JP2013135148A - 発光素子 - Google Patents

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Jumpei Kuwahara
純平 桑原
Takaki Kanbara
貴樹 神原
Wei Lu
葦 盧
Takayuki Iijima
孝幸 飯島
Hideyuki Higashimura
秀之 東村
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Abstract

【課題】発光効率の改善された発光素子を提供する。
【解決手段】陰極と、陽極と、前記陰極及び前記陽極の間に配置される発光層と、前記陰極及び前記発光層の間に前記発光層に接合して配置される有機層とを備え、
前記有機層が、下記式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含み、該共役化合物のイオン化ポテンシャルが、前記発光層を形成する化合物のイオン化ポテンシャルより0.2eV以上大きい、発光素子。
【化1】
Figure 2013135148

(式中、Arは、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。mは1以上の整数を表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、発光素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子などの発光素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極間に発光層を備えてなり、発光層中に注入された正孔と電子が発光層中で再結合することによって発光する。しかしながら、発光層中に注入された正孔が、電子と再結合せずに陰極へと素通りし、発光素子の発光効率が低下する場合がある。発光層中に注入された正孔が陰極へと素通りするのを防ぎ、発光素子の発光効率を向上させる技術として、陰極及び発光層の間に発光層に隣接させて正孔防止層を設ける技術が提案されている。
他方、フッ素原子を含有する共役化合物を、発光素子の発光層に用いる技術が提案がされている(特許文献1)。
特開2002−138132号公報
しかしながら、上記の発光素子の発光効率は改善の余地があった。そこで、本発明は、発光効率の改善された発光素子を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を進めたところ、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、下記〔1〕〜〔6〕が提供される。
〔1〕 陰極と、陽極と、前記陰極及び前記陽極の間に配置される発光層と、前記陰極及び前記発光層の間に前記発光層に接合して配置される有機層とを備え、
前記有機層が下記式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含み、該共役化合物のイオン化ポテンシャルが、前記発光層を形成する化合物のイオン化ポテンシャルより0.2eV以上大きい、発光素子。
Figure 2013135148
(式中、Arは、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。mは1以上の整数を表す。)
〔2〕 前記Arが、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよいベンゼン、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよいナフタレン又はm個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよいフルオレンから、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた2価の芳香族基である、〔1〕に記載の発光素子。
〔3〕 前記共役化合物が、更に、下記式(2)で表される構造単位を有する、〔1〕又は〔2〕のいずれか一項に記載の発光素子。
Figure 2013135148
(式中、Arは、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。)
〔4〕 前記Arが、下記式(3)又は下記式(4)で表される芳香族化合物から、2個の水素原子を取り除いた2価の芳香族基である、〔3〕に記載の発光素子。
Figure 2013135148
(式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基を表す。Rが複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
〔5〕 前記共役化合物のポリスチレン換算の数平均分子量が、2000以上である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の発光素子。
〔6〕 前記有機層が、正孔防止層である、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の発光素子。
本発明によれば、発光効率の改善された発光素子を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
<発光素子>
本発明の発光素子は、陰極と、陽極と、前記陰極及び前記陽極の間に配置される発光層と、前記陰極及び前記発光層の間に前記発光層に接合して配置される有機層とを備え、
前記有機層が下記式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含み、該共役化合物のイオン化ポテンシャルが、前記発光層を形成する化合物のイオン化ポテンシャルより0.2eV以上大きい、発光素子である。
Figure 2013135148
(式中、Arは、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。mは1以上の整数を表す。)
本明細書において、共役化合物とは、共役系を有する化合物を意味する。共役化合物としては、電子輸送性が良好になるので、多重結合、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子が有する非共有電子対、ホウ素原子が有する空のp軌道、又はケイ素原子が有するシグマ結合性のd軌道が、1つの単結合を挟んで連なっている構造を含む化合物が好ましい。
この共役化合物は、電子輸送性の観点から、下記式を用いて計算される値が50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
式:{(多重結合、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子が有する非共有電子対、ホウ素原子が有する空のp軌道、又はケイ素原子が有するシグマ結合性のd軌道が、一つの単結合を挟んで連なっている領域に含まれる母骨格若しくは主鎖上の原子の数)/(母骨格若しくは主鎖上の全原子の数)}×100 [%]
本明細書において、置換基を有していてもよいn価の芳香族基(nは2以上の整数である。)とは、置換基(該置換基については後述する。)を有していてもよい芳香族化合物から、芳香環上のn個の水素原子を取り除いた残りの原子団を意味する。
本明細書において、芳香族化合物とは、芳香環を有する有機化合物を意味する。また、置換基を有していてもよい芳香族化合物とは、芳香環上の1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい芳香族化合物を意味する。
なお、本明細書において、「芳香族基」という用語に、独立したベンゼン環又は縮合環からなる群から選ばれる2個以上が単結合により結合した構造を含む基は含まれない。
式(1)中、Arで表される、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基は、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた残りの原子団を意味する。
式(1)中、mは、1以上の整数であり、2〜8が好ましく、4〜8がより好ましく、4が更に好ましい。
Arで表される、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基としては、例えば、下記式(Ar−1)〜式(Ar−63)で表される芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた残りの原子団が挙げられる。
式(Ar−1)〜式(Ar−63)で表される芳香族化合物としては、式(Ar−1)〜式(Ar−20)、式(Ar−24)、式(Ar−56)で表される芳香族化合物が好ましく、式(Ar−1)〜式(Ar−5)、式(Ar−8)、式(Ar−10)、式(Ar−15)〜式(Ar−17)、式(Ar−20)、式(Ar−24)、式(Ar−56)で表される芳香族化合物がより好ましく、式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−8)、式(Ar−20)、式(Ar−24)で表される芳香族化合物が更に好ましく、式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−8)で表される芳香族化合物が特に好ましく、式(Ar−1)で表される芳香族化合物がとりわけ好ましい。
Figure 2013135148
Figure 2013135148
Figure 2013135148
(上記式(Ar−1)〜式(Ar−63)中、
芳香環上のm個の水素原子はフッ素原子で置換されており、かつ、芳香環上の1個以上の水素原子は、フッ素原子以外の置換基で置換されていてもよい。
Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基を表す。Rが複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
上記フッ素原子以外の置換基の例としては、
1価のヒドロカルビル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アシルアミド基、1価の複素環基、メルカプト基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられ、1価のヒドロカルビル基及びアルコキシ基が好ましく、1価のヒドロカルビル基がより好ましい。
かかる置換基が複数個存在する場合には、複数個存在する置換基は同一でも異なっていてもよい。以下、フッ素原子以外の置換基について、説明する。
フッ素原子以外の置換基として用いられる1価のヒドロカルビル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ノニル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基等の炭素原子数が1〜50のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロノニル基、シクロドデシル基、ノルボニル基、アダマンチル基等の炭素原子数が3〜50の環状飽和ヒドロカルビル基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、2−ノネニル基、2−ドデセニル基等の炭素原子数が2〜50のアルケニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、4−フェニルフェニル基等の炭素原子数が6〜50のアリール基;フェニルメチル基、1−フェニレンエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニル−1−プロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、2−フェニル−2−プロピル基、3−フェニル−1−プロピル基、4−フェニル−1−ブチル基、5−フェニル−1−ペンチル基、6−フェニル−1−ヘキシル基等の炭素原子数が7〜50のアリールアルキル基が挙げられる。1価のヒドロカルビル基としては、炭素原子数が1〜50のアルキル基、炭素原子数が6〜50のアリール基が好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基、炭素原子数が6〜18のアリール基がより好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基、炭素原子数が6〜12のアリール基が更に好ましい。なお、アルキル基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基が挙げられる。
フッ素原子以外の置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でも環状であってもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、通常、1〜20であり、1〜10が好ましい。置換基として用いられるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基及びドデシルオキシ基が挙げられる。なお、アルコキシ基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。フッ素原子で置換されたアルコキシ基としては、例えば、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基が挙げられる。また、アルコキシ中の水素原子は、炭素原子数1〜20のアルコキシ基で置換基されていてもよく、かかるアルコキシ基としては、例えば、メトキシメチルオキシ基、及び、2−メトキシエチルオキシ基が挙げられる。
