JP2013124346A - ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫ゴム組成物の老化防止効果持続性を向上させるためのゴム組成物が求められていた。
【解決手段】ゴム用老化防止物質と、水酸基を有するメソポーラスカーボンとを有するゴム用老化防止剤とゴム成分とを含むことを特徴とするゴム組成物。ゴム用老化防止剤が、ゴム用老化防止物質を、水酸基を有するメソポーラスカーボンに担持して得られるゴム用老化防止剤であることが好ましい。ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物であることが好ましい。(式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
Figure 2013124346

【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム組成物等に関する。
特許文献1には、ゴム用老化防止物質として、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンが記載されている。
特開2007−238803号公報
従来のゴム用老化防止物質自体をそのままの状態で含む加硫ゴム組成物では、その老化防止効果が、持続性の面において、必ずしも十分に満足できない場合があった。
本発明者らは、このような状況下鋭意検討した結果、本発明に至った。
1. ゴム用老化防止物質と、水酸基を有するメソポーラスカーボンとを有するゴム用老化防止剤(以下「本ゴム用老化防止剤」という場合がある。)とゴム成分とを含むことを特徴とするゴム組成物(以下「本発明ゴム組成物」という場合がある。)。
2. ゴム用老化防止剤が、ゴム用老化防止物質を、水酸基を有するメソポーラスカーボンに担持して得られるゴム用老化防止剤であることを特徴とする1.記載のゴム組成物。
3. ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物であることを特徴とする1.又は2.記載のゴム組成物。
Figure 2013124346
(式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
4. ゴム用老化防止剤が、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、水酸基を有するメソポーラスカーボン1質量部〜100質量部を含有するゴム用老化防止剤であることを特徴とする1.〜3.のいずれかの項記載のゴム組成物。
5. ゴム用老化防止物質と、水酸基を有するメソポーラスカーボンとを有するゴム用老化防止剤とゴム成分と架橋剤とを含むことを特徴とする1.〜4.のいずれかの項記載のゴム組成物。
6. 5.記載のゴム組成物を含むことを特徴とする加硫ゴム組成物。
7. 5.記載のゴム組成物を加工して製造されるタイヤ。
8. 6.記載の加硫ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むことを特徴とするタイヤ用ベルト。
9. 6.記載の加硫ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むことを特徴とするタイヤ用カーカス。
10. 6.記載の加硫ゴム組成物を含むことを特徴とするタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド又はタイヤ用アンダートレッド。
本発明ゴム組成物を含む加硫ゴム組成物では、その老化防止効果の持続性が向上する。
メソポーラスカーボン(B1)の赤外吸収スペクトルである。 加硫ゴム組成物の中でのゴム用老化防止物質の移行量を測定するための方法を説明する図である。
<ゴム用老化防止物質>
本発明における「ゴム用老化防止物質」は、ゴム製品の老化を防ぎ、その寿命を長くする目的で配合される有機物質である。本発明における「ゴム用老化防止物質」としては、特に限定されないが、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第436頁〜第443頁に記載されるもの等を挙げることができる。具体的には例えば、N−フェニル−N’−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、アニリンとアセトンの反応生成物(TMDQ)、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−)ジヒドロキノリン)(松原産業社製「アンチオキシダントFR」)、合成ワックス(パラフィンワックス等)、植物性ワックス、式(I)で示される化合物、又は、式(II)で示される化合物等が挙げられる。
好ましくは、例えば、比較的低分子量(具体的には例えば、分子量が150〜400程度)である物質等が挙げられる。
より好ましくは、例えば、式(I)で示される化合物、又は、式(II)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2013124346
(式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
Figure 2013124346
(式(II)中、Rは、水素原子又は、炭素数1〜13のアルキル基を表す。Rは、水素原子又は、炭素数1〜13のアルコキシ基を表す)
より具体的には例えば、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、ETMDQ(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等を挙げることができる。
<水酸基を有するメソポーラスカーボン(以下「メソポーラスカーボン」という場合がある。)>
メソポーラスカーボンとは、直径2〜50nmのメソ孔を有する炭素質材料の総称である。本発明で用いられる「メソポーラスカーボン」としては、特に限定されないが、その表面に水酸基を有するメソポーラスカーボンが好ましい。
メソポーラスカーボンは、例えば、水酸基を有する原料を炭化することにより、または、メソポーラスカーボンを合成した後に化学的手法により水酸基を導入することにより得られる。
