JP2013126967A - コハク酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な工程によって、フラン誘導体からコハク酸を高い収率で製造できる新規な方法を提供する。
【解決手段】酸化剤と固体触媒とを含む水性溶媒中でフラン誘導体を酸化することによってコハク酸を製造する工程を含む製造方法。当該固体触媒は、スルホ基を有する重合体であり、酸化剤として過酸化水素を用いる。フラン誘導体の例には、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、および2−フロ酸が含まれる。
【選択図】なし

Description

本発明は、コハク酸の製造方法に関する。
コハク酸は、燃料添加剤の構成要素、溶剤、バイオポリマー、ポリウレタンなどの極めて重要な化学原料として利用が可能である。コハク酸(succinic acid)は、これまで、微生物による糖の発酵によって得られてきた。
一方、マレイン酸の水素化反応によってコハク酸を合成する方法も報告されている。この方法については、Pd/C、Zn/Hg、またはH3PO4を触媒に用いて研究が行われてきた(コハク酸収率:18〜25%)。マレイン酸の電解質還元法においては、スポンジニッケル、鉛、または二酸化チタンがカソードに用いられている。
一方、フルフラール(2−フルアルデヒド)を酸化することによってコハク酸を合成する方法も報告されている。この方法では、モリブデンNa塩、パラジウム(II)、硫酸、硝酸水銀が使用されている。また、過塩素酸ナトリウムと五酸化バナジウムでフルフラールを酸化し、Pd/Cを触媒に用いて逐次的還元によってコハク酸を得る方法も報告されている(非特許文献1および2)。これらの方法の一例では、所定の条件(433K、13MPa)におけるコハク酸の収率は46.6%である。
Y. Tachibana, T. Masuda, M. Funabashi, M. Kunioka, Biomacromolecules, 2010年, 11, 2760, C. F. Cross, E. J. Bevan, J. F. Briggs, Chem. Ber. 1990年, 33, 3132
しかし、硫酸、水銀化合物、過塩素酸ナトリウム、および五酸化バナジウムリン酸などは、その処理工程や毒性を考慮すると、環境に対する影響が大きい。また、マレイン酸の電解質還元においては、高価な電解質や電気化学セルを使用する点、および、反応液からコハク酸を分離することが困難な点が欠点として挙げられる。さらに、固体酸触媒を用いている文献では、触媒の再使用について詳細に検討されていない。これは、コハク酸の合成反応を過酷な反応条件で行っていることにより、触媒表面に炭素質が析出したためであると考えられる。
このような状況において、本発明は、簡単な工程によって、高い収率でフラン誘導体からコハク酸を製造できる新規な方法を提供することを目的の1つとする。
上記目的を達成するために検討した結果、本件発明者らは、所定のイオン交換樹脂を用いることによって、簡単に、高い収率でフラン誘導体からコハク酸を製造できることを見出した。本件発明は、この新たな知見に基づく発明である。
すなわち、コハク酸を製造するための本発明の方法は、酸化剤と固体触媒とを含む水性溶媒中でフラン誘導体を酸化することによってコハク酸を製造する工程を含み、前記固体触媒が、スルホ基を有する重合体である。
本発明によれば、簡単な工程によって、高い収率でフラン誘導体からコハク酸を製造できる。
実験1で合成された反応生成物の1H−NMRの結果を示すグラフである。 実験1で合成された反応生成物の13C−NMRの結果を示すグラフである。 実験1の反応において予想される反応式を示す図である。 アンバーリスト15の一部の構造を示す図である。 ナフィオンNR50の一部の構造を示す図である。 触媒の再生回数と触媒活性との関係を示すグラフである。 実験6の反応において予想される反応式を示す図である。 実験11の反応において予想される反応式を示す図である。
本発明の実施形態について、以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態および実施例に限定されない。以下の説明では特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。
コハク酸を製造するための本発明の方法は、酸化剤と固体触媒とを含む水性溶媒中でフラン誘導体を酸化することによってコハク酸(succinic acid)を製造する工程を含む。この方法で用いられる固体触媒は、スルホ基(−SO3H)を有する重合体である。なお、この重合体は、1つの観点では樹脂である。
