JP2013124286A - カルバゾール系共重合体の製造方法 - Google Patents

カルバゾール系共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来方法で得たカルバゾール系共重合体溶液は、溶液重合後、溶媒を脱揮する際にベントボックスや配管内に汚れが付着したり、溶融押出時のポリマーフィルタでの濾過精製工程においてフィルターが昇圧したりするという不都合が生じているため、これらの不都合の原因を突き止めて高効率にカルバゾール系共重合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】N−置換カルバゾール構造を有するカルバゾール系単量体と、ビニル系単量体を重合するカルバゾール系共重合体を製造する方法であって、カルバゾール系単量体全量に対して0.5質量倍〜10質量倍の量の上記ビニル系単量体を逐次添加するカルバゾール系共重合体の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルバゾール系単量体とビニル系単量体を重合するカルバゾール系共重合体を、高効率に製造する方法に関する。
高分子の配向により生じる複屈折を利用した光学部材が、画像表示分野において幅広く使用されている。従来は、トリアセチルセルロースやポリシクロオレフィン等の光の波長が短くなるほど複屈折が大きくなる樹脂が使用されてきた。表示特性に優れる画像表示装置とするためには、これとは逆に、光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる(即ち、位相差が減少する)波長分散性を示す光学フィルムが望まれる。本明細書では、少なくとも可視光領域において光の波長が短くなるほど複屈折が小さくなる波長分散性を、当業者の慣用の呼び名に従い、また、一般的な高分子ならびに当該高分子により形成された光学フィルムが示す波長分散性とは逆であることに基づいて、「逆波長分散性」と呼ぶ。
このような逆波長分散性を有する光学フィルムとして、特許文献1には、複素芳香族基を有するα,β−不飽和単量体単位を構成単位として有する(メタ)アクリル系樹脂からなる光学フィルムが開示されている。
上記の文献には、例えば、N−ビニルカルバゾール、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルを、重合容器内へ一括で仕込み(初期一括仕込み)、ラジカル溶液重合する方法が記載されている。
特開2011−048028号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明に種々の改良を重ねたところ、精製されたカルバゾールを原料としたN−ビニルカルバソールを用いて溶液重合後、溶媒を脱揮する際にベントボックスや配管内に汚れが付着したり、溶融押出時のポリマーフィルタでの濾過精製工程において、フィルターの昇圧が起こるという不都合が生じることが判明した。
そこで本発明では、上記の不都合の原因を突き止めて、高効率にカルバゾール系共重合体を製造する方法を提供することを課題として掲げた。
本発明は、N−置換カルバゾール構造を有するカルバゾール系単量体と、ビニル系単量体を重合するカルバゾール系共重合体を製造する方法であって、
カルバゾール系単量体全量に対して0.5質量倍〜10質量倍の量の上記ビニル系単量体を逐次添加するカルバゾール系共重合体の製造方法である。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記逐次添加が、分割添加または滴下であることが好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記カルバゾール系単量体中の含窒素6員環多環芳香族化合物の含有量が0.1質量%未満であることが好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記ビニル系単量体100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルを20質量%以上95質量%以下含むことが好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記ビニル系単量体100質量%中、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルを5質量%以上75質量%以下含むことが好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記ビニル系単量体100質量%中、シアン化ビニル系単量体を5質量%以上75質量%以下含むことが好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記カルバゾール系単量体と上記ビニル系単量体の合計を100質量%としたときに、カルバゾール系単量体の含有量が5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により、所望の共重合組成のカルバゾール系共重合体を高い重合率で得ることができる。得られた共重合体は、上述した不都合を起こさないので、工業的生産性に優れている。得られた共重合体は、初期一括仕込みで得られるカルバゾール系共重合体と同程度の分子量であっても、流動性が高いため、成形性が向上することが考えられる。また、含窒素6員環多環芳香族化合物の含有量が少ないカルバゾール系単量体を使用することにより、残存モノマーや不純物が少ない高純度な共重合体を得ることができる。さらに、得られた共重合体はフィルム化後の透明性に優れており、フィルムの着色度(YI)を小さくすることができる。
従って、本発明の製造方法は、各種ディスプレーや偏光板等に用いられる光学フィルムや位相差フィルム等に有用なカルバゾール系共重合体を製造するのに好適な方法である。