フッ素原子以外の置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、6〜48が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等で置換されていてもよい。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基(ここで、Cは炭素原子を、付された数字は炭素原子数を表す。「C1〜C12」との記載は、直後に示される基の炭素原子数が1〜12であることを表す。以下同じ。)、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基が挙げられる。
1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、例えば、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、sec−ブトキシフェノキシ基、tert−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基及びドデシルオキシフェノキシ基が挙げられる。
1〜C12アルキルフェノキシ基としては、例えば、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基及びドデシルフェノキシ基が挙げられる。
なお、アリールオキシ基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、かかるアリールオキシ基としては、ペンタフルオロフェニルオキシ基が挙げられる。
フッ素原子以外の置換基として用いられる置換アミノ基としては、例えば、アミノ基における水素原子の1個以上が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1種以上の基で置換されたアミノ基が挙げられ、該アルキル基、該アリール基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。置換アミノ基の炭素原子数は、通常、1〜60であり、2〜48が好ましい。
置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基及び2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基が挙げられる。
フッ素原子以外の置換基として用いられる置換シリル基としては、例えば、シリル基における水素原子の1個以上が、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選択される1種以上の基で置換されたシリル基が挙げられる。置換シリル基の炭素原子数は、通常、1〜60であり、2〜48が好ましい。
フッ素原子以外の置換基として用いられるアシルアミド基の炭素原子数は、通常、1〜20であり、2〜18であることが好ましい。アシルアミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基等が挙げられる。アシルアミド基のアシル基部分の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよく、かかるアシルアミド基としては、例えば、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
フッ素原子以外の置換基として用いられる1価の複素環基は、置換基を有していてもよい複素環式化合物から水素原子を1個取り除いた残りの原子団である。ここで、複素環式化合物とは、複素環を有する有機化合物を意味し、該複素環とは、環を構成する原子として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子及びケイ素原子等のヘテロ原子を含む環を意味する。
置換基を有していてもよい複素環式化合物とは、複素環上の1個以上の水素原子が、置換基で置換されていてもよい複素環式化合物を意味する。複素環式化合物の複素環の例としては、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、アザジアゾール環等の単環式複素環;単環式芳香環から選ばれる2個以上の環が縮合した縮合多環式複素環;2個の複素環を、又は1個の複素環と1個の芳香環とを、メチレン基、エチレン基、カルボニル基等の2価の基で橋かけした構造を有する有橋多環式複素環が挙げられる。複素環としては、ピリジン環、1,2−ジアジン環、1,3−ジアジン環、1,4−ジアジン環、1,3,5−トリアジン環が好ましく、ピリジン環、1,3,5−トリアジン環がより好ましい。
なお、上記の複素環式化合物が有し得る置換基の例は、前述した置換基の例と同じである。
上記式(Ar−1)〜式(Ar−63)中、Rで表される、置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基における、置換基の例は、さらにフッ素原子が含まれる以外は、前述した置換基の例と同じである。また、Rで表される、置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基における、ヒドロカルビル基の例は、前述した置換基として用いられるヒドロカルビル基の例と同じである。
本発明において、式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物は、式(1)で表される構造単位とは別の構造単位を更に有していてもよく、別の構造単位を更に有していることが好ましい。
別の構造単位としては、下記式(2)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2013135148
(式中、Arは、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。)
Arで表される、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基は、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた残りの原子団を意味する。
Arで表される、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基としては、例えば、下記式(Ar’−1)〜式(Ar’−63)で表される芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた残りの原子団が挙げられる。
式(Ar’−1)〜式(Ar’−63)で表される芳香族化合物としては、式(Ar’−1)〜式(Ar’−4)、式(Ar’−8)、式(Ar’−18)、式(Ar’−20)、式(Ar’−24)、式(Ar’−37)、式(Ar’−44)、式(Ar’−47)、式(Ar’−56)で表される化合物が好ましく、式(Ar’−1)、式(Ar’−8)、式(Ar’−44)、式(Ar’−47)、式(Ar’−56)で表される化合物がより好ましく、式(Ar’−8)、式(Ar’−44)で表される化合物が更に好ましい。
Figure 2013135148
Figure 2013135148
Figure 2013135148
(上記式(Ar’−1)〜式(Ar’−63)中、
芳香環上の1個以上の水素原子は、フッ素原子以外の置換基で置換されていてもよい。
Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基を表す。Rが複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
中でも、Arとしては、下記式(3)又は下記式(4)で表される芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた2価の芳香族基が好ましい。
Figure 2013135148
(式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基を表す。Rが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。)
上記式(3)及び式(4)中、Rで表される、置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基は、前記Rで表される、置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基と同じ意味を表す。
特に、Arとしては、電荷輸送性の観点から、上記式(4)で表される芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた2価の芳香族基が好ましい。
共役化合物において、式(1)で表される構造単位は、下記式(h−1)〜(h−19)で表される基を介して互いに結合していてもよい。下記式(h−1)〜(h−19)で表される基としては、好ましくは式(h−1)、式(h−3)〜(h−6)、式(h−9)、式(h−13)で表される基であり、より好ましくは式(h−9)、式(h−13)で表される基である。
Figure 2013135148
(式中、Rは、前記と同じ意味を有する。Rが複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物は、式(1)で表される構造単位を3個以上有するが、好ましくは5個以上、より好ましくは10個以上、更に好ましくは20個以上有する。
本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物は、該共役化合物を構成する全構造単位に対する、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位との合計が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%の割合にて含む。
また、共役化合物中において、式(1)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位の含有比率は、式(1)/式(2)のモル比で、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.25〜4であり、更に好ましくは1〜4である。
本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物のポリスチレン換算の数平均分子量は、2000以上であることが好ましく、3×103〜1×107であることがより好ましく、8×103〜1×106であることが更に好ましい。本発明においてポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、求めることができる。
本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物の、大気中において光電子分光装置により求めたイオン化ポテンシャルは、通常、4.5eV以上であり、好ましくは4.8eV以上であり、より好ましくは5.0eV以上であり、更に好ましくは5.5eV以上であり、特に好ましくは5.6eV以上である。
本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物のイオン化ポテンシャルは、発光層を形成する化合物のイオン化ポテンシャル(発光層を形成する化合物が2種類以上存在する場合は、最もイオン化ポテンシャルが大きい化合物のイオン化ポテンシャル)より、0.2eV以上大きいことが好ましく、0.25eV以上大きいことがより好ましく、0.3eV以上大きいことが更に好ましく、0.4eV以上大きいことが特に好ましい。
本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物としては、例えば、式(1)で表される構造単位として下記式(1−1)〜式(1−4)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物が挙げられる。式(1−1)〜式(1−4)で表される構造単位としては、式(1−2)〜式(1−4)で表される構造単位が好ましく、式(1−4)で表される構造単位が更に好ましい。例えば、式(1−4)で表される構造単位を含む構造単位としては、下記式(1−5)〜式(1−11)で表される構造単位が挙げられ、中でも、式(1−5)〜(1−8)で表される構造単位が好ましく、式(1−6)、式(1−7)で表される構造単位がより好ましい。
なお、式(1−5)で表される構造単位は、式(1−4)で表される構造単位と式(2)で表される構造単位とを1個ずつ組み合わせて含む構造単位である。式(1−6)〜式(1−8)についても同様である。
また、式(1−9)で表される構造単位は、式(1−4)で表される構造単位が3個連なった構造単位である。式(1−10)及び式(1−11)で表される構造単位はそれぞれ、式(1−4)で表される構造単位を3個と、式(2)で表される構造単位を2個組み合わせて含む構造単位である。
Figure 2013135148
