以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。また、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「左」、「右」、「左右」等の方向を指す用語は、特段の説明がある場合を除き、後述するメイン走路40の各方向を意味するものとする。さらに、図10及び図11においては、発明の理解を容易にするために、後述の第1駆動ユニット60及び第2駆動ユニット160並びにそれらの関連部材の図示を省略している。
図1は、本実施形態に係る移動式屋根設備10を示す平面図である。図1に示す例では、細長く形成された貯炭場が、一列に並べて設置された複数の移動式屋根設備10によって覆われるようになっている。すなわち、各移動式屋根設備10は、貯炭場の一部を対象エリア2としている。図2に示すように、対象エリア2を構成する貯炭場には、例えば火力発電所や製鉄所等で使用される石炭4が山積みされるようになっており、移動式屋根設備10で覆われることにより、風雨等から保護され得る。
なお、本実施形態では、対象エリア2が貯炭場の一部である場合について説明するが、対象エリア2はこれに限定されるものでなく、例えば、野球場または陸上競技場等の一部または全体を対象エリアとしてもよい。さらに、本実施形態では、複数の移動式屋根設備10が並べて設置される場合について説明するが、本発明は、移動式屋根設備10を単独で設置することを妨げるものでない。
図1及び図2に示すように、貯炭場の短手方向両側の縁部には、それぞれ長手方向に延びるメイン走路40が形成されている。本実施形態において、メイン走路40は、複数の移動式屋根設備10に共通して使用されるように設けられているが、移動式屋根設備10毎に個別のメイン走路40を設けてもよい。平面視において、メイン走路40は略直線状に延設されているが、貯炭場の平面形状に応じて湾曲するように設けてもよい。
図3に示すように、メイン走路40は、前後方向に複数並べて配設された車輪24の列で構成されている。なお、本実施形態では、メイン走路40が車輪24の列で構成される場合について説明するが、メイン走路を構成する回転体として、車輪24に代えて、例えばギヤ等、車輪以外の回転体を使用してもよい。
図8及び図9に示すように、各車輪24は、左右方向に延びる軸25を中心として回転可能に設けられている。車輪24の軸25は、軸25毎に個別の支持部材26に支持されている。
支持部材26は、メイン走路40の設置面100との間に高さ調整用シム50を介装可能に設置されている。
設置面100は、例えば基礎コンクリートの表面で構成されている。なお、この基礎コンクリートは、メイン走路40の全長に亘って連続して設けてもよいし、1つ又は複数の支持部材26毎に前後方向に分割して設けてもよい。また、本発明において、設置面100は、基礎コンクリートの表面に限定されるものでなく、例えば、地面、又は、基礎上または地面上に設置された鋼材の上面等であってもよい。
支持部材26は、例えば、前後方向から見て上向きに開放する倒コ字形のプレートで構成され、下側水平部27と、下側水平部27の左右両側縁部からそれぞれ立ち上がる一対の縦壁部28,29とを有する。車輪24の軸25は、一対の縦壁部28,29間に架設されており、この軸25により車輪24が回転自在に支持されている。下側水平部27と設置面100との間には1枚または複数の高さ調整用シム50が介装可能となっており、下側水平部27と設置面100との間に介装される高さ調整用シム50の厚みおよび/または枚数を変更することによって、軸25の高さ調整が可能となっている。
ただし、本発明において、支持部材26の構造は、設置面100との間に高さ調整用シム50を介装可能なものであれば、上記構造に限定されるものでない。
支持部材26は、例えばアンカーボルト52を用いて設置面100に固定される。アンカーボルト52の一端側は、設置面100を構成する基礎コンクリートに埋め込まれており、アンカーボルト52の他端側は設置面100の上方に露出している。高さ調整用シム50が用いられる場合、支持部材26の下側水平部27と高さ調整用シム50とにそれぞれ予め形成されたボルト挿通穴54,55にアンカーボルト52の露出部分が挿通された状態で、設置面100上に高さ調整用シム50と支持部材26の下側水平部27とが順に重ねられ、アンカーボルト52に螺合されたナット53が下側水平部27の上側から締め付けられることで、支持部材26が設置面100との間に高さ調整用シム50を介装した状態で設置面100に固定される。
