JP2013133745A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の出力の変動や失火の発生を抑制しつつ、高い熱効率で内燃機関の運転を行うことができるように吸気カムの切替えを行なうことができる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】低負荷運転時用の吸気カム13Lと高負荷運転時用の吸気カム13Hとを備え、内燃機関1の負荷に応じて、吸気バルブ8の実際の開閉駆動に用いる吸気カムを切替えることと、各吸気カムの位相角を変化させることとを行なう。吸気カム13Lによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角をA1とA2との間で内燃機関1の負荷の増加に伴い遅角方向に変化させ、吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角を、A1とA2との間で内燃機関1の負荷の増加に伴い進角方向に変化させる。吸気カム13L,13Hの位相角を、内燃機関1を高い熱効率で行なうように設定した所定の位相角に制御した状態で、吸気カムの切り替えを行なう。
【選択図】図3

Description

本発明は、吸気バルブの開弁期間やリフト量を変更可能とした内燃機関の制御装置に関する。
例えば特許文献1に見られる如く、吸気バルブを開閉駆動するために用いる吸気カムとして、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量を規定するプロフィールが互いに異なる複数の吸気カムを備えると共に、クランク軸(内燃機関の出力軸)の位相角に対する吸気カムの位相角を所定の角度範囲内で変化させることができるようにしたものが従来より知られている。
この種の内燃機関では、吸気バルブを実際に開閉駆動するために用いる吸気カムを、VTEC(登録商標)等と言われるバルブリフト可変機構によって選択的に切り替えることで、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量を可変的に変更する。
さらに、VTC等と言われるバルブ位相可変機構によって、クランク軸(内燃機関の出力軸)の位相角に対する吸気カムの位相角を連続的に変化させることで、各吸気カムによる吸気バルブの開弁期間の位相角(開弁開始の位相角と開弁終了の位相角との組)を変化させる。
例えば、特許文献1のものでは、3つの吸気カムを備え、内燃機関の負荷に応じて、これらの吸気カムの切り替えと、各吸気カムの位相角の変更とを行なうようにしている。この場合、内燃機関の負荷が高いほど、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量が大きくなるように、吸気カムの切り替えが行なわれる。また、各吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、内燃機関の負荷が増加するに伴い、吸気バルブの開弁開始の位相角が、上死点(TDC)の位相角よりも進角側の位相角から上死点の位相角に近づいていくように、各吸気カムの位相角の変更が行なわれる。
特開2005−180306号公報
特許文献1に見られるものでは、吸気バルブを開閉駆動する吸気カムの切り替え時に、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量の小さい低負荷側の吸気カムの位相角は、それにより規定される吸気バルブの開弁開始の位相角が上死点(TDC)の位相角にほぼ一致するような位相角に制御されると共に、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量の大きい高負荷側の吸気カムの位相角は、それにより規定される吸気バルブの開弁開始の位相角が上死点(TDC)の位相角よりも大きく進角するような位相角に制御される。
この場合、吸気カムの切り替え時に伴う内燃機関の出力の段差を少なくすることは可能であるものの、吸気カムの切り替えを行なう負荷の近辺で、高負荷側の吸気カムにより吸気バルブを開閉駆動する状況では、排気行程で吸気バルブが比較的大きな開度で開弁することとなるため、該排気行程の次の吸気行程で燃焼室に空気と共に充填される排ガスの量が急変しやすい。ひいては、失火等が生じて、内燃機関の出力性能が低下する恐れがある。
そこで、本願出願人は、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量の大きい高負荷側の吸気カムと、吸気バルブの開弁期間の角度幅及びリフト量の小さい低負荷側の吸気カムとを備えたシステムで、次のように、各吸気カムの位相角の変化と吸気カムの切替えとを行なうようにしたシステムを先に特願2011−32408にて提案した。
このシステムでは、低負荷側の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、内燃機関の負荷の増加に伴い、吸気バルブの開弁終了の位相角が、下死点よりも進角側の位相角から下死点側の位相角に向って遅角していくように該吸気カムの位相角を変化させると共に、高負荷側の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、内燃機関の負荷の増加に伴い、吸気バルブの開弁終了の位相角が、下死点よりも遅角側の位相角から下死点側の位相角に向って進角していくように該吸気カムの位相角を変化させる。
そして、このシステムでは、低負荷側の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角と、高負荷側の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角とが、上死点と下死点との間の位相角となる共に、燃焼室の実効圧縮比が互いにほぼ同じになる状態に両吸気カムの位相角を制御した状態で、両吸気カムの一方から他方への切替えを行なうようにしている。
このようなシステムによれば、内燃機関の出力の変動や失火の発生を抑制しつつ、吸気カムの切替えを行なうことができる。
ところで、内燃機関の運転システムにおいては、一般に、燃焼消費の低減化のために、できるだけ高い熱効率で内燃機関の運転を行なうことができるようにすることが望まれる。このことは、上記のように高負荷側の吸気カムと低負荷側の吸気カムとを備えるシステムについても同様である。
そして、本願発明者は、各種実験、検討に基づいて、かかるシステムにおいては、できるだけ高い熱効率で内燃機関の運転を行なう上では、高負荷側の吸気カムと低負荷側の吸気カムとの切替えを行なう時の内燃機関の負荷状態を適切に設定する望ましいことを知見した。
本願発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、内燃機関の出力の変動や失火の発生を抑制しつつ、高い熱効率で内燃機関の運転を行うことができるように吸気カムの切替えを行なうことができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の制御装置は、上記の目的を達成するために、吸気バルブを開閉駆動するために選択的に用いられる第1の吸気カム及び第2の吸気カムと、前記吸気バルブを実際に開閉駆動させる吸気カムである実駆動用吸気カムを第1の吸気カム及び第2の吸気カムのいずれか一方に選択的に切替えるバルブリフト可変機構と、クランク軸の位相角に対する第1及び第2の吸気カムの位相角を変化させるバルブ位相可変機構とを有し、第1及び第2の吸気カムのプロフィールが、第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合の該吸気バルブのリフト量及び開弁期間の角度幅のそれぞれが、第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合よりも大きくなるように設定された吸気バルブ駆動機構が備えられた内燃機関の制御装置であって、
前記第1及び第2の吸気カムのプロフィールは、第2の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅が上死点と下死点との間の角度幅よりも小さい角度幅になり、且つ、第1の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅が、第2の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅よりも、前記上死点と下死点との間の角度幅により近い角度幅になるように設定されていると共に、さらに、第1の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角が上死点よりも遅角側で且つ下死点よりも進角側となる所定の第1遅角側開弁開始位相角に一致し、且つ、第2の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角が上死点よりも遅角側で且つ下死点よりも進角側となる所定の第2遅角側開弁開始位相角に一致するように該第1の吸気カムの位相角と第2の吸気カムの位相角とを制御した状態である特定状態において、第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合と、第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合とで、それぞれの吸気カムによる吸気バルブの開弁期間において前記内燃機関の燃焼室に充填される空気の実効圧縮比が互いに一致するように前記第1及び第2の吸気カムのプロフィールが設定されており、
前記第1及び第2の吸気カムのうちの第1の吸気カムを内燃機関の高負荷運転用の吸気カム、第2の吸気カムを内燃機関の低負荷運転用の吸気カムとして、前記実駆動用吸気カムを該内燃機関の負荷に応じて切替えるように前記バルブリフト可変機構を制御する吸気カム切替制御手段と、
前記第1及び第2の吸気カムのそれぞれによる吸気バルブの開閉駆動時において、前記実駆動用吸気カムの位相角を内燃機関の負荷に応じて変化させるように前記バルブ位相可変機構を制御するカム位相制御手段とを備え、
前記カム位相制御手段は、第1の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、該吸気バルブの開弁開始の位相角が、前記第1遅角側開弁開始位相角よりも進角側の所定の第1進角側開弁開始位相角と該第1遅角側開弁開始位相角との間の範囲内で、内燃機関の負荷の増加に伴い、進角方向に変化していくように前記バルブリフト可変機構の制御を行うと共に、第2の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、該吸気バルブの開弁開始の位相角が、前記第2遅角側開弁開始位相角よりも進角側の所定の第2進角側開弁開始位相角と該第2遅角側開弁開始位相角との間の範囲内で、内燃機関の負荷の増加に伴い、遅角方向に変化していくように前記バルブ位相可変機構の制御を行い、
前記吸気カム切替制御手段は、前記特定状態で前記実駆動用吸気カムの切り替えを行ない、
前記第1遅角側開弁開始位相角及び第1進角側開弁開始位相角は、前記第1の吸気カムにより吸気バルブを開閉駆動した場合に該吸気バルブの開弁期間で前記内燃機関の燃焼室に充填される空気の実効圧縮比が、該第1遅角側開弁開始位相角と第1進角側開弁開始位相角との間の範囲内での該吸気バルブの開弁開始の位相角の進角方向への変化に伴い、増加していくようにあらかじめ設定され、
