JP2013135269A - 無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】雑音の大きな環境下でも安定した通信を可能とする通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信端末1が2本のアンテナ11,12で非反転変調信号と反転変調信号を送信し、差動増幅器34が、アンテナ22で受信した受信信号e2を利得c12で増幅する可変利得増幅器33の出力信号とアンテナ21で受信した受信信号e1との差を出力し、モニタ・分離制御部35が差動増幅器34の出力信号の振幅の変動が最小となる利得c12を求める。これにより、アンテナ11,12とアンテナ21,22間の減衰率b11,b12,b21,b22が特定の条件を満たせば、雑音源がどこにあっても、アンテナ21,22で受信した受信信号e1,e2から雑音を分離し、信号対雑音比を改善できる無線通信システムを提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信技術に関する。
近年、ユビキタス社会のネットワークを担う、微弱な信号(電波、電磁波)で通信する近距離無線通信が注目されている。近距離無線には、通信距離が100m程度の無線LAN(Local Area Network)や10mから20m程度をカバーする無線PAN(Personal Area Network)などがある。また、人が通信相手と接触するまで近接したときに通信することを目的とし、人体などの伝送媒体に電界を誘起し、誘起された電界を検出することで通信する電界通信も存在する。
岡村武夫、「微弱無線と小電力無線の基礎知識」、トランジスタ技術、CQ出版社、2007年11月号、p.106 「たくさん使われている微弱無線機器」、株式会社サーキットデザイン、[online]、[平成23年11月7日検索]、インターネット〈 URL:http://www.circuitdesign.jp/jp/technical/technical_pdf/bijaku.pdf.PDF〉 小國英徳、外4名、「DSPを用いたディジタルダイバーシチ受信機の製作」、第4回DSPS教育者会議、2002年8月29日 「無線伝送の基礎(フェージング通信路における誤り率,ダイバーシチ受信)」、[online]、新潟大学、ディジタル無線伝送工学 平成23年度講義資料、[平成23年11月7日検索]、インターネット〈 URL:http://telecom0.eng.niigata-u.ac.jp/index.php?plugin=attach&refer=Lecture%2FWCom&openfile=04-wireless-2.pdf〉
上記の無線通信システムの内、発射する電波が著しく微弱な無線局(微弱無線)や空中線電力が10mW以下の小電力無線局に該当する無線通信システムでは、信号強度が微弱なため環境雑音の影響を受けやすい。図12に従来の無線通信システムを示す。ここでは、無線通信端末100を送信側の端末、無線通信端末200を受信側の端末として、無線通信端末100のアンテナ101から通信すべき情報を含む信号を送信し、無線通信端末200のアンテナ201で受信する場合を考える。図12に示すように、無線通信端末100よりも環境雑音の源となる雑音源の方が無線通信端末200に近いと、環境雑音が無線通信端末100から送信される信号よりも大きくなり通信が妨害される。
雑音源としては、電子ディスプレイ・看板などの電子機器や無線通信端末100,200間の無線通信と同じ周波数帯を利用する他の無線通信機器などがある。これらの機器の密集度や稼働状況によって環境雑音の大きさは変化する。利用者となる人が集まるエリアには雑音源となる機器が密集するため環境雑音が大きくなり、そのエリアでの通信を利用するサービスが影響を受ける。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、雑音の大きな環境下でも安定した通信を可能とする通信システムを提供することを目的とする。
