JP2013125131A - 表示素子、製造方法、及び電気機器 - Google Patents

表示素子、製造方法、及び電気機器 Download PDF

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Tomoko Teranishi
知子 寺西
Takuma Tomori
拓馬 友利
Toshiki Matsuoka
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Abstract

【課題】適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子、その製造方法、及びその表示素子を用いた電気機器を提供する。
【解決手段】上部基板(第1の基板)と、下部基板(第2の基板)と、上部基板及び下部基板の間に形成された表示用空間の内部で有効表示領域側または非有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体及びオイル(絶縁性流体)とを具備した表示素子において、複数の各画素領域に応じて、第1及び第2のリブ部材14a、14bによって表示用空間の内部を気密に区切る。また、界面活性剤が添加された極性液体とオイルとを乳化した乳化液EKを各画素領域内に充填する。
【選択図】図6

Description

本発明は、極性液体を移動させることにより、画像や文字などの情報を表示する表示素子、その製造方法、及びその表示素子を用いた電気機器に関する。
近年、表示素子では、エレクトロウェッティング方式の表示素子に代表されるように、外部電界による極性液体の移動現象を利用して、情報の表示を行うものが開発され、実用化されている。
具体的にいえば、上記のような従来の表示素子では、例えば下記特許文献1に記載されているように、第1及び第2の基板の間に表示用空間を形成するとともに、リブ(仕切壁)によって当該表示用空間の内部を複数の各画素領域に応じて区切っていた。また、この従来の表示素子では、上記の各画素領域において、導電性液体(極性液体)が封入されている。また、各画素領域では、導電性液体の移動速度を向上させるために、当該導電性液体と混じり合わないオイル(絶縁性流体)が封入されている。また、各画素領域では、信号電極と、互いに平行に設けられた走査電極及び基準電極(参照電極)とが交差するように設けられていた。そして、この従来の表示素子では、各画素領域において、信号電極、走査電極、及び基準電極に対し電圧印加を適宜行うことにより、導電性液体を走査電極側または基準電極側に移動させて、表示面側の表示色を変更するようになっていた。
国際公開第2008/155925号パンフレット
ところで、上記のような従来の表示素子では、信号電極への印加電圧の大きさを調整することにより、導電性液体(極性液体)の移動量を変化させて、表示面側の表示色を中間調とする、いわゆる階調表示が行われていた。
ところが、上記のような従来の表示素子では、表示色の変更を高精度に行うことができないおそれがあった。特に、従来の表示素子では、上記階調表示を行ったときに、導電性液体を所望の位置に精度よく移動させることができずに、微妙な色ずれが生じて、表示品位の低下を生じるおそれがあった。
具体的にいえば、従来の表示素子では、画素領域の内部での導電性液体の移動速度を向上させるために、画素領域はリブによって完全に密閉されておらず、例えば矩形状に構成された画素領域の四隅部に、隣接する画素領域の内部どうしが連通する隙間が設けられていた。このため、従来の表示素子では、上記隙間の大きさ、導電性液体やオイル(絶縁性流体)の材質、あるいは導電性液体の移動速度などによっては、導電性液体が隣接する画素領域から流れ込んできたオイルにより、微少に移動することがあった。
そして、従来の表示素子では、上記のように、導電性液体が微少に移動している場合に、次の表示動作が行われると、その表示動作に対応した電圧が信号電極に正確に印加されても、当該表示動作において位置すべき位置に、導電性液体が高精度に移動しないことがあった。この結果、従来の表示素子では、微妙な色ずれが生じて、表示品位の低下を生じるおそれがあった。
そこで、本願発明の発明者等は、特願2010−272314号において、リブによって画素領域を気密に区切ることを提案して、階調表示を行うときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができる表示素子を提供している。
しかしながら、上記のようにリブによって画素領域を気密に区切った場合、適量の導電性液体及びオイルを画素領域内に封入することを容易に行えないおそれがあった。
具体的にいえば、上記従来の表示素子では、画素領域がリブによって完全に密閉されていないので、第1及び第2の基板の一方の基板にリブを形成した後、インクジェット法、またはディスペンサ装置などを用いて、各画素領域内に導電性液体を充填する。その後、導電性液体を充填した一方の基板に対して、他方の基板を貼り合わせた後、画素領域の四隅部に設けた上記隙間から毛管現象を利用して、オイルを各画素領域内に封入していた。
ところが、上記のようにリブによって画素領域を気密に区切った場合、毛管現象を利用して、オイルを各画素領域内に封入することができなかった。このため、第1及び第2の基板の一方の基板にリブを形成した後、インクジェット法、またはディスペンサ装置などを用いて、各画素領域内に導電性液体及びオイルを充填する必要があった。それ故、画素領域のサイズ、あるいは各画素領域での導電性液体及びオイルの各封入量などによっては、インクジェット法、またはディスペンサ装置などの封入方法を高精度に調整して、導電性液体及びオイルの封入(充填)動作を行う必要があり、適量の導電性液体及びオイルを画素領域内に封入することを容易に行えないおそれがあった。
詳細にいえば、例えば高解像度の表示素子、すなわち画素領域のサイズが小さい表示素子の場合、各画素領域での導電性液体及びオイルの封入動作を高精度に行うことが要求されて、当該封入動作を容易に行えないことがあった。一方、大画面の表示素子、すなわち画素領域が多い表示素子では、導電性液体及びオイルの封入動作が長くなり、これらの導電性液体及びオイルが揮発する等の問題を生じることがあった。また、導電性液体及びオイルを充填した一方の基板に対して、他方の基板を貼り合わせることが要求されるが、これら基板の貼り合わせ動作での微細な振動や衝撃などによって、毛管現象を用いてオイルを封入する場合に比べて、導電性液体が移動(浮遊)し易くなって、隣接する画素領域内の導電性液体と合一するなどの問題を発生することがあった。
以上のように、上記のようにリブによって画素領域を気密に区切った場合、適量の導電性液体及びオイルを画素領域内に封入することを容易に行えないおそれがあった。
上記の課題を鑑み、本発明は、階調表示を行うときでも、表示品位の低下を防ぎつつ、適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子、その製造方法、及びその表示素子を用いた電気機器を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明にかかる表示素子は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体とを具備し、前記極性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
前記極性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置されるとともに、所定の配列方向に沿って設けられた複数の信号電極、
前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設置されるように、前記極性液体に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の走査電極、
前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域、
前記複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を気密に区切るように、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられたリブ、及び
前記表示用空間の内部に前記画素領域毎に移動可能に封入されるとともに、前記極性液体と混じり合わない絶縁性流体を備え、
前記極性液体及び前記絶縁性流体の少なくとも一方に、界面活性剤を添加したことを特徴とするものである。
上記のように構成された表示素子では、リブが複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を気密に区切っている。また、界面活性剤が極性液体及び絶縁性流体の少なくとも一方に添加されているので、当該界面活性剤によって極性液体と絶縁性流体とを乳化(エマルション化)することができる。これにより、各画素領域に対して、乳化した極性液体と絶縁性流体とを適切に、かつ、容易に封入することができる。従って、上記従来例と異なり、階調表示を行うときでも、表示品位の低下を防ぎつつ、適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、前記界面活性剤では、その添加量は、前記極性液体と前記絶縁性流体とを乳化したときの乳化粒子の総表面積に基づいて、定められていることが好ましい。
この場合、各画素領域に対して、適量の極性液体及び絶縁性流体をより容易に封入することができる。
また、上記表示素子において、前記界面活性剤として、非イオン系の界面活性剤が用いられていることが好ましい。
この場合、表示素子に動作不良が生じるのを確実に防止することができる。
また、上記表示素子において、前記界面活性剤として、曇点が90℃以下である界面活性剤が用いられていることが好ましい。
この場合、極性液体及び絶縁性流体を適切に機能させることができる。
また、上記表示素子において、前記複数の信号電極に接続されるとともに、前記複数の各信号電極に対して、前記表示面側に表示される情報に応じた所定の電圧範囲内の信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
前記複数の走査電極に接続されるとともに、前記複数の各走査電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する走査電圧印加部を備えていることが好ましい。
この場合、複数の各画素領域での階調表示を容易に行うことができる。
また、上記表示素子において、前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記極性液体及び前記走査電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の参照電極と、
前記複数の参照電極に接続されるとともに、前記複数の各参照電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する参照電圧印加部とが設けられていることが好ましい。
この場合、スイッチング素子を画素領域毎に設けることなく、階調表示を行うときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができるマトリクス駆動方式の表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子において、前記参照電極及び前記走査電極の表面上には、誘電体層が積層されていることが好ましい。