前記第2遅角側開弁開始位相角及び第2進角側開弁開始位相角は、前記第2の吸気カムにより吸気バルブを開閉駆動した場合に該吸気バルブの開弁期間で前記内燃機関の燃焼室に充填される空気の実効圧縮比が、該第2遅角側開弁開始位相角と第2進角側開弁開始位相角との間の範囲内での該吸気バルブの開弁開始の位相角の遅角方向への変化に伴い、増加していくようにあらかじめ設定され、
前記第1の吸気カム又は第2吸気カムによる前記吸気バルブの開閉駆動によって実現される前記内燃機関の燃焼室の任意の値の実効圧縮比で該内燃機関の運転を行なった場合に得られる該内燃機関の熱効率ηを、該実効圧縮比に応じて該燃焼室に充填される空気量と同じ量の空気を該燃焼室に充填しつつ、オットーサイクルでの該内燃機関の運転を行なった場合に得られる該内燃機関の熱効率η0により除算してなる比率(=η/η0)を該内燃機関の相対熱効率とし、前記第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動しつつ、該吸気バルブの開弁終了の位相角が前記下死点よりも遅角側の位相角で変化するように該第1の吸気カムの位相角を変化させた場合に実現される実効圧縮比の変化に対する前記内燃機関の相対熱効率の変化の特性である第1相対熱効率特性において該相対熱効率が最大値となる実効圧縮比の値を第1実効圧縮比、前記第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動しつつ、該吸気バルブの開弁終了の位相角が前記下死点よりも進角側の位相角で変化するように該第1の吸気カムの位相角を変化させた場合に実現される実効圧縮比の変化に対する前記内燃機関の相対熱効率の変化の特性である第2相対熱効率特性において該相対熱効率が最大値となる実効圧縮比の値を第2実効圧縮比としたとき、前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角とは、前記特定状態において前記第1の吸気カム及び第2の吸気カムのいずれか一方の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合における前記実効圧縮比であるカム切替時実効圧縮比が、前記第1実効圧縮比と前記第2実効圧縮比との間の大きさの圧縮比となるように設定されていることを特徴とする。
なお、本発明において、第1の吸気カム又は第2の吸気カムの位相角、あるいは、吸気バルブの開弁開始もしくは開弁終了の位相角というのは、内燃機関のクランク軸(出力軸)の位相角(回転角度位置)に対する位相角、すなわち、クランク軸のある回転角度位置(例えばピストンの上死点又は下死点に相当する回転角度位置)を基準として表現される相対的な角度を意味する。そして、吸気バルブの開弁期間の角度幅というのは、開弁開始の位相角と開弁終了の位相角との差を意味する。
また、内燃機関の燃焼室の実効圧縮比というのは、吸気バルブの開弁終了時における内燃機関の燃焼室の全体の容積(気筒毎の容積)の、上死点での該燃焼室の全体の容積に対する比率を意味する。
本発明によれば、内燃機関の低負荷運転用の吸気カムとしての第2の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、該第2の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角を、前記第2遅角側開弁開始位相角と第2進角側開弁開始位相角との間の範囲内で、内燃機関の負荷の増加に伴い、遅角方向に変化させていくように前記バルブ位相可変機構が制御される。
この場合、前記第2の吸気カムによる吸気バルブの開弁期間の角度幅は、上死点と下死点との間の角度幅(180deg)よりも小さいので、該吸気バルブの開弁終了の位相角が、下死点よりも進角側の位相角となるような状態を実現できる。このため、第2の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時に、実効圧縮比が膨張比よりも小さくなるアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)での内燃機関の運転を実現できる。
そして、前記第2遅角側開弁開始位相角及び第2進角側開弁開始位相角を適切に設定しておくことによって、第2の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角を第2進角側開弁開始位相角から第2遅角側開弁開始位相角に向って遅角方向に変化させていく(ひいては、吸気バルブの開弁期間の全体を遅角方向に変化させていく)ことに伴い、該吸気バルブの開弁終了の位相角を下死点の位相角に向って進角側から近づけていくようにしつつ、内燃機関の燃焼室の実効圧縮比を増加させていくことができる。ひいては、内燃機関の負荷の増加に伴い、吸気バルブの開弁期間で内燃機関の燃焼室に充填される空気量を増加させていくようにすることができる。
また、内燃機関の高負荷運転用の吸気カムとしての第1の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、該第1の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角を前記第1遅角側開弁開始位相角と第1進角側開弁開始位相角との間の範囲内で、内燃機関の負荷の増加に伴い、進角方向に変位させていくように前記バルブ位相可変機構が制御される。
この場合、前記第1の吸気カムによる吸気バルブの開弁期間の角度幅は、第2の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅よりも大きいので、該吸気バルブの開弁終了の位相角が、下死点よりも遅角側の位相角となるような状態を実現できる。このため、第1の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時にも、実効圧縮比が膨張比よりも小さくなるアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)での内燃機関の運転を実現できる。
そして、前記第1遅角側開弁開始位相角及び第1進角側開弁開始位相角を適切に設定しておくことによって、第1の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角を第1遅角側開弁開始位相角から第1進角側開弁開始位相角に向って進角方向に変化させていく(ひいては、吸気バルブの開弁期間の全体を進角方向に変化させていく)ことに伴い、該吸気バルブの開弁終了の位相角を下死点の位相角に向って遅角側から近づけていくようにしつつ、内燃機関の燃焼室の実効圧縮比を増加させていくことができる。ひいては、内燃機関の負荷の増加に伴い、吸気バルブの開弁期間で内燃機関の燃焼室に充填される空気量を増加させていくようにすることができる。
さらに、本発明においては、前記吸気カム切替制御手段は、前記特定状態で前記実駆動用吸気カムの切り替えを行なう。この特定状態での第2の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角は、前記第2進角側開弁開始位相角と前記第2遅角側開弁開始位相角との間の範囲で最も遅角側の位相角(すなわち、第2遅角側開弁開始位相角)である。また、前記特定状態での第1の吸気カムによる吸気カムの開弁期間は、前記第1進角側開弁開始位相角と前記第1遅角側開弁開始位相角との間の範囲で最も遅角側の位相角(すなわち、第1遅角側開弁開始位相角)である。
そして、該特定状態では、第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合と、第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合とで、内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が互いに一致する。
このため、内燃機関の負荷の増加中、又は負荷の減少中に、前記特定状態で、各吸気カムの位相角の急激な変化を生じることなく、実駆動用吸気カムの切り替えを迅速に行なうことができると共に、この切り替えの前後で、内燃機関の燃焼室に充填される空気量が不連続的に変化するようなことを防止できることとなる。ひいては、内燃機関の出力トルクの変動が抑制される。
また、実駆動用吸気カムの切り替え時における吸気バルブの開弁開始の位相角、すなわち、前記第1遅角側開弁開始位相角又は第2遅角側開弁開始位相角は、上死点と下死点との間の位相角であるので、実駆動用吸気カムの切り替えの前後で、吸気バルブの開弁期間で燃焼室に空気と共に充填される排ガス(EGR装置により還流する排ガス)の量が急変するようなことが回避される。ひいては、失火の発生が防止される。
さらに、本発明においては、前記第1の吸気カム又は第2吸気カムによる前記吸気バルブの開閉駆動によって実現される前記内燃機関の燃焼室の任意の値の実効圧縮比で該内燃機関の運転を行なった場合に得られる該内燃機関の熱効率ηを、該実効圧縮比に応じて該燃焼室に充填される空気量と同じ量の空気を該燃焼室に充填しつつ、オットーサイクルでの該内燃機関の運転を行なった場合に得られる該内燃機関の熱効率η0により除算してなる比率(=η/η0)を該内燃機関の相対熱効率とし、前記第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動しつつ、該吸気バルブの開弁終了の位相角が前記下死点よりも遅角側の位相角で変化するように該第1の吸気カムの位相角を変化させた場合(以降、吸気バルブの遅閉じの場合ということがある)に実現される実効圧縮比の変化に対する前記内燃機関の相対熱効率の変化の特性である第1相対熱効率特性において該相対熱効率が最大値となる実効圧縮比の値を第1実効圧縮比、前記第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動しつつ、該吸気バルブの開弁終了の位相角が前記下死点よりも進角側の位相角で変化するように該第1の吸気カムの位相角を変化させた場合(以降、吸気バルブの早閉じの場合ということがある)に実現される実効圧縮比の変化に対する前記内燃機関の相対熱効率の変化の特性である第2相対熱効率特性において該相対熱効率が最大値となる実効圧縮比の値を第2実効圧縮比としたとき、前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角とは、前記特定状態において前記第1の吸気カム及び第2の吸気カムのいずれか一方の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合における前記実効圧縮比であるカム切替時実効圧縮比が、前記第1実効圧縮比と前記第2実効圧縮比との間の大きさの圧縮比となるように設定されている。
なお、上記オットーサイクルでの内燃機関の運転は、内燃機関の燃焼室に充填される空気の圧縮を、膨張比と一致する圧縮比(上死点での燃焼室の全体の容積に対する下死点での該燃焼室の容積の比率)で行なう運転である。
ここで、本発明では、内燃機関の負荷の増加に伴い、該内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が増加するように前記両吸気カムの位相角の変化と実駆動用吸気カムの切替えが行なわれる。そして、本願発明者の各種実験、検討によれば、内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が比較的小さいものとなる内燃機関の運転時(低負荷運転時)には、前記吸気バルブの遅閉じの場合よりも、該吸気バルブの早閉じの場合の方が内燃機関の上記相対熱効率が相対的に高いものとなる傾向がある。