本発明者等は、カルバゾール系共重合体を溶液重合で製造した後、溶媒を脱揮する際にベントボックスや配管内に汚れが付着したり、溶融押出時のポリマーフィルタでの濾過精製工程において、フィルターが昇圧したりする原因について、種々検討した結果、以下の現象を突き止めた。すなわち、初期一括仕込みでラジカル溶液重合した場合、(メタ)アクリル系単量体などのビニル系単量体は重合速度が速く、重合率も95%以上と高いが、一方で、カルバゾール系単量体は重合速度が遅いため、重合を終了させる時点では、カルバゾール系単量体がかなり残存している。そして、溶媒を除去するために二軸脱揮装置等へ共重合体溶液を導入して、脱揮操作を250℃以上の高温で行うと、残存していた上記カルバゾール系単量体がオリゴマー化・ポリマー化して、フィルターの昇圧を招いたり、汚れとなって装置内に付着したりすることがわかった。また、N−ビニルカルバゾールを用いた系で、かつ、重合後に環化工程を行う場合、残存したN−ビニルカルバゾールが有機リン酸触媒等の環化触媒によって分解し、着色の原因になっていることもわかった。さらに、カルバゾール系単量体の残存率が(メタ)アクリル系単量体などのビニル系単量体よりも多いということは、所望の重合組成の共重合体が得られていないことを示しており、このような状況を改善する必要があった。
そこで、本発明者等はカルバゾール系単量体の重合率を高めるために、初期一括仕込みにおけるモノマー濃度を高くする検討や、後添加重合開始剤を重合後期に添加する等の検討を行ったが、重合率の向上効果はさほど見ることはできなかった。
さらに本発明者等が検討した結果、(メタ)アクリル系単量体などのビニル系単量体の全部を初期一括仕込みするのではなく、一部または全部を分割添加すれば、カルバゾール系単量体の重合率が高められることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、N−置換カルバゾール構造を有するカルバゾール系単量体と、ビニル系単量体を重合するカルバゾール系共重合体を製造する方法であって、カルバゾール系単量体全量に対して0.5質量倍〜10質量倍の量のビニル系単量体を逐次添加することに特徴を有している製造方法である。カルバゾール系単量体全量に対し、0.5質量倍〜10質量倍のビニル系単量体を逐次添加しながら重合反応を行うことで、カルバゾール系単量体の重合率を効率よく高めることができる。より好ましくは0.6質量倍〜9質量倍であり、さらに好ましくは0.7質量倍〜8質量倍である。
カルバゾール系単量体は重合速度が遅いので、なるべく多くの量を初期仕込みし、ビニル系単量体については、カルバゾール系単量体全量に対し、0.5質量倍〜10質量倍の量を逐次添加すると、重合系内におけるビニル系単量体の濃度が低い状態で重合が進行することになるので、カルバゾール系単量体とビニル系単量体とがほぼ均一な比率で共重合し、その結果、カルバゾール系単量体の重合率を高めることができると考えられる。
上記の効果を得るためには、カルバゾール系単量体の初期仕込み量を、カルバゾール系単量体100質量%中、50質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがより好ましく、全量(100質量%)とすることが最も好ましい。
一方、初期仕込みするビニル系単量体は、ビニル系単量体全量に対し、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。0質量%(全量逐次添加)も可能である。初期仕込みするビニル系単量体の量が多すぎると、共重合に寄与できないカルバゾール系単量体の量が増えてしまうためである。
本発明における逐次添加とは初期仕込み以外の単量体成分を、重合容器に逐次添加することであり、どのような添加方法でも構わない。例えば、逐次添加する単量体成分の全量を3分割や4分割等に分割して、分割した分を一度に重合容器に添加する方法や、滴下する方法、あるいは分割と滴下を組み合わせた方法等がある。一定の速度で単量体成分を滴下する滴下添加が、均一な組成の共重合体が得られやすいため、好ましく採用できる。
単量体成分を逐次添加する際には、重合開始剤も逐次添加することが好ましい。重合開始剤と単量体成分、必要により溶媒とを混合した混合液を添加してもよいし、重合開始剤と単量体成分を別々に添加してもよい。また、初期仕込みする単量体成分と、逐次添加する単量体成分の組成は、同一でも異なっていても構わない。なお、逐次添加する単量体成分は、カルバゾール系単量体とビニル系単量体からなる場合と、ビニル系単量体のみからなる場合があるが、単量体成分がカルバゾール系単量体とビニル系単量体からなる場合、カルバゾール系単量体とビニル系単量体とを個別に異なる速度で添加することも可能である。
本発明におけるカルバゾール系単量体は、N−置換カルバゾール構造を有している限り、特に限定されない。カルバゾール系単量体としては、N−ビニルカルバゾール、N−アリルカルバゾール、N−エチル−2−ビニルカルバゾール、アクリル酸2−(カルバゾール−9−イル)エチル、メタクリル酸2−(カルバゾール−9−イル)エチルなどが挙げられ、中でもN−ビニルカルバゾールが好ましい。
本発明におけるカルバゾール系単量体は、含窒素6員環多環芳香族化合物の含有量が0.1質量%未満であることが好ましい。より好ましくは0.05質量%未満であり、さらに好ましくは0.02質量%未満であり、特に好ましくは0.01質量%未満である。含窒素6員環多環芳香族化合物が0.1質量%以上含有していると、カルバソール系単量体やビニル系単量体の重合反応が阻害され、カルバゾール系共重合体の生産性が低くなることがある。