本発明に係る無線通信システムは、無線送信装置と無線受信装置との間で無線通信を行う無線通信システムであって、前記無線送信装置は、第1、第2のアンテナと、送信すべき情報に基づいて搬送波を変調する変調手段と、前記変調手段が変調した変調信号を入力し、当該変調信号の位相を反転せずに前記第1のアンテナから送信する第1のバッファと、前記変調手段が変調した変調信号を入力し、当該変調信号の位相を反転して前記第2のアンテナから送信する第2のバッファと、を有し、前記無線受信装置は、第1、第2のアンテナと、前記第1のアンテナで受信した受信信号を第1の利得で増幅する第1の増幅器と、前記第2のアンテナで受信した受信信号を第2の利得で増幅する第2の増幅器と、前記第1の増幅器の出力信号と前記第2の増幅器の出力信号の差を出力する差動増幅器と、前記差動増幅器が出力する差動増幅出力信号の振幅を検出し、当該振幅の変動が最小となるように前記第1、第2の利得のいずれか一方もしくは双方を制御する制御手段と、前記差動増幅器の出力を復調する復調手段と、を有することを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、前記無線受信装置は、前記第1、第2のアンテナそれぞれで受信した雑音の極性を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を送信する送信手段と、を有し、前記無線送信装置は、前記判定結果を受信し、当該判定結果が前記雑音の極性が同極性を示す場合には、前記第1、第2のバッファが前記変調信号の位相が互いに反転した前記変調信号を送信するように前記第1、第2のバッファを設定し、当該判定結果が前記雑音の極性が異極性を示す場合には、前記第1、第2のバッファが前記変調信号の位相が同じ前記変調信号を送信するか、どちらか一方のバッファから前記変調信号を送信するように前記第1、第2のバッファを設定する設定手段を有することを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、前記判定手段は、前記第1、第2のアンテナそれぞれで受信した雑音を乗算して直流成分を取り出し、当該直流成分の電位が第1のしきい値よりも高い場合は前記雑音の極性を同極性と判定し、当該直流成分の電位が第2のしきい値よりも低い場合は前記雑音の極性を異極性と判定することを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、前記判定手段は、前記第1、第2のアンテナそれぞれで受信した雑音の差をとり、当該差の振幅の大きさと前記雑音の振幅の大きさを比較し、前記差の振幅の大きさが前記雑音の振幅の大きさよりも小さい場合は前記雑音の極性を同極性と判定し、前記差の振幅の大きさが前記雑音の振幅の大きさよりも大きい場合は前記雑音の極性を異極性と判定することを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、前記第1、第2のアンテナで受信した信号の搬送波周波数とは異なる周波数の信号を発振する局部発振手段を有し、前記第1、第2のアンテナで受信した信号をダウンコンバートすることを特徴とする。
上記無線通信システムにおいて、前記第1、第2のアンテナで受信した信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、雑音の大きな環境下でも安定した通信を可能とする通信システムを提供することができる。
第1の実施の形態における無線通信システムの構成を示す機能ブロック図である。 変調信号と雑音の分離の原理を説明する図である。 比較例の無線通信システムを示す図である。 図3の無線通信システムにおける変調信号と雑音の分離の原理を説明する図である。 信号分離部の構成を示す機能ブロック図である。 別の信号分離部の構成を示す機能ブロック図である。 さらに別の信号分離部の構成を示す機能ブロック図である。 第2の実施の形態における無線通信システムの構成を示す機能ブロック図である。 雑音極性判定部の構成を示す機能ブロック図である。 雑音の極性判定を説明する図である。 別の雑音極性判定部の構成を示す機能ブロック図である。 従来の無線通信システムを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態における無線通信システムの構成を示す機能ブロック図である。図1に示す無線通信システムは、無線通信端末1,2を備える。無線通信端末1,2はそれぞれ送信・受信する機能をもつモジュールを備えているが、簡略化のため、図1では、無線通信端末1では送信モジュールのみを、無線通信端末2では受信モジュールのみを記載している。
無線通信端末1は、2本のアンテナ11,12と、端末処理部13、変調部14、非反転バッファ15、反転バッファ16を備える。端末処理部13は、送信すべき情報に基づくデータ信号を変調部14に入力する。変調部14は、入力されたデータ信号で所定の周波数の搬送波を変調した変調信号を非反転バッファ15、反転バッファ16に入力する。非反転バッファ15は、変調信号の位相を反転しない非反転変調信号をアンテナ11へ出力し、アンテナ11から非反転変調信号を送信する。反転バッファ16は、変調信号の位相を反転させた反転変調信号をアンテナ12へ出力し、アンテナ12から反転変調信号を送信する。
