本発明の実施形態に係る電力変換装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明するが、まず、はじめに、本実施形態に係る電力変換装置における、改善改良すべき技術的課題とこの技術的課題を解決するための技術の概要について説明する。
本発明の実施形態に係る電力変換装置は、世の中のニーズに応える製品として次のような技術的観点に配慮したものであり、その1つの観点が小型化技術、すなわち変換する電力の増大に伴う電力変換装置の大型化をできるだけ抑制する技術である。さらに、他の観点が電力変換装置の信頼性の向上に関する技術であり、更なる他の観点が電力変換装置の生産性の向上に関する技術である。そして、本発明の実施形態に係る電力変換装置は、上述した3つの観点、さらにはこれらの観点を総合した観点に基づいて製品化されているのであり、それぞれの観点における電力変換装置の特徴を以下列挙して概説する。
(1)小型化技術に関する説明
本実施形態に係る電力変換装置は、両側に冷却金属を備えた半導体モジュールの内部にインバータの上下アームの直列回路を収納し、半導体モジュールを冷却水内に挿入し嵌合し(スロットイン構造の採用)、両側の冷却金属を冷却水で冷却する構造を備えている。
この構造により冷却効率が向上し、半導体モジュールの小型化が可能となる。また、具体的な構造として、両側の冷却金属の内側にそれぞれ絶縁シートあるいはセラミック板などの絶縁板である絶縁部材を設け、それぞれの絶縁部材に固定した導体金属の間に上下アームの直列回路を構成する上アームおよび下アームの半導体チップを挟み込んでいる。この構造で上アームおよび下アームの半導体チップの両面と冷却金属との間に良好な熱伝導路ができ、半導体モジュールの冷却効率は大きく向上する。
また、半導体モジュールの上アームの半導体チップ(IGBTチップとダイオードチップ)と半導体モジュールの下アームの半導体チップとを、冷却水の流れの方向に対して位置をずらして配置するとともに、上アームのIGBTチップと下アームのIGBTチップとを冷却水流れの同一水平面上に配置することで、フィン形状冷却金属が上下アーム直列回路のIGBTチップ冷却用に占める上下幅が、ダイオードチップのそれよりも大きくなり、放熱量のより多いIGBTチップを効果的に冷却することができる。すなわち、上下アームのIGBTチップを冷却するために、ダイオードチップに対するよりも冷却水の量が増えることとなり、冷却効率の大幅向上に繋がる。
上アームおよび下アームの半導体チップの両面は冷却金属の内側の導体金属(導体板)にそれぞれ接続され、導体金属は絶縁部材を介して冷却金属に固定されている。絶縁部材の厚さは薄く、例えばセラミック板の場合で350μメータ以下、絶縁シートの場合は更に薄く50μメータから200μメータである。ここで、絶縁シートとしては、例えば熱圧着された樹脂のシートである。導体金属が冷却金属に接近して設けられているので、導体金属に流れる電流による渦電流が冷却金属に流れ、渦電流は熱を発生するがこれらの熱は効率良く冷却水に伝達される。
また、渦電流により半導体モジュール内のインダクタンスが低減される。インダクタンス低減は、上アームおよび下アームの半導体チップのスイッチング動作による電圧の跳ね上がりを低減でき、信頼性の向上に繋がる。また、電圧上昇を抑えられることは、上アームおよび下アームの半導体チップのスイッチング動作の高速化を可能とし、スイッチング動作のための時間を短縮でき、スイッチング動作による発熱量の低減に繋がる。
さらに、コンデンサモジュールと半導体モジュールとを略同一平面空間の水路筐体に収容し、且つコンデンサモジュールを挟んでその両側に半導体モジュールを配置(サンドイッチ構造の採用)することで、小型化を図っている。これに加えて、コンデンサモジュールの上方面に、半導体チップを駆動するためのドライバ基板と半導体チップを制御するための制御基板を配置することで、コンデンサモジュール上方面の有効利用を図り、小型化を実現している。
(2)信頼性向上に関する説明
本実施形態に係る電力変換装置では、上述のとおり、半導体モジュールの冷却効率を大幅に改善でき、結果的に半導体チップの温度上昇を抑えることが可能となり、信頼性の改善に繋がる。
複数個の半導体モジュールがコンデンサモジュールを間に挟んだサンドイッチ構造であり、さらに、半導体モジュールの直流正極端子と直流負極端子をコンデンサモジュール側から等間隔に配置することによって、これらの直流端子とコンデンサモジュールからの正側端子及び負側端子とを、同一形状のDCバスバーで連結することができて、半導体モジュールとコンデンサモジュール間の低インダクタンス化や半導体モジュールの内部配置構造による半導体モジュールの低インダクタンスが可能となり、スイッチング動作による電圧の跳ね上がりを低減でき、信頼性の向上に繋がる。また、電圧上昇を抑えられることは半導体チップのスイッチング動作の高速化を可能とし、スイッチング動作の時間短縮による発熱量の低減に繋がり、引いては温度上昇が抑えられ、信頼性の向上に繋がる。
このように、半導体モジュールの直流端子をコンデンサモジュールに接続する構造、更にはコンデンサモジュールの端子構造が簡単な構造となり、生産性向上や小型化だけでなく、信頼性の向上に繋がる。
本電力変換装置では、冷却効率が大幅に向上するので、冷却水としてエンジン冷却水を使用できる。このため自動車としては、専用の冷却水系が不要となり、自動車全体として信頼性の大きな改善となる。
本電力変換装置では、インバータの上下アームの直列回路を収納した半導体モジュールを、冷却水路に設けられた開口から水路内に挿入して固定する構造を成している。製造ラインで別々に製造された半導体モジュールと水路筐体をそれぞれ別に検査し、その後半導体モジュールを水路筐体に固定する工程を行うことが可能となる。このように電気部品である半導体モジュールと機械部品である水路筐体とをそれぞれ分けて製造および検査することが可能で、生産性の向上はもちろんであるが、信頼性の向上に繋がる。
また、半導体モジュールにおいては、第1と第2の放熱金属にそれぞれ必要な導体や半導体チップを固定し、その後第1と第2の放熱金属を一体化して半導体モジュールを製造する方法をとることが可能である。第1と第2の放熱金属の製造状態をそれぞれ確認した上で放熱金属の一体化の工程を行うことが可能となり、生産性の向上のみならず、信頼性の向上にも繋がる。
本電力変換装置では、上アームの半導体チップのコレクタ面が第1の放熱金属に固定される場合に下アームの半導体チップのコレクタ面が同じく第1の放熱金属に固定される構造となり、上下アームの半導体チップのコレクタ面とエミッタ面とが同じ方向となっている。このような構造とすることで、生産性が向上すると共に信頼性が向上する。
また、上下アームの半導体チップと上下アームの信号用端子やゲート端子が同じ放熱金属に固定される構造となっている。このため、半導体チップと信号用端子やゲート端子とを繋ぐワイヤボンディングの接続工程を一方の放熱金属に集めることができ、検査などが容易である。これによって生産性の向上だけでなく信頼性の向上にもつながる。
また、上述した水路筐体のサンドイッチ構造におけるコンデンサモジュールの各側面にU相、V相、W相の半導体モジュールを配置することで、冷却水路のUターン箇所が減少するので、水路の圧力損失が低減し、冷却水の源圧力を低くすることができ、冷却水漏れが少なくなり、信頼性につながる。さらに、略同一平面上に形成された冷却水経路中にコンデンサモジュールを配置することで、コンデンサモジュールをも直接に冷却できる構造であり、半導体モジュールに加えてコンデンサモジュールも冷却できて、これらの動作が安定し、電力変換装置の信頼性の向上に役立つ。
(3)生産性向上に関する説明
本実施形態に係る電力変換装置では、上述したとおり、半導体モジュールと冷却筐体とをそれぞれ別々に製造し、その後半導体モジュールを冷却筐体に固定する工程を行うようにすることが可能であり、電気系の製造ラインで半導体モジュールを製造することが可能となる。これにより生産性と信頼性が向上する。また、コンデンサモジュールも同様に他の製造工程で製造し、その後水路筐体に固定できるので、生産性が向上する。
また、水路筐体に半導体モジュールとコンデンサモジュールとを固定し、その後半導体モジュールとコンデンサモジュールとの端子接続を行うことができ、さらに接続のための溶接機械を溶接部の導入する空間が確保でき、生産性の向上につながる。また、これら接続工程において、半導体モジュールの端子はそれぞれ半導体モジュールの放熱金属に固定されており、端子溶接時の熱がそれぞれ放熱金属に拡散し、半導体チップへの悪影響を抑えることができ、結果的に生産性の向上や信頼性の向上に繋がる。
また、半導体モジュールの一方の放熱金属に上下アームの半導体チップと上下アームの信号用端子やゲート端子を固定できるので、一方の放熱金属の製造ラインで上アームと下アームの両方のワイヤボンディングを行うことができ、生産性が向上する。
本実施形態に係る電力変換装置は同じ構造の半導体モジュールを量産し、電力変換装置の要求仕様に基づく必要な個数の半導体モジュールを使用する方式を取ることが可能となり、企画化された半導体モジュール量産が可能となり、生産性が向上すると共に低価格化や信頼性向上が可能となる。以上のように、本発明の実施形態に係る電力変換装置は、上述した3つの技術的観点からみた構造的な特徴と効果を備えるものである。以下、その詳細について説明する。
「本発明の実施形態」
次に、本発明の実施形態に係る電力変換装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。本発明の実施形態に係る電力変換装置はハイブリッド用の自動車や純粋な電気自動車に適用可能であるが、代表例として、本発明の実施形態に係る電力変換装置をハイブリッド自動車適用した場合の制御構成と電力変換装置の回路構成について、図1と図2を用いて説明する。図1はハイブリッド自動車の制御ブロックを示す図である。図2は上下アームの直列回路及び制御部を含むインバータ装置、インバータ装置の直流側に接続されたコンデンサ、からなる電力変換装置と、バッテリと、モータジェネレータと、を備えた車両駆動用電機システムの回路構成を示す図である。