上記含窒素6員環多環芳香族化合物としては、キノリン化合物、キノキサリン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、フェナントロリン化合物などが挙げられる。中でもアクリジン化合物、フェナジン化合物は、カルバソールと分子量が近く、カルバゾール系単量体の原料中に不純物として含有しやすいため、含有量を低減することが特に望ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記カルバゾール系単量体と上記ビニル系単量体の合計を100質量%としたときに、カルバゾール系単量体の含有量が5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。5質量%以下であると屈折率や耐熱性の向上がほとんど望めず、50質量%を超えると、成形加工性が乏しくなる傾向があり好ましくない。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法におけるビニル系単量体は、N−置換カルバゾール構造を有さないビニル系単量体である限り特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル等の2−ヒドロキシアルキル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸;メタリルアルコール;アリルアルコール;エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン等の脂肪族不飽和炭化水素;酢酸ビニル;塩化ビニル等の脂肪族不飽和炭化水素類のハロゲン置換体;2−ヒドロキシメチル−1−ブテン;メチルビニルケトン;N−ビニルピロリドン;無水マレイン酸;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド等のN−置換マレイミドなどが挙げられる。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記ビニル系単量体100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルを20質量%以上95質量%以下含むことが好ましい。より好ましくは30質量%以上90質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上90質量%以下であり、特に好ましくは50質量%以上90質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステルが20質量%よりも少ないと透明性や成形加工性が乏しくなることがある。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよい。中でも、高い透明性および耐熱性を有する光学フィルムが得られることからメタクリル酸メチルが最も好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記ビニル系単量体100質量%中、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルを5質量%以上75質量%以下含むことが好ましい。より好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルとしては、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸t−ブチル等が挙げられる。中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、高い透明性および耐熱性を有するフィルムを得ることができる。特に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)が好ましい。カルバゾール系共重合体中におけるこれらの単量体に由来する構成単位は、環化工程により得られる環構造により正の固有複屈折を与える作用を有する。
本発明のカルバゾール系共重合体の製造方法は、上記ビニル系単量体100質量%中、シアン化ビニル系単量体を5質量%以上75質量%以下含むことが好ましい。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。シアン化ビニル系単量体に由来する構成単位は、カルバゾール系共重合体と他の樹脂との組成物とする際の透明性の向上やフィルムなどの成形加工性の向上をすることができる。
本発明において、重合方法は特に制限されず、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などいずれの方法を用いてもよいが、重合熱の除去が容易な溶液重合を用いることが好ましい。重合溶媒としては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチルや酢酸ブチル等の脂肪族エステル類;メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を適宜混合して用いることもできる。溶媒の使用量は、適宜決定すればよい。
重合開始剤も特に限定されず、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種類以上を用いても構わない。これらの中でも、t−ブチルヒドロパーオキサイド、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシイソノナノエートが好ましく、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。
また、アゾ化合物も使用可能である。具体的には、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)を挙げることができる。
