャップ化RNAの製造方法は、前記酵素D1N、前記酵素ABD1、及び前記酵素VP39を使用するため、安全性が高く、高精製度で、かつ効率よく大量にキャップ化RNAを製造することができる点で有利である。
前記キャップ構造付加工程において、前記酵素D1N、前記酵素ABD1、及び前記酵素VP39は、1回の反応において、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記酵素D1N、前記酵素ABD1、及び前記酵素VP39を使用する順序としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記RNA合成工程で合成されたRNAと、前記酵素D1Nとを反応させた後、前記酵素ABD1と反応させ、最後に酵素VP39と反応させることが、効率よくキャップ1構造を有するキャップ化RNAを得ることができる点で好ましい。
前記キャップ構造付加工程において、前記各キャッピング酵素を反応させる際の反応系に含まれる組成としては、キャップ化対象であるRNAと、前記各キャッピング酵素と、基質(GTP、S−アデノシルメチオニン)と、を少なくとも含むことが好ましく、前記RNAの分解を防止する目的でRNaseインヒビターを含むことがより好ましく、その他、前記各キャッピング酵素の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記基質のうち、キャップ構造を形成するGTPは、標識を有することが、後述するRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング等に用いる際に解析が容易である点で好ましい。
前記標識としては、前記RNA合成工程と同様のものなどが挙げられる。
前記キャップ構造付加工程において、前記各キャッピング酵素を反応させる際の反応温度としては、前記酵素が活性を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜38℃が好ましく、36℃〜37℃がより好ましい。
前記キャップ構造付加工程において、前記各キャッピング酵素を反応させる際の反応時間としては、十分にキャップ構造が付加され得る時間であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60分間〜180分間が好ましく、60分間〜120分間がより好ましい。
前記キャップ構造付加工程におけるキャップ構造付加効率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記RNAの全量に対して、キャップコア構造(GpppG)、キャップ0構造(mGpppG)、及びキャップ1構造(mGpppmG)を合わせた全キャップ構造を有するRNAが、95%以上であることが好ましく、100%であることがより好ましい。
また、前記キャップ構造の中でも、特にインフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼに好適に認識されるキャップ1構造が付加されたものが多いことが好ましい。そのため、キャップ構造が付加されたRNAの90%以上がキャップ1構造であることが好ましく、95%以上がキャップ1構造であることがより好ましく、100%がキャップ1構造であることが特に好ましい。
本発明のキャップ化RNAの製造方法によれば、このように高度にキャップ1構造が付加されたキャップ化RNAを効率よく得ることができる点で有利である。
前記各キャップ構造の含有量は、前記キャップ構造付加工程後のキャップ化RNAから、ヌクレアーゼP1等のホスホジエステラーゼを用いてキャップ構造を遊離させ、これを薄層クロマトグラフィーで展開し、前記キャップ構造に結合させた標識を利用して、各キャップ構造の量を分析することにより求めることができる。したがって、前記キャップ構造付加効率は、キャップ構造を付加する前のRNA全量を100%とし、これに対するキャプ化されたRNAの割合を調べることで算出することができる。
図1に、前記好ましい態様で各酵素を反応させた場合のフローチャートの一例を示すが、本発明のキャップ化RNAの製造方法におけるキャップ構造付加工程は、これに限られるものではない。
図1の例において、「p」はリン酸基、「N」は任意の塩基、「G」はグアニン、「m」はメチル基を表す。
RNA(pppNpNp−RNA)に、前記酵素D1Nを作用させると、該酵素D1NのRNA5’−トリホスファターゼ活性により、RNAの5’末端における3リン酸のうち1つのリン酸が脱リン酸化される(ppNpNp−RNA)。次いで、前記酵素D1NのmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性により該5’末端にグアニン(G)が付加され、キャップコア構造(G(5’)pppNpNp−RNA)が形成される。次いで、前記酵素ABD1のmRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性により、前記キャップコア構造の5’末端のグアニンの7位にメチル基が導入され、キャップ0構造(mG(5’)pppNpNp−RNA)が形成される。最後に前記酵素VP39のmRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性により、前記キャップ0構造の前記グアニン(5’末端の塩基)の次の塩基(5’末端から2番目の塩基)にメチル基が導入され、キャップ1構造(mG(5’)pppNmpNp−RNA)が形成される。
<<キャップ化RNA>>
前記キャップ化RNAの製造方法により製造されたキャップ化RNAの長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、13塩基〜40塩基が好ましく、28塩基〜40塩基がより好ましく、33塩基が特に好ましい。前記キャップ化RNAの長さが、13塩基未満であると、インフルエンザウイルスの活性測定に使用できなくなることがある。
前記キャップ化RNAの長さは、前記鋳型DNAの長さにより調整することができる。
前記キャップ化RNAの塩基配列としては、特に制限はなく、前記鋳型DNAの配列などに応じて適宜選択することができるが、前記RNAの製造方法により製造されたキャップ化RNAが、後述するスクリーニング方法に用いられる場合、該キャップ化RNAにおけるキャップ構造が付加されたグアニンを除いて、5’末端から11番目〜13番目がアデニン(A)であることが、前記インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼに認識されやすい点で好ましい。
