JP2013133287A - 粉粒状複合体及び創傷被覆材 - Google Patents

粉粒状複合体及び創傷被覆材 Download PDF

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Abstract

【課題】創傷被覆材として好適な、適度の吸水性と高い耐水性を併せ持ち、且つ、高い創傷治癒効果を有する粉粒状の医療用素材、及び、その製造方法を提供すること。
【解決手段】キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体。好ましくはキトサンとβグルカンの割合が、キトサン100質量部に対して、βグルカン1〜3000質量部である粉粒状複合体。該粉粒状複合体は、キトサンとβグルカンからなる複合体ゲルを粉粒化する方法、或いは、キトサンとβグルカンが共に溶解した酸性水溶液を加圧加熱することで得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体及び該粉粒状複合体を使用した創傷被覆材に関する。
キトサンは、キチンをアルカリで加水分解してアセチル基を除いた、即ち脱アセチル化した物質である。一般的には100%脱アセチル化したものだけをキトサンと称するのではなく、脱アセチル化によって生じたアミノ基の効果により酸性水溶液に溶解する性質を有するに至ったものをキトサンと称することが多く、概ねキチンを40%以上脱アセチル化したものがキトサンと称されることが多い。
キトサンは、食物繊維であること、微粉末であること及びそのコレステロール吸収抑制効果を利用したダイエット食品を代表とする各種飲食品に広く用いられている。また、キトサンは、優れた製膜性を有することから、肌の乾燥防止等の用途の化粧品にも用いられる。しかし、キトサンは、水溶性が低く、微粉末にした場合は水中でダマになる等、これらの用途に用いる場合、使い勝手が極めて悪いという問題がある。
更に、キトサンは、抗血栓性及び止血効果を有することから、医薬品や医療部材等の医療用途としても有用である。また、キトサンは、抗菌抗カビ作用と病原菌の感染防御効果を有することから衣料、繊維資材、布帛、繊維資材等にも用いられている。
医療用途におけるキトサンの重要な使用形態の一種として創傷被覆材が挙げられる。創傷被覆材とは、創傷部位を被覆し、創傷部を、創傷面から出る水分や浸出液により、湿潤環境に置くことで、創傷治癒を促進させるために用いられる医療部材であるが、キトサンは優れた製膜性を有することから、この用途に対し、キトサンをシート状に成形したキトサンシート(特許文献1参照)が広く使用されている。しかし、特許文献1に記載のキトサンシートは、引張り等の機械的強度が不十分であったり、また創傷被覆材としての水分吸収性が必ずしも満足できるものではなかったりするという問題があった。
そのため、キトサンシートに軟膏を染み込ませる方法(例えば特許文献2参照)や、キトサンとコラーゲンからなる複合材シートとする方法(特許文献3参照)等が提案されている。しかし、これらの方法であると、ある程度の柔軟性と強度をキトサンシートに持たせることはできるが、創傷被覆材として使用する場合、人体の複雑な形状部位、例えば、指や顔面等に使用する場合は密着させることが困難であるという問題があった。
一方、キトサンは、上記のように抗血栓性及び止血効果を有することから、創傷被覆材として、粉末のまま、油脂やクリーム等の基材に分散した軟膏や油剤の形態でも、もちろん使用されている(特許文献4及び5参照)。そして、軟膏であれば上記の適用の制限なしで使用することができる。しかし、キトサンは吸水性が低いことから、これらの軟膏は、創傷被覆材としては吸水性が低く、特に、上記湿潤環境下での治癒を行うための創傷被覆材としては好ましくないものであった。
一方、βグルカンは、水溶性の食物繊維であることから、キトサンに比べて扱いが容易であり、更に多くの飲食品に使用されている。また、βグルカンは、ある程度の保湿性を有することから、肌の保湿性向上等の目的で化粧品にも使用されている。しかし、βグルカンは、基本的に水溶性であるため、耐水性が低く、例えばスキンケア化粧品に使用した場合は、経時的に汗や湿気により溶解流去してその効果が低下するという問題がある。また、βグルカンは、結晶安定性が低いため、水分の多い飲食品に使用した場合は、経時的に離水や濁りを生じ、また水分の少ない飲食品や化粧品に使用した場合では、経日的に沈殿やざらを生じることがある等、保存安定性に欠けるという問題があった。
更に、βグルカンは、免疫増強効果を有することから医薬品にも使用されている。そしてβグルカンは、キトサンに比べ高い吸水性を有することから、その粉末を含有する軟膏が創傷治癒剤として提案されている。その例としては、大麦のβグルカン粉末を含有する軟膏(特許文献6参照)や、酵母やカビの細胞壁からの抽出物を含有する軟膏(特許文献7参照)が挙げられる。しかし、βグルカンは、キトサンに比べ抗菌活性が低いこと、及び、耐水性が低く、湿潤環境下で溶解してしまい、結果として創傷治癒活性自体が低いものとなってしまうため、特に、上記湿潤環境下での治癒を行うための創傷被覆材としては好ましくないものであった。