水酸基を有する原料としては、例えば、ポリサッカライドが挙げられる。ポリサッカライドとは、単糖分子がグリコシド結合によって重合した糖類の総称であり、ポリサッカライドとしては、例えば、アミロース、アミロペクチン、アルギン酸、アガロース、カラゲナン、キチン、キトサン、キサンタンガム、グアーガム、グルカン、グアール、グリコーゲン、セルロース、デキストリン、デキストラン、デンプン、およびペクチンが挙げられる。
水酸基を有する原料を用いて、水酸基を有するメソポーラスカーボンを合成する方法としては、例えば、国際公開第2007/104798号において、膨張ポリサッカライドである膨張デンプンを炭化する方法が記載されている。
<膨張デンプンの合成>
3Lの密閉容器に、デンプン100g、蒸留水2000lを仕込み、120℃で45分間保温する。得られたアクアゲルを5℃に冷却し、一晩保冷する。続いて、溶媒交換によりアクアゲル中の水分を取り除く。まず、アクアゲルにエタノール200mlを加えて2時間攪拌する。続いて、エタノール400mlを加えて2時間攪拌、さらにエタノール600mlを加えて2時間攪拌する。得られた懸濁液を濾過し、粉末を回収する。回収した粉末に、エタノール2000lを加えて攪拌する。蒸留水からエタノールに溶媒置換した方法と同様にして、エタノール溶媒をアセトン溶媒に置換する。最後に、アセトン2000lを加え、エバポレートし、真空オーブンにて50℃で乾燥することで膨張デンプンが得られる。
<膨張デンプンの炭化>
p−トルエンスルホン酸1gをアセトン1mlで溶解させ、上述の方法で得られた膨張デンプンの溶液に加える。次に、アセトン溶媒をエバポレートするとメソポーラスカーボン前駆体が得られる。得られたメソポーラスカーボン前駆体を、真空中、100℃〜450℃で加熱し炭化させる。得られた粗生成物を室温に戻し、窒素置換後、トルエン還流、続いて、アセトン還流、エタノール還流、エタノール水還流、アセトン還流を経て精製する。得られた精製後炭化物を、室温中、真空乾燥することで、水酸基を有するメソポーラスカーボンを得ることができる。
上述の方法で得られたメソポーラスカーボンとしては、例えば、アルドリッチから市販されている、Starbon(登録商標)300等が挙げられる。
化学的手法により水酸基を導入する方法としては、例えば、酸化剤を用いて炭素質材料を処理する方法が知られている。例えば、特開2010−241648号公報
には、濃硫酸、硝酸ナトリウム及び過マンガン酸カリを用いて、又は、濃硫酸及び過マンガン酸カリを用いて、又は、発煙硝酸及び塩素酸カリを用いて、又は、濃硫酸、濃硝酸及び塩素酸カリ或いは過塩素酸カリを用いて酸化することにより、メソポーラスカーボンが製造できることが記載されている。
メソポーラスカーボンが水酸基を有することは、例えば、フーリエ変換赤外分光法により確認することができる。メソポーラスカーボンの赤外吸収スペクトルにおいて、O−H基伸縮振動の吸収帯である3800〜2700cm−1の領域に吸収があれば、水酸基を有することを意味する。
<本ゴム用老化防止剤の製造方法>
本ゴム用老化防止剤は、ゴム用老化防止物質とメソポーラスカーボンとを混合して得られる。本ゴム用老化防止剤は、ゴム用老化防止物質をメソポーラスカーボンに担持して得られることが好ましい。
本ゴム用老化防止剤におけるメソポーラスカーボンの含有量としては、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、メソポーラスカーボン1質量部〜100質量部を含有するとよい。より好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1質量部〜50質量部を含有するとよい。特に好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、2質量部〜30質量部を含有するとよい。
本ゴム用老化防止剤の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記(1)の方法や、下記(2)の方法等を挙げることができる。
<本ゴム用老化防止剤の製造方法>
(1):ゴム用老化防止物質を溶媒に溶解した後、得られた溶液にメソポーラスカーボンを添加して混合物を得る。次いで、当該混合物から溶媒を除去して、固形分を乾固(及び粉砕)する。ここで「溶媒」としては、ゴム用老化防止物質を溶解でき、且つ、蒸留除去が可能であるものであれば、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。
(2):ゴム用老化防止物質を溶融した後、得られた溶融液にメソポーラスカーボンを添加して混合物を得る。次いで、当該混合物を乾固(及び粉砕)する方法。
上記(1)の方法及び上記(2)の方法において、メソポーラスカーボンの添加量としては、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1質量部〜100質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、1質量部〜50質量部が挙げられる。より好ましくは、例えば、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、2質量部〜30質量部を挙げることができる。
<本ゴム用老化防止剤の利用>
本発明ゴム組成物は、本ゴム用老化防止剤とゴム成分とを含む。本発明ゴム組成物は、本ゴム用老化防止剤とゴム成分とを混練して得られることが好ましい。混練は公知の手法で行なうことができる。本発明ゴム組成物は、例えば、より一定の品質であり、より均一な加硫ゴム組成物を製造するために用いられるようなマスターバッチ(通常、加硫ゴム組成物を製造する前の、ゴム成分と多量の本ゴム用老化防止剤とが予備混練された粉粒体である、高濃度のゴム用老化防止物質を含有するゴム組成物等を挙げることができる。)であってもよい。本発明ゴム組成物は、更に、充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、架橋剤、加硫促進剤成分等を含む混練したゴム組成物であってもよい。
本発明ゴム組成物中の本ゴム用老化防止剤の含有量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜990質量部を挙げることができる。
本発明ゴム組成物が更に、充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、架橋剤、加硫促進剤成分等を含む混練したゴム組成物である場合、本発明ゴム組成物中の本ゴム用老化防止剤の含有量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜50質量部を挙げることができ、好ましくは、例えば、1質量部〜30質量部を挙げることができる。より好ましくは、例えば、2質量部〜20質量部をあげることができる。