図2に、本発明のキャップ化RNAの製造方法について、鋳型DNA配列として前記配列番号9で表される塩基配列を用いた場合のフローチャートの一例を示すが、本発明のキャップ化RNAの製造方法は、これに限られるものではない。
まず、前記RNA合成工程において、前記配列番号9で表される鋳型DNA配列と、下記配列番号11で表されるT7プライマーと、T7RNAポリメラーゼとを反応させることにより、前記配列番号10で表されるRNA(mRNA)が合成される。合成されたRNAは、前記精製工程で固相抽出法により精製され、前記RNA合成工程における副反応により産生されたジヌクレオチドが除去される。次いで、前記キャップ構造付加工程において、まず、前記酵素D1Nと、放射性標識(ここでは、α−32P)されたGTPとを含む反応系で、前記配列番号10で表されるRNAの5’末端に、放射性標識を有するグアニン(Gp)が付加され、下記配列番号12で表される塩基からなるキャップコア構造が形成される。なお、図2において「*」は、放射性標識を示す。次に、前記酵素ABD1により、キャップコア構造の5’末端のグアニンの7位にメチル基が導入され、下記配列番号13で表される塩基からなるキャップ0構造が形成される。更に、前記酵素VP39により、前記キャップ0構造の5’末端から2番目の塩基にメチル基が導入され、下記配列番号4で表される塩基からなるキャップ1構造が形成される。
5’−AAGCTTAATACGACTCACTATAGAA−3’(配列番号11)
5’−GpppGAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA−3’(配列番号12)
5’−mGpppGAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA−3’(配列番号13)
5’−mGpppGmAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA−3’(配列番号4)
<用途>
前記キャップ化RNAは、RNAポリメラーゼメラーゼ、特にインフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼによって、そのキャップ構造部分を含む十数ヌクレオチドが好適に切断される。したがって、本発明の前記キャップ化RNAの製造方法によって製造されたキャップ化RNAは、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼの反応を阻害する物質のスクリーニングに好適に用いることができ、特に後述の本発明のスクリーニング方法に好適に利用できる。
(スクリーニング方法)
本発明のスクリーニング方法は、本発明の前記キャップ化RNAの製造方法で製造されたキャップ化RNAを用い、RNAポリメラーゼを阻害する物質(RNAポリメラーゼ阻害剤)をスクリーニングする方法である。
前記RNAポリメラーゼ阻害剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼ(インフルエンザRNAポリメラーゼとも称することがある)を阻害するRNAポリメラーゼ阻害剤であり、該RNAポリメラーゼが有するキャップ化RNAの切り出し反応(キャップ依存エンドヌクレアーゼ活性)を阻害する物質であることが好ましい。
前記インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼとしては、該インフルエンザウイルスは抗原性の違いにより、A型、B型、C型などに分類され、A型ウイルスは更に、表面抗原の違いによりHA(H1〜H15)、NA(N1〜N9)の亜型に分類されているが、RNAポリメラーゼは型間においても、活性ドメインのアミノ酸配列がかなりよく保存されていることが知られている。したがって、前記スクリーニング方法においては、全ての抗原性のインフルエンザウイルスを対象とすることができる。
前記インフルエンザRNAポリメラーゼの調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発育鶏卵を用いてインフルエンザウイルスを培養し、ウイルス粒子を精製後、界面活性剤処理してウイルス粒子を破壊し、RNAポリメラーゼとウイルスRNA及びNP(ヌクレオプロテイン)からなるRNP(リボヌクレオプロテイン)をグリセロール密度勾配遠心処理で精製する方法などが挙げられる。
前記スクリーニング方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)被験物質の存在又は非存在下で、前記キャップ化RNAと、前記RNAポリメラーゼとを、該RNAポリメラーゼが反応し得る緩衝液中で反応させる反応工程と、(2)前記反応工程で得られた溶液中のRNAポリメラーゼ活性を検出する検出工程と、(3)前記検出工程の結果に基づき、前記被験物質の存在下におけるRNAポリメラーゼ活性が、該被験物質非存在におけるRNAポリメラーゼ活性より低い場合に、該被験物質を、RNAポリメラーゼ阻害活性を有する物質として選択する選択工程と、を含むことが好ましい。
<反応工程>
前記反応工程における反応温度としては、前記RNAポリメラーゼ活性が生じ得る温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、28℃〜33℃が好ましく、28℃〜30℃がより好ましい。
前記反応工程における反応時間としては、前記RNAポリメラーゼ活性が生じ得る時間であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5時間〜2時間が好ましく、0.5時間〜1時間がより好ましい。
前記反応工程における前記緩衝液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記RNAポリメラーゼとしてインフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼを使用する場合、該インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼは、マグネシウム(Mg)要求性であるため、マグネシウムを含むことが好ましい。また、EDTA等のキレート剤の添加により、酵素反応の開始や停止を制御することができる。
<検出工程>