ただし、支持部材26と設置面100との間には必ずしも高さ調整用シム50を介装しなくてもよく、車輪24の高さを高く補整する必要がある場合のみ高さ調整用シム50を用いるようにしてもよい。
図1〜図3に示すように、移動式屋根設備10は、それぞれメイン走路40に沿って前後方向に移動可能な第1屋根部14と第2屋根部16とを備えている。
第1屋根部14は内側屋根本体20を有し、第2屋根部16は外側屋根本体30を有する。内側屋根本体20は、前後方向における対象エリア2の一部を被覆可能に設けられている。一方、外側屋根本体30は、内側屋根本体20の外側に重ねて配置可能に設けられており、これにより、内側屋根本体20との干渉を回避できるようになっている。また、屋根設備10の閉鎖状態において、外側屋根本体30は、内側屋根本体20と共に対象エリア2を全体に亘って被覆可能となっている。
図1に示す状態について説明する。なお、この説明において方向に関して使用する用語は、図中の方向を指すものとする。図1において最も左側の移動式屋根設備10では、第1屋根部14と第2屋根部16とにより対象エリア2全体が被覆された閉鎖状態から、第2屋根部16が図中左側へ移動することで、内側屋根本体20の右半部の外側に外側屋根本体30の左半部が重ねられた状態となっており、左から2番目の移動式屋根設備10では、閉鎖状態から第1屋根部14が右側へ移動することで、外側屋根本体30の左半部の内側に内側屋根本体20の右半部が重ねられた状態となっている。これにより、これら両屋根設備10は部分的に開放し、貯炭場の一部が露出した状態となっている。このように屋根設備10を開放状態とすることで、屋根設備10の外側に設置されたスタッカ、リクレーマ等を用いて、石炭4の積上げ作業、払出し作業等を行うことができる。
図2に示すように、内側屋根本体20と外側屋根本体30とはそれぞれ断面山型に形成されている。これにより、内側屋根本体20及び外側屋根本体30の構造の簡略化を図りつつ、対象エリア2に山積みされる石炭4との干渉を回避できるようになっている。ただし、内側屋根本体20及び外側屋根本体30の断面形状は、山型に限定されるものでなく、例えば、アーチ状に形成してもよい。
第1屋根部14の具体的な構成について説明する。
第1屋根部14は、内側屋根本体20の左右方向両端部において前後方向に延設された一対の第1フレーム部22を更に有する。すなわち、内側屋根本体20は、一対の第1フレーム部22に跨って設けられており、これら第1フレーム部22により支持されている。
図6及び図7に示すように、第1フレーム部22の下面には、メイン走路40の車輪24に係合するレール部材58が前後方向に延設されている。レール部材58は、上端部が平板状となっており、第1フレーム部22の下面に例えば溶接により固定されている。ただし、本発明において、レール部材58の断面形状は特に限定されるものでない。また、レール部材58は、必ずしも凸状のレールである必要はなく、溝状のレールであってもよい。
このレール部材58がメイン走路40の車輪24に係合することにより、第1フレーム部22は、車輪24により下側から支持されるとともに、車輪24を回転させながらメイン走路40に沿って前後方向に移動可能となっている。
このように、本実施形態によれば、メイン走路40が、前後方向に複数並べて配設された車輪24の列で構成され、該車輪24に係合するレール部材58が第1フレーム部22に設けられているため、地盤沈下等により設置面100の高さに例えば図11に示すような不整が生じた場合、大掛かりな土木工事を行わなくても、車輪24の高さを個別に調整することで容易にメイン走路40の高さ補整を行うことができる。具体的に、車輪24の高さ調整は、車輪24を支持部材26ごと一旦取り外した後、設置面100上に設置する高さ調整用シム50の厚みおよび/または枚数を変更して、支持部材26を設置し直すことで簡単に行うことができる。