また、内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が比較的大きいものとなる内燃機関の運転時(高負荷運転時)には、上記と逆に、吸気バルブの早閉じの場合よりも、該吸気バルブの遅閉じの場合の方が内燃機関の上記相対熱効率が相対的に高いものとなる傾向がある。
このため、前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角とを、前記カム切替時実効圧縮比が、前記第1実効圧縮比と前記第2実効圧縮比との間の中間的な適切な大きさの圧縮比となるように設定しておくことによって、内燃機関の相対熱効率が、吸気バルブの遅閉じの場合よりも、該吸気バルブの早閉じの場合の方が高くなる負荷領域では、前記実駆動用吸気カムとして主に前記第1の吸気カムを使用して、吸気バルブの開閉をできるだけ遅閉じの形態で行なうようにすることが可能となる。
また、内燃機関の相対熱効率が、吸気バルブの早閉じの場合よりも、該吸気バルブの遅閉じの場合の方が高くなる負荷領域では、上記と逆に、前記実駆動用吸気カムとして主に前記第2の吸気カムを使用して、吸気バルブの開閉をできるだけ早閉じの形態で行なうようにすることが可能となる。
このため、内燃機関の種々様々の負荷状態において、該内燃機関の高い熱効率が得られるように該内燃機関の運転を行なうことができる。
従って、本発明によれば、内燃機関の出力の変動や失火の発生を抑制しつつ、高い熱効率で内燃機関の運転を行うことができるように吸気カムの切替えを行なうことができる。また、内燃機関の負荷の増減に合せて、燃焼室の実効圧縮比を増減させることができるので、内燃機関の負荷の変化に対する内燃機関のスロットル弁の開度の変化量を少なくし、該スロットル弁の開度を内燃機関の幅広い負荷範囲において、大きめの開度に維持することが可能となる。このため、内燃機関の熱効率をより一層高め、燃料消費を抑制することができる。
なお、本発明において、第1遅角側開弁開始位相角と第2遅角側開弁開始位相角とは、互いに異なる位相角でよいことはもちろんであるが、互いに同じ位相角であってもよい。同様に、第1進角側開弁開始位相角と第2進角側開弁開始位相角とは、互いに異なる位相角、互いに同じ位相角のいずれであってもよい。
また、本発明では、前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角とは、前記第1相対熱効率特性において前記カム切替時実効圧縮比に対応する相対熱効率の値と、前記第2相対熱効率特性において前記カム切替時実効圧縮比に対応する相対熱効率の値とが互いに一致するように設定されていることが好ましい。
なお、この場合、前記第1相対熱効率特性において前記カム切替時実効圧縮比に対応する相対熱効率の値と、前記第2相対熱効率特性において前記カム切替時実効圧縮比に対応する相対熱効率の値とが互いに一致するというのは、両者の相対熱効率の値が厳密に同一であることだけを意味するものではなく、両者の相対熱効率の値の差の大きさが十分に微小なものとなる場合も含むものである。
このように前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角を設定したとき、カム切替時実効圧縮比の近辺の一部の実効圧縮比の領域で、吸気バルブの早閉じの場合の方が遅閉じの場合よりも内燃機関の相対熱効率が高いものとなるのに、前記実駆動用吸気カムとして前記第1の吸気カムを使用して、吸気バルブの開閉が遅閉じの形態で行なわれたり、あるいは、吸気バルブの遅閉じの場合の方が早閉じの場合よりも内燃機関の相対熱効率が高いものとなるのに、前記実駆動用吸気カムとして前記第2の吸気カムを使用して、吸気バルブの開閉が早閉じの形態で行なれたりすることを防止することができる。
このため、内燃機関の幅広い負荷範囲で、該内燃機関を高い熱効率で運転させるようにすることができる。
本発明の一実施形態における内燃機関およびこれに付帯するシステムの構成を示す図。 実施形態の内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブに関する構成を模式的に示す図。 実施形態の内燃機関の吸気バルブの駆動特性を示すグラフ。 図3の吸気バルブの駆動特性によって実現される現象を示す図。 図5(a),(b)は吸気バルブの開弁終了の位相角と実施形態の内燃機関の各気筒の燃焼室に充填される空気量との関係を例示するグラフ。 実施形態の内燃機関の各気筒の燃焼室の実効圧縮比と内燃機関の相対熱効率との関係を例示するグラフ。 実施形態の内燃機関の排気バルブの駆動特性を示すグラフ。 図1に示す電子制御装置の処理を示すフローチャート。 図8のSTEP1の処理で使用するマップを示す図。 図8のSTPE2の処理で使用するマップを示す図。 図8のSTPE2の処理で使用するマップを示す図。 図8のSTPE2の処理で使用するマップを示す図。 図8のSTEP4の処理のうち、実効圧縮比に関する制御処理を示すフローチャート。 図13のSTEP12,15の処理で使用するマップを示す図。 図13のSTPE12,15の処理で使用するマップを示す図。
本発明の一実施形態を以下に説明する。図1及び図2を参照して、本実施形態のシステムは、車両に走行用の動力源として搭載された内燃機関1と、この内燃機関1の運転制御を行う電子制御装置50とを備えている。
内燃機関1は、本実施形態では、例えば4気筒の内燃機関である。但し、内燃機関1の気筒数は、4個である必要はない。例えば内燃機関1は、単気筒もしくは6気筒の内燃機関であってもよい。
この内燃機関1の吸気系は、各気筒2の燃焼室3で燃焼させる燃料と混合する空気(新気)を、全気筒2に対して共通の吸気通路4と各気筒2の燃焼室3の吸気ポートに連通するインテークマニホールド5とを順に経由して各気筒2の燃焼室3に供給するように構成されている。
この場合、吸気通路4には、これに外部から流入する空気中(大気中)の不要物を除去するエアクリーナ6と、空気の流量を調整するためのスロットル弁7とが上流側から順に介装されている。スロットル弁7は、電動式のスロットル弁であり、その開度が図示しない電動モータを介して制御される。
そして、各気筒2の燃焼室3の吸気ポートを開閉するための吸気バルブ8と、該吸気バルブ8を開閉駆動する吸気バルブ駆動機構9とが内燃機関1に付設されている。
本実施形態では、内燃機関1の各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比を可変的に制御可能なアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)での内燃機関1の運転を実現するするために、吸気バルブ駆動機構9は、吸気バルブ8の開弁期間の位相角を変化させるための公知のバルブ位相可変機構10(所謂、VTCと言われる機構)と、吸気バルブ8のリフト量(最大開度)と開弁期間の角度幅とを変化させるための公知のバルブリフト可変機構11(所謂、VTEC(登録商標)と言われる機構)とを有する構成とされている。
なお、吸気バルブ8の開弁期間の角度幅というのは、吸気バルブ8の開弁開始から開弁終了までの開弁期間を、内燃機関1の出力軸であるクランク軸12の回転角度幅で表したもの、すなわち、吸気バルブ8の開弁開始時のクランク軸12の位相角(回転角度位置)と吸気バルブ8の開弁終了時のクランク軸12の位相角との間の角度差である。また、吸気バルブ8の開弁期間の位相角というのは、該開弁期間の全体がクランク軸12のどの位相角の範囲に存在するかを代表的に示す位相角を意味し、例えば吸気バルブ8の開弁開始の位相角(開弁開始時のクランク軸12の位相角)又は吸気バルブ8の開弁終了の位相角(開弁終了時のクランク軸12の位相角)により表される。
詳細な構成の図示は省略するが、上記吸気バルブ駆動機構9の概略的な構成は次の通りである。すなわち、図2を参照して、吸気バルブ駆動機構9は、上記バルブ位相可変機構10及びバルブリフト可変機構11を備えると共に、各気筒2毎に、2つの吸気カム13L,13Hを備えており、これらの吸気カム13L,13Hは、吸気側カムシャフト14と一体に回転するようにして該吸気側カムシャフト14に軸支されている。
上記吸気カム13L,13Hのプロフィール(形状パターン)は、吸気バルブ8のリフト量と開弁期間の角度幅との組が互いに異なるものとなるように設定されている。
これらの吸気カム13L,13Hのプロフィールは、図3に実線a,dで示す如く、吸気カム13Hによる吸気バルブ8のリフト量及び開弁期間の角度幅のそれぞれが、吸気カム13Lよる吸気バルブ8のリフト量及び開弁期間の角度幅よりも大きくなるように設定されている(以降、吸気カム13Hを大リフト吸気カム13H、吸気カム13Lを小リフト吸気カム13Lということがある)。なお、図3の横軸のクランク角度は、クランク軸12の位相角を意味する。
この場合、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開弁期間の角度幅は、小リフト吸気カム13Lよる吸気バルブ8の開弁期間の角度幅よりも、各気筒2のピストン15の上死点の位相角と下死点の位相角との間の角度差(=180deg)により近い角度幅に設定されている。より詳しくは、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開弁期間の角度幅は、例えば、上死点の位相角と下死点の位相角との間の角度差(=180deg)よりも若干大きい角度幅(例えば190deg程度)に設定されている。
また、小リフト吸気カム13Lによる吸気バルブ8の開弁期間の角度幅は、上死点の位相角と下死点の位相角との間の角度差(=180deg)よりも小さく、例えば、100deg程度に設定されている。
そして、吸気バルブ駆動機構9は、吸気バルブ8をロッカアーム16を介して実際に開閉駆動する吸気カム(以降、実駆動用吸気カムという)を、油圧式のバルブリフト可変機構11によって、小リフト吸気カム13Lと、大リフト吸気カム13Hとのいずれか一方に選択的に切替えるように構成されている。この場合、小リフト吸気カム13Lは、内燃機関1の低負荷運転用の吸気カムとして用いられ、大リフト吸気カム13Hは、内燃機関1の高負荷運転用の吸気カムとして用いられる。
上記バルブリフト可変機構11は、公知の構造のものであり、例えば特開2005−180306号公報の図2に示されるものと同様の構成のものが採用される。但し、バルブリフト可変機構11は、実駆動用吸気カムを、小リフト吸気カム13Lと大リフト吸気カム13Hとのいずれか一方に選択的に切替えることができる機構であれば他の構成のものを採用してもよい。また、バルブリフト可変機構11は、油圧式のものに限らず、電動機式のものであってもよい。
また、吸気カム13L,13Hを軸支する吸気側カムシャフト14は、内燃機関1のクランク軸12に連動して回転する(クランク軸12の2回転毎に1回転する)ように該クランク軸12にタイミングベルト(図示省略)を介して接続された油室形成部材に(図示省略)に軸支されており、その回転方向での該油室形成部材に対する吸気側カムシャフト14の位相角(角度位置)を所定の角度範囲内で変化させることが可能となっている。
これにより、クランク軸12の位相角に対する吸気側カムシャフト14の位相角、ひいては小リフト吸気カム13Lと大リフト吸気カム13Hの位相角を所定の角度範囲内で連続的に変化させることが可能となっている。