また、酵母やカビにはキチンも含まれていることから、βグルカンとキチンを同時に抽出した複合体を含有する創傷被覆材も提案されている(特許文献8参照)。しかし、このように抽出しただけでは、特許文献8の明細書中に記載のように、その抽出液にはβグルカンとキチンを含有しているが、キチン繊維をβグルカンが包み込んだ形態での複合体、即ち、それぞれの繊維が分離した状態で存在しているため、それぞれの効果が減衰されてしまっていること、また、抗菌活性の主成分であるキトサンが表面に出ていないことから、創傷被覆材としては吸水性も創傷治癒活性も低く、創傷治癒効果は不十分なものであった。
ここで、βグルカンとキチン或いはβグルカンとキトサンを単に混合するのではなく、均質に含む形のシート状複合体を製造した場合、十分な強度と吸水性を併せ持ちながら、水不溶性であり、且つ創傷治癒効果も飛躍的に高まることが報告されている。(例えば、非特許文献1、2及び特許文献9参照)しかし、このシート状複合体は薄く硬いシート状として得られるため、従来のキトサンシートと同様、創傷被覆材として使用する場合、人体の複雑な形状部位、例えば、指や顔面等に使用する場合は、密着させることが困難であるという問題があった。
特開2004−248949号公報 特開2003−265591号公報 特開昭56−133344号公報 特開昭62−221357号公報 特開平10−081628号公報 特表2001−520982号公報 特表平11−501691号公報 特表平11−500159号公報 特開2010−269137号公報
β‐グルカン‐キトサン複合体による創傷被覆シートの調製 小藤恭子他 Drug Deliv Syst 巻:24号:3頁:303 薬剤学 巻:69 号:Supplement 頁:151 β‐グルカン‐キトサン複合体による創傷被覆シートの調製 小藤恭子他 薬剤学 巻:69号:Supplement 頁:151 β‐グルカン‐キトサン複合体シートによる創傷治療効果の検討 日本薬学会年会要旨集 巻:130th号:4頁:224
このように、創傷被覆材に使用した際に適度の吸水性と高い耐水性を併せ持ち、且つ、人体の複雑な形状部位に適用可能である、高い創傷治癒効果を有する医療用素材が求められていた。
本発明者は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、キトサンとβグルカンに複合体シート製造時に、通常の乾燥方法ではなく、凍結乾燥法により完全に乾燥させ、更に、強度に破砕して得られた粉粒状の複合体が上記目的を達成可能であることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体を提供するものである。
また、本発明は、上記粉粒状複合体を有効成分とする創傷被覆材を提供するものである。
また、更に本発明は、下記の、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法を提供するものである。
βグルカン水溶液にキトサンを懸濁させ、その後、βグルカンをゲル化させ、更に、酸性水溶液によりキトサンを溶解させることによって得られた複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液をゲル化させて得られた複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
βグルカン水溶液及びキトサンの酸性水溶液を重層することで、その界面に形成された複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液を加圧加熱することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
本発明の粉粒状複合体は、適度の吸水性、高い耐水性、保存安定性を併せ持つ。また、上記特徴に加え、粉粒状であることから、生体のあらゆる複雑な形状の部位にも適用可能であり、そのため、創傷被覆材として特に有用である。
以下、本発明について好ましい実施形態に基づき説明する。
先ず、本発明の粉粒状複合体について説明する。本発明の粉粒状複合体は、キトサン及びβグルカンからなる。
本発明に用いるキトサンは、キチンの脱アセチル化によって酸性水溶液に溶解するようになったキトサンであればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは40%以上、より好ましくは70%以上脱アセチル化したものがよく、更に好ましくは80%以上脱アセチル化したキトサンがよい。また、市販のキトサンを使用することもできる。
上記キトサンの分子量は、シートを形成することができるだけの分子量があればよく、特に限定されるものではないが、重量平均分子量が好ましくは10,000〜4,000,000、より好ましくは50,000〜3,000,000である。