この場合、誘電体層が極性液体に印加する電界を確実に大きくして、当該極性液体の移動速度をより容易に向上することができる。
また、上記表示素子において、前記表示用空間の内部には、前記画素領域毎に前記絶縁性流体を移動させるための移動用空間が設けられていることが好ましい。
この場合、表示色を変更するときに極性液体を移動させる場合でも、当該極性液体を円滑に、かつ、適切に移動させることができる。
また、上記表示素子において、前記移動用空間の内部には、一端部側及び他端部側がそれぞれ前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側に設けられるとともに、前記極性液体の移動に応じて、前記絶縁性流体を前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に案内するガイド部が設置されていることが好ましい。
この場合、絶縁性流体は極性液体の移動に応じて、ガイド部によって有効表示領域側または非有効表示領域側に案内されることとなり、表示色を変更するときに極性液体を移動させる場合において、当該極性液体をより円滑に、かつ、より適切に移動させることができる。
また、上記表示素子において、前記ガイド部には、前記表示用空間の内部側に突出するように、かつ、前記第1及び第2の基板の他方側で前記有効表示領域と前記非有効表示領域とを接続するように直線状に設けられるとともに、互いに所定の間隔をおいて設置された複数のレール部材が用いられていることが好ましい。
この場合、レール部材を用いて、極性液体の移動に応じて、絶縁性流体を有効表示領域側または非有効表示領域側に適宜案内することができる。
また、上記表示素子において、前記第1及び第2の基板の一方と前記リブとが、一体的に設けられてもよい。
この場合、部品点数が少なく製造簡単な表示素子を容易に得ることができる。
また、上記表示素子において、前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられてもよい。
この場合、複数の各画素において対応する極性液体が適切に移動されることにより、カラー画像表示を行うことができる。
また、上記表示素子において、前記非有効表示領域は、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられた遮光膜によって設定され、
前記有効表示領域は、前記遮光膜に形成された開口部によって設定されていることが好ましい。
この場合、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域を適切に、かつ、確実に設定することができる。
また、本発明の電気機器は、文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
前記表示部に、上記いずれかの表示素子を用いたことを特徴とするものである。
上記のように構成された電気機器では、階調表示を行うときでも、表示品位の低下を防ぎつつ、適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子が表示部に用いられているので、優れた表示品位を有する表示部を備えた高性能な電気機器を、効率よく、かつ、容易に構成することができる。
また、本発明の表示素子の製造方法は、表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、複数の画素領域毎に設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体及び前記極性液体と混じり合わない絶縁性流体を具備し、前記極性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子の製造方法であって、
前記極性液体と前記絶縁性流体との混合物に対して、界面活性剤を添加した後に、前記極性液体と前記絶縁性流体とを乳化する乳化工程と、
前記乳化工程にて乳化された前記極性液体と前記絶縁性流体との乳化液を前記画素領域毎に充填する充填工程と、
前記充填工程にて前記画素領域毎に充填された前記乳化液から、前記極性液体と前記絶縁性流体とに分離する分離工程とを備えていることを特徴とするものである。
上記のように構成された表示素子の製造方法では、上記乳化工程、充填工程、及び分離工程を順次行うことにより、各画素領域に対して、乳化した極性液体と絶縁性流体とを適切に、かつ、容易に封入することができる。従って、上記従来例と異なり、階調表示を行うときでも、表示品位の低下を防ぎつつ、適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子を構成することができる。
また、上記表示素子の製造方法において、前記乳化工程では、前記画素領域の単位体積当たりの乳化粒子数が所定の範囲内の値となるように、前記極性液体と前記絶縁性流体との乳化が行われることが好ましい。
この場合、各画素領域に対して、適量の極性液体及び絶縁性流体をより容易に封入することができる。
本発明によれば、適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子、その製造方法、及びその表示素子を用いた電気機器を提供することが可能となる。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。 図2は、表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図3は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側のカラーフィルタ層を示す拡大平面図である。 図4は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の電極構成を説明する拡大平面図である。 図5(a)及び図5(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図1に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。 図6(a)〜図6(c)は、上記上部基板側の各部の形成工程を説明する図であり、図6(d)は、乳化された極性液体とオイルとの混合物(乳化液)を画素領域毎に充填工程を説明する図である。 図7(a)〜図7(c)は、界面活性剤を添加して、極性液体とオイルとを乳化する乳化工程を説明する図である。 図8(a)〜図8(d)は、上記下部基板側の各部の形成工程を説明する図である。 図9(a)は、上部基板と下部基板との貼り合わせ工程を説明する図であり、図9(b)は、極性液体とオイルとの混合物から極性液体とオイルとに分離する分離工程を説明する図であり、図9(c)は、上記表示素子の最終の製造工程を説明する図である。 図10は、上記画像表示装置の動作例を説明する図である。 図11は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子における、表示面側から見た場合での上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図12は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子における、非表示面側から見た場合での下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。 図13(a)は、図11に示した表示素子の1つの画素領域での要部構成を示す拡大平面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線断面図である。 図14(a)及び図14(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図11に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。 図15(a)〜図15(c)は、図11に示した表示素子の上部基板側の各部の形成工程を説明する図である。 図16(a)は、図11に示した表示素子の上部基板側の撥水膜の形成工程を説明する図であり、図16(b)は、図11に示した表示素子での乳化された極性液体とオイルとの混合物(乳化液)を画素領域毎に充填工程を説明する図である。 図17(a)及び図17(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す断面図である。 図18は、図17に示した表示素子の全体的な製造工程を説明する図である。 図19(a)〜図19(c)は、図17に示した表示素子の上部基板側の各部の形成工程を説明する図であり、図19(d)は、乳化された極性液体とオイルとの混合物(乳化液)を画素領域毎に充填工程を説明する図である。 図20(a)は、図17に示した表示素子の下部基板側の各部の形成工程を説明する図であり、図20(b)は、上部基板と下部基板との貼り合わせ工程を説明する図である。 図21(a)は、極性液体とオイルとの混合物から極性液体とオイルとに分離する分離工程を説明する図であり、図21(b)は、上記表示素子の最終の製造工程を説明する図である。
以下、本発明の表示素子及び電気機器の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、カラー画像表示を表示可能な表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる表示素子、及び画像表示装置を説明する平面図である。図1において、本実施形態の画像表示装置1では、本発明の表示素子10を用いた表示部が設けられており、この表示部には矩形状の表示面が構成されている。すなわち、表示素子10は、図1の紙面に垂直な方向で互いに重ね合うように配置された上部基板2及び下部基板3を備えており、これらの上部基板2と下部基板3との重なり部分によって上記表示面の有効表示領域が形成されている(詳細は後述。)。
また、表示素子10では、複数の信号電極4が互いに所定の間隔をおいて、かつ、X方向に沿ってストライプ状に設けられている。また、表示素子10では、複数の参照電極5及び複数の走査電極6が、互いに交互に、かつ、Y方向に沿ってストライプ状に設けられている。これら複数の信号電極4と、複数の参照電極5及び複数の走査電極6とは、互いに交差するように設けられており、表示素子10では、信号電極4と走査電極6との交差部単位に、複数の各画素領域が設定されている。
また、これら複数の信号電極4、複数の参照電極5、及び複数の走査電極6は、互いに独立して、第1の電圧としてのHigh電圧(以下、“H電圧”という。)と、第2の電圧としてのLow電圧(以下、“L電圧”という。)との間の所定の電圧範囲内の電圧が印加可能に構成されている(詳細は後述。)。
さらに、表示素子10では、後に詳述するように、上記複数の各画素領域が仕切壁にて気密に区切られるとともに、複数の画素領域が、上記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている。そして、表示素子10では、マトリクス状に設けられた複数の画素(表示セル)毎に、エレクトロウェッティング現象にて後述の極性液体を移動させ、表示面側での表示色を変更するようになっている。
また、複数の信号電極4、複数の参照電極5、及び複数の走査電極6では、各々一端部側が表示面の有効表示領域の外側に引き出されて、端子部4a、5a、及び6aが形成されている。
複数の信号電極4の各端子部4aには、配線7aを介して信号ドライバ7が接続されている。信号ドライバ7は、信号電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各信号電極4に対して、情報に応じた信号電圧Vdを印加するように構成されている。
