JP2013137250A - 試料取得装置、及び試料取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属の製錬工程において金属から分離されたスラグは、粒子の硬度が硬いうえに、粒子の密度が大きく重く、また、流水により粉砕されているため水分も含んでいる。このスラグの検査試料を容易に取得する試料取得装置を提供する。
【解決手段】試料取得装置10は軸方向に移動可能で先端がホッパ5内を出入りするシャフト13と、該シャフトの先端に装着され検査試料を受けるホルダ14と、該シャフトを軸方向に移動する第1駆動機構15と、を備える。
【選択図】図4
【解決手段】試料取得装置10は軸方向に移動可能で先端がホッパ5内を出入りするシャフト13と、該シャフトの先端に装着され検査試料を受けるホルダ14と、該シャフトを軸方向に移動する第1駆動機構15と、を備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、金属の製錬工程において金属から分離されるスラグの検査試料を取得する試料取得装置、及び試料取得方法に関する。
金属の多くは他の元素と化合した化合物の状態で地中に埋もれており、これらは鉱石として採掘される。例えば、銅の場合、主として酸素、硫黄、鉄分などが含まれた銅鉱石として採掘される。このように採掘された銅鉱石の不純物を除去し、純銅として製品化するために、銅の精錬が行われる。銅の精錬の過程では、採掘した鉱石は細かく粉砕された後、銅鉱物を選択的に捕集して選鉱する。銅の乾式精錬法では、選鉱された銅精鉱を常温高酸素空気とともに自溶炉に吹きこむ。銅精鉱は、炉内で瞬時に酸化反応し、鉱石自身の酸化熱により溶解し、銅品位65%程度のマットと酸化鉄・珪酸などからなるスラグに溶解・分離される。その後、マットは転炉に装入され、ケイ酸と酸素を入れられて不純物を取り除き、銅品位98%の粗銅となる。粗銅は、連続式の鋳造機により鋳型に流し込まれ、電解精製用のアノード(陽極板)が鋳造される。アノードは電気分解により銅品位99.99%以上の電気銅に精製される。
一方、自溶炉においてマットから分離されたスラグは自溶炉から取り出され、流水で急冷粉砕される。その後、粉砕されたスラグはダンプカーによってスラグ生産設備へ運ばれる。スラグ生産設備では、スラグは受入ホッパから投入されてふるい分けられ、コンベアで運ばれた後、サイロに保管される。
このようなスラグはセメントなどに混ぜるコンクリート用の骨材として利用される。ところが、コンクリートの材料となるスラグ細骨材はJISの規定により一定の品質が求められているため、金属の製錬工程で分離されたスラグがJISの規定に適合しているか検査する必要がある。例えば、銅スラグ細骨材はJIS A 5011‐3に品質が規定されており、コンクリートの品質に悪影響を及ぼす物質を有害量含んではならないし、特定の試験方法により、化学成分及び物理的性質が規定に適合していることが義務づけられている。
このため、スラグ生産設備ではスラグの検査試料の採取(サンプリング)が行われている。検査試料はJIS規格に適合しているか試験し、規定を満たすことが確認されたものをサイロから出荷する。したがって、検査試料がスラグ全体をよりよく反映するように、検査試料を採取する頻度を増やし平均が取れるようにしている。例えば、銅製錬の工程で生成するスラグについて、1ロットあたり32回の採取が行われている(1時間あたり2回を16時間)。従来、このようなスラグの検査試料の採取は人手により行われているため、煩雑であり、作業員の作業負担が大きく、効率的とはいえない。
ところで、ホッパ型粉体処理槽内部の粉体をサンプリングする装置が特許文献1に開示されている。特許文献1のホッパ型粉体処理槽はガスを流通しながら粉体を処理する。特許文献1の装置は、粉体処理層の側面に装着したフランジアタッチメント部材に設けた貫通孔へ、粉体採取用治具を抜き差し自在に取り付け、粉体処理層内部のガスの漏洩を防止するシールアタッチメント部材と、粉体採取用治具に付着した粉体を除去するスクレーパを備えている。この構成により、特許文献1の装置はガスや粉体の漏洩を防ぐので、ガスの流通を止めずに、または、有害なガスを無害なガスへ置換することなくサンプリングできる。