本発明に用いるβグルカンは、水溶性のβグルカンであればよく、特に限定されるものではないが、β1,3結合、β1,4結合、β1,6結合のうちの異なる2種以上の結合を有するβグルカンが好ましく、例えば、β1,3結合とβ1,4結合を有するβ−1,3−1,4−グルカンや、β1,3結合とβ1,6結合を有するβ−1,3−1,6−グルカン等を挙げることができる。中でも、抗菌性の高い複合体が得られることから、β−1,3−1,6−グルカンが好ましい。
上記β−1,3−1,4−グルカンとしては、穀物由来のβグルカンが挙げられる。穀物としては、イネ科植物が好ましい。イネ科植物の例としては、米類、小麦類、トウモロコシ類、モロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類(カラス麦類)、ライ麦類等の穀類を挙げることができ、特に精製度の高いβグルカンが得られることから、大麦由来のものが好ましい。また、適度の吸水性がある均質な品質の複合体を容易に得ることができることから、特にこれらイネ科植物から抽出によって得られたβグルカンが好ましい。
また、上記β−1,3−1,6−グルカンとしては、担子菌由来又は微生物由来のβグルカンが挙げられるが、微生物由来のβグルカンが、より精製度の高いβグルカンが得られること及びβグルカンの生産効率が高いことに加え、より抗菌性の高い複合体が得られること、特に創傷治癒効果の高い創傷被覆材が得られる点で好ましい。
上記担子菌類としては栽培品種が最も好ましいが、商業生産に供せられていない担子菌類でもよい。例としては、アガリクス・ブラゼイ、アミガサタケ、アミタケ、エゾハリタケ、エノキタケ、カンゾウタケ、キクラゲ、キヌガサタケ、クリタケ、サケツバタケ、ササクレヒトヨタケ、サンゴハリタケ、シイタケ、ショウロ、シロキクラゲ、シロタモギタケ、スギヒラタケ、タモギタケ、チョレイマイタケ、ツバヒラタケ、冬中夏草、ナメコ、ナラタケ、ナラタケモドキ、ニオウシメジ、ニカワウロコタケ、ニカワハリタケ、ヌメリスギタケ、ヌメリスギタケモドキ、ハツタケ、ヒラタケ、ブクリョウ、フクロタケ、ブナシメジ、ブナハリタケ、ホンシメジ、マイタケ、マスタケ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マンネンタケ、ムキタケ、ムラサキシメジ、ヤマドリタケ、ヤマブシタケ、ヤナギマツタケ、ハナビラタケ、メシマコブ等が挙げられる。
上記微生物類としては、従来より食用に供せられている微生物類が、安全性が高く適している。即ち、酵母菌、乳酸菌、納豆菌、酢酸菌、麹菌、クロレラやスピルリナ等の藻類、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する微生物等を挙げることができる。これらの微生物類の中でも、微生物を培養することによって菌体外にβグルカンを分泌し、分離・精製が容易であること、及び、溶解度が高く、夾雑物の少ないβグルカンを得ることが容易である点で、アウレオバシジウム属に属する微生物が特に好ましい。
上記アウレオバシジウム(Aureobasidium)属に属する微生物としては、アウレオバシジウムプルランス(Aureobasidium pullulans)が好ましく、着色のない複合体が得られる点でアウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK-34(FERM P-18932)又は、アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK-34(FERM BP-8391)を用いることが特に好ましい。
上記βグルカンの分子量も、キトサンの分子量同様、特に限定されるものではないが、重量平均分子量が好ましくは1,000〜3,000,000、より好ましくは5,000〜1,000,000である。
本発明において、粉粒状複合体とは、上記キトサンと上記βグルカンの複合体であって、その形態が粉粒状であるものを指す。
尚、上記複合体の具体的形状としては、一般の食物繊維同様、結晶化の状態により様々形状をとるため、粉状〜粒状に限定されず、繊維状のものも含まれることとする。
上記複合体の粒径は、特に限定されないが、粉状〜粒状の場合、平均粒径が1μm〜5mmの範囲であればよいが、好ましくは平均粒径が10μm〜1mmである。
上記複合体の粉末が繊維状である場合、その好ましい直径は上記粒径と同一であるが、長さについては、好ましくは5mm以下、より好ましくは2mm以下である。
本発明において、キトサンとβグルカンの割合は、キトサン100質量部に対して、βグルカン1〜3000質量部が好ましく、10〜2000質量部がより好ましく、25〜1000質量部が更に好ましい。
上記割合を超えてキトサンが多すぎても、βグルカンが多すぎても本発明の効果が得難い。
本発明において、「複合体」とは、単にキチン又はキトサンと、βグルカンの粉末を混合しただけでは得られず、また、キチンとβグルカンを共に含有する微生物細胞のようなキチン繊維がβグルカンにより包まれた形態でもなく、キトサンとβグルカンが均質に存在することが必要である。