なお、上述したように設置面100を構成する基礎コンクリートを1つ又は複数の車輪24毎に分割して設けておけば、仮に高さ調整用シム50による調整だけでは対応できないほどの著しい不整が生じた場合、このような顕著な不整が生じた箇所においてのみ基礎工事を行えばよいため、メイン走路40の全長に亘る大掛かりな基礎工事を行う必要がない。
第1フレーム部22の上面には、サブ走路として、前後方向に延びるサブレール42が突設されている。サブレール42は、下端部が平板状となっており、第1フレーム部22の上面に例えば溶接により固定されている。ただし、本発明において、サブレール42の断面形状は特に限定されるものでない。また、サブレール42は、必ずしも凸状のレールである必要はなく、溝状のレールであってもよい。
なお、本実施形態では、サブ走路がサブレール42で構成される場合について説明するが、サブ走路は、メイン走路40と同様、前後方向に複数並べて配設された回転体(例えば車輪)の列で構成されてもよい。
第1屋根部14は、第1屋根部14を前後方向に駆動する第1駆動ユニット60を更に有する。第1駆動ユニット60は、駆動源としてのモータ62と、モータ62の出力回転数を減速する減速機64と、減速機64で減速された回転数で前後方向に転動する転動部材72とを有する。
モータ62は、第1フレーム部22の例えば一端部に固定されている。
減速機64は、モータ62の出力軸に連結された第1スプロケット66と、第1スプロケット66よりも歯数が多い第2スプロケット68と、第1スプロケット66と第2スプロケット68とを駆動連結するチェーン70とを有する。
転動部材72は、第2スプロケット68と同じ回転数で回転するように連結軸73を介して第2スプロケット68に連結された例えばピンギヤである。メイン走路40の設置面100には、メイン走路40に沿って転動部材用の走路74が敷設されている。この走路74は、例えば、転動部材72と係合可能な複数のピン74aを備えたピンラックであり、前後方向に間隔を空けて設けられた複数のブラケット75を介して、設置面100に固定されている。また、各ブラケット75は、メイン走路40の支持部材26と同様、設置面100との間に高さ調整用シム150を介装して設置されている。したがって、地盤沈下等により走路74の高さに不整が生じた場合、高さ調整用シム150の厚みおよび/または枚数を変更することで、容易に高さ補整を行うことができる。なお、走路74は、図7において一部のみが図示されているが、所要の長さを有するように前後方向に連続して設けられている。
第1フレーム部22の例えば一端部には支持部材76が固定されており、該支持部材76に支持された支持軸78により転動部材72が回転自在に支持されている。これにより、転動部材72は、支持軸78と支持部材76とを介して第1フレーム部22に連結されている。
以上の構成により、モータ62が駆動されると、転動部材72が、減速機64で減速された回転数で回転駆動されて、走路74上を前後移動する。上述のように転動部材72は第1フレーム部22に連結されているため、転動部材72が前後方向に移動すると、第1フレーム部22と、第1フレーム部22に支持された内側屋根本体20とが、転動部材72と共に前後移動する。このとき、第1フレーム部22の下方に位置するメイン走路40の車輪24は、軸25を中心として回転しながら第1フレーム部22を支持することで、第1フレーム部22の前後移動を許容するようになっている。
なお、モータ62、転動部材72を設置面100側の車輪24に設け、ピンラックを第1フレーム部22の下方に設けることによって、第1屋根部14を移動可能に構成しても良い。この場合、車輪24の夫々にモータ62を設けても良いが、複数(例えば2〜5個)の車輪24に対して一つのモータ62を設けても良い。また、転動部材72と設置面100との間に高さ調整用シムが介装して設置されている。したがって、地盤沈下等により設置面100の高さに不整が生じた場合、高さ調整用シムの厚みおよび/または枚数を変更することで、容易に高さ補整を行うことができる。このように構成することで、第1屋根部14に対して給電する必要がなくなるので、ケーブルリール等が不要となり、移動屋根設備の構造が簡素化できる。