前記RNAポリメラーゼの活性を検出する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記反応工程後の溶液を電気泳動等により分析し、キャップ化RNAの構造を分析する方法、即ち、キャップ化RNAのキャップ構造が、RNAポリメラーゼにより分解されたか否かを分析する方法などが挙げられる。
前記検出する方法としては、特に制限はなく、標識の種類等に応じて適宜選択することができる。
<選択工程>
前記選択工程において、前記被験物質の存在下におけるRNAポリメラーゼ活性が、該被験物質非存在におけるRNAポリメラーゼ活性より低いことは、前記被験物質の存在下におけるキャップ化RNAのキャップ構造が、該被験物質非存在におけるキャップ化RNAのキャップ構造と比べて分解されている場合に、該被験物質を、RNAポリメラーゼ阻害活性を有する物質として選択することができる。
なお、前記例示した方法では、被験物質の存在又は非存在下で比較したが、本発明のスクリーニング方法は、被験物質の存在下同士の比較を行い、よりRNAポリメラーゼ阻害活性が強いものを選択してもよい。
具体例としては、被験物質Aと被験物質Bについてスクリーニングを行った場合、該被験物質Aの存在下におけるRNAポリメラーゼ活性が、該被験物質Bの存在下におけるRNAポリメラーゼ活性より低い場合、該被験物質Aを、より優れたRNAポリメラーゼ阻害剤として選択することができる。
<被験物質>
前記被験物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然物、合成物などが挙げられる。また、前記被験物質は、高分子化合物であってもよく、低分子化合物であってもよい。これらの中でも、医薬品として用いるためには、低分子化合物であることが好ましい。
これらの被験物質は、その物質の性質に応じて、適宜溶媒を選択して溶解後、前記反応工程に供することが好ましい。なお、前記被験物質非存在下の対照としては、前記被験物質の溶媒を同量添加することが好ましい。
なお、RNAポリメラーゼ阻害剤としては、下記構造式(1)で表されるファビピラビルや、その活性体である下記構造式(2)で表されるファビピラビル3リン酸(富山化学工業社製)などが知られており、該ファビピラビル乃至その誘導体などを対照として用いてもよい(Furuta,Y. et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 2005, 49(3), p.981−986参照)。
(キット)
本発明のキットは、RNAポリメラーゼを阻害する物質をスクリーニングすることに用いられるキットであり、T7RNAポリメラーゼと、RNAを担持し得る固相と、本発明の前記酵素(前記酵素D1N、前記酵素ABD1、及び前記酵素VP39の少なくともいずれか)とを少なくとも含み、必要に応じて、更に蛍光標識、放射性標識、標識を有していてもよい基質(NTPs)内部標準マーカー、プレート、緩衝溶液、容器、使用説明書等のその他の要素を含む。
<用途>
前記キットは、簡便に前記RNAポリメラーゼの阻害活性を測定できるため、該RNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニングなどに好適に利用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1:酵素D1Nの製造)
<遺伝子増幅工程>
ワクシニアウイルスであるWTF7−3株(学校法人北里研究所、中山哲夫博士より供与)から常法に従ってゲノムDNA(cDNA)を調製した。このゲノムDNAを鋳型として用い、下記配列番号14及び15で表されるプライマーを含む下記組成のPCR反応液を用いてmRNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有するD1Nの遺伝子(以下、「D1N遺伝子」と略記する)をPCR反応〔94℃・2分間を1サイクル、次いで、94℃・1分間、55℃・1分間、及び72℃・2分間を25サイクル〕により増幅した。
[PCR反応液]
下記組成を混合し、合計100μLのPCR反応液とした。
・20mMトリス塩酸(pH8.3)
・2mM塩化マグネシウム
・0.05質量% Tween20
・200μM dNTPs
・50pmol forwardプライマー(配列番号14)
・50pmol reverseプライマー(配列番号15)
・50ngゲノムDNA
・5U ex−Tag polymerase(タカラバイオ株式会社製)
[プライマー配列]
forwardプライマー: 5’−GGCATATGGATGCCAACGTAGATCATC−3’(配列番号14)
reverseプライマー: 5’−GGAAGCTTAATCCGATAGTTTATCCTCG−3’(配列番号15)
なお、配列番号14において下線で示す箇所は、NdeI制限酵素部位であり、配列番号15において下線で示す箇所は、HindIII制限酵素部位である。
<クローニング工程>
得られたD1N遺伝子を、遺伝子精製キット(QIA quick PCR purification kit、キアゲン社製)を用いて精製した後、HincIIで消化したpUC19 DNA(タカラバイオ株式会社製)にクローニングした。常法により塩基配列を確認した後、NdeI及びHindIIIを用いて消化し、アガロース電気泳動法によって目的のDNA断片を分離し、精製した。
Hisタグを有する大腸菌発現ベクターpT7−7(University of California, Los Angeles、Sam Chow博士より供与)をNdeI及びHindIII、並びに、NdeI及びBamHIで二重消化し、前記精製したDNA断片を挿入し、Hisタグ融合D1N発現プラスミド(以下、「pT7−7(His)−D1N」と称することがある)を作製した。
<組換えタンパク質発現工程>
大腸菌BL21(DE3)pLysS株(インビトロジェン社)を、pT7−7(His)−D1Nを用いて常法により形質転換した。形質転換した大腸菌は、0.01質量%のアンピシリンを添加したLB培地(ナカライテスク株式会社製)を用いて、25℃にて、550nmにおける吸光度が1.0となるまで振盪培養した。次いで0.5mMイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)を添加後、更に5時間培養し、Hisタグ融合D1Nタンパク質を発現させた。
<精製工程>