そして、吸気バルブ駆動機構9は、クランク軸12の位相角に対する吸気側カムシャフト14の位相角(ひいてはクランク軸12の位相角に対する小リフト吸気カム13L及び大リフト吸気カム13Hの位相角)を、油圧式のバルブ位相可変機構10によって変化させるように構成されている。この構成によって、図3に示す如く、小リフト吸気カム13L及び大リフト吸気カム13Hのそれぞれによる吸気バルブ8の開弁期間の位相角を所定の範囲で連続的に変化させることができるようになっている。
上記バルブ位相可変機構10は、公知の構造のものであり、例えば、特開2005−180306号公報の図3に示されるものと同様の構成のものが採用される。但し、バルブ位相可変機構10は、クランク軸12の位相角に対する小リフト吸気カム13L及び大リフト吸気カム13Hの位相角を所定の範囲で連続的に変化させることができる機構であれば他の構成のものを採用してもよい。また、バルブ位相可変機構10は、油圧式のものに限らず、電動式のものであってもよい。
ここで、吸気カム13L,13Hのプロフィールと、吸気カム13L,13Hの位相角の変化及び吸気カム13L,13Hの切り替えとによって実現される吸気バルブ8の開弁形態についてさらに詳細に説明する。
本実施形態では、吸気カム13L,13Hは、吸気側カムシャフト14と一体に回転するので、吸気カム13L,13Hの相互の位相関係、ひいては、それぞれの吸気カム13L,13Hによる吸気バルブ8の開弁期間の相互の位相関係は一定に保たれる。
なお、本実施形態の例では、吸気カム13L,13Hの相互の位相関係は、図3に示す如く、それぞれの吸気カム13L,13Hによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角が互いに同じ位相角となるように設定されているが、吸気カム13L,13Hによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角がある程度、異なっていてもよい。
そして、本実施形態では、吸気カム13L,13Hの位相角の変化(ひいては、各吸気カム13L,13Hによる吸気バルブ8の開弁期間の位相角の変化)は、図3の実線a,dで示す状態と、図3の破線b,cで示す状態との間の範囲で行なわれるようになっている。
図3の実線a,dで示す状態は、吸気カム13L,13Hの位相角が最も進角側に制御された状態である。この状態での吸気バルブ8の開弁開始の位相角は、本実施形態では、上死点の位相角との差の大きさが十分に微小なものとなる所定の位相角A1(上死点の位相角に一致もしくはほぼ一致する位相角)に設定されている。この位相角A1は、例えば上死点の位相角から10deg程度、進角側の角度である。
そして、吸気カム13L,13Hのそれぞれによる吸気バルブ8の開弁期間の角度幅と、図3の実線a,dで示す状態での吸気バルブ8の開弁開始の位相角A1とが前記した如く設定されているので、小リフト吸気カム13Lに関する図3の実線aの状態では、吸気バルブ8の開弁終了の位相角A3は、下死点の位相角よりも進角側の位相角(本実施形態では、下死点の位相角から90deg程度、進角側の位相角)に設定されることとなる。
また、大リフト吸気カム13Hに関する図3の実線dの状態では、吸気バルブ8の開弁終了の位相角は、下死点の位相角との差の大きさが十分に微小なものとなる位相角A5(下死点の位相角に一致もしくはほぼ一致する位相角)に設定されることとなる。その位相角A5は、本実施形態の例では、下死点と同じ位相角である。
また、図3の破線b,cで示す状態は、吸気カム13L,13Hの位相角が最も遅角側に制御された状態である。この状態での吸気バルブ8の開弁開始の位相角は、吸気カム13L,13Hにいずれについても、上死点の位相角よりも遅角側で、且つ、下死点の位相角よりも進角側の所定の位相角A2に設定される。
この位相角A2は、本実施形態では、図3の実線a,dで示す状態での吸気バルブ8の開弁開始の位相角A1から例えば60deg程度だけ遅角させた位相角(従って、上死点から50deg程度だけ遅角した位相角)に設定されている。
このため、大リフト吸気カム13Hに関する図3の破線cで示す状態では、吸気バルブ8の開弁終了の位相角A6は、下死点の位相角よりも遅角側の位相角とされ、小リフト吸気カム13Lに関する図3の破線bで示す状態では、吸気バルブ8の開弁終了の位相角A4は、下死点よりも進角側の位相角とされている。
本実施形態では、以上の如く、吸気カム13L,13Hのプロフィールや、吸気バルブ8の開弁開始の位相角A1,A2、開弁終了の位相角A3,A4,A5,A6が設定されている。このため、吸気バルブ8を開閉駆動する実駆動用吸気カム13L又は13Hをバルブリフト可変機構11により切り替え、あるいは、吸気カム13L,13Hの位相角をバルブ位相可変機構10によって変化させる(ひいては吸気バルブ8の開弁形態のパターンを上記の如く変化させる)ことによって、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比を可変的に設定することが可能となっている。
該実効圧縮比は、より詳しくは、各気筒2の吸気バルブ8の開弁終了時における燃焼室3(空気充填室)の全体の容積V_IVCの、ピストン15の上死点での燃焼室3(空気充填室)の全体の容積V_TDCに対する比率(=V_IVC/V_TDC)である。
例えば、小リフト吸気カム13Lにより吸気バルブ8を開閉駆動する場合に、小リフト吸気カム13Lの位相角を、図3の実線aの状態での位相角(最も進角側の位相角)から破線bの状態での位相角(最も遅角側の位相角)に向って連続的に変化させることによって、図4に示す如く、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比を連続的に増加させることができる。
より詳しくは、本実施形態では、小リフト吸気カム13Lによる吸気バルブ8の開閉駆動時には、小リフト吸気カム13Lの位相角を進角側から遅角側に変化させるに伴い、吸気バルブ8の開弁終了の位相角が、下死点の位相角よりも進角側の位相角から、該下死点の位相角に近づいていくようになっている。このため、小リフト吸気カム13Lによる吸気バルブ8の開閉駆動時に、実効圧縮比が膨張比よりも小さくなるアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)での内燃機関1の運転が実現される。同時に、小リフト吸気カム13Lの位相角を進角側から遅角側に変化させることに伴い、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比が増加していくこととなる。
また、大リフト吸気カム13Hにより吸気バルブ8を開閉駆動する場合に、大リフト吸気カム13Hの位相角を、図3の破線cの状態での位相角(最も遅角側の位相角)から実線dの状態での位相角(最も進角側の位相角)に向って連続的に変化させることによって、図4に示す如く、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比を連続的に増加させることができる。
より詳しくは、本実施形態では、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開閉駆動時には、大リフト吸気カム13Hの位相角を遅角側から進角側に変化させるに伴い、吸気バルブ8の開弁終了の位相角が、下死点の位相角よりも遅角側の位相角から、該下死点の位相角に近づいていくようになっている。このため、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開閉駆動時にも、実効圧縮比が膨張比よりも小さくなるアトキンソンサイクル(ミラーサイクル)での内燃機関1の運転が実現される。同時に、大リフト吸気カム13Hの位相角を遅角側から進角側に変化させることに伴い、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比が増加していくこととなる。
なお、本実施形態では、図3の実線dの状態では、吸気バルブ8の開弁開始及び開弁終了が、それぞれ上死点、下死点とほぼ同じ位相角で行なわれることとなることから、実効圧縮比が膨張比とほぼ同一となるオットーサイクルでの内燃機関1の運転が実現されることとなる。
補足すると、吸気バルブ8の開弁期間で各気筒2の燃焼室3に充填される空気量(より詳しくは、スロットル弁7の開度や大気温度等、吸気バルブ8の動作条件以外の条件を一定とした場合の空気量)は、上記実効圧縮比にほぼ比例し、該実効圧縮比が大きくなるほど、上記空気量も増加する。
このため、小リフト吸気カム13Lによる吸気バルブ8の開閉駆動時に、小リフト吸気カム13Lの位相角の変化によって、吸気バルブ8の開弁終了の位相角を変化させると、図5(a)のグラフe1で例示する如く、燃焼室3に充填される空気量が変化することとなる。
また、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開閉駆動時に、大リフト吸気カム13Hの位相角の変化によって、吸気バルブ8の開弁終了の位相角を変化させると、図5(b)のグラフe2で例示する如く、燃焼室3に充填される空気量が変化することとなる。
従って、実駆動用吸気カム(小リフト吸気カム13L又は大リフト吸気カム13H)の位相角を変化させることによる各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比の増加又は減少に伴い、該燃焼室3に充填される空気量も増加又は減少させることができることとなる。
なお、図5(a),(b)のいずれの場合でも、燃焼室3に充填される空気量は、燃焼室3に流入する空気流の慣性の影響によって、吸気バルブ8の開弁終了の位相角が、下死点の位相角(実効圧縮比が最大となる位相角)よりも若干遅角側の位相角であるときに、最大の空気量となる。また、その最大の空気量は、図5(a),(b)のいずれの場合でも、ほぼ同等となる。
また、本実施形態では、吸気カム13L,13Hのそれぞれの位相角を最も遅角側の位相角に制御した状態、すなわち、吸気カム13L,13Hによる吸気バルブ8の開弁期間が図3の破線b,cで示す開弁期間となる状態では、実駆動用吸気カムとして小リフト吸気カム13Lを使用した場合と、大リフト吸気カム13Hを使用した場合とのいずれの場合であっても、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比が、互いに同一もしくはほぼ同一となるように、吸気カム13L,13Hのプロフィールが設定されている。
このため、吸気カム13L,13Hの位相角を、図3の破線b,cの状態に対応する最も遅角側の位相角に制御した状態で、実駆動用吸気カムを吸気カム13L,13Hの一方から他方に切替えるようにすることで、実駆動用吸気カムの切り替え時に、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比や該燃焼室3に充填される空気量を一定もしくはほぼ一定に保つことができるようになっている。
さらに、本実施形態では、実駆動用吸気カムを吸気カム13L,13Hの一方から他方に切替える時の吸気カム13L,13Hの位相角(図3の破線b,cの状態に対応する位相角)は、内燃機関1をできるだけ高い熱効率で運転させることができるように設定されている。
この設定指針を図6を参照して以下に説明する。図6中のグラフf1は、実駆動用吸気カムとして大リフト吸気カム13Hを用いた場合に、該大リフト吸気カム13Hの位相角を変化させることによって実現される実効圧縮比に対する、内燃機関1の相対熱効率の変化の特性の実測データの例を示すグラフ、グラフf2は、実駆動用吸気カムとして小リフト吸気カム13Lを用いた場合に、該大リフト吸気カム13Lの位相角を変化させることによって実現される実効圧縮比に対する、内燃機関1の相対熱効率の変化の特性の実測データの例を示すグラフである。