アゾ化合物は1種のみを用いてもよく、2種類以上を用いても構わない。これらアゾ化合物の中では、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩が好ましい。
重合開始剤の量は特に限定されないが、単量体成分100質量部に対して0.001〜3質量部程度が好ましい。初期仕込みと、逐次添加で、重合開始剤の種類や割合(対単量体成分)を変えてもよいし、同じでもよい。
重合反応温度や反応時間等の反応条件は特に限定されず、例えば、重合開始剤の種類や単量体成分の組成や量等に応じて、適宜設定すればよい。通常は、60〜200℃で、1時間以上、24時間以下程度である。反応圧力も特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧のいずれであってもよい。なお、重合反応は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
通常、重合は、初期仕込み→不活性ガス置換→昇温→重合開始剤の投入→単量体成分の残部の逐次添加の開始、という順序で行われる。重合開始剤の投入から、残部の添加を開始するまでの時間は特に限定されないが、均一な組成の共重合体を得るという目的からは、あまり間隔を空けない方が好ましく、重合開始剤の投入直後から単量体成分の残部の添加を開始することが望ましい。なお、重合開始剤は初期仕込みに加えてもよい。
重合のための反応混合液には、必要に応じ、連鎖移動剤、pH調整剤、緩衝材等を添加することができる。
重合容器としては、撹拌装置、温度センサー、冷却管、温度調節装置(加熱または冷却ジャケット等)、不活性ガス導入管、滴下ロート等を備えた反応容器(反応釜)等が使用可能である。ステンレス製であることが好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上がさらに好ましく、120℃以上が特に好ましい。カルバゾール系共重合体のTgが高いことにより、本発明のカルバゾール系共重合体を用いたフィルムは、画像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易となるなど、光学用途に好適である。Tgの上限については特に制限されないが、成形が容易になることから200℃以下が好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体の重合平均分子量は、2,000〜1,000,000の範囲が好ましく、10,000〜500,000の範囲がより好ましく、50,000〜300,000の範囲がさらに好ましい。
本発明のカルバゾール系共重合体のJIS K7210に準拠した240℃、荷重10kgにおけるマスフローレイト(MFR)は、0.1〜50g/10分が好ましく、0.5〜30g/10分がより好ましく、1〜25g/10分がさらに好ましい。0.1g/10分未満であると成形時の流動性が低く好ましくない。一方、50g/10分よりも大きいとフィルムなどの成形品の強度が小さくなることがある。
本発明のカルバゾール系共重合体は、主鎖に環構造を有していてもよい。主鎖に環構造を導入することにより、得られた共重合体の耐熱性が一層向上する。このような環構造としては、例えば、イミド環構造、ラクトン環構造、ラクタム環構造、環状酸無水物構造および脂肪族炭化水素環構造を挙げることができる。
主鎖に環構造を付与する方法としては、シクロペンテンや無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の主鎖に環構造を構築するビニル系単量体を共重合する方法や分子内環化反応を用いて環構造を導入する方法が挙げられる。
以下の一般式(1)に無水グルタル酸構造およびグルタルイミド構造を示す。
Figure 2013124286
上記一般式(1)におけるR、Rは互いに独立して水素原子、またはメチル基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子であるとき、Rは存在せず、Xが窒素原子のとき、Rは、水素原子、炭素数1から6の直鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはフェニル基である。
が酸素原子のとき一般式(1)により示される環構造は無水グルタル酸構造となる。無水グルタル酸構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体を分子内で脱アルコール環化縮合させて形成できる。
が窒素原子のとき、一般式(1)により示される環構造はグルタルイミド構造となる。グルタルイミド構造は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体をメチルアミンなどのイミド化剤によりイミド化して形成することができる。
カルバゾール系共重合体が主鎖に有していてもよいラクトン環構造は特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環または6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。6員環であるラクトン環構造は、例えば、特開2004−168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体の重合収率が高いこと、前駆体の環化縮合反応により、高いラクトン環含有率を有するカルバゾール系共重合体が得られること、メタクリル酸メチル単位を構成単位として有する共重合体を前駆体にできること、などの理由から以下の一般式(2)に示される構造が好ましい。
Figure 2013124286

上記一般式(2)において、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素数1から20の範囲の有機残基である。当該有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