酸化されるフラン誘導体の例には、フランに、アルデヒド基やカルボキシル基が付加した化合物が含まれ、具体的には、フルフラール(furfural)、5−ヒドロキシメチルフルフラール、および2−フロ酸(2−フランカルボン酸)が含まれる。すなわち、本発明の製造方法では、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、および2−フロ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を酸化することによって、コハク酸を製造することが可能である。
固体触媒は、水性溶媒に溶解しない重合体(樹脂)であり、たとえば粒子状の形態で用いられる。粒子状の固体触媒を用いることによって、反応終了後の反応溶液から触媒を分離して再利用することが容易になる。
固体触媒の好ましい一例は、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位を含む重合体であって、当該ビニル芳香族化合物に由来するベンゼン環にスルホ基が結合しているものである。ビニル芳香族化合物は、芳香環と芳香環に結合したビニル基とを含む化合物である。ビニル芳香族化合物の例には、スチレンやジニビルベンゼンが含まれる。
固体触媒の特に好ましい一例は、複数種のビニル芳香族化合物に由来する複数種の構成単位を含む重合体であって、複数種の構成単位が、ジビニルベンゼンに由来する構成単位と、ベンゼン環にスルホ基が導入されたスチレンに由来する構成単位とを含む。ジビニルベンゼンに由来する構成単位は、重合体中(樹脂中)において架橋構造を形成している。このような固体触媒の例には、ダウケミカル社の陽イオン交換樹脂であるアンバーリスト15(Amberlyst-15)が含まれる。
固体触媒の酸度関数H0(ハメットの酸度関数H0)は、−2程度であってもよい。固体触媒の酸性が強すぎると(酸度関数H0が負に大きすぎると)、コハク酸の収率が低下する場合がある。また、固体触媒の比表面積は、50m2/g程度であってもよい。
酸化剤には、過酸化水素(H22)を用いることができる。過酸化水素を用いる場合、反応系に加えられる過酸化水素のモル量は、フラン誘導体のモル量の2.5〜10倍の範囲(たとえば、2.5〜5倍の範囲や3.5〜4倍の範囲)としてもよい。
反応は、水性溶媒中で行われる。水性溶媒は水を含む溶媒であり、典型的には水である。
水性溶媒中に、酸化剤、固体触媒、およびフラン誘導体を加えて混合することによって、反応が進行する。反応温度は、373K(100℃)以下であることが好ましく、たとえば25〜100℃や、50〜100℃や、60〜80℃の範囲にあってもよい。反応時間に特に限定はないが、コハク酸の収率を高めるために10時間以上としてもよく、たとえば10〜48時間や10〜36時間の範囲としてもよい。
本発明の好ましい一例は、以下の条件を満たす。
(1)固体触媒が複数種のビニル芳香族化合物に由来する複数種の構成単位を含む重合体であって、当該複数種の構成単位は、ジビニルベンゼンに由来する構成単位と、ベンゼン環にスルホ基が導入されたスチレンに由来する構成単位とを含む(この固体触媒の例にはアンバーリスト15が含まれる)。固体触媒の典型的な一例は、それら2種類の構成単位のみによって構成される。
(2)酸化剤が過酸化水素である。
(3)溶媒が水性溶媒(たとえば水)である。
上記の好ましい一例は、フラン誘導体がフルフラールである場合、さらに以下の条件を満たしてもよい。
(4)反応温度が、373K(100℃)以下であり、たとえば323〜373K(50〜100℃)や333〜353K(60〜80℃)の範囲にある。
(5)過酸化水素のモル量が、フルフラールのモル量の2.5〜5倍の範囲(たとえば、3.5〜4倍の範囲)にある。
上記の好ましい一例は、フラン誘導体が5−ヒドロキシメチルフルフラールである場合、さらに以下の条件を満たしてもよい。
(4)反応温度が、373K(100℃)以下であり、たとえば343〜373K(70〜100℃)や348〜363K(75〜90℃)の範囲にある。
(5)過酸化水素のモル量が、5−ヒドロキシメチルフルフラールのモル量の3〜5倍の範囲にある。
上記の好ましい一例は、フラン誘導体が2−フロ酸である場合、さらに以下の条件を満たしてもよい。
(4)反応温度が、393K(120℃)以下であり、たとえば363〜393K(90〜120℃)や373〜383K(100〜110℃)の範囲にある。
(5)過酸化水素のモル量が、2−フロ酸のモル量の3倍以上であり、たとえば、3〜10倍の範囲にある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例で用いた、ナフィオン(登録商標)NR50(Nafion NR 50)、ナフィオンSAC13(Nafion SAC 13)、およびアンバーリスト(登録商標)15(Amberlyst-15)は、シグマ−アルドリッチ社から購入した。また、アパタイトFAPヘキサクリニック(Apatite FAP hexaclinic:カタログ番号018-14892)は、和光純薬工業から入手した。