培養後、Hisタグ融合D1Nタンパク質を発現する大腸菌を遠心分離により集菌した。これを、LB培地1Lあたりに40mLの緩衝液1〔20mMトリス塩酸(pH8.0)、5mM 2−メルカプトエタノール、0.2mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、100mM L−(+)−アルギニン塩酸塩、10質量%グリセロール、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)〕を含む破砕液に懸濁した後、超音波処理により該大腸菌を破砕した。破砕した大腸菌を含む破砕液を、6,000rpm、4℃、30分間の条件で遠心分離し、得られた上清を、透析溶液〔20mMトリス塩酸(pH8.0)、5mM 2−メルカプトエタノール、10質量%グリセロール〕に対して透析し、透析画分を得た。
前記透析画分を含む前記培養液1Lに対して1mLのNi−NTA agarose(キアゲン社製)を添加し、Hisタグ融合D1Nタンパク質を結合させた。次いで、Hisタグ融合D1Nタンパク質を結合させたNi−NTA resinを、20mMイミダゾールを含む10mLの緩衝液1で3回洗浄した後、カラムに詰めた。このカラムを、20mMから250mMのイミダゾールの直線濃度勾配により展開し、目的とするD1Nタンパク質を含む画分を集めた(以下、「NTA−D1Nタンパク質画分」と称することがある)。
NTA−D1Nタンパク質画分を緩衝液2〔20mMトリス塩酸(pH7.1)、1mM EDTA、10質量%グリセロール、0.5mMジチオトレイトール(DTT)〕に対して透析し、SP−Sepharose FPLC(GEヘルスケア社製)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した(以下、「SP−D1Nタンパク質画分」と称することがある)。なお、前記カラムクロマトグラフィーは、緩衝液2中で塩化ナトリウム濃度を0Mから1Mに直線的に増加させた。
目的とするSP−D1Nタンパク質画分を集め、緩衝液3〔20mM HEPES−Na(pH7.9)、50質量%グリセロール、1mM EDTA、1mM DTT〕に対して透析し、精製D1Nタンパク質として酵素D1Nを得た。なお、2Lの培養液から得られた精製D1Nタンパク質の収量を、Bradford法で測定した結果、0.19mgであった。
各画分についてSDS−PAGEを行い、CBB(Coomassie brilliant blue)染色して確認した結果を図3に示す。図3において、61kDaの位置に酵素D1Nが確認された。なお、図3において「M」は分子量マーカーを示し、レーン1は、Ni−NTA agaroseに結合しなかったNTA agarose非吸着画分を示し、レーン2は、Ni−NTA agarose精製後のNTA−D1Nタンパク質画分を示し、レーン3は、SP−Sepharose FPLC精製後の精製D1Nタンパク質を示す。
(製造例2:組換えタンパク質ABD1の製造)
<遺伝子増幅工程>
製造例1の遺伝子増幅工程において、鋳型としてのゲノムDNAを、出芽酵母であるA364a株(国立大学法人東京大学、中福雅人博士より供与)から常法に従って調製したゲノムDNAに変え、かつ、配列番号14及び15で表されるプライマーを、下記配列番号16及び17で表されるプライマーに変えたこと以外は、製造例1の遺伝子増幅工程と同様の方法で、出芽酵母m7GメチルトランスフェラーゼABD1遺伝子(以下、「ABD1遺伝子」と略記する)を増幅した。
[プライマー配列]
forwardプライマー: 5’−CCAGTGCATATGTCAACCAAACCAG−3’(配列番号16)
reverseプライマー: 5’−CCCGGATCCTCAGTTGGGCTTTACGC−3’(配列番号17)
なお、配列番号16において下線で示す箇所は、NdeI制限酵素部位であり、配列番号17において下線で示す箇所は、BamHI制限酵素部位である。
<クローニング工程>
得られたABD1遺伝子を、遺伝子精製キット(QIA quick PCR purification kit、キアゲン社製)を用いて精製した後、HincIIで消化したpUC19 DNA(タカラバイオ株式会社製)にクローニングした。塩基配列を確認した後、NdeI及びBamHIを用いて消化し、アガロース電気泳動法によって目的のDNA断片を分離し、精製した。
Hisタグを有する大腸菌発現ベクターpT7−7(UCLA Sam Chow博士より供与)をNdeI及びHindIII、並びに、NdeI及びBamHIで二重消化し、前記精製したDNA断片を挿入し、Hisタグ融合ABD1遺伝子発現プラスミド(以下、「pT7−7(His)−ABD1遺伝子」と称することがある)を作製した。
<組換えタンパク質発現工程>
製造例1の組換えタンパク質発現工程において、大腸菌BL21(DE3)pLysS株をpT7−7(His)−D1Nで形質転換したことに変えて、大腸菌BL21(DE3)pLysS株をpT7−7(His)−ABD1で形質転換したこと以外は、製造例1の組換えタンパク質発現工程と同様の方法でHisタグ融合ABD1タンパク質を発現させた。
<精製工程>
製造例1の精製工程において、Hisタグ融合D1Nタンパク質を発現する大腸菌を、Hisタグ融合ABD1タンパク質を発現する大腸菌に変えたこと以外は、製造例1の精製工程と同様の方法で、精製ABD1タンパク質として酵素ABD1を得た。2Lの培養液から得られた精製ABD1タンパク質の収量を、製造例1と同様の方法で測定した結果、1.60mgであった。
各画分について製造例1と同様の方法で、SDS−PAGEを行い、CBB染色して確認した結果を図4に示す。図4において、48kDaの位置に酵素ABD1が確認された。なお、図4において「M」は分子量マーカーを示し、レーン1は、Ni−NTA agaroseに結合しなかったNTA agarose非吸着画分を示し、レーン2は、Ni−NTA agarose精製後のNTA−ABD1タンパク質画分を示し、レーン3は、SP−Sepharose FPLC精製後の精製ABD1タンパク質を示す。
(製造例3:酵素VP39の製造)
<遺伝子増幅工程>
製造例1の遺伝子増幅工程において、配列番号14及び15で表されるプライマーを、下記配列番号18及び19で表されるプライマーに変えたこと以外は、製造例1の遺伝子増幅工程と同様の方法で、mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼVP39活性を有するVP39の遺伝子(以下、「VP39遺伝子」と略記する)を増幅した。
[プライマー配列]
forwardプライマー: 5’−GGCATATGGATGTTGTGTCGTTAGATAAACC−3’(配列番号18)