この場合、グラフf1は、より詳しくは、内燃機関1の運転条件(大気圧や大気温度、燃料の仕様等の条件)を既定の運転条件として、大リフト吸気カム13Hの位相角の変化によって、吸気バルブ8の開弁終了の位相角を、下死点の位相角から遅角側の範囲で変化させた場合(以下、吸気バルブ8の遅閉じの場合ということがある)のグラフである。
また、グラフf2は、上記既定の運転条件において、小リフト吸気カム13Lの位相角の変化によって、吸気バルブ8の開弁終了の位相角を、下死点の位相角から進角側の範囲で変化させた場合(以下、吸気バルブ8の早閉じの場合ということがある)のグラフである。
また、図6中のECRmaxは、内燃機関1の各気筒2の燃焼室3での燃焼を、ノッキングを発生させることなく正常に行い得る上限の実効圧縮比、ECRminは、内燃機関1の各気筒2の燃焼室3での燃焼を、失火等を生じることなく正常に行い得る下限の実効圧縮比である。
また、図6中のグラフf1,f2の縦軸に関する相対熱効率は、より詳しくは、大リフト吸気カム13H又は小リフト吸気カム13Lによる吸気バルブ8の開閉駆動によって実現される内燃機関1の各気筒2の燃焼室3の任意の値の実効圧縮比で該内燃機関1の運転を行なった場合に実測される該内燃機関1の熱効率ηを、該実効圧縮比に応じて該燃焼室3に充填される空気量と同じ量の空気を該燃焼室3に充填しつつ、オットーサイクルでの該内燃機関1の運転を行なった場合に実測される該内燃機関1の熱効率η0(以降、基準熱効率η0ということがある)により除算してなる比率、すなわち、η0に対するηの比率(=η/η0)である。
この場合、オットーサイクルでの該内燃機関1の運転は、実駆動用吸気カムとして大リフト吸気カム13Hを使用して、図3のグラフdで示すパターンで吸気バルブ8を開閉駆動を行なう運転、すなわち、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比を、機械的な圧縮比(ピストン15の上死点での燃焼室3の全体の容積に対する、該ピストン15の下死点での燃焼室3の全体の容積の比率)に一致させた状態(該圧縮比と膨張比とがほぼ一致する状態)で行なわれる運転である。
そして、図6中のグラフf1における任意の実効圧縮比の値(以降、これをECRx1とおく)に対応する上記基準熱効率η0は、より詳しくは、オットーサイクルでの運転を行う内燃機関1の各気筒2の燃焼室3に充填される空気量が、大リフト吸気カム13Hの位相角を、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比がECRx1になる位相角に制御した状態で該大リフト吸気カム13Hにより吸気バルブ8を開閉駆動する内燃機関1の運転(アトキンソンサイクルでの運転)を行った場合に該燃焼室3に充填される空気量と同じ量になるようにスロットル弁7の開度を調整した上で、該内燃機関1をオットーサイクルで運転させた場合に実測される該内燃機関1の熱効率である。
同様に、図6中のグラフf2における任意の実効圧縮比の値(以降、これをECRx2とおく)に対応する上記基準熱効率η0は、オットーサイクルでの運転を行う内燃機関1の各気筒2の燃焼室3に充填される空気量が、小リフト吸気カム13Lの位相角を、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比がECRx2になる位相角に制御した状態で該小リフト吸気カム13Lにより吸気バルブ8を開閉駆動する内燃機関1の運転(アトキンソンサイクルでの運転)を行った場合に該燃焼室3に充填される空気量と同じ量になるようにスロットル弁7の開度を調整した上で、該内燃機関1をオットーサイクルで運転させた場合に実測される該内燃機関1の熱効率である。
なお、前記上限の実効圧縮比ECRmaxと下限の実効圧縮比ECRminは、本実施形態では、図3の実線dのパターンの位相角で吸気バルブ8の開弁を行なった場合に実現される実効圧縮比(吸気バルブ8の開弁終了の位相角を下死点の位相角に一致させた場合の実効圧縮比)と一致もしくはほぼ一致する圧縮比である。また、下限の実効圧縮比ECRminは、図3の実線aのパターンで吸気バルブ8の開弁を行なった場合に実現される実効圧縮比と一致もしくはほぼ一致する圧縮比である。
ただし、吸気バルブ8の開弁終了の位相角を下死点の位相角に一致させた場合の実効圧縮比(≒膨張比)は、上限の実効圧縮比ECRmaxよりも大きい圧縮比であってもよい。その場合には、大リフト吸気カム13Hの位相角の変更によって実際に実現する最大の実効圧縮比が、ECRmax以下の圧縮比になるように、大リフト吸気カム13Hの位相角の可変範囲(機構的もしくは制御による可変範囲)を制限すればよい。
また、小リフト吸気カム13Lの位相角の変更によって実際に実現する最小の実効圧縮比が、上記下限の実効圧縮比ECRminよりも大きい圧縮比になるように、小リフト吸気カム13Lの位相角の可変範囲(機構的もしくは制御による可変範囲)を制限するようにしてもよい。
図6のグラフf2を参照して判るように、吸気バルブ8の早閉じの場合には、実効圧縮比の変化に対する内燃機関1の相対熱効率の変化の特性は、基本的には、上記上限の実効圧縮比ECRmaxと下限の実効圧縮比ECRminとのうちのECRmin寄りの比較的小さい実効圧縮比(図中のECR2)にて相対熱効率が最大となるような特性を呈する。
これに対して、図6のグラフf1を参照して判るように、吸気バルブ8の遅閉じの場合には、実効圧縮比の変化に対する内燃機関1の相対熱効率の変化の特性は、上記上限の実効圧縮比ECRmaxと下限の実効圧縮比ECRminとのうちのECRmax寄りの比較的大きい実効圧縮比(図中のECR1)にて相対熱効率が最大となるような特性を呈する。
そして、吸気バルブ8の早閉じの場合と遅閉じの場合とで相対熱効率が互いに同一となる実効圧縮比の値、すなわち、グラフf1,f2の交点における実効圧縮比ECRswよりも小さい実効圧縮比では、吸気バルブ8の早閉じの場合の方が、遅閉じの場合よりも内燃機関1の相対熱効率が高くなり、ECRswよりも大きい実効圧縮比では、吸気バルブ8の遅閉じの場合の方が、早閉じの場合よりも内燃機関1の相対熱効率が高くなる。
また、ECRswは、早閉じの場合に相対熱効率が最大となる実効圧縮比ECR1と遅閉じの場合に相対熱効率が最大となる実効圧縮比ECR2との間の中間的な値である。
従って、小リフト吸気カム13L及び大リフト吸気カム13Hのそれぞれの位相角に対応して実現される実効圧縮比が、ECR1とECR2との間の値となる状態、好適には上記ECRswに一致もしくはほぼ一致する状態で実駆動用吸気カムの切替えを行なうようにすれば、内燃機関1の低負荷側での運転時には、吸気バルブ8を小リフト吸気カム13Lによって上記早閉じの形態で開閉駆動できることとなる。また、内燃機関1の高負荷側での運転時には、吸気バルブ8を大リフト吸気カム13Hによって上記遅閉じの形態で開閉駆動できることとなる。ひいては、内燃機関1を種々様々の負荷状態で、できるだけ高い熱効率で内燃機関1を運転させるようにすることができることとなる。
そこで、本実施形態では、実駆動用吸気カムの切替えを行うときの実効圧縮比、すなわち、小リフト吸気カム13Lによって図3の破線bの形態(早閉じの形態)で吸気バルブ8の開閉を行なう場合に実現される実効圧縮比と、大リフト吸気カム13Hによって図3の破線cの形態(遅閉じの形態)で吸気バルブ8の開閉を行なう場合に実現される実効圧縮比とが、上記ECRswに一致もしくはほぼ一致するように、実駆動用吸気カムの切替時における両吸気カム13L,13Hの位相角を設定するようにした。
ここで、本願発明者の各種実験、検討によれば、グラフf1,f2の交点における実効圧縮比ECRswの値は、燃料の性状や内燃機関1の運転時の環境条件等の影響で若干の変動は生じるものの、前記上限の実効圧縮比ECRmaxと下限の実効圧縮比ECRminとの間の中央値(=(ECRmax+ECRmin)/2)と、上記ECRswとの間の関係に着目した場合、当該中央値に対するECRswの比率(=ECRsw/中央値)は、0.7から1.1の間の範囲内に収まる。
そこで、本実施形態では、各気筒2の燃焼室3での燃焼を、ノッキングや失火(燃焼不良)を生じることなく正常に行い得る上限の実効圧縮比ECRmaxと下限の実効圧縮比ECRminとを実験的に決定した上で、0.7×(ECRmax+ECRmin)/2と、1.1×(ECRmax+ECRmin)/2との間の範囲内で、実駆動用吸気カムの切替えを行うときの実効圧縮比の値を実験的に決定するようにした。このようにすることで、実駆動用吸気カムの切替えを行うときの実効圧縮比の値(以降、カム切替時実効圧縮比ECRswdということがある)を、内燃機関1の種々様々の運転条件下で、上記ECRswに一致もしくはほぼ一致させるようにすることができる。
そして、本実施形態では、このように決定したカム切替時実効圧縮比ECRswdに応じて、実駆動用吸気カムの切替時における両吸気カム13L,13Hの位相角、ひいては、図3の破線b,cに対応する吸気バルブ8の開弁開始の位相角が設定されている。
図1の説明に戻って、内燃機関1の排気系は、各気筒2の燃焼室3で生成される排ガスを、各気筒2の燃焼室3の排気ポートに連通するエギゾーストマニホールド17と、全気筒2に対して共通の排気通路18とを順に経由して排気するように構成されている。この場合、排気通路18には、排ガス浄化用の触媒19が介装されている。
そして、各気筒2の燃焼室3の排気ポートを開閉するための排気バルブ20と、該排気バルブ20を開閉駆動する排気バルブ駆動機構21とが内燃機関1に付設されている。
この排気バルブ駆動機構21は、内燃機関1のクランク軸12に連動して回転する(クランク軸12の2回転毎に1回転する)排気側カムシャフト22に、これと一体に回転自在に軸支された排気カム23を各気筒2毎に備えており、この排気カム23により、ロッカアーム24を介して排気バルブ20を開閉駆動する。
この場合、排気カム23のプロフィール(形状パターン)は、それにより規定される排気バルブ20の開弁期間及びリフト量が、例えば図7に示すようなパターンとなるように設定されている。このパターンでは、排気バルブ20の開弁期間の角度幅が、各気筒2のピストン15の下死点の位相角と上死点の位相角との間の角度差(180deg)よりも若干大きい角度幅に設定される。そして、排気バルブ20の開弁開始の位相角と開弁終了の位相角とは、それぞれ下死点の位相角よりも若干進角側の位相角、上死点の位相角よりも若干遅角側の位相角に設定される。
上記の如く構成された内燃機関1の吸気系及び排気系には、さらにEGR装置25が付設されている。
EGR装置25は、排ガスの一部を吸気側に還流させ、その還流させた排ガスを各気筒2の燃焼室3に空気(燃料と混合する新気)と共に供給する装置であり、排気通路18の上流端部(エギゾーストマニホールド17との接続箇所近辺)から分流されてインテークマニホールド5に合流されたEGR通路27(還流される排ガスの通路)を備えている。
このEGR通路27には、吸気側に還流させる排ガスを冷却する排ガス冷却手段としてのEGRクーラ28と、該排ガスの流量を制御するための電動式又は電磁式の流量制御弁29(以下、EGR弁29という)とが介装され、EGR弁29の開度を制御することで、EGR率(燃焼室3に供給する空気と排ガスとの総量に対する排ガス量の割合い)を制御することが可能となっている。