本発明ゴム組成物が加硫ゴム組成物を製造するために用いられるようなマスターバッチである場合、本発明ゴム組成物中の本ゴム用老化防止剤の含有量としては、例えばゴム成分100質量部に対して、11質量部〜990質量部を挙げることができ、好ましくは、例えば、31質量部〜990質量部を挙げることができ、より好ましくは、例えば、51質量部〜600量部を挙げることができ、特に好ましくは、例えば、60質量部〜500質量部を挙げることができる。
ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム及びその他の変性天然ゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)等の各種の合成ゴム等を挙げることができる。好ましくは、例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等の高不飽和性ゴム等が挙げられる。より好ましくは、天然ゴム等を挙げることができる。また、天然ゴムとスチレン・ブタジエン共重合ゴムとの併用、天然ゴムとポリブタジエンゴムとの併用等、数種のゴム成分を組み合わせることも有効である。
天然ゴムとしては、例えば、RSS#1、RSS#3、TSR20、SIR20等のグレードの天然ゴム等を挙げることができる。
エポキシ化天然ゴムとしては、例えば、エポキシ化度10モル%〜60モル%のもの(具体的には例えば、クンプーラン ガスリー社製ENR25、ENR50等)等を挙げることができる。
脱蛋白天然ゴムとしては、例えば、総窒素含有率が0.3質量%以下である脱蛋白天然ゴム等を挙げることができる。
変性天然ゴムとしては、例えば、天然ゴムに予め4−ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(具体的には例えば、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート等)、2−ヒドロキシアクリレート等を反応させた極性基を含有する変性天然ゴム等を挙げることができる。
スチレン・ブタジエン共重合ゴム(SBR)としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第210頁〜第211頁に記載されている乳化重合SBR及び溶液重合SBR等を挙げることができる。トレッド用ゴム組成物としては、例えば、溶液重合SBRを好ましく挙げることができる。更には、例えば、日本ゼオン社製「ニッポール(登録商標)NS116」等の4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンを用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、JSR社製「SL574」等のハロゲン化スズ化合物を用いて分子末端を変性した溶液重合SBR、旭化成社製「E10」、「E15」等のシラン変性溶液重合SBRの市販品、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)及びアミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、又は、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、又は、それら複数の元素を有する溶液重合SBR等をより好ましく挙げることができる。
また、乳化重合SBR及び溶液重合SBRに重合した後、プロセスオイルやアロマオイル等のオイルを添加した油添SBRも、トレッド用ゴム組成物として好ましく挙げることができる。
ポリブタジエンゴム(BR)としては、例えば、シス1,4結合が90%以上の高シスBR、シス結合が35%前後の低シスBR等の溶液重合BR等を挙げることができる。好ましくは、例えば、高ビニル含量の低シスBR等が挙げられる。更には、例えば、日本ゼオン製「Nipol(登録商標)BR 1250H」等スズ変性BRや、4,4’−ビス−(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、ハロゲン化スズ化合物、ラクタム化合物、アミド化合物、尿素系化合物、N,N−ジアルキルアクリルアミド化合物、イソシアネート化合物、イミド化合物、アルコキシ基を有するシラン化合物(トリアルコキシシラン化合物等)、アミノシラン化合物のいずれかを単独で用いて、又は、スズ化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物や、アルキルアクリルアミド化合物とアルコキシ基を有するシラン化合物等、の異なった複数の化合物を2種以上用いて、それぞれ分子末端を変性して得られる分子末端に窒素、スズ、ケイ素のいずれか、又は、それら複数の元素を有する溶液重合BR等をより好ましく挙げることができる。
これらBRは、トレッド用ゴム組成物やサイドウォール用ゴム組成物として好ましく挙げることができる。尚、通常は、SBR及び/又は天然ゴムのブレンドで使用される。ブレンド比率としては、トレッド用ゴム組成物の場合には、総ゴム質量に対して、SBR及び/又は天然ゴムが60質量%〜100質量%、BRが40質量%〜0質量%等を挙げることができる。また、サイドウォール用ゴム組成物の場合には、総ゴム質量に対して、SBR及び/又は天然ゴムが10質量%〜70質量%、BRが90質量%〜30質量%等を挙げることができる。好ましくは、総ゴム質量に対して、天然ゴム40質量%〜60質量%と、BR60質量%〜40質量%とのブレンド等が挙げられる。この場合、変性SBRと非変性SBRとのブレンドや、変性BRと非変性BRとのブレンドも好ましく挙げられる。