無線通信端末2は、2本のアンテナ21,22と、信号分離部23、復調部24、端末処理部25を備える。アンテナ21,22それぞれで受信された受信信号は信号分離部23に入力される。信号分離部23は、アンテナ21,22それぞれが受信した受信信号から、周囲の雑音源から放射されアンテナ21,22で受信した雑音を分離し、無線通信端末1が送信した非反転変調信号と反転変調信号を合成した変調信号を復調部24に入力する。復調部24は、変調信号を復調してデータ信号を得て端末処理部25に入力する。端末処理部25は、入力されたデータ信号に基づいて処理を行う。
次に、信号分離部で変調信号と雑音を分離する動作を図2のモデルを用いて説明する。
図2中の○は、変調信号を送受信するアンテナ11,12,21,22と雑音を放射する雑音源を示している。無線通信端末1のアンテナ11,12それぞれから送信された変調信号x1,−x1と雑音源から放射された雑音x2はアンテナ21,22に到達するまでに減衰する。アンテナ11とアンテナ21間の減衰率をb11、アンテナ12とアンテナ21間の減衰率をb12、アンテナ11とアンテナ22間の減衰率をb21、アンテナ12とアンテナ22間の減衰率をb22とし、雑音源とアンテナ21間の減衰率をa12、雑音源とアンテナ22間の減衰率をa22とする。アンテナ21,22それぞれで受信する受信信号e1,e2は以下の式で表される。
Figure 2013135269
式(1)と式(2)それぞれの右辺第1項が変調信号成分の項であり、第2項が雑音成分の項である。雑音成分を打ち消すようにe1またはe2に重み付けしてe1,e2の差をとれば、変調信号成分のみが残り、信号対雑音比が改善する。e2を係数c12で重み付けしてe1から差し引いた式を以下に示す。
Figure 2013135269
信号分離部23では、式(3)で右辺第2項の(a12−c1222)がゼロとなるように係数c12を求め、アンテナ22で受信した受信信号e2を利得c12で増幅し、アンテナ21で受信した受信信号e1と差分をとることで変調信号と雑音とを分離する。
<1本のアンテナで送信して2本のアンテナで受信する場合>
ここで、比較例の1本のアンテナで送信して2本のアンテナで受信する場合について説明する。この比較例では、雑音成分を打ち消して信号対雑音比を改善することができるが、雑音源の位置によっては変調信号成分も打ち消されてしまうことがある。
図3は比較例の無線通信システムを示す図であり、1本のアンテナ101を備えた無線通信端末100と2本のアンテナ201,202、信号分離部210、復調部220を備えた無線通信端末200からなる。無線通信端末100は、アンテナ101から変調信号x1を送信し、雑音源は雑音x2を放射する。無線通信端末200は、2本のアンテナ201,202により変調信号x1と雑音x2を受信する。信号分離部210で変調信号x1と雑音x2を分離して復調部220で変調信号x1を復調する。雑音源は通信を妨害する要素と記載したものであり、通信システムの動作とは関係ない。図4に図3の通信システムのモデルを示す。
アンテナ101とアンテナ201間の減衰率をa11、アンテナ101とアンテナ202間の減衰率をa21、雑音源とアンテナ201間の減衰率をa12、雑音源とアンテナ202間の減衰率をa22とする。アンテナ201,202それぞれで受信する受信信号e1,e2は以下の式で表される。
Figure 2013135269
この場合においても、式(4)と式(5)それぞれの右辺第1項が変調信号成分の項であり、第2項が雑音成分の項である。雑音成分を打ち消すようにe1またはe2に重み付けしてe1,e2の差をとれば、変調信号成分のみが残り、信号対雑音比が改善する。e2に係数c12で重み付けしてe1から差し引いた式を以下に示す。
Figure 2013135269
雑音x2を分離するときは、式(6)の右辺第2項の(a12−c1222)がゼロになるように係数c12を決定するが、このときa12/a22=a11/a21であると右辺第1項もゼロとなる。すなわち、変調信号成分も打ち消されてしまうことになる。通常、減衰率aij(i=1,2、j=1,2)は正であるため、第2項がゼロの時に第1項がゼロになる可能性はある。
<2本のアンテナで送信して2本のアンテナで受信する場合>
続いて、本実施の形態の2本のアンテナで送信して2本のアンテナで受信する場合について、雑音源がどこにあっても変調信号成分を打ち消さずに雑音成分を打ち消すことができることを説明する。