一般式(2)における有機残基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1から20の範囲のアルキル基、エテニル基、プロペニル基などの炭素数1から20の範囲の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル基、ナフチル基などの炭素数1から20の範囲の芳香族炭化水素基であり、上記アルキル基、上記不飽和脂肪族炭化水素基、上記芳香族炭化水素基は、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
上記ラクトン環構造は、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)と2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)とを含むビニル系単量体を、カルバゾール系単量体と共重合した後、得られたカルバゾール系共重合体における隣り合ったMMA単位とMHMA単位とを、加熱により脱アルコール環化縮合させて形成できる。この場合、Rは水素原子であり、RとRはメチル基である。この際、重合方法として溶液重合を用いた場合は、重合溶媒存在下でそのまま環化工程を行ってもよい。
環化工程を行う際には、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸等の有機リン化合物を触媒として用いることが好ましい。触媒として有機リン化合物を用いることにより、環化縮合反応の反応率を向上させることができる。さらに、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を行う場合において起こり得る分子量低下を抑制することができ、フィルムに優れた機械的強度を付与することができる。なお、この有機リン触媒が、残存しているN−置換カルバゾールに作用して分解し、カルバゾール系共重合体の着色の原因となっていたが、本発明の製造方法では残存するカルバゾール系単量体の量を著しく低減させ得たので、着色度(YI)を低く抑えることができる。
環化工程後、または環化工程を行わない場合は重合後、脱揮工程によって共重合体溶液の溶媒を揮散させることが好ましい。脱揮工程は、例えば、ベント付き二軸押出機等で行う。ベントは複数あるものの方が好ましい。
脱揮工程での加熱温度は特に限定されないが200〜300℃程度で減圧下(減圧度10〜800hPa程度)で行うことが好ましい。脱揮工程は、酸化防止剤や、金属亜鉛等の環化触媒失活剤を添加しながら行うことが好ましい。また、重合に用いた溶媒と共沸する化合物(例えば、トルエン等に対する水)を添加しながら行ってもよい。なお、本発明の製造方法で得られた共重合体溶液や環化工程後の共重合体溶液には残存単量体が低減されているので、濾過工程での昇圧や脱揮工程での汚れの付着等の問題を起こすことは少ない。
脱揮工程後、カルバゾール系共重合体をベント付き押出機から排出する。必要に応じてペレタイザー等を用いてペレット化するとよい。その後は、用途に応じて、ペレットと必要な添加剤等からフィルムを製造することが可能である。
また、本発明の製造方法で得られるカルバゾール系共重合体は、カルバゾール系単量体の残存率が低い。具体的には、カルバゾール系共重合体中に含まれるカルバゾール系単量体およびその分解物の合計量が0.3質量%以下であることが好ましい。カルバゾール系単量体およびその分解物の定量は、例えば、ガスクロマトグラフィー等で行うことができる。例えば、カルバゾール系単量体としてN−ビニルカルバゾールを用いた場合は、N−ビニルカルバゾールと、カルバゾールについて定量し、その合計が0.3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下では特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示す。
物性評価方法は、以下の通りである。
[単量体成分の重合率]
重合溶液中の残存する各単量体成分を、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC2010)で炭酸ジフェニルを内部標準として検量線を作成して定量し、重合率を算出した。
[N−ビニルカルバゾールの純度]
N−ビニルカルバゾールの純度、含窒素6員環多環芳香族化合物であるフェナジンの含有量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC2010)を用いて面積百分率法で求めた。
[重量平均分子量]
カルバゾール系共重合体の重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および条件は以下の通りである。
システム:東ソー社製
カラム:TSK−GEL superHZM−M 6.0×150 2本直列
TSK−GEL superHZ−L 4.6×35 1本
リファレンスカラム:TSK−GEL superH−RC 6.0×150 2本直列
溶離液:クロロホルム 流量 0.6mL/分
カラム温度:40℃
[ガラス転移温度]
カルバゾール系共重合体のガラス転移温度は、ガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線から始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
[MFR]
カルバゾール系共重合体のMFRは、JIS K7210のメルトマスフローレイトの試験方法B法に準拠して、メルトインデクサー(テクノセブン製、L−244−2571)を用いて、試験温度240℃、荷重10kgで測定した。
[カルバゾール残存量]