また、複数の参照電極5の各端子部5aには、配線8aを介して参照ドライバ8が接続されている。参照ドライバ8は、参照電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各参照電極5に対して、参照電圧Vrを印加するように構成されている。
また、複数の走査電極6の各端子部6aには、配線9aを介して走査ドライバ9が接続されている。走査ドライバ9は、走査電圧印加部を構成するものであり、画像表示装置1が文字及び画像を含んだ情報を表示面に表示する場合に、複数の各走査電極6に対して、走査電圧Vsを印加するように構成されている。
また、走査ドライバ9では、複数の各走査電極6に対して、上記極性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、極性液体が信号電圧Vdに応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を走査電圧Vsとして印加するようになっている。また、参照ドライバ8は、走査ドライバ9の動作を参照して動作するように構成されており、参照ドライバ8は、複数の各参照電極5に対して、上記極性液体が移動するのを阻止する非選択電圧と、極性液体が信号電圧Vdに応じて移動するのを許容する選択電圧との一方の電圧を参照電圧Vrとして印加するようになっている。
そして、画像表示装置1では、走査ドライバ9が例えば図1の左側から右側の各走査電極6に対し、選択電圧を順次印加し、かつ、参照ドライバ8が走査ドライバ9の動作に同期して図1の左側から右側の各参照電極5に対し、選択電圧を順次印加することにより、ライン毎の走査動作が行われるように構成されている(詳細は後述。)。
また、信号ドライバ7、参照ドライバ8、及び走査ドライバ9には、直流電源または交流電源が含まれており、対応する信号電圧Vd、参照電圧Vr、及び走査電圧Vsを供給するようになっている。
また、参照ドライバ8は、参照電圧Vrの極性を所定の時間(例えば、1フレーム)毎に切り替えるように構成されている。さらに、走査ドライバ9は、参照電圧Vrの極性の切り替えに対応して、走査電圧Vsの各極性を切り替えるように構成されている。このように、参照電圧Vr及び走査電圧Vsの各極性が所定の時間毎に切り替えられるので、参照電極5及び走査電極6に対して常時同じ極性の電圧を印加するときに比べて、これらの参照電極5及び走査電極6での電荷の局在化を防ぐことができる。さらに、電荷の局在化に起因する表示不良(残像現象)や信頼性(寿命低下)の悪影響を防止することができる。
ここで、図2〜図5も参照して、表示素子10の画素構造について具体的に説明する。
図2は、表示面側から見た場合での図1に示した上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図3は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側のカラーフィルタ層を示す拡大平面図である。図4は、非表示面側から見た場合での図1に示した下部基板側の電極構成を説明する拡大平面図である。図5(a)及び図5(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図1に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。なお、図2〜図4では、図面の簡略化のために、上記表示面に設けられた複数の画素のうち、図1の左上端部に配設された12個の画素を図示している(後掲の図11及び図12においても、同様。)。
図2〜図5において、表示素子10は、表示面側に設けられた第1の基板としての上記上部基板2と、上部基板2の背面側(非表示面側)に設けられた第2の基板としての上記下部基板3とを備えている。また、表示素子10では、上部基板2と下部基板3が互いに所定の間隔をおいて配置されることにより、これら上部基板2及び下部基板3の間に所定の表示用空間Sが形成されている。また、この表示用空間Sの内部には、上記極性液体16及びこの極性液体16と混じり合わない絶縁性流体としてのオイル17が当該表示用空間Sの内部で上記X方向(図4の左右方向)に移動可能に封入されており、極性液体16は後述の有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動できるようになっている。
さらに、極性液体16及びオイル17には、後に詳述するように、所定量の界面活性剤が添加されている。そして、これらの極性液体16及びオイル17は、添加された界面活性剤によって一旦乳化(エマルション化)されて乳化液が生成され、その乳化液が全ての画素領域P内に封入された後、上部基板2と下部基板3とが一体的に組み付けられることによって各画素領域P内に一定量の乳化液が充填された後、極性液体16及びオイル17に再び分離されて、各画素領域P内に封入されている。
極性液体16には、例えば溶媒としての水と、溶質としての所定の電解質を含んだ水溶液が用いられている。具体的には、例えば1mmol/Lの塩化カリウム(KCl)の水溶液が極性液体16に用いられている。また、極性液体16には、所定色、例えば自己分散型顔料によって黒色に着色されたものが使用されている。
また、極性液体16は黒色に着色されているので、当該極性液体16は、各画素において、光の透過を許容または阻止するシャッターとして機能するようになっている。つまり、表示素子10の各画素では、後に詳述するように、極性液体16が表示用空間Sの内部を参照電極5側(有効表示領域P1側)または走査電極6側(非有効表示領域P2側)にスライド移動することによって表示色が黒色またはRGBのいずれかの色に変更されるよう構成されている。
また、オイル17には、例えば側鎖高級アルコール、側鎖高級脂肪酸、アルカン炭化水素、シリコーンオイル、マッチングオイルから選択された1種または複数種からなる無極性で、かつ、無色透明なオイルが用いられている。また、このオイル17は、極性液体16のスライド移動に伴って、表示用空間Sの内部を移動するようになっている。
上部基板2には、透明な透明シート材、例えば無アルカリガラス基板などの透明なガラス材が用いられている。また、上部基板2の非表示面側の表面には、上記仕切壁としてのリブ14に含まれた第1及び第2のリブ部材14a、14bが形成されており、画素領域Pを気密に区切るようになっている。
また、上部基板2では、信号電極4が当該上部基板2の非表示面側の表面上で第1のリブ部材14aを貫通するように形成されている。さらに、上部基板2の非表示面側の表面では、第1及び第2のリブ部材14a、14b、及び信号電極4を覆うように撥水膜12が設けられている。
また、下部基板3には、上部基板2と同様に、例えば無アルカリガラス基板などの透明なガラス材が用いられている。また、下部基板3の表示面側の表面には、カラーフィルタ層11が設けられている。また、このカラーフィルタ層11上には、参照電極5及び走査電極6が設けられており、さらに、これらの参照電極5及び走査電極6を覆うように、誘電体層13が形成されている。さらに、この誘電体層13上には、当該誘電体層13を覆うように撥水膜15が設けられている。
尚、上記の説明以外に、例えばアクリル系樹脂などの透明な合成樹脂を用いて、上部基板2及び下部基板3を構成してもよい。
また、下部基板3の背面側(非表示面側)には、例えば白色の照明光を発光するバックライト18が一体的に組み付けられており、透過型の表示素子10が構成されている。尚、バックライト18には、冷陰極蛍光管やLEDなどの光源が用いられている。
カラーフィルタ(Color Filter)層11には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーフィルタ部11r、11g、及び11bと、遮光膜としてのブラックマトリクス部11sとが設けられており、RGBの各色の画素を構成するようになっている。つまり、カラーフィルタ層11では、図3に例示するように、RGBのカラーフィルタ部11r、11g、11bがX方向に沿って順次設けられるとともに、各々4つのカラーフィルタ部11r、11g、11bがY方向に沿って設けられており、X方向及びY方向にそれぞれ3個及び4個、合計12個の画素が配設されている。
また、表示素子10では、図3に例示するように、各画素領域Pにおいて、画素の有効表示領域P1に対応する箇所にRGBのいずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11bが設けられ、非有効表示領域P2に対応する箇所にブラックマトリクス部11sが設けられている。つまり、表示素子10では、上記表示用空間Sに対し、ブラックマトリクス部(遮光膜)11sによって非有効表示領域P2(非開口部)が設定され、そのブラックマトリクス部11sに形成された開口部(つまり、いずれかのカラーフィルタ部11r、11g、及び11b)によって有効表示領域P1が設定されている。
また、表示素子10では、カラーフィルタ部11r、11g、11bの各面積は、有効表示領域P1の面積に対し、同一または若干小さい値が選択されている。一方、ブラックマトリクス部11sの面積は、非有効表示領域P2の面積に対し、同一または若干大きい値が選択されている。尚、図3では、隣接する画素の境界部を明確にするために、隣接する画素に応じた2つのブラックマトリクス部11s間の境界線を点線にて示しているが、実際のカラーフィルタ層11では、ブラックマトリクス部11s間の境界線は存在しない。
また、表示素子10では、Y方向に平行に設けられた上記第1のリブ部材14aと、X方向に平行に設けられた上記第2のリブ部材14bとにより、表示用空間Sの内部が画素領域Pに応じて気密に区切られている。すなわち、表示素子10では、各画素の表示用空間Sは、図2に例示するように、互いに対向する2つの第1のリブ部材14aと、互いに対向する2つの第2のリブ部材14bとによって区画されている。そして、これらの第1及び第2のリブ部材14a、14bは、撥水膜12、15を介在させて下部基板3側の誘電体層13上に当接するように構成されており、表示用空間Sの内部は、画素領域P単位に気密に区切られている。
撥水膜12、15には、透明な合成樹脂、好ましくは電圧印加時に極性液体16に対し親水層となる、例えばフッ素系樹脂が使用されている。これにより、表示素子10では、上部基板2及び下部基板3の表示用空間S側の各表面側での極性液体16との間の濡れ性(接触角)を大きく変化させることができ、極性液体16の移動速度の高速化を図ることができる。また、誘電体層13は、例えばパリレンや窒化シリコン、酸化ハフニウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、あるいは酸化アルミニウムを含有した透明な誘電体膜によって構成されている。尚、各撥水膜12、15の具体的な厚さ寸法は、数十nm〜数μmであり、誘電体層13の具体的な厚さ寸法は、数百nmである。また、撥水膜15は、信号電極4と極性液体16とを電気的に絶縁することはなく、極性液体16の応答性向上を阻害しないようになっている。
参照電極5及び走査電極6には、酸化インジウム系(ITO)、酸化スズ系(SnO2)、または酸化亜鉛系(AZO、GZO、あるいはIZO)などの透明な電極材料が用いられている。これらの各参照電極5及び各走査電極6は、スパッタ法等の公知の成膜方法により、下部基板3上に帯状に形成されている。