本実施の形態では、式(3)に示すように、減衰率bij(i=1,2、j=1,2)が正であっても、(b11−b12)か(b21−b22)のいずれか一方のみが負であれば、係数c12がどのような正の実数をとっても式(3)の右辺第1項はゼロになることはない。したがって、(b11−b12)か(b21−b22)のいずれか一方のみが負であれば、すなわち(b11−b12)と(b21−b22)の積が負であれば、減衰率a12,a22がどのような値であっても、つまり雑音源がどこにあっても信号対雑音比を改善できる。ここでは、簡単のため減衰率がアンテナ間の距離に反比例すると仮定する。アンテナから放射される電界や磁界はアンテナからの距離に反比例(電力は距離の2乗に反比例)して減衰することが知られている。なお、アンテナの指向性に関しては無指向性のアンテナを使用したと仮定する。
図2に示すように、無線通信端末1のアンテナ11とアンテナ12間の距離をlq、無線通信端末2のアンテナ21とアンテナ22間の距離をleとする。アンテナ11とアンテナ12を結ぶ線分の中心からアンテナ21とアンテナ22を結ぶ直線E12に垂直な線を引き、その垂直な線と直線E12との交点をB1とする。そして、垂直な線の長さをdr、アンテナ21と交点B1間の距離をle1、アンテナ22と交点B1間の距離をle2とし、図示していないが、アンテナ11とアンテナ21間の距離をds11、アンテナ12とアンテナ21間の距離をds12、アンテナ11とアンテナ22間の距離をds21、アンテナ12とアンテナ22間の距離をds22とすると、各アンテナ間の距離dsij(i=1,2、j=1,2)は以下の式で表される。
Figure 2013135269
ここで、θは直線E12とアンテナ11とアンテナ12を結ぶ直線がなす角度である。
減衰率がアンテナ間の距離に反比例する仮定から、減衰率bij(i=1,2、j=1,2)を定数kを用いて以下の式で表す。
Figure 2013135269
(b11−b12)と(b21−b22)は以下の式で表される。
Figure 2013135269
定数kは式(12)と式(13)の両方に含まれているため、(b11−b12)と(b21−b22)の積が負となる条件に関係ない。また、ds11,ds12,ds21,ds22は正の実数であることから、(d2 s12-d2 s11)と(d2 s22-d2 s21)の積が負となる条件が(b11−b12)と(b21−b22)の積が負となる条件となる。
式(7)〜(10)から(d2 s12-d2 s11)と(d2 s22-d2 s21)は以下の式で表される。
Figure 2013135269
式(14)と式(15)から(d2 s12-d2 s11)と(d2 s22-d2 s21)の積は以下の式で表される。
Figure 2013135269
式(16)の右辺が負となる条件は以下のようになる。
Figure 2013135269
式(17)からθ>tan-1(le1/dr)かつθ<−tan-1(le2/dr)であるため、式(17)の条件では、(b11−b12)と(b21−b22)の積が負となるθは存在しない。一方、式(18)からθ<tan-1(le1/dr)かつθ>−tan-1(le2/dr)であるため、−tan-1(le2/dr)<θ<tan-1(le1/dr)となる。以上の結果から、(b11−b12)と(b21−b22)の積が負となる条件が存在することがわかり、この条件が満たされていれば雑音源がどこにあっても信号対雑音比が改善される。
以上の考察では、減衰率が距離に反比例すると仮定して説明したが、極性だけに着目すれば減衰率が距離の2乗または3乗に反比例しても同じ考察が成り立ち、(b11−b12)と(b21−b22)の積が負となる条件は変わらない。
<信号分離部>
次に、信号分離部について説明する。
信号分離部23は、ブラインド信号源分離で用いられている処理で独立な信号と雑音を分離してもよいが、図5に示す信号分離部を用いてもよい。
図5に示す信号分離部23は、自動利得調整増幅・フィルタ部31,32、可変利得増幅器33、差動増幅器34、およびモニタ・分離制御部35を備える。
自動利得調整増幅・フィルタ部31,32は、それぞれアンテナ21,22で受信した受信信号e1,e2の不要な雑音を除去するとともに、自動利得調整増幅・フィルタ部31,32出力のある期間Tagでの平均の振幅が所定の振幅になるように利得を調整して受信信号e1,e2を増幅する。
可変利得増幅器33は、利得制御信号で設定される利得c12で自動利得調整増幅・フィルタ部32の出力信号を増幅する。
差動増幅器34は、自動利得調整増幅・フィルタ部31の出力信号と可変利得増幅器33の出力信号の差を信号分離出力として出力する。
モニタ・分離制御部35は、差動増幅器34が出力する信号分離出力の振幅を検出し、信号分離出力から雑音成分が分離されて無線通信端末1が送信した信号成分が支配的になるように、信号分離出力の振幅の変動が最小になる利得c12を求め、利得c12を設定する利得制御信号を可変利得増幅器33に出力する。