本発明の実施形態に係る電力変換装置では、自動車に搭載される車載電機システムの車載用電力変換装置、特に、車両駆動用電機システムに用いられ、搭載環境や動作的環境などが大変厳しい車両駆動用インバータ装置を例に挙げて説明する。車両駆動用インバータ装置は、車両駆動用電動機の駆動を制御する制御装置として車両駆動用電機システムに備えられ、車載電源を構成する車載バッテリ或いは車載発電装置から供給された直流電力を所定の交流電力に変換し、得られた交流電力を車両駆動用電動機に供給して車両駆動用電動機の駆動を制御する。また、車両駆動用電動機は発電機としての機能も有しているので、車両駆動用インバータ装置は運転モードに応じ、車両駆動用電動機の発生する交流電力を直流電力に変換する機能も有している。変換された直流電力は車載バッテリに供給に供給される。
なお、本実施形態の構成は、車両駆動用以外のインバータ装置、例えば電動ブレーキ装置或いは電動パワーステアリング装置の制御装置として用いられるインバータ装置にも適用できるが、車両駆動用として適用することで最も望ましい効果を発揮する。また、本実施形態の思想がDC/DCコンバータや直流チョッパなどの直流−直流電力変換装置或いは交流−直流電力変換装置など、他の車載用電力変換装置にも適用できるが、車両駆動用として適用することで最ものぞましい効果を発揮する。さらに、工場の設備を駆動する電動機の制御装置として用いられる産業用電力変換装置、或いは家庭の太陽光発電システムや家庭の電化製品を駆動する電動機の制御装置に用いられたりする家庭用電力変換装置に対しても適用可能であるが、上述の通り、車両駆動用として適用することで最も望ましい効果を発揮する。
また、本実施形態が適用された車両駆動用インバータ装置を備えた車両駆動用電機システムを、内燃機関であるエンジン及び車両駆動用電動機を車両の駆動源とし、前後輪のいずれか片方を駆動するように構成されたハイブリッド自動車に搭載する場合を例に挙げて説明する。また、ハイブリッド自動車としては、エンジンにより前後輪のいずれか片方を、車両駆動用電動機により前後輪のいずれか他方をそれぞれ駆動するものもあるが、本実施形態はいずれのハイブリッド自動車にも適用できる。さらに上述のとおり、燃料電池車などの純粋な電気自動車にも適用可能で、純粋な電気自動車においても以下説明の電力変換装置は略同様の作用を為し、略同様の効果が得られる。
図1において、ハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」と記述する)10は1つの電動車両であり、2つの車両駆動用システムを備えている。その1つは、内燃機関であるエンジン20を動力源としたエンジンシステムである。エンジンシステムは、主としてHEVの駆動源として用いられる。もう1つは、モータジェネレータ92,94を動力源とした車載電機システムである。車載電機システムは、主としてHEVの駆動源及びHEVの電力発生源として用いられる。モータジェネレータ92,94は例えば永久磁石同期電動機であるが、運転方法によりモータとしても発電機としても動作するので、ここではモータジェネレータと記すこととする。
車体のフロント部には前輪車軸14が回転可能に軸支されている。前輪車軸14の両端には1対の前輪12が設けられている。車体のリア部には後輪車軸(図示省略)が回転可能に軸支されている。後輪車軸の両端には1対の後輪が設けられている。本実施形態のHEVでは、動力によって駆動される主輪を前輪12とし、連れ回される従輪を後輪とする、いわゆる前輪駆動方式を採用しているが、この逆、すなわち後輪駆動方式を採用しても構わない。
前輪車軸14の中央部には前輪側デファレンシャルギア(以下、「前輪側DEF」と記述する)16が設けられている。前輪車軸14は前輪側DEF16の出力側に機械的に接続されている。前輪側DEF16の入力側には変速機18の出力軸が機械的に接続されている。前輪側DEF16は、変速機18によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の前輪車軸14に分配する差動式動力分配機構である。変速機18の入力側にはモータジェネレータ92の出力側が機械的に接続されている。モータジェネレータ92の入力側には動力分配機構22を介してエンジン20の出力側及びモータジェネレータ94の出力側が機械的に接続されている。尚、モータジェネレータ92,94及び動力分配機構22は、変速機18の筐体の内部に収納されている。
動力分配機構22は歯車23〜30から構成された差動機構である。歯車25〜28は傘歯車である。歯車23,24,29,30は平歯車である。モータジェネレータ92の動力は変速機18に直接に伝達される。モータジェネレータ92の軸は歯車29と同軸になっている。この構成により、モータジェネレータ92に対して駆動電力の供給が無い場合には、歯車29に伝達された動力がそのまま変速機18の入力側に伝達される。
エンジン20の作動によって歯車23が駆動されると、エンジン20の動力は歯車23から歯車24に、次に、歯車24から歯車26及び歯車28に、次に、歯車26及び歯車28から歯車30にそれぞれ伝達され、最終的には歯車29に伝達される。モータジェネレータ94の作動によって歯車25が駆動されると、モータジェネレータ94の回転は歯車25から歯車26及び歯車28に、次に、歯車26及び歯車28から歯車30にそれぞれ伝達され、最終的には歯車29に伝達される。尚、動力分配機構22としては上述した差動機構に代えて、遊星歯車機構などの他の機構を用いても構わない。
モータジェネレータ92,94は、回転子に永久磁石を備えた同期機であり、固定子の電機子巻線に供給される交流電力がインバータ装置40,42によって制御されることによりモータジェネレータ92,94の駆動が制御される。インバータ装置40,42にはバッテリ36が電気的に接続されており、バッテリ36とインバータ装置40,42との相互において電力の授受が可能である。
本実施形態では、モータジェネレータ92及びインバータ装置40からなる第1電動発電ユニットと、モータジェネレータ94及びインバータ装置42からなる第2電動発電ユニットとの2つを備え、運転状態に応じてそれらを使い分けている。すなわち、エンジン20からの動力によって車両を駆動している場合において、車両の駆動トルクをアシストする場合には第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン20の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。また、同様の場合において、車両の車速をアシストする場合には第1電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン20の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第2電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。
また、本実施形態では、バッテリ36の電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させることにより、モータジェネレータ92の動力のみによって車両の駆動ができる。さらに、本実施形態では、第1電動発電ユニット又は第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン20の動力或いは車輪からの動力によって作動させて発電させることにより、バッテリ36の充電ができる。
次に、図2を用いてインバータ装置40,42の電気回路構成を説明する。尚、図1〜図2に示す実施形態では、インバータ装置40,42をそれぞれ個別に構成する場合を例に挙げて説明するが、図7などを参照して後述するように、インバータ装置40,42を1つの装置内に収納してもよい。インバータ装置40,42は同様の構成で同様の作用を為し、同様の機能を有しているので、ここでは、例としてインバータ装置40の説明を行う。
本実施形態に係る電力変換装置100は、インバータ装置40とコンデンサ90と直流コネクタ38と交流コネクタ88を備え、インバータ装置40はインバータ回路44と制御部70とを有している。また、インバータ回路44は、上アームとして動作するIGBT52(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)及びダイオード56と、下アームとして動作するIGBT62及びダイオード66と、からなる上下アーム直列回路50を複数有し(図2の例では3つの上下アーム直列回路50,50,50)、それぞれの上下アーム直列回路50の中点部分(中間電極69)から交流端子59(図3を参照)を通してモータジェネレータ92への交流電力線86を引き出す構成である。また、制御部70はインバータ回路44を駆動制御するドライバ回路(ドライバ基板に内蔵)74と、ドライバ回路74へ信号線76を介して制御信号を供給する制御回路72(制御基板に内蔵)と、を有している。
上アームと下アームのIGBT52,62は、スイッチング用パワー半導体素子であり、制御部70から出力された駆動信号を受けて動作し、バッテリ36から供給された直流電力を三相交流電力に変換する。この変換された電力はモータジェネレータ92の電機子巻線に供給される。上述のとおり、モータジェネレータ92が発生する三相交流電力を直流電力に変換することもできる。
本実施形態に係る電力変換装置100は3相ブリッジ回路により構成されており、3相分の上下アーム直列回路50,50,50がそれぞれバッテリ36の正極側と負極側との間に電気的に並列に接続されることにより構成されている。ここで、上下アーム直列回路50はアームと呼称されており、上アーム側のスイッチング用パワー半導体素子52及びダイオード56と下アーム側のスイッチング用パワー半導体素子62及びダイオード66を備えている。