「複合体」と単なる混合物とは、酸性水溶液とアルカリ水溶液への溶解性で区別することができる。
即ち、「複合体」は、酸性水溶液にもアルカリ水溶液にも不溶であるが、混合物は、両方の溶液に一部又は全部溶解する。
これは、キトサンは酸性水溶液に可溶で、アルカリ水溶液に不溶、βグルカンは酸性水溶液にもアルカリ水溶液にも可溶だからである。
このような「複合体」は、キトサンとβグルカンが共に溶解した水溶液とすること、又はそれぞれが溶解した水溶液を接触若しくは混合させること、によって得られる。
本発明の粉粒状複合体は、具体的には例えば以下の(1)〜(4)の製造方法により得ることができる。
(1)βグルカン水溶液にキトサンを懸濁させ、その後、βグルカンをゲル化させ、更に、酸性水溶液によりキトサンを溶解させてβグルカンのゲルに浸潤させることによって得られた複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
(2)βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液をゲル化させて得られた複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
(3)βグルカン水溶液及びキトサンの酸性水溶液を重層することで、その界面に形成された複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
(4)βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液を加圧加熱することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
ここで、先ず、上記(1)の製造方法の好ましい実施態様について詳述する。
先ず、βグルカン水溶液を用意する。βグルカン水溶液は、単離された水溶性βグルカンを水に溶解させてもよいし、βグルカンの製造工程においてβグルカン水溶液として製造されたものであってもよい。
用いるβグルカン水溶液の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
次に、このβグルカン水溶液に、キトサンを懸濁させて、βグルカンを含有したキトサン懸濁液を調製する。用いるキトサンは粉末キトサンであっても、水に懸濁させたキトサン懸濁液であってもよい。この際のキトサンとβグルカン水溶液との使用割合は、キトサンとβグルカンの割合が、キトサン100質量部に対して、βグルカン1〜3000質量部の範囲が好ましく、10〜2000質量部がより好ましく、25〜1000質量部が更に好ましい。
尚、上記のようなβグルカンを含有したキトサン懸濁液は、粉末βグルカンと粉末キトサンを予め混合した後、この混合粉末を水に懸濁(βグルカン成分は水に溶解し、キトサン成分は懸濁する)させて得ることも好ましい。
次に、このβグルカンを含有したキトサン懸濁液を、容器、例えばシャーレ等に入れる。上記懸濁液の濃度にもよるが、例えば、キトサンとβグルカンの割合が上記の範囲の場合、内径28mmのシャーレであれば、懸濁液を0.1g〜30g、好ましくは0.5g〜10g、より好ましくは1g〜5g入れればよい。
次に、この容器に入れた懸濁液をゲル化する。このゲル化方法は特に制限されず、水分の蒸発による方法であっても、ゲル化できる液体を添加する方法であってもよいが、製造に要する時間が短くてすみ、生産性が高いことから、ゲル化できる液体を添加する方法が好ましく、特に均質な複合体を安定して製造可能であることから、表面にゲル化できる液体を注入する方法がより好ましい。このような液体としては、ゲル化後の除去が容易であり、取り扱いが容易で安全性も高いことから、エタノールを使用することが好ましい。エタノールの注入量はβグルカンの量によって適宜選択すればよいが、キトサンとβグルカンの割合が上記の範囲の場合、懸濁液2gに対して好ましくは0.1〜20mL、より好ましくは0.5〜10mL、更に好ましくは1〜5mL注入すればよい。エタノールはβグルカンがゲル化される間保持すればよく、好ましくは30分〜6時間、より好ましくは1時間〜3時間程度保持すればよい。このようにしてβグルカンがゲル化し、キトサン粒子がβグルカンのゲルネットワーク中に保持されることとなる。
次に、ゲル化した懸濁液に対し、好ましくは先程使用した余分のエタノールを除去した後、キトサン粒子を溶解することのできる酸性水溶液を注入する。酸性水溶液のpHは、2以上7未満であれば特に限定されないが、βグルカンのゲルに影響を与えない酸性領域であることが好ましいことから、好ましくは3〜5であり、より好ましくは3.5〜5である。また使用する酸の種類についても特に限定されないが、キトサンの溶解性が高く安定した複合体の製造が可能である点で、蟻酸、リンゴ酸、酢酸、アジピン酸、塩酸等の酸又は酸緩衝液が好ましく、例えば、pH4.5の0.1M酢酸水溶液を好ましく使用することができる。