無線通信端末1は、送信すべき情報に基づくデータ信号で所定の搬送波を変調する前に変調しない搬送波(プリアンブル)を所定の期間送信し、無線通信端末2はこの期間で雑音を分離するのに最適な利得c12を求める処理を行う。プリアンブルの振幅は一定でほとんど変動しないのに対し、雑音の振幅は一定でないため振幅の変動が大きい。そこで、モニタ・分離制御部35は、可変利得増幅器33に設定する利得を変化させて、設定した利得毎に、所定期間内における差動増幅器34の信号分離出力の振幅の変動の大きさを求め、信号分離出力の振幅の変動の大きさが最小となる利得を雑音を分離するのに最適な利得c12とする。このように、送信すべき情報に基づくデータ信号を受信する直前に可変利得増幅器33に設定する利得c12を求めるので、無線通信端末2の周囲の状況(伝搬定数)が時間的に変化する場合であっても、効果的に変調信号と雑音を分離することが可能となる。
なお、上記では、自動利得調整増幅・フィルタ部32に可変利得増幅器33を接続したが、自動利得調整増幅・フィルタ部31,32の両方に可変利得増幅器を接続して双方の利得を調整するものでもよい。このとき、一方の可変利得増幅器の利得を1に設定すると図5に示した信号分離部23と同様になる。
図5に示す信号分離部23ではアンテナ21,22で受信した受信信号e1,e2を直接信号処理していたが、図6に示す信号分離部の変形例のように、受信信号e1,e2を局部発振器36から出力される所定の周波数の信号でダウンコンバートした後、変調信号と雑音を分離してもよい。
また、図7に示す信号分離部の変形例のように、アナログ−デジタル変換部37,38を備えて、自動利得調整増幅・フィルタ部31,32の出力をアナログ−デジタル変換した後にデジタル信号処理により変調信号と雑音を分離してもよい。この場合、アナログ−デジタル変換部37で変換されたデジタル信号と、アナログ−デジタル変換部38で変換されモニタ・分離制御部35が出力する倍率で乗算されたデジタル信号との差を加算部で求めてモニタ・分離制御部35に出力し、モニタ・分離制御部35では、デジタル信号処理でピークホールド動作、すなわち最大値または最小値の探索を行って振幅データを求め、加算部が出力する信号の振幅が最小となるようにアナログ−デジタル変換部38の出力の倍率を決める。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信端末1が2本のアンテナ11,12で互いに位相が反転した非反転変調信号と反転変調信号を送信し、無線通信端末2が2本のアンテナ21,22で受信し、差動増幅器34が、アンテナ22で受信した受信信号e2を利得c12で増幅する可変利得増幅器33の出力信号とアンテナ21で受信した受信信号e1との差を出力し、モニタ・分離制御部35が差動増幅器34の信号分離出力の振幅の変動が最小となる利得c12を求めることにより、アンテナ11,12とアンテナ21,22間の減衰率b11,b12,b21,b22が特定の条件を満たせば、雑音源がどこにあっても、アンテナ21,22で受信した受信信号e1,e2から雑音を分離し、信号対雑音比を改善できる無線通信システムを提供することができる。
なお、アンテナ21,22として、特開2011−199395のような電極を用いてもよい。
[第2の実施の形態]
図8は、第2の実施の形態における無線通信システムの構成を示す機能ブロック図である。図8に示す無線通信システムは、無線通信端末4,5を備える。無線通信端末4,5はそれぞれ送信・受信する機能をもつモジュールを備えているが、簡略化のため、図8では、無線通信端末4では送信モジュールのみを、無線通信端末5では受信モジュールのみを記載している。
本実施の形態では、無線通信を行う前に、無線通信端末5の2本のアンテナで受信される雑音の極性を判定して判定結果を無線通信端末4に送信し、無線通信端末4は、判定結果が雑音の極性が同極性を示す場合には、2本のアンテナで異極性の変調信号を送信し、判定結果が雑音の極性が異極性を示す場合には、2本のアンテナで同極性の変調信号あるいは2本のアンテナのいずれか一方のみから変調信号を送信する。
無線通信端末4は、2本のアンテナ41,42と、端末処理部43、変調部44、極性切替バッファ45,46、復調部47、および送受切替スイッチ48,49を備える。
端末処理部43は、送信すべき情報に基づくデータ信号を変調部42に入力する。また、端末処理部43は、無線通信端末5から受信した雑音の極性を示す情報に基づいて、雑音の極性が同極性であれば、極性切替バッファ45,46のいずれか一方を非反転、他方を反転として、変調信号の位相が互いに反転した非反転変調信号、反転変調信号を送信するように極性切替バッファ45,46を設定し、雑音の極性が異極性であれば、極性切替バッファ45,46をどちらも非反転あるいは反転として変調信号の位相が同じ変調信号を送信するように極性切替バッファ45,46を設定するか、どちらか一方の極性切替バッファ45,46から変調信号を送信するように極性切替バッファ45,46を設定する。