本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子として、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)52,62を用いることを例示している。IGBT52,62は、コレクタ電極53,63、エミッタ電極、ゲート電極(ゲート電極端子54,64)、信号用エミッタ電極(信号用エミッタ電極端子55,65)を備えている。IGBT52,62のコレクタ電極53,63とエミッタ電極との間にはダイオード56,66が図示するように電気的に接続されている。ダイオード56,66は、カソード電極及びアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT52,62のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT52,62のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT52,62のエミッタ電極に、それぞれ電気的に接続されている。
スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい。MOSFETは、ドレイン電極、ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。なお、MOSFETは、ソース電極とドレイン電極との間に、ドレイン電極からソース電極に向かう方向が順方向となる寄生ダイオードを備えている。このため、IGBTのように、別途、ダイオードを設ける必要がない。
上下アーム直列回路50は、モータジェネレータ92の電機子巻線の各相巻線に対応して3相分設けられている。3つの上下アーム直列回路50,50,50はそれぞれ、IGBT52のエミッタ電極とIGBT62のコレクタ電極63を結ぶ中間電極69、交流端子59を介してモータジェネレータ92へのU相、V相、W相を形成している。上下アーム直列回路同士は電気的に並列接続されている。上アームのIGBT52のコレクタ電極53は正極端子(P端子)57を介してコンデンサ90の正極側コンデンサ電極に、下アームのIGBT62のエミッタ電極は負極端子(N端子)58を介してコンデンサ90の負極側コンデンサ電極にそれぞれ電気的に接続されている。各アームの中点部分(上アームのIGBT52のエミッタ電極と下アームのIGBT62のコレクタ電極との接続部分)にあたる中間電極69は、モータジェネレータ92の電機子巻線の対応する相巻線に交流コネクタ88を介して電気的に接続されている。本実施形態では、後で詳細に述べるが、上下アームからなる1つの上下アーム直列回路50が半導体モジュールの主たる回路構成要素となっている。
コンデンサ90は、IGBT52,62のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制する平滑回路を構成するためのものである。コンデンサ90の正極側コンデンサ電極にはバッテリ36の正極側が、コンデンサ90の負極側コンデンサ電極にはバッテリ36の負極側がそれぞれ直流コネクタ38を介して電気的に接続されている。これにより、コンデンサ90は、上アームIGBT52のコレクタ電極53とバッテリ36の正極側との間と、下アームIGBT62のエミッタ電極とバッテリ36の負極側との間で接続され、バッテリ36と上下アーム直列回路50に対して電気的に並列接続される。
制御部70はIGBT52,62を作動させるためのものであり、他の制御装置やセンサなどからの入力情報に基づいて、IGBT52,62のスイッチングタイミングを制御するためのタイミング信号を生成する制御回路72(制御基板に内蔵)と、制御回路72から出力されたタイミング信号に基づいて、IGBT52,62をスイッチング動作させるためのドライブ信号を生成するドライブ回路(ドライバ基板に内蔵)74とを備えている。
制御回路72はIGBT52,62のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンには入力情報として、モータジェネレータ92に対して要求される目標トルク値、上下アーム直列回路50からモータジェネレータ92の電機子巻線に供給される電流値、及びモータジェネレータ92の回転子の磁極位置が入力されている。目標トルク値は、不図示の上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ80から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、モータジェネレータ92に設けられた回転磁極センサ(不図示)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では3相の電流値を検出する場合を例に挙げて説明するが、2相分の電流値を検出するようにしても構わない。
制御回路72内のマイコンは、目標トルク値に基づいてモータジェネレータ92のd,q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電流指令値と、検出されたd,q軸の電流値との差分に基づいてd,q軸の電圧指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相、V相、W相の電圧指令値に変換する。そして、マイコンは、U相、V相、W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路74に出力する。ドライバ回路74には、各相の上下アームに対応して6つのPWM信号がマイコンから出力される。マイコンから出力されるタイミング信号としては矩形波信号などの他の信号を用いても構わない。
ドライバ回路74は、複数の電子回路部品を1つに集積した集積回路、いわゆるドライバICによって構成されている。本実施形態では、各相の上下アームのそれぞれに対して1個のICを設ける場合(1アームin1モジュール:1in1)を例に挙げて説明するが、各アームのそれぞれに対応して1個のICを設ける(2in1)、或いは全てのアームに対応して1個のICを設ける(6in1)ようにしても構わない。ドライバ回路74は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する下アームのIGBT62のゲート電極に、上アームを駆動する場合、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT52のゲート電極にそれぞれ出力する。これにより、各IGBT52,62は、入力されたドライブ信号に基づいてスイッチング動作する。
また、制御部70は、異常検知(過電流、過電圧、過温度など)を行い、上下アーム直列回路50を保護している。このため、制御部70にはセンシング情報が入力されている。例えば各アームの信号用エミッタ電極端子55,65からは各IGBT52,62のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応する駆動部(IC)に入力されている。これにより、各駆動部(IC)は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT52,62のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT52,62を過電流から保護する。上下アーム直列回路50に設けられた温度センサ(不図示)からは上下アーム直列回路50の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには上下アーム直列回路50の直流正極側の電圧の情報が入力されている。
マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知及び過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT52,62のスイッチング動作を停止させ、上下アーム直列回路50(引いては、この回路50を含む半導体モジュール)を過温度或いは過電圧から保護する。
図2において、上下アーム直列回路50は、上アームのIGBT52及び上アームのダイオード56と、下アームのIGBT62及び下アームのダイオード66との直列回路であり、IGBT52,62はスイッチング用半導体素子である。インバータ回路44の上下アームのIGBT52,62の導通および遮断動作が一定の順で切り替わり、この切り替わり時のモータジェネレータ92の固定子巻線の電流は、ダイオード56,66によって作られる回路を流れる。
上下アーム直列回路50は、図示するように、Positive端子(P端子、正極端子)57、Negative端子(N端子58、負極端子)、上下アームの中間電極69からの交流端子59(図3を参照)、上アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)55、上アームのゲート(ベース)電極端子54、下アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)65、下アームのゲート(ベース)電極端子64、を備えている。また、電力変換装置100は、入力側に直流コネクタ38を有し、出力側に交流コネクタ88を有して、それぞれのコネクタ38と88を通してバッテリ36とモータジェネレータ92に接続される。
図3は、モータジェネレータへ出力する3相交流の各相の出力を発生する回路として、各相に2つの上下アーム直列回路を使用する電力変換装置の回路構成を示す図である。モータジェネレータの容量が大きくなると電力変換装置で変換される電力量が大きくなり、インバータ回路44の各相の上下アーム直流回路を流れる電流値が増大する。上下アームの電気的な容量を増大することで変換電力の増大に対応することができるが、インバータ回路(モジュール化したもの)の生産量を増大することが好ましく、図3では、標準化して生産されたインバータ回路(モジュール)の使用個数を増やすことで、変換する電力量の増大に対応するようにしている。