充填剤としては、例えば、ゴム分野で通常使用されているカーボンブラック、シリカ、タルク、クレイ、酸化チタン等を挙げることができる。好ましくは、例えば、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。より好ましくは、例えば、カーボンブラック等を挙げることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第494頁に記載されるものを挙げることができる。好ましくは、例えば、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate SAF)、FEF(Fast Extrusion Furnace)、MAF、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi-Reinforcing Furnace)等のカーボンブラックが挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の場合には、CTAB(Cetyl Tri-methyl Ammonium Bromide)表面積40m2/g〜250m2/g、窒素吸着比表面積20m2/g〜200m2/g、粒子径10nm〜50nmのカーボンブラックを好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、CTAB表面積70m2/g〜180m2/gであるカーボンブラック等が挙げられる。具体的には例えば、ASTMの規格において、N110、N220、N234、N299、N326、N330、N330T、N339、N343、N351等を挙げることができる。また、カーボンブラックの表面にシリカを0.1質量%〜50質量%付着させた表面処理カーボンブラックも好ましく挙げることができる。より好ましくは、例えば、カーボンブラックとシリカとの併用等、数種の充填剤の組み合わせが挙げられる。
タイヤトレッド用ゴム組成物の場合には、例えば、カーボンブラック単独又はカーボンブラックとシリカとの両方を好ましく挙げることができる。
カーカス用ゴム組成物・サイドウォール用ゴム組成物の場合には、CTAB表面積20m2/g〜60m2/g、粒子径40nm〜100nmのカーボンブラックを好ましく挙げることができる。具体的には例えば、ASTMの規格において、N330、N339、N343、N351,N550、N568、N582、N630、N642、N660、N662、N754、N762等を挙げることができる。
かかる充填剤の使用量としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム成分100質量部に対して5質量部〜100質量部を挙げることができる。カーボンブラックのみを充填剤として使用する場合には、例えば、ゴム成分100質量部に対して30質量部〜80質量部が好ましく挙げられる。またトレッド部材用途においてカーボンブラックとシリカとを充填剤として併用する場合には、例えば、ゴム成分100質量部に対してカーボンブラック5質量部〜60質量部が好ましく挙げられる。
充填剤として使用するシリカとしては、例えば、CTAB比表面積50m/g〜180m/gのシリカ、窒素吸着比表面積50m2/g〜300m2/gのシリカ等を挙げることができる。具体的には例えば、東ソー・シリカ社製「AQ」、「AQ−N」、デグッサ社製「ウルトラジル(登録商標)VN3」、「ウルトラジル(登録商標)360」、「ウルトラジル(登録商標)7000」、ローディア社製「ゼオシル(登録商標)115GR」、「ゼオシル(登録商標)1115MP」、「ゼオシル(登録商標)1205MP」、「ゼオシル(登録商標)Z85MP」、日本シリカ社製「ニップシール(登録商標)AQ」等の市販品等を挙げることができる。また、例えば、pHが6〜8であるシリカやナトリウムを0.2質量%〜1.5質量%含むシリカ、真円度が1〜1.3の真球状シリカ、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイル、エトキシシリル基を含有する有機ケイ素化合物、エタノールやポリエチレングリコール等のアルコールで表面処理したシリカ、二種類以上の異なった窒素吸着比表面面積を有するシリカ等を配合することも好ましい。
かかる充填剤の使用量としては、特に限定されるものではないが、例えば、ゴム成分100質量部に対して10質量部〜120質量部を挙げることができる。
また、シリカを配合する場合には、例えば、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック5質量部〜50質量部を配合することがよい。シリカ/カーボンブラックの配合比率としては、例えば、0.7/1〜1/0.1の範囲を挙げることができる。
また、充填剤としてシリカを用いる場合には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)ジスルフィド、オクタンチオ酸S−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エステル(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)、オクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)エトキシシリル}プロピル]エステル及びオクタンチオ酸S−[3−{(2−メチル−1,3−プロパンジアルコキシ)メチルシリル}プロピル]エステルフェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン及び3−イソシアナートプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される1種以上のシランカップリング剤等、シリカと結合可能なケイ素等の元素又はアルコキシシラン等の官能基を有する化合物を添加することが好ましい。具体的には例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(デグッサ社製「Si−69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社製「Si−75」)、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(ジェネラルエレクトロニックシリコンズ社製「NXTシラン」)等を挙げることができる。
これらの化合物の添加時期は特に限定されないが、シリカと同時期にゴムに配合することがよい。配合量としては、例えば、シリカの質量に対して2質量%〜10質量%を挙げることができる。好ましくは、例えば、7質量%〜9質量%が挙げられる。
前記の化合物をゴムに配合する際の配合温度としては、例えば、80℃〜200℃を挙げることができる。好ましくは、例えば、110℃〜180℃が挙げられる。