信号電極4には、X方向に平行となるように配置された線状配線が用いられている。また、この信号電極4には、ITO等の透明電極材料が用いられている。さらに、信号電極4は、上部基板2の非表示面側の表面上で、各画素領域PのY方向でのほぼ中心部を通るように設置されており、撥水膜12を介して極性液体16に電気的に接触するように構成されている。これにより、表示素子10では、表示動作時での極性液体16の応答性の向上が図られている。
上記のように構成された表示素子10の各画素では、図5(a)に例示するように、極性液体16がカラーフィルタ部11r(参照電極5)の上方で保持されると、バックライト18からの光が極性液体16により遮光されて、黒色表示(非CF着色表示)が行われる。一方、図5(b)に例示するように、極性液体16がブラックマトリクス部11s(走査電極6)の上方で保持されると、バックライト18からの光は極性液体16に遮光されることなく、カラーフィルタ部11rを通過することにより、赤色表示(CF着色表示)が行われる。
ここで、図6〜図9も参照して、本実施形態の表示素子10の製造工程について具体的に説明する。
図6(a)〜図6(c)は、上記上部基板側の各部の形成工程を説明する図であり、図6(d)は、乳化された極性液体とオイルとの混合物(乳化液)を画素領域毎に充填工程を説明する図である。図7(a)〜図7(c)は、界面活性剤を添加して、極性液体とオイルとを乳化する乳化工程を説明する図である。図8(a)〜図8(d)は、上記下部基板側の各部の形成工程を説明する図である。図9(a)は、上部基板と下部基板との貼り合わせ工程を説明する図であり、図9(b)は、極性液体とオイルとの混合物から極性液体とオイルとに分離する分離工程を説明する図であり、図9(c)は、上記表示素子の最終の製造工程を説明する図である。
図6(a)において、上部基板2には、例えば厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板が用いられており、上部基板2では、信号電極4の電極形成工程が行われる。つまり、上部基板2では、その表面2aに対して、例えばITOからなる細線を固定することにより、信号電極4が設置される。
続いて、図6(b)に示すように、上部基板2の表面2a上にリブ14を設ける設置工程が行われる。すなわち、この設置工程では、例えばフォトリソ法を用いて、上部基板2の表面2aに対して、UV硬化樹脂を用いた第1及び第2のリブ部材14a、14bが設置される。
その後、図6(c)に示すように、リブ14の表面上に撥水膜12を形成する形成工程が行われる。つまり、この形成工程では、第1及び第2のリブ部材14a、14bの表面に対して、例えばフッ素系樹脂材をディッピング法によって塗布して、80℃で30分間焼成することにより、撥水膜12が形成される。撥水膜12の膜厚は、例えば60nmである。また、この形成工程の前に、第1及び第2のリブ部材14a、14bの表面に対して、所定のプライマー処理が行われており、これら第1及び第2のリブ部材14a、14bの表面と撥水膜12との密着性の向上が図られている。
続いて、図6(d)に示すように、上部基板2に対して、界面活性剤が添加された乳化された極性液体16とオイル(絶縁性流体)17との乳化液EKを画素領域P毎に充填する充填工程が行われる。具体的にいえば、上部基板2において、第1及び第2のリブ部材14a、14bにて区画された全ての画素領域P内に対し、例えばディスペンサ装置またはスリットコーターにより、乳化液EKを一括充填する。その後、上部基板2に対して、下部基板3が組み付けられることにより、一定量の乳化液EKが、第1及び第2のリブ部材14a、14bにて区画された各画素領域P内に完全に充填される(後述の図9(a)を参照。)。
また、この乳化液EKの充填工程の前において、極性液体16とオイル17との混合物に対して、界面活性剤を添加した後に、これらの極性液体16とオイル17とを乳化する乳化工程が行われる。また、この充填工程では、液晶パネルにおける、液晶を入れる液晶滴下工程と同じ方法にて、乳化液EKが全ての画素領域P内に一括して封入された後、上部基板2と下部基板3との一体化によって一定量の乳化液EKが各画素領域P内に完全に充填されている。これにより、上記従来例と異なり、画素領域Pのサイズ、あるいは各画素領域Pでの極性液体16及びオイル17の各封入量などに関わらず、適量の乳化液EK(ひいては適量の極性液体16及び適量のオイル17)を各画素領域P内に封入することができる。
尚、上記の説明以外に、例えばインクジェット法(装置)を用いて、画素領域P単位に乳化液EKを充填してもよい。但し、上記のように、ディスペンサ装置またはスリットコーターにより、乳化液EKを全ての画素領域P内に一括充填した後、上記基板2と下部基板3との組付けによって各画素領域P内に一定量の乳化液EKを完全に充填する場合の方が、画素領域Pの設置数やサイズなどに関わらず、乳化液EKの充填工程を簡単に行える点で好ましい。
具体的にいえば、図7(a)に示すように、撹拌装置(図示せず)の容器KYの内部に、極性液体16、オイル17、及び界面活性剤KZを入れた後、所定の撹拌条件(例えば、周速20m/s、300秒)にて撹拌装置を動作させる。これにより、図7(b)に示すように、容器KYの内部には、界面活性剤KZが添加された極性液体16とオイル17との乳化液EKが生成される。また、この乳化工程では、極性液体16とオイル17との比率をほぼ1:1に設定するとともに、所定量の界面活性剤KZが添加されている。さらに、乳化液EKでは、図7(c)に示すように、極性液体16及びオイル17の一方が乳化粒子EK1として存在し、極性液体16及びオイル17の他方が乳化液EKの液本体EK2として存在する。
詳細にいえば、界面活性剤KZとして、非イオン系の界面活性剤が用いられている。より具体的には、この界面活性剤KZには、例えばポリオキシアルキレンオキサイドなどの合成アルコール系、アルキルフェノール系、天然アルコール系、脂肪酸エステル系、あるいはプルロニック系などの非イオン系の界面活性剤が用いられている。また、このような非イオン系の界面活性剤が用いることにより、本実施形態では、表示素子10に動作不良が生じるのを確実に防止することができるようになっている。
すなわち、この界面活性剤KZは、上記充填工程が行われた後、後続の分離工程によって極性液体16とオイル17とに分離されるが、当該界面活性剤KZは、分離工程によって不活性化された状態で極性液体16及びオイル17中に存在する。つまり、界面活性剤KZは、乳化工程において、極性液体16とオイル17との乳化に寄与した後、分離工程後(つまり、表示素子10の製造後)において、極性液体16及びオイル17中に存在する。それ故、表示素子10の動作時に生じる電場(信号電極4、参照電極5、及び走査電極6への各電圧印加に伴う電場)に影響を受けない非イオン系の界面活性剤KZを用いることにより、極性液体16の動作に悪影響を与えることを防ぐことができ、表示素子10に動作不良が生じるのを確実に防止することができる。
また、界面活性剤KZとして、曇点が90℃以下である界面活性剤が用いられている。つまり、この界面活性剤KZでは、極性液体16とオイル17との分離を促すため、界面活性剤KZが界面活性能力を失う曇点が90℃以下、好ましくは50℃以下、より好ましくは25℃(室温)以下のものが用いられている。これにより、本実施形態では、上記分離工程での極性液体16とオイル17との分離を最適に行うことができ、極性液体16及びオイル17を適切に機能させることができる。また、曇点が90℃以下の界面活性剤KZを用いることにより、分離工程と、上部基板2と下部基板3との貼り合わせ工程を同時行うことができる(詳細は後述。)。さらに、曇点が25℃以下の界面活性剤KZを用いた場合には、極性液体16とオイル17との再乳化を確実に防ぐことができ、ひいては表示素子10に動作不良が生じるのを確実に防止することができる。
また、界面活性剤KZでは、その添加量は、極性液体16とオイル17とを乳化したときの乳化粒子EK1の総表面積に基づいて、定められている。言い換えれば、上記乳化工程では、画素領域Pの単位体積当たりの乳化粒子数(乳化粒子EK1の数量)が所定の範囲内の値となるように、極性液体16とオイル17との乳化が行われている。これにより、本実施形態では、各画素領域Pに対して、適量の極性液体16及びオイル17をより容易に封入することができる。
具体的にいえば、乳化工程では、画素領域Pの単位体積当たりの乳化粒子数が、例えば2.0×109個/cm2〜2.0×1012個/cm2の範囲とされており、乳化粒子EK1の直径は、例えば1.0μm〜10.0μm程度とされている。
尚、画素領域Pの単位体積当たりの乳化粒子数を、例えば2.0×1012個/cm2を超える値、つまり界面活性剤KZの添加量を多くし過ぎると、乳化粒子EK1の直径が小さくなり過ぎて、極性液体16とオイル17との分離を行い難くなる。一方、画素領域Pの単位体積当たりの乳化粒子数を、例えば2.0×109個/cm2より小さい値、つまり界面活性剤KZの添加量を少なくし過ぎると、乳化粒子EK1の直径が大きくなり過ぎて、各画素領域Pに対して、適量の極性液体16と適量のオイル17を充填するのが難くなる。
また、図8(a)において、下部基板3には、例えば厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板が用いられており、例えばフォトリソグラフィ法を用いて、カラーフィルタ部11r、11g、11bとブラックマトリクス部11sとを下部基板3の表面3a上に積層することによってCF形成工程が行われて、カラーフィルタ層11が形成される。このカラーフィルタ層11には、感光性樹脂(例えば、光反応性アクリルモノマー)と対応する顔料とが用いられており、例えば2μm程度の膜厚とされている。
その後、図8(b)に示すように、基準電極5及び走査電極6の電極形成工程が行われる。すなわち、この電極形成工程では、例えばスパッタ法にて膜厚100nmのITO膜をカラーフィルタ層11上に成膜することにより、基準電極5及び走査電極6が形成される。
続いて、図8(c)に示すように、誘電体層13の形成工程が行われる。つまり、カラーフィルタ層11、基準電極5、及び走査電極6の上方に、誘電体層13として例えばCVD法を用いて、窒化シリコン膜を成膜した。この誘電体層13の膜厚は、例えば350nmである。
その後、図8(d)に示すように、撥水膜15の成膜工程が行われる。すなわち、誘電体層13の表面に対し、例えばフッ素系樹脂材をディッピング法によって塗布して、80℃で30分間焼成することにより、撥水膜15を成膜した。撥水膜15の膜厚は、例えば60nmである。
続いて、図9(a)に示すように、乳化液EKを保持した上部基板2に対し、下部基板3を上方から組み付けて一体化する。
そして、図9(b)において、上記分離工程と貼り合わせ工程とが同時に行われる。具体的には、上部基板2の周縁部に設置したシール材、例えばUV硬化樹脂に対して、所定のUV(紫外線)照射処理(例えば、UV照射、3000mJ)を行うとともに、一体化した上部基板2及び下部基板3に対して、所定の加熱処理(例えば、90℃、60分)を行う。これにより、上記充填工程にて画素領域P毎に充填された乳化液EKから、極性液体16とオイル17とに分離する分離工程と、上部基板2と下部基板3との貼り合わせ工程とが同時に完了される。
その後、図9(c)に示すように、上部基板2及び下部基板3を上下逆転することにより、表示素子10が完成される。
ここで、図10も参照して、上記のように構成された本実施形態の画像表示装置1の表示動作について具体的に説明する。
図10は、上記画像表示装置の動作例を説明する図である。