reverseプライマー: 5’−CCGGATCCTTATTTATTACCGCGTACGGATCTC−3’(配列番号19)
なお、配列番号18において下線で示す箇所は、NdeI制限酵素部位であり、配列番号19において下線で示す箇所は、BamHI制限酵素部位である。
<クローニング工程>
製造例2のクローニング工程において、クローニング対象であるABD1遺伝子を、VP39遺伝子に変えたこと以外は、製造例2のクローニング工程と同様の方法でHisタグ融合VP39発現プラスミド(以下、「pT7−7(His)−VP39」と称することがある)を作製した。
<組換えタンパク質発現工程>
製造例1の組換えタンパク質発現工程において、大腸菌BL21(DE3)pLysS株をpT7−7(His)−D1Nで形質転換したことに変えて、大腸菌BL21(DE3)pLysS株をpT7−7(His)−VP39で形質転換したこと以外は、製造例1の組換えタンパク質発現工程と同様の方法でHisタグ融合VP39タンパク質を発現させた。
<精製工程>
製造例1の精製工程において、Hisタグ融合D1Nタンパク質を発現する大腸菌を、Hisタグ融合VP39タンパク質を発現する大腸菌に変えたこと以外は、製造例1の精製工程と同様の方法で、精製VP39タンパク質として、酵素VP39を得た。2Lの培養液から得られた精製VP39タンパク質の収量を、製造例1と同様の方法で測定した結果、0.50mgであった。
各画分について製造例1と同様の方法で、SDS−PAGEを行い、CBB染色して確認した結果を図5に示す。図5において、37kDaの位置に酵素VP39が確認された。なお、図5において「M」は分子量マーカーを示し、レーン1は、Ni−NTA agaroseに結合しなかったNTA agarose非吸着画分を示し、レーン2は、Ni−NTA agarose精製後のNTA−VP39タンパク質画分を示し、レーン3は、SP−Sepharose FPLC精製後の精製VP39タンパク質を示す。
(実施例1:キャップ化RNA1の製造)
<RNA合成工程>
下記配列番号9で表される塩基配列を鋳型DNA(二本鎖DNA)として含む、下記組成の反応液を用いて、37℃で2時間転写反応を行い、mRNAを合成した。
[反応液]
下記組成を混合し、合計100μLの反応液とした。
・10pmol/μL 鋳型DNA(配列番号9) 4μL
・10pmol/μL T7プライマー(配列番号11) 4μL
・1M トリス塩酸(pH8.0) 4μL
・1M スペルミジン 0.1μL
・20質量% TritonX−100 0.25μL
・1M 塩化マグネシウム 1μL
・1M DTT 0.5μL
・10mM GTP 2.5μL
・10μCi/μL[α−32P]GTP(室町薬品株式会社製) 0.5μL
・100mM ATP 1μL
・100mM UTP 1μL
・100U/mL T7RNAポリメラーゼ(インビトロジェン株式会社製) 4μL
・RNaseを含まない水 残部
[鋳型DNA]
5’−TTAATTAATTAATATTATATTTTTTAATTATTCTATAGTGAGTCGTATTAAGCTT−3’(配列番号9)
[T7プライマー]
5’−AAGCTTAATACGACTCACTATAGAA−3’(配列番号11)
前記mRNAの合成反応終了後、フェノール/クロロホルム法によりタンパク質を除去し、常法によりエタノール沈殿を行い、mRNAを回収した。回収後のmRNAは、滅菌水に溶解した(以下、「未精製RNA1」と称することがある)。
未精製RNA1の放射活性を液体シンチレーションカウンター(日立アロカメディカル株式会社製)で測定することにより、mRNAの濃度を定量したところ、250μg/mLであった。
なお、得られた未精製RNA1は、下記配列番号10で表されるmRNAであり、その長さは、7M尿素を含む18質量%ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で確認した。
5’−pppGAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA−3’(配列番号10)
<精製工程>
得られた未精製RNA1を、C18逆相カラムクロマトグラフィーにより以下に示す方法で精製した。
まず、C18カートリッジ(InterSep(登録商標)Slim−JC18、GL−サイエンス社製)を、50mMギ酸アンモニウム(pH2.7)を用いて平衡化した。ここに前記未精製RNA1を1nmol添加した後、C18カートリッジを1mLの50mMギ酸アンモニウム水溶液(pH2.7)で5回洗浄した(以下、1回の洗浄ごとの画分をそれぞれ「洗浄画分1」、「洗浄画分2」、「洗浄画分3」、「洗浄画分4」、及び「洗浄画分5」と称することがある)。次いで、1質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウム(pH2.7)1mLで3回溶出し(以下、1回の溶出ごとの画分をそれぞれ「1質量%−1」、「1質量%−2」及び「1質量%−3」と称することがある)、次いで、2質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウム(pH2.7)1mLで3回溶出し(以下、1回の溶出ごとの画分をそれぞれ「2質量%−1」、「2質量%−2」及び「2質量%−3」と称することがある)、次いで、3質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウム(pH2.7)1mLで3回溶出し(以下、1回の溶出ごとの画分をそれぞれ「3質量%−1」、「3質量%−2」及び「3質量%−3」と称することがある)、次いで、4質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウム(pH2.7)1mLで3回溶出し(以下、1回の溶出ごとの画分をそれぞれ「4質量%−1」、「4質量%−2」及び「4質量%−3」と称することがある)、次いで、5質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウム(pH2.7)1mLで3回溶出(以下、1回の溶出ごとの画分をそれぞれ「5質量%−1」、「5質量%−2」及び「5質量%−3」と称することがある)することにより、段階的な溶出を行った。
未精製RNA1と、C18カートリッジに吸着しなかった非吸着画分と、得られた各洗浄画分と、各溶出分画とを、7M尿素存在下の20質量%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。