また、図3に示すように、内側屋根本体20は、前後方向に分割して設けられ、前後方向に並ぶ第1内側屋根本体20aと第2内側屋根本体20bとを有する。これに合わせて、第1フレーム部22は、第1内側屋根本体20aの下端部に設けられた第1分割フレーム部22aと、第2内側屋根本体20bの下端部に設けられた第2分割フレーム部22bとに分割されている。第1分割フレーム部22aと第2分割フレーム部22bとは、左右方向に延びる連結ピン48を介して連結されており、これにより、共に前後移動可能となっている。また、この第1フレーム部22の分割に合わせて、レール部材58及びサブレール42も、前後方向に分割して設けられている。
第1分割フレーム部22aと第2分割フレーム部22bとは連結ピン48を中心として個別に回転することができる。そのため、メイン走路40の高さに不整が生じたときに、各分割フレーム部22a,22bは、レール部材58がメイン走路40の車輪24に載るように連結ピン48を中心として個別に回転するため、車輪24からのレール部材58の浮き上がりが抑制される。これにより、地盤沈下等による不整が生じたときから高さ補整が行われるまでの間、レール部材58から車輪24が脱輪するリスクを軽減することができる。
続いて、第2屋根部16の具体的な構成について説明する。
図2及び図3に示すように、第2屋根部16は、外側屋根本体30の左右方向両端部において前後方向に延設された一対の第2フレーム部32を有する。すなわち、外側屋根本体30は、一対の第2フレーム部32に跨って設けられ、これら第2フレーム部32により支持されている。
図10に示すように、第2フレーム部32は、第1フレーム部22よりも高い位置に配設されている。第2フレーム部32の下方には、メイン走路40上を走行可能な例えば一対の脚部34(34a,34b)と、第1フレーム部22上のサブレール42上を走行可能なサブ走行ユニット36(36a,36b)と、が設けられている。
各脚部34は、第2フレーム部32から下方に突出して設けられ、脚部34の下端部には、メイン走路40の車輪24に係合するレール部材90,92が前後方向に延設されている。レール部材90,92は、脚部34の下面に例えば溶接により固定された凸状のレールである。ただし、レール部材90,92は、必ずしも凸状のレールである必要はなく、溝状のレールであってもよい。
このレール部材90,92がメイン走路40の車輪24に係合することにより、第2フレーム部32は、第1フレーム部22と同様、車輪24により下側から支持されるとともに、車輪24を回転させながらメイン走路40に沿って前後方向に移動可能となっている。
サブ走行ユニット36は、サブレール42に係合する車輪84を有する。車輪84は、サブ走行ユニット36毎に例えば前後一対設けられている。
また、図6及び図7に示すように、サブ走行ユニット36は、一対の車輪84がそれぞれ回転自在に取り付けられた車輪取付部86と、左右方向に延びる支軸87を介して車輪取付部86を吊り下げ支持する吊り下げ支持部88とを更に有する。吊り下げ支持部88は、連結部材94(94a,94b)を介して第2フレーム部32の下面に取り付けられている。
なお、本実施形態では、サブレール42に係合する回転体として車輪84を用いる場合について説明するが、車輪84に代えて、例えばギヤ等、車輪以外の回転体を使用してもよい。また、第1フレーム部22上のサブ走路として、サブレール42に代えて、前後方向に複数並べて配設された回転体の列を使用する場合、第2フレーム部32には、これらの回転体に係合するレール部材がサブ走行ユニット36の代わりに設けられる。
第2屋根部16は、脚部34がメイン走路40上を走行し、サブ走行ユニット36がサブレール42上を走行することにより、前後方向に移動可能となっている。したがって、対象エリア2の左右両側縁部に、第2屋根部16専用の走路を別途敷設する必要がなく、これにより走路の占有幅を縮小できる分だけ、対象エリア2の拡大を図ることができる。そのため、本実施形態においては、より多くの石炭4を対象エリア2に貯蔵することができる。
また、第2屋根部16は、第2屋根部16を前後方向に駆動する第2駆動ユニット160(図3参照)を更に有する。第2駆動ユニット160は、上述の第1駆動ユニット60と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。