図10において、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、例えば同図の左側から右側に向かう所定の走査方向で、参照電極5及び走査電極6に対して、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記選択電圧を順次印加する。具体的には、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、参照電極5及び走査電極6に対して、選択電圧としてH電圧(第1の電圧)及びL電圧(第2の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ7は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極4に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。これにより、選択ラインの各画素では、極性液体16が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に移動されて、表示面側の表示色が変更される。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極5及び走査電極6に対しては、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、それぞれ参照電圧Vr及び走査電圧Vsとして上記非選択電圧を印加する。具体的には、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、残り全ての参照電極5及び走査電極6に対して、非選択電圧として、例えば上記H電圧とL電圧の中間の電圧である中間電圧(Middle電圧、以下、“M電圧”という。)を印加する。これにより、非選択ラインの各画素では、極性液体16が有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側で不必要な変動を生じることなく静止され、表示面側の表示色が変更されない。
上記のような表示動作を行う場合、参照電極5、走査電極6、及び信号電極4への印加電圧の組み合わせは、表1に示されるものとなる。さらに、極性液体16の挙動及び表示面側の表示色は、表1に示すように、印加電圧に応じたものとなる。なお、表1では、H電圧、L電圧、及びM電圧をそれぞれ"H"、"L"、及び“M”にて略記している(後掲の表2でも同様。)。また、H電圧、L電圧、及びM電圧の具体的な値は、それぞれ例えば+16V、0V、及び+8Vである。
Figure 2013125131
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極4に対して例えばH電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、共にH電圧が印加されているので、これらの参照電極5と信号電極4との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極4と走査電極6との間では、走査電極6に対して、L電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。このため、極性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている走査電極6側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、極性液体16は、図5(b)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、オイル17を参照電極5側に移動させて、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、カラーフィルタ部11rによる赤色表示(CF着色表示)の状態となる。また、画像表示装置1では、隣接するRGBの3つの全画素において、それらの極性液体16が非有効表示領域P2側に移動して、CF着色表示が行われたときに、当該RGBの画素からの赤色光、緑色光、及び青色光が白色光に混色して、白色表示が行われる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極4に対してL電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、電位差が生じ、信号電極4と走査電極6との間には、電位差が生じていない。従って、極性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている参照電極5側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、極性液体16は、図5(a)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、極性液体16による黒色表示(非CF着色表示)の状態となる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極4に対して例えばH電圧が印加されているときでは、極性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示またはCF着色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極4に対してL電圧が印加されているときでも、極性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、非選択ラインにおいては、信号電極4がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、極性液体16は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極4への印加電圧に応じて、上述のように、極性液体16を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、画像表示装置1では、表1に示した印加電圧の組み合わせによって、選択ライン上の各画素での表示色は、例えば図10に示すように、各画素に対応する信号電極4への印加電圧に応じて、カラーフィルタ部11r、11g、11bによるCF着色(赤色、緑色、あるいは青色)または極性液体16による非CF着色(黒色)となる。また、参照ドライバ8及び走査ドライバ9が、それぞれ参照電極5及び走査電極6の選択ラインを、例えば図10の左から右へ走査動作を行う場合、画像表示装置1の表示部での各画素の表示色もまた同図10の左から右に向かって順次変化することとなる。したがって、参照ドライバ8及び走査ドライバ9による選択ラインの走査動作を高速で行うことにより、画像表示装置1において、表示部での各画素の表示色も高速に変化させることが可能となる。さらに、選択ラインの走査動作に同期させて信号電極4への信号電圧Vdの印加を行うことにより、画像表示装置1では、外部からの画像入力信号に基づいて、動画像を含んだ種々の情報を表示することが可能となる。
また、参照電極5、走査電極6、及び信号電極4への印加電圧の組み合わせは、表1に限定されるものではなく、表2に示すものでもよい。
Figure 2013125131
すなわち、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、例えば同図の左側から右側に向かう所定の走査方向で、参照電極5及び走査電極6に対して、選択電圧としてL電圧(第2の電圧)及びH電圧(第1の電圧)をそれぞれ順次印加して選択ラインとする走査動作を行う。また、この選択ラインでは、信号ドライバ7は外部からの画像入力信号に応じて、対応する信号電極4に対して、H電圧またはL電圧を信号電圧Vdとして印加する。
一方、非選択ライン、つまり残り全ての参照電極5及び走査電極6に対しては、参照ドライバ8及び走査ドライバ9は、非選択電圧としてM電圧を印加する。
<選択ラインでの動作>
選択ラインでは、信号電極4に対して例えばL電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、共にL電圧が印加されているので、これらの参照電極5と信号電極4との間には、電位差が生じていない。一方、信号電極4と走査電極6との間では、走査電極6に対して、H電圧が印加されているので、電位差が生じている状態となる。従って、極性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている走査電極6側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、極性液体16は、図5(b)に例示したように、非有効表示領域P2側に移動した状態となり、オイル17を参照電極5側に移動させて、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを許容する。これにより、表示面側での表示色は、カラーフィルタ部11rによる赤色表示(CF着色表示)の状態となる。また、表1に示した場合と同様に、隣接するRGBの3つの全画素において、CF着色表示が行われたときには、白色表示が行われる。
一方、選択ラインにおいて、信号電極4に対してH電圧が印加されているときでは、参照電極5と信号電極4との間では、電位差が生じ、信号電極4と走査電極6との間には、電位差が生じていない。従って、極性液体16は、信号電極4に対して、電位差が生じている参照電極5側に表示用空間Sの内部を移動する。この結果、極性液体16は、図5(a)に例示したように、有効表示領域P1側に移動した状態となり、バックライト18からの照明光がカラーフィルタ部11rに達するのを阻止する。これにより、表示面側での表示色は、極性液体16による黒色表示(非CF着色表示)の状態となる。
<非選択ラインでの動作>
非選択ラインでは、信号電極4に対して例えばL電圧が印加されているときでは、極性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。この結果、表示色は、現状の黒色表示またはCF着色表示から変更されずに維持される。
同様に、非選択ラインにおいて、信号電極4に対してH電圧が印加されているときでも、極性液体16は現状の位置に静止した状態で維持されて、現状の表示色で維持される。すなわち、参照電極5及び走査電極6の双方に対して、M電圧が印加されているので、参照電極5と信号電極4との間の電位差及び走査電極6と信号電極4との間の電位差は、共に同じ電位差が生じるからである。
以上のように、表2に示した場合でも、表1に示した場合と同様に、非選択ラインにおいては、信号電極4がH電圧及びL電圧のいずれかの電圧であっても、極性液体16は移動せずに、静止して、表示面側での表示色は変化しない。
一方、選択ラインにおいては、信号電極4への印加電圧に応じて、上述のように、極性液体16を移動させることができ、表示面側での表示色を変更させることができる。
また、本実施形態の画像表示装置1では、表1及び表2に示した印加電圧の組み合わせ以外に、信号電極4への印加電圧を、H電圧またはL電圧の2値だけではなく、これらのH電圧とL電圧との間の電圧を、表示面側に表示される情報に応じて変化させることもできる。すなわち、画像表示装置1では、信号電圧Vdを制御することにより、階調表示が可能となる。これにより、表示性能に優れた表示素子10を構成することができる。