また、内燃機関1には、各気筒2の燃焼室3で燃焼させる燃料を供給する燃料供給装置の構成要素として各気筒2毎に設けられた燃料噴射弁33が付設されている。この燃料噴射弁33には、図示しない燃料タンクからポンプ等により昇圧された燃料(例えばガソリン)が供給されるようになっている。
燃料噴射弁33は、本実施形態では、ポート噴射型のものであり、図2に示す如くインテークマニホールド5に取り付けられている。そして、燃料噴射弁33は、その開弁時間を制御することで、燃料噴射量(燃焼室3への燃料供給量)を制御することが可能となっている。なお、燃料噴射弁33は直噴型のものであってもよい。
また、内燃機関1には、各気筒2の燃焼室3で圧縮される混合気に点火する点火装置の構成要素として各気筒2毎に設けられた点火プラグ40が付設されている。
点火プラグ40は、図2に示すように各気筒2の燃焼室3の頂部に装着され、所要のタイミングで図示しないディストリビュータから高電圧が供給されて火花放電を発生する。
以上が本実施形態のシステム(内燃機関1及びこれに付帯するシステム)の機構的な構成である。
電子制御装置50は、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットであり、前記スロットル弁7、吸気バルブ駆動機構9のバルブ位相可変機構10及びバルブリフト可変機構11、EGR装置25のEGR弁29、燃料噴射弁33、点火プラグ40の動作を制御する。
これらの制御を担う電子制御装置50には、各種のセンサの検出信号が入力される。本実施形態のシステムでは、以下に示すようなセンサが備えられており、これらのセンサの検出信号が電子制御装置50に入力される。
すなわち、本実施形態のシステムでは、内燃機関1のクランク軸12の回転数NE(回転速度)を検出するための信号(詳しくは、クランク軸12の所定の回転角度毎に発生するパルス信号)を出力する回転数センサ51が内燃機関1に付設されている。
また、吸気通路4を流れる空気の流量Qを検出する空気流量センサ52と、スロットル弁7に流入する空気の圧力P2を検出する圧力センサ53とが吸気通路4に設けられている。
さらに、本実施形態のシステムには、図示を省略する車両のアクセルペダルの踏み込み量(以下、アクセル操作量という)を検出するアクセルセンサ54が備えられている。
次に、本実施形態のシステムの作動を説明する。前記電子制御装置50は、内燃機関1の運転を制御するために、図8フローチャートに示す制御処理を実行する。
図8のフローチャートに示す制御処理は、内燃機関1の各気筒2の燃焼室3に供給される空気量を制御するために、前記吸気バルブ駆動機構9の動作状態(詳しくは、実駆動用吸気カムとして用いる吸気カムの種類(大リフト吸気カム13H又は小リフト吸気カム13L)、並びに、実駆動用吸気カム13L又は13Hの位相角)と、EGR装置25のEGR弁29の開度と、スロットル弁7の開度(以下、スロットル開度という)とを制御するための処理である。この場合、吸気バルブ駆動機構9の動作状態の制御処理は、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比を制御するための処理であり、EGR弁29の開度の制御処理は、EGR率を制御するための処理である。
図8のフローチャートに示す制御処理では、電子制御装置50は、まず、STEP1で、吸気通路4の空気流量Qの目標値である目標空気量を決定する。
具体的には、電子制御装置50は、内燃機関1の要求トルク(出力トルクの目標値)と、回転数センサ51の出力により認識される回転数NEの計測値とから、図9に示す如く設定されたマップ(要求トルクと回転数NEと目標空気量との間の関係を規定するマップ)に基づいて、要求トルクを実現するために必要な目標空気量を決定する。
図9に示すマップの基本的傾向は、要求トルクが大きいほど、目標空気量が大きくなり、また、回転数NEが高いほど、目標空気量が大きくなるように設定されている。なお、要求トルクは、前記アクセルセンサ54の出力により認識されるアクセル操作量の計測値から、あるいは、該アクセル操作量の計測値と車速の計測値とから、図示しないマップに基づき決定される。この場合、基本的には、要求トルクは、アクセル操作量が大きいほど、大きくなるように決定される。
次いで、STEP2に進んで、電子制御装置50は、目標空気量を実現するための実効圧縮比の目標値と、EGR率の目標値と、スロットル開度の目標値とを設定する。
具体的には、電子制御装置50は、STEP1で決定した目標空気量と、前記圧力センサ53の出力により認識される圧力P2(スロットル弁7に流入する空気の圧力)の計測値と、内燃機関1の回転数NEの計測値とから図10に示す如く設定されたマップ(目標空気量と圧力P2と回転数NEと実効圧縮比の目標値との間の関係を規定するマップ)に基づいて、実効圧縮比の目標値を設定する。図10に示すマップの基本的な傾向は、目標空気量が大きいほど、実効圧縮比の目標値が増加し、また、圧力P2が大きいほど、実効圧縮比の目標値が減少するように設定されている。
また、電子制御装置50は、目標空気量と、圧力P2の計測値と、回転数NEの計測値とから図11に示す如く設定されたマップ(目標空気量と圧力P2と回転数NEとEGR率の目標値との間の関係を規定するマップ)に基づいて、EGR率の目標値を設定する。図11に示すマップの基本的な傾向は、目標空気量が大きいほど、EGR率の目標値が減少し、また、圧力P2が大きいほど、EGR率の目標値が増加するように設定されている。
また、電子制御装置50は、目標空気量と、圧力P2の計測値と、回転数NEの計測値とから図12に示す如く設定されたマップ(目標空気量と圧力P2と回転数NEとスロットル開度の目標値との間の関係を規定するマップ)に基づいて、スロットル開度の目標値を設定する。図12に示すマップの基本的な傾向は、目標空気量が大きいほど、スロットル開度の目標値が増加し、また、圧力P2が大きいほど、スロットル開度の目標値が減少し、また、回転数NEが高いほど、スロットル開度の目標値が増加するように設定されている。
なお、前記目標空気量は、内燃機関1の要求トルクが高いほど、大きくなるように設定されるので、図10のマップを用いて決定される前記実効圧縮比の目標値は、結果的に、該要求トルクが高いほど(換言すれば、内燃機関1の負荷が高いほど)、該実効圧縮比の目標値が大きくなるような特性で決定されることなる。
また、図11のマップを用いて決定される前記EGR率の目標値は、結果的に、該要求トルクが高いほど(内燃機関1の負荷が高いほど)、該EGR率の目標値が小さくなるような特性で決定されることなる。
また、図12のマップを用いて決定される前記スロットル開度の目標値は、結果的に、該要求トルクが高いほど、該スロットル開度の目標値が大きくなるような特性で決定されることなる。
次いで、STEP3に進んで、電子制御装置50は、前記空気流量センサ52の出力により認識される空気流量Qの計測値が、STEP1で決定した目標空気量に一致するか否かを判断する。なお、ここで空気流量Qの計測値が目標空気量に一致するというのは、厳密に等しいということを意味するものではなく、それらの差の絶対値がある所定値以下に収まる状態を意味する。
このSTEP3の判断結果が肯定的である場合には、電子制御装置50は、図8のフローチャートの今回の処理を終了し、次回の演算処理周期まで待機する。この場合には、吸気バルブ駆動機構9の動作状態と、EGR弁29の開度と、スロット開度とは現状の状態に維持される。
一方、STEP3の判断結果が否定的である場合には、電子制御装置50は、STEP4の処理を実行する。このSTEP4では、電子制御装置50は、実際の空気流量Q(計測値)を目標空気量に近づけるように、実際の実効圧縮比と、実際のEGR率と、実際のスロットル開度とを現状の状態から変更する。
そして、電子制御装置50は、STEP3と同じ判断処理をSTEP4に続くSTEP5で実行し、このSTEP5の判断結果が肯定的となるまで、STEP4の処理を繰り返す。
この場合、上記のように繰り返されるSTEP4の処理はより具体的には次のように行なわれる。すなわち、STEP3の次の最初のSTEP4の処理では、前記吸気バルブ駆動機構9の実際の動作状態と、EGR弁29の実際の開度と、実際のスロットル開度とが、それぞれ、STEP2で設定した実効圧縮比の目標値に応じて決定した基準の動作状態、STEP2で設定したEGR率の目標値に応じて決定したEGR弁29の基準の開度、STEP2で設定したスロットル開度の目標値に制御される。
この場合、吸気バルブ駆動機構9の基準の動作状態は、STEP2で設定した実効圧縮比の目標値を実現するための動作状態であり、該目標値に応じて、あらかじめ設定されたマップ等により決定される。また、EGR弁29の基準の開度は、STEP2で設定したEGR率の目標値を実現するための開度であり、該目標値に応じて、あらかじめ設定されたマップ等により決定される。
そして、STEP5の判断処理で空気流量Qが目標空気量よりも小さい場合におけるSTEP4の処理では、実効圧縮比を所定量だけ増やすように吸気バルブ駆動機構9の実際の動作状態を現在の動作状態から変更することと、EGR弁29の実際の開度を現在の開度から所定量だけ減少させる(ひいてはEGR率を減少させる)ことと、実際のスロットル開度を現在の開度から所定量だけ増加させることとが実行される。
また、STEP5の判断処理で空気流量Qが目標空気量よりも大きい場合におけるSTEP4の処理では、実効圧縮比を所定量だけ減らすように吸気バルブ駆動機構9の実際の動作状態を現在の動作状態から変更することと、EGR弁29の実際の開度を現在の開度から所定量だけ増加させる(ひいてはEGR率を増加させる)ことと、実際のスロットル開度を現在の開度から所定量だけ減少させることとが実行される。
このようにして、上記STEP4の処理を繰り返すことによって、吸気バルブ駆動機構9の実際の動作状態と、EGR弁29の実際の開度と、実際のスロットル開度とが、それぞれ、実効圧縮比の目標値に対応する基準の動作状態、EGR率の目標値に対応する基準の開度、スロットル開度の目標値の近辺で調整される。これにより、実際の空気流量Q(計測値)が目標空気量に一致するように、吸気バルブ駆動機構9の実際の動作状態と、EGR弁29の実際の開度と、実際のスロットル開度とがそれぞれ制御されることとなる。
以上が、図8のフローチャートの処理の詳細である。
ここで、上記STEP4における吸気バルブ駆動機構9の動作状態の制御について、さらに詳細に説明する。
上記STEP4における吸気バルブ駆動機構9の動作状態の制御は、より具体的には、図13のフローチャートに示す制御処理によって実行される。
すなわち、電子制御装置50は、STEP11において、要求実効圧縮比とバルブリフト可変機構11の現在の動作状態とを取得する。
この場合、前記STEP3の次の最初のSTEP4の処理では、前記STEP2で決定された実効圧縮比の目標値が、上記要求実効圧縮比として取得される。また、STEP5の判断結果が否定的である場合に実行されるSTEP4の処理では、STEP5の判断処理の直前のSTEP4の処理(1つ前のSTEP4の処理)で取得した要求実効圧縮比(以降、直前の要求実効圧縮比という)を所定量だけ補正してなる値である。
より詳しくは、STEP5の判断処理で空気流量Qが目標空気量よりも小さい場合に、STEP11の処理で取得される要求実効圧縮比は、直前の要求実効圧縮比から所定量だけ増加させた値の圧縮比であり、STEP5の判断処理で空気流量Qが目標空気量よりも大きい場合に、STEP11の処理で取得される要求実効圧縮比は、直前の要求実効圧縮比から所定量だけ減少させた値の圧縮比である。