図10に戻って、脚部34としては、固定式の脚部34aと、可動式の脚部34bとが例えば1つずつ設けられている。また、サブ走行ユニット36としては、固定式のサブ走行ユニット36aと、可動式のサブ走行ユニット36bとが例えば1つずつ設けられている。
固定式の脚部34aは、第2フレーム部32の一端部に固定され、固定式のサブ走行ユニット36aは、固定式の連結部材94aを介して第2フレーム部32の他端部に固定されている。
一方、可動式の脚部34bと、可動式のサブ走行ユニット36bとは、固定式の脚部34aと固定式のサブ走行ユニット36aとの間において第2フレーム部32に沿ってスライド移動可能に設けられている。
脚部34b及びサブ走行ユニット36bの可動構造に関して、図10に示された具体例を説明する。まず、第2フレーム部32の下面に、前後方向に延びるガイドレール98が突設されている。可動式の脚部34bは、ガイドレール98に対して前後方向にスライド可能に係合して設けられている。同様に、可動式のサブ走行ユニット36bと第2フレーム部32との間に介在する可動式の連結部材94bも、ガイドレール98に対して前後方向にスライド可能に係合して設けられている。
これにより、可動式の脚部34bは、前後方向において第2フレーム部32の中央部と固定式の脚部34aとの間の範囲でガイドレール98に沿ってスライド移動可能となっている。一方、可動式のサブ走行ユニット36bは、前後方向において第2フレーム部32の中央部と固定式のサブ走行ユニット36aとの間の範囲でガイドレール98に沿ってスライド移動可能となっている。
また、可動式の脚部34bと可動式のサブ走行ユニット36bとは、第1屋根部14と第2屋根部16との位置関係に応じて、常に適切な位置に配置されるように移動する。すなわち、第1屋根部14又は第2屋根部16の少なくとも一方が移動するとき、第1屋根部14の構成部材と第2屋根部16の構成部材との干渉を回避しつつ、可動式の脚部34bと可動式のサブ走行ユニット36bとが第2フレーム部32及び外側屋根本体30の荷重を適切な位置で受けることができ、これにより、荷重を適切に分散させることができる。そのため、第2フレーム部32の曲げ強度を特別高くする必要がなくなるため、第2フレーム部32を大型化したり、補強部材を追加したりすることを回避でき、これにより、屋根設備10全体の軽量化を図ることができる。
可動式の脚部34b及び可動式のサブ走行ユニット36bの配置に関して、図3〜図5に示された具体例を説明する。
図3に示すように、移動式屋根設備10の閉鎖状態では、可動式のサブ走行ユニット36bが固定式のサブ走行ユニット36aに隣接して配置され、可動式の脚部34bが第2フレーム部32の中央部の下側に配置される。これにより、第2フレーム部32及び外側屋根本体30の前後方向中央部を可動式の脚部34bによって支持することができ、第2屋根部16について好適な荷重分散を実現することができる。
図4に示すように、移動式屋根設備10が部分的に開放した状態において、可動式のサブ走行ユニット36bは固定式のサブ走行ユニット36aと第2フレーム部32の中央との間に配置され、可動式の脚部は固定式の脚部34aと第2フレーム部32の中央との間に配置される。これにより、第2屋根部16において、脚部34a,34bとサブ走行ユニット36a,36bとが全て前後方向に間隔を空けて配置されることとなるため、第2屋根部16について良好な荷重分散を実現することができる。
図5に示すように、移動式屋根設備10が完全に開放した状態では、可動式の脚部34bが固定式の脚部34aに隣接して配置され、可動式のサブ走行ユニット36bが第2フレーム部32の中央部の下側に配置される。これにより、可動式の脚部が第1屋根部14に干渉することを回避しつつ、第2フレーム部32及び外側屋根本体30の前後方向中央部を可動式のサブ走行ユニット36bによって支持することができる。そのため、この状態においても、第2屋根部16について好適な荷重分散を実現することができる。
図10を参照しながら、可動式の脚部34b及び可動式のサブ走行ユニット36bの移動について更に説明する。