変調部44は、入力されたデータ信号で所定の周波数の搬送波を変調した変調信号を極性切替バッファ45,46に入力する。
極性切替バッファ45,46は、端末処理部43から入力する極性切替信号に基づいて、非反転バッファとして機能するか、あるいは反転バッファとして機能するか設定し、非反転変調信号あるいは反転変調信号を送受切替スイッチ48,49を介してアンテナ41,42へ出力する。
送受切替スイッチ48,49は、送信時にはアンテナ41,42を極性切替バッファ45,46に接続し、受信時にはアンテナ41,42を復調部47に接続する。
復調部47は、無線通信端末5から送信された変調信号を復調して雑音の極性を示す情報を得て端末処理部43に入力する。
無線通信端末5は、2本のアンテナ51,52と、信号分離部53、復調部54、端末処理部55、雑音極性判定部56、変調部57、および送受切替スイッチ58,59を備える。
アンテナ51,52それぞれで受信された受信信号は、送受切替スイッチ58,59を介して信号分離部53に入力される。
信号分離部53は、アンテナ51,52それぞれが受信した受信信号から雑音を分離し、無線通信端末4が送信した変調信号を復調部54に入力する。
復調部54は、変調信号を復調してデータ信号を得て端末処理部55に入力する。
端末処理部55は、入力されたデータ信号に基づいて処理を行う。また、雑音極性判定部56が判定した雑音の極性を示す情報に基づくデータ信号を変調部57に入力する。
雑音極性判定部56は、無線通信端末4と無線通信を開始する前に、アンテナ51,52それぞれで受信された雑音の極性を判定し、端末処理部55に入力する。
変調部57は、入力された雑音の極性を示す情報に基づくデータ信号で所定の周波数の搬送波を変調し、変調信号を送受切替スイッチ58,59を介してアンテナ51,52から送信する。
図9に雑音極性判定部56の構成例を示す。図9に示す雑音極性判定部56は、アンテナ51,52それぞれで受信した雑音を乗算部561で乗算し、低域通過フィルタ部562で直流成分を取り出し、判定部563で取り出した直流成分の電位に基づいて雑音の極性を判定する。
アンテナ51,52で受信した雑音が同極性である場合には、図10に示すように、低域通過フィルタ部562の出力は高電位となり、雑音が異極性である場合には、低域通過フィルタ部562の出力は低電位となる。判定部563は、中心電位を挟んで高電位側のしきい値1と低電位側のしきい値2を設定し、低域通過フィルタ部562の出力がしきい値1より高い場合は、同極性の雑音を受信したと判定し、低域通過フィルタ部562の出力がしきい値2より低い場合は、異極性の雑音を受信したと判定して判定信号を出力する。低域通過フィルタ部562の出力がしきい値1としきい値2の間の場合は、雑音が小さいと判定する。この場合は、無線通信端末4は極性切替バッファ45,46をどのように設定してもよい。なお、ここで言う低電位とは、中心電位と比較して低い電位のことであり、例えば、中心電位がゼロの場合には負の電位となる。また、中心電位は、回路に与える電源電圧によって変わり、例えば、単電源の場合には、グランドと電源電圧(正負いずれの電位もあり得る)との中間電位となり、両電源の場合には、正電位の電源電圧と負電位の電源電圧との中間電位となる。高電位も同様に中心電位と比較して高い電位のことである。
図11は、雑音極性判定部56の変形例である。図11に示す雑音極性判定部56は、可変利得増幅器33の利得を1にした状態で差動増幅器34でアンテナ51,52それぞれが受信した雑音の差を取り、雑音極性判定部56が差動増幅器出力の振幅の大きさと受信した雑音の振幅の大きさを比較することで、雑音の極性を判定する。雑音が同極性の場合は差動増幅器出力の振幅は雑音の振幅と比較して小さくなり、雑音が異極性の場合は差動増幅器出力の振幅は雑音の振幅と比較して大きくなる。
信号分離部53は、ブラインド信号源分離で用いられている処理で独立な信号と雑音を分離してもよいが、第1の実施の形態の図5〜7で示した信号分離部23を用いてもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、無線通信を行う前に、無線通信端末5がアンテナ51,52で受信される雑音を乗算して直流成分を取りだし、直流成分の電位に基づいて雑音の極性を判定して無線通信端末4に通知し、無線通信端末4が雑音の極性に基づいてアンテナ41,42で送信する変調信号の極性を設定することにより、通信環境に応じて変調信号を送信することができる。