また、STEP11で取得されるバルブリフト可変機構11の現在の動作状態は、具体的には、現在の実駆動用吸気カムが、小リフト吸気カム13L又は大リフト吸気カム13Hのいずれの吸気カムであるかを示すものである。
次いで、STEP12に進んで、電子制御装置50は、実駆動用吸気カム13L又は13Hの位相角としてのVTC角度の目標値を設定する。
具体的には、電子制御装置50は、STEP11で取得した要求実効圧縮比から、図14又は図15に示す如くあらかじめ設定されたマップ(要求実効圧縮比とVTC角度の目標値との間の関係を規定するマップ)に基づいて、VTC角度の目標値を設定する。
STEP12で使用する上記マップは、現在の実駆動用吸気カムが、小リフト吸気カム13Lである場合と、大リフト吸気カム13Hである場合とで各別に用意されている。そして、現在の実駆動用吸気カムが小リフト吸気カム13Lである場合には、図14に示すマップに基づいてVTC角度の目標値が設定され、現在の実駆動用吸気カムが大リフト吸気カム13Hである場合には、図15に示すマップに基づいてVTC角度の目標値が設定される。
この場合、図14に示すマップの傾向は、要求実効圧縮比が比較的低い側の領域(内燃機関1の低負荷領域)において、小リフト吸気カム13LのVTC角度が、要求実効圧縮比の増加に伴い(内燃機関1の負荷の増加に伴い)、最も進角側の位相角である最進角(図3の実線aで示す状態での小リフト吸気カム13Lの位相角)から、最も遅角側の位相角である最遅角(図3の破線bで示す状態での小リフト吸気カム13Lの位相角)まで遅角方向に変化していくように設定されている。
また、図15に示すマップの傾向は、要求実効圧縮比が比較的高い側の領域において、大リフト吸気カム13HのVTC角度が、要求実効圧縮比の増加に伴い(内燃機関1の負荷の増加に伴い)、最も遅角側の位相角である最遅角(図3の破線cで示す状態での大リフト吸気カム13Hの位相角)から、最も進角側の位相角である最進角(図3の破線dで示す状態での大リフト吸気カム13Hの位相角)まで進角方向に変化していくように設定されている。
なお、図14のマップにおいて最遅角に対応する実効圧縮比と、図15のマップにおいて最進角に対応する実効圧縮比とは、それぞれ前記カム切替時実効圧縮比ECRswdである。また、本実施形態では、図14のマップにおいて最進角に対応する実効圧縮比は、前記下限の実効圧縮比ECRminに一致し、図15のマップにおいて最進角に対応する実効圧縮比は、前記上限の実効圧縮比ECRmaxに一致する。
ここで、STEP12において、現在の実駆動用吸気カムが小リフト吸気カム13Lである場合には、STEP11で取得した要求実効圧縮比が、カム切替時実効圧縮比ECRswdよりも大きい場合には、VTC角度の目標値を図14のマップに基づいて設定することができない。
同様に、STEP12において、現在の実駆動用吸気カムが大リフト吸気カム13Hである場合には、STEP11で取得した要求実効圧縮比が、カム切替時実効圧縮比ECRswdよりも小さい場合には、VTC角度の目標値を設定することができない。
そこで、電子制御装置50は、次に、STEP13において、VTC角度の目標を設定不能であるか否かを判断する。この判断結果は、現在の実駆動用吸気カムが小リフト吸気カム13Lであり、且つ、要求実効圧縮比>ECRswdとなる場合と、現在の実駆動用吸気カムが大リフト吸気カム13Hであり、且つ、要求実効圧縮比<ECRswdとなる場合とで肯定的となり、これら以外の場合では、否定的となる。
そして、STPE13の判断結果が否定的である場合(STEP12においてVTC角度の目標値を正常に設定できた場合)には、STEP16に進む。このSTEP16では、電子制御装置50は、実際のVTC角度を、設定したVTC角度の目標値に一致させるように前記バルブ位相可変機構10を制御する。
一方、STEP13の判断結果が肯定的である場合(要求実効圧縮比=ECRswdである場合)には、STEP14に進む。このSTEP14では、電子制御装置50は、実駆動用吸気カムを切替えるように前記バルブリフト可変機構11を制御する。すなわち、電子制御装置50は、現在の実駆動用吸気カムが小リフト吸気カム13Lである場合には、実駆動用吸気カムを小リフト吸気カム13Lから大リフト吸気カム13Hに切替えるようにバルブリフト可変機構11を制御する。また、電子制御装置50は、現在の実駆動用吸気カムが大リフト吸気カム13Hである場合には、実駆動用吸気カムを大リフト吸気カム13Hから小リフト吸気カム13Lに切替えるようにバルブリフト可変機構11を制御する。
次いでSTEP15に進んで、電子制御装置50は、前記STEP12と同じ処理を実行し、VTC角度の目標値を改めて設定する。なお、この場合、VTC角度の目標値を設定するために用いるマップ(図14又は図15に示すマップ)は、STEP14での切替え後の実駆動用吸気カムが小リフト吸気カム13Lと大リフト吸気カム13Hとのいずれの吸気カムであるかに応じて選択される。
次いで、電子制御装置50は、前記したSTEP16の処理を実行し、実際のVTC角度を、設定したVTC角度の目標値に一致させるように前記バルブ位相可変機構10を制御する。
以上説明した図13のフローチャートの処理が、前記STEP4における実効圧縮比の制御処理の詳細である。
補足すると、STEP4の処理に関して説明した吸気バルブ駆動機構9の前記基準の動作状態は、STEP11で取得される要求実効圧縮比が、前記STEP2で設定された目標値に一致する場合に、図13のフローチャートの制御処理によって実現される吸気バルブ駆動機構9の動作状態を意味する。
電子制御装置50は、内燃機関1の運転時に、以上説明した制御処理以外に、燃料噴射弁33の燃料噴射量と、点火プラグ40の点火時期とを制御するための処理も実行する。この場合、燃料噴射弁33の燃料噴射量の制御処理では、電子制御装置50は、前記流量センサ52の検出信号から認識される空気流量Qの計測値と、前記圧力P2(スロットル弁7に流入する空気の圧力)の計測値と、内燃機関1の回転数NEの計測値とから、あらかじめ設定されたマップ(図示省略)に基づいて、燃料噴射量の目標値を設定する。そして、電子制御装置50は、設定した燃料噴射量の目標値に応じて、各気筒2毎の燃料噴射弁33の開弁時間を制御することで、各燃料噴射弁33の実際の燃料噴射量を目標値に制御する。
また、点火プラグ40の点火時期の制御処理では、電子制御装置50は、空気流量Qの計測値と、前記圧力P2の計測値と、内燃機関1の回転数NEの計測値とから、あらかじめ設定されたマップ(図示省略)に基づいて、点火時期の目標値を設定する。そして、電子制御装置50は、各気筒2毎の点火プラグ40の実際の点火時期を目標値に制御する。
本実施形態では、以上の如く電子制御装置50の制御処理が実行され、内燃機関1の運転が制御される。
補足すると、本実施形態では、前記大リフト吸気カム13H、小リフト吸気カム13Lがそれぞれ、前記第1発明における第1の吸気カム、第2の吸気カムに相当する。
また、電子制御装置50は、本発明における吸気カム切替制御手段、カム位相制御手段としての機能を含んでいる。この場合、吸気カム切替制御手段としての機能は、図13のフローチャートの処理のうちのSTEP14の処理によって実現される。
また、カム位相制御手段としての機能は、図13のフローチャートの処理のうちのSTEP16の処理によって実現される。
さらに、図3に示す位相角A1が、本発明における第1進角側開弁開始位相角及び第2進角側開弁位相角に相当し、図3に示す位相角A2が、本発明における第1遅角側開弁開始位相角及び第2遅角側開弁位相角に相当する。
また、図3の破線b,cの状態に、吸気カム13H,13Lの位相角を制御した状態が、本発明における特定状態に相当する。
また、図6のグラフf1,f2がそれぞれ、本発明における第1相対熱効率特性、第2相対熱効率特性を示している。そして、図6のECR1,ECR2がそれぞれ本発明における第1実効圧縮比、第2実行圧縮比に相当する。
以上説明した本実施形態によれば、吸気バルブ8の動作状態(開弁期間の位相角及びリフト量)は、内燃機関1の負荷(要求トルク)に応じて次のように変化する。
例えば内燃機関1の負荷が低負荷側から高負荷側に増加していく場合に関して説明すると、内燃機関1の負荷が比較的低い状態(要求トルクが小さい状態)では、実駆動用吸気カムとして小リフト吸気カム13Lが使用される。そして、この小リフト吸気カム13Lの位相角(VTC角度)が、内燃機関1の負荷の増加に伴い、進角側から遅角側に連続的に変化する。
このため、吸気バルブ8の動作状態は、図3の実線a側の状態から、破線bの状態に向って連続的に変化していく(図3の矢印Y1を参照)。これにより、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比が増加していく。
そして、小リフト吸気カム13Lの位相角(VTC角度)が最遅角まで遅角して、吸気バルブ8の動作状態が図3の破線bの状態まで到達すると、実駆動用吸気カムが小リフト吸気カム13Lから大リフト吸気カム13Hに切替えられる。この時、大リフト吸気カム13Hの位相角(VTC角度)も最遅角まで遅角しているので、吸気バルブ8の動作状態は、図3の破線bの状態から、破線cの状態に切替わり、リフト量が増加されると共に、開弁期間の角度幅が増加される(図3の矢印Y2を参照)。
この場合、VTC角度が最遅角まで遅角した状態では、前記した如く、実駆動用吸気カムとして小リフト吸気カム13Lを使用した場合と、大リフト吸気カム13Hを使用した場合とのいずれの場合であっても、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比、ひいては、該燃焼室3に充填される空気量が、互いに同一もしくはほぼ同一となる。
このため、実駆動用吸気カムを切替えても、その切り替えの前後で、各気筒2の燃焼室3に充填される空気量は、ほぼ一定に保たれる。さらに、その切り替えの前後で、吸気カム13L,13Hの位相角の急激な変化が生じることもない。その結果、実駆動用吸気カムの切り替えによって、内燃機関1の出力トルクの不連続的な変動(ステップ状の変動)が発生することはなく、また、その切り替えを迅速に行なうことができる。
また、実駆動用吸気カムの切替えの直前における吸気バルブ8の開弁開始の位相角と切替えの直後における吸気バルブ8の開弁開始の位相角とは、いずれも上死点と下死点との間の位相角であるので、該切替えの前後において、吸気バルブ8の開弁期間で各気筒2の燃焼室3に空気と共に充填される排ガス(EGR装置25により還流された排ガス)の量が急変するようなことが無い。
そして、本実施形態では、内燃機関1の負荷の増加によって、実駆動用吸気カムを大リフト吸気カム13Hに切替えた後は、この大リフト吸気カム13Hの位相角(VTC角度)が、内燃機関1の負荷(要求トルク)の増加に伴い、遅角側から進角側に連続的に変化する。このため、吸気バルブ8の動作状態は、図3の破線cの状態から、実線dの状態に向って連続的に変化していく(図3の矢印Y3を参照)。これにより、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比がさらに増加していく。
以上のようにして、本実施形態では、内燃機関1の負荷が低負荷側から高負荷側に増加していくとき、吸気バルブ8の開弁期間で各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比や該燃焼室3に充填される空気量が、ステップ状に変化したりすることなく滑らかに増加していく。また、各気筒2の燃焼室3に充填される排ガスの量が実駆動用吸気カムの切替えの前後でステップ状に急変するようなことも防止される。