上記酸性水溶液は、例えば、懸濁液2gを2mLのエタノールでゲル化させたものに対して、好ましくは0.1〜20mL、より好ましくは0.5〜10mL、更に好ましくは1〜5mL注入すればよい。酸性水溶液はキトサンが溶解される間保持すればよく、好ましくは6時間〜2昼夜、より好ましくは12時間〜24時間保持すればよい。このようにして、βグルカンのゲルネットワーク中にキトサンの酸性水溶液が浸潤し、βグルカンとキトサンが複合化された含水状態のシート(複合体ゲル)が形成される。
上記の方法で得られた複合体ゲルは、必要に応じ、酸性水溶液やエタノール等のゲル化に使用した余分な液体や酸を除去した後、粉粒化する。
尚、粉粒化の前後に、必要に応じ、乾燥させてもよい。
乾燥方法としては、凍結乾燥、熱風乾燥、冷風乾燥、風乾、スプレードライ、真空乾燥等、特に制限なく使用することができるが、上記複合体ゲルは強固なゲルであるため、粉粒化前の乾燥方法として、熱風乾燥、冷風乾燥、風乾の方法を用いた場合、その乾燥体も硬度の高い板状体になり、粉粒化が困難となる。そのため、粉粒化前に乾燥させる場合は、乾燥方法として凍結乾燥を用いることが好ましい。凍結乾燥による乾燥体は、崩壊性の高い海綿状であるため、その後の粉粒化の際により微細なものが容易に得られる。
尚、粉粒化方法については特に制限されず、ミキサーや臼、或いはローラー等、一般的な破砕方法を用いることができる。
次に、上記(2)の製造方法の好ましい実施態様について詳述する。
この(2)の製造方法と上記(1)の製造方法との違いは、上記(1)の製造方法が、キトサン粒子がβグルカンのゲルネットワーク中に保持されているβグルカンゲルを一旦製造してからキトサンのみを溶解して複合体ゲルを製造するのに対し、この(2)の製造方法では、両者が溶解している状態から直接複合体ゲルを製造する点にあり、そのため、上記(1)の製造方法に比べて、より容易に短時間で粉粒状ゲルを製造可能である点において好ましい。
この(2)の製造方法においては、先ず、βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液を用意する。
この酸性水溶液は、最終的にβグルカンとキトサンが溶解している酸性水溶液が得られていればよいため、その添加方法や溶解順は特に制限されず、例えば、βグルカンとキトサン粉末を酸性水溶液に直接溶解する方法、βグルカン水溶液にキトサンを懸濁させた懸濁液に酸を添加して酸性化する方法、キトサンの酸性水溶液にβグルカンを添加し溶解する方法、βグルカン水溶液とキトサンの酸性水溶液を混合する方法等を挙げることができる。
上記酸性水溶液の好ましいβグルカン濃度は、0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%であり、好ましいキトサン濃度は、0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
また、酸性水溶液のpHは、2以上7未満であれば特に限定されないが、上記(1)の製造方法と同様の理由により、好ましくは3〜5であり、より好ましくは3.5〜5である。また、使用する酸の種類についても特に限定されないが、上記(1)の製造方法と同様の理由により、蟻酸、リンゴ酸、酢酸、アジピン酸、塩酸等の酸又は酸緩衝液が好ましく、例えば、pH4.5の0.1M酢酸水溶液を好ましく使用することができる。
次に、このβグルカンとキトサンが溶解している酸性水溶液を、容器、例えばシャーレ等に入れる。酸性水溶液の濃度にもよるが、例えば、βグルカンとキトサンの濃度が上記の範囲の場合、内径28mmのシャーレであれば酸性水溶液を、0.1g〜30g、好ましくは0.5g〜10g、より好ましくは1g〜5g入れればよい。
次に、この容器に入れた酸性水溶液をゲル化する。このゲル化方法は特に制限されず、水分の蒸発による方法であっても、ゲル化できる液体を添加する方法であってもよいが、上記(1)の製造方法と同様の理由により、βグルカンをゲル化できる液体を添加する方法が好ましく、表面にβグルカンをゲル化できる液体を注入する方法が好ましい。このような液体としては、上記(1)の製造方法と同様の理由により、エタノールを使用することが好ましい。エタノールの注入量はβグルカンの量によって適宜選択すればよいが、βグルカンとキトサンの濃度が上記の範囲の場合、酸性水溶液2gに対して、好ましくは0.1〜20mL、より好ましくは0.5〜10mL、更に好ましくは1〜5mL注入すればよい。エタノールはβグルカンがゲル化される間保持すればよく、好ましくは30分〜6時間、より好ましくは1時間〜3時間程度保持すればよい。このようにしてβグルカンが先ずゲル化し、キトサンはβグルカンのゲルネットワーク中に保持されることとなり、βグルカンとキトサンが複合化された含水状態のシート(複合体ゲル)が形成される。
上記の方法で得られた複合体ゲルは、必要に応じ、酸性水溶液やエタノール等のゲル化に使用した余分な液体や酸を除去した後、粉粒化する。
尚、粉粒化の前後に、必要に応じ、乾燥させてもよい。
上記粉粒化方法及び乾燥方法としては、上記(1)の製造方法と同様の方法を用いることができる。
次に、上記(3)の製造方法の好ましい実施態様について詳述する。
