JP2013136011A - エネルギー回収チャンバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒形状のチャンバー本体21と、チャンバー本体21の両端部にある開口をそれぞれ閉塞し、チャンバー本体21と共に内部に濃縮海水および海水を収容する空間CHを形成する端板22と、空間CHへ濃縮海水の給排水を行う濃縮海水ポートP1と、空間CHへ海水の給排水を行う海水ポートP2と、空間内に延びて端板22間を連結し、空間内の濃縮海水及び/又は海水の圧力によって端板22に加わる荷重を受ける連結棒23とを備え、少なくとも一方の端板22は、荷重によりチャンバー本体21に対して連結棒23の軸方向に移動可能であることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
代表的なFRPであるガラス繊維強化プラスチックを用いてエネルギー回収チャンバーを製作する場合、図14に示すように溶融樹脂をガラス繊維に含浸させ、マンドレルと呼ばれる円筒金型に角度αで斜めにガラス繊維を巻いていき、その後、折り返すように逆にガラス繊維を巻いていくことで角度αの繊維方向の層を交互に積層して形成される。このとき、軸線に対する角度αは55度程度の角度で巻きつけるため、軸方向成分より周方向成分が大きく周方向に対して強度を持たせるようにしているので軸方向には相対的に弱い構造になっている。
より詳しくは、例えばRO膜入口での海水の圧力が6.5MPaとすると、濃縮海水はRO膜モジュールの圧力損失で僅かに圧力が低下した6.4MPa程度の圧力で排出される。エネルギー回収装置内で6.4MPaの濃縮海水を海水に伝達するが、エネルギー回収装置を通過する際にも圧力損失が僅かにあるので6.3MPaの海水がエネルギー回収装置から排出される。エネルギー回収装置から排出される6.3MPaの海水をRO膜入口の圧力6.5MPaに昇圧して高圧ポンプからの海水と合流させるため、ブースターポンプは入口圧力6.3MPaを6.5MPaに昇圧する。この圧力値は一例であるが、RO膜、配管、エネルギー回収装置の僅かな圧力損失をブースターポンプで補って高圧ポンプと合流させる。
FRP製のエネルギー回収チャンバーを製作する場合、FRP製の円筒形状のチャンバー本体の両端部にある開口をそれぞれ閉塞するフランジや端板を設け、これらフランジや端板をチャンバー本体の両端部に固定する必要がある。この場合、FRP製のチャンバー本体の両端部にスタッドボルトを埋め込み、両端部の開口をフランジで閉塞し、スタッドボルトにナットを螺合してフランジをチャンバー本体の両端部に固定する方法が考えられる。また、FRP製のチャンバー本体の両端部に端板を設け、これら端板をシアキーと呼ばれる止め金具を用いてチャンバー本体に固定する方法も考えられる。
例えば、内径300mmのチャンバーの内圧が7MPaとすると、約500,000N(≒50,000kgf)の力がフランジや端板に作用し、スタッドボルトやシアキーはこの荷重を受ける。エネルギー回収チャンバーの動作は、海水の吸込み時はチャンバー内圧が0.1MPa程度、濃縮海水の押し出し時は6〜7MPaになり、低圧から高圧までの圧力変動を繰り返す。したがって、スタットボルト、シアキーおよびチャンバー本体の軸方向の荷重も圧力変動に応じて荷重変動を繰り返すことになる。この事情は、金属製のチャンバー本体の両端部にある開口をフランジで閉止する場合も同様であり、繰り返し荷重による材料の劣化を抑制するという課題は、チャンバーの本体の材質に関係なく存在する。
特に金属製のチャンバーにおいては、海水や濃縮海水による腐食環境下であるため、繰り返し圧力変動による金属の疲労強度と腐食による強度劣化が複合するので、耐久性の検討がより複雑なものとなる。
すなわち、本発明は、濃縮海水の圧力エネルギーを海水を昇圧するエネルギーに利用するエネルギー回収チャンバーにおいて、円筒形状のチャンバー本体の両端部にある開口をそれぞれ閉塞する端板に加わるチャンバー内圧による荷重がチャンバー本体に作用することがなく、またたとえ作用したとしても荷重を飛躍的に軽減できるエネルギー回収チャンバーを提供することを目的とする。
本発明によれば、円筒形状のチャンバー本体の両端部にある開口をそれぞれ閉塞する端板の間を連結し、チャンバー内の濃縮海水及び/又は海水の圧力によって前記端板に加わる荷重を受ける連結棒を設けたため、端板に加わるチャンバー内圧による荷重がチャンバー本体に作用することがなく、また、たとえ作用したとしても荷重を飛躍的に軽減できる。