上記の特許文献1の装置は、ガスで浮遊する軽微な粉体についてサンプリングする装置である。一方、本願が着目するスラグは、粒子の硬度が硬いうえに、粒子の密度が大きく重いという特性を持つ。さらに、スラグは、流水により粉砕されているため水分を含んでおり、ガスで浮遊する軽微な粉体とは異なった性状を有する。このような特許文献1の粉体とスラグの性状の違いを考慮すると、特許文献1の装置によって、スラグの検査試料を採取できるとはいえない。したがって、依然として、スラグの検査試料をサンプリング装置により取得することに着目した例はない。
そこで、本発明はスラグの検査試料を容易に取得する試料取得装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決する本発明の試料取得装置は、金属の製錬工程において金属から分離されたスラグの検査試料をホッパにおいて取得することを特徴とする。本発明の構成によると、スラグの検査試料を容易に取得することができる。この結果、作業員の作業負担を軽減し、作業を効率化できる。
上記の試料取得装置において、前記ホッパ内を落下中の前記検査試料を取得することができる。これにより、スラグの生産設備を停止することなく、検査試料を取得できる。また、検査試料の取得するタイミングを容易に調整できる。
上記の試料取得装置において、軸方向に移動可能で先端が前記ホッパ内を出入りするシャフトと、前記シャフトの先端に装着され前記検査試料を受けるホルダと、前記シャフトを前記軸方向に移動する第1駆動機構と、を備えることができる。これにより、スラグの検査試料を自動的に取得することができる。特に、スラグは重いため、シャフトをアクチュエータで移動する構成により作業員の負担が大幅に軽減される。
上記の試料取得装置において、前記ホルダの内側の隅角部にテーパまたはRをつけることができる。これにより、ホルダの内側の隅角部にスラグが付着することが防がれ、スラグがホルダに残存することを抑制できる。
上記の試料取得装置において、前記シャフトは、前記軸周りに回転可能に支持されており、前記シャフトを前記軸周りに回転する第2駆動機構を備えることができる。これにより、シャフトを軸周りに回転することについて作業員の作業負担を軽減できる。
上記の試料取得装置において、前記ホルダを下に向けた状態で前記ホッパ内に入れ、前記ホルダが前記検査試料を取得する位置に到着すると、前記ホルダを上に向けて前記検査試料を取得することができる。これにより、検査試料の取得する位置を選択できるため、ロット全体を反映する検査試料を取得できる。
上記の試料取得装置において、前記ホルダが受け取った前記検査試料を回収するシュートを前記シャフトの下方に備えることができる。さらに、この試料取得装置において、前記ホルダが前記シュートの上部に到着したときに、前記ホルダを下に向ける構成とすることができる。これにより、ホルダをホッパから引き出し、シャフトを回転させるという単純な作業により、検査試料を容易に回収できる。
上記の試料取得装置において、前記ホルダが前記ホッパから取り出された時に、前記ホッパに設けられた前記シャフトが通る出入口を閉塞するボールバルブを備えることができる。これにより、ホッパからスラグが飛び出ることを防止できる。
上記の試料取得装置において、前記スラグが5〜0.3mmの粒径の銅スラグ細骨材を取得することにしてもよい。
また、本発明が提供する試料取得方法は、金属の製錬工程において金属から分離されるスラグの検査試料を自動で取得することを特徴とする。
上記の試料取得方法において、ホッパ内を落下中の前記検査試料を取得することにしてもよい。
本発明は、スラグの検査試料を容易に取得する試料取得装置を提供することができる。