さらに説明すると、図2に示すインバータ回路44が3つの上下アーム直列回路50,50,50からなり、モータジェネレータ92へのU相、V相、W相を形成しているに対して、図3は、図2に示すインバータ回路44と同一構成の2つのインバータ回路(インバータ回路1(45)とインバータ回路2(46))を設けて、これらのインバータ回路45と46を並列接続し、制御対象のモータジェネレータ92の容量増加に対処するものである。すなわち、図3に示す構成は、図2に示すU相の上下アーム直列回路50に対応して、50U1と50U2を設け、同様に、V相に対応して50V1と50V2を設け、W相に対応して50W1と50W2を設けている。なお、図3に示すインバータ回路1とインバータ回路2の交流電力線86は、以下の図面で交流バスバー1(391)と交流バスバー2(392)として構造上の表記がなされる。
次に、本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成についてその概要を説明する。
図4は本発明の実施形態に係る電力変換装置における全体構成の外観を示す斜視図である。図5は本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成を分解した斜視図である。図6は本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成において上ケースを取り除いた平面図である。
図4〜図6において、本実施形態に係る電力変換装置は、その回路が、図3に示すインバータ回路1(45)とインバータ回路2(46)からなる構成のものを例示している。
38は直流コネクタ、88は交流コネクタ1(図3に示すインバータ回路1の交流電力線86とつながるコネクタ)、89は交流コネクタ2(図3に示すインバータ回路2の交流電力線86とつながる電力変換装置のコネクタ)、91は交流コネクタ部フランジ、100は電力変換装置、112は上ケース、122は交流コネクタ用位置決め部、124は上ケースフランジ、142は下ケース、144は水路蓋、145はモジュール蓋1、146はモジュール蓋2、246は水路入口部、248は水路出口部、372は制御基板(制御回路を内蔵)、373は制御IC1、374は制御IC2、386はドライバ基板、387はドライバIC、388は信号コネクタ、391は交流バスバー1(図3に示すインバータ回路1の交流電力線86)、392は交流バスバー2(図3に示すインバータ回路2の交流電力線86)、をそれぞれ表す。
図4〜図6に示す本発明の実施形態に係る電力変換装置100の全体構成は、外部への電気的接続構造として、バッテリ36(図2を参照)と接続する直流コネクタ38と、モータジェネレータ92(図2を参照)と接続する交流コネクタ1(88)及び交流コネクタ2(89)とを備え、外観構造として、上ケース112と下ケース142を備え、さらに、上下アーム直列回路50を含む半導体モジュールとコンデンサモジュールを冷却するための水路入口部246及び水路出口部248を備えている。
また、図3に示すU1相、V1相、W1相のそれぞれの上下アーム直列回路を含む各半導体モジュールの上方を被うモジュール蓋1(145)及びU2相、V2相、W2相のそれぞれの上下アーム直列回路を含む各半導体モジュールの上方を被うモジュール蓋2(146)と、上ケース112との間には、ドライバ基板386と制御基板372が積層する構造となっている(図5を参照)。そして、制御基板372には制御IC1(373)と制御IC2(374)が搭載されており、ドライバ基板386にはドライバIC387が搭載されている。また、ドライバ基板386の下方部には交流バスバー1(391)と交流バスバー2(392)が三相分配設されている。なお、水路入口部246と出口部248を含む水平状に形成された水路空間には、後述するが上下アーム直列回路50と放熱フィンを含む半導体モジュールが装填されて冷却される構造となっている。
次に、本発明の実施形態に係る電力変換装置における半導体モジュール500について、図13、図14、図15及び図16を参照しながら以下説明する。図13は本発明の実施形態に係る電力変換装置における半導体モジュールの全体構成の外観を示す斜視図である。図14は本実施形態に関する半導体モジュールの断面図であり、図13に示すA−A線の断面構造を示す図である。図15は本実施形態に関する半導体モジュールの全体構成を分解した斜視図である。図16は図15に示すB−B線の断面構造を示す図である。
図13〜図16において、本発明の実施形態に係る電力変換装置における半導体モジュール500は、一方の側である放熱フィン(A側)522(なお、放熱フィンとは凹凸のあるフィン形状部分のみを称するのではなくて、放熱金属の全体を云う)、他方の側である放熱フィン(B側)562、両放熱フィン522,562に挟み込まれた上下アーム直列回路50、上下アーム直列回路の正極端子532や負極端子572や交流端子582を含めた各種端子、トップケース512やボトムケース516やサイドケース508、を備えている。図14および図15に示すように、放熱フィン(A側)522と放熱フィン(B側)562に絶縁シートを介してそれぞれ固着された導体板上の上下アーム直列回路(その製造方法は後述する)が放熱フィン(A側)522と放熱フィン(B側)562に挟み込まれた状態において、ボトムケース516、トップケース512、サイドケース508を取り付け、両放熱フィン522,562の間にトップケース512側からモールド樹脂を充填して一体化構造として半導体モジュール500を形成する。
半導体モジュール500は、外観として、図13に示すように、冷却水路に臨む(挿入される)放熱フィン(A側)と放熱フィン(B側)が形成され、トップケース512からは上下アーム直列回路50の正極端子532(図2と図3のP端子57に相当)、負極端子572(図2と図3のN端子58に相当)、交流端子582(図3の交流端子59に相当)、信号用端子(上アーム用)552、ゲート端子(上アーム用)553、信号用端子(下アーム用)556、ゲート端子(下アーム用)557が突出する構造である。
半導体モジュール500の外観形状は略直方体形状で、放熱フィン(A側)522と放熱フィン(B側)562とは面積が大きく、放熱フィン(B側)562の面を前面とし放熱フィン(A側)を後面とすると(図13の図示例のとおり)、サイドケース508を有する側およびその反対側である両側面および底面および上面は、前述の前面又は後面に比べて、狭くなっている。半導体モジュールの基本的な形状が略直方体形状であり、放熱フィン(B側)や(A側)が方形であるので切削加工が容易であり、また、半導体モジュールが製造ラインで転がり難い形状であり、生産性に優れている。さらに全体の体積に対する放熱面積の割合が大きく取れ、冷却効果が向上する。
なお、本実施形態では、放熱フィン(A側)522あるいは放熱フィン(B側)562は、半導体チップを挟み込むと共に半導体モジュール内部の導体を保持するための金属板と熱を放散するためのフィンとが一つの金属で作られている。この構造は放熱効率を高めるのに優れている。しかし、やや放熱効率が低下するが、半導体チップを挟み込むと共に半導体モジュール内部の導体を保持するための金属板と放熱フィンとを別体に形成しこれを貼りあわせる構造でも使用できる。
また、略直方体形状の狭い方の一方の面である上面に正極端子532(図3のP端子57に相当)、負極端子572(図3のN端子58に相当)、交流端子582(図3の交流端子59に相当)、信号用端子(上アーム用)552、ゲート端子(上アーム用)553、信号用端子(下アーム用)556、ゲート端子(下アーム用)557が集められており、水路筐体に半導体モジュール500を挿入するし易さの点で優れている。さらに、正極端子532と負極端子572の間にはこれらの端子間の絶縁を確保する孔583が設けられる。この孔583は正極端子532と負極端子572の間に形成されたモールド樹脂507に穿たれる。そして、孔583には、後述するがコンデンサモジュール390の正極端子と負極端子の間に設けられたコンデンサモジュール付設の端子絶縁部が挿入される(図21を参照)。よって、孔583は端子間絶縁と位置決めの両機能を奏するものである。
また、このような端子を設けている上面の外形が、図13に図示するように、底面側の外形より大きく作られており、製造ラインなどで半導体モジュールが移動する場合に最も傷つき易い端子部を保護することができる。すなわち、トップケース512の外形がボトムケース516の外形より大きく作られていることで、後述する冷却水路開口の密閉性に優れている効果以外に、半導体モジュールの製造時や運搬時、水路筐体への取付け時での半導体モジュールの端子を保護できる効果がある。
図13に図示した端子の配置によると、正極端子532と負極端子572とは、それぞれ断面積が長方形の板状形状でその先端部が櫛歯形状をしており、さらに放熱フィン(B側)562からみて等間隔の距離を保って左右に配置され、半導体モジュールの一方の側面に接近して配置されている。図13と図14に示すように、各端子532,572はその先端の櫛歯形状に至る構造としてアームの導体板がまず垂直方向に延ばされ(植立)、次いで水平方向に延設されて(直角に曲げられて)櫛歯形状に至る。すなわち、正極端子532と負極端子572は屈曲部を有していてこれらの櫛歯形状が放熱フィン522(A側)に沿うように配列されている。なお、図13と図14に示す端子532,572は、屈曲部を図しているが、後に示す図15〜図20に示す端子532,572は屈曲部を有せずストレート形状となっているが、図13の端子は、はんだ付け作業、内部モールド、ケース接着(接合)の工程が終了し、最後に屈曲加工を行った後の状態を示している。すなわち、図15〜図20のストレート形状は、屈曲加工前の状態である。最後に屈曲加工する理由は、屈曲作業時に内部半導体とはんだ接合部に力が加わらないようにするため、また、先に屈曲するとトップケース512が組み立てにくくなるためである。
詳細は後述するが、放熱フィン(B側)562に対向してコンデンサモジュール390が配置されるので、コンデンサモジュールの正極端子と負極端子は、半導体モジュールの正極端子532と負極端子572と互いに等長のDCバスバーで接続でき、配線が容易になる。また、正極端子532や負極端子572の接続端と交流端子582の接続端とは半導体モジュールの前後方向(半導体モジュールの両側面を結ぶ方向)においてそれぞれずれて配置されている。このため電力変換装置の製造ラインでの正極端子532や負極端子572の接続端と他の部品との接続および交流端子582の接続端と他の部品との接続のための器具を使用する空間が確保できやすく、生産性に優れている。