先ず、βグルカン水溶液を用意する。βグルカン水溶液は、上記(1)の製造方法と同様のものを使用することができる。
次に、キトサンの酸性水溶液を用意する。キトサンの濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%であり、pHは、2以上7未満であれば特に限定されないが、上記(1)の製造方法と同様の理由により、好ましくは3〜5であり、より好ましくは3.5〜5である。また、使用する酸の種類についても特に限定されないが、上記(1)の製造方法と同様の理由により、蟻酸、リンゴ酸、酢酸、アジピン酸、塩酸等の酸又は酸緩衝液が好ましく、例えば、pH4.5の0.1M酢酸水溶液を好ましく使用することができる。
次に、上記βグルカン水溶液、及び、キトサンの酸性水溶液を重層する。いずれの水溶液を下層にしてもよいが、好ましくはβグルカン水溶液を下層とする。βグルカン水溶液を上層とすると、2つの水溶液が経時的に混合されてしまい易く、界面の形成が困難になり易い。
重層することで、その界面にβグルカンとキトサンが複合化された含水状態のシート(シート状の複合体ゲル)が形成される。
重層時間は、好ましくは20分〜12時間、より好ましくは2時間〜8時間保持すればよい。尚、βグルカン水溶液を下層とした場合は良好な物性のシートが形成されてから1〜3時間経過するとシートは沈降するため、十分に複合化された判断基準として利用することができる。
上記の方法で得られた複合体ゲルは、必要に応じ、酸性水溶液やエタノール等のゲル化に使用した余分な液体や酸を除去した後、粉粒化する。
尚、微粒化の前後に必要に応じ、乾燥させてもよい。
上記粉粒化方法及び乾燥方法としては、上記(1)の製造方法と同様の方法を用いることができる。
次に、上記(4)の製造方法の好ましい実施態様について詳述する。
βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液については、上記(2)の製造方法と同様のものを使用することができる。
そして、加圧加熱する。このための装置の例としてはオートクレーブ、レトルト等、一般的な装置を使用することができる。
好ましい加熱温度は100〜130℃、更に好ましくは105〜125℃である。
また、好ましい圧力は0.05〜5MPa、より好ましくは0.1〜0.5MPaである。
加熱加圧時間は、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは5〜30分である。
このような加熱加圧により、混合液中のキトサンとβグルカンは複合体ゲル化し、直接、微粒子状〜微細繊維状の粉粒状複合体の沈殿として生成する。
生成した沈殿は、濾過、洗浄し、必要に応じ乾燥させる。
本発明においては、上記(1)〜(4)の方法の中でも、ある程度のβグルカンやキトサンの濃度のばらつきがあっても一定の品質の複合体が得られる点で、上記(3)又は(4)の製造法を用いることが好ましく、中でも、濾過するだけで直接粉粒状の複合体を得ることができ、製造が容易である点、及び、加圧加熱条件が一定であれば、ある程度のβグルカンやキトサンの濃度のばらつきがあっても均質な品質の複合体が得られる点で、上記(4)の製造法を用いることがより好ましい。
また、上記粉粒状複合体は、膨潤したものであってもよい。膨潤時における水分含量は、微細化粉末の好ましくは90質量%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは50質量%以下とする。
尚、製造方法として、上記(4)の製造方法を行った場合は、生成した沈殿自体がわずかに膨潤した状態であるため、沈殿をろ別し、上記水分含量まで乾燥させることで、上記膨潤状態とすることもできる。
このようにして得られた粉粒状複合体は、各種の飲食品、医薬品、化粧品に使用することができる。中でも、本発明の粉粒状複合体は、適度の吸水性、高い耐水性、保存安定性、創傷治癒活性を有することから、創傷被覆材に使用することが好ましい。
次に、本発明の創傷被覆材について説明する。尚、特に説明しない点については、本発明の粉粒状複合体における説明が適宜適用される。
本発明の創傷被覆材は、本発明の粉粒状複合体を有効成分とする。本発明の創傷被覆材は、本発明の粉粒状複合体を、そのまま単独で使用してもよく、また各種の添加剤や基材と混合して、常法により粉体、顆粒状、錠剤、軟膏、液剤、ハイドロゲル、ゼリー等の形状に製剤化して使用してもよい。
粉体、顆粒状、錠剤等の形状に製剤化するための添加剤としては、アルギン酸類、ペクチン、海藻多糖類、カルボキシメチルセルロース等の増粘多糖類や、乳糖、でんぷん、二酸化ケイ素等の賦形剤、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、ステビア等の甘味料、微粒二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、リン酸二ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の固結防止剤、ビタミン類、香料、酸化防止剤、光沢剤等が挙げられ、これらの一種又は二種以上のものが適宜選択して用いられる。本発明の創傷被覆材における上記添加剤の含有量は、添加剤の種類によって異なるが、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