本発明によれば、連結棒により端板に加わる軸方向の荷重を受けることができるため、チャンバー本体が繊維強化樹脂製のチャンバー本体であっても、チャンバー本体が損傷したり、壊れたりすることがなく、軸方向の繰り返し荷重に配慮した専用設計のチャンバーにする必要がない。
本発明によれば、シールプレートによってチャンバー(空間)内の液体が外部へ漏れることを防止することができる。また、チャンバー外部から空気が混入するのを防止することができる。したがって、チャンバー本体の両端部にある開口を閉塞する端板には、流体のシール機能を持たせる必要がない。
本発明によれば、シアキーによって端板がチャンバー本体の外側にずれないように移動を制限している。すなわち、端板にチャンバー内圧がかからないときは、端板とシアキーとの間には、隙間ができるように構成する。そして、端板にチャンバー内圧がかかった場合、連結棒が引張荷重を受けて幾分延びるため、端板とシアキーとの間の隙間が小さくなるようになっている。すなわち、端板は、連結棒の伸びに応じてチャンバー本体の円筒面に沿って軸心方向に移動できるようになっている。なお、端板とシアキーが当接するような隙間設定にすると、チャンバー内圧により端板に加わる荷重の一部をシアキーが受けることになるが、シアキーには内圧による軸方向荷重すべてがかかることはない。
本発明によれば、フランジ構造の一方の端板はチャンバー本体に固定されているが、チャンバー内圧による軸方向荷重によって連結棒が伸びる最大の伸び量で他方の端板がシアキーに当接しないように隙間を設定することにより、チャンバー内圧による軸方向の荷重はチャンバー本体にかかることはない。
本発明によれば、ゴムライニング又は樹脂ライニングあるいはゴム製や樹脂製のカバーで連結棒の外周面を覆うようにしているため、連結棒を高価なステンレス材で構成する必要がなく、安価な鋼材等を用いることができる。
本発明によれば、濃縮海水ポート側に上下に間隔をおいて水平方向に2枚の多孔板を配置することによって、小径のポートから流入する流れを大径のチャンバー内に均一に流入させるようにする。多孔板でチャンバー内に均一に流入した濃縮海水と海水は、比重の差により上下に分離しようとし、同時にチャンバー断面積で上下方向に一様な流れが形成されるので、濃縮海水と海水の境界部が維持され、全体として濃縮海水と海水の境界部を維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。海水が上方の海水ポートから多孔板を通ってチャンバー内に流入する場合も同様の整流効果を奏する。
本発明によれば、ピストンの移動を連結棒でガイドすることにより、ピストンとチャンバー本体の内周面との接触をなくすか又は最小限にして、摺動面積(接触面積)を飛躍的に減少させることができる。したがって、従来のピストンを用いたエネルギー回収チャンバーに比較して、摩耗粉の発生量を低減できるとともに摩耗損失を低減できる。また、チャンバー本体の内周面はピストンをガイドする必要がなく、チャンバー本体に高精度の仕上げが不要となる。
(1)本発明のエネルギー回収チャンバーによれば、円筒形状のチャンバー本体の両端部にある開口をそれぞれ閉塞する端板の間を連結し、チャンバー内の濃縮海水及び/又は海水の圧力によって前記端板に加わる荷重を受ける連結棒を設けたため、端板に加わるチャンバー内圧による荷重がチャンバー本体に作用することがない。また、構造によっては、端板に加わる荷重の一部がチャンバー本体に作用する場合があるが、この場合でもチャンバー本体に加わる荷重を飛躍的に軽減することができる。したがって、チャンバー本体が繊維強化樹脂製であっても、チャンバー内圧により端板に加わる軸方向の荷重によってチャンバー本体が損傷したり、壊れたりすることがなく、軸方向の繰り返し荷重に配慮した専用設計のチャンバーにする必要がない。
(2)チャンバー本体の開口をフランジ構造の端板で閉塞する場合であっても、フランジ構造の端板をチャンバー本体に結合する結合力が低くてもよいので、ボルト(またはスタッドボルト)の数を少なくすることや、ボルト(またはスタッドボルト)のサイズを小さくすることができる。
(3)金属製のチャンバー本体に金属フランジを溶接したチャンバーを使用する場合、溶接部に繰り返し荷重がかからないので、疲労破壊が生じない。