(式(1−1)〜式(1−11)中、Rは、前記と同じ意味を有する。Rが複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
−共役化合物の製造方法−
次に、本発明の発光素子において、有機層に含まれる共役化合物の製造方法を説明する。
該共役化合物は、例えば、下記式(1a)で表される化合物を単独で、又は、下記式(1a)で表される化合物と下記式(2a)で表される化合物とを混合して、必要に応じて有機溶媒に溶解又は分散させ、アルカリ及び/又は適切な触媒の存在下、縮合重合させることにより合成することができる。なお、有機溶媒を用いる場合には、反応温度は、その有機溶媒の融点以上沸点以下とすることが好ましい。
Figure 2013135148
(式(1a)及び式(2a)中、Ar1、Ar2及びmは、前記と同じ意味を有する。Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立に、縮合重合に関与する基を表す。Xは、置換基を有していてもよいエテニレン基、エチニレン基を表す。Xが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。aはそれぞれ独立に、0又は1である。)
1、Y2、Y3及びY4で表される、縮合重合に関与する基としては、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基、ホウ酸エステル残基、−B(OH)2基、ホスホニウムメチル基、ホスホン酸エステルメチル基、アルデヒド基、モノハロゲン化メチル基、アルキルスタンニル基等が挙げられる。
縮合重合に関与する基として選択され得るハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
縮合重合に関与する基として選択され得るアルキルスルホネート基としては、例えば、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基が挙げられ、アリールスルホネート基としては、例えば、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基が挙げられる。
縮合重合に関与する基として選択され得るアリールアルキルスルホネート基としては、例えば、ベンジルスルホネート基が挙げられる。
縮合重合に関与する基として選択され得るホウ酸エステル残基としては、例えば、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 2013135148
縮合重合に関与する基として選択され得るホスホニウムメチル基としては、例えば、−CH2Ph3PCl(ここで、Phは、フェニル基を表す。以下、同様である。)、−CH2Ph3PBr、CH2Ph3PI等が挙げられる。
縮合重合に関与する基として選択され得るホスホン酸エステルメチル基としては、例えば、以下の式で表される基が挙げられる。
Figure 2013135148
縮合重合に関与する基として選択され得るモノハロゲン化メチル基としては、例えば、塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基等が挙げられる。
縮合重合に関与する基として選択され得るアルキルスタンニル基としては、トリメチルスタンニル基、トリエチルスタンニル基、トリプロピルスタンニル基、トリ(n−ブチル)スタンニル基等が挙げられる。
縮合重合に関与する基として好適な基は、重合反応の種類によって異なるが、例えば、Yamamotoカップリング反応等の0価ニッケル錯体を用いる場合には、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基、アリールアルキルスルホネート基が挙げられる。また、Suzukiカップリング反応等のニッケル触媒又はパラジウム触媒を用いる場合には、アルキルスルホネート基、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、−B(OH)等が挙げられ、酸化剤又は電気化学的に酸化重合や直接アリール化(Direct Arylation)する場合には、水素原子、ハロゲン原子が挙げられる。
縮合重合の方法としては、“オルガニック リアクションズ(Organic Reactions)”,第14巻,270−490頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1965年、“オルガニック シンセシス(Organic Syntheses)”,コレクティブ第6巻(Collective Volume VI),407−411頁,ジョンワイリー アンド サンズ(John Wiley&Sons,Inc.),1988年、ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年)、ジャーナル オブ オルガノメタリック ケミストリー(J.Organomet.Chem.),第576巻,147頁(1999年)、マクロモレキュラー ケミストリー マクロモレキュラー シンポジウム(Macromol.Chem.,Macromol.Symp.),第12巻,229頁(1987年)、マクロモレキュールス(Macromolecules),第44巻、1252項(2011年)等に記載の公知の方法を採用すればよい。
有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、副反応を抑制するために十分に脱酸素処理を施した有機溶媒を用いることが好ましく、共役化合物を製造する際には、このような有機溶媒を用いて不活性雰囲気下で反応を進行させることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の不飽和炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、ブロモペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン、ブロモシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化不飽和炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;蟻酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等のエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン等のアミン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルモルホリンオキシド等のアミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アルカリ及び触媒としては、反応に用いる溶媒に十分に溶解するものが好ましい。
アルカリとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化タリウム、トリエチルアミン、リン酸カリウム、ナトリムエトキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウムブラックが挙げられる。
また、アルカリ及び触媒は、有機溶媒に溶解させて溶液を調製し、反応系中の反応液をアルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下で攪拌しながら、その溶液を反応液にゆっくりと添加するか、又は反応液をその溶液にゆっくりと添加すればよい。
−発光素子−
本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、基板側から採光する所謂ボトムエミッションタイプ、基板と反対側から採光する所謂トップエミッションタイプ、両面採光型のいずれのタイプの発光素子であってもよい。
本発明の発光素子は、陰極と、陽極と、陰極と陽極の間に配置される発光層と、陰極と発光層の間に発光層に接合して配置される有機層とを備える。前記式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物は前記有機層に含まれ、その含有量は、前記有機層を構成する全固形分に対し、通常、50〜100重量%であり、好ましくは80〜100重量%であり、より好ましくは100重量%である。
本発明の発光素子はまた、陽極と発光層との間に、例えば、正孔注入層、正孔輸送層のうちの1層以上を備えることができる。正孔注入層が存在する場合は、発光層と正孔注入層との間に正孔輸送層を1層以上備えることができる。
一方、陰極と発光層との間には電子注入層、電子輸送層のうちの1層以上をさらに備えることができる。電子注入層が存在する場合は、発光層と電子注入層との間に電子輸送層を1層以上備えることができる。
ここで、陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給する電極であり、陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給する電極である。
発光層とは、電界を印加した際に、陽極又は陽極側に隣接する層より正孔を受け取り、陰極又は陰極側に隣接する層より電子を受け取る機能、受け取った電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能を有する層をいう。
電子注入層とは、陰極に隣接する層であり、陰極から電子を受け取る機能を有する層であり、さらに必要に応じて電子を輸送する機能、陽極から注入された正孔を障壁する機能、発光層へ電子を供給する機能のいずれかを有する層をいう。電子輸送層とは、主に電子を輸送する機能を有する層であり、さらに必要に応じて、陽極から注入された正孔を障壁する機能、発光層へ電子を供給する機能のいずれかを有する層をいう。
正孔注入層とは、陽極に隣接する層であり、陽極から正孔を受け取る機能を有する層であり、さらに必要に応じて正孔を輸送する機能、発光層へ正孔を供給する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有する層をいう。正孔輸送層とは、主に正孔を輸送する機能を有する層であり、さらに必要に応じて、発光層へ正孔を供給する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有する層をいう。
なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶことがある。また、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層と呼ぶことがある。
即ち、本発明の発光素子は、下記の層構成(a)を有することができ、又は、層構成(a)から、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層の1層以上を省略した層構成を有することもできる。
(a)陽極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−有機層−(電子輸送層)−(電子注入層)−陰極
ここで、符号「−」は各層が隣接して積層されていることを示す。「(正孔輸送層)」は、正孔輸送層を1層以上含む層構成を示す。「(電子輸送層)」は、電子輸送層を1層以上含む層構成を示す。以下の層構成の説明においても同様である。
さらに、本発明の発光素子は、複数の層の発光層を備えることができる。この場合、発光素子は下記の層構成(b)を有することができ、又は、層構成(b)から、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電極の1層以上を省略した層構成を有することもできる。
(b)陽極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−有機層−(電子輸送層)−(電子注入層)−繰返し単位A−繰返し単位A・・・−陰極
ここで、「繰返し単位A」は、電極−(正孔注入層)−(正孔輸送層)−発光層−有機層−(電子輸送層)−(電子注入層)の層構成、又は、該層構成から、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、電極の1層以上を省略した層構成の単位を示す。
本発明の発光素子において、式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含む有機層は、好適な一実施形態において、陽極から発光層に注入された正孔が、電子と再結合せずに陰極へと素通りするのを妨げる層、つまり、正孔防止層として機能することが好ましい。
上記正孔防止層は、電子輸送層、電子注入層の機能を有していてもよい。
本発明の発光素子の好ましい層構成としては、下記の構成が挙げられる。
(a’)陽極−発光層−正孔防止層−陰極
(b’)陽極−正孔注入層−発光層−正孔防止層−陰極
(c’)陽極−発光層−正孔防止層−電子注入層−陰極
(d’)陽極−正孔注入層−発光層−正孔防止層−電子注入層−陰極
(e’)陽極−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−正孔防止層−陰極
(f’)陽極−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−正孔防止層−電子注入層−陰極
(g’)陽極−発光層−正孔防止層−電子輸送層−電子注入層−陰極