以上のように構成された本実施形態の表示素子10では、リブ14が複数の各画素領域Pに応じて、表示用空間Sの内部を気密に区切っている。また、界面活性剤KZが極性液体16及びオイル(絶縁性流体)17の少なくとも一方に添加されているので、当該界面活性剤KZによって極性液体16とオイル17とを乳化することができる。これにより、本実施形態では、各画素領域Pに対して、乳化した極性液体16とオイル17とを適切に、かつ、容易に封入することができる。従って、本実施形態では、上記従来例と異なり、階調表示を行うときでも、表示品位の低下を防ぎつつ、適量の極性液体16及び適量のオイル17を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子10を構成することができる。
また、本実施形態の画像表示装置(電気機器)1では、階調表示を行うときでも、表示品位の低下を防ぎつつ、適量の極性液体16及びオイル17を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子10が表示部に用いられているので、優れた表示品位を有する表示部を備えた高性能な画像表示装置(電気機器)1を、効率よく、かつ、容易に構成することができる。
また、本実施形態の表示素子10では、信号ドライバ(信号電圧印加部)7、参照ドライバ(参照電圧印加部)8、及び走査ドライバ(走査電圧印加部)9が信号電極4、参照電極5、及び走査電極6に対して、信号電圧Vd、参照電圧Vr、及び走査電圧Vsを印加するようになっている。これにより、本実施形態では、優れた表示品位を有するマトリクス駆動方式の表示素子10を容易に構成することができるとともに、各画素領域の表示色を適切に変更することができる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子における、表示面側から見た場合での上部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図12は、本発明の第2の実施形態にかかる表示素子における、非表示面側から見た場合での下部基板側の要部構成を示す拡大平面図である。図13(a)は、図11に示した表示素子の1つの画素領域での要部構成を示す拡大平面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIIIb−XIIIb線断面図である。図14(a)及び図14(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、図11に示した表示素子の要部構成を示す断面図である。なお、図13(b)では、図面の簡略化のために、信号電極4、参照電極5、走査電極6、カラーフィルタ層11、誘電体層13、及び撥水膜12、15の図示は省略している。
図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、表示用空間の内部に、画素領域毎にオイル(絶縁性流体)を移動させるための移動用空間が設けた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
つまり、図11〜図14(b)に示すように、本実施形態の表示素子10では、上部基板2の非表示面側の表面に、構造体24が設けられている。この構造体24には、上部基板2の非表示面側の表面の全面を覆うように設けられた被覆面24aと、この被覆面24a上でY方向及びX方向にそれぞれ平行となるように設けられた第1のリブ部材24b及び第2のリブ部材24cを有する枠状のリブ(仕切壁)とが設けられている。また、これら第1及び第2のリブ部材24b、24cは、第1の実施形態のものと同様に、画素領域Pを気密に区切るようになっている。つまり、これら第1及び第2のリブ部材24b、24cは、互いに接続されて枠状に構成され、かつ、下部基板3側の端部は当該下部基板3側に当接するようになっている。
また、本実施形態の表示素子10では、図12に例示するように、信号電極4が下部基板3側に設置されている。具体的には、図14(a)に示すように、信号電極4は、誘電体層13上に形成されており、撥水膜15によって覆われている。
また、上記構造体24には、上記枠状のリブ内で下部基板3側に突出するように設けられた複数、例えば4本のレール部材24dが含まれている。これら4本のレール部材24dは、互いに所定の間隔をおいて設けられており、オイル(絶縁性流体)17を移動させるための移動用空間を構成している。つまり、各レール部材24dは、図13(a)及び図13(b)に示すように、上部基板2側から表示用空間Sの内部側に突出するように、かつ、当該上部基板2側で有効表示領域P1と非有効表示領域P2とを接続するように直線状に設けられており、表示用空間Sの内部において、移動用空間Kを区画している。これにより、本実施形態の表示素子10では、例えば図13(b)に示すように、各画素領域Pにおいて、オイル(絶縁性流体)17を移動させるための移動用空間Kが、表示用空間Sの内部において、極性液体16が移動する空間の上部基板2側に形成される。
また、複数のレール部材24dは、例えば図14(a)及び図14(b)に示すように、移動用空間Kの内部において、一端部側及び他端部側がそれぞれ有効表示領域P1側及び非有効表示領域P2側に設けられるとともに、極性液体16の移動に応じて、オイル17を有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に案内するガイド部G(図13(a))として機能するようになっている。また、各レール部材24dは、信号電極4、参照電極5、走査電極6、及び誘電体層13が設置された下部基板3側に設けられていないので、各レール部材24dは、エレクトロウェッティング現象による極性液体16の移動を阻害しないように構成されている。
また、複数のレール部材24dでは、図13(a)及び図13(b)に示すように、隣接する2本のレール部材24dの間の寸法h1、第1のリブ部材24bとレール部材24dとの間の寸法h2、及び第2のリブ部材24cとレール部材24dとの間の寸法h3が、各々上部基板2及び下部基板3と垂直な方向での極性液体16の寸法Hよりも小さい寸法に設定されている。具体的にいえば、本実施形態では、寸法h1〜h3は各々例えば10μmに設定され、寸法Hは例えば40μmに設定されている。
以上のように、寸法Hよりも小さい寸法の寸法h1〜h3を用いることにより、本実施形態では、極性液体16の動作(移動)が不安定になるのを防止することができる。すなわち、本願発明の発明者等による実験によれば、極性液体16が、隣接する2つのレール部材24dの間、第1のリブ部材24bとレール部材24dとの間、及び第2のリブ部材24cとレール部材24dとの間の各間に入り込むのを防ぐことができる。この結果、本実施形態では、極性液体16の動作が不安定になるのを防止することができる。尚、本願発明の発明者等による実験によれば、例えば隣接する2つのレール部材24dの間の寸法h1を、極性液体16の寸法H以上とした場合、極性液体16が当該隣接する2つのレール部材24dの間に入り込んで、極性液体16の動作が安定しなかった。
ここで、図15及び図16も参照して、本実施形態の表示素子10の製造工程について具体的に説明する。尚、以下の説明では、第1の実施形態のものと異なる工程を主に説明する。
図15(a)〜図15(c)は、図11に示した表示素子の上部基板側の各部の形成工程を説明する図である。図16(a)は、図11に示した表示素子の上部基板側の撥水膜の形成工程を説明する図であり、図16(b)は、図11に示した表示素子での乳化された極性液体とオイルとの混合物(乳化液)を画素領域毎に充填工程を説明する図である。
図15(a)において、上部基板2には、例えば厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板が用いられており、上部基板2では、その表面2aの全面を覆うように、構造体24を形成する材料層24Xを配置する配置工程が行われている。また、この材料層24Xには、例えばメタクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、あるいは塩化ビニル(PVC)などの透明な熱可塑性汎用樹脂が用いられている。また、同図において、金型(モールド)K3は、後続の設置工程で使用されるものであり、この金型K3には、例えばニッケルなどの金属材が用いられている。また、金型K3には、構造体24に含まれた第1及び第2のリブ部材24b、24c、及びレール部材24dをそれぞれ形成するための溝K3a、K3b、及びK3cが予め設けられている。
続いて、図15(b)に示すように、上部基板2の表面2a上に構造体24を設ける設置工程が行われる。すなわち、この設置工程では、金型K3を用いた熱インプリント処理(例えば、温度140℃、圧力10MPa)が行われるようになっており、被覆面24a、第1及び第2のリブ部材24b、24c、及びレール部材24dが表面2a上に形成される。
その後、上部基板2及び構造体24が冷却された後、図15(c)に示すように、上部基板2及び構造体24は金型K3から離型される。そして、後続の形成工程の前に、構造体24の表面に対して、所定のプライマー処理が行われる。
次に、図16(a)に示すように、構造体24の表面上に撥水膜12を形成する形成工程が行われる。つまり、この形成工程では、構造体24の表面に対して、例えばフッ素系樹脂材をディッピング法によって塗布して、80℃で30分間焼成することにより、撥水膜12が形成される。撥水膜12の膜厚は、例えば60nmである。また、上記プライマー処理を行うことにより、構造体24の表面と撥水膜12との密着性の向上が図られている。
続いて、図16(b)に示すように、上部基板2に対して、界面活性剤が添加された乳化された極性液体16とオイル17との乳化液EKを画素領域P毎に充填する充填工程が行われる。具体的にいえば、上部基板2において、第1及び第2のリブ部材24a、24bにて区画された全ての各画素領域P内に対し、例えばディスペンサ装置またはスリットコーターにより、乳化液EKを一括して充填する。
また、下部基板3側では、図8(a)〜図8(c)に示した工程が行われた後、誘電体層13上に信号電極4を形成する電極形成工程が行われる。つまり、誘電体層13の表面に対して、例えばITOからなる細線を固定することにより、信号電極4が設置される。その後、図8(d)に示したように、撥水膜15の成膜工程が行われる。すなわち、誘電体層13及び信号電極4の各表面に対し、例えばフッ素系樹脂材をディッピング法によって塗布して、80℃で30分間焼成することにより、撥水膜15を成膜した。撥水膜15の膜厚は、例えば60nmである。これにより、下部基板3側の製造工程が完了され、図16(b)に示した乳化液EKの充填工程が行われた後の上部基板に対して、下部基板3が上方から組み付けられて一体化される。このとき、一定量の乳化液EKが各画素領域Pに応じて完全に充填される。
以降、図9(b)及び図9(c)に示した工程が順次行われて、本実施形態の表示素子10が完成される。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、表示用空間Sの内部において、画素領域P毎にオイル(絶縁性流体)17を移動させるための移動用空間Kが設けられているので、表示色を変更するときに極性液体16を移動させる場合でも、当該極性液体16を円滑に、かつ、適切に移動させることができる。
また、本実施形態では、移動用空間Kの内部において、一端部側及び他端部側がそれぞれ有効表示領域P1側及び非有効表示領域P2側に設けられるとともに、極性液体16の移動に応じて、オイル17を有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に案内するガイド部Gが設置されている。これにより、本実施形態では、オイル17は極性液体16の移動に応じて、ガイド部Gによって有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に案内されることとなり、表示色を変更するときに極性液体16を移動させる場合において、当該極性液体16をより円滑に、かつ、より適切に移動させることができる。