図6の結果より、未精製RNA1には、配列番号10で表されるmRNAの他に、大量のジヌクレオチド(pppGpA)が含まれていることがわかった。
一方、このジヌクレオチドは、C18逆相カラムクロマトグラフィーによる精製でそのほとんどが除かれ、前記段階的な溶出において、4質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウム、及び5質量%アセトニトリル水溶液を添加した50mMギ酸アンモニウムによる溶出画分には、配列番号10で表されるmRNAのみを含む画分(4質量%−1、4質量%−2、5質量%−1、及び5質量%−2)が得られることがわかった。
以下の実施例においては、前記画分(4質量%−1、4質量%−2、5質量%−1、及び5質量%−2)を集め、遠心濃縮により濃縮したものを用いた(以下、「精製RNA1」と称することがある)。
<キャップ構造付加工程>
前記精製RNA1を含む、下記組成の反応液を用いて、37℃で60分間反応させた後、製造例3で製造したVP39タンパク質(0.18mg/mL)を15μL加え、更に37℃で60分間反応させた。ここに100μLの反応停止液〔20mMトリス塩酸(pH7.5)、20mM EDTA、0.2質量%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)〕を加えて反応を停止させ、フェノール/クロロホルム法によりタンパク質を除去し、常法によりエタノール沈殿を行い、キャップ構造を付加したRNA(以下、「キャップ化RNA1」と称することがある)を回収した。
[反応液]
下記組成を混合し、合計100μLの反応液とした。
・1M トリス塩酸(pH7.9) 4μL
・100mM 塩化マグネシウム 1.5μL
・1M DTT 0.5μL
・10mM GTP 2μL
・10μCi/μL[α−32P]GTP(室町薬品株式会社製) 5μL
・2mM S−アデノシルメチオニン 5μL
・精製RNA1 1.25μg
・0.05mg/mL D1Nタンパク質 11μL
・0.42mg/mL ABD1タンパク質 5μL
・20U/mL RNaseインヒビター(タカラバイオ株式会社製) 2μL
・10mg/mL ウシ血清アルブミン 2μL
・RNaseを含まない水 残部
(比較例1:キャップ化RNA2の製造)
<RNA合成過程>
市販のRNA合成キット(AmpliScribeTM T7 High Yield Transcription Kit、エピセンター社製)を用いて、前記RNA合成キットの説明書に記載の方法に従い、mRNAを合成した。具体的には、下記組成の反応液を用いて、37℃で2時間転写反応を行い、mRNA(以下、「未精製RNA2」と称することがある)を合成した。
[反応液]
下記組成を混合し、合計100μLの反応液とした。
・10pmol/μL 鋳型DNA(配列番号9) 4μL
・10pmol/μL T7プライマー(配列番号11) 4μL
・10×AmpliScribe T7 Reaction Buffer 10μL
・100mM ATP 7.5μL
・100mM CTP 7.5μL
・100mM GTP 1μL
・10μCi/μL[α−32P]GTP(室町薬品株式会社製) 2μL
・100mM UTP 7.5μL
・100mM DTT 10μL
・RiboGuard RNase Inhibitor 2.5μL
・AmpliScribe T7 Enzyme Solution 10μL
・RNaseを含まない水 残部
<キャップ構造付加工程>
前記RNA合成工程で得られた未精製RNA2は、精製工程を経ず、以下のキャップ構造付加工程を行った。
市販のキャップ構造付加キット(ScriptCapTMG capping System、エピセンター社製)を用いて、前記キャップ構造付加キットの説明書に記載の方法に従い、未精製RNA2にキャップ構造を付加した。なお、未精製RNA2にキャップ1構造を付加するために、前記キャップ構造付加キットに、更にScriptCap 2’−O−Methyltransferase(エピセンター社製)を添加してキャップ付加工程を行った。前記キャップ構造付加キットを用いたキャップ化反応は、具体的には下記組成の反応液を用いて、37℃で1時間反応させた。
[反応液]
下記組成を混合し、合計20μLの反応液とした。
・未精製RNA2 1.25μg
・10×ScriptCap Capping Buffer 2.0μL
・10mM GTP 2.0μL
・2mM SAM 1.0μL
・ScriptGuard RNase Inhibitor 0.5μL
・ScriptCap Capping Enzyme 1.0μL
・ScriptCap 2’−O−Methyltransferase 1.0μL
・RNaseを含まない水 残部
次いで、実施例1のキャップ付加工程と同様に、フェノール/クロロホルム法によりタンパク質を除去し、常法によりエタノール沈殿を行い、キャップ構造を付加したRNA(以下、「キャップ化RNA2」と称することがある)を回収した。
(比較例2:キャップ化RNA3の製造)
実施例1において、キャップ構造付加工程を、下記に記載の方法に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法でキャップ構造を付加したRNA(以下、「キャップ化RNA3」と称することがある)を合成した。
なお、比較例2において、RNA合成工程で得られたmRNAを「未精製RNA3」、精製工程で得られたmRNAを「精製RNA3」と称することがある。
<キャップ構造付加工程>
市販のキャップ構造付加キット(ScriptCapTMG capping System、エピセンター社製)を用いて、前記キャップ構造付加キットの説明書に記載の方法に従い、精製RNA3にキャップ構造を付加した。なお、精製RNA3にキャップ1構造を付加するために、前記キャップ構造付加キットに、更にScriptCap 2’−O−Methyltransferase(エピセンター社製)を添加してキャップ付加工程を行った。前記キャップ構造付加キットを用いたキャップ化反応は、具体的には下記組成の反応液を用いて、37℃で1時間反応させた。
[反応液]
下記組成を混合し、合計20μLの反応液とした。
・精製RNA3 1.25μg
・10×ScriptCap Capping Buffer 2.0μL
・10mM GTP 2.0μL
・2mM SAM 1.0μL
・ScriptGuard RNase Inhibitor 0.5μL
・ScriptCap Capping Enzyme 1.0μL