(h’)陽極−正孔注入層−発光層−正孔防止層−電子輸送層−電子注入層−陰極
(i’)陽極−正孔注入層−正孔輸送層−発光層−正孔防止層−電子輸送層−電子注入層−陰極
本発明の発光素子は、さらに電極との密着性向上や混合の防止等のために、電極に隣接して絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層(即ち正孔輸送層又は電子輸送層)又は発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して用いることができる。
次に、本発明の発光素子を構成する各層の材料及び形成方法について、詳説する。
−基板−
本発明の発光素子は、通常、基板上に形成される。基板としては、電極を形成し、有機層を形成する際に化学的に変化しないものであればよく、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム基板、金属フィルム基板、シリコン基板、これらを積層した基板が用いられる。前記基板としては、市販のものが入手可能であり、又は公知の方法により製造することができる。
本発明の発光素子がディスプレイ装置の画素を構成する場合、当該基板上に画素駆動用の回路が設けられていてもよいし、当該駆動回路上に平坦化膜が設けられていてもよい。平坦化膜が設けられる場合には、該平坦化膜の中心線平均粗さ(Ra)がRa<10nmを満たすことが好ましい。
Raは、日本工業規格JISのJIS−B0601−2001に基づいて、JIS−B0651からJIS−B0656及びJIS−B0671−1等を参考に計測できる。
−陽極−
本発明の発光素子を構成する陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等で用いられる有機半導体材料への正孔供給性が優れるので、かかる陽極の発光層側表面の仕事関数が4.0eV以上であることが好ましい。
本発明の発光素子において、陽極の材料としては、金属、合金、金属酸化物、金属硫化物等の電気伝導性化合物及びこれらの混合物等を用いることができ、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化モリブデン等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、これらの導電性金属酸化物と金属との混合物等が挙げられる。
前記陽極は、これら材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。陽極が多層構造である場合は、仕事関数が4.0eV以上である材料を発光層側の最表面層に用いることがより好ましい。
陽極の作製方法としては、公知の方法が利用でき、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)等が挙げられる。
陽極の厚さは、通常10nm〜10μmであり、好ましくは40nm〜500nmである。
また、短絡等の電気的接続の不良を効率的に防止することができるので、陽極の発光層側表面の中心線平均粗さ(Ra)はRa<10nmを満たすこと好ましく、Ra<5nmを満たすことがより好ましい。
さらに、該陽極は上記方法にて作製された後に、UVオゾン、シランカップリング剤、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン等の電子受容性化合物を含む溶液等で表面処理を施されることがある。かかる表面処理によって該陽極に接する層との電気的接続が改善される。
本発明の発光素子において、陽極を光反射電極として用いる場合には、かかる陽極が、光反射性の高い金属からなる光反射層と4.0eV以上の仕事関数を有する材料を含む高仕事関数材料層とを組み合わせた多層構造を有することが好ましい。
このような陽極の層構成としては、
(i)Ag−MoO
(ii)(Ag−Pd−Cu合金)−(ITO及び/又はIZO)
(iii)(Al−Nd合金)−(ITO及び/又はIZO)
(iv)(Mo−Cr合金)−(ITO及び/又はIZO)
(v)(Ag−Pd−Cu合金)−(ITO及び/又はIZO)−MoO
が例示される。十分な光反射率を得る為に、Al、Ag、Al合金、Ag合金、Cr合金等の光反射性の高い金属層の厚さは50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましい。ITO、IZO、MoO等の高仕事関数材料層の厚さは通常、5nm〜500nmの範囲である。
−正孔注入層−
本発明の発光素子において、正孔注入層を形成する材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、スターバースト型アミン、フタロシアニン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらを含む重合体;酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子及びオリゴマー;ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、ポリピロール等の有機導電性材料及びこれらを含む重合体;アモルファスカーボン;テトラシアノキノジメタン誘導体(例えば、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)、1,4−ナフトキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ポリニトロ化合物等のアクセプター性有機化合物;オクタデシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が好適に使用できる。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記正孔注入層は、これら材料の1種又は2種以上からなる層であってもよい。また、正孔輸送層で用いることができる材料として例示する材料も正孔注入層の材料として用いることができる。
正孔注入層の作製方法としては、公知の方法が利用できる。正孔注入層に用いられる正孔注入材料が無機材料の場合は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が利用でき、低分子有機材料の場合は、真空蒸着法、レーザー転写や熱転写等の転写法、溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)等が利用できる。また、正孔注入材料が高分子有機材料の場合は、溶液からの成膜による方法が利用できる。
正孔注入材料が、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の低分子有機材料の場合には、真空蒸着法を用いて正孔注入層を形成することが好ましい。
また、高分子化合物バインダーと前記低分子有機材料を分散させた混合溶液を用いて正孔注入層を成膜することもできる。
混合する高分子化合物バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くない化合物が好適に用いられる。この高分子化合物バインダーとしては、例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させることができる溶媒であればよい。該溶媒としては、例えば、水、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の含塩素溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒が挙げられる。
溶液からの成膜方法としては、例えば、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、ノズルコート法等のコート法、マイクログラビア印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法が挙げられる。パターン形成が容易であるという点で、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法やノズルコート法が好ましい。
正孔注入層に続いて、正孔輸送層、発光層等の有機化合物層を形成する場合、特に、両方の層を塗布法によって形成する場合には、先に塗布した層(以下、「下層」という場合がある。)が後から塗布する層(以下、「上層」という場合がある。)の溶液に含まれる溶媒に溶解して積層構造を作製できなくなることがある。この場合には、下層を溶媒不溶化する方法を用いることができる。下層を溶媒不溶化する方法としては、該下層に含まれる高分子化合物に架橋基を付け、架橋させて不溶化する方法;芳香族ビスアジドに代表される芳香環を有する架橋基を持った低分子化合物を架橋剤として混合し、架橋させて不溶化する方法;アクリレート基に代表される芳香環を有しない架橋基を持った低分子化合物を架橋剤として混合し、架橋させて不溶化する方法;下層を紫外光に感光させて架橋させ、上層の製造に用いる有機溶媒に対して不溶化する方法;下層を加熱して架橋させ、上層の製造に用いる有機溶媒に対して不溶化する方法等が挙げられる。下層を加熱する場合の加熱温度は通常100℃〜300℃であり、加熱時間は通常1分〜1時間である。
また、架橋以外で下層を溶解させずに上層を積層するその他の方法として、隣り合った層の製造に異なる極性の溶液を用いる方法が挙げられ、例えば、下層に水溶性の高分子化合物を用い、上層の溶液として油溶性の高分子化合物を含む油性溶液を用いて、塗布しても下層が溶解しないようにする方法等がある。
正孔注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。正孔注入層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは2nm〜100nmである。
−正孔輸送層−
本発明の発光素子において、正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらの構造を含む重合体;アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子及びオリゴマー;ポリピロール等の有機導電性材料が挙げられる。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよく、或いは複数の成分からなる高分子化合物であってもよい。
また、前記正孔輸送層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、正孔注入層に用いることができる材料として例示する材料も正孔輸送層の材料として用いることができる。
前記正孔輸送層を構成する材料としては、例えば、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報、特開平5−263073号公報、特開平6−1972号公報、WO2005/52027、特開2006−295203号公報等に開示される化合物も有用であるが、これらの中でも、繰り返し単位として2価の芳香族アミン残基を含む重合体が、好適に用いられる。
正孔輸送層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。例えば、溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ノズルコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法が挙げられ、昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法、転写法が挙げられる。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
正孔輸送層に続いて、発光層等の有機層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。正孔輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜100nmであり、さらに好ましくは5nm〜50nmである。
−発光層−
本発明の発光素子において、発光層が高分子化合物を含む場合、該高分子化合物としては、例えば、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール、ポリアルキルチオフェン等の共役高分子化合物を好適に用いることができる。
また、前記高分子化合物を含む発光層は、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素等の高分子系色素化合物や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子色素化合物を含有してもよい。また、該発光層は、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、並びにテトラフェニルブタジエン及びその誘導体、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム等の燐光を発光する金属錯体を含有してもよい。
また、本発明の発光素子が備える発光層は、非共役高分子化合物と前記有機色素や前記金属錯体等の発光性有機化合物とを含む材料から構成されてもよい。非共役高分子化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂が挙げられる。前記非共役高分子化合物は、その側鎖に、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン化合物、ポルフィリン化合物、及び有機シラン誘導体からなる群から選ばれる1つ以上の誘導体若しくは化合物の構造を有していてもよい。