自動車用の電力変換装置はマイナス30度以下、マイナス40度近くまで冷える可能性がある。また一方、100度以上の温度、まれには150度近くの温度となる可能性がある。このように自動車に搭載する電力変換装置では使用温度範囲が広く熱膨張変化を十分に考慮することが必要である。また振動が常に加わる環境で使用される。図13から図16を用いて説明した半導体モジュール500は2つの放熱金属で半導体チップを挟み込む構造を有している。この実施形態では放熱金属の一例として熱放出機能が優れている放熱フィンを有する金属板を用いており、本実施形態で放熱フィン522(A側)と放熱フィン562(B側)として説明している。
上述の半導体チップを挟み込んだ構造において、上記2つの放熱金属の両側をトップケース512とボトムケース516とで固定する構造を備えている。特にトップケース512とボトムケース516は2つの放熱金属をその外側から挟み込んで固定する構造を有している。具体的には、ボトムケース516の嵌合部517に2つの放熱金属522,562の突起凸部を嵌合する構造とすればよく、また、トップケース512についても同様な嵌合構造を適用すればよい。このような構造により、振動や熱膨張により2つの放熱金属間に互いに開こうとする方向の大きな力が生じるのを防止できる。長期間にわたり自動車に搭載しても故障しない、信頼性の高い電力変換装置を得ることができる。
さらに、本実施形態では、2つの放熱金属に加え、サイドケースを含めてトップケース512とボトムケース516とでこれらを外周側から挟み込んで固定する構造がとられているので、さらに信頼性が向上する。
半導体モジュールの正極端子532、負極端子572、交流端子582、信号用端子552と556、ゲート端子553と557を一方のケースであるトップケース512の内部の孔を介して外部に突出させるようにし、この孔をモールド樹脂507で密閉する構造としている。トップケース512としては高い強度の材質が使用され、また、2つの放熱金属の熱膨張係数が考慮されて熱膨張係数の近い材料、例えば金属材で作られる。モールド樹脂507はケース512の熱膨張変化による応力を吸収して上述した端子に加わる応力を低減する作用をしている。このため本実施形態の電力変換装置は、上述の如く温度変化の範囲が広い状態でも、あるいは常時振動が加わる状態でも使用することができる高い信頼性を有している。
図17は本実施形態に関する半導体モジュールにおける上下アーム直列回路の内部配置の構造を示す分解図である。図17において、本実施形態に関する半導体モジュールは、放熱金属の板、例えばフィン構造を備えた金属板である放熱フィン(A側)522と放熱フィン(B側)562を基礎素材としてそれぞれの内側に絶縁シート(A側)546と絶縁シート(B側)596を真空熱圧着で固着する。そして、絶縁シート(A側)546に、正極側の導体板534と上下アーム接続用導体板535を固着する(図19を参照)。
さらに、絶縁シート(B側)596に、負極側の導体板574と交流端子側の導体板584を固着するとともに、負極側の導体板574に下アーム用信号用端子556を接続し、交流端子側の導体板584に上アーム用信号用端子552を接続する(図20を参照)。
絶縁シート(A側)546と絶縁シート(B側)596は、インバータ回路の上下アーム直列回路を構成する半導体チップや導体と放熱フィン(A側)522や放熱フィン(B側)562とを電気的に絶縁する絶縁部材として機能すると共に、半導体チップなどからの発生熱を放熱フィン(A側)522や放熱フィン(B側)562に伝導する熱伝導路を形成する働きをする。絶縁部材としては、樹脂製の絶縁シートまたは絶縁板であっても良いし、セラミック基板であっても良い。例えばセラミック基板の場合で絶縁部材の厚さは350μメータ以下、絶縁シートの場合は更に薄く50μメータから200μメータであることが望ましい。ただ、インダクタンス低減の観点では、絶縁部材は薄い方が効果的であり、セラミック基板より樹脂製の絶縁シートの方が特性的に優れている。
次に、放熱フィン(A側)522の正極側の導体板534には、上アーム用IGBTチップ537と上アーム用ダイオードチップ539が上下方向に配列されてはんだ付け固定される。同様に、放熱フィン(A側)522の上下アーム接続用導体板535には、下アーム用IGBTチップ541と下アーム用ダイオードチップ543が上下方向に配列されてはんだ付け固定される。ここで、IGBTチップとダイオードチップの上下方向のサイズを比べると、そのサイズはIGBTチップの方が可成り大きい。そうすると、放熱フィン522を通る冷却水に対して、IGBTチップとダイオードチップが占める水路占有率を考えると、上アーム用IGBTチップ537が占有する水路占有率は、上アーム用ダイオードチップ539のそれよりも可成り大きくなる。ダイオードチップよりも放熱量がより多いIGBTチップの放熱が促進されることになり、半導体モジュール全体の放熱効率は向上する。このような放熱効率は、上アーム用のチップと同様に、下アーム用のチップ541,543についても向上が図れる。
さらに、図18〜図20の説明で詳しく後述するが、上アームのエミッタ電極と下アームのコレクタ電極を連結する上下アーム接続用はんだ接合部555が、下アームのチップ541,543と同様に、放熱フィン(A側)522の導体板535に形成され(図18と図19を参照)、接合部555がはんだ層544及び導体板584を介して交流端子582(図3の交流端子59に相当)接続され、上下アーム直列回路の中間電極69(図2を参照)を構成する。また、放熱フィン(A側)522の導体板の上にはんだ付けされた上アームのIGBT537のゲート電極とゲート端子(上アーム用)553の信号用導体との間、及び下アームのIGBT541のゲート電極とゲート端子(下アーム用)557のゲート用導体との間が、それぞれワイヤボンディング593,596で接続される構造である。
一方、放熱フィン(B側)562の絶縁シート(B側)596には、図17及び図20に示すように、負極端子572の負極側の導体板574、交流端子582の交流端子側導体板584、及び信号用端子(上アーム用)552と信号用端子(下アーム用)556のそれぞれの導体板が固着されている。負極側の導体板574には、下アームIGBTチップ541のエミッタ側が接続されるはんだ接合部757と下アームのダイオードチップ543のアノード側が接続されるはんだ接合部759が設けられ、交流端子側の導体板584には、上アームIGBTチップ537のエミッタ側が接続されるはんだ接合部756と上アームのダイオードチップ543のアノード側が接続されるはんだ接合部758が配設される。 負極端子572(図2に示す負極端子58に相当)は、下アームのIGBTチップ541及び下アームのダイオードチップ543に対して、導体板574、はんだ接合部757及び759、はんだ層540及び542を介して接続結合される。また、正極端子532は、上アームのIGBTチップ537及び上アームのダイオードチップ543に対して、導体板534、はんだ接合部751及び752、はんだ層547及び548を介して接続結合される。また、交流端子582は、導体板584、上アームIGBTチップのエミッタ側に連結している上下アーム接続用はんだ接合部560、はんだ層544、上下アーム接続用はんだ接合部555、導体板535を介して下アーム用IGBTチップ541に接続結合される。上アーム用信号用端子552(図2に示す信号用端子55に相当)と下アーム用信号用端子556(図2に示す信号用端子65に相当)のそれぞれの導体板は、上アームIGBTチップ537と下アームIGBTチップ541のそれぞれのエミッタ側に結合されている。上述した半導体モジュールの配置構造によって図2に示す上下アーム直列回路50の回路構成が形成される。
図17に示すとおり、放熱フィンの一方である、放熱フィン(A側)522に上アームと下アームを構成する両方の半導体チップを上下方向に配置固定し、さらに、上アーム用ゲート端子553と下アーム用デート端子557を放熱フィン(A側)522に設けてワイヤボンディングなどの接続作業を一方の放熱フィン(A側)522で実施できるので、製造工程の中で集中でき、生産性と信頼性の向上となる。また、自動車用の如く振動の大きい環境で使用する場合、配線すべき対象の半導体チップと端子とが同一の放熱フィンに固定されているので、耐振性が向上する。
上述したように、放熱フィン(A側)522と放熱フィン(B側)562とを図17に示すように対向させて、放熱フィン(A側)522のIGBTチップ537,541とダイオードチップ539,543との電極が、図2に示す回路構成のとおりに連結するように、放熱フィン(B側)562の負極端子572、交流端子582、上アーム用信号用端子552及び下アーム用信号用端子556にそれぞれ繋がる導体板と対面させて、はんだ付けする。さらに、図15に示すように、ボトムケース516、トップケース512及びサイドケース508が、一体的構造となった放熱フィン(A側)522及び放熱フィン(B側)562に対して、接着剤で接着される。さらに、トップケースの孔513(図15を参照)からモールド樹脂を内部に充填させて半導体モジュール500を形成する。
次に、本実施形態に関する半導体モジュール500において、両放熱フィン522,562の間に挟み込まれた上下アーム直列回路(例示として、2アームin1モジュール構造)の形成方法と具体的構造について、図18〜図20を参照しながら敷衍して説明する。図18は本実施形態に関する半導体モジュールにおける放熱フィン(A側)に配設される上下アーム直列回路の配置構造を示す図である。図19は半導体モジュールにおける放熱フィン(A側)に配設される各構成要素の接合関係を示す図である。図20は半導体モジュールにおける放熱フィン(BA側)に配設される各構成要素の接合関係を示す図である。