以下、本発明の試料取得装置10の一形態について図面を参照して説明する。初めに、試料取得装置10が組み込まれたスラグ生産設備1について説明する。図1はスラグ生産設備1の概略図である。
スラグ生産設備1は、銅の製錬工程において銅から分離されるスラグを回収し保管する設備である。スラグ生産設備1は、試料取得装置10、受入ホッパ2、ベルトフィーダ3、振動スクリーン4、ホッパ5、搬送コンベア6、サイロ7を備えている。受入ホッパ2はスラグを投入する上部口とスラグを落下させる下部口を備えている。ベルトフィーダ3は受入ホッパ2の下部口に合わせて配置されている。ベルトフィーダ3はスラグを振動スクリーン4へ運ぶ。振動スクリーン4は、スクリーン部を振動させることにより、スクリーン部に乗ったスラグをふるいにかける。ホッパ5の上部口は、振動スクリーン4の下方に位置している。ホッパ5は振動スクリーン4においてふりわけられたスラグを受け入れ、下部口からスラグを落下させる。また、ホッパ5は、ホッパ5の下部口を閉鎖してスラグを蓄えることもできる。搬送コンベア6のテールプーリ61がホッパ5の下部口に合わせて配置されている。搬送コンベア6はおよそ6度の傾斜を昇り、スラグをサイロ7の上部口71へ運ぶ。搬送コンベア6の全長は水平方向に84500mmであり、揚幅は9100mmである。搬送コンベア6のコンベアベルト62の幅は900mmである。搬送コンベア6に設けられたモータ(図示しない)がドライブプーリ63を駆動することにより、コンベアベルト62が周回する。搬送コンベア6の輸送能力は400t/hr、速度はおよそ73m/minである。サイロ7は複数基、設けられている。搬送コンベア6のサイロ7側にはシャトルコンベア64が設けられている。シャトルコンベア64はコンベアの機長を伸縮させて、投入するサイロ7へスラグを運ぶことができる。サイロ7はスラグを貯蔵し、出荷時に下部口72からスラグを出荷コンベア8に落下させる。出荷コンベア8はスラグを出荷口へ運ぶ。
次に試料取得装置10について詳細に説明する。図2(a)は図1におけるホッパ5の周辺を拡大して示した概略図である。図2(b)は、図2(a)中のA−A断面図である。図3、図4、図5は試料取得装置10を拡大して示した概略図である。図3は試料取得装置10の平面図、図4は一部を断面にして示した試料取得装置10の側面図、図5は試料取得装置10の背面図である。
試料取得装置10は、スラグ生産設備1においてスラグの検査試料を取得する装置である。試料取得装置10は、ホッパ5の下部口51の近くの側面に設けられている。すなわち、試料取得装置10はホッパ5においてホッパ5内に貯蔵された、または、ホッパ5内を落下中のスラグの検査試料を取得することができる。試料取得装置10は、フランジ部11、ボールバルブ12、シャフト13、ホルダ14、第1アクチュエータ15、第2アクチュエータ16、シュート17を備えている。
フランジ部11は、ホッパ5の側面に溶接された第1フランジ111と、ホッパ5の反対側から第1フランジ111にボルトで締結された第2フランジ112とからなる。第2フランジ112は取り外しが可能となっている。ボールバルブ12は第1フランジ111の反対側から第2フランジ112にボルトで締結されている。本実施例において、ボールバルブ12として株式会社日阪製作所製のHF5−AE(JIS10K−100A AC400V 60Hz)を使用する。
シャフト13は、円柱状をしたステンレス鋼(例えばSUS304)である。シャフト13は、軸a方向に移動可能で、先端がホッパ5内を出入りするように構成されている。特に、シャフト13は、ボールバルブ12とフランジ部11を貫通し、軸aが水平になるように配置されている。シャフト13はホッパ5の反対側でハウジング131に軸a周りに回転可能に支持されている。また、シャフト13よりも上側に支柱によって支えられた台座18が設けられている。台座18は、スライドシャフト181と送りねじ182とを備えている。このスライドシャフト181と送りねじ182はシャフト13の軸aと平行に配置されている。ハウジング131は軸a方向に移動可能な状態で、スライドシャフト181に支持されている。スライドシャフト181は、ハウジング131、及びシャフト13を支持するとともに、移動方向を軸a方向に限定する。さらに、ハウジング131はナット部を備え、このナット部は送りねじ182とかみ合っている。送りねじ182が回転すると、ハウジング131と、ハウジング131に接続したシャフト13が軸a方向に移動する。