なお、ナフィオンNR50は、エーテル基とスルホ基とパーフルオロ鎖(炭化フッ素鎖)とによって主に構成される固体触媒である。アパタイトFAPは、分子式がCa102246で表されるフッ化アパタイトである。ナフィオンSAC13は、スルホ基とパーフルオロ鎖とを含むナフィオンとシリカとのナノコンポジットである。
また、30重量%過酸化水素水は、和光純薬工業から入手した。30重量%過酸化水素水として入手した過酸化水素の濃度をヨウ素滴定で測定したところ、25.7重量%であった。
(実験1)
実験1では、粒子状のアンバーリスト15を触媒としてフルフラールからコハク酸を製造した一例について説明する。
まず、還流凝縮器が接続されたシュレンク管に、アンバーリスト15(50mg)と、フルフラール(1mmol)とを配置した。次に、30重量%過酸化水素水(過酸化水素:4mmol)と水(3mL)とを加えて所定の温度で24時間反応させた。反応は、大気圧下において反応液を攪拌しながら行った。
反応終了後、反応液を水で10〜20倍に希釈し、触媒を濾別した。その後、反応液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。また、得られた反応生成物を、ロータリーエバポレーターを用いて所定の温度で蒸発−凝結させることによって分離した。具体的には、低圧で328K(55℃)で蒸発−凝結させることによって、水、マレイン酸、フマル酸およびギ酸(これらは薄層クロマトグラフィーおよびpHによって特定)を除去した。これらを除去することによって得られたスラリーを少量の水に溶解した後、濾過し、冷却し、真空乾燥することによって、白色の結晶を得た。この白色の結晶について、1H−NMRおよび13C−NMRを測定した。1H−NMRの結果を図1に示し、13C−NMRの結果を図2に示す。これらから、反応生成物がコハク酸であることが確かめられた。
反応機構の詳細については明確ではないが、現在のところ、コハク酸は図3の反応によって生成すると考えられる。具体的には、図3に示すように、フルフラールから2−フロ酸(2-furoic acid)が生成し、その2−フロ酸から、さらに、コハク酸、フマル酸(fumaric acid)、およびマレイン酸(maleic acid)が生成すると考えられる。
反応温度と、転化率および収率との関係を表1に示す。なお、転化率および収率は、HPLCによって算出した。
Figure 2013126967
表1に示すように、反応温度が373K(100℃)以下の場合に、50%以上の高い収率でコハク酸が得られた。特に、反応温度が333K〜353Kの範囲で、コハク酸の収率が高かった。このように、本発明によれば、非常にマイルドな条件で、高い収率でコハク酸を製造できた。
(実験2)
実験2では、反応溶液に添加する過酸化水素の量を変えたことを除いて、実験1と同様の条件で、フルフラールからコハク酸を製造した。具体的には、反応溶液に添加する過酸化水素の量を0〜5mmolの間で変化させた。なお、反応温度は353Kとした。過酸化水素の量と、転化率および収率との関係を表2に示す。
Figure 2013126967
表2に示すように、過酸化水素の量を2.5mmol〜5mmolの範囲とすることによって(すなわち、フルフラールのモル量に対する過酸化水素のモル量を2.5〜5倍の範囲とすることによって)、コハク酸の収率を50%以上とすることができた。特に、過酸化水素の量を3.5mmol〜4mmolの範囲とすることによって(すなわち、フルフラールのモル量に対する過酸化水素のモル量を3.5〜4倍の範囲とすることによって)、コハク酸の収率がより高くなった。
(実験3)
実験3では、固体触媒の種類を変えて反応を行った。固体触媒としては、アンバーリスト15、ナフィオンNR50、アパタイトFAP、ナフィオンSAC13、二酸化チタン(TiO2)、アルミナ(Al23)、酸化ニオブ(Nb23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、硫酸根賦活型酸化ジルコニウム(SO4/ZrO2)およびゼオライトZSM−5(SiO2/Al23=90)を用いた。液体触媒としては、塩酸、酢酸、およびp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)を用いた。
まず、還流凝縮器が接続されたシュレンク管に、固体触媒(50mg)と、フルフラール(1mmol)とを配置した。次に、30重量%過酸化水素水(過酸化水素:4mmol)と水(3mL)とを加えて353Kで24時間反応させた。反応は、大気圧下において反応液を攪拌しながら行った。