発光層が低分子化合物を含む場合、該低分子化合物としては、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、カルバゾール、キナクリドン等の低分子色素化合物、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系、インジゴ系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、フタロシアニン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、並びにテトラフェニルブタジエン及びその誘導体等が挙げられる。
発光層が燐光を発光する金属錯体を含む場合、該金属錯体としては、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、チエニルピリジン配位子含有イリジウム錯体、フェニルキノリン配位子含有イリジウム錯体、トリアザシクロノナン骨格含有テルビウム錯体等が挙げられる。
発光層に用いられる高分子化合物としては、例えば、WO97/09394、WO98/27136、WO99/54385、WO00/22027、WO01/19834、GB2340304A、GB2348316、US573636、US5741921、US5777070、EP0707020、特開平9−111233号公報、特開平10−324870号公報、特開2000−80167号公報、特開2001−123156号公報、特開2004−168999号公報、特開2007−162009号公報、「有機EL素子の開発と構成材料」(シーエムシー出版、2006年発行)等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が挙げられる。
また、低分子化合物としては、特開昭57−51781号公報、「有機薄膜仕事関数データ集[第2版]」(シーエムシー出版、2006年発行)、「有機EL素子の開発と構成材料」(シーエムシー出版、2006年発行)等に記載されている化合物が例示される。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記発光層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
発光層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。例えば、溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ノズルコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法が挙げられ、昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法、転写法等が挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
発光層に続いて、本願の有機層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
発光層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。発光層の厚さは、通常、5nm〜1μmであり、好ましくは10nm〜500nmであり、さらに好ましくは30nm〜200nmである。
−正孔防止層−
本発明の発光素子において、式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含む有機層は、正孔防止層であることが好ましい。該正孔防止層は、電子輸送層、電子注入層の機能を有していてもよい。前記式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよく、その他の化合物と併用してもよい。併用してもよいその他の化合物としては、例えば、下記電子輸送層、電子注入層について例示する化合物が挙げられる。
正孔防止層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。例えば、溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ノズルコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法や、真空蒸着法、転写法等が挙げられ、コート法及び印刷法等の塗布法が好ましい。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
正孔防止層に続いて、電子輸送層又は電子注入層等の有機化合物層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
正孔防止層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。正孔防止層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。
−電子輸送層−
本発明の発光素子において、電子輸送層を構成する材料としては、公知のものが使用でき、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。これらのうち、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、並びに8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましい。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記電子輸送層は、前記材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、電子注入層に用いることができる材料として例示する材料も電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。例えば、溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ノズルコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法が挙げられ、昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法、転写法等が挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
電子輸送層に続いて、電子注入層等の有機化合物層を塗布法にて形成する際に、下層が後から塗布する層の溶液に含まれる溶媒に溶解する場合は、正孔注入層の成膜方法において説明した方法と同様の方法で下層を溶媒不溶化することができる。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。電子輸送層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜100nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。
−電子注入層−
本発明の発光素子において、電子注入層を構成する材料としては、公知の化合物が使用でき、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体等が挙げられる。
前記材料は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。また、前記電子注入層は、前記材料の1種又は2以上からなる層であってもよい。また、電子輸送層に用いることができる材料として例示する材料も電子注入層の材料として用いることができる。
電子注入層の成膜方法としては、正孔注入層の成膜と同様の方法が挙げられる。例えば、溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、バーコート法、スリットコート法、スプレーコート法、ノズルコート法等のコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法等の塗布法が挙げられ、昇華性化合物材料を用いる場合には、真空蒸着法、転写法等が挙げられる。
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔注入層の成膜方法で例示した溶媒が挙げられる。
電子注入層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。電子注入層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜100nmであり、さらに好ましくは5nm〜20nmである。
−陰極−
本発明の発光素子において、陰極は、単一の材料又は複数の材料からなる単層構造であってもよいし、複数層からなる多層構造であってもよい。陰極が単層構造である場合、本発明の発光素子において、陰極の材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、スズ、鉛、ニッケル、チタン等の低抵抗金属及びこれらを含む合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化モリブデン等の導電性金属酸化物、これらの導電性金属酸化物と金属との混合物が挙げられる。多層構造である場合、第1陰極層とカバー陰極層の2層構造、又は第1陰極層、第2陰極層及びカバー陰極層の3層構造が好ましい。ここで、第1陰極層は、陰極の中で最も発光層側にある層をいい、カバー陰極層は2層構造の場合は第1陰極層を、3層構造の場合は第1陰極層と第2陰極層を覆う層をいう。電子供給能が優れるので、第1陰極層の材料の仕事関数が3.5eV以下であることが好ましい。また、仕事関数が3.5eV以下の金属の酸化物、フッ化物、炭酸塩、複合酸化物等も、第1陰極層の材料として好適に用いられる。カバー陰極層の材料には、抵抗率が低く、水分への耐腐食性が高い金属、金属酸化物等が好適に用いられる。
第1陰極層の材料としては、例えば、アルカリ金属;アルカリ土類金属;アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうち1種類以上を含む合金;アルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、複合酸化物及びこれらの混合物からなる群より選択される1つ以上の材料等が挙げられる。アルカリ金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、複合酸化物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、モリブデン酸カリウム、チタン酸カリウム、タングステン酸カリウム、モリブデン酸セシウムが挙げられる。
アルカリ土類金属又はその酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、複合酸化物としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸化バリウム、モリブデン酸バリウム、タングステン酸バリウムが挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属を1種類以上含む合金としては、例えば、Li−Al合金、Mg−Ag合金、Al−Ba合金、Mg−Ba合金、Ba−Ag合金、Ca−Bi−Pb−Sn合金が挙げられる。
また、第1陰極層の材料として例示した上記の材料と電子注入層を構成する材料として例示した材料とを組み合わせた材料も、第1陰極層の材料として使用できる。第2陰極層の材料としては、第1陰極層の材料と同様の材料が例示される。
カバー陰極層の材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、スズ、鉛、ニッケル、チタン等の低抵抗金属及びこれらを含む合金、金属ナノ粒子、金属ナノワイヤー、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化モリブデン等の導電性金属酸化物、これらの導電性金属酸化物と金属との混合物、導電性金属酸化物のナノ粒子、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性炭素が挙げられる。
陰極が多層構造である場合、その層構造としては、例えば、Mg/Al、Ca/Al、Ba/Al、LiF/Al、NaF/Al、KF/Al、RbF/Al、CsF/Al、NaCO/Al、KCO/Al、CsCO/Al等の第1陰極層とカバー陰極層からなる2層構造、LiF/Ca/Al、NaF/Ca/Al、KF/Ca/Al、RbF/Ca/Al、CsF/Ca/Al、Ba/Al/Ag、KF/Al/Ag、KF/Ca/Ag、KCO/Ca/Ag等の第1陰極層、第2陰極層及びカバー陰極層からなる3層構造が挙げられる。ここで、符号「/」は各陰極層が隣接して積層されていることを示す。なお、第2陰極層の材料が第1陰極層の材料に対して還元作用を有することが好ましい。ここで、材料間の還元作用の有無及びその程度は、例えば、化合物間の結合解離エネルギー(ΔrH°)から見積もることができる。即ち、第2陰極層の材料による、第1陰極層の材料に対する還元反応において、結合解離エネルギーが正である組み合わせの場合、第2陰極層の材料が第1陰極層の材料に対して還元作用を有すると言える。結合解離エネルギーは、例えば「電気化学便覧第5版」(丸善、2000年発行)、「熱力学データベースMALT」(科学技術社、1992年発行)で参照できる。