図6はホルダ14とホルダ14に付随する部品の拡大図である。図6(a)は平面図、図6(b)は軸aに沿う縦方向の断面図である。ホルダ14はホッパ5内でスラグを受ける部品である。ホルダ14は円筒状のステンレス鋼(一例としてSUS304)の円筒曲面の一部を除去して開口し、スラグの検査試料を受けとめることができるようにカップ状に形成されている。ホルダ14の円筒の底に相当する面、すなわち軸aに垂直な面は塞がれており、この軸aに垂直な面と円筒曲面とが成す隅角部143にはテーパ141が付けられている。このようにホルダ14の隅角部143にテーパ141をつけることにより、水分を含むスラグが隅角部143に付着し残存することを防止する。また、ホルダ14の隅角部143のテーパ141は、Rをつけることで代用してもよい。このホルダ14はシャフト13の先端にボルトで装着されている。ボルトを締結する部位にはホルダ14よりも径の大きなゴム板142が挟みこまれており、シャフト13が出入りする際に、フランジ部11とボールバルブ12の内側のスラグを掻き取ることができる。ホルダ14はボルトで装着されるため、取り外して交換することも可能である。ホルダ14は、シャフト13の軸a方向の移動に伴いホッパ5内を出入りする。また、ホルダ14は、シャフト13の軸a周りの回転に伴い回転し、開口部の向きを変える。
第1アクチュエータ15は、シャフト13を軸a方向に移動する電動機である。本実施例において、第1アクチュエータ15として住友重機械工業株式会社製の駆動用電動機(0.4kW AC440V 60Hz 3Φ)を使用する。第1アクチュエータ15は、台座18の上に配置されている。第1アクチュエータ15の駆動軸にはドライブプーリ151が結合されている。また、送りねじ182にドリブンプーリ152が結合されている。ドライブプーリ151とドリブンプーリ152とはベルト153で接続されており、第1アクチュエータ15の駆動軸が回転するとベルトを介して伝達され、送りねじ182が回転する。これにより、シャフト13が軸a方向に移動する。すなわち、第1アクチュエータ15は、送りねじ182を回転することによりシャフト13を軸a方向に移動する。第1アクチュエータ15は、2.2〜4.4m/minでシャフト13を移動することができる。この第1アクチュエータ15とスライドシャフト181、及び送りねじ182は、シャフト13を軸a方向に移動する第1駆動機構として機能する。
第2アクチュエータ16は、シャフト13を軸a周りに回転する電動機である。第2アクチュエータ16は、ハウジング131に組み込まれている。本実施例において、第2アクチュエータ16として住友重機械工業株式会社製の駆動用電動機(0.1kW AC440V 60Hz 3Φ)を使用する。第2アクチュエータ16の駆動軸はシャフト13を軸a周りに回転するように構成されている。具体的には、第2アクチュエータ16は、駆動軸がシャフト13と同軸上で回転するように、ホルダ14の反対側からシャフト13に接続している。第2アクチュエータ16は、3.4〜6.8rpmでシャフト13を回転することができる。第2アクチュエータ16はシャフト13を軸a周りに回転する第2駆動機構として機能する。
シュート17は、ホルダ14が受け取ったスラグの検査試料を回収する。シュート17は、シャフト13の下方であって、ボールバルブ12よりもホッパ5から離れた位置に設けられている。シュート17の下には検査試料の回収容器を配置することができる。