尚、充填剤としてシリカを用いる場合には、例えば、シリカ、シリカと結合可能なケイ素等の元素又はアルコキシシラン等の官能基を有する化合物に加えて、エタノール、ブタノール、オクタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール等の2価以上のアルコール、N−アルキルアミン、アミノ酸、分子末端がカルボキシル変性又はアミン変性された液状ポリブタジエン、等を配合してもよい。
酸化亜鉛の使用量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜15質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、1質量部〜8質量部が挙げられる。
ステアリン酸の使用量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜10質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、1質量部〜5質量部が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、硫黄等を挙げることができる。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を挙げることができる。好ましくは、粉末硫黄等が挙げられる。また、ベルト用部材等の硫黄量が多いタイヤ部材に用いる場合には、例えば、不溶性硫黄等を好ましく挙げることができる。尚、上記の硫黄には加硫促進剤は含まれないものとする。硫黄の使用量としては、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.3質量部〜5質量部を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.5質量部〜3質量部が挙げられる。
加硫促進剤としては、例えば、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」の第412頁〜第413頁に記載されるチアゾール系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤等を挙げることができる。
具体的には例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ジフェニルグアニジン(DPG)等を挙げることができる。また、公知の加硫剤であるモルフォリンジスルフィドを用いることもできる。
充填剤としてカーボンブラックを用いる場合には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
充填剤としてシリカとカーボンブラックとを併用する場合には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)のいずれかとジフェニルグアニジン(DPG)とを併用することが好ましい。
硫黄と加硫促進剤との比率としては、特に制限されないが、例えば、質量比で硫黄/加硫促進剤=2/1〜1/2を挙げることができる。
天然ゴムを主とするゴム部材において耐熱性を向上させる方法である硫黄/加硫促進剤の質量比を1以下にするEV加硫は、耐熱性向上が必要な用途において好ましく用いられる。
その他として、ゴム分野で通常用いられている各種の配合剤を配合してもよい。かかる配合剤としては、例えば、オイル;ステアリン酸等の脂肪酸類;日塗化学社製のクマロン樹脂G−90(軟化点80℃〜100℃)、神戸油化学工業社製のプロセスレジンAC8(軟化点95℃)等のクマロン・インデン樹脂;テルペン樹脂、テルペン・フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;三菱ガス化学社製「ニカノール(登録商標)HP−100」(軟化点105〜125℃)等のキシレン・ホルムアルデヒド樹脂;荒川化学社製の「エステルガム」シリーズ、「ネオトール」シリーズ等のロジン誘導体;水素添加ロジン誘導体;ノボラック型アルキルフェノール系樹脂;レゾール型アルキルフェノール系樹脂;C5系石油樹脂;液状ポリブタジエン;を挙げることができる。
上記のオイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂等を挙げることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等を挙げることができる。
<本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物>
本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、通常、本ゴム用老化防止剤とゴム成分と架橋剤とを混練して得られるゴム組成物を熱処理して得られる。熱処理における温度条件としては、例えば、120℃〜180℃を挙げることができる。熱処理は、通常、常圧又は加圧下で行えばよい。
本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、タイヤ用として好適に用いられる。タイヤとしては、例えば、空気入りタイヤ、ソリッドタイヤ等を挙げることができる。
また、本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、タイヤを構成する各部材、即ち、本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むタイヤ用ベルト、本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むタイヤ用カーカス、本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を含むタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド又はタイヤ用アンダートレッドとしても好適に用いられる。
本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物は、タイヤ等のゴム材料の長寿命化を図ることができる。また、当該加硫ゴム組成物は、上記のタイヤ用途のみならず、エンジンマウント、ストラットマウント、ブッシュ、エグゾーストハンガー等の自動車用防振ゴムとしても使用できる。
以下、実施例、参考例及び比較例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ゴム用老化防止物質>