軟膏の形状に製剤化するための基剤としては、脂肪、ろう、ワセリン、ラノリン、マクロゴール(ポリエチレングリコール)等公知の基材を使用することができる。本発明の創傷被覆材における上記基材の含有量は、基材の種類によって異なるが、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
またハイドロゲルやゼリーの形状に製剤化するための基材としても、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、寒天、デキストラン、アルギン酸ナトリウム等の公知の基材を使用することができる。本発明の創傷被覆材における上記基材の含有量は、基材の種類によって異なるが、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%である。
液剤の形状に製剤化する場合は、液体に溶分散させることにより得られる。そのような液体としては、水、エタノール、プロピレングリコール等が挙げられる。本発明の創傷被覆材における上記液体の含有量は、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
上記各種製剤には、剤形に応じた薬剤を調製するのに通常使用される乳化剤、酸化防止剤、香料、着色料、pH調整剤、充填剤、増量剤、マスキング剤、可溶化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定化剤、保存剤等を添加してもよい。
また、創傷治癒材として使用する場合は、2枚のシートの間に上記粉粒状複合体を充填してもよく、また、軟膏の形態とした創傷被覆材をシート状の被覆材に含浸させて用いることもできる。
以下に実施例等を挙げ更に本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕<粉粒状複合体の製造(1)>
β−1,3−1,6−グルカン(アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK-34(FERM BP-8391)由来のβ−グルカン:株式会社ADEKA製:重量平均分子量300,000)の粉末を水に溶解し、1質量%のβグルカン水溶液を得た。一方、キトサン粉末(焼津水産化学工業株式会社製、商品名:LL−40:脱アセチル化率80%以上)を1質量%となるように、pH4.5の0.1M酢酸水溶液に溶解させ、pH4.8のキトサンの酸性水溶液とした。上記βグルカン水溶液10mlをシャーレ(内径50mm)に入れ、更にその上からキトサンの酸性水溶液10mlを注ぎ重層し、6時間放置し、その界面にシート状のβグルカンとキトサンの複合体ゲルを形成させた。得られた複合体ゲルを6時間水に浸漬して酸を除去した後凍結乾燥し、たて型ミキサーで破砕し、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状の複合体(0.1g)(平均粒径100μm)を得た。得られた粉状の複合体は、酸性水溶液及びアルカリ性水溶液に不溶であり十分な耐水性と吸水性を有していた。
尚、得られた本発明の粉粒状複合体におけるキトサンとβグルカンの割合は、複合体ゲル形成前後のβグルカン水溶液及びキトサンの酸性水溶液のそれぞれのβグルカン含量及びキトサン含量から求めたところ、キトサン100質量部に対してβグルカン500質量部であった。
〔実施例2〕<粉粒状複合体の製造(2)>
β−1,3−1,6−グルカン(アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK-34(FERM BP-8391)由来のβ−グルカン:株式会社ADEKA製:重量平均分子量300,000)の粉末を水に溶解し、0.5質量%のβグルカン水溶液を得た。一方、キトサン粉末(焼津水産化学工業株式会社製、商品名:LL−40:脱アセチル化率80%以上)を0.5質量%となるように、pH4.5の0.1M酢酸水溶液に溶解させ、pH4.8のキトサンの酸性溶液とした。
上記キトサンの酸性水溶液100gにβグルカン水溶液100gを加え、βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液(pH=4.8)とした。この酸性水溶液をオートクレーブで使用し、121℃、0.2MPaで、15分間加熱した。その後、溶液を濾過、洗浄し、風乾し、キトサン及びβグルカンからなる繊維状の複合体(0.39g)(平均直径100μm、長さ2mm以下)を得た。得られた繊維状の複合体は、酸性水溶液及びアルカリ性水溶液に不溶であり十分な耐水性と吸水性を有していた。
尚、得られた本発明の粉粒状複合体におけるキトサンとβグルカンの割合は、キトサン100質量部に対してβグルカン400質量部であった。