次に、スラグ生産設備1において試料取得装置10がスラグの検査試料を取得する動作について説明する。スラグ生産設備1が回収、保管するスラグは、JIS A 5011‐3のCUS5‐0.3に規定される5〜0.3mmの粒径の銅スラグ細骨材である。本実施例の銅スラグ細骨材は、かさ比重1.8、安息角45度である。試料取得装置10が一度に取得する試料の最大量はおよそ2kgである。
銅スラグは、銅製錬の自溶炉(図示しない)においてマットと分離された後、流水で急冷粉砕されて粒径を整えた後、ダンプカーに積載されてスラグ生産設備1へ運ばれる。スラグ生産設備1へ運ばれてきた銅スラグは、受入ホッパ2の上部口へ投入される。受入ホッパ2へ投入された銅スラグは、受入ホッパ2の下部口からベルトフィーダ3へ落下する。銅スラグはベルトフィーダ3により振動スクリーン4へ運ばれる。振動スクリーン4へ運ばれた銅スラグは、振動スクリーン4のスクリーン部の振動により振り分けられ、スクリーン部を通過した銅スラグがホッパ5へ落下する。ホッパ5から落下した銅スラグは搬送コンベア6によりサイロ7へ運ばれる。
銅製錬において生成する銅スラグは、1ロットあたり3000tであって、サイロ1基分に相当する。スラグ生産設備1は1日あたり1250tのスラグを生産するため、2.4日で1ロットを生産する。スラグの検査試料は1時間あたり2回取得する。スラグの検査試料の取得は1日あたり8時間、2日に亘って実施される。試料取得装置10は、1回あたりスラグの検査試料を0.9kg取得する。1ロットでは検査試料を32回取得するので、1ロットあたり約29kgの検査試料を取得する。
試料取得装置10は、ホッパ5内を落下中の銅スラグを検査試料として取得する。銅スラグの検査試料を取得する場合、試料取得装置10は、第1アクチュエータ15を駆動して、シャフト13を移動する。図7、図8はシャフト13の位置を変更した試料取得装置10の説明図である。図7は、シャフト13がホッパ5から最も遠ざかった状態を示している。図8は、シャフト13が図7の位置から水平距離350mmホッパ5側へ移動した状態を示している。また、上記で説明した図4は、シャフト13がホッパ5の中心へ最も近づいた状態を示している。上記で説明した第1駆動機構は、シャフト13を軸a方向に750mm移動することができる。シャフト13が最もホッパ5内の中心に入り込んだとき(図4の状態)、ホルダ14の先端がホッパ5の中心にほぼ一致する。このとき、シャフト13の反対側の端部bはホッパ5の中心から水平距離にして1390mm離れて位置する。一方、シャフト13をホッパ5から最も遠ざけたとき(図7の状態)、シャフト13の反対側の端部bはホッパ5の中心から水平距離にして2140mm離れて位置する。
ホルダ14の開口部を上に向けたままシャフト13をホッパ5内へ入れると、ホッパ内を落下するスラグがホルダ14へ溜まっていく。ところで、ホッパ5の壁面付近は、ロットの中でも微小なスラグが落下していることが考えられる。このため、検査試料として壁面付近のスラグを取得してしまうと、ロット全体のスラグを正確に反映しない検査試料を取得することが考えられる。そこで、試料取得装置10は、ホルダ14の開口部を下に向けた状態でシャフト13をホッパ5内に入れ、ホルダ14が検査試料を取得する位置に到着すると、ホルダ14の開口部が上に向くようにシャフト13を回転させる。これにより、ホッパ5の壁面付近のスラグを極力取得しないようにできる。この結果、検査試料が全体を正確に反映することになる。なお、検査試料を取得する位置は、ホッパ5内の中心部、すなわち、ホルダ14が図4の状態にあるときの位置が好ましい。
一方、検査試料を取り出すときは、ホルダ14の向きをそのまま、すなわち、ホルダ14の開口部が上を向いた状態でシャフト13を引き出す。ホルダ14がシュート17の上部に到着したとき、ホルダ14の開口部を下に向ける。これにより、取得したスラグの検査試料がシュート17へ落下し、回収容器へと回収される。