また、本実施形態では、ガイド部Gにおいて、表示用空間Sの内部側に突出するように、かつ、上部基板2側で有効表示領域P1と非有効表示領域P2とを接続するように直線状に設けられるとともに、互いに所定の間隔をおいて設置された複数のレール部材24dが用いられている。これにより、本実施形態では、レール部材24dを用いて、極性液体16の移動に応じて、オイル17を有効表示領域P1側または非有効表示領域P2側に適宜案内することができる。
[第3の実施形態]
図17(a)及び図17(b)は、それぞれ非CF着色表示時及びCF着色表示時における、本発明の第3の実施形態にかかる表示素子の要部構成を示す断面図である。図において、本実施形態と上記第1の実施形態との主な相違点は、合成樹脂材を用いて上部基板(第1の基板)及び下部基板(第2の基板)を構成するとともに、上部基板とリブとを一体的に設けた点である。なお、上記第1の実施形態と共通する要素については、同じ符号を付して、その重複した説明を省略する。
つまり、図17(a)及び図17(b)に示すように、本実施形態の表示素子10では、透明な合成樹脂材を用いて、上部基板2’及び下部基板3’が構成されている。また、上部基板2’は、第1及び第2のリブ部材14a、14bを含んだリブ14と一体的に構成されている。
ここで、図18〜図21も参照して、本実施形態の表示素子10の製造工程について具体的に説明する。
図18は、図17に示した表示素子の全体的な製造工程を説明する図である。図19(a)〜図19(c)は、図17に示した表示素子の上部基板側の各部の形成工程を説明する図であり、図19(d)は、乳化された極性液体とオイルとの混合物(乳化液)を画素領域毎に充填工程を説明する図である。図20(a)は、図17に示した表示素子の下部基板側の各部の形成工程を説明する図であり、図20(b)は、上部基板と下部基板との貼り合わせ工程を説明する図である。図21(a)は、極性液体とオイルとの混合物から極性液体とオイルとに分離する分離工程を説明する図であり、図21(b)は、上記表示素子の最終の製造工程を説明する図である。
図18に示すように、本実施形態の表示素子10は、ロールtoロール型の製造工程により、製造されている。つまり、本実施形態では、ロールAに対して、上部基板2’の中間品70が巻回されているとともに、ロールHに対して、下部基板3’の完成品74が巻回されている。そして、中間品70が、図18の矢印に沿って進んで、適宜工程処理が行われることにより、本実施形態の表示素子10が完成される。
具体的にいえば、図19(a)に示すように、上部基板2’の中間品70は、上部基板2’を構成する合成樹脂材と、この合成樹脂材の表面2a’上に形成された信号電極4を備えている。この合成樹脂材には、例えばメタクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル/スチレン樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、あるいは塩化ビニル(PVC)などの透明な熱可塑性汎用樹脂が用いられている。
そして、図18に示すように、中間品70の表面に対して、供給ノズルBから、例えば上記透明な熱可塑性汎用樹脂からなるインプリント樹脂が塗布される。続いて、インプリント樹脂が塗布された中間品70の表面に対して、所定の形状に構成されたロールCが押圧された状態で、UV光源D、または熱光源Dにより、所定の紫外線照射、または所定の加熱処理が行われる。これにより、リブ14が一体的に形成された上部基板2’の中間品71がロールEに巻回される。
具体的にいえば、上記中間品71では、図19(b)に示すように、第1及び第2のリブ部材14a、14bが上部基板2’の表面2a’上に形成されている。
続いて、図18に示すように、中間品71の表面に対して、図示しないスプレーによって撥水膜12が塗布された後、供給ノズルFから、上部基板2’と下部基板3’とを貼り合わせるためのシール材が上部基板2’の周縁部に塗布されて、上部基板2’の中間品72が形成される。つまり、中間品72では、図19(c)に示すように、撥水膜12が第1及び第2のリブ部材14a、14bと表面2a’を覆うように形成されており、さらに上部基板2’の周縁部において、表示素子2単位に上記シール材(図示せず)が塗布されている。
次、図18に示すように、中間品72の表面に対して、供給ノズルGから、上記乳化液EKが塗布または滴下されて、乳化液EKの充填工程が行われ、上部基板2’の中間品73が完成される。中間品73では、図19(d)に示すように、乳化液EKが全ての各画素領域Pに対して、一括して充填されており、画素領域P毎に一定量の乳化液EKが充填されている。
続いて、図18に示すように、中間品73に対して、その上方からロールHに巻回された下部基板3’の完成品74が配置されて、表示素子10の中間品75が形成される。この完成品74は、図20(a)に例示するように、上記透明な熱可塑性汎用樹脂からなるインプリント樹脂によって構成された下部基板3’と、その表面3a’上に形成されたカラーフィルタ層11、参照電極5、走査電極6、誘電体層13、及び撥水膜15を備えている。また、表示素子10の中間品75では、図20(a)に示すように、乳化液EKが画素領域P単位に封入された上部基板2’と下部基板3’とが一体的に貼り合わせられている。
その後、図18に示すように、表示素子10の中間品75に対して、ヒータIから所定の熱照射が行われ、乳化液EKから極性液体16とオイル17とに分離する分離工程と、上記シール材を硬化して、上部基板2’と下部基板3’との貼り合わせ工程とが同時に行われて、表示素子10の中間品76が完成する。すなわち、この中間品76では、図21(a)に示すように、上部基板2’と下部基板3’とが一体的に組み付けられるとともに、極性液体16とオイル17とに分離されている。
そして、図20(b)に示すように、上部基板2’と下部基板3’とが上下反転されて、表示素子10は完成される。
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な作用・効果を奏することができる。また、本実施形態では、上部基板2’とリブ14が一体的に設けられているので、部品点数が少なく製造簡単な表示素子10を容易に得ることができる。
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上記の説明では、表示部を備えた画像表示装置に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部が設けられた電気機器であれば何等限定されるものではなく、例えば電子手帳等のPDAなどの携帯情報端末、パソコンやテレビなどに付随する表示装置、あるいは電子ペーパーその他、各種表示部を備えた電気機器に好適に用いることができる。
また、上記の説明では、極性液体への電界印加に応じて、当該極性液体を移動させるエレクトロウェッティング方式の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明の表示素子は、これに限定されるものではなく、外部電界を利用して、表示用空間の内部で極性液体を動作させることにより、表示面側の表示色を変更可能な電界誘導型の表示素子であれば何等限定されるものではなく、電気浸透方式、電気泳動方式、誘電泳動方式などの他の方式の電界誘導型表示素子に適用することができる。
但し、上記各実施形態のように、エレクトロウェッティング方式の表示素子を構成する場合の方が、極性液体を低い駆動電圧で高速に移動させることが可能となる。また、エレクトロウェッティング方式の表示素子では、極性液体の移動に応じて表示色が変更されており、液晶層などの複屈折材料を用いた液晶表示装置等と異なり、情報表示に使用される、バックライトからの光や外光の光利用効率に優れた高輝度な表示素子を容易に構成できる点でも好ましい。さらには、画素毎にスイッチング素子を設ける必要がないので、構造簡単で高性能なマトリクス駆動方式の表示素子を低コストで構成できる点でも好ましい。
また、上記の説明では、信号電極、走査電極、及び参照電極と、信号ドライバ(信号電圧印加部)、走査ドライバ(走査電圧印加部)、及び参照ドライバ(参照電圧印加部)とを用いた構成について説明した。しかしながら、本発明は、複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を気密に区切るように、設けられたリブを備えるとともに、極性液体及び絶縁性流体の少なくとも一方に界面活性剤を添加したものであれば何等限定されない。
具体的にいえば、複数の信号電極と複数の走査電極とを互いに交差するように、マトリクス状に設けるとともに、信号電極と走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域毎に、スイッチング素子、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を設置する。そして、薄膜トランジスタのゲートに走査電極を接続して走査電圧印加部から電圧印加を行うよう構成する。さらに、薄膜トランジスタのソースに信号電極を接続して信号電圧印加部から電圧印加を行うよう構成するとともに、画素領域毎に設けた画素電極に薄膜トランジスタのドレインを接続して信号電極からの電圧を供給することで極性液体の移動動作を行わせるよう構成するものでよい。
但し、上記の各実施形態のように、参照電極及び参照ドライバ(参照電圧印加部)を設ける場合の方が、スイッチング素子を画素領域毎に設けることなく、階調表示を行うときでも、表示品位が低下するのを防ぐことができるマトリクス駆動方式の表示素子を構成することができる点で好ましい。
また、上記の説明では、バックライトを備えた透過型の表示素子を構成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、拡散反射板などの光反射部を有する反射型や、前記光反射部とバックライトとを併用した半透過型の表示素子にも適用することができる。
また、上記の説明では、塩化カリウムの水溶液を極性液体に用いた場合について説明したが、本発明の極性液体はこれに限定されるものではない。具体的にいえば、極性液体には、塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アルカリ金属水酸化物、酸化亜鉛、塩化ナトリウム、リチウム塩、リン酸、アルカリ金属炭酸塩、酸素イオン伝導性を有するセラミックスなどの電解質を含んだものを使用することができる。また、溶媒には、水以外に、アルコール、アセトン、ホルムアミド、エチレングリコールなどの有機溶媒を使用することもできる。さらに、本発明の極性液体には、ピリジン系、脂環族アミン系、または脂肪族アミン系などの陽イオンと、フッ化物イオンやトリフラート等のフッ素系などの陰イオンとを含んだイオン液体(常温溶融塩)を使用することもできる。
また、本発明の極性液体には、導電性を有する導電性液体と、所定以上の比誘電率、好ましくは15以上の比誘電率を有する高誘電性を有する液体が含まれている。
但し、上記の各実施形態のように、所定の電解質を溶かした水溶液を極性液体に使用する場合の方が、取扱性に優れるとともに、製造が簡単な表示素子を容易に構成することができる点で好ましい。