A1:住友化学社製 アンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
<メソポーラスカーボン>
B1:アルドリッチ製 Starbon(登録商標)300
(メソポーラスカーボンの水酸基の確認方法)
メソポーラスカーボン(B1)の赤外吸収スペクトルを以下の測定条件において測定した。得られた赤外吸収スペクトルにおいて、O−H基伸縮振動による吸収があることから、水酸基を有することを確認した。図1は、メソポーラスカーボン(B1)の赤外吸収スペクトルである。
[赤外分光法の測定条件]
装置:フーリエ変換赤外分光光度計 Varian 670-IR[VARIAN 製]
測定方法:拡散反射法
希釈剤:KBr
補正関数:クベルカ−ムンク関数
メソポーラスカーボン(B1)の比表面積測定及びメソ細孔容積測定を、以下の測定条件下行った。
[比表面積、及び細孔容積測定条件]
測定装置:BELSORP-mini (日本BEL(株)製)
前処理装置:BELPREP-vacII (日本BEL(株)製)
試験方法:窒素吸着法
前処理方法:120℃で8時間、真空脱気。
測定方法:定容法を用いて、窒素による吸着脱離等温線を測定。
吸着温度:77K
吸着素:窒素
比表面積:BET法により算出
細孔容積:BJH法により算出
Figure 2013124346
製造例1 (本ゴム用老化防止剤の製造例)
300ml丸底フラスコにゴム用老化防止物質(A1)20質量部を仕込み、メタノール160質量部で溶解させた。ゴム用老化防止物質(A1)の溶解したメタノール溶液にメソポーラスカーボン(B1)20質量部を加え、得られた混合物を室温中、窒素下で24時間攪拌した。この混合物をエバポレートし、黒色の固体として本ゴム用老化防止剤(1)を得た。
参考例1 (基本ゴム組成物の製造例)
10Lのニーダーに市販の天然ゴム(製品名:SMR−CV60)とブタジエンゴム(製品名:JSR BR01、JSR株式会社製)との両者をそれぞれ50質量部投入し、2分間混練した。得られた混練物に、表2に示す材料を加えた後、更に10分間混練することにより、基本ゴム組成物としてのゴム組成物を得た。尚、混練機からのゴム組成物の排出温度は95℃であった。
Figure 2013124346
比較例1 (本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とメソポーラスカーボンとの両者を含まない)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
次に、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、ゴム用老化防止物質(A1)3質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、メソポーラスカーボンを含まない)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
参考例2 (ゴム用老化防止物質の移行量測定方法)
本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とメソポーラスカーボンとの両者を含まない)及び本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、メソポーラスカーボンを含まない)を用いて、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とメソポーラスカーボンとの両者を含まない)から製造されるシート3枚と、本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、メソポーラスカーボンを含まない)から製造されるシート3枚とについて、各シートの初期重量を測定した。
図2は、加硫ゴム組成物の中でのゴム用老化防止物質の移行量を測定するための方法を説明する図である。重量測定後の6枚のシート(本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物から製造されるシート1〜3、本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物から製造されるシート4〜6)を積層した後、当該積層物の全体をアルミホイル7で包み、更にその上からアルミラミネート8で包んだ。このようにして得られたアルミホイル及びアルミラミネート梱包体の上に、約3kgの錘9を載せた。
錘が載せられた梱包体を25℃の恒温室内に6日間放置した後、アルミホイル及びアルミラミネート梱包を開封して各シートを取り出し、そして各シートの重量を測定した。
ゴム用老化防止物質の移行量は、本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物から製造されるシートの初期重量からの重量変化とした。尚、別途、各シートの加硫ゴム組成物からゴム用老化防止物質を抽出・定量した結果、前記の重量変化はゴム用老化防止物質の移行によるものであることが確認された。
実施例1 (本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物の製造例)
参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS))0.8質量部と、硫黄1.5質量部と、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)6質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
(本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物の製造例)
一方、参考例1で得られた基本ゴム組成物163.5質量部と、酸化亜鉛2質量部と、加硫促進剤(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)]0.8質量部と、硫黄1.5質量部とを、ロール設定温度60℃のオープンロール機で混練することにより、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を145℃で、加熱プレス成形することにより、幅15.5cm、長さ16.0cm、厚さ2mmのシート形状の、本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質とメソポーラスカーボンとの両者を含まない)を得た。尚、JIS K 6300−2に準拠して測定されたゴム組成物の90%加硫時間(t(90))より5分間延長した時間を加硫時間とした。