カルバゾール系共重合体ペレット中のカルバソール系単量体と分解物の残存量(Cz残存量)は、ペレット中のN−ビニルカルバゾールと分解物であるカルバゾールの含有量を、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC2010)で、炭酸ジフェニルを内部標準として検量線を作成して定量し、合計値を求めた。
[共重合体の着色度:YI]
カルバゾール系共重合体の着色度は、カルバゾール系共重合体ペレットをクロロホルムに溶解させ、15%溶液とした後、このクロロホルム溶液の色相(YI)を、色差計(日本電色工業社製:ZE6000)で測定した。
[屈折率異方性]
波長590nmの光に対するフィルムの面内位相差Re(590)は、位相差フィルム・光学材料検査装置(大塚電子製、RETS−100)を用いて求めた。波長590nmの光に対するフィルムの厚さ方向の位相差Rth(590)は、当該フィルムの遅相軸および進相軸のうち、遅相軸を傾斜軸として測定したRe(S40°)と、進相軸を傾斜軸として測定したRe(F40°)とを比較して大きい値が得られる方を傾斜軸として、アッベ屈折率計で測定したフィルムの平均屈折率、膜厚dを入力して測定した。フィルムの膜厚dは、デジマチックマイクロメータ(ミツトヨ製)を用いて測定した。
光学フィルムにおける面内位相差Reは、nxはフィルムの面内における遅相軸方向(フィルム面内において最大の屈折率を示す方向)の屈折率、nyはフィルムの面内における進相軸方向(フィルム面内におけるnxと垂直な方向)の屈折率、nzはフィルムの厚さ方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)としたときに、式Re=(nx−ny)×dにより示される値であり、厚さ方向位相差Rthは、式Rth={(nx+ny)/2−nz}×dにより示される値である。
光学フィルムの波長分散性は、波長447nmの光に対する面内位相差Re(447)と波長590nmの光に対するフィルムの面内位相差Re(590)、波長750nmの光に対する面内位相差Re(750)を測定し、Re(447)/Re(590)、Re(750)/Re(590)から求めた。
光学フィルムを構成する樹脂組成物の固有複屈折の正負は、樹脂組成物を一軸延伸した光学フィルムの配向角を求め、その値に基づいて評価した。具体的には、測定された配向角が延伸方向に対して0°近傍(遅相軸が略平行)の場合、樹脂組成物の固有複屈折を正、測定された配向角が90°近傍(遅相軸が略垂直)の場合、樹脂組成物の固有複屈折を負とした。
〔製造例1〕
純度98質量%の市販のN−ビニルカルバゾールをメタノールに溶解し、ポリ(N−ビニルカルバゾール)などの不溶物を濾別した。当該溶液を冷却し、析出した結晶を濾過した。かかる晶析操作を繰り返すことで、純度99.7質量%のN−ビニルカルバゾールを得た。原料由来の不純物であるフェナジンの含有量は0.005質量%未満でありガスクロマトグラフィーでは検出できなかった。
〔製造例2〕
純度98質量%の市販のN−ビニルカルバゾールを、そのまま用いた。原料由来の不純物であるフェナジンの含有量は0.102質量%であった。
〔実施例1〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸(MHMA)15部、メタクリル酸メチル(MMA)27部、アクリル酸メチル(MA)10部、製造例1で得られたN−ビニルカルバゾール(VCz)6部、トルエン37部およびメタノール2部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、95℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(アルケマ吉富製;「ルペロックス(登録商標)575」)0.03部を添加し、同時に、MHMA15部、MMA27部、トルエン43部およびt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.09部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約90℃〜100℃で溶液重合を行った。重合終了時の各単量体成分の重合率を表1に示す。
得られた共重合体溶液に、リン酸オクチル(堺化学工業製;商品名「Phoslex A−8」)0.2部を添加し、80℃〜105℃の還流下で2時間、環化縮合反応を行った。
次いで、得られた共重合体溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温させ、バレル温度240℃、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で100部/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.5部/時の投入速度で第2ベントの後ろから、イオン交換水を0.5部/時の投入速度で第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液は、5部の酸化防止剤(BASFジャパン製;「イルガノックス(登録商標)1010」;ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)と、失活剤として80部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業社製;「ニッカオクチクス亜鉛」3.6%)とを、トルエン65部に溶解させて調製した。
上記脱揮工程後、得られた樹脂をペレット化して、樹脂ペレットA−1を得た。得られた樹脂ペレットA−1の物性を表2に示す。