本実施形態に関する半導体モジュールの製造における基本的プロセスを示す。放熱金属の板、例えば本実施形態ではフィン構造を備えた金属板である放熱フィン(A側)522と放熱フィン(B側)562を基礎素材としてそれぞれの内側に高熱伝導樹脂層である絶縁シート(A側)546と絶縁シート(B側)596を真空熱圧着で固着し、絶縁シート546(A側)に正極側の導体板534及び導体板535を固着し、絶縁シート596(B側)に負極側の導体板574と交流端子用の導体板584を固着する。放熱フィン(A側)522及び絶縁シート(A側)546への導体板534,535の固着の状況を図19に示し、放熱フィン(B側)562及び絶縁シート(B側)596への導体板574,584の固着の状況は図20に示す。
さらに、絶縁シート546(A側)に、ゲート端子(上アーム用)553のゲート用導体とゲート端子(下アーム用)557のゲート用導体559を固着する。絶縁シート596(B側)に、信号用端子(上アーム用)552の信号用導体と信号用端子(下アーム用)556の信号用導体を固着する。これらの配置関係は図19と図20に23に示すとおりである。
次に、放熱フィン(A側)522側における正極側の導体板534,上下アーム接続用導体板535に設けたはんだ接合部751,752,753,754にに対応して、はんだ層547,548,549,550を介在させ、IGBTチップ537(上アーム用)、ダイオードチップ539(上アーム用)、IGBTチップ541(下アーム用)、ダイオードチップ543(下アーム用)をはんだ付けする。この際、正極側の導体板534と導体板535が互いに絶縁状態で設けられ、それぞれの導体板534,535にIGBTチップ及びダイオードチップをはんだ付けする。さらに、図2に示すように、上アームのエミッタ電極と下アームのコレクタ電極を連結するためのはんだ接合部555がチップ541,543と同様にして導体板535にはんだ付けされ、上下アーム接続用のはんだ接合部555(図19を参照)が上下アーム接続用はんだ接合部560(図20を参照)を介して交流端子用の導体板584との当接接続によって、上下アームの中間電極69(図2を参照)を構成する。
次に、放熱フィン(A側)522の導体板534の上にはんだ付けされた上アームのIGBT537のゲート電極とゲート端子(上アーム用)553のゲート用導体との間をゲートワイヤ(上アーム用)593でボンディング接続する(図17を参照)。同様にして、放熱フィン(A側)522の導体板535の上にはんだ付けされた下アームのIGBT541のゲート電極とゲート端子(下アーム用)557のゲート用導体との間をゲートワイヤ(下アーム用)597でボンディング接続する。
図18に示すとおり、放熱フィンの一方である、放熱フィン(A側)522に上アームと下アームを構成する両方の半導体チップを固定し、これら半導体チップに信号を制御するためのゲート端子553,557につながるゲート用導体を設けている。このように一方の絶縁部材に上下アーム用の半導体チップとその制御線を固定しているので、ワイヤボンディングなどの信号線と半導体チップとの接続作業を製造工程の中で集中でき、生産性と信頼性の向上となる。また、自動車用の如く振動の大きい環境で使用する場合、配線すべき一方の半導体チップと他方の制御線との両方が同じ部材である一方の放熱フィンに固定されているので、耐振性が向上する。
図19に示すとおり、上アーム用の半導体チップ537(はんだ接合部751に接合される)と下アーム用の半導体チップ541(はんだ接合部753に接合される)とを同じ向きに、すなわちそれぞれの半導体チップのコレクタ面が絶縁部材である絶縁シート546側に向いていて、はんだ接合部751,753はIGBTチップ537,541のコレクタ側に対面するように設けられている。このように、上アームと下アームの半導体チップの方向を合わせることで作業性が向上する。このことはダイオードチップ539,543に対しても同じである。
図14に示すように、本実施形態に関する半導体モジュール500に内蔵された上下アーム直列回路50の配置構造は、図17に示した詳細構造をも参照すると、上アームのIGBT52が上アームのダイオード56の上方部に設置されていて、この設置関係は下アームのIGBTとダイオードについても同様である。そして、詳細は後述するが、図13に示す半導体モジュール500を冷却水路に上方から挿入して設置し、冷却水路内に流れる冷却水で半導体モジュール500を冷却することになるが、冷却水は放熱フィン(A側)522及び放熱フィン(B側)562の櫛歯部分(凹部)を流れることとなる。
ここで、IGBTとダイオードの高さ方向の長さは、上アームを例にとると、IGBT52の高さLはダイオード56の高さMよりも、互いの構造及び形状上の特徴からして高さ方向において長い(L>M)。そうすると、放熱フィンの櫛歯部分を流れる冷却水は、この長さLとMに応じて冷却効果を奏する。言い換えると、冷却水量の多寡は長さLとMに対応することとなり、ダイオードよりもより多く放熱をさせたいIGBTの方により多くの冷却水量が対応することになり、冷却効率の向上に繋がる。
また、図13に示す一体的構造の半導体モジュール500は、コンデンサ90の正極側と負極側に接続されるべき、正極端子532と負極端子572が上方に突出した形状であり、さらに、これらの端子532と572は、冷却水路に沿った方向(半導体モジュールを上方から見た断面における矩形形状の長手方向に沿って)の直線上に配列されている。
一方、後述するが、コンデンサモジュールの両側には、半導体モジュールの上方断面の矩形形状長手方向(冷却水の流れ方向)に沿って、複数の半導体モジュールが設置され、すなわち、コンデンサモジュールを挟んでその両側に複数の半導体モジュールを配列するサンドイッチ構造である(図11を参照)。
このような半導体モジュールとコンデンサモジュールの配列構造において、コンデンサモジュールの正極側と負極側の端子は、図13に示す半導体モジュールの正極端子532と負極端子572に対向するように配置している。これによって、半導体モジュール500とコンデンサモジュール390をバー接続する場合に、正極側と負極側とで同一形状と同一長さのバーを使用することができ、作業性が向上するとともにIGBTのスイッチング動作に伴うインダクタンスの低減を図ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る電力変換装置における小型化、冷却効率、組立性を向上実現させる具体的構成について、図7〜図12を参照しながら以下説明する。図7は本発明の実施形態に係る電力変換装置における半導体モジュールの配置構成を示す分解図であり、図5に示す電力変換装置の全体構成から上ケース、制御基板、ドライバ基板及び交流コネクタを取り除いた図である。図8は図7に示す分解図に対して交流コネクタと直流コネクタを付設した半導体モジュール廻りの電力系統の斜視図である。図9は図8に示す半導体モジュール廻りの電力系統の分解図である。図10は図7に示す半導体モジュールの配置構成を冷却水の流れ方向からみた断面図である。図11は本実施形態に係る電力変換装置の全体構成から上ケースを取り除いて冷却水の流れ方向からみた断面図である。図12は本実施形態に関する半導体モジュール、コンデンサモジュール、及び冷却水路を上方からみた断面図である。
まず、図7〜図9を参照しながら、本実施形態に係る電力変換装置における半導体モジュール、冷却水路、電力系統などの配置構造を説明する。図7〜図9に示す実施形態の半導体モジュールは、図3に示すようなU1相、V1相及びW1相からなる上段の上下アーム直列回路を内蔵した半導体モジュール1と、U2相、V2相及びW2相からなる下段の上下アーム直列回路を内蔵した半導体モジュール2と、からなる2系統の6つの半導体モジュールを例示する構造である。半導体モジュール1は、3本の交流バスバー1(391)を通して交流コネクタ1(88)に接続され、同様に、半導体モジュール2は、3本の交流バスバー2(392)を通して交流コネクタ2(89)に接続される。図面では、冷却水路入口部246側(すなわち交流コネクタ88,89配置側)に、図3に示すようなU1相、V1相及びW1相からなる上段の上下アーム直列回路を内蔵した半導体モジュール1が配置され、その反対側(冷却水路出口部248側)にU2相、V2相及びW2相からなる半導体モジュール2が配置されている。
また、冷却水入口部246及び出口部248が配置された側面とは反対側の側面にコンデンサモジュール390と接続される直流コネクタ38が配置されている。また、交流コネクタ用位置決め部122を挟んで交流コネクタ搭載部123には、交流コネクタ88と交流コネクタ89(図3を参照)が搭載され、その上面に交流コネクタ部フランジ90が設けられる。コンデンサモジュール390(図11を参照)が挿入されるコンデンサモジュール挿入部147の両側には、半導体モジュール500が挿入される半導体モジュール挿入水路237が下ケース142に形成される(図10を参照)。このように、コンデンサモジュール390を挟んでその両側に半導体モジュール500を配列するサンドイッチ構造を形成している。
交流コネクタ側に配列された半導体モジュール1の上面にはモジュール蓋1(145)が、その反対側に配列された半導体モジュール2の上面にはモジュール蓋2(146)が、それぞれ配設され、水路の入口部246と出口部248が配置された正面部の折り返し水路227(図7、図12を参照)の上面には水路蓋144(図9を参照)が配設される。さらに、半導体モジュール挿入水路237(図10を参照)には、上記の正面部と反対側に背面部の折り返し水路236が形成される(図7を参照)。また、水路入口部246の近傍には水路形成体1(490)が、さらに、水路出口部248の近傍には水路形成体2(491)が設けられ、半導体モジュールの放熱フィン(A側)と放熱フィン(B側)の全域に冷却水が流れるように水流を誘導する(図12を参照)。
次に、図10〜図12を参照しながら、本実施形態に係る電力変換装置における半導体モジュール、冷却水路、電力系統などの詳細な配置構造を説明する。本実施形態は、半導体モジュール500を、下ケース142に形成された水路237に上方から挿入していくスロットイン構造を採用したものであり、半導体モジュール500は、下ケース142の半導体モジュール位置決め部502に位置決めされ、モジュール蓋145,146の半導体モジュール固定部501で水路237に固定される。