(4)端板をシアキーを用いてチャンバー本体に取り付ける場合、シアキーに繰り返し荷重がかからないようにすることができ、また、たとえシアキーに繰り返し荷重がかかる構造であっても、この繰り返し荷重を飛躍的に低減できるので、信頼性が向上する。
(5)本発明のエネルギー回収チャンバーに多孔板を配置したエネルギー回収装置によれば、チャンバーの下方から濃縮海水を給排水し、上方から海水を給排水することにより、濃縮海水と海水との比重差を利用して濃縮海水と海水を上下に分離しながら2流体の接触する境界部での混合を抑制しながら、高圧の濃縮海水から海水へ圧力伝達を行うことができる。
(6)本発明のエネルギー回収チャンバーにピストンを配置したエネルギー回収装置によれば、ピストンを連結棒でガイドすることにより、ピストンとチャンバー本体の内周面との接触をなくすか又は最小限にして、摺動面積(接触面積)を飛躍的に減少させることができる。したがって、従来のピストンを用いたエネルギー回収チャンバーに比較して、摩耗粉の発生量を低減できるとともに摩耗損失を低減できる。また、チャンバー本体の内周面はピストンをガイドする必要がなく、高精度の仕上げが不要となる。
前記2つの端板22,22は、チャンバー本体21内を延びる連結棒23によって連結されている。連結棒23は円筒形状のチャンバー本体21の軸心に配置されている。連結棒23の両端部にはネジ部23s,23sが形成されており、これらネジ部23s,23sに端板22,22が螺合され、これら端板22,22の外端面側にはロックナット24,24が設けられている。これにより、前記2つの端板22,22と連結棒23とは一体に連結される。連結棒23は、濃縮海水や海水と接触するため、二相ステンレス鋼などの耐海水性に優れた金属で構成されている。なお、端板22における連結棒23との連結部でない箇所にポートP1,P2を設けるようにしてもよい。
前記2つの端板22,22のチャンバー側には、チャンバーCH内の濃縮海水や海水の漏れを防止するシールプレート25,25が設けられている。すなわち、各シールプレート25はリング状をなし、シールプレート25の外径側はチャンバー本体21の内径側と密接し、シールプレート25の内径側は連結棒23の外径側と密接し、チャンバーCH内の濃縮海水や海水が外部に漏れることを防止している。さらに、シールプレート25,25を設けることによってチャンバー外部から空気が混入することを防止することができる。
チャンバー内圧を受けて端板22が外側へ押し出される荷重を連結棒23で保持しているので、チャンバー本体21と端板22の段部は、端板22がチャンバー外へずれないように移動を制限しているだけとなる。
図8は、図2に示すエネルギー回収チャンバー20に多孔板40,40を配置したエネルギー回収装置を示す断面図である。本実施形態においては、図8に示すように、エネルギー交換チャンバー20は縦置きに設置されている。すなわち、長尺の円筒形状のチャンバー本体21は、チャンバーの長手方向が垂直方向に配置されており、濃縮海水ポートP1はチャンバーCHの下側で濃縮海水を給排水するようにチャンバーCHの下側に設けられ、海水ポートP2はチャンバーCHの上側で海水を給排水するようにチャンバーCHの上側に設けられている。チャンバー本体21内には、濃縮海水ポートP1および海水ポートP2の近傍に流体の整流を行う多孔板40,40が2枚ずつ配置されている。多孔板40,40はポートP1,P2から所定の距離離間して配置されている。
図10は、多孔板40の固定方法を示す図であり、図8の要部拡大図である。図10に示すように、多孔板40はシールプレート25に複数の支柱41で固定するように構成する。
図11は多孔板40と支柱41の取り付け部の詳細を示す断面図である。図11に示すように、支柱41は片側がメネジ、片側がオネジになっている。シールプレート25にはメネジが形成され、シールプレート25の円周方向で3箇所に支柱41を固定し(図10参照)、図11に示すように、多孔板40の孔hを通して一方の支柱41のオネジを他方の支柱41のメネジにねじ込んで上下の支柱41,41により多孔板40を挟持する。図10に示すように、2枚目の多孔板40は通常の止めネジ43を多孔板41の孔hを通して支柱41のメネジにねじ込んで支柱41を固定する。
このように、2枚ずつの多孔板40を配置することによって、小径のポートP1,P2から流入する濃縮海水、海水の流れを大径のチャンバーCH内に均一に流入させるようにする。