移動式屋根設備10は、第1フレーム部22に対する可動式の脚部34bの相対移動量を、常に第1フレーム部22に対する固定式の脚部34aの相対移動量以下となるように規制する第1の相対移動量規制手段101と、第1フレーム部22に対する可動式のサブ走行ユニット36bの相対移動量を、常に第1フレーム部22に対する固定式のサブ走行ユニット36aの相対移動量以下となるように規制する第2の相対移動量規制手段102と、を更に有する。これら第1の相対移動量規制手段101及び第2の相対移動量規制手段102の作用により、例えば図3〜図5に示すように移動式屋根設備10の開閉状態に応じた好適な可動式の脚部34b及び可動式のサブ走行ユニット36bの配置が実現される。
第1の相対移動量規制手段101及び第2の相対移動量規制手段102について具体的に説明する。
第1の相対移動量規制手段101は、可動式の脚部34bと共に第1フレーム部22に対して相対移動する第1プーリ110と、前後方向に沿って固定式の脚部34aから遠ざける方向へ第1プーリ110を引っ張るように第1プーリ110に巻回された第1ワイヤロープ111と、を有する。
第1プーリ110は、図示しないブラケットを介して可動式の脚部34bに固定されており、これにより、可動式の脚部34bと共に前後方向に移動するようになっている。
第1ワイヤロープ111の一端は、第2フレーム部32の下面に突設されたワイヤ取付部112に固定され、第1ワイヤロープ111の他端は、第1フレーム部22の上面に突設されたワイヤ取付部113に固定されている。第1ワイヤロープ111は、第1プーリ110と各ワイヤ取付部112,113との間で前後方向に沿うように張設されている。
一方、第2の相対移動量規制手段102は、可動式のサブ走行ユニット36bと共に第1フレーム部22に対して相対移動する第2プーリ120と、前後方向に沿って固定式のサブ走行ユニット36aから遠ざける方向へ第2プーリ120を引っ張るように第2プーリ120に巻回された第2ワイヤロープ121と、を有する。
第2プーリ120は、図示しないブラケットを介して可動式のサブ走行ユニット36bに固定されており、これにより、可動式のサブ走行ユニット36bと共に前後方向に移動するようになっている。
第2ワイヤロープ121の一端は、第2フレーム部32の下面に突設された前記ワイヤ取付部112に固定され、第2ワイヤロープ121の他端は、第1フレーム部22の上面に突設された前記ワイヤ取付部113に固定されている。第2ワイヤロープ121は、第2プーリ120と各ワイヤ取付部112,113との間で前後方向に沿うように張設されている。
さらに、第1の相対移動量規制手段101及び第2の相対移動量規制手段102の共通の構成部材として、第2フレーム部32に直接または別の部材を介して固定された複数のプーリ130〜133と、これらのプーリ130〜133に巻回された状態で可動式の脚部34bと可動式のサブ走行ユニット36bとを繋ぐ第3ワイヤロープ135とが設けられている。
前記複数のプーリ130〜133は、例えば、図示しないブラケットを介して固定式の脚部34aに固定された第3プーリ130と、第2フレーム部32の内部に収容された状態で図示しないブラケットを介して第2フレーム部32の一端部に固定された第4プーリ131と、第2フレーム部32の内部に収容された状態で図示しないブラケットを介して第2フレーム部32の他端部に固定された第5プーリ132と、図示しないブラケットを介して固定式のサブ走行ユニット36aに固定された第6プーリ133とを有する。
第3ワイヤロープ135は、一端側の固定部から他端側の固定部に亘って張設されており、可動式の脚部34bへの固定部と第3プーリ130との間、第4プーリ131と第5プーリ132との間、及び、第6プーリ133と可動式のサブ走行ユニット36bへの固定部との間では、それぞれ前後方向に沿って配置されている。
第1屋根部14又は第2屋根部16の一方が他方に対して相対移動したとき、可動式の脚部34b及び可動式のサブ走行ユニット36bの移動量がどのように規制されるかについて、具体例を挙げて説明する。