陰極の作製方法としては公知の方法が利用でき、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、溶液からの成膜による方法(高分子バインダーとの混合溶液を用いてもよい)が挙げられる。陰極の材料として金属、金属酸化物、フッ化物、炭酸塩を用いる場合は真空蒸着法が好適に使用され、高沸点の金属酸化物、金属複合酸化物や酸化インジウムスズ等の導電性金属酸化物を用いる場合は、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好適に使用される。金属、金属酸化物、フッ化物、炭酸塩、高沸点の金属酸化物、金属複合酸化物、導電性金属酸化物を2種以上併用して陰極を成膜する場合には、共蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が用いられる。金属ナノ粒子、金属ナノワイヤー、導電性金属酸化物ナノ粒子を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が好適に使用される。特に、低分子有機化合物と金属又は金属酸化物、フッ化物、炭酸塩とを組み合わせた材料を用いて陰極を成膜する場合には共蒸着法が適する。
陰極の厚さは、用いる材料、層構造によって最適値が異なり、駆動電圧、発光効率、素子寿命が適度な値となるように選択すればよいが、通常、第1陰極層の厚さは0.5nm〜20nmであり、カバー陰極層の厚さは10nm〜1μmである。例えば、第1陰極層にBa又はCa、カバー陰極層にAlを用いる場合、Ba又はCaの厚さは2nm〜10nm、Alの厚さは10nm〜500nmであることが好ましく、第1陰極層にNaF又はKF、カバー陰極層にAlを用いる場合、NaF又はKFの厚さは1nm〜10nm、Alの厚さは10nm〜500nmであることが好ましい。
本発明の発光素子において、陰極を光透過性電極として用いる場合には、カバー陰極層の可視光透過率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。この可視光透過率は、カバー陰極層の材料として酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化モリブデン等の透明導電性金属酸化物を用いるか、或いは、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、スズ、鉛等の低抵抗金属及びこれらを含む合金を用いたカバー陰極層の厚さを30nm以下にすることで達成される。
また、陰極側からの光透過率を向上させることを目的として、陰極のカバー陰極層上に反射防止層を設けてもよい。反射防止層に用いられる材料としては、屈折率が1.8〜3.0であることが好ましく、この屈折率を満たす材料としては、例えば、ZnS、ZnSe、WOが挙げられる。反射防止層の厚さは、材料の組み合わせによって異なるが、通常、10nm〜150nmである。
−絶縁層−
本発明の発光素子は、電極との密着性向上、隣接層との混合防止等の機能を有する層として、厚さ5nm以下の絶縁層を備えていてもよい。上記絶縁層の材料としては、例えば、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料(ポリメチルメタクリレート等)等が挙げられる。厚さ5nm以下の絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して厚さ5nm以下の絶縁層を設けた素子、陽極に隣接して厚さ5nm以下の絶縁層を設けた素子が挙げられる。
−その他の構成要素−
本発明の発光素子は、さらに、発光層等を挟んで基板と反対側に、封止部材を備えてもよい。本発明の発光素子はまた、カラーフィルター、蛍光変換フィルター等のフィルター、画素の駆動に必要な回路及び配線等の、ディスプレイ装置を構成するための任意の構成要素を備えてもよい。
−発光素子の製造方法−
本発明の発光素子は、例えば、基板上に各層を順次積層することにより製造することができる。
一実施形態において、本発明の発光素子は、基板上に陽極を設け、その上に正孔注入層、正孔輸送層等の層を設け、その上に発光層を設け、その直上に式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含む有機層を設け、その上に電子輸送層、電子注入層等の層を設け、さらにその上に、陰極を積層することにより、製造することができる。
他の実施形態では、本発明の発光素子は、基板上に陰極を設け、その上に電子注入層、電子輸送層等の層を設け、その上に式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含む有機層を設け、その直上に発光層を設け、その上に正孔輸送層、正孔注入層等の層を設け、さらにその上に、陽極を積層することにより、製造することができる。
更に他の実施形態では、本発明の発光素子は、式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含む有機層が陰極と発光層の間に該発光層に接合して配置される限りにおいて、陽極又は陽極上に各層を積層した陽極側基材と、陰極又は陰極上に各層を積層させた陰極側基材とを、対向させて接合することにより製造することができる。
−発光素子の応用−
本発明の発光素子を用いてディスプレイ装置を製造することができる。該ディスプレイ装置は、発光素子を1画素単位として備える。画素単位の配列の態様は、テレビ等のディスプレイ装置で通常採られる配列とすることができ、多数の画素が共通の基板上に配列された態様とすることができる。ディスプレイ装置において、基板上に配列される画素は、バンクで規定される画素領域内に形成することができる。また本発明の発光素子は平面状や曲面状の照明装置に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
下記合成例1において合成した共役化合物P−1、合成例4において合成した共役化合物P−4、合成例5において合成した共役化合物P−5のポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、Mwとすることがある。)及びポリスチレン換算の数平均分子量(以下、Mnとすることがある。)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(株式会社島津製作所製、商品名:C−R7A)を用いて測定した。当該測定においては、共役化合物P−1を、約0.5重量%の濃度になるようにクロロホルムに溶解させ、GPCに20μL注入した。GPCの移動相としてはクロロホルムを用い、0.5mL/分の流速で流した。
下記合成例2で合成した共役化合物P−2のMw及びMnは、高温GPC(東ソー株式会社製、商品名:HLC−8121GPC/HT DF−8020)を用いて測定した。当該測定においては、共役化合物P−2を、約0.5重量%の濃度になるように1,2−ジクロロベンゼンに溶解させ、GPCに20μL注入した。GPCの移動相としては140℃の1,2−ジクロロベンゼンを用い、0.5mL/分の流速で流した。
下記合成例3で合成した発光材料P−3、合成例6で合成した発光材料P−6のMw及びMnは、GPC(東ソー株式会社製、商品名:HLC−8220GPC)を用いて測定した。当該測定においては、発光材料P−3を、約0.5重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに20μL注入した。GPCの移動相としてはテトラヒドロフランを用い、0.5mL/分の流速で流した。
なお、Mw及びMnについて、検出波長は254nmに設定した。
共役化合物の構造分析は、400MHzNMRスペクトロメーター(Bruker社製、商品名:AVANCE−400)、300MHzNMRスペクトロメーター(Varian社製、商品名:INOVA300)、又は、400MHzNMRスペクトロメーター(JEOL社製、商品名:JNM−ECS−400)を用いて、1H−NMR解析により行った。また、1H−NMR解析は、試料濃度が20mg/mLになるように、測定試料を、該試料を可溶な重溶媒に溶解させて行った。
共役化合物のイオン化ポテンシャルの測定は、膜厚100nm程度の測定試料の薄膜を石英基板上に成膜し、光電子分光装置(理研計器株式会社製、商品名:AC−2)を用いて行った。
<合成例1>(共役化合物P−1の合成)
不活性ガス雰囲気下、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(548mg、1.00mmol)、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン(112μL、1.00mmol)、酢酸パラジウム(11.2mg、0.0500mmol)、ジ−tert−ブチルメチルホスフィンテトラフルオロホウ酸塩(24.8mg、0.100mmol)、炭酸カリウム(276mg、2.00mmol)及びジメチルアセトアミド(1mL)を混合し、混合物を100℃で24時間加熱しながら攪拌した。反応溶液を放冷後、該反応溶液をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の水溶液(pH8に調整)に注いだところ、沈殿物が生じた。この沈殿物を濾取し、1mol/Lの塩酸水溶液、次いで、蒸留水、メタノール、ヘキサンの順でそれぞれ洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、セライトを通しろ過した。ろ液を、メタノールに注いだところ、沈殿物として、共役化合物P−1(424mg)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた共役化合物P−1のポリスチレン換算のMwは9.6×10であり、モル質量分散度(Mw/Mn)は3.53であった。また、共役化合物P−1のイオン化ポテンシャルは5.96eVであった。
共役化合物P−1は、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位とを、50:50のモル比(原料の仕込量からの理論値)で有する共重合体である。
<合成例2>(共役化合物P−2の合成)
不活性ガス雰囲気下、3,6−ジブロモカルバゾール(1.63g、5.00mmol)及びアセトン(50mL)の混合溶液中に、テトラブチルアンモニウムブロマイド(48.4mg、0.150mmol)、1−オクタデシルブロマイド(2.70g、8.10mmol)及び水酸化カリウム(535mg、9.50mmol)を加え、混合物を2時間加熱還流した。反応溶液を放冷後、無機物の固体をろ別除去し、アセトンでろ物を洗浄した。ろ液の有機溶媒を減圧留去し、得られた固体をクロロホルムに溶解させ、クロロホルムとヘキサンの混合溶媒で再結晶(−20℃)を行うことにより、白色結晶として、3,6−ジブロモ−N−オクタデシルカルバゾール(2.28g)を得た。
不活性ガス雰囲気下、3,6−ジブロモ−N−オクタデシルカルバゾール(558mg、1.00mmol)、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン(112μL、1.00mmol)、酢酸パラジウム(11.2mg、0.0500mmol)、ジ−tert−ブチルメチルホスフィンテトラフルオロホウ酸塩(24.8mg、0.100mmol)、炭酸カリウム(276mg、2.00mmol)及びジメチルアセトアミド(1mL)を混合し、混合物を100℃で24時間加熱しながら攪拌した。反応溶液を放冷後、該反応溶液をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の水溶液(pH8に調整)に注いだところ、沈殿物が生じた。この沈殿物を濾取し、1mol/Lの塩酸水溶液、次いで、蒸留水、メタノール、ヘキサンの順でそれぞれ洗浄した。得られた固体をクロロホルム中で超音波振動により洗浄し、低分子量成分の除去を行った。得られた固体を、1,1,2,2−テトラクロロエタンに80℃に加熱しながら溶解させた後、メタノールに注いだところ、沈殿物として、共役化合物P−2(374mg)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた共役化合物P−2のポリスチレン換算のMwは1.4×10であり、モル質量分散度(Mw/Mn)は1.70であった。また、共役化合物P−2のイオン化ポテンシャルは5.74eVであった。
共役化合物P−2は、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位とを、50:50のモル比(原料の仕込量からの理論値)で有する共重合体である。
<合成例3>(発光材料P−3の合成)