交流コネクタ88,89を搭載する交流コネクタ搭載部123側の水路には、水路形成体1(490)の背面方向に、例えば、図3に示すU1相、V1相、W1相のそれぞれの半導体モジュール500,500,500が挿入固定されている。また、水路出口部248の側の水路には、同様に、図3に示すU2相、V2相、W2相のそれぞれの半導体モジュール500,500,500が挿入固定されている。
図12によると、水路入口部246からの水流250は、水路形成体1(490)で水流を誘導されて半導体モジュール500の一方の放熱フィン側に水流251を形成し、水路237の背面部での折り返し水路236で図示する水流252で折り返され、水流253を形成する。続いて、水流は、水路形成体1(490)に誘導されて、正面部の折り返し水路227を通り、次に、水路形成体2(491)に誘導されて、水路出口部248の側の水路に水流を形成する。図12に示す水路出口部248に繋がる右側の水路での水流は、上述した左側の水流と同様の水流を形成する。
図12に示すように、コンデンサモジュール390を挟んでその左側に3つの半導体モジュール500を配置し、その右側に3つの半導体モジュール500を配置する構造を採用する本実施形態は、先行技術に開示されている、同一側面(例えば正面部)に水路入口部と水路出口部を配置し且つ6つの逆U字状水路を入口部と出口部を結ぶ方向(例えば左右方向)に配置してこれらの逆U字状水路を折り返し水路で順に連結して6つの半導体モジュール500をそれぞれの逆U字状水路に設置した構造に比べて、Uターンの折り返し水路が、上述した先行技術における11個の折り返す水路に対して、図12に示す本実施形態では、2つの折り返し水路236(左側と右側の水路上方における折り返し水路)と、図示する水流254及び水流256から成る折り返し水路と、の3箇所である。
そうすると、水路における水流の方向転換における水流の圧力損失を考えると、上述した先行技術では11箇所のUターン水路が存在するのに対して、図12に示す本実施形態では3箇所であるので、水路の圧力損失が格段に低減することができる。この圧力損失が低減すれば、水流の流れ速度が入口部と出口部とでそれほど差がなくなり、冷却水による冷却効率がそれほど低下することはない。
また、図11と図12に示すように、コンデンサモジュール390は、その左右両側および前面側(水流255を参照)に水路が形成されているので、コンデンサモジュール390も水路を流れる冷却水によって冷却される構造となっている。
次に、図11によると(図5をも参照)、コンデンサモジュール390はその上表面が電力変換装置100の中で可成り大きな表面を占有しており、このコンデンサモジュール390の上表面を有効活用する構造上の配置が本実施形態の特徴の1つでもある。すなわち、コンデンサモジュール390の上表面にドライバ基板386(図2に示すドライバ基板74に相当)を設置しこのドライバ基板386上にドライバIC387が搭載されている。さらに、ドライバ基板386には連結材を介して制御基板372が上方に設置され、両方の基板386と372とは信号コネクタ388(図5を参照)で電気的に接続されている。制御基板372上には制御基板IC373が搭載されている。このように、本実施形態ではコンデンサモジュール390の上面にドライバ基板と制御基板とを設置することでこの上面を有効活用している。
敷衍して説明すると、図11に示す左側の半導体モジュール(U1相、V1相、W1相用)は、図3に示すインバータ回路1(45)に相当し、図11に示す右側の半導体モジュール(U2相、V2相、W2相用)は、図3に示すインバータ回路2(46)に相当する。本来、ドライバ基板386は、インバータ回路1(45)とインバータ回路2(46)毎にそれぞれ設けられるものであるが、本実施形態では、図11の左側の3つの半導体モジュール500に内蔵されるインバータ回路1(45)と、右側に設けられたインバータ回路2(46)との間に、ドライバ基板を掛け渡す構造を採用することで(図3を参照)、2つのインバータ回路1と2に対して1枚のドライバ基板386で兼用させることができる。
さらに、図10をみると、下ケース142は、機能的には水路筐体を形成しており(図10の水路237)、さらに、コンデンサモジュールの挿入部147をも形成している。
したがって、下ケース142は水路筐体の機能を果たすとともに、コンデンサモジュール390の位置決め機能をも果たしているので、コンデンサモジュールの位置決めが容易である。
図7に示す電力変換装置における半導体モジュール500とコンデンサモジュール390の配列構造と、図13に示す半導体モジュール500の正極端子532と負極端子572の配置構造とから分かるように、放熱フィン(B側)562に対面してコンデンサモジュール390が配置されるので、コンデンサモジュール390の正極端子と負極端子は、半導体モジュール500の正極端子532と負極端子572と互いに等長のDCバスバーで接続でき、接続が容易になるとともに(等長で同構造のDCバスバーを2本用意して、これらのDCバスバーを正極端子532とコンデンサモジュール正極端子との間、負極端子572とコンデンサモジュール負極端子との間に掛け渡して容易に接続することが可能)、コンデンサモジュールと半導体モジュールのそれぞれの極側を単純構造の同一形状のDCバスバーで連結することで低インダクタンスの配線構造となっている。
図21は本実施形態に関する半導体モジュールとコンデンサモジュールの間の端子接続の構造を示す図である。図21は半導体モジュール500の間にコンデンサモジュール390が挟まれるサンドイッチ構造の一方の側を図示している。
コンデンサモジュール390から直流バスバー393が突設されて、その端部にコンデンセモジュールの正極端子394と負極端子395が配置されその先端部は櫛歯形状の端子部を植立している。さらに、正極端子394と負極端子395の間にはこれらの端子間の絶縁を確実にする薄板形状のコンデンサモジュール端子絶縁部396が直流バスバー393に付設される。この薄板形状端子絶縁部396は、半導体モジュールの上面に穿たれた挿入孔583に挿入することによって、半導体モジュール500とコンデンサモジュール390間の端子接続の位置決めが図られる。
この位置決めによって、半導体モジュールの正極端子532とコンデンサモジュールの正極端子394との接合、及び半導体モジュールの負極端子572とコンデンサモジュールの負極端子395との接合が固定したものとなる。すなわち、接合する両端子の櫛歯形状同士が密接関係となり、その後の例えばはんだ付け作業が容易となり、はんだ固着が強固なものとなる(コンデンサモジュール390と半導体モジュールの接続端子を互いに櫛歯形状とすることによって、両者の接続端子間の溶接やその他の固着接続がし易くなっている)。図示するように、半導体モジュールの正極端子532と負極端子572の配列が、コンデンサモジュール390の対向面側に対して並置されているので、コンデンサモジュールの正極端子394と負極端子395の突設構造を互いに同一とすることができる。
また、半導体モジュール500はそのフィン長手方向に沿って複数配列されるので、半導体モジュール毎のコンデンサモジュールの直流バスバー393の構造をも同一とすることができる。
次に、本実施形態に関する半導体モジュールの配線インダクタンス低減化について、図22と図23を用いて説明する。図22は本実施形態に関する半導体モジュールとコンデンサモジュールにおける配線インダクタンスの低減を説明する構成上の配置図である。図23は本実施形態に関する半導体モジュールとコンデンサモジュールにおける配線インダクタンスの低減を説明する等価回路上の配置図である。過渡的な電圧上昇や半導体チップの大きな発熱は、インバータ回路を構成する上アームあるいは下アームのスイッチング動作時に発生するので、特にスイッチング動作時のインダクタンスを低減することが望ましい。過渡時にダイオードのリカバリ電流600が発生するので、このリカバリ電流に基づき、一例として下アームのダイオード543(図2の66に相当)のリカバリ電流を例としてインダクタンス低減の作用を説明する。
ダイオード543のリカバリ電流とは、逆バイアスであるにもかかわらずダイオード543に流れる電流であり、ダイオード543の順方向状態でダイオード543内に満たされたキャリアに起因すると一般に言われている。インバータ回路を構成する上アームあるいは下アームの導通動作あるいは遮断動作が所定の順に行われることでインバータ回路の交流端子582には3相交流電力が発生する。今、上アームとして動作している半導体チップ537が導通状態から遮断状態に切り替わると、モータジェネレータ92(図2を参照)の固定子巻線の電流を維持する方向に下アームのダイオード543を介して還流電流が流れる。この還流電流はダイオード543の順方向電流であり、ダイオード内部はキャリアで満たされる。次に、上アームとして動作している半導体チップ537が遮断状態から再び導通状態に切り替わると、下アームのダイオード543に上述したキャリアに起因するリカバリ電流が流れる。定常的な動作では上下アーム直列回路のどちらかが必ず遮断状態にあり、上下アームに短絡電流が流れることが無いが、過渡状態の電流例えばダイオードのリカバリ電流は上下アームで構成する直列回路を流れる。
図22と図23で上下アーム直列回路の上アームとして動作するIGBT(スイッチン用半導体素子)537がオフからオンに変化したとき、正極端子532(図2の57に相当)からIGBT537、ダイオード543を通って負極端子572(図2の58に相当)にダイオード543のリカバリ電流が流れる(図に矢印で示す)。なお、このとき、IGBT541は遮断状態にある。このリカバリ電流の流れをみると、図22に示すように、チップ537と543から正極端子532と負極端子572に至る経路では導体板が上下方向に並行して配置され、且つ逆向きの同一電流が流れる。そうすると、導体板の間の空間では互いの電流によって発生する磁界が打ち消し合うことになり、結果として電流経路のインダクタンスが低下することとなる。
すなわち、正極側の導体板534および正極端子532と負極側の導体板574および負極端子572とが接近して対抗して配置されたラミネート状態にあることでインダクタンスの低減作用が生じる。図23は図22の等価回路であり、正極側の導体板534および正極端子532の等価コイル712が負極側の導体574および端子572の等価コイル714と互いに磁束を打ち消す方向に作用し、インダクタンスが低減される。