本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物及び本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含まない)を用いて、参考例2と同様にして、ゴム用老化防止物質の移行量を測定した。
Figure 2013124346
得られた結果を表4に纏めた。
表4の中に記載された「ゴム用老化防止物質の移行速度」は、比較例1で得られた本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物(但し、ゴム用老化防止物質を含み、メソポーラスカーボンを含まない)におけるゴム用老化防止物質の移行量を100とした時の、実施例1におけるゴム用老化防止物質の相対的な移行量である。数値が小さいほどゴム用老化防止物質の移行速度が遅く、加硫ゴム組成物における老化防止効果の持続性が向上することを意味する。
Figure 2013124346
参考例3 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、アンダートレッド用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)100質量部、ISAF−HM(旭カーボン社製、商品名「旭#80」)35質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛3質量部、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)4質量部及びワックス(日本精蝋製「OZOACE−0355」)2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)2質量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)0.5質量部、加硫促進剤であるジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)0.8質量部及び硫黄1質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
参考例4 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、ベルト用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(RSS#1)100質量部、HAF(旭カーボン社製、商品名「旭#70」)45質量部、ステアリン酸3質量部、酸化亜鉛5質量部、含水シリカ(東ソー・シリカ社製「Nipsil(登録商標)AQ」10質量部、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)8質量部、レゾルシン2質量部及びナフテン酸コバルト2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN,N−ジシクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)1質量部、硫黄6質量部及びメトキシ化メチロールメラミン樹脂(住友化学社製「スミカノール507AP」)3質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
参考例5 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、インナーライナー用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、ハロゲン化ブチルゴム(エクソンモービル社製「Br−IIR2255」)100質量部、GPF 60質量部、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛3質量部及びパラフィンオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスオイル」)10質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)1質量部、加硫促進剤であるジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)1質量部及び硫黄2質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られた混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
参考例6 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、サイドウォール用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(RSS#3)40質量部、ポリブタジエンゴム(宇部興産社製「BR150B」)60質量部、FEF50質量部、ステアリン酸2.5質量部、酸化亜鉛3質量部、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)8質量部、アロマチックオイル(コスモ石油社製「NC−140」)10質量部及びワックス(大内新興化学工業社製の「サンノック(登録商標)ワックス」)2質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)0.75質量部及び硫黄1.5質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