・ScriptCap 2’−O−Methyltransferase 1.0μL
・RNaseを含まない水 残部
次いで、実施例1のキャップ付加工程と同様に、フェノール/クロロホルム法によりタンパク質を除去し、常法によりエタノール沈殿を行い、キャップ構造を付加したキャップ化RNA3を回収した。
(比較例3:キャップ化RNA4の製造)
実施例1において、RNA合成工程を以下に記載の方法に変え、精製工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でキャップ構造を付加したRNA(以下、「キャップ化RNA4」と称することがある)を合成した。
<RNA合成工程>
市販のRNA合成キット(AmpliScribeTM T7 High Yield Transcription Kit、エピセンター社製)を用いて、前記RNA合成キットの説明書に記載の方法に従い、mRNAを合成した。具体的には、下記組成の反応液を用いて、37℃で2時間転写反応を行い、mRNA(以下、「未精製RNA4」と称することがある)を合成した。
[反応液]
下記組成を混合し、合計100μLの反応液とした。
・10pmol/μL 鋳型DNA(配列番号9) 4μL
・10pmol/μL T7プライマー(配列番号11) 4μL
・10×AmpliScribe T7 Reaction Buffer 10μL
・100mM ATP 7.5μL
・100mM CTP 7.5μL
・100mM GTP 1μL
・10μCi/μL[α−32P]GTP(室町薬品株式会社製) 2μL
・100mM UTP 7.5μL
・100 mM DTT 10μL
・RiboGuard RNase Inhibitor 2.5μL
・AmpliScribe T7 Enzyme Solution 10μL
・RNaseを含まない水 残部
(比較例4:RNA2の製造)
比較例1におけるRNA合成工程と同様の方法でmRNAの合成を行い、mRNA(以下、「未精製RNA5」と称することがある)を合成した。比較例4では、未精製RNA5について、精製工程及びキャップ構造付加工程を行わなかった。
実施例1及び比較例1〜4について、下記表1にまとめて示す。なお、表1において、表中の各用語は、以下の意味を示す。
・「T7RNAポリメラーゼ」:実施例1に記載の方法でRNA合成工程を行ったことを示す。
・「C18逆相クロマトグラフィー」:実施例1に記載の方法で精製工程を行ったことを示す。
・「D1N+ABD1+VP39」:実施例1に記載の方法でキャップ構造付加工程を行ったことを示す。
・「市販のRNA合成キット」:AmpliScribeTM T7 High Yield Transcription Kit(エピセンター社製)を用いてRNA合成工程を行ったことを示す。
・「市販のキャップ構造付加キット」:ScriptCapTMG capping System(エピセンター社製)に、ScriptCap 2’−O−Methyltransferase(エピセンター社製)を添加してャップ構造付加工程を行ったことを示す。
(試験例1)
<ジヌクレオチド含有量の分析>
実施例1における未精製RNA1、比較例4で得られた未精製RNA5、実施例1及び比較例1〜3で得られたキャップ化RNA1〜4を、7M尿素存在下の20質量%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。結果を図7に示す。
図7の結果、精製工程を行わなかった比較例1及び3では、大量のジヌクレオチド(pppGpA)が混在していた。
(試験例2)
<キャッピング酵素の機能解析>
製造例1で製造したD1Nタンパク質、製造例2で製造したABD1タンパク質、及び製造例3で製造したVP39タンパク質の機能について分析した。
(1)実施例1のキャップ構造付加工程において、酵素D1N、酵素ABD1、及び酵素VP39のいずれも添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でキャップ構造付加工程を行った。
(2)実施例1のキャップ構造付加工程において、ABD1タンパク質及びVP39タンパク質を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でキャップ構造付加工程を行った。
(3)実施例1のキャップ構造付加工程において、VP39タンパク質を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でキャップ構造付加工程を行った。
実施例1で得られたキャップ化RNA1及び上記(1)〜(3)で得られた各RNAに、等量の0.5M酢酸アンモニウム(pH4.8)及び1U/μLのヌクレアーゼP1(生化学工業株式会社製)を含む溶液を加え、50℃にて60分間反応させ、キャップ構造を遊離させた。この溶液を、ポリエチレンイミン薄層クロマトグラフィーで展開後、オートラジオグラフィーを行った。結果を図8に示す。
図8の結果より、D1Nタンパク質のみを用いた場合(上記(2)、図8のレーン2)、キャップコア構造(GpppG)が付加され、D1Nタンパク質及びABD1タンパク質を用いた場合(上記(3)、図8のレーン3)、キャップ0構造(mGpppG)が付加され、D1Nタンパク質、ABD1タンパク質、及びVP39タンパク質を用いた場合(実施例1、図8のレーン4)、キャップ1構造(mGpppmG)が付加されることが確認できた。
(試験例3)
<キャップ化RNAの構造解析>
実施例1における未精製RNA1、比較例4で得られた未精製RNA5、実施例1及び比較例1〜3で得られたキャップ化RNA1〜4に、等量の0.5M酢酸アンモニウム(pH4.8)及び1U/μLのヌクレアーゼP1(生化学工業株式会社製)を含む溶液を加え、50℃にて60分間反応させ、キャップ構造を遊離させた。この溶液を、ポリエチレンイミン薄層クロマトグラフィーで展開後、オートラジオグラフィーを行った。結果を図9に示す。
図9の結果、AmpliCap−Max T7 High Yield Message Maker Kits(エピセンター社製)の方法でキャップ化RNAを合成した比較例1(キャップ化RNA2)及び前記キットの方法でRNA合成工程を行った後、酵素D1N、酵素ABD1、及び酵素VP39でキャップ化を行った比較例3は、キャップコア構造、キャップ0構造、及びキャップ1構造が混在していた。また、精製工程を経て、キャップ構造付加工程におけるキャッピング酵素のみ前記キットに付属の酵素を用いて行った比較例2においては、キャップコア構造は認められなかったものの、キャップ化反応が不完全であり、キャップ0構造とキャップ1構造が混在していた。