また、対照実験として、触媒を用いずに過酸化水素のみを用いた実験(番号27:ブランク)、および、過酸化水素を用いずにアンバーリスト15のみを用いた実験(番号28)も行った。これらの反応について分析を行った結果を、表3に示す。
Figure 2013126967
表3に示すように、スルホ基を含有する高分子を含む固体触媒(番号14、15および17)を用いることによって、二酸化チタンよりも高い収率でコハク酸を製造できた。アンバーリスト15とナフィオンNR50は、それぞれ、図4Aおよび図4Bに示す構造を有し、いずれもスルホ基を含有する。しかし、両者の触媒活性には大きな差がある。これは、表4に示すように、両者の比表面積、酸基量、および酸度関数との差に起因していると考えられる。
Figure 2013126967
以上のことから、比表面積がある程度大きく、また、酸基量がある程度多い方が、収率が高くなることが予想される。また、酸度関数が負に大きすぎない方が、収率が高くなることが予想される。
なお、p−トルエンスルホン酸(番号:26)を用いた場合でも、高い収率でコハク酸を合成できる。しかし、p−トルエンスルホン酸は反応溶液に溶解しているため、反応生成物であるコハク酸とp−トルエンスルホン酸とを分離する煩雑な工程が必要になるという問題がある。この点で、p−トルエンスルホン酸を触媒とする合成は、コハク酸の工業的な製造方法としての利用価値は低い。
(実験4)
実験4では、実験1よりもより大きいスケールで合成を行った。具体的には、フルフラールの量を20mmolとし、過酸化水素の量を80mmolとし、アンバーリスト15の量を1.0gとし、水の量を30mLとして反応を行った。反応は、反応液を攪拌しながら353Kで行った。反応時間は24時間または36時間とした。反応時間が24時間であるときのコハク酸の収率は59.4%であり、反応時間が36時間であるときのコハク酸の収率は67.6%であった。このように、反応スケールを大きくしても、高い収率を達成できた。
(実験5)
実験1と同様の条件でコハク酸を合成する反応を行った。そして、反応後に濾別したアンバーリスト15を、水中で超音波を印加しながら10分間洗浄した。この洗浄を5回繰り返したのち、真空乾燥した。このようにしてアンバーリスト15を再生した。再生されたアンバーリスト15を用いて、再度コハク酸の合成を行った。このように、アンバーリスト15の再生を行い、同一のアンバーリスト15を用いてコハク酸の合成を3回行った。そのときのフルフラールの転化率およびコハク酸の収率を、図5に示す。図5に示すように、アンバーリスト15は、簡単な再生方法で再生することによって、充分な触媒活性を示した。
(実験6)
実験6では、粒子状のアンバーリスト15を触媒として5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、「HMF」という場合がある)からコハク酸を製造した一例について説明する。
まず、還流凝縮器が接続されたシュレンク管に、アンバーリスト15(50mg)と、5−ヒドロキシメチルフルフラール(1mmol)とを配置した。次に、30重量%過酸化水素水(過酸化水素:4mmol)と水(5mL)とを加えて所定の温度で24時間反応させた。反応は、大気圧下において反応液を攪拌しながら行った。
反応終了後、反応生成物を分析し、各生成物の収率を算出した。反応温度と各生成物の収率との関係を表5に示す。
Figure 2013126967
実験6における反応について、予想される反応式を図6に示す。なお、図6では、2−オキソグルタル酸およびコハク酸以外の反応生成物の図示を省略している。
(実験7)
実験7では、反応溶液に添加する過酸化水素の量を変えたこと、および、反応温度を343Kとしたことを除いて、実験6と同様の条件で、5−ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)からコハク酸を製造した。具体的には、反応溶液に添加する過酸化水素の量を0〜5mmolの間で変化させた。過酸化水素の量と、転化率および収率との関係を表6に示す。
Figure 2013126967
(実験8)
実験8では、実験6の反応について、反応時間と反応生成物の収率との関係について調べた。なお、実験8では、反応温度を348Kとし、30重量%過酸化水素水の量を過酸化水素が3mmolとなる量にしたことを除き、実験6と同じ条件で実験を行った。実験結果を表7に示す。
Figure 2013126967
(実験9)