スラグの検査試料の取得が終わると、ボールバルブ12を閉じてもよい。シャフト13を引き出し、ホルダ14がボールバルブ12よりもホッパ5から離れた位置までくると、ボールバルブ12を閉じることができる。ボールバルブ12が閉じると、ホッパ5に設けられたシャフト13が通る出入口が閉塞する。これにより、シャフト13が出入りするフランジ部11からホッパ5内のスラグが飛び出ることが抑制される。
以上のように、試料取得装置10は、ホッパ5内を落下するスラグの検査試料を取得する。ホッパ5内を落下中のスラグの検査試料を取得するため、スラグの生産設備を停止することなく検査試料を取得できる。落下中のスラグを取得するため、生産工程中のあらゆるタイミングでスラグの検査試料の取得が可能である。したがって、1ロットにおける検査試料を取得する頻度を増加することで、さらにロット全体の平均を示す検査試料が取得できる。また、取得するスラグの検査試料の量も容易に調整できる。さらに、試料取得装置10におけるシャフト13の軸a方向の移動、及び軸a周りの回転の動作は、第1駆動機構、及び第2駆動機構により自動的に行われる。これにより、スラグの検査試料の取得における作業員の作業負担が軽減し、作業効率が向上する。
さらに、本実施例では、特に試料取得装置10が銅スラグを取得することを特徴とする。銅スラグの真比重はJIS A 1202試験によると3.6g/cm3以上である。例えば、高炉スラグ:2.2〜2.6g/cm3、フェロニッケルスラグ:3.0〜3.1g/cm3、製鋼スラグ:3.2〜3.6g/cm3であるため、銅スラグは金属スラグの中でも比重が大きい。したがって、銅スラグは他のスラグと比較して重く、作業員が人力で検査試料を取得する場合、作業負担が大きい。また、落下するスラグを取得する場合には、取得するスラグの重量が大きいほど衝撃が大きくなるため、銅スラグの人力での取得は安全性が低い。このため、試料取得装置10により銅スラグの検査試料を取得することは、他の金属スラグを取得する場合に比べて作業員の負担を軽減する効果や安全性を向上する効果が大きい。
また、試料取得装置10は、ホッパ5内に貯蔵されたスラグの検査試料を取得する場合も、上記で説明したものと同様の動作によりスラグの検査試料を取得することができる。この場合、貯蔵されたスラグの層は固く重いため、ホッパ5の内部までホルダ14を入れることが困難である。そこで、ホルダ14の先端に、先端が尖った突出部19を設けてもよい。図9は突出部19を設けたホルダ14の概略図である。突出部19を設けたことにより、ホルダ14がホッパ5の中心へ向かって移動する際に、スラグがかき分けられる。これにより、ホルダ14がスラグの貯蔵されたホッパ5内を移動することが容易になる。ホッパ5内における取得したい位置のスラグの検査試料を取得できる。
上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、さらに本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
上記の実施の形態では、銅の製錬工程から分離されたスラグの生産設備における検査試料の取得装置について説明したが、本発明の試料取得装置は、銅スラグに限定される必要はない。本発明の試料取得装置は、あらゆる金属の製錬工程において分離されるスラグの検査試料を取得することができる。また、本発明のスラグ生産設備は、銅スラグに限定されず、あらゆるスラグの生産設備に用いることができる。
また、試料取得装置10に制御装置20を搭載し、スラグの検査試料の取得タイミングを完全自動化することや、遠隔操作をすることとしてもよい。このような自動処理は、例えば、図10に示す制御により実現することができる。図10は試料取得装置10における制御ブロック図の一例である。制御装置20は、コントロールユニット21、入力端末22を備えている。コントロールユニット21は、第1アクチュエータ15、及び第2アクチュエータ16と電気的に接続されている。作業員は入力端末22から試料取得装置10の細かな動作を入力することができる。