1,2…無線通信端末
11,12…アンテナ
13…端末処理部
14…変調部
15…非反転バッファ
16…反転バッファ
21,22…アンテナ
23…信号分離部
24…復調部
25…端末処理部
31,32…自動利得調整増幅・フィルタ部
33…可変利得増幅器
34…差動増幅器
35…モニタ・分離制御部
36…局部発振器
37,38…アナログ−デジタル変換部
4,5…無線通信端末
41,42…アンテナ
42…変調部
43…端末処理部
44…変調部
45,46…極性切替バッファ
47…復調部
48,49…送受切替スイッチ
51,52…アンテナ
53…信号分離部
54…復調部
55…端末処理部
56…雑音極性判定部
561…乗算部
562…低域通過フィルタ部
563…判定部
57…変調部
58,59…送受切替スイッチ
100,200…無線通信端末
101…アンテナ
201,202…アンテナ
210…信号分離部
220…復調部

Claims (6)

  1. 無線送信装置と無線受信装置との間で無線通信を行う無線通信システムであって、
    前記無線送信装置は、
    第1、第2のアンテナと、
    送信すべき情報に基づいて搬送波を変調する変調手段と、
    前記変調手段が変調した変調信号を入力し、当該変調信号の位相を反転せずに前記第1のアンテナから送信する第1のバッファと、
    前記変調手段が変調した変調信号を入力し、当該変調信号の位相を反転して前記第2のアンテナから送信する第2のバッファと、を有し、
    前記無線受信装置は、
    第1、第2のアンテナと、
    前記第1のアンテナで受信した受信信号を第1の利得で増幅する第1の増幅器と、
    前記第2のアンテナで受信した受信信号を第2の利得で増幅する第2の増幅器と、
    前記第1の増幅器の出力信号と前記第2の増幅器の出力信号の差を出力する差動増幅器と、
    前記差動増幅器が出力する差動増幅出力信号の振幅を検出し、当該振幅の変動が最小となるように前記第1、第2の利得のいずれか一方もしくは双方を制御する制御手段と、
    前記差動増幅器の出力を復調する復調手段と、を有すること
    を特徴とする無線通信システム。
  2. 前記無線受信装置は、
    前記第1、第2のアンテナそれぞれで受信した雑音の極性を判定する判定手段と、
    前記判定手段の判定結果を送信する送信手段と、を有し、
    前記無線送信装置は、
    前記判定結果を受信し、当該判定結果が前記雑音の極性が同極性を示す場合には、前記第1、第2のバッファが前記変調信号の位相が互いに反転した前記変調信号を送信するように前記第1、第2のバッファを設定し、当該判定結果が前記雑音の極性が異極性を示す場合には、前記第1、第2のバッファが前記変調信号の位相が同じ前記変調信号を送信するか、どちらか一方のバッファから前記変調信号を送信するように前記第1、第2のバッファを設定する設定手段を有すること
    を特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
  3. 前記判定手段は、前記第1、第2のアンテナそれぞれで受信した雑音を乗算して直流成分を取り出し、当該直流成分の電位が第1のしきい値よりも高い場合は前記雑音の極性を同極性と判定し、当該直流成分の電位が第2のしきい値よりも低い場合は前記雑音の極性を異極性と判定することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
  4. 前記判定手段は、前記第1、第2のアンテナそれぞれで受信した雑音の差をとり、当該差の振幅の大きさと前記雑音の振幅の大きさを比較し、前記差の振幅の大きさが前記雑音の振幅の大きさよりも小さい場合は前記雑音の極性を同極性と判定し、前記差の振幅の大きさが前記雑音の振幅の大きさよりも大きい場合は前記雑音の極性を異極性と判定することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。
  5. 前記第1、第2のアンテナで受信した信号の搬送波周波数とは異なる周波数の信号を発振する局部発振手段を有し、前記第1、第2のアンテナで受信した信号をダウンコンバートすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の無線通信システム。
  6. 前記第1、第2のアンテナで受信した信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の無線通信システム。
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