実験9では、実験6よりもより大きいスケールで合成を行った。具体的には、5−ヒドロキシメチルフルフラールの量を10mmolとし、過酸化水素の量を30mmolとし、アンバーリスト15の量を0.5gとし、水の量を50mLとして反応を行った。反応は、反応液を攪拌しながら348Kで行った。反応時間が24時間であるときのコハク酸の収率は18.8%であった。このように、反応スケールを大きくしても、実験6と同様の収率を達成できた。
(実験10)
反応時間を24時間としたことを除いて実験8と同様の条件でコハク酸を合成した。そして、反応後に濾別したアンバーリスト15を、実験5と同様の方法で再生した。再生されたアンバーリスト15を用いて、再度コハク酸の合成を行った。このように、アンバーリスト15の再生を行い、同一のアンバーリスト15を用いてコハク酸の合成を3回行った。そのときの結果を表8に示す。
Figure 2013126967
(実験11)
実験11では、粒子状のアンバーリスト15を触媒として2−フロ酸からコハク酸を製造した一例について説明する。
まず、還流凝縮器が接続されたシュレンク管に、アンバーリスト15(50mg)と、2−フロ酸(1mmol)とを配置した。次に、30重量%過酸化水素水(過酸化水素:4mmol)と水(5mL)とを加えて所定の温度で24時間反応させた。反応は、大気圧下において反応液を攪拌しながら行った。
反応終了後、反応生成物を分析し、各生成物の収率を算出した。反応温度と各生成物の収率との関係を表9に示す。また、実験11における反応について、予想される反応式を図7に示す。
Figure 2013126967
(実験12)
実験12では、反応溶液に添加する過酸化水素の量を変えたこと、および、反応温度を373Kとしたことを除いて、実験11と同様の条件で、2−フロ酸からコハク酸を製造した。具体的には、反応溶液に添加する過酸化水素の量を0〜5mmolの間で変化させた。過酸化水素の量と、転化率および収率との関係を表10に示す。
Figure 2013126967
(実験13)
実験13では、実験11の反応について、反応時間と反応生成物の収率との関係について調べた結果を示す。なお、実験13では、反応温度を373Kとし、過酸化水素の量を5mmolとしたことを除き、実験11と同じ条件で実験を行った。実験結果を表11に示す。
Figure 2013126967
(実験14)
実験14では、実験11よりもより大きいスケールで合成を行った。具体的には、2−フロ酸の量を15mmolとし、過酸化水素の量を75mmolとし、アンバーリスト15の量を0.6gとし、水の量を75mLとして反応を行った。反応は、反応液を攪拌しながら373Kで行った。反応時間が24時間であるときのコハク酸の収率は22.08%であった。
本発明は、コハク酸の製造に利用できる。本発明の方法は、マイルドな条件で高い収率でコハク酸を合成でき、また、触媒の再利用が容易である点で非常に有用である。フルフラールは、木質系バイオマス(これは太陽光、水、炭酸ガスから合成される)に含まれるキシロースから容易に得られることが明らかになっており、酵素や微生物、および毒性の高い物質を使用しない本発明の合成方法は、バイオマスからの化成品合成への可能性を切り開き、石油に依存しない社会の構築に寄与すると考えられる。

Claims (6)

  1. コハク酸の製造方法であって、
    酸化剤と固体触媒とを含む水性溶媒中でフラン誘導体を酸化することによってコハク酸を製造する工程を含み、
    前記固体触媒が、スルホ基を有する重合体である、製造方法。
  2. 前記フラン誘導体が、フルフラール、5−ヒドロキシメチルフルフラール、または2−フロ酸である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記固体触媒は、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位を含む重合体であって、前記ビニル芳香族化合物に由来するベンゼン環にスルホ基が結合している、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記酸化剤が過酸化水素である、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記固体触媒は、複数種のビニル芳香族化合物に由来する複数種の構成単位を含む重合体であって、
    前記複数種の構成単位は、ジビニルベンゼンに由来する構成単位と、ベンゼン環にスルホ基が導入されたスチレンに由来する構成単位とを含み、
    前記酸化剤が過酸化水素である、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記水性溶媒が水である、請求項1に記載の製造方法。
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