不活性ガス雰囲気下、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(1.4g、2.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(6.40g、10.0mmol)、N,N−ビス(4−ブロモフェニル)−N’,N'−ビス(4−ブチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(4.1g、6.0mmol)、ビス(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブテンアミン(0.60g、1.5mmol)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(1.7g、2.3mmol)、酢酸パラジウム(4.5mg、0.020mmol)、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン(0.03g、0.08mmol)及びトルエン(100mL)を混合し、混合物を100℃で2時間加熱しながら攪拌した。次いで、反応溶液にフェニルボロン酸(0.06g、0.5mmol)を添加し、得られた混合物を10時間撹拌した。反応溶液を放冷後、水層を除去し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を添加し攪拌した後、水層を除去した。得られた有機層を水で洗浄し、更に3重量%酢酸水溶液で洗浄した。有機層をメタノールに注いだところ、沈殿物が生じた。この沈殿物を濾取し、再度トルエンに溶解させ、シリカゲルカラム及びアルミナカラムに通液した。この沈殿物を含む溶出トルエン溶液を回収し、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いだところ、沈殿物が生じた。この沈殿物を濾取後、50℃で真空乾燥させることにより、発光材料P−3(12.1g)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた発光材料P−3のポリスチレン換算のMwは3.0×105であり、モル質量分散度(Mw/Mn)は3.1であった。発光材料P−3のイオン化ポテンシャルは5.28eVであった。
発光材料P−3は、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位とを、62.5:30:7.5のモル比(原料の仕込量からの理論値)で有する共重合体である。
<合成例4>(共役化合物P−4の合成)
不活性ガス雰囲気下、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(548mg、1.00mmol)、2,2',3,3',5,5’,6,6'-オクタフルオロビフェニル(298mg、1.00mmol)、酢酸パラジウム(11.2mg、0.0500mmol)、ジ−tert−ブチルメチルホスフィンテトラフルオロホウ酸塩(24.8mg、0.100mmol)、炭酸カリウム(276mg、2.00mmol)及びジメチルアセトアミド(1mL)を混合し、混合物を100℃で24時間加熱しながら攪拌した。反応溶液を放冷後、該反応溶液をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の水溶液(pH8に調整)に注いだところ、沈殿物が生じた。この沈殿物を濾取し、1mol/Lの塩酸水溶液、次いで、蒸留水、メタノール、ヘキサンの順でそれぞれ洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、セライトを通しろ過した。ろ液を、メタノールに注いだところ、沈殿物として、共役化合物P−4(390mg)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた共役化合物P−4のポリスチレン換算のMwは4.2×10であり、モル質量分散度(Mw/Mn)は2.90であった。また、共役化合物P−4のイオン化ポテンシャルは5.82eVであった。
共役化合物P−4は、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位とを、50:50のモル比(原料の仕込量からの理論値)で有する共重合体である。
<合成例5>(共役化合物P−5の合成)
不活性ガス雰囲気下、2,8−ジブロモ−10,10−ジ(オクチル)−N−メチルフェナザシリン(297mg、0.500mmol)、1,2,4,5−テトラフルオロベンゼン(56μL、0.50mmol)、酢酸パラジウム(5.6mg、0.025mmol)、ジ−tert−ブチルメチルホスフィンテトラフルオロホウ酸塩(12.4mg、0.0500mmol)、炭酸カリウム(138mg、1.00mmol)及びジメチルアセトアミド(1mL)を混合し、混合物を100℃で24時間加熱しながら攪拌した。反応溶液を放冷後、該反応溶液をエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩の水溶液(pH8に調整)に注いだところ、沈殿物が生じた。この沈殿物を濾取し、1mol/Lの塩酸水溶液、次いで、蒸留水、メタノール、ヘキサンの順でそれぞれ洗浄した。得られた固体をクロロホルムに溶解させ、セライトを通しろ過した。ろ液を、メタノールに注いだところ、沈殿物として、共役化合物P−5(257mg)を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた共役化合物P−5のポリスチレン換算のMwは2.0×10であり、モル質量分散度(Mw/Mn)は1.74であった。また、共役化合物P−5のイオン化ポテンシャルは5.68eVであった。
共役化合物P−5は、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位とを、50:50のモル比(原料の仕込量からの理論値)で有する共重合体である。
<合成例6>(発光材料P−6の合成)
不活性ガス雰囲気下、2,7−ジブロモ−9,9−ジ(オクチル)フルオレン(9.0g、16.40mmol)、N,N’-ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)−1,4−フェニレンジアミン(1.3g、1.80mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル-1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−9,9−ジ(4−ヘキシルフェニル)フルオレン(13.4g、18.0mmol)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(43.0g、58.3mmol)、酢酸パラジウム(8mg、0.0400mmol)、トリ(2−メトキシフェニル)ホスフィン(0.05g、0.100mmol)及びトルエン(200mL)を混合し、混合物を、90℃で8時間加熱攪拌した。次いで、反応溶液にフェニルボロン酸(0.22g、1.80mmol)を添加し、得られた混合物を14時間撹拌した。反応溶液を放冷後、水層を除去し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を添加し撹拌した後、水層を除去し、有機層を水、3%酢酸水で洗浄した。有機層をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた後、濾取したポリマーを再度トルエンに溶解させ、シリカゲル及びアルミナのカラムに通液した。ポリマーを含む溶出トルエン溶液を回収し、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを50℃で真空乾燥し、発光材料P−6(12.5g)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた発光材料P−6のポリスチレン換算のMwは3.1×10であり、モル質量分散度(Mw/Mn)は2.9であった。発光材料P−6のイオン化ポテンシャルは、5.30eVであった。
発光材料P−6は、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位と、下記式:
Figure 2013135148
で表される構造単位とを、50:45:5のモル比(原料の仕込量からの理論値)で有する共重合体である。
<実施例1>(発光素子k−1の作製)
陽極として厚さ45nmのITO膜が設けられたガラス基板上に、正孔注入材料の溶液であるポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(H.C.Starck製、PEDOT:PSS溶液、商品名:CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083)0.5mLを塗布し、スピンコート法により厚さ70nmの塗膜を形成した。こうして得られたガラス基板を、空気中、200℃で10分間加熱した後、室温まで自然に冷却させることにより、正孔注入層が形成されたガラス基板Aを得た。
次に、発光材料P−3(10mg)とキシレン(1mL)とを混合して得た発光層用組成物(発光材料P−3濃度;1.2重量%)を、前記ガラス基板A上に塗布し、スピンコート法により厚さ170nmの塗膜を形成した。このガラス基板を、窒素雰囲気下、180℃で60分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然に冷却させることにより、発光層が形成されたガラス基板Bを得た。
前記ガラス基板B上に、共役化合物P−1(2.0mg)とクロロホルム(1mL)とを混合して得た正孔防止層用組成物(共役化合物P−1濃度;0.13重量%)を塗布し、スピンコート法により厚さ10nmの塗膜を形成した。このガラス基板を、窒素雰囲気下、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させることにより、正孔防止層が形成されたガラス基板Cを得た。
前記ガラス基板Cを小型真空蒸着装置(アルバック機工(株)社製、商品名:VPC−260F)内に挿入し、真空蒸着法によってアルミニウムを100nmの厚さで成膜することにより、陰極が形成されたガラス基板Dを得た。
前記ガラス基板Dを、窒素雰囲気下で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂(Robnor resins社製、商品名:PX681C/NC)を用いて封止することにより、発光素子(以下、「発光素子k−1」という。)を作製した。発光素子k−1において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.68eVであった。
発光素子k−1に16Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−1について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は3.8×10−3cd/Aであった。
<実施例2>(発光素子k−2の作製)
正孔防止層用組成物(共役化合物P−1濃度;0.13重量%)に代えて、共役化合物P−2(2.0mg)とオルト−ジクロロベンゼン(1mL)とを混合して得た正孔防止層用組成物(共役化合物P−2濃度;0.15重量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、発光素子k−2を作製した。発光素子k−2において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.46eVであった。
発光素子k−2に16Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−2について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は5.0×10−4cd/Aであった。
<実施例3>(発光素子k−3の作製)
発光層の膜厚を170nmから75nmに変更した点、並びに共役化合物P−1(2.0mg)に代えて共役化合物P−4(2.0mg)を用いた点以外は、実施例1と同様にして、発光素子k−3を作製した。発光素子k−3において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.54eVであった。
発光素子k−3に13Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−3について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は8.2×10−3cd/Aであった。
<実施例4>(発光素子k−4の作製)
発光層の膜厚を170nmから75nmに変更した点、並びに共役化合物P−1(2.0mg)に代えて共役化合物P−5(2.0mg)を用いた点以外は、実施例1と同様にして、発光素子k−4を作製した。該発光素子k−4において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.40eVであった。
発光素子k−4に13Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−4について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は7.7×10−4cd/Aであった。
<比較例1>(発光素子k’−1の作製)
共役化合物P−1を用いなかった以外は、実施例1と同様にして、発光素子k’−1を作製した。発光素子k’−1に16Vの順方向電圧を印加したが、発光は観測されなかった。