〔実施例3〕<粉粒状複合体の製造(3)>
β−1,3−1,6−グルカン(アウレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pulullans)ADK-34(FERM BP-8391)由来のβ−グルカン:株式会社ADEKA製:重量平均分子量300,000)の粉末0.50g、及びキトサン粉末(焼津水産化学工業株式会社製、商品名:LL−40:脱アセチル化率80%以上)0.15gを混合した混合粉末を水100gに懸濁(βグルカン成分は水に溶解、キトサン成分は懸濁)させ、ここに、50質量%酢酸水溶液をpHが4.8になるように添加し、βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液(pH=4.8)とした。この酸性水溶液をオートクレーブを使用し、121℃、0.2MPaで、15分間加熱した。その後、溶液を濾過、洗浄し、、風乾し、キトサン及びβグルカンからなる繊維状の複合体(0.45g)(平均直径100μm、長さ2mm以下)を得た。
得られた繊維状の複合体は、酸性水溶液及びアルカリ性水溶液に不溶であり十分な耐水性と吸水性を有していた。
尚、得られた本発明の粉粒状複合体におけるキトサンとβグルカンの割合は、キトサン100質量部に対してβグルカン400質量部であった。
〔比較例1〕
実施例1で使用したβグルカン粉末をそのまま比較例1の粉体とした。この粉体は、酸性水溶液及びアルカリ水溶液の両方に可溶であった。また、吸水性は良好であったが、耐水性は極めて不良であった。
〔比較例2〕
実施例1で使用したキトサン粉末をそのまま比較例2の粉体とした。この粉体は、酸性水溶液には可溶であったが、アルカリ水溶液には不溶であった。また、吸水性は良好であったが、耐水性は極めて不良であった。
〔比較例3〕
実施例1で使用したβグルカン粉末とキトサン粉末を1:1の質量比で混合し、比較例3の粉体混合物とした。この粉体混合物は、酸性水溶液には完全に溶解し、アルカリ水溶液には一部溶解したが粒状の沈殿を生じた。また、吸水性は良好であったが、耐水性は極めて不良であった。
<創傷被覆剤のマウス試験>
試験動物としてddyマウス(雄性、6週齢、体重25〜30g)1群6匹を用い、エーテル麻酔下(脱脂綿に染み込ませ、デシケーター中で吸引させた。)に剃毛、消毒を施し、背部正中線上の皮膚に、外科手術用ハサミにより直径が1cmの全層皮膚欠損創を作成した。欠損創作成後直ちに上記実施例1〜3で得られた粉粒状複合体をそのまま創傷被覆材として0.5gを直接創傷面に散布充填し、更にこの外側をフィルム(テガダーム:住友スリーエム製)で被覆した。
欠損創作成後、7日目、14日目に、フィルム及び浸出液によって吸水・膨潤した創傷被覆材をいったん剥離除去し、創傷面積を計測した。尚、比較例として、比較例1の粉体0.5g、比較例2の粉体0.5g、比較例3の粉体混合物0.5g、及び、創傷被覆材不使用(比較例4)を同様に実施した。
<創傷被覆剤の評価>
欠損創作成直後(0日目)の創傷面積を100(%)とした場合の、各測定日に測定した創傷面積の割合(%)を表1にまとめた。
Figure 2013133287
表1の結果から、実施例1〜3の本発明の創傷被覆材を使用した場合は、コントロールの場合(比較例4)や、βグルカンのみ(比較例1)、キトサンのみ(比較例2)或いはβグルカンとキトサンの粉末の混合物(比較例3)に比べて、治癒に要する期間が著しく短縮されていることがわかる。また、治癒後の傷痕が目立たないものであった。

Claims (7)

  1. キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体。
  2. 上記βグルカンが微生物由来である請求項1記載の粉粒状複合体。
  3. 請求項1又は2記載の粉粒状複合体を有効成分とする創傷被覆材。
  4. βグルカン水溶液にキトサンを懸濁させ、その後、βグルカンをゲル化させ、更に、酸性水溶液によりキトサンを溶解させてβグルカンのゲルに浸潤させることによって得られた複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
  5. βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液をゲル化させて得られた複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
  6. βグルカン水溶液及びキトサンの酸性水溶液を重層することで、その界面に形成された複合体ゲルを粉粒化することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
  7. βグルカン及びキトサンを含有する酸性水溶液を加圧加熱することを特徴とする、キトサン及びβグルカンからなる粉粒状複合体の製造方法。
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