多孔板40でチャンバーCH内に均一に流入した濃縮海水と海水は、比重の差により上下に分離しようとし、同時にチャンバー断面積で上下方向に一様な流れが形成されるので、濃縮海水と海水の境界部Iが維持され、全体として濃縮海水と海水の境界部Iを維持したまま、すなわち濃縮海水と海水の混合を抑制しながら、濃縮海水によって海水を加圧し吐出することができる。海水が上方の海水ポートP2から多孔板40を通ってチャンバー内に流入する場合も同様の整流効果を奏する。
2 高圧ポンプ
3 吐出ライン
4 逆浸透膜分離装置
5 濃縮海水ライン
6 制御弁
7 バルブ
8 ブースターポンプ
17 濃縮海水排出ライン
20 エネルギー回収チャンバー
21 チャンバー本体
21a 大径部
22 端板
22s フランジシール
22F フランジ形状の端板
22l 端板の大径部
23 連結棒
23s ネジ部
24 ロックナット
25 シールプレート
26 シアキー
27 溝付き金具
28 キーリング
31 スタッドボルト
32 ナット
40 多孔板
41 支柱
43 止めネジ
50 ピストン
51 ガイド部材
52 ストッパー
CH チャンバー(空間)
P1,P2 海水ポート
TH 貫通孔
Claims (9)
- 昇圧された海水を通水して淡水と濃縮海水とに分離する逆浸透膜分離装置から吐出される濃縮海水の圧力エネルギーを海水の昇圧に利用するエネルギー回収チャンバーであって、
円筒形状のチャンバー本体と、
前記チャンバー本体の両端部にある開口をそれぞれ閉塞し、前記チャンバー本体と共に内部に濃縮海水および海水を収容する空間を形成する端板と、
前記空間へ濃縮海水の給排水を行う濃縮海水ポートと、
前記空間へ海水の給排水を行う海水ポートと、
前記空間内に延びて前記端板間を連結し、前記空間内の濃縮海水及び/又は海水の圧力によって前記端板に加わる荷重を受ける連結棒とを備え、
前記少なくとも一方の端板は、前記荷重により前記チャンバー本体に対して前記連結棒の軸方向に移動可能であることを特徴とするエネルギー回収チャンバー。 - 前記チャンバー本体は、繊維強化プラスチック(FRP)からなることを特徴とする請求項1記載のエネルギー回収チャンバー。
- 前記端板の前記空間側に流体の漏れを防止するシールプレートを設けたことを特徴とする請求項1記載のエネルギー回収チャンバー。
- 前記端板の前記空間とは反対側にシアキーを設けて、前記端板が前記チャンバー本体外にずれないように前記端板の移動を制限したことを特徴とする請求項1記載のエネルギー回収チャンバー。
- 前記端板の一方はフランジを構成し、前記フランジを締結具を介して前記チャンバー本体の端部に固定したことを特徴とする請求項1記載のエネルギー回収チャンバー。
- 前記連結棒の外周面にゴム又は樹脂のライニングを施すか又は前記連結棒の外周面をゴム製又は樹脂製のカバーで覆うようにしたことを特徴とする請求項1記載のエネルギー回収チャンバー。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエネルギー回収チャンバーであって、前記チャンバー本体の長手方向が鉛直に配置されたエネルギー回収チャンバーと、
前記空間内の濃縮海水ポート側に水平方向に配置され、前記空間内に流入した濃縮海水を前記空間内の水平方向に整流させる多孔板と、
前記空間内の海水ポート側に水平方向に配置され、前記空間内に流入した海水を前記空間内の水平方向に整流させる多孔板とを備えたことを特徴とするエネルギー回収装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエネルギー回収チャンバーと、
前記連結棒に貫通されることで前記連結棒に沿って移動可能なピストンとを備えたことを特徴とするエネルギー回収装置。 - 海水を昇圧する高圧ポンプと、
昇圧された海水を通水して淡水と濃縮海水とに分離する逆浸透膜分離装置と、
前記逆浸透膜分離装置で淡水と分離された濃縮海水の圧力エネルギーにより海水を昇圧する請求項7または8に記載のエネルギー回収装置と、
前記エネルギー回収装置で昇圧された海水を昇圧して前記逆浸透膜分離装置に供給するブースターポンプを備えたことを特徴とする海水淡水化システム。
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