例えば、第1屋根部14が停止した状態で第2屋根部16が図中左側へ移動すると、仮に第2屋根部16の移動量を10とした場合、固定式の脚部34aの移動量も10となる。また、第2フレーム部32側への第1ワイヤロープ111の被固定部の移動量も10となるが、第1ワイヤロープ111により図中左方向へ引っ張られる第1プーリ110の移動量と、第1プーリ110と共に前後移動する可動式の脚部34bの移動量とは5となる。よって、この場合、第1フレーム部22に対する可動式の脚部34bの相対移動量は、第1フレーム部22に対する固定式の脚部34aの相対移動量の半分となる。
また、このとき、可動式のサブ走行ユニット36bは、第3ワイヤロープ135を介して可動式の脚部34bに引っ張られることで、可動式の脚部34bと共に前後移動するため、可動式のサブ走行ユニット36bの移動量も5となる。すなわち、この場合、第1フレーム部22に対する可動式のサブ走行ユニット36bの相対移動量は、第1フレーム部22に対する固定式のサブ走行ユニット36aの相対移動量の半分となる。
さらに、このとき、第2フレーム部32側への第2ワイヤロープ121の被固定部が図中左方向へ移動するが、第2プーリ120も可動式のサブ走行ユニット36bと共に前後移動するため、第2ワイヤロープ121の弛みが防止される。
一方、例えば、第1屋根部14が停止した状態で第2屋根部16が図中右側へ移動すると、仮に第2屋根部16の移動量を10とした場合、固定式のサブ走行ユニット36aの移動量も10となる。また、第2フレーム部32側への第2ワイヤロープ121の被固定部の移動量も10となるが、第2ワイヤロープ121により図中右方向へ引っ張られる第2プーリ120の移動量と、第2プーリ120と共に前後移動する可動式のサブ走行ユニット36bの移動量とは5となる。よって、この場合、第1フレーム部22に対する可動式のサブ走行ユニット36bの相対移動量は、第1フレーム部22に対する固定式のサブ走行ユニット36aの相対移動量の半分となる。
また、このとき、可動式の脚部34bは、第3ワイヤロープ135を介して可動式のサブ走行ユニット36bに引っ張られることで、可動式のサブ走行ユニット36bと共に前後移動するため、可動式の脚部34bの移動量も5となる。すなわち、この場合、第1フレーム部22に対する可動式の脚部34bの相対移動量は、第1フレーム部22に対する固定式の脚部34aの相対移動量の半分となる。
さらに、このとき、第2フレーム部32側への第1ワイヤロープ111の被固定部が図中右方向へ移動するが、第1プーリ110も可動式の脚部34bと共に前後移動するため、第1ワイヤロープ111の弛みが防止される。
また、第2屋根部16が停止した状態で第1屋根部14が移動する場合、及び、第1屋根部14と第2屋根部16の両者が移動する場合についても、可動式の脚部34b及び可動式のサブ走行ユニット36bの移動量は同様に規制される。
したがって、本実施形態において、第1フレーム部22に対する可動式の脚部34bの相対移動量は、常に第1フレーム部22に対する固定式の脚部34aの相対移動量の半分となるように規制される。また、第1フレーム部22に対する可動式のサブ走行ユニット36bの相対移動量は、常に第1フレーム部22に対する固定式のサブ走行ユニット36aの相対移動量の半分となるように規制される。
本実施形態によれば、可動式の脚部34b及び可動式のサブ走行ユニット36bの移動量の規制を、変速機構等の複雑な機構を採用することなく、簡単な構成で実現することができる。
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、第1屋根部14の前後いずれか一方にのみ第2屋根部16が設けられる場合について説明したが、本発明では、図12に示すように、第1屋根部14の前後両側に夫々第2屋根部16、16が設けられ、前後両側の第2屋根部16、16のサブ走行ユニット36が第1屋根部14の第1フレーム22上を走行する形態であっても良い。
また、上述の実施形態では、高さ調整用シム50を用いることにより、メイン走路40の車輪24の高さ補整を行う構成について説明したが、本発明において、メイン走路の車輪毎に高さ補整を行うための具体的な構成はこれに限定されるものでない。高さ補整を行うためのその他の構成としては、例えば、支持部材26の下端部に伸縮可能な脚部を設けて、該脚部の長さを調整することで、車輪24の高さ補整を個別に行う構成が考えられる。