例えば、シャフト13の軸a方向の移動量、移動速度や軸a周りの回転量、回転速度について設定できる。また、スラグの検査試料の取得時刻、取得回数を設定できる。コントロールユニット21はスラグの検査試料の設定時刻になると、第1アクチュエータ15、第2アクチュエータ16を起動し、設定された条件に従って、スラグの検査試料の取得を実行させる。このように、スラグの検査試料の取得について自動化が図られることにより、作業員の作業負担はさらに軽減される。検査試料の取得にかかる作業負担を軽減できるため、スラグの検査試料の取得量を増やすことができる。これにより、検査試料が平均化され、ロット全体を反映することになるので、検査試料の精度がさらに向上する。
1 スラグ生産設備
2 受入ホッパ
3 ベルトフィーダ
4 振動スクリーン
5 ホッパ
6 搬送コンベア
7 サイロ
8 出荷コンベア
10 試料取得装置
11 フランジ部
12 ボールバルブ
13 シャフト
14 ホルダ
15 第1アクチュエータ
16 第2アクチュエータ
17 シュート
181 スライドシャフト
182 送りねじ
2 受入ホッパ
3 ベルトフィーダ
4 振動スクリーン
5 ホッパ
6 搬送コンベア
7 サイロ
8 出荷コンベア
10 試料取得装置
11 フランジ部
12 ボールバルブ
13 シャフト
14 ホルダ
15 第1アクチュエータ
16 第2アクチュエータ
17 シュート
181 スライドシャフト
182 送りねじ
Claims (12)
- 金属の製錬工程において金属から分離されたスラグの検査試料をホッパにおいて取得することを特徴とする試料取得装置。
- 前記ホッパ内を落下中の前記検査試料を取得することを特徴とする請求項1記載の試料取得装置。
- 軸方向に移動可能で、先端が前記ホッパ内を出入りするシャフトと、
前記シャフトの先端に装着され、前記検査試料を受けるホルダと、
前記シャフトを前記軸方向に移動する第1駆動機構と、
を備えたことを特徴とする請求項2記載の試料取得装置。 - 前記ホルダの内側の隅角部にテーパまたはRをつけたことを特徴とする請求項3記載の試料取得装置。
- 前記シャフトは、前記軸周りに回転可能に支持されており、
前記シャフトを前記軸周りに回転する第2駆動機構を備えた請求項3または4記載の試料取得装置。 - 前記ホルダを下に向けた状態で前記ホッパ内に入れ、前記ホルダが前記検査試料を取得する位置に到着すると、前記ホルダを上に向けて前記検査試料を取得することを特徴とする請求項5記載の試料取得装置。
- 前記ホルダが受け取った前記検査試料を回収するシュートを前記シャフトの下方に備えたことを特徴とする請求項5または6記載の試料取得装置。
- 前記ホルダが前記シュートの上部に到着したときに、前記ホルダを下に向けることを特徴とする請求項7記載の試料取得装置。
- 前記ホルダが前記ホッパから取り出された時に、前記ホッパに設けられた前記シャフトが通る出入口を閉塞するボールバルブを備えたことを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項記載の試料取得装置。
- 前記スラグが5〜0.3mmの粒径の銅スラグ細骨材であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載の試料取得装置。
- 金属の製錬工程において金属から分離されるスラグを回収し保管するスラグの検査試料を自動で取得することを特徴とする試料取得方法。
- ホッパ内を落下中の前記検査試料を取得することを特徴とする請求項11記載の試料取得方法。
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JP2011288527A JP2013137250A (ja) | 2011-12-28 | 2011-12-28 | 試料取得装置、及び試料取得方法 |
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