この結果、内燃機関1の失火が発生したりすることなく、内燃機関1の出力トルクを滑らかに増加させていくことができる。
また、内燃機関1の負荷が高負荷側から低負荷側に減少していく場合には、吸気バルブ8の動作状態の変化は、内燃機関1の負荷の増加の場合と逆になる。すなわち、内燃機関1の高負荷運転時には、大リフト吸気カム13Hにより吸気バルブ8が開閉駆動されると共に、該吸気バルブ8の開弁期間の位相角が、内燃機関1の負荷の減少に伴い、図3の実線d側の状態から、破線cの状態に向って遅角方向に変化する。
そして、両吸気カム13L,13Hの位相角が、それぞれ、破線b、cの状態に対応する最遅角に制御されれている状態で、実駆動用吸気カムが大リフト吸気カム13Hから小リフト吸気カム13Lに切替えられる。
その後の内燃機関1の低負荷運転時には、小リフト吸気カム13Lにより吸気バルブ8が開閉駆動されると共に、該吸気バルブ8の開弁期間の位相角が、内燃機関1の負荷の減少に伴い、図3の破線bの状態から、実線a側の状態に向って進角方向に変化する。
これにより、内燃機関1の負荷が高負荷側から低負荷側に減少する場合であっても、該負荷が増加する場合と同様に、吸気バルブ8の開弁期間で各気筒2の燃焼室3に充填される空気量、ひいては、実効圧縮比が、ステップ状に変化したりすることなく滑らかに減少していく。また、各気筒2の燃焼室3に充填される排ガスの量が実駆動要吸気カムの切替えの前後でステップ状に急変するようなことも防止される。その結果、内燃機関1の失火が発生したりすることなく、内燃機関1の出力トルクを滑らかに減少させていくことができる。
また、内燃機関1の負荷の増減に合せて、各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比が増減するので、内燃機関1の負荷の変化に対するスロットル弁7を変化量を抑制することができ、ひいては、内燃機関1の幅広い負荷範囲において、該スロットル弁7の開度を大きめの開度に維持することができる。その結果、内燃機関1の熱効率を高め、燃料消費を抑制することができる。
また、本実施形態では、実駆動用吸気カムの切替えを行なうときの吸気カム13L,13Hの位相角は、その切替時の実効圧縮比である前記カム切替時実効圧縮比ECRswdが、図6のグラフf1,f2の交点における実効圧縮比ECRswにほぼ一致するように設定されている。
このため、内燃機関1の各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比がECRswよりも小さい実効圧縮比となるように吸気バルブ8の開弁制御を行う低負荷側での内燃機関1の運転時には、基本的には、吸気バルブ8の早閉じの場合と遅閉じの場合とのうち、相対的に前記相対熱効率の高い早閉じの形態での吸気バルブ8の開閉駆動を小リフト吸気カム13Lを用いて行なうようにすることができる。
また、内燃機関1の各気筒2の燃焼室3の実効圧縮比がECRswよりも大きい実効圧縮比となるように吸気バルブ8の開弁制御を行う高負荷側での内燃機関1の運転時には、基本的には、吸気バルブ8の早閉じの場合と遅閉じの場合とのうち、相対的に前記相対熱効率の高い遅閉じの形態での吸気バルブ8の開閉駆動を大リフト吸気カム13Hを用いて行なうようにすることができる。
従って、内燃機関1の低負荷側から高負荷側までの幅広い運転領域において、内燃機関1の運転を高い熱効率で行なうようにすることができる。ひいては、内燃機関1の燃料消費をより一層抑制することができる。
なお、本実施形態では、実駆動用吸気カムの切替え時における大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角(最も遅角側の位相角)と、小リフト吸気カム13Lによる吸気バルブの開弁開始の位相角(最も遅角側の位相角)とを同一の位相角(図3のA2)としたが、それらの位相角が若干異なる位相角であってもよい。
また、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角の最も進角側の位相角と、大リフト吸気カム13Hによる吸気バルブ8の開弁開始の位相角の最も進角側の位相角とが互いに異なる位相角に設定されていてもよい。
1…内燃機関、3…燃焼室、8…吸気バルブ、9…吸気バルブ駆動機構、10…バルブ位相可変機構、11…バルブリフト可変機構、13H…大リフト吸気カム(第1の吸気バルブ)、13L…小リフト吸気バルブ(第2の吸気バルブ)、50…電子制御装置(吸気カム切替制御手段、カム位相制御手段)。

Claims (2)

  1. 吸気バルブを開閉駆動するために選択的に用いられる第1の吸気カム及び第2の吸気カムと、前記吸気バルブを実際に開閉駆動させる吸気カムである実駆動用吸気カムを第1の吸気カム及び第2の吸気カムのいずれか一方に選択的に切替えるバルブリフト可変機構と、クランク軸の位相角に対する第1及び第2の吸気カムの位相角を変化させるバルブ位相可変機構とを有し、第1及び第2の吸気カムのプロフィールが、第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合の該吸気バルブのリフト量及び開弁期間の角度幅のそれぞれが、第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合よりも大きくなるように設定された吸気バルブ駆動機構が備えられた内燃機関の制御装置であって、
    前記第1及び第2の吸気カムのプロフィールは、第2の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅が上死点と下死点との間の角度幅よりも小さい角度幅になり、且つ、第1の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅が、第2の吸気カムによる前記吸気バルブの開弁期間の角度幅よりも、前記上死点と下死点との間の角度幅により近い角度幅になるように設定されていると共に、さらに、第1の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角が上死点よりも遅角側で且つ下死点よりも進角側となる所定の第1遅角側開弁開始位相角に一致し、且つ、第2の吸気カムによる吸気バルブの開弁開始の位相角が上死点よりも遅角側で且つ下死点よりも進角側となる所定の第2遅角側開弁開始位相角に一致するように該第1の吸気カムの位相角と第2の吸気カムの位相角とを制御した状態である特定状態において、第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合と、第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合とで、前記内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が互いに一致するように前記第1及び第2の吸気カムのプロフィールが設定されており、
    前記第1及び第2の吸気カムのうちの第1の吸気カムを内燃機関の高負荷運転用の吸気カム、第2の吸気カムを内燃機関の低負荷運転用の吸気カムとして、前記実駆動用吸気カムを該内燃機関の負荷に応じて切替えるように前記バルブリフト可変機構を制御する吸気カム切替制御手段と、
    前記第1及び第2の吸気カムのそれぞれによる吸気バルブの開閉駆動時において、前記実駆動用吸気カムの位相角を内燃機関の負荷に応じて変化させるように前記バルブ位相可変機構を制御するカム位相制御手段とを備え、
    前記カム位相制御手段は、第1の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、該吸気バルブの開弁開始の位相角が、前記第1遅角側開弁開始位相角よりも進角側の所定の第1進角側開弁開始位相角と該第1遅角側開弁開始位相角との間の範囲内で、内燃機関の負荷の増加に伴い、進角方向に変化していくように前記バルブリフト可変機構の制御を行うと共に、第2の吸気カムによる吸気バルブの開閉駆動時には、該吸気バルブの開弁開始の位相角が、前記第2遅角側開弁開始位相角よりも進角側の所定の第2進角側開弁開始位相角と該第2遅角側開弁開始位相角との間の範囲内で、内燃機関の負荷の増加に伴い、遅角方向に変化していくように前記バルブ位相可変機構の制御を行い、
    前記吸気カム切替制御手段は、前記特定状態で前記実駆動用吸気カムの切り替えを行ない、
    前記第1遅角側開弁開始位相角及び第1進角側開弁開始位相角は、前記内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が、該第1遅角側開弁開始位相角と第1進角側開弁開始位相角との間の範囲内での該吸気バルブの開弁開始の位相角の進角方向への変化に伴い、増加していくようにあらかじめ設定され、
    前記第2遅角側開弁開始位相角及び第2進角側開弁開始位相角は、前記内燃機関の燃焼室の実効圧縮比が、該第2遅角側開弁開始位相角と第2進角側開弁開始位相角との間の範囲内での該吸気バルブの開弁開始の位相角の遅角方向への変化に伴い、増加していくようにあらかじめ設定され、
    前記第1の吸気カム又は第2吸気カムによる前記吸気バルブの開閉駆動によって実現される前記内燃機関の燃焼室の任意の値の実効圧縮比で該内燃機関の運転を行なった場合に得られる該内燃機関の熱効率ηを、該実効圧縮比に応じて該燃焼室に充填される空気量と同じ量の空気を該燃焼室に充填しつつ、オットーサイクルでの該内燃機関の運転を行なった場合に得られる該内燃機関の熱効率η0により除算してなる比率(=η/η0)を該内燃機関の相対熱効率とし、前記第1の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動しつつ、該吸気バルブの開弁終了の位相角が前記下死点よりも遅角側の位相角で変化するように該第1の吸気カムの位相角を変化させた場合に実現される実効圧縮比の変化に対する前記内燃機関の相対熱効率の変化の特性である第1相対熱効率特性において該相対熱効率が最大値となる実効圧縮比の値を第1実効圧縮比、前記第2の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動しつつ、該吸気バルブの開弁終了の位相角が前記下死点よりも進角側の位相角で変化するように該第1の吸気カムの位相角を変化させた場合に実現される実効圧縮比の変化に対する前記内燃機関の相対熱効率の変化の特性である第2相対熱効率特性において該相対熱効率が最大値となる実効圧縮比の値を第2実効圧縮比としたとき、前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角とは、前記特定状態において前記第1の吸気カム及び第2の吸気カムのいずれか一方の吸気カムにより前記吸気バルブを開閉駆動した場合における前記実効圧縮比であるカム切替時実効圧縮比が、前記第1実効圧縮比と前記第2実効圧縮比との間の大きさの圧縮比となるように設定されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    前記第1遅角側開弁開始位相角と前記第2進角側開弁開始位相角とは、前記第1相対熱効率特性において前記カム切替時実効圧縮比に対応する相対熱効率の値と、前記第2相対熱効率特性において前記カム切替時実効圧縮比に対応する相対熱効率の値とが互いに一致するように設定されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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