一方、実施例1は、ほぼ全てがキャップ1構造であった。したがって、酵素D1N、酵素ABD1、及び酵素VP39を用いることにより、キャップ1構造を有するキャップ化RNAが、ほぼ100%のキャップ付加効率で得られることがわかった。
この結果は、全てがキャップ1構造を有するキャップ化RNAを得るために、キャップ構造付加工程において、酵素D1N、酵素ABD1、及び酵素VP39を用いること、また前記精製工程を行うことが重要であることを示唆している。
(試験例4)
<インフルエンザウイルスによるキャップスナッチング反応>
−インフルエンザウイルスの精製−
インフルエンザウイルス(A/Puerto Rico/8/34/H1N1、公益財団法人微生物化学研究会より入手)を用い、「ウイルス実験プロトコール」、Medical View社、p154−159、永田恭介著に記載の方法に従い、インフルエンザウイルスA(以下、「Flu−A」と称することがある)を精製した。
前記精製したFlu−Aを含む、下記組成の反応液を用いて、30℃にて1時間反応させた。次いで、下記組成の反応停止液175μLと、100μLのフェノール/クロロホルム混合液(1:1(体積比))を加えて反応を停止させた。これを遠心分離し、上清を回収し、常法に従いエタノール沈殿を行った。この沈殿を減圧乾燥させて、7M尿素存在下で18質量%のSDS−PAGEにより分析スナッチング反応の分析を行った。結果を図10に示す。
[反応液]
下記組成を混合し、合計25μLの反応液とした。
・50mM トリス塩酸(pH7.9)
・100mM 酢酸アンモニウム
・0.1質量% NP−40
・2.5mM DTT
・5mM 塩化マグネシウム
・10fmol [32P]キャップ化RNA1(実施例1)
・1.2μg インフルエンザウイルスA
[反応停止液]
下記組成を混合し、合計175μLの反応停止液とした。
・20m Mトリス塩酸(pH7.5)
・1mM EDTA
・0.2質量% SDS
・0.3mg/mL 大腸菌tRNA(シグマ社製)
図10の結果より、キャップ化RNA1のキャップ構造は、インフルエンザウイルスAによって分解されることが確認できた。この結果は、前記キャップ化RNA1が、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼを阻害する物質のスクリーニングに好適に利用できることを示す。
本発明のキャップ化RNAの製造方法は、安全性が高く、簡便な方法で大量に、かつ高精製度で得ることができるキャッピング酵素を使用することにより、高精製度で、かつ効率よく大量にキャップ化RNAを製造することができるため、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法に好適に利用可能である。

Claims (10)

  1. 鋳型DNAからT7RNAポリメラーゼを用いてRNAを合成するRNA合成工程と、
    mRNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素と、を用いて、前記RNA合成工程で合成されたRNAにキャップ構造を付加するキャップ構造付加工程と、
    を少なくとも含むことを特徴とするキャップ化RNAの製造方法。
  2. 鋳型DNAがT7プロモーター配列及び該T7プロモーター配列に相補的な配列を有し、前記T7プロモーター配列に相補的な配列より下流であり、かつ該T7プロモーター配列に相補的な配列から11番目〜13番目の塩基がチミジンである請求項1に記載のキャップ化RNAの製造方法。
  3. RNA合成工程の後、かつキャップ構造付加工程の前に、前記RNA合成工程で得られたRNAを固相に添加し固相抽出法により精製する精製工程を更に含む請求項1から2のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法。
  4. 固相からRNAを3容量%〜9容量%のアセトニトリル水溶液で溶出する請求項3に記載のキャップ化RNAの製造方法。
  5. キャップ構造が、キャップコア構造、キャップ0構造、及びキャップ1構造の少なくともいずれかであり、キャップ構造が付加されたRNAの90%以上がキャップ1構造である請求項1から4のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法。
  6. 下記配列番号4で表される塩基配列を有するキャップ化RNAを製造する請求項1から5のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法。
    GpppGmAAUAAUUAAAAAAUAUAAUAUUAAUUAAUUAA(配列番号4)
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のキャップ化RNAの製造方法により製造されたキャップ化RNAを用い、RNAポリメラーゼを阻害する物質をスクリーニングすることを特徴とするRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法。
  8. RNAポリメラーゼが、インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼであり、該RNAポリメラーゼが有するキャップ化RNAの切り出し反応を阻害する物質をスクリーニングする請求項7に記載のRNAポリメラーゼ阻害剤のスクリーニング方法。
  9. (i)mRNA5’−トリホスファターゼ活性及びmRNAグアニリルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有する酵素、
    (ii)mRNA(グアニン−7−)メチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有する酵素、及び
    (iii)mRNA2’−O−リボースメチルトランスフェラーゼ活性を有し、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有する酵素、
    の少なくともいずれかを有することを特徴とする酵素。
  10. T7RNAポリメラーゼと、RNAを担持し得る固相と、請求項9に記載の酵素と、を少なくとも含み、RNAポリメラーゼを阻害する物質をスクリーニングすることに用いられることを特徴とするキット。
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