得られた樹脂ペレットA−1を、235℃、30MPaの条件で3分間熱プレスした後急冷して、厚さ183μmの未延伸フィルムを成膜した。これを50mm×80mmに切り取り、恒温槽付きインストロン引張り試験機を使用して延伸温度137℃および延伸速度40mm/s、チャック間距離80mmの条件で自由端一軸延伸法にて、2.0倍に延伸を行った。得られた光学フィルムB−1の平均膜厚は116μmであった。面内位相差Re(590)は61nmであり、波長分散性Re(447)/Re(590)は0.90、Re(750)/Re(590)は1.05であった。
〔実施例2〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MMA19部、アクリロニトリル(AN)13.5部、製造例1のVCz35部、トルエン38.5部およびシクロペンタノン16.5部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、95℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製;「ルペロックス(登録商標)570」)0.105部を添加し、同時に、MMA19部、AN13.5部、トルエン18.6部、シクロペンタノン8部およびt−アミルパーオキシイソノナノエート0.175部の混合物の滴下を開始した。この混合物を5時間かけて滴下しながら、還流下、約90℃〜100℃で溶液重合を行い、さらに3時間加温して攪拌を続けた。重合終了時の各単量体成分の重合率を表1に示す。
〔比較例1〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA30部、MMA54部、MA10部、VCz6部およびトルエン100部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、105℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート0.06部を添加し、同時に、トルエン8部にt−アミルパーオキシイソノナノエート0.12部を溶解させた溶液の滴下を開始した。この溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下、約105℃〜110℃で溶液重合を行い、さらに、4時間加温して撹拌を続けた。
得られた共重合体溶液を用いて、実施例1と同様にして環化縮合反応を行った。また、その後、実施例1と同様にして脱揮工程およびペレット化を行った。得られた樹脂ペレットA−2の物性を表2に示す。
〔比較例2〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応容器に、MHMA15部、MMA27部、MA10部、製造例2のVCz6部、トルエン37部およびメタノール2部を仕込んだ。この反応容器に窒素ガスを導入しながら、95℃まで昇温させ、還流開始したところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.03部を添加し、同時に、MHMA15部、MMA27部、トルエン43部およびt−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.09部の混合物の滴下を開始した。この混合物を8時間かけて滴下しながら、還流下、約90℃〜100℃で溶液重合を行った。重合終了時の各単量体成分の重合率を表1に示す。
Figure 2013124286
Figure 2013124286
本発明は、位相差フィルムや1/4λ板などの光学フィルムとして有用な、カルバゾール系単量体とビニル系単量体を必須単量体成分とする共重合体を製造する方法として好適に使用できる。

Claims (8)

  1. N−置換カルバゾール構造を有するカルバゾール系単量体と、ビニル系単量体を重合するカルバゾール系共重合体を製造する方法であって、
    カルバゾール系単量体全量に対して0.5質量倍〜10質量倍の量の上記ビニル系単量体を逐次添加するカルバゾール系共重合体の製造方法。
  2. 上記逐次添加が、分割添加または滴下である請求項1に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
  3. 上記カルバゾール系単量体中の含窒素6員環多環芳香族化合物の含有量が0.1質量%未満である請求項1または2に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
  4. 上記含窒素6員環多環芳香族化合物が、フェナジン化合物である請求項3に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
  5. 上記ビニル系単量体100質量%中、(メタ)アクリル酸エステルを20質量%以上95質量%以下含む請求項1から4のいずれか1項に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
  6. 上記ビニル系単量体100質量%中、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルを5質量%以上75質量%以下含む請求項1から4のいずれか1項に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
  7. 上記ビニル系単量体100質量%中、シアン化ビニル系単量体を5質量%以上75質量%以下含む請求項1から5のいずれか1項に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
  8. 上記カルバゾール系単量体と上記ビニル系単量体の合計を100質量%としたときに、カルバゾール系単量体の含有量が5質量%以上50質量%以下である請求項1から7のいずれか1項に記載のカルバゾール系共重合体の製造方法。
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