さらに、図22に示すリカバリ電流の経路をみると、逆方向且つ並行電流の経路に続いて、ループ形状の経路が生じている。このループ形状経路を電流が流れることによって、放熱フィン(A側)と放熱フィン(B側)には渦電流602,601が流れることとなり、この渦電流による磁界打ち消し効果によってループ形状経路におけるインダクタンスの低減作用が生じる。図23の等価回路で、渦電流を生じる現象を等価的にインダクタンス722と724と726で表現した。これらのインダクタンスは放熱フィンである金属板に接近して配置されているので、誘導により発生する渦電流が発生する磁束と打ち消しあう関係となり、結果として半導体モジュールのインダクタンスが渦電流効果によって低減することとなる。
以上のように、本実施形態に関する半導体モジュールの回路構成の配置によって、ラミネート配置による効果と渦電流による効果によってインダクタンスを低減することができる。スイッチング動作時のインダクタンスを低減することが重要であり、本実施形態の半導体モジュールでは、上アームと下アームの直列回路を半導体モジュール内に収納している。このため上下アーム直列回路を流れるダイオードのリカバリ電流に対して低インダクタンス化が可能となるなど、過渡的な状態でのインダクタンス低減効果が大きい。
インダクタンスが低減すれば、半導体モジュールで発生する誘起電圧は小さくなり、低損失の回路構成を得ることができ、また、インダクタンスが小さいことによってスイッチング速度の向上に繋げることができる。さらに、上述した上下アーム直列回路50からなる半導体モジュール500を複数並列にして、コンデンサモジュール95内の各コンデンサ90と接続して大容量化を図った場合において、半導体モジュール500自体のインダクタンスが低減することによって、電力変換装置100内の半導体モジュール500によるインダクタンスのバラツキの影響が少なくなり、インバータ装置の動作が安定する。
また、モータジェネレータの大容量化(例えば、400A以上)が求められる場合において、コンデンサも大容量とする必要があり、個々のコンデンサ90を多数並列接続しコンデンサの直流バスバー393を並列状に配置すると、個々の半導体モジュールの正極端子532及び負極端子572と個々のコンデンサ端子とは等距離接続することになり、それぞれの半導体モジュールに流れる電流は均等に分配され、バランスの良い低損失のモータジェネレータの動作を図ることができる。さらに、半導体モジュールの正極端子と負極端子の並行配置によって、ラミネート効果でインダクタンスが低減することと相俟って低損失の動作を行わせることができる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る電力変換装置は、両面冷却型半導体モジュールを用いて、小型化、組立性、冷却効率の向上を図るものであり、その全体構造として、同一側面に水路入口部と出口部を設けた略直方体形状の水路筐体において、その中央部分にコンデンサモジュールの挿入部を形成し、その中央部の両側に水路入口部と水路出口部に繋がる水路を形成し、この水路に半導体モジュールの放熱フィン長手方向に沿って複数の半導体モジュールをスロットインする構成を基本的構造体とする。この基本的構造体において、水路入口部と出口部を設けた側面以外の他の側面には、交流コネクタ1と交流コネクタ2を設け、さらに他の側面には直流コネクタを設ける。
また、この基本的構造体におけるコンデンサモジュールの上面には半導体モジュールに内蔵する上下アーム直列回路のドライバ基板を設け、さらにその上部に制御基板を設けて、コンデンサモジュール上面空間の有効利用を図って、全体構成としている。
また、図12に示す水路構造と複数の半導体モジュールの配置構造によって、水流のUターン部の数減少で水路の圧力損失を低減している。さらに、図12に示すコンデンサモジュールと水路のサンドイッチ構造でコンデンサをも水路の冷却水で冷却できるような構造としている。また、図13に示すような半導体モジュールの正極端子と負極端子の配列構造によってコンデンサモジュールのそれらに対応する端子と同一構造のDCバスバーで結合することができ低インダクタンス配線を可能とする。コンデンサモジュールの上面にドライバ基板と制御基板を配置することでコンデンサモジュール上面の有効利用を図り、2つのインバータ回路を有する電力変換装置であってもドライバ基板を共通のドライバ基板で形成することできる。また、下ケースから成る水路筐体にコンデンサモジュール挿入部を形成することでコンデンサモジュールの位置決めが確実且つ容易になる。
また、図14に示すように、半導体モジュールに内蔵される上アームのIGBTと下アームのIGBTとは長さLで水路の水流方向に沿って配置され、同様に上アームと下アームのダイオードも長さMでIGBTの下に配置されるので、半導体モジュールの高さ方向に無駄な長さが存在せず、小型化に繋がる。また、第1の冷却対象であるIGBTは、Mより長いLに相当する水路(フィン部分の高さ方向の長さ)を占有するので、冷却効率も向上する。
次に、本実施形態に関する半導体モジュールの正極端子と負極端子の配列についての他の構成例を、図24を用いて説明する。まず、図21に示す半導体モジュールの正極端子532と負極端子572は、それぞれ植立した櫛歯形状の並びが放熱フィン(A側)522の水流方向に沿って縦列する配列であった(図13を参照)。図24によると、正極端子532と負極端子572のそれぞれの櫛歯形状を半導体モジュールの短手方向で対向するように構成する。すなわち、正極端子532の櫛歯形状の並びが放熱フィン(A側)522側において水流方向に沿うようにされ、負極端子572の櫛歯形状の並びが放熱フィン(B側)562側において水流方向に沿うように形成され、互いの櫛歯形状が半導体モジュール短手方向で向き合う構造であり、図21の構造のものに比べて、正極端子532と負極端子572の配置のみが異なっている(他の端子の配列が多少異なっていても当然によい)。
図示するように各端子の櫛歯形状を形成するために、それぞれの導体板534(正極側の導体板)と574(負極側の導体板)には、屈曲部を形成して櫛歯形状が向き合うように屈曲させればよい。コンデンサモジュールの端子絶縁部396に対応するように、半導体モジュールの各端子532,572の導体板534,574間には端子絶縁部挿入孔583を付設する。上述した半導体モジュール500の正極端子と負極端子の配置構造に対応させて、コンデンサモジュール390の正極端子394と負極端子395の構造についても、図21に示すものに比べて、直流バスバー393と端子及び端子絶縁部との並び方が90度角度変更している。すなわち、図24に示す他の構成例は、半導体モジュールとコンデンサモジュールの正極端子、負極端子の構造を変更するのみで適応可能なものである。
次に、本実施形態に関する水路構造と複数半導体モジュールの配置構造の構成例について、図25と図26を参照しながら以下説明する。図25は本実施形態に関する水路構造と複数半導体モジュールの配置構造の一の構成例を示す機能説明図である。図26は本実施形態に関する水路構造と複数半導体モジュールの配置構造の他の構成例を示す機能説明図である。
図において、142は下ケース、226は正面部入口水路、227は正面部折り返し水路、228は正面部出口水路、236は背面部折り返し水路、237は半導体モジュール挿入水路、246は水路入口部、248は水路出口部、258は水流、390はコンデンサモジュール、490は水路形成体1、491は水路形成体2、500は半導体モジュール、をそれぞれ表す。
図25において、図25(A)は、図12に示す水路構造と半導体モジュール配置構造を機能的に説明する図であり、その機能、作用は図12の説明で詳述したとおりである。
図25(B)は水路構造の変形例であり、コンデンサモジュールの冷却効率の向上及び流路内の圧力損失低減を図るものである。図25(B)に示す変形例について図25(A)の例との対比で説明すると、図25(A)の場合、冷却水は入口水路226近傍に配置された半導体モジュールを先に冷却し(入口水路226側に3つの半導体モジュールが挿入されている)、出口水路228近傍に配置された半導体モジュールは後に冷却する。そのため、入口水路226近傍と出口水路228近傍で半導体モジュールに当接する冷却水の温度に偏りができ、冷却の不均一を招くこととなる。
これに対して、図25(B)のものは、背面部に水路形成体1(490)を設けて折り返し水路236を形成するものであるので、入口水路226と出口水路228の近傍に配置された半導体モジュール500は一方の面(図13に示す放熱フィン(A側)522又は放熱フィン(B側)562)が先に冷却され、もう一方の面は最後に冷却されるため、各半導体モジュール500の冷却が比較的均一になるという利点がある。
また、図25(C)は水路構造の変形例は、同図(B)と同様に背面部に折り返し水路236を設けるとともに水路形成体1(490)と水路形成体2(491)を図示のように配置するとともに、複数の半導体モジュール500を3つのユニットに分け、それぞれ3つのユニットを矩形の筐体の各辺側に配置し、例えば3つのユニットをU相、V相、W相の半導体モジュール毎に分けることで、各相について熱的にバランスを取ることが出来る。すなわち、所定の一つの相のみが高温となることを防ぐことができるという利点がある。
また、図26において、水路構造の変形例を示し、水路入口部226と水路出口部228に水路形成体を設けずに、且つ背面部に水路を形成するものである。図26(A)によると、水路入口部と水路出口部に至る水路全長に亘って水路形成体490,491を設ける必要が無く、コスト低減を図ることが出来る。また、図26(A)〜(C)の水路に比べ、水路の折り返し回数を減らすことができ、かつ、水流を分岐することで各水路における冷却水の流速が下がり、水路内の圧力損失を低減することができる。
また、図26(B)に示すものは、半導体モジュールを各相毎に各水路辺毎に配置したものである。図25(A)〜(C)の変形例に比べて、水路の折り返し回数が減らすことができ、かつ、水流を分岐することで各水路における冷却水の流速が下がり、水路内の圧力損失を低減することができる。