参考例7 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、カーカス用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、市販の天然ゴム(TSR20)70質量部、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1502(住友化学社製)30質量部、N339(三菱化学社製)60質量部、ステアリン酸2質量部、酸化亜鉛5質量部及びプロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプロセスPS32」)7質量部を、160℃〜175℃の範囲内で、5分間、50rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で60℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)1質量部、硫黄3質量部、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)4質量部を混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を145℃で熱処理することにより、加硫ゴムを得る。
参考例8 (加硫ゴム組成物の製造例)
下記の第1工程及び第2工程により得られる加硫ゴム組成物は、キャップトレッド用として好適である。
<第1工程>
(手順1)
バンバリーミキサー(東洋精機製600mlラボプラストミル)を用いて、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)100質量部、シリカ(商品名:「ウルトラシル(登録商標)VN3−G」デグッサ社製)78.4質量部、カーボンブラック(商品名「N−339」三菱化学社製)6.4質量部、シランカップリング剤(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド:商品名「Si−69」デグッサ社製)6.4質量部、プロセスオイル(商品名「NC−140」コスモ石油社製)47.6質量部、製造例1で得られた本ゴム用老化防止剤(1)6質量部及び酸化亜鉛2質量部を、70℃〜120℃の範囲内で、5分間、80rpmのミキサーの回転数で混練し、引き続き70℃〜120℃の範囲内で、5分間、100rpmのミキサーの回転数で混練することにより、ゴム組成物を得る。
(手順2)
オープンロール機で30℃〜80℃の範囲内で、手順1で得られたゴム組成物と、加硫促進剤であるN−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)1質量部、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)1質量部、ワックス(商品名「サンノック(登録商標)N」大内新興化学工業社製)1.5質量部及び硫黄1.4質量部とを、混練することにより、ゴム混練物を得る。
<第2工程>
第1工程(手順2)で得られたゴム混練物を160℃で熱処理することにより、加硫ゴム組成物を得る。
参考例9 (加硫ゴム組成物の製造例)
参考例8において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に代えて溶液重合SBR(「アサプレン(登録商標)」旭化成ケミカルズ社製)を用いること以外は、参考例8と同様にして、加硫ゴム組成物を得る。得られた加硫ゴム組成物はキャップトレッドとして好適である。
参考例10 (加硫ゴム組成物の製造例)
参考例8において、スチレン・ブタジエン共重合ゴムSBR#1500(JSR社製)に代えてSBR#1712(JSR社製)を用い、プロセスオイルの使用量を21質量部に変更し、酸化亜鉛を仕込むタイミングを手順2に変更すること以外は、参考例8と同様にして、加硫ゴム組成物を得る。得られた加硫ゴム組成物はキャップトレッドとして好適である。
本発明ゴム組成物を含む加硫ゴム組成物では、その老化防止効果の持続性が向上する。
1,2,3 本ゴム用老化防止剤を含む加硫ゴム組成物から製造されるシート
4,5,6 本ゴム用老化防止剤を含まない加硫ゴム組成物から製造されるシート
7 アルミホイル
8 アルミラミネート
9 錘

Claims (10)

  1. ゴム用老化防止物質と、水酸基を有するメソポーラスカーボンとを有するゴム用老化防止剤とゴム成分とを含むことを特徴とするゴム組成物。
  2. ゴム用老化防止剤が、ゴム用老化防止物質を、水酸基を有するメソポーラスカーボンに担持して得られるゴム用老化防止剤であることを特徴とする請求項1記載のゴム組成物。
  3. ゴム用老化防止物質が、式(I)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のゴム組成物。
    Figure 2013124346
    (式(I)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜13のアルキル基を表す。)
  4. ゴム用老化防止剤が、ゴム用老化防止物質10質量部に対して、水酸基を有するメソポーラスカーボン1質量部〜100質量部を含有するゴム用老化防止剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの請求項記載のゴム組成物。
  5. ゴム用老化防止物質と、水酸基を有するメソポーラスカーボンとを有するゴム用老化防止剤とゴム成分と架橋剤とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの請求項記載のゴム組成物。
  6. 請求項5記載のゴム組成物を含むことを特徴とする加硫ゴム組成物。
  7. 請求項5記載のゴム組成物を加工して製造されるタイヤ。
  8. 請求項6記載の加硫ゴム組成物で被覆されたスチールコードを含むことを特徴とするタイヤ用ベルト。
  9. 請求項6記載の加硫ゴム組成物で被覆されたカーカス繊維コードを含むことを特徴とするタイヤ用カーカス。
  10. 請求項6記載の加硫ゴム組成物を含むことを特徴とするタイヤ用サイドウォール、タイヤ用インナーライナー、タイヤ用キャップトレッド又はタイヤ用アンダートレッド。
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US11952494B2 (en) * 2017-10-10 2024-04-09 Continental Reifen Deutschland Gmbh Sulfur-crosslinkable rubber mixture, vulcanizate of the rubber mixture, and vehicle tire

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