<比較例2>(発光素子k’−2の作製)
共役化合物P−4を用いなかった以外は、実施例3と同様にして、発光素子k’−2を作製した。発光素子k’−2に13Vの順方向電圧を印加したが、発光は観測されなかった。
表1に、実施例1〜4、比較例1、2で得られた発光素子の発光効率を示す。表1中、ΔIpは、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差(eV)を表す。
Figure 2013135148
<実施例5>(発光素子k−5の作製)
発光層の膜厚を170nmから75nmに変更した点、ガラス基板C上に真空蒸着法によってアルミニウムを100nmの厚さで成膜する代わりに、ガラス基板C上に真空蒸着法によってフッ化リチウムを0.5nmの厚さで成膜し、続いてアルミニウムを100nmの厚さで成膜した点以外は、実施例1と同様にして、発光素子k−5を作製した。発光素子k−5において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.68eVであった。
発光素子k−5に13Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−5について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は9.5×10−2cd/Aであった。
<実施例6>(発光素子k−6の作製)
共役化合物P−1(2.0mg)に代えて共役化合物P−4(2.0mg)を用いた点以外は、実施例5と同様にして、発光素子k−6を作製した。該発光素子k−6において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.54eVであった。
発光素子k−6に13Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−6について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は1.1×10−2cd/Aであった。
<実施例7>(発光素子k−7の作製)
共役化合物P−1(2.0mg)に代えて共役化合物P−5(2.0mg)を用いた点以外は、実施例5と同様にして、発光素子k−7を作製した。該発光素子k−7において、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.40eVであった。
発光素子k−6に13Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−7について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は1.4×10−3cd/Aであった。
<比較例3>(発光素子k’−3の作製)
共役化合物P−1を用いなかった以外は、実施例5と同様にして、発光素子k’−3を作製した。
該発光素子k’−3に13Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k’−3について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は9.2×10−4cd/Aであった。
表2に、実施例5〜7、比較例3で得られた発光素子の発光効率を示す。表2中、ΔIpは、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差(eV)を表す。
Figure 2013135148
<実施例8>(発光素子k−8の作製)
陽極として厚さ45nmのITO膜が設けられたガラス基板上に、正孔注入材料の溶液であるポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸(H.C.Starck製、PEDOT:PSS溶液、商品名:CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083)0.5mLを塗布し、スピンコート法により厚さ70nmの塗膜を形成した。こうして得られたガラス基板を、空気中、200℃で10分間加熱した後、室温まで自然に冷却させることにより、正孔注入層が形成されたガラス基板Aを得た。
次に、発光材料P−3(5mg)とキシレン(1mL)とを混合して得た発光層用組成物(発光材料P−3濃度;0.6重量%)を、前記ガラス基板A上に塗布し、スピンコート法により厚さ20nmの塗膜を形成した。このガラス基板を、窒素雰囲気下、180℃で60分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然に冷却させることにより、発光層が形成されたガラス基板Bを得た。
発光材料P−6(12mg)、架橋剤(トリペンタエリスリトールオクタアクリレート(広栄化学社製、商品名TPEA))(3mg)及びキシレン(1mL)を混合して得た発光層用組成物(発光材料P−6濃度;1.4重量%)を、前記ガラス基板B上に塗布し、スピンコート法により厚さ105nmの塗膜を形成した。このガラス基板を、窒素雰囲気下、200℃で20分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然に冷却させることにより、発光層2が形成されたガラス基板Cを得た。
前記ガラス基板C上に、共役化合物P−1(2.0mg)とクロロホルム(1mL)とを混合して得た正孔防止層用組成物(共役化合物P−1濃度;0.13重量%)を塗布し、スピンコート法により厚さ10nmの塗膜を形成した。このガラス基板を、窒素雰囲気下、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させることにより、正孔防止層が形成されたガラス基板Dを得た。
前記ガラス基板Dを小型真空蒸着装置(アルバック機工(株)社製、商品名:VPC−260F)内に挿入し、真空蒸着法によってフッ化リチウムを0.5nmの厚さで成膜し、続いてアルミニウムを100nmの厚さで成膜することにより、陰極が形成されたガラス基板Eを得た。
前記ガラス基板Eを、窒素雰囲気下で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂(Robnor resins社製、商品名:PX681C/NC)を用いて封止することにより、発光素子k−8を作製した。発光素子k−8において、隣接する発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.66eVであった。
発光素子k−8に10Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3及びP−6に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−8について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は1.2cd/Aであった。
<実施例9>(発光素子k−9の作製)
共役化合物P−1(2.0mg)に代えて共役化合物P−4(2.0mg)を用いた点以外は、実施例8と同様にして、発光素子k−9を作製した。該発光素子k−9において、隣接する発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.52eVであった。
発光素子k−9に10Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3及びP−6に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−9について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は5.6×10−1cd/Aであった。
<実施例10>(発光素子k−10の作製)
共役化合物P−1(2.0mg)に代えて共役化合物P−5(2.0mg)を用いた点以外は、実施例8と同様にして、発光素子k−10を作製した。該発光素子k−10において、隣接する発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差は、0.38eVであった。
発光素子k−10に10Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3及びP−6に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k−10について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は6.1×10−1cd/Aであった。
<比較例4>(発光素子k’−4の作製)
共役化合物P−1(2.0mg)とクロロホルム(1mL)とを混合して得た正孔防止層用組成物(共役化合物P−1濃度;0.13重量%)を塗布する代わりに、クロロホルム(共役化合物P−1濃度;0.00重量%)(1mL)を塗布した以外は、実施例8と同様にして、発光素子k’−4を作製した。
該発光素子k’−4に10Vの順方向電圧を印加したところ、発光材料P−3及びP−6に由来するEL発光(ピーク波長460nm)を呈した。該発光素子k’−4について、ガラス基板の厚み方向について陽極側からの出射光の発光輝度を測定した結果から発光効率を求めたところ、発光効率は3.4×10−1cd/Aであった。
<参考例>
発光素子の作製とは別に、実施例8〜10、比較例4で用いた、架橋剤を用いて硬化させた発光層の、クロロホルム塗布後の残膜率の測定を行った。発光材料P−6(12mg)、架橋剤(トリペンタエリスリトールオクタアクリレート(広栄化学社製、商品名TPEA))(3mg)及びキシレン(1mL)を混合して得た発光層用組成物(発光材料P−6濃度;1.4重量%)を、ガラス基板上に塗布し、スピンコート法により厚さ105nmの塗膜を形成した。このガラス基板を、窒素雰囲気下、200℃で20分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然に冷却させることにより、発光層2が形成されたガラス基板を得た。次に、発光層2を形成したガラス基板上に、クロロホルムを塗布し、このガラス基板を、窒素雰囲気下、130℃で10分間加熱し、溶媒を蒸発させた。得られたガラス基板を室温まで自然冷却させた後、発光層2の膜厚を測定した結果、40nmであった。そのため、実施例8〜10、比較例4で用いた発光層2については、成膜時の膜厚は105nmであるが、正孔防止層用組成物の塗布(実施例8〜10)若しくはクロロホルムの塗布(比較例4)の後、膜厚は40nmへと変化している。
表3に、実施例8〜10、比較例4で得られた発光素子の発光効率を示す。表中ΔIpは、発光層と正孔防止層のイオン化ポテンシャルの差(eV)を表す。
Figure 2013135148
これらの結果から、本発明の発光素子では、発光効率の改善が認められる。

Claims (6)

  1. 陰極と、陽極と、前記陰極及び前記陽極の間に配置される発光層と、前記陰極及び前記発光層の間に前記発光層に接合して配置される有機層とを備え、
    前記有機層が、下記式(1)で表される構造単位を3個以上有する共役化合物を含み、該共役化合物のイオン化ポテンシャルが、前記発光層を形成する化合物のイオン化ポテンシャルより0.2eV以上大きい、発光素子。
    Figure 2013135148
    (式中、Arは、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。mは1以上の整数を表す。)
  2. 前記Arが、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよいベンゼン、m個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよいナフタレン又はm個のフッ素原子を置換基として有し、かつ、フッ素原子以外の置換基を有していてもよいフルオレンから、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた2価の芳香族基である、請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記共役化合物が、更に、下記式(2)で表される構造単位を有する、請求項1又は2のいずれか一項に記載の発光素子。
    Figure 2013135148
    (式中、Arは、フッ素原子以外の置換基を有していてもよい2価の芳香族基を表す。)
  4. 前記Arが、下記式(3)又は下記式(4)で表される芳香族化合物から、芳香環上の2個の水素原子を取り除いた2価の芳香族基である、請求項3に記載の発光素子。
    Figure 2013135148
    (式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい1価のヒドロカルビル基を表す。Rが複数個存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
  5. 前記共役化合物のポリスチレン換算の数平均分子量が、2000以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光素子。
  6. 前記有機層が、正孔防止層である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発光素子。
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