また、上記の説明では、無極性のオイルを用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、極性液体と混じり合わない絶縁性流体であればよく、例えばオイルに代えて、空気を使用してもよい。また、オイルとして、シリコーンオイル、脂肪系炭化水素などを使用することができる。また、本発明の絶縁性流体には、所定以下の比誘電率、好ましくは5以下の比誘電率を有する流体が含まれている。
但し、上記の各実施形態のように、極性液体と相溶性がない無極性のオイルを用いた場合の方が、空気と極性液体とを用いる場合よりは、無極性のオイル中で極性液体の液滴がより移動し易くなって、当該極性液体を高速移動させることが可能となり、表示色を高速に切り換えられる点で好ましい。
また、上記の説明では、信号電極を上部基板(第1の基板)側または下部基板(第2の基板)側に設け、参照電極及び走査電極を下部基板側に設けた場合について説明した。しかしながら、本発明は、極性液体と接触するように、表示用空間の内部に信号電極を設置し、かつ、極性液体及び互いに電気的に絶縁された状態で、走査電極及び参照電極を第1及び第2の基板の一方側に設けるものであればよい。具体的にいえば、例えば信号電極を第1及び第2の基板の中間部分に設けるとともに、参照電極及び走査電極を第1の基板側に設けてもよい。
また、上記の説明では、参照電極及び走査電極を有効表示領域側及び非有効表示領域側にそれぞれ設置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、参照電極及び走査電極を非有効表示領域側及び有効表示領域側にそれぞれ設置してもよい。
また、上記の説明では、参照電極及び走査電極を下部基板(第2の基板)の表示面側の表面に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁材料からなる上記第2の基板の内部に埋設した参照電極及び走査電極を用いることもできる。このように構成した場合には、第2の基板を誘電体層として兼用させることができ、当該誘電体層の設置を省略することができる。さらに、誘電体層を兼用した第1及び第2の基板上に信号電極を直接的に設け、表示用空間の内部に当該信号電極を設置する構成でもよい。
また、上記の説明では、透明な電極材料を用いて参照電極及び走査電極を構成した場合について説明したが、本発明は参照電極及び走査電極のうち、画素の有効表示領域に対向するように設置される一方の電極だけを透明な電極材料によって構成すればよく、有効表示領域に対向されない他方の電極には、アルミニウム、銀、クロム、その他の金属などの不透明な電極材料を使用することができる。
また、上記の説明では、帯状の参照電極及び走査電極を用いた場合について説明したが、本発明の参照電極及び走査電極の各形状はこれに何等限定されない。例えば透過型に比べて、情報表示に用いられる光の利用効率が低下する反射型の表示素子では、線状や網状などの光ロスが生じ難い形状としてもよい。
また、上記の説明では、信号電極に線状配線を用いた場合について説明したが、本発明の信号電極はこれに限定されるものではなく、網状配線などの他の形状に形成された配線も使用することができる。
また、上記の説明では、黒色に着色された極性液体及びカラーフィルタ層を用いて、RGBの各色の画素を表示面側に設けた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の画素領域が、表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられているものであればよい。具体的には、RGB、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のCMY、またはRGBYCなどに着色された複数色の極性液体を用いることもできる。
また、上記の説明では、カラーフィルタ層を下部基板(第2の基板)の表示面側の表面に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上部基板(第1の基板)側にカラーフィルタ層を設置することもできる。このように、カラーフィルタ層を用いる場合の方が、複数色の極性液体を用意する場合に比べて、製造簡単な表示素子を容易に構成できる点で好ましい。また、このカラーフィルタ層に含まれたカラーフィルタ部(開口部、遮光膜の開口部分)及びブラックマトリクス部(遮光膜)により、表示用空間に対し、有効表示領域及び非有効表示領域をそれぞれ適切に、かつ、確実に設定することができる点でも好ましい。
本発明は、適量の極性液体及び絶縁性流体を容易に封入することができる生産性に優れた表示素子、その製造方法、及びその表示素子を用いた電気機器に対して有用である。
1 画像表示装置(電気機器)
2 上部基板(第1の基板)
3 下部基板(第2の基板)
4 信号電極
5 参照電極
6 走査電極
7 信号ドライバ(信号電圧印加部)
8 参照ドライバ(参照電圧印加部)
9 走査ドライバ(走査電圧印加部)
10 表示素子
11 カラーフィルタ層
11r、11g、11b カラーフィルタ部(開口部)
11s ブラックマトリクス部(遮光膜)
13 誘電体層
14、24 リブ
14a、24b 第1のリブ部材(リブ)
14b、24c 第2のリブ部材(リブ)
16 極性液体
17 オイル(絶縁性流体)
EK 乳化液
KZ 界面活性剤
24d レール部材
S 表示用空間
P 画素領域
P1 有効表示領域
P2 非有効表示領域
K 移動用空間
G ガイド部

Claims (15)

  1. 表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体とを具備し、前記極性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子であって、
    前記極性液体と接触するように、前記表示用空間の内部に設置されるとともに、所定の配列方向に沿って設けられた複数の信号電極、
    前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の一方側に設置されるように、前記極性液体に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の走査電極、
    前記信号電極と前記走査電極との交差部単位に設けられた複数の画素領域、
    前記複数の各画素領域に応じて、前記表示用空間の内部を気密に区切るように、前記第1及び第2の基板の少なくとも一方側に設けられたリブ、及び
    前記表示用空間の内部に前記画素領域毎に移動可能に封入されるとともに、前記極性液体と混じり合わない絶縁性流体を備え、
    前記極性液体及び前記絶縁性流体の少なくとも一方に、界面活性剤を添加した、
    ことを特徴とする表示素子。
  2. 前記界面活性剤では、その添加量は、前記極性液体と前記絶縁性流体とを乳化したときの乳化粒子の総表面積に基づいて、定められている請求項1に記載の表示素子。
  3. 前記界面活性剤として、非イオン系の界面活性剤が用いられている請求項1または2に記載の表示素子。
  4. 前記界面活性剤として、曇点が90℃以下である界面活性剤が用いられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示素子。
  5. 前記複数の信号電極に接続されるとともに、前記複数の各信号電極に対して、前記表示面側に表示される情報に応じた所定の電圧範囲内の信号電圧を印加する信号電圧印加部と、
    前記複数の走査電極に接続されるとともに、前記複数の各走査電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する走査電圧印加部を備えている請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示素子。
  6. 前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側の他方側に設置されるように、前記極性液体及び前記走査電極に対して電気的に絶縁された状態で、前記第1及び第2の基板の一方側に設けられるとともに、前記複数の信号電極と交差するように設けられた複数の参照電極と、
    前記複数の参照電極に接続されるとともに、前記複数の各参照電極に対して、前記極性液体が前記信号電圧に応じて、前記表示用空間の内部を移動するのを許容する選択電圧と、前記極性液体が前記表示用空間の内部を移動するのを阻止する非選択電圧との一方の電圧を印加する参照電圧印加部とが設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示素子。
  7. 前記参照電極及び前記走査電極の表面上には、誘電体層が積層されている請求項6に記載の表示素子。
  8. 前記表示用空間の内部には、前記画素領域毎に前記絶縁性流体を移動させるための移動用空間が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示素子。
  9. 前記移動用空間の内部には、一端部側及び他端部側がそれぞれ前記有効表示領域側及び前記非有効表示領域側に設けられるとともに、前記極性液体の移動に応じて、前記絶縁性流体を前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に案内するガイド部が設置されている請求項8に記載の表示素子。
  10. 前記ガイド部には、前記表示用空間の内部側に突出するように、かつ、前記第1及び第2の基板の他方側で前記有効表示領域と前記非有効表示領域とを接続するように直線状に設けられるとともに、互いに所定の間隔をおいて設置された複数のレール部材が用いられている請求項9に記載の表示素子。
  11. 前記第1及び第2の基板の一方と前記リブとが、一体的に設けられている請求項1〜10のいずれか1項に記載の表示素子。
  12. 前記複数の画素領域が、前記表示面側でフルカラー表示が可能な複数の色に応じてそれぞれ設けられている請求項1〜11のいずれか1項に記載の表示素子。
  13. 文字及び画像を含んだ情報を表示する表示部を備えた電気機器であって、
    前記表示部に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の表示素子を用いたことを特徴とする電気機器。
  14. 表示面側に設けられた第1の基板と、所定の表示用空間が前記第1の基板との間に形成されるように、当該第1の基板の非表示面側に設けられた第2の基板と、前記表示用空間に対し、複数の画素領域毎に設定された有効表示領域及び非有効表示領域と、前記表示用空間の内部で前記有効表示領域側または前記非有効表示領域側に移動可能に封入された極性液体及び前記極性液体と混じり合わない絶縁性流体を具備し、前記極性液体を移動させることにより、前記表示面側の表示色を変更可能に構成された表示素子の製造方法であって、
    前記極性液体と前記絶縁性流体との混合物に対して、界面活性剤を添加した後に、前記極性液体と前記絶縁性流体とを乳化する乳化工程と、
    前記乳化工程にて乳化された前記極性液体と前記絶縁性流体との乳化液を前記画素領域毎に充填する充填工程と、
    前記充填工程にて前記画素領域毎に充填された前記乳化液から、前記極性液体と前記絶縁性流体とに分離する分離工程と、
    を備えていることを特徴とする表示素子の製造方法。
  15. 前記乳化工程では、前記画素領域の単位体積当たりの乳化粒子数が所定の範囲内の値となるように、前記極性液体と前記絶縁性流体との乳化が行われる請求項14に記載